読書日誌
2005’10〜12月

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05'12'28 風の騎士 グインサーガ105
栗本薫 (検索) <amazon> <楽天>
 グインとマリウスが逗留したガウシュの村に突然やってきた軍隊。風の騎士を名乗るそのリーダーは何故かローラのことを知っており、彼女と息子のスーティを探し回っていた。未だ記憶の戻らぬグインの前に次々に現れる、彼のよく知っていたはずの者達…

 前巻で突然死んだはずの人間が現れて驚かされたものだが、今度はこいつかよ。1巻から登場していつつ、完全に忘れ去られた…というか、出すべき所を逸したキャラだったが、忘れてはいなかった訳ね。グインが記憶失っている間に本編で忘れ去られた人間を次々に出しておこうと言うことか。さて、一体どんな展開をさせてくれるやら。
<A> <楽>
05'12'27 はじめの一歩74
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 真柴VS沢村の死闘は、もはや気力の勝負へと移行していた。お互いにボロボロになりつつも、その勝負は意外なところで付いてしまう。その後、インターバルとして青木・木村の草野球の話が描かれる。

 真柴VS沢村は一体どっちが勝つか全く分からない状態での戦いだった。どっちかというと真柴が勝利するんじゃないか?と私は思っていたが、本当に意外な展開だった。本編では一歩が負けるはずがないと思って読んでる訳だが、脇役が中心となると、それが面白い所。しかしこうやって枝道ばかりやってると、だんだん本編がどこにあるのか分からなくなってきそうだ。
<A> <楽>
05'12'26 湖畔のマリニア グインサーガ104
栗本薫 (検索) <amazon> <楽天>
 グインとマリウスの二人の旅が始まった。ユラニア山中で降られた雨をしのぐためにマリウスは一軒の家を訪れるのだが、そこに住んでいたローラとシェティ親子の正体はあまりにも意外な人物だった。それでも歓待を受け、マリウスとグインは二人の家にとどまることにしたのだが…

 いつの間にやら105巻が出ていて、慌てて二冊まとめて買ってきた。このペースは異常だな。
 冒頭部分からしばらくは「これは外伝でやるべき内容では?」と思ったものだが、中盤からしっかり本編の方にかかってきている。これだけ長く描いてきて、まだこんな驚きを隠していたというのは凄いが、しかし、このキャラを出すことはほぼ裏技だよ。
<A> <楽>
05'12'22 天地無用!GXP2
梶島正樹 (検索) <amazon> <楽天>
 いくつものトラブルの末、何とか無事アカデミーにたどり着いた山田西南。寮の同室の二人とも仲良くなったが、彼の不運は勿論それで終わった訳ではなかった。むしろその能力はますます拡大。彼一人の行動がアカデミーはおろか星一つを巻き込む狂乱の一夜を描く。
 アニメ版の第5話たった一話のみの話で、アニメ版では単に西南の周囲だけのおちゃらけた行動だけが描かれていたものだが、その背後にはシャレにならない出来事が起こっていたということが示される。思い切りノッて描かれているのがよく分かる作品だった…若いて言えば、もっとスピードアップして描いて欲しいもんだけどね…(なんせアニメ版は4年前だ)
天地無用!GXP (2)
05'12'21 金色のガッシュ15 (著)雷句誠 <amazon>
 いよいよ千年前の魔物達との本式の戦いが始まった。三つに分断されたガッシュたちはそれぞれ強力な魔物と戦うことになる。ガッシュ&清麿とウマゴン&サンビームは星を動かしビームを使ってくるパムーンと、そしてキャンチョメ&フォルゴレとキッド&ナゾナゾ博士は椅子に座って邪悪な光線技を使うベルギムE・Oと…そして戦いの中でついにキッドが…
 相変わらず燃える展開を用意するのみならず、仲間の脱落という涙ものの物語まで加え、少年漫画らしい実に盛りだくさんの内容に仕上がっている。最後に絶望状態で出てくるブラコ&シェリーという展開も良し。面白い作品だな。
金色のガッシュ!! (15)
05'12'17 終戦のローレライ2 (著)福井晴敏 <amazon>
 折笠征人の乗り込んだ伊507の最初の任務は、先の追跡劇で投棄した秘密兵器“ナーバル”の回収作業だった。敵潜が待ちかまえているのが明らかな海域に艦長絹見は回収放棄を決定するのだが、“ローレライ”主任のフリッツは断固回収を主張。ついには折笠を拉致してまで海底探索を命じる…
