読書日誌
2014’7〜9月

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14'09'25 武士猿 ブサーザールー (著)今野敏 <amazon>
 古い沖縄の王族に連なる本部朝基は沖縄の格闘技である手(ティー)の学びを受け、自ら本当の強さを求めて師に教えを請い、数々の立ち回りを演じた。その中で本物の強さとは何かを問い続けていく。
 空手のルーツはいくつかあると言われているが、その中の沖縄源流の唐手と呼ばれる部分にスポットを当てて描いた作品になっている。夢枕獏の「東天の獅子」と同時代の違った流れでの空手の話はとても楽しい。
14'09'22 ハチミツとクローバー3 (著)羽海野チカ <amazon>
 森田がアメリカに行ってから半年が過ぎた。卒業した真山は設計事務所で忙しく働き、大学4年となった竹本はなかなか縮まらないはぐみとの関係に悩んでいた。
 いると物語を余計な方向に引っ張ってしまう森田がいなくなったこともあって、この巻では明らかに主人公が真山へと移っている。どうしても理花に惹かれながら、自分を慕う山田を無碍に出来ず、つい世話を焼いてしまう。そしてそんな真山の心を知ってる山田が苦悩する…これだけでも十分一本の長編が描けるくらい。
 ただ、この作品の本当の魅力はそこにはないんだよなあ。それを無視した方が物語がまとまるという矛盾。
14'09'19 星影の浮き橋 アクセル・ワールド5
川原礫(検索) <amazon> <楽天>
 新設された軌道エレベーター、ヘルメス・コードにひょっとしたら新しいブレインバーストのステージが生まれるのではないかと、ふと浮かんだ疑問が動機で開設時の見学に出かけたハルユキは、予想を超えた大がかりなステージが生まれているのを知った。軌道エレベーターそのものをコースにしたレースに参加することになったネガ・ネビュラスの面々だったが…
 レース展開という外伝的な作品かと思わせておいて、前から引っ張っていたハルユキに取り憑いたクロム・ディザスターの話へともっていき、更に前回登場した加速研究会とのぶつかり合いへと展開。見所は多い。
14'09'14 魔法科高校の劣等生1 入学編上 (著)佐島勤 <amazon>
 超能力を“魔法”として科学で分析されるようになった時代。魔法の素質を持つ高校生を集め、その使い方を教える超エリート高校、国立魔法大学付属第一高校通称“魔法科高校”に一組の兄妹が入学した。才色兼備で魔法の才能も申し分ない妹の司波深雪と、学業成績はぬきんでているものの、魔法の才能に乏しい兄の司波達也。ある意味悪目立ちする二人の周囲には次々とトラブルが降りかかる。
 ライトノベルらしく超能力が主題となった作品だが、主人公がその能力に乏しいといういうのが他の作品とは異なった部分。本来最も力が必要とされる部分を敢えて封じることで、主人公にいかに活躍させるかというところを主眼としていくのだろう。
 その設定自体はこれまでのラノベの流れのアンチテーゼとなっていて結構面白いと思うのだが、とにかくキャラの描写が悪い。特に会話部分が読んでいてきつい。テンプレキャラならテンプレでいいから、もうちょっと読みやすくできそうなもんだ。
14'09'10 西原理恵子の人生漫画対決7 (著)西原理恵子 <amazon>
 相変わらず漫画界に喧嘩を売り続ける好評シリーズ。今回は「名探偵コナン」青山剛昌。「のだめカンタービレ」二ノ宮知子。「青春ヒヒヒ」清野とおる。そして山本直樹&田中圭一&えびはら武司。その他に夫となった高須克弥との漫画対決。
 基本いつもと変わらないが、呼んでくる先生がどんな基準なのか全然分からず。最後の方で山本直樹と田中圭一という下品な漫画“も”描く漫画家を呼んでくるあたり、分かってらっしゃる!といった感じ。特に最近絶好調の田中圭一との対話はなかなか面白い。あと、金が有り余った旦那と結婚してしまったため、金の使い方が分からなくなってしまった著者の、ある意味これまでの生き方の否定が妙にしみじみさせる。
14'09'07 鉄人Q 少年探偵21 (著)江戸川乱歩 <amazon>
 発明家を名乗る老人が講演で遊ぶ子ども達を自宅に連れ帰り、そこで人間そっくりのロボットを見せつける。ところが子ども達の見ている前でそのロボットは屋敷から脱走してしまうのだった。そして翌日から都内に起こる不思議な事件…
 この辺になると推理小説ではもうなくなってしまい、だましのテクニックがあまりに稚拙になってしまった。対象年齢をかなり下げた感じがある。
