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1996 | ブラス! 監督・脚本 | |
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1987 | 奇妙な隣人 監督・脚本 | |
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1954 | ヨークシャー州で誕生 |
タイトル | |||||||||||||||||||||||||||
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ブラス! Brassed Off |
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閉鎖間近の炭坑。ここには炭坑に働く男たちによって結成された伝統あるグライムソープ・コリアリー・バンドがあった。失業の危機の中、それでもブラスバンドを続けていこうとする団長の下、彼らは自分たちの誇りをかけて全英大会へと出場を目指す。 このグライムソープ・コリアリー・バンドは実際に1917年に炭坑の余暇活動として結成されたもの。実話をベースとして作られた作品。ちなみにブラスバンドとオーケストラの違いは、ブラスバンドは弦楽器を用いず、管弦楽器とドラムだけで構成されているという点。 いかにも「イギリス映画!」な作品。特に近年良質作品を輩出するイギリス映画だが、その傾向はかつての花形であった第二次産業が廃れ、寒々しい町並みと失業におびえる(あるいは失業している)者達を中心としているのが多い。『フル・モンティ』(1997)であれ、『リトル・ダンサー』(2000)であれ… でも、これって凄く好きだな。単純な惚れたはれたの世界ではなく、切実な社会問題を眼前にしていかにして自分を表現しようとするか。と言う重い問題を捉えているので、観ている方も自然と力が入る。その中で醸成される愛情劇、そしてそれを突き抜けたところにある喜び。それをイギリス映画らしい陰影をつけたライトワークで仕上げているのもポイント。 前述の二作品もそうだけど、これらは不思議と全部劇中で、主人公たちが自ら「音楽」に関わると言う点で一致している。周りの状況が深刻だからこそ、力強い生命力を感じさせるために音楽というものが用いられるのかも知れないし、観ている側としても、音楽を通して行われる自己表現に感動出来る。 ここではそれがブラスバンドとなっているが、これは古めかしい言い方をすれば楽隊であり、その分多くの主人公たちにスポットを当てることが出来るので、より深刻な状況を演出することが出来ていたし、何より、音楽の力強さよ。特にラスト近くの「威風堂々」は、ストーリーと相まって見事な演奏となっていた。偶然だろうけど、邦名「威風堂々」をここに用いるとは、なかなか心憎い演出だ。 役者も良い具合にはまってた。なんと言っても頑固親父!なポルスウェイトがなんとも良い味を出してる。 ラストはなんかちょっと政治的主張くさい部分もあるんだけど、まあ、それは良いだろう。 悲しい時、苦しい時、やるせない時、その時に音楽は生まれてくる。そこから立ち上がる力強い調べが、周りの人間に力を与えてくれる。20世紀版『わが谷は緑なりき』(1941)と言っても良いね。 観ている私自身も力づけられたよ。 |
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