 1巻丸々使って伊507の発進までが描かれたが、いよいよここで主題のローレライに関する話へと移ってきた。著者の描き方は一巻ごとに主題を決め、伏線をばらまきつつ一旦話を収束させるというものなのだろう。なかなか興味深い描き方だが、そのためちゃんと一巻ごとに見せ所が用意されてるのは上手い。
終戦のローレライ〈2〉
05'12'14 鉄腕バーディー11 (著)ゆうきまさみ <amazon>
 薬の試験に出かけたという姉のはずみが、実はビーストにされかかっていると言う衝撃の事実を知るつとむとバーディー。彼女が被験している場所を突き止めた二人は早速その場所“水没病院”へと向かうのだが…
 この巻は、これまで抑え気味だったアクション部分を主体に、バーディーとビースト、アンドロイドのオンディーヌとの戦いが遺憾なく発揮されている。敵が強すぎるためか、バーディー自身がさほど強くは描かれてないものの、それでも見応えはあり。掲載紙が青年誌というのも大きな強味になってる。ただ、その分物語自体はあんまり進んでないんだけど。
鉄腕バーディー 11
05'12'13 小川未明童話集 (著)小川未明 <amazon>
 童話作家である著者の童話を集めた作品集。
 子供の頃、何作かは読んだ記憶があり、それらの作品の何作かはこの本にも入っていた。こうやって改めて読んでみると、なんとも不思議な作品である。無国籍風の作風ながら、しっかりと和風テイストも持っている。結論から言えば、著者にしか描けない作品と言うことになるだろう。時折こう言うのを読むとほっとした気分になる。
小川未明童話集
05'12'12 金色のガッシュ14 (著)雷句誠 <amazon>
 千年前の魔物達との戦いに頼もしい味方が来てくれた。この戦いに皆を誘ったナゾナゾ博士&キッドのコンビと、かつて清麿とガッシュが命がけで助けたリィエン&ウォンレイのコンビ。更にウマゴンを加えて6体となった現代の魔物達の活躍を描く。
 この巻からこの手の作品にありがちな、“かつて知り合ったキャラの戦い”が展開するようになり、今回はリィエン&ウォンレイが戦いの中心となっている。敵も格闘術を使う魔物のため、肉体を使った戦闘がたっぷりと楽しめる。テンポの良さと感動の演出は相変わらず上手く、特に圧倒的な不利の状況で恵&ティオの力をもらったウォンレイの最後の技の威力は、見せ場としては最高の演出だ。そう言えば今回ほど主人公コンビの存在感が低かった話もなかったけど。
金色のガッシュ!! (14)
05'12'09 戦力外ポーク (著)ゲッツ板谷 <amazon>
 著者による、日常何気ない自分と周りを取り巻く馬鹿な連中について描くエッセイ集。
 半分駄目人間っぽい著者なのだが、しかし、これを読んでると、妙に和んでくる。これは自分の周りが駄目であることを普通に受け入れ、そしてそれをきちんと描くことが出来るという著者の実力だと言えよう…私の中の駄目人間の部分がそれに感応してるというのが一番の理由のような気もするんだが(笑)。文体がこなれていないので、読むのにやや時間がかかるのは難点。
戦力外ポーク
05'12'07 ベトナム秘密指令 (著)大藪春彦 <amazon>
 ヴェトナム戦争華やかかりし日、そのヴェトナムから日本基地に戻った将兵達の荷物に紛れ、多量のヘロインが密輸されていた。その事実を重く見た政府は特殊工作員として水野洋治を送り込む。表向きの職業であるカメラマンとしてヴェトナムへと乗り込んだ水野の活躍を描く。
 時々読むと大変面白い著者の作品。本作は主人公の活躍よりも説明の方が主な作品だったが、それなりに楽しめた。物語そのものはいつもの通りだけど。
05'12'05 女の子ものがたり (著)西原理恵子 <amazon>
 母の再婚で田舎の家に越してきた女の子なつみがみさちゃん、きいちゃんという二人の友達と共に成長し、東京に出るまでの時間を描いた、著者の半自伝的作品。
 営業ものがたり読んでたらこの本のことが書かれていたので、これは是非とも読まねばなるまいと思って購入。エピソードのいくつかは著者が前に他の作品で描いたものだから、やっぱりこれは半自伝的な作品なんだろうと思われる。ほぼ私と同年配で、田舎暮らしも同じはずなのだが、自分自身を振り返ってみて、こんな時代は、やっぱり無かったな。私はやっぱり営業ものがたりに出てくる関東の人と同じなのかな?