14'09'04 黄昏の名探偵
栗本薫 (検索) <amazon> <楽天>
 著者が自分のミュージカルのために書き下ろした歌をベースに描き出す短編集。「紅椿」「あの夏Morning Light」「黄昏の名探偵 望郷編」「タンゴ・トリステサ」「薔薇療園」の5編を収録する。

 「グインサーガ」の休載以来の著者作品となった。ノリだけで描いてしまえる著者の力量は凄いと思うのだが、内容が耽美過ぎてどうにもげんなりしてしまう。やっぱ耽美系はどうにも精神的に受け付けないようだ。そのくせ、著者の作品やたら読んでるという矛盾。
<A> <楽>
14'09'02 銀の匙9 (著)荒川弘 <amazon>
 大学に行きたいというアキのために勉強を見ることになった八軒。その虎の巻のためには実家に戻らねばならなくなった。そんな中にあって高校生活は続いており、再び豚の出荷時期が近づいていた。
 アニメ版の後の話になった話で(正確には1話分だけ重なってる)、家族との和解がなされた。これまでのコンプレックスを乗り越えるってのが成長の証か。結構これが私のツボでもある。繰り返し読んでもやっぱり良いなあ。
14'08'31 蒼空への飛翔 アクセル・ワールド4
川原礫(検索) <amazon> <楽天>
 能美のダスク・テイカーの特殊能力により翼を奪われ、更に覗き犯のレッテルを貼られてしまったハルユキ。更に幼なじみのチユリは何故か能美に協力することを宣言してしまう。八方塞がりの状況に、ハルユキに与えられた一条の光。
 絶望の中の光について描かれた話。非常にベタな展開ではあるが、それだけに燃える。落とす部分と上げる部分の対比が良いため、ドラマ性はきっちり上がっているのがよろしい。
14'08'27 冥談
京極夏彦 (検索) <amazon> <楽天>
 著者による短編集。「庭のある家」「冬」「鳳の橋」「遠野物語より」「柿」「空き地のおんな」「予感」「先輩の話」を収録する。

 著者の作品はこれまで(超)長編しか読んだことがなかったのだが、短編は短編で味わい深い。最後の数行で「あっ」と思わされる掌編の手本みたいな話から、全体を通してじわじわと怖さを与えるものまで描き方は様々だが、かなりの水準にまとめられており、味わい深い。
<A> <楽>
14'08'24 修羅の門 第弐門9 (著)川原正敏 <amazon>
 兵とTSFによるドリーム・トーナメントが開始された。次々にTSFを破っていく兵勢だが…
 飛田の復帰戦というのがメインの話となった。ようやく昔の面白い展開へとなってきた気はするんだが、同時にあの当時の熱さはもう帰ってこないことを感じて、少々寂しい感じもするな。著者の馴れで絵は練れてるけど。
14'08'20 塔上の奇術師 少年探偵20
江戸川乱歩(検索) <amazon> <楽天>
 明智探偵の少女助手花崎マユミは、仲良くなった二人の中学生と散歩中、時計台に不思議な人物を見る。これが二人の少女が味わうことになる恐ろしい事件の始まりだった…
 本作は少女雑誌に連載したものと言う事で、少女が事件に巻き込まれるというパターンの話になっている。内容としては小林幼年と四十面相の知恵比べに終始。明智探偵は最後の最後に解決のためだけに登場という感じ。四十面相もいつもの泥棒というのとは違い、守りに入っているのも違いと言えば違いか。『ガス燈』みたいな話だった。
14'08'15 バンビ 森のある一生の物語 (著)フェーリクス・ザルテン <amazon>
 森で生まれた一頭の鹿の男の子。バンビと名付けられた母の優しさや森の仲間に囲まれてすくすく成長していく。そんなバンビにとって大問題は、時折森へと姿を現し、その度に仲間たちの命を奪う”あいつ”と、折に触れてバンビの前に現れ、謎めいた言葉をかける”古老”と呼ばれる大きな鹿だった。自然の掟で命の危機にさらされつつ、バンビが見つけ出したものとは…
 アニメの方が念頭にあったため、あんまりにも意外な展開に驚かされた。まるでこれは「かもめのジョナサン」だ。本作が書かれたのは1923年。まだビート世代にも達してない時代にこんなものが書かれていたのか。驚くな。
14'08'12 ヒーローカンパニー2
島本和彦 (検索) <amazon> <楽天>
 ヒーローカンパニーに入社したアマノギンガを初めとする5人の新人が配置されたのは戦隊部門の「デザートV」だった。だがあまりの激しい戦闘に欠員が出てしまったお陰で新人が無理矢理変身させられる羽目に…

