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藪下泰司

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記録映画の撮影、日本のアニメーション映画監督・演出・企画・アニメーション制作の教育者。映画監督の高橋玄は孫。晩年はアニメーション制作者の育成・教育にあたり、アニメーションについての、現場の実状に即した体系的な文献等を複数著す。
Wikipediaより引用
経歴
1903'2'1 大阪府北河内郡四条村(現 大東市)で誕生
1925 東京美術学校写真科卒業し、松竹に入社し、撮影所現像部に配属される。
1927 文部省社会教育局庶務課映画制作部で映画製作設備を創設。記録映画の編集を主に行う
1947 山本善次郎が設立する日本動画株式会社(1948年1月創立)に参加。
1956 東映動画株式会社の創立に参加。
1970 東京デザイナー学院、東京写真専門学校講師を担当。
1986'7'15 死去
5+
4+
3+ 白蛇伝
アラビアンナイト シンドバッドの冒険
安寿と厨子王丸
少年猿飛佐助
2+
個人的感想
1986 死去
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
1970
1969
1968
サイボーグ009(1st)
<A> <楽> 演出
1967 ひょっこりひょうたん島 演出
少年ジャックと魔法使い 演出
1966
1965 ガリバーの宇宙旅行 演出
宇宙パトロールホッパ
<A> <楽> 演出・脚本
1964
狼少年ケン(2Y)
<A> <楽> 演出
1963 わんわん忠臣蔵 監修
1962 アラビアンナイト シンドバッドの冒険 演出
1961 安寿と厨子王丸 演出
1960 西遊記 演出
1959 少年猿飛佐助 演出
1958 白蛇伝 演出・脚本
1957 ハヌマンの新しい冒険 演出
こねこのらくがき 演出
1956 黒いきこりと白いきこり 演出
一寸法師 演出・脚本
1955
1954 かっぱ川太郎 作画演出
1953
1952
1951
1950 トラちゃんのカンカン虫 撮影
1949 動物大野球戦 演出
ポッポやさん のんき機関士 製作・撮影
1948
1947
1946
1945
1944
1943
1942
1941
1940
1939
1938
1937
1936
1935
1934
1933
1932
1931
1930
1929
1928
1927
1926
1925
1924
1923
1922
1921
1920
1919
1918
1917
1916
1915
1914
1913
1912
1911
1910
1909
1908
1907
1906
1905
1904

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レビュー
アラビアンナイト シンドバッドの冒険
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大川博(製)
手塚治虫
北杜夫(脚)
木下秀雄
黒柳徹子
滝口順平
太宰久雄
辻村真人
永井一郎
新道乃里子
里見京子
川久保潔
巌金四郎
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 ラサールに住む若者シンドバッドと少年アリーは、かつて老船乗りから聞いた五色に輝く宝石の島に強い憧れを抱き、自分たちでその島を発見しようと誓い合っていた。ある日港に停泊していた輸送船ボルダー号に密航して旅に出た。密航は見つかったが、シンドバットの機転で船乗り見習いとして舟に乗ることは許された二人は、やがてバーレーンにたどり着き、そこで王女のサミール姫と知り合う。

 東映動画第5作となった本作。前作『安寿と厨子王丸』の評判があまり良くなかったため、コメディ調に仕上げた。新しい試みとして、日本アニメ初のライブアクション作品で、シンドバッドを千葉真一が演じたことでも知られる。
 結構力が入った作品であることは分かるし、楽しませようと頑張ってるのも分かる。ただ、なんか中途半端な感じ。ストーリーが意外に複雑な上に、王族と一般人の関係に一切突っ込まないために設定が今ひとつなのと、キャラに魅力が薄い。主人公の冒険したいというモチベーションも意味不明。アラばかりが目立ってしまい、何もかもボタンを掛け違えてしまった感はある。
 それでも演出だけは良いので、そこそこ見られるものにはなってる。
 イスラム文化のものを出す場合、思いっきり常識を変える形で出してくれた方が良かったとは思う。なんかお上品な普通の作品としか見られない。手塚プロの『クレオパトラ』(1970)を思いっきりエキゾチックに仕上げたのは本作の反省点があったのかも知れない。
 それに私の世代にとっては、このタイトルを見ると映画ではなく同タイトルのテレビシリーズの方を思い出すし、長い物語で大変好きな作品だった。事実これで千一夜物語に興味を持って、子供用の童話も読んだし、後に発売されたちくまの全集を全部読み切った。勿論テレビシリーズは長いので色んなエピソード入れられたこともあるが、思い出としては圧倒的に映画ではなくテレビの方になってしまった。その意味でも映画版は印象が薄い。
製作年 1962
製作会社 東映
ジャンル アニメーション
売り上げ
原作
千一夜物語 <A> <楽>
歴史地域
関連
アラビアンナイト シンドバットの冒険
<A> <楽> 1975
安寿と厨子王丸
<A> <楽>
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芹川有吾(共)
大川博(製)
田中澄江(脚)
佐久間良子
住田知仁
北大路欣也
宇佐美淳也
山田五十鈴
東野英治郎
平幹二朗
水木襄
山村聡
松島トモ子
三島雅夫
花沢徳衛
利根はる恵
富田仲次郎
永田靖
清村耕次
潮健児
織田政雄
明石潮
新井茂子
森弦太郎
増田順司
武藤礼子
大平透
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 奥羽の国府岩城正氏は公明正大で知られた判官だったが、それが逆に窮屈になってしまった上司の鬼倉陸奥守は帝の森で起きた火事を岩城の責任にして都に追い払ってしまう。妻の八汐は幼い姉弟安寿と厨子王丸と動物たちを連れて嘆願のために都へと向かう。しかしその途上で人買いの罠に落ち、母と菊乃、安寿と厨子王丸は生き別れにされてしまう。母は佐渡へ連れて行かれ、姉弟は由良の長者・山椒大夫の元へ売られてしまう。そこで奴隷の暮らしを強いられた姉弟だが、山椒大夫の息子の三郎の助けもあって、二人はそこで成長していった。だが三郎と安寿が恋仲になってしまったことから、山椒大夫の怒りを買ってしまう。逃げられないと悟った安寿は入水し、その魂は白鳥の姿となり、厨子王丸を導く。