 …中学でいなくなった人間というのは周りに確かにいたっけな。私は多分そう言う人間を小馬鹿にすることで成長してきたのだろう。ある意味では正しく、ある意味ではつまらなかったのかも。
女の子ものがたり
05'12'02 オーケンののほほんと熱い国へ行く
大槻ケンヂ (検索) <amazon> <楽天>
 筋肉少女帯の活動の中、不意に「熱い国を歩きたい!」と思い立った著者が旅立ったインドとタイで見聞してきた事柄を描く紀行文。

 一風変わった。と言うほどのこともない、まあ普通の紀行文なのだが、逆に言えば、どんな人が行ってもこうなってしまうのがインドというものなのかもしれない。そう言う意味ではインドという国への興味は増す作品だ。
<A> <楽>
05'12'01 ジョゼと虎と魚たち (著)田辺聖子 <amazon>
 恋物語を描く短編集。「お茶が熱くてのめません」「うすうす知ってた」「恋の棺」「それだけのこと」「荷造りはもうすませて」「いけどられて」「ジョゼと虎と魚たち」「男たちはマフィンが嫌い」「雪の降るまで」の9編を収録する。
 概ねは著者の得意分野である女性の視点で恋を描く作品で、ドロドロした男女関係をさらりと描くにはやはり短編がよく似合う。ただ、映画化されたジョゼと虎と魚たち(2003)だけは珍しい男視点の作品。改めて映画はよくこれをあそこまで膨らませることが出来たものだと感心できた。むしろ本作そのものよりも映画の方に感心できた作品だった。
05'11'28 金色のガッシュ13 (著)雷句誠 <amazon>
 千年前の魔物の本拠地南米にやってきた清麿&ガッシュ、恵&ティオ、フォルゴレ&キャンチョメ、ウマゴン。次々現れる千年前の魔物達の群れに、消耗しつつ、それでも戦う清麿達の戦いを描く。
 ウマゴンにようやく本の持ち主が現れたとか、千年前の魔物の哀しみとか、結構色々なことが描かれているのだが、この話はあまりにも強烈なキャラクタのビクトリームで全部持って行かれてしまった感じ(間違えて自分の体を攻撃してみたり、「私の紳士(股間のこと)をいじめるな〜〜!」とか、あんまりにも強烈なので、ファンも多いらしい)。一応シリアスな展開もあるのに、このキャラだけでもうお腹一杯って感じ。
05'11'24 鏡の中の戦魔 (著)榊一郎 <amazon>
 かつて“戦魔”と呼ばれ恐れられた傭兵ヴァレルは、今や戦いから身を引き、辺境の小村で村の娘アリエに慰めを見出して暮らしていた。しかし、ある日“処刑屋”と呼ばれる二人連れの訪問を受け、彼の昔の傭兵仲間であり、弟子でもあった界術師のレイヴンの脱走を知らされる。それは彼を過去に戻す合図だった…
 友人から「読んでみろ」と言われたので、久々に日本のファンタジーに手を出してみた。考えてみると、日本製のファンタジーは馬鹿にしてたので、全然読んでなかったな。つーか、何冊か読んだ作品が屑同然だったから以降読む気にもなれなかった。本作だって紹介無ければ読むこともなかっただろう。
 しかし、これはびっくりした。
 物語を一言で説明するとファンタジー世界での痴話喧嘩。これだけで終わってしまう凡庸な作品なのだが、演出と、何より設定が興味深い。
 学生時代『指輪物語』を読んで、自分も何かファンタジーを書きたいと思って色々設定を考えていたりしたのだが、驚くべき事に、この作品の設定、極めて私の考えていたものに近い(特に魔法…ここでは界術か)。私がこの設定を考えていたのは約15年前だが、この作品が世に出たのも丁度その頃。才能のない私は設定で終わったが、ちゃんとそれを書いてる人がいたという事実。それが驚き。いるもんだな。こんな人間。なんか昔の思いが沸々とわき上がってきたよ。
鏡の中の戦魔
05'11'21 営業ものがたり (著)西原理恵子 <amazon>