 ヒーローは儲かるのか?というヒーロー論として実に面白い視点から描かれる作品だが、2巻の本作では、「仮に企業の中で複数ヒーローからなる戦隊を置く場合、どのように採算を取るのか?」というかなり面白い部分での突っ込んだ考察が見られる。
 設備面や給与面から、複数ヒーローを存続させるためには、よほどの大金の動く集団戦闘に、新人を当たらせるしかないという、かなり世知辛い結論が出ている訳だが、確かにこれ、説得力はある。
14'08'09 小説 仮面ライダーブレイド (著)宮下隼一 <amazon>
 剣崎がジョーカー化したことで、地球存亡の危機は回避された。それから30年。温暖化により海面上昇が激しくなって人間の住める土地がどんどん狭くなっていった。その中、ジョーカーとなって不死身となったケンザキ、ハジメの二人はそれぞれに人々との出会いと別れを繰り返していた。突然現れるようになったアンデッドに、変身して戦いを強いられる二人だが…
 本編の大分後の話。死ぬ事が出来なくなった剣崎と始がどのように生きてきたか。支配権を巡るファイナルウォーズが起こらない状態の地上がどのような歴史を刻んだかを描き、それなりにしっかりした話とはなっているのだが、話が大きくなりすぎて消化不良を起こしていた。これを描く場合、この程度の紙面ではとても足りない。もっとシンプルな物語にしておけばよかったものを台無しにしてしまった感がある。
14'08'06 とらドラ!1 (著)竹宮ゆゆこ <amazon>
 目つきが悪いと言うだけで言われ無き怖れを抱かれ続けてきた高須竜児は、ある日、凶暴なクラスメイトで「手乗りタイガー」の異名を持つ逢坂大河が同じクラスメイトの北村祐作に懸想していることを知ってしまう。勢いで竜児は、自分も大河の親友が好きだという秘密を明かし、お互いを応援することにするのだが…
 前にアニメの方を観ており、かなり面白かったため、原作の方にも手を出してみた。SFとは違うが、これも又ライトノベルの一つの形か。読みやすいし、それなりに心にも来る。結構面白かった。
14'08'02 ハチミツとクローバー3 (著)羽海野チカ <amazon>
 出会いから2年が経過。はぐみは創作活動がスランプ気味だった。そんなはぐみを慰めようとする森田だが、いつもの癖でついつい余計なちょっかいをかけてしまう。そんな二人を見ながら、切ない思いに駆られる竹本…
 この巻では、初めて森田が自分の思いに気付くという、まあ重要な話ではあるのだが、そこらへんを大学生らしいモラトリアムでくるみ、変わらない日常と変わっていく日常の対比が良い感じ。本作が好きな人が多いってのは、この微妙な空気感が好きなんじゃないかな?
14'08'01 鋼鉄都市
アイザック・アシモフ(検索) <amazon> <楽天>
 遠い未来。宇宙に進出した人類が地球へと戻ってきた。だが、当の地球人達は都市をドームで囲み、なるだけ外との接触を持たぬように生活していた。そんな中、ニューヨーク市警の刑事ベイリは宇宙人殺害の調査を命じられる。しかも宇宙人側からやってきたパートナー、R・ダニールはロボットだった。宇宙人とロボットに対して反感を持つ者が多いこの街で、初の宇宙人殺人を調査する二人の行方は…

 古典SFの名作の一つ。確かに、これこそSFというジャンルだろう。著者らしくきっちり三原則を使ったミステリーとしてもきちんと作られていて、SF推理ものとして充分楽しい。ただ、SFが古い時代の小説を読んでる気にさせられる点が難点か。
14'07'27 サイロンの挽歌 グイン・サーガ132 (著)宵野ゆめ <amazon>
 黒死病の流行と七人の魔道師事件によってケイロニア首都のサイロンは疲弊していた。そんなサイロンのために尽力するケイロニア王グインだったが、サイロンでは、未だ収束の気配が見えない黒死病の原因は幽閉中の王妃シルヴィアの呪いによるものという奇妙な噂が立ち始めていた。それと前後してサイロンの街中には巨大な鼠が出現するという噂が…
 グイン・サーガ・プロジェクトの一環で、もう一つの正伝継承となった著者が描くグインの物語。気負いがあるのか文体は如何せん固めではあるが、正統なるヒロイック・ファンタジーとして描くのは正しいやり方だろう。読み応えはしっかりしている。
14'07'25 月光条例28