 東映動画第4作。今回は古典芸能「さんせう太夫」。そしてその翻案である森鴎外の「山椒大夫」をベースにした作品となっている。有名な話なので、見ている人の大部分はこの作品がどのようなものだか良く知っているはずである。
 それはつまり本作の悲劇的なラストを知っているという事。それでそれを知って尚本作を見に行くのかどうかが少々問題になる。アニメと言えばこども向きだが、子どもがワクワクするような内容というのが結構重要なはずだが、これでワクワクするのは無理ってもんだ
 では何故このようなものを作ったのかと考えると、東映は本作で学校の教材にも耐えうるものを作りたかったのかも知れない。単純に劇場で楽しむだけで無く、学校に貸し出し、定期的に観てもらえるような教材を作ることで、コンスタントに儲けが出る構図を作ってみようとしたのかも知れない。勝手な妄想だが。
 重めに作られた演出は、確かに見応えがあるが、本音を言えば快楽とはほど遠い。アニメはもっとワクワクさせてくれるようなものであってほしかった。出来は良いけどあんまり何度も観ようと思うものでは無い。事実興行成績はかなり悪かったらしい。

 尚、本作の制作現場はかなり厳しかったようで、林重行(後のりんたろう)をはじめとして本作で東映に見切りを付け、手塚プロに移った人たちも結構いたそうだ。
製作年 1961
製作会社 東映アニメーション
ジャンル アニメーション
平安時代(時代劇)
売り上げ
原作
山椒大夫 <A> <楽>
森鴎外 (検索) <A> <楽>
歴史地域 筑紫
関連 山椒大夫(1954)
西遊記
<A> <楽>
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藪下泰司
手塚治虫
白川大作(演)
大川博(脚)
小宮山清
新道乃里子
木下秀雄
篠田節夫
関根信昭
武田国久
尾崎勝子
白坂道子
巌金四郎
加藤玉枝
川久保潔
風祭修一
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 花果山の麓の石から生まれた石猿は、そこに住む猿たちを束ねてボス猿となるが、それだけでは飽き足らず、仙術を修行し孫悟空と名乗るようになる。しかし天界を騒がせ暴れまわったため、孫悟空はお釈迦様に五行山の岩穴に閉じこめられてしまった。そんな孫悟空を見守る猿仲間の燐々は甲斐甲斐しく尽くしていた。彼女の助言もあって、天竺へ経文を取りに行く三蔵法師のお供となった。三蔵の前に次々に現れる妖怪達を前に戦いを続ける孫悟空だが…

 東映動画第3作。手塚治虫をキャラクターデザインと演出に招いて、動画の総枚数が10万枚を越える新記録だそうで、動きはとても自然。これだけの長さに「西遊記」の重要なストーリーはちゃんと入っているし、バランスも良い。
 これだけの高水準作品なので、高得点あげても全く構わないのだが、点数が上がらないのは、この作品には重要なプラスアルファの部分がすっぽり抜けているのだ。
 本作にはそのプラスアルファが入る要素があった。なんせキャラクターデザインが手塚治虫で、主人公が動物。言うまでもなくそれはフェティシズムにあふれて然りなのだ。キャラは人間のように行動するのではなく、動物ならではの行動と、何よりどこか妙な色気を持たせて然りなのだ。
 それがすっぽり抜けている。
 そのため、全般的に面白いのだがもう一つ足りないという思いがどうしても抜けない。
 これは理由があって、手塚治虫が描いた絵コンテを監督が大幅に修正したそうだ。間違いなく監督、手塚治虫のフェティシズムを理解したからこそ、危険性を感じたのだろう。本当にそれは正しい措置だった。
 正しかったが、それが個性を殺してしまった。それが残念だ。