 売れっ子漫画家である著者の、水面下での努力(?)を描く営業ものがたり。
 営業のための努力とは言いつつ、相変わらず歯に衣着せぬ文体で無茶苦茶やってくれるのが著者の魅力。手塚治虫に喧嘩売ってるとしか思えないのがあったりとか、わざわざ来た出版社を追い返してしまったとか、そう言うのも平気で書いてるからなあ(その辺を被害妄想と片づけさせようと言うあたりも楽しい)。
 それだけでなく、物語として完成度の高い「うつくしいのはら」やぼくんちの前日譚とも言える「朝日のあたる家」も収録してる。そんなに厚い本じゃないけど、読み応えは充分高かった。
 これ読んで、女の子ものがたり上京ものがたり読んでなかったことに気が付いた。しかし巧いやり方だな。
営業ものがたり
05'11'19 陰陽師 飛天ノ巻
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 源博雅と陰陽師の阿倍清明との交流と冒険を描く連作短編集。「天邪鬼」「下衆法師」「陀羅尼仙」「露と答へて」「鬼小町」@桃園の柱の穴より児の手の人の招くこと」「源博雅堀川橋にて妖しの女と出逢うこと」の7編を収録する。
 著者の作品の大部分は読んでいると自負しているのだが、実際は結構空きが多く、最大のヒット作となった本シリーズは実はまだこれで2冊目。出来は安心できるのだが、やはりこの著者の作品はもっとバイオレンスが欲しいと思ってしまう辺り、まだまだ著者を読み込んでない証拠か?
<A> <楽>
05'11'16 終戦のローレライ1 (著)福井晴敏 <amazon>
 既に敗戦を迎えたドイツから日本へと亡命してきた一隻の潜水艦。日本で伊507と名付けられたそれは秘匿されたシステムを搭載しており、日米決戦を左右するものとされた。そしてそのために集められた潜水艦乗り達。その中には特攻のために集められた士官学校を出たての折笠征人と清水喜久雄がいた。
 映画の方を先に観て、原作を読みたくなったので開いてみたが、映画と較べても、もっと人間の心情奥深くに入り込んだ描写と、マニアックな兵器描写などもあり、なかなか読み応えのある作品に仕上げられている。一巻である本作は映画では全く語られなかった部分が描かれていて、その辺も興味深い。
終戦のローレライ〈1〉
05'11'14 金色のガッシュ12 (著)雷句誠 <amazon>
 突如現れた千年前の魔物達が、現在活動中の魔物に襲いかかってきた。現在の魔物と較べても強く、更に複数で襲ってくるのだ。それで次々と脱落していく現在の魔物達。しかし、その背後にある魔物の存在が浮き上がってきた…
 通常の魔王争奪戦から話が移り、過去の遺物との戦いが描かれる話で、ここにおいて魔物同士の連携が描かれる。少年漫画らしいと言えばらしい展開だが、こういうのって、なんかやっぱり燃えるんだよな。これはこれでなかなか面白い。魔物が使える魔法の数々もそろそろ重複が出始めてきた。この方が体系づけられて面白い。
金色のガッシュ!! (12)
05'11'12 ヤーンの朝 グインサーガ103
栗本薫 (検索) <amazon> <楽天>
 グイン捜索を続けるケイロニア軍の前に突如グラチウスとイェライシャの魔力のぶつかり合いが始まった。魔術の嵐に巻き込まれたヴァレリウスはそれを何とか止めようと試みるのだが、結果的にそれはイェライシャ側にヴァレリウスは立つことになり、グラチウスとの決別を意味していた。そして嵐が収まった時、グインの姿は…

 102巻までが一区切りで、ここから新しい展開へと移っていくことになる。しかし、ここでグインがいきなり逐電とは又意外なことを。ここからパロに行ってケイロニアに帰ってくるまで一体どのくらいかかるんだ?未だ外伝の1巻にも至ってないんだけど、一体それは何巻分を消費するんだろう?