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 オオイミ王の元へ向かう月光と鉢かづきは、次々に現れる刺客を踏み越えていく。一方、カグヤ=エンゲキブを守る天堂とトショイインの助勢に現れたイデヤと一寸法師。
 いよいよ大詰めを迎えた物語。今巻はイデヤの独壇場みたいなもので、これまで散々月光を責めていたイデヤの本心というのが明かされていく。この描写がパターンとは言いつつ、なかなかに泣ける。
 次はいよいよ最終巻。
<A> <楽>
14'07'22 新・餓狼伝 巻ノ二 拳神皇帝編
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 北辰館対東洋プロレスの試合が行われ、丹波は日本で最も有名なプロレスラー、カイザー武藤と対戦する。膂力のあるカイザーの手に乗ってしまった丹波はプロレスを強いられてしまう。圧倒的不利の中、丹波が取った手とは…
 気がつくと、随分読んでなかったが、丹波の試合はやっぱり良いな。読み始めると、するすると登場人物達が頭の中に入ってくる。最初から読み直したくもなるな。この話では丹波よりも堤の狂気の方が中心になっている感があるが、その描写が本当に熱い。
<A> <楽>
14'07'20 夜光人間 少年探偵19
江戸川乱歩(検索) <amazon> <楽天>
 夜の東京に突如光り輝く姿で現れた怪人。彼は高価な古い仏像を次々に盗み出していった。明智小五郎探偵が不在の中、少年探偵団とチンピラ別働隊を率いる小林芳雄少年が夜光人間に正面から戦いを挑む。
 今回は小林少年が中心となって怪人を追いつめていくという話で、軽快に物語が展開していく。都合3回も見せ場があって、その度毎に軍配がどちらに上がるかがなかなか楽しい。
14'07'14 ハチミツとクローバー2 (著)羽海野チカ <amazon>
 母が倒れたと聞かされた竹本は実家へと向かう。そこには母と、その再婚相手がおり、彼が苦手な竹本は、なかなか実家に帰らずにいたのだ。一方、東京では真山が、なかなか煮え切らない理花に、それでもついていくのだが…
 前巻ラストで真山が実らぬ恋をしていることが暗示されていたが、それが思った以上に重い。だとはぐみに対する恋模様は真山は脱落と言う事になる訳だ。一方はぐむを巡る恋模様はなんだかほんわかしつつ進展があるようでないような、そんなホワホワした感じ。この重さと軽さのギャップがこの作品の魅力なのか。
14'07'12 夕闇の略奪者 アクセル・ワールド3
川原礫(検索) <amazon> <楽天>
 黒雪姫先輩が沖縄に修学旅行に行き、ハルユキと拓武は、なんとなくまったりと杉並区での攻防戦を続けていた。そんな中、二人は幼なじみのチユリをバーストリンカーにしたところ、レアアビリティである回復の力を使えるライム・ベルが誕生する。だがそんなハルユキを狙う存在があった…
 アニメでは後半に当たる能見との対決の始まりとなる。テンションの上下が激しい話で、青春ものとバトルものを融合した感じ。前後編の前編で、かなり後味は悪い。
14'07'09 赤い瞳は知っている 心霊探偵八雲1 (著)神永学 <amazon>
 「開かずの扉」友達と共に肝試しに行って、強い精神的ダメージを受けた友人の陽子を心配した晴香は、なにやら不思議な力を持つという同じ大学の斎藤八雲という男の元を訪れた。傲岸不遜な態度の八雲に激しい反発を覚える陽子だが…
 「トンネルの闇」合コンで知り合った男に無理矢理ドライブに連れて行かれた晴香は、ドライブ中のトンネルでとんでもないものを観てしまう。
 「死者からの伝言」晴香は或る夜、親友の詩織が話しかけてくる声を聴いた。胸騒ぎを覚えた晴香はすぐに詩織に連絡を入れるのだが、その時既に詩織は姿を消していた。
 使者の声が聞こえるという特殊能力を持つ斎藤八雲と、何故か彼に絡む事件に巻き込まれてしまう小沢晴香の二人による心霊事件を描いた
14'07'04 はじめの一歩107
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 圧倒的技術の差がありながら、徐々に自分のボクシングに引き込み始めた一歩。だが世界ランカーのゴンザレスは、完全に試合を掌握していた。本性を出すゴンザレスに、なすすべもなく圧倒されるようになってしまうのだが…

 なんというか、いつもの展開なのだが、とても間延びしたような話だった。一巻丸々使っていながら、結局何をしているのか全く伝わってこない。最後にデンプシーロールが出たことくらいかな?
<A> <楽>