 ただし、本作はもう一つアニメに大きな足跡を残したことでも知られる。
 本作の出来に対し、手塚治虫は激怒してしまって、自分の好きなようにアニメを作りたいと願い、翌年虫プロに手塚プロダクション動画部を置くことになる。これによってテレビアニメが開始されたのだから皮肉なものである。
製作年 1960
製作会社 東映アニメーション
ジャンル アニメーション
冒険(アクション)
売り上げ
原作
西遊記 <A> <楽>
呉承恩 (検索) <A> <楽>
歴史地域
関連
キーワード
少年猿飛佐助
<A> <楽>
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大川博(製)
村松道平(脚)
中村賀津雄
桜町弘子
宮崎照男
松島トモ子
薄田研二
赤木春恵
吉田義夫
堺駿二
伊藤亮英
岸田一夫
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 信濃の山里に住む少年佐助は山の動物たちを救うために仙人のもとで忍術の奥義を極める。山を降りた佐助は、山賊を追う真田幸村と出会い、共に山賊退治に向う。

 東映劇場アニメーション第二作。前作『白蛇伝』に続き、藪下泰司が監督で、新たなスタッフを得て総力で臨んだ。前回が中国の故事だったが、今回は分かりやすく日本の戦国時代を舞台に、人気ある真田幸村の物語をベースに、アニメ的に見栄えのする忍術合戦を中心に描かれることになった。
 『白蛇伝』と較べると、動きは格段に良くなっていて、見所は多くなっているし、紙芝居的なものからあっという間に脱却したことで、スタッフの努力と学びを感じさせられる好作ではある。
 ただ、物語としては普通の勧善懲悪ものになってしまったようで、猿飛佐助という存在そのものを活かしていないし、物語としての奥行きが薄く、表現的にはかなり後退してしまった感じ。
 あと動物の擬人化も、なんかディズニーを真似してるだけのような気がして居心地が悪い。全編人間ドラマにしていた方が良かったんじゃないかな?
 後は出てくる登場人物が今ひとつ造形が好みではない。
 全般的に見る限り今ひとつの出来なんだが、それでも初期の日本の劇場アニメとして抑えておくべき作品には違いない。
製作年 1959
製作会社 東映アニメーション
ジャンル アニメーション
時代劇(活劇)
売り上げ
原作
檀一雄 (検索) <A> <楽>
歴史地域
関連
白蛇伝
<A> <楽>
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大川博(製)
藪下泰司(脚)
森繁久彌
宮城まり子
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 西湖の畔に住む心優しい少年許仙は幼い頃にペットで飼っていた白蛇を大人達に叱られて捨てたことを今も後悔していた。その捨てられた白蛇は時を経て変化の術を覚えて少女の姿を取り、湖に豪華な屋敷を作り出して、夜な夜な美しい胡弓の音を響かせるようにした。笛の名手でもある許仙は、その音を聞いて屋敷を発見する。愛し合う二人はそこで夢のような生活を送るのだが…

 戦前から日本のアニメーション技術は結構高く、これまでにも何作かの名作と呼べるだけのアニメーション作品は作られていた。
 大戦によって制作事情もマイナスとなり、戦後長らく中断を余儀なくされたが、敗戦後13年年を経過し、やっと本式にアニメーションが作られるようになってきた。実際本作を皮切りにまずは東映が劇場アニメに力を入れることになり、それに触発された手塚治虫がテレビに手を伸ばすことにもなる。記念すべき一本である。
 それに本作の場合、明らかにちゃんと金を稼げる構造を取っているのが分かる。敢えて中国の民話を題材に取ったことで、最初から中国市場を狙っていたことがわかるし、実際中国でも本作はヒットしてかなりの利益をあげたようだし(9万5千ドルの輸出収入を上げる)、本作の成功によって、日本の劇場用アニメは継続して作られるようになった。本作の成功こそがアニメ大国日本の礎となったのだ。これが失敗作に終わっていたら、今の日本はなかったとさえ言っても良い。どれだけ重要かが分かろうというもの。
 特に日本のアニメは初期の頃から世界市場を視野に置いているということも分かる。最初からこれだけ先進的な取り組みが為されていたことには感心する。

 ただ、物語として考えると、本作は少々物足りなさを感じるのも事実。「白蛇伝」は中国の物語なので馴染みがなく、更に物語もやや複雑で思い入れが感じられないこと。それに声が朗読してるみたいで生々しさを感じられないと、今の目からすると色々文句も言いたくなる。実際声優は森繁久彌と宮城まり子で、二人とも一流の俳優ではあってもプロの声優ではないため、聞いていてテンポの悪さに少々辟易する。
 そう言う意味では確かに劇場アニメ映画最初の作品だということがよくわかる。

 ちなみに本作の素晴らしい点はもう一つあって、劇場予告で東映の社長が「これから毎年一本アニメ映画を作るので、作りたい人は集まってください」とアピールしたお陰で、多数の人物が東映入社を希望してくれたことだった。それで集まった人達の中に宮崎駿もいた。その意味でも本作は日本のアニメーションにとって超重要な作品であることが分かるだろう。
製作年 1958
製作会社 東映動画
ジャンル ファンタジー(中華)
売り上げ
原作
白蛇伝 <A> <楽>
歴史地域 浙江省(中国)
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著作 評伝
 

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