<A> <楽>
05'11'10 悩んでられない八方塞がり? フルメタル・パニック16 (著)賀東招二 <amazon>
 クラスメイトの風間信二がはまりこんでいるMMORPGで恋人が悪の女王にさらわれ、それを助けに行こうと2年4組と生徒会の面々に助けを求め、結果みんなでゲーム世界に行ってしまうと言う「約束のバーチャル」を初め、「影武者のショウビズ」「対立のフェスティバル」「愛憎のフェスティバル」の4編の中短編を収録。
 アニメで言えば「ふもっふ編」に当たる話の数々は妙にツボにはまるのが多い。一作目のオンラインRPGの話は凄く楽しかった。私自身はやらないけど、廃人ゲーマーって出てくるもんだろうなあ。他はちょっと滑った感じがするが、さすがにちょっとパワー落ちてるかな?
八方塞がり?
05'11'06 愛国者のゲーム 下 (著)トム・クランシー <amazon>
 アメリカに戻ったライアンだったが、明らかにテロリストの標的にされていることに気づかされる。家族を救うためにもライアンはCIAの申し出を受け、情報局に入る事を承諾する。しかしそんな折、なんとイギリス皇太子がお忍びでライアンの家を訪問することになった…
 特に兵器描写や情報戦の描写に定評のある著者が敢えて通常レベルの冒険小説を書いてみました。的な作品で、派手な描写は面白いものの、ありえない展開が続きすぎてちょっと引いた。確かに面白いのだが、リアリティという点にあっては、やはり今ひとつという所。
05'11'05 るくるく5
 悪魔達との生活も大分慣れてきた六文。そんな彼らを狙うヨフィエルの暴力から避けつつも、あくまで普通の生活を続ける六文の生活を描く。
 今回ヨフィエルがいなくなると言うイベントは一応あるものの、基本的にはいつもの日常生活で、今回は主に冬の生活が描かれた話となった。こういう妙な日常を描くのは著者の独壇場で、流石に彼にしか描けないだろう。ただ、本来持っていた毒気が抜けてしまってるのはちょっと寂しいかな…前にも書いたかな?
