わんわん忠臣蔵 |
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山本早苗
藪下泰司(監修)
大川博(製) 飯島敬
白川大作(脚)
堀絢子
木下秀雄
水木蘭子
北川まり
佐藤英夫
梅津栄
西村晃
加茂喜久
伊藤牧子
芳川和子
山本喜代子
花沢徳衛
海野かつを
西桂太
永山一郎
中川謙一
大村文武
本間千代子 |
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★★★☆ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
3 |
3 |
4 |
4 |
3 |
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森の動物たちを守っていた犬のシロは虎のキラーから恨みを買い、騙されて崖から突き落とされてしまった。シロにはロックという息子がおり、母の仇を取りにキラーに挑む。しかしその部下のキツネのアカミミにもまったく敵わず、捲土重来を期して町へと向かい、そこで野良犬の群れに混じって実力を付けていく。だがその間にも森は人間の手によって開発が進められ、キラーを含めた動物たちは町の動物園に送られてしまった。人間と取引したキラーは動物園でも我が物顔で君臨する。それから時が経ち、成長したロックはキラーの居場所を探り当て、野良犬の群れと共に動物園へと殴り込みをかける。
東映動画が東映アニメーション映画に改組されてから二作目に当たる作品。これまで文芸の方に向かいつつあった東映アニメをかなり子ども用に引き戻したもので、みんなが知っている忠臣蔵をベースに、擬人化した動物たちを主人公にして作られた。東映アニメとしては久々のヒットとなり、以降のアニメにも多大な影響を与えている。
アニメの歴史上、擬人化動物を登場させることはこれまでもやってきた。有名なのはディズニーだが、日本でも『桃太郎 海の神兵』(1945)という作品もあるし、決してこれが初めてというわけではない。しかし日本のアニメでは動物は人間の下位的存在で人間の言葉を理解はしているが、主人公をサポートする役割しか持たなかった。それを今度は極力人間を出さないようにして、動物たちを主人公にして作り上げた。
これは大変面白い効果を及ぼした。本作の設定は比較的重くて子どもにはきつい部分もあるのだが、それを動物にしたことでかなりマイルドな仕上がりになり、更に動物たちの行動をコミカルにしたことで、充分子どもに楽しめる内容になっていった。ハードなストーリーも子ども達に受け入れさせられるという効果が得られた。
単純に言うならば、『安寿と厨子王丸』(1961)に似たきつさがあるのに、全く重さを感じずに観ることが出来ると言うだけでもたいしたものだ。
後にこれらの手法は一部で「わんわん」と呼ばれるジャンルになったようで、ハードストーリーを緩和させる独特のアニメ手法としてかなり評価されている。 |
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