おおすみ正秋

　度重なるルパン逮捕失敗によりルパンの専属捜査から外されてしまった銭形警部は、今度はショットセルという武器密売組織の捜査を命じられ、ルパンの捜査は逮捕より抹殺を好むキースと言う男が当たることとなった。丁度ショットセルの財宝を狙っていたルパンは、銭形の名誉回復も兼ね、協力を申し出る…
　本作は長く続いているＴＶスペシャルの中でもかなり特異な位置づけにある作品で、それなりにルパンも活躍するものの、むしろ中心は銭形のとっつぁんと次元の方にある。こういうピンポイントで主役を決めるやり方は、最近になって全然やらなくなってしまったけど、やっぱり映える。特にいくつものエピソードの一つじゃなくて、中心として次元のラブストーリーが持ってこようという設定は気に入った。確かに物語としては傍流だけど、ルパンファミリーとされて一緒くたにされがちな次元も、こうやって中心にすると、充分すぎるほどに主役を張れることがはっきりした。まあ、ちょっとシリアスになりすぎるきらいもあるが、それを受け止めるだけのふくらみがあるのがルパン三世というシリーズなのだから。
　90分弱という長さを上手く使った伏線の消化と言い、アクション部分の緻密さと良い、ＴＶスペシャルの中でも大変良き出来となった作品と言えよう。

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