<A> <楽>
05'10'28 愛国者のゲーム 上 (著)トム・クランシー <amazon>
 家族と共にロンドン旅行中のライアンは偶然そこで皇太子家族がテロリストに襲われる現場を目撃してしまう。海兵隊時代の習性から思わず飛び出し、皇太子一家を救うことになったライアンはイギリス全土から英雄として称えられることになる。しかし、これは家族がアイルランドの過激派組織と関わりを持つ事に…
 随分前から積ん読で放りっぱなしにしていた(考えてみると10年以上も放置してた)本で、最近月一冊くらいは読み応えのあるものを読んでみよう。という気分になってるので、丁度良い機会だから読み始め。「レッドオクトーバーを追え」ではCIA情報部職員として登場していたライアンがここではCIAに入るまでを描くことになる。これまで読んできたクランシー作品(と言っても順番通り「レッドオクトーバーを追え」と「レッドストーム作戦発動」だけだが)と較べ、テクノロジーではなく、普通の冒険小説っぽく仕上げられてるのが特徴か。
05'10'26 金色のガッシュ11 (著)雷句誠 <amazon>
 ガッシュと清麿の前に現れた謎の人物“なぞなぞ博士”とキッド。大変な強さを持つコンビだったが、彼らの戦い方はまるでガッシュと清麿を成長させるかのようなものだった。なぞなぞ博士の目的とは…
 魔物の数が大分減ってきたが、ここで新展開。現在の魔物の数を減らすことなく、極端に強い魔物を出してきた。決してこれは間に合わせの話ではなく、ちゃんと予定として考えられていたのだろう。なかなか展開が面白い。
05'10'24 しにがみのバラッド。 (著)ハセガワケイスケ <amazon>
 人が死ぬ時に目にするという死神。しかし、モモという少女の姿をした死神は他の死神とは少し違っていた。死を告げるよりも死者からのメッセージを、遺された人に伝えていくのだ。そんなモモと出会った者達の物語を描く。
 ライトノベルの幅を広げようと思って買ってみた。物語も今風で文体はそれなりにこなれてるとは思うのだが、読み終わって思うのは、これは私の好みではなかったという、単純な事実だった。死と生の間を曖昧に描くのが最近の特徴なんだろうか?そこがなんだか入り込めない部分なんだな。続編も何冊か出てるみたいだけど、多分積極的に読むことはもうなかろう…先のことは分からないけど。
しにがみのバラッド。
05'10'23 からくりサーカス39
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 フェイスレスに捕らえられたしろがねを救うため、勝、平馬、リョーコ、リーゼの子供達は全員フランスのモン・サン・ミッシェルに集結する。彼らの前に現れたしろがねO達との戦いを通し、彼らが得たもの、そして失ったものとは…
 クライマックス前の展開で、アクション部分は全開。その中で一人一人が色々な出会いを果たしていく。そのバランスが絶妙といった所。特に中盤までの敵であったオートマタの「最古の四人」が妙な所で絡んでくる所が大変興味深い。個人的には大変お気に入りのキャラ、リーゼがいい顔してる。このキャラの無表情さがなんともツボだ。
<A> <楽>
05'10'22 斜陽 (著)太宰治 <amazon>
 大戦が終わり、平民に戻されてしまった元華族の“わたし”。これまで何事も母を手本として貧しい生活にも耐えてきたが、その母が病気となり、容態も芳しくなくなってきた。更にこの貧乏な生活の中、弟がぐれ出していく…時代の中で生きていく女性を描く作品。
 これは一種、太宰文学の最高作と言えるかも知れない。世の中には“このようにしか生きていけない”人間というのは確かに存在し、著者は常にそのテーマで小説を書いてきた訳だが、それを複数の人間を主軸とするとは、見事な描写の仕方だった。そう言えば大学の時以来ほんと久々に太宰なんて読んだよ。
斜陽
05'10'18 最後の努力 ローマ人の物語13
塩野七生 (検索) <amazon> <楽天>
 3世紀末に皇帝となったディオクレティアヌスは帝国を四分割。それぞれに皇帝を配して異民族の襲来に備えた。しかし強権とカリスマ性を持ったディオクレティアヌスの治世が終わり、代替わりすると、四分割された帝国それぞれが互いを攻撃する内乱へと発展していった。その中で再び帝国を統一したコンスタンティヌス帝の誕生までを描く。

 ヨーロッパ中世を学ぶならば、まずコンスタンティヌスを学ぶ必要がある。いわば、この皇帝の誕生からヨーロッパは中世へと突入していく訳だ。当然元のローマ帝国とは全く似ても似つかぬ形として。
 本作は古いローマ帝国の崩壊と、新しいローマ帝国の始まりまでを描いた作品と見て良し。
<A> <楽>
05'10'16 金色のガッシュ10 (著)雷句誠 <amazon>
 うっかりほんの持ち主フォルゴレとはぐれてしまい、サーカス団でクラウンとして働いていた魔物のキャンチョメは、ある村で一人の少女ルシカと仲良くなる。彼女の兄ちゃんとなると宣言したのだが、その夜、彼女の家で飼っていた羊が魔物によって奪われてしまうと言う事件が起きる。一方、日本のガッシュと清麿は、これまでにない強力な魔物バリーと対戦。圧倒的なパワーを見せるバリーに押されっぱなしの二人だったが…今回はキャンチョメと戦って本を燃やされたバーゴと、圧倒的優位にありながらガッシュを見逃したバリーとの戦いが描かれる。
 相変わらず燃える展開を描くのが上手いな。これまでに戦った魔物と較べても、レベルが違うキャラクタを出し、それと戦わせることによって、これからの自分自身のあり方を真剣に考えさせたりと、一筋縄ではいかない。なんだかんだ言っても楽しい作品である。
05'10'14 空の境界 下 (著)奈須きのこ <amazon>
 日本では数少ない魔術師荒耶により、両儀式は捕らえられ、更に黒桐幹也の師匠で、やはり実力ある魔術師の蒼崎燈子も殺されてしまった。自身には全く魔術の素質もない黒桐は、絶望的な戦いに赴く…
 それが生きていても、死んでいても、荒耶という魔術師に翻弄され続けた主人公達を描く作品。力が入っている所は大変力が入っているが、そうでない所の粗などもあり、純粋に一冊の作品として考えるならば、さほど完成度が高いとは言い難いが、内包するテーマとか、設定部分に関しては、ほとほと感心するばかり。作家性よりも、設定の取り方で読む作品なんだろう。ライトノベルには違いないが、読むのには結構苦労する。
 私自身相当な設定マニアの気があるので、どうも途中で完全にシンクロしてしまったようで、ほぼ一気読み。久々の感触を味合わせていただいた。
空の境界 下
05'10'13 空の境界 上 (著)奈須きのこ <amazon>
 特殊な血筋に生まれ、二つの人格を持つ少女両儀式(と識)は、16歳で事故に遭い、その後2年間を意識不明のまま病院のベッドで過ごした。そして目覚めた式は、自分の中にいた識が失われてしまったこと、そしてあらゆるものの“死を観る”能力を得ていることを知った。高校時代に何くれなく彼女の面倒を見てきた黒桐幹也が働いている職場で、その能力を買われて様々な事件の解決に当たることになるのだが…
 友人に貸していただいた作品で、これまたその友人から前に貸していただいた某ノベルゲームで人気を得た著者が同人誌に出してきた小説をまとめ、商業ベースで流通させた作品。ローマ字表記では同じ「Shiki」ではあるが、物語そのものは別物。
 本作は一応ライトノベルのジャンルにはいるのだろうけど、とにかく読み応えは充分。久々に本気になって読み込んでしまった。魔術から哲学まで、一体著者の頭の中にはどんなもんが詰まってるんだろう?と思わせる作品だった。
空の境界 上
05'10'10 彼氏彼女の事情21
津田雅美 (検索) <amazon> <楽天>
 有馬の子供が出来た雪野は高校卒業後、進学をせずに母となり、その後医者を目指して頑張ることに。そして仲間達それぞれが自分の夢を追って卒業を迎える。それから16年が経過し…

 長く続いた本作もこれにて完了。そもそも本作はアニメ化されたのを機に、知り合いにそれを観てると言ったら、いきなり次の日に漫画を持ってきて、貸してくれたことから始まった。結局その後、自分で買い直して今までずるずると…少女漫画は嫌いとか言っていながら、しっかり楽しんで読んでる辺り、自分自身も結構いい加減な性格をしてるようだ。特に有馬のお父さんの話になってから話は流れるだけとなってしまっていたので、買ってはいたが読み返す気があまりしない話が続いていたが、本作は凄く面白かった。16年後の話がまるで1巻のノリを彷彿とさせるかのようで、読み返しても飽きてこない。オープニングのシーンから意外な展開を見せたかと思ったら、あれよあれよで大団円。いやあ面白かった。
 意外なのは最後の最後に締めたのは、これまであんまり強調されることの無かった浅葉だったという所か。最後の締めが実に上手い作品だった。
 それと、本作で最後に思ったのは、私自身が今の仕事に就けて良かった。としみじみ思えたことか。そう言う意味でなんかとても嬉しい作品だった。
<A> <楽>
05'10'08 ジパング20 (著)かわぐちかいじ <amazon>
 石原と草加の指導で南京で密かに進められてきた原爆を阻止すべく、倉田博士を拉致した元“みらい”艦長の梅津。だが、実行中に事が発覚してしまい、ウランおよび倉田と共に閉じこめられてしまう。一方、“みらい”を奪還すべく伊152号で南洋へと向かう角松だが、事前にそれを察知した草加が手を回し、対潜哨戒が敷かれていた…
 「南京で梅が散る」。この話は全てがそこに集約される。これまでたとえ艦に乗っていなくても、精神的支柱であった梅津艦長が亡くなった。一見無駄死になのだが、これも後々できちんと意味を持ってくるのだろう。それ以外は前巻と基本的に状況は変わっていないが、“みらい”内部にも不協和音が鳴りだしてきた。これがおそらく後に関わってくる。そう言う意味ではこの巻はアクションの布石を蒔いた。と言うことになるのかな。
ジパング (20)
05'10'05 F.S.S.DESIGNS 1 EASTER;A.K.D.
永野護(検索) <amazon> <楽天>
 既に20年近くに及ぶ著者のライフ・ワークとも言える『ファイブスター物語』のデザイン・ワークの第1巻。
 これを読み始めたのは1980年代だったはずだから、良く長く続くものだ。しかもこう言うのが出ると、ついつい買ってしまう私も私だ。事実、アニメ関係から脚を洗っていた時期でさえ本作だけは何故か捨てる気になれずにずーっと読み続けていた訳だから。それにしてもこれ読んでると、初期の頃と較べると、設定がころころ変わっているのが分かる。その辺開き直っているからこそ、今まで続いてきたんだろうな。まあ、最後までつきあうつもりではいる。
 ところで、最後に、このデザイン・ワークは5巻まで続き、その後で連載を再開するとか恐ろしいことを書いてあった。まともに考えたら連載再開は再来年くらい?
F.S.S.DESIGNS 1
05'10'02 金色のガッシュ9 (著)雷句誠 <amazon>
 かつて清麿達と戦ったアポロが清麿に会いに来た。懐かしむ清麿に、相棒のロップスが消えたことを告げるアポロ。それはオランダでガッシュによく似たゼオンという魔物に倒されたという…他にバランシャという魔物の罠に落ち、そこでの戦いを描く。
 前に一度だけ登場はしたが、謎であったガッシュによく似た魔物がゼオンという名前であったことが分かった話。それと謎の石版なども出てきたりして、これまで単なる戦いが主体だった魔物同士の戦いが、少しずつ複雑さを増してきた。この話もコメディや戦いにおける危機なども描かれ、なかなかバランスの良い話に仕上がっていた。
05'10'01 マザー・グースの唄 (著)平野敬一 <amazon>
 イギリス文学を語る上で見落とされがちな、しかしイギリス人の根底に流れる基本素養としてあるのがマザー・グースの唄。これを唄としてよりも、日本にあってその意味を考察する作品。
 思い出したように時折眺める谷川俊太郎訳の「マザー・グース」。その唄に込められた意味を問う作品で、唄の一つ一つに色々な意味があるものだ。ただ、これは本当にとば口と言った感じで、まだまだこれは奥が深そう。単に口ずさむだけにせよ、意味が分かるとなかなか楽しい。

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