読書日誌
2017’4~6月

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17'06'30 コクリコ坂から
高橋千鶴 (検索) <amazon> <楽天>
 渡米した母に代わって下宿屋を切り盛りする女子高生の小松崎海。そんな彼女が通っている高校で、新聞部の風間俊と生徒会長の水沼史郎が度々様々な勝負をかけ、それを新聞記事にしているのを知るのだが、制服自由化を巡る論争はやがて学園中を巻き込むこととなっていく。当初冷ややかに事の推移を見守っていた海だったが…
 1970年代後半を舞台にしたストレートな青春ものの作品。「自由とは一体何?」という主題の元、恋愛や様々な人生を彩るトラブル、仲間たちのお節介など、かなり現実に即したもので、少女漫画らしい繊細なタッチで描かれている。
 この作品、宮崎吾朗官途によってコクリコ坂から(2011)として映画化されているが、忠実な映画化ではなく、年代を15年ほどさかのぼらせたものとなっている。この違いによって雰囲気が全く違ってくるのが面白い。メインヒーローとなる風間の性格もまるで違うが、見比べるのが面白い。
<A> <楽>
17'06'29 ジブリの仲間たち
鈴木敏夫(検索) <amazon> <楽天>
 世界的なアニメスタジオとなったスタジオジブリの元社長でアリ、プロデューサーの著者が語る、これまでのスタジオジブリの軌跡と、いかにして著者がその宣伝をしてきたのかを語り尽くす。
 映画の話というと、通常クリエイターが注目され、製作側は二の次とされがちだが、プロデューサーである著者が語る裏方のお話は、「面白い映画をどう宣伝するか」でちゃんとドラマティックなものになってるのが面白い。既に様々なメディアで聞いていたことも多いけど、語り口が巧いのが著者の最大特徴で、それをよく活かしたものになってる。
 ただ、度々登場する博報堂の藤巻直哉に対する恨み節がやたら多いのが気になるが、どんだけ迷惑被ったのやら。
<A> <楽>
17'06'24 夏目友人帳9
緑川ゆき (検索) <amazon> <楽天>
 「小さきもの」夏目が出会った小さな毛玉のような妖怪。それは集団で旅する小妖怪だった。他の巨大妖怪の落とし物を引っかけて逃げた為、夏目も又巻き込まれることになる。
 「東方の森」集団で友人帳を狙う妖怪が現れ、夏目は東の方にある森に連れ込まれてしまう。実はその森は、的場一門の離れの屋敷があり…

 中編2作品と特別編で構成されるいつものような作品となる。8巻がやや全般的にほんわかした話だったのに対し、今回はかなり深刻な話になってる。久々登場となる妖使いの的場一門は、相変わらず得体の知れない迫力あり。これから何かと関わりを持っていくことになるだろう。
<A> <楽>
17'06'23 帰ってきたヒトラー 下 
ティムール・ヴェルメシュ (検索) <amazon> <楽天>
 テレビ出演を果たした“わたし”ヒトラーの姿はネット動画によって拡散され、“ユーチューブ・ヒトラー”として有名になってしまった。形はどうあれ大衆の心を掴むことに成功した“わたし”ヒトラーは、これから新しい一歩として大衆にあるべきドイツの姿を見せようと考えるのだが…
 上巻にあったコメディ色は薄れ、2011年現在のドイツの現実のリアリティを出すことに集中した感のある展開となった。映画版もラストは微妙だったが、実は原作はそれ以上に微妙で、ちょっと薄ら寒さを感じさせてしまう。そのなんだか薄ら寒いという気持ちを演出することこそ本書の目的なんだろう。その意味ではこの中途半端な終わり方も、「これからの展開を考えてくれ」と言ってるかのようで、小説としてはこれで良いのだろう。
<A> <楽>
17'06'21 帰ってきたヒトラー 上 
ティムール・ヴェルメシュ (検索) <amazon> <楽天>
 1945年4月30日。ベルリンの防空壕内で自殺したはずのヒトラーが、何故か2011年のベルリンで目覚めた。全く事情が分からないまま彷徨うヒトラーがたどり着いたのはキオスク。そこで親切な店主から店番を頼まれ、置いてあった新聞を片っ端から読みまくる。そしてこの世界で復活した理由を探し、旅を始めるが…

 映画版が大変面白かったので原作本を買ってみた。基本的に設定は同じではあるものの、内容はまるで異なる。ここに登場するヒトラーは自己分析と周囲の状況を見定める天才で、その一人称で物語は展開する。その分よりソリッドに2011年現在のドイツの状況というものが見えてきて面白い。映画とは違った意味での魅力に溢れた作品と言えよう。
<A> <楽>
17'06'15 ズッコケ中年三人組 age43
那須正幹(検索) <amazon> <楽天>
 裁判員裁判制度が導入され、ミドリ市でも半年ほど前に起こった殺人事件にそれが適用されることになった。その裁判官に選ばれたのは、なんとハチベエ。初めてのことに戸惑うハチベエは物知りのハカセに助言を求めるのだが…
 シリーズももう四作目。今巻は時事ネタに近い裁判員制度を取り上げている。普通の市民が裁判官になることに対する市民レベルでの問題点を描く手法は、なかなか地に足が付いた感じで好感が持てる。それにそれなりにちゃんとひねりも利いた推理作品にもなってるので、読み応えは結構あり。
 しかしなんだかんだ言って、結局このシリーズ、ハカセがほとんど主役なんだよな。ハチベエが動けなくなってしまった為、主役がいつの間にか交代っぽくなってたが、まさかハチベエ中心の話で結局ハカセが全部持って行ってしまうとは思わなかった。
<A> <楽>
17'06'13 はじめの一歩117
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 パンチドランカーの疑いをもたれ一月の間ボクシングから離れることを余儀なくされた一歩だが、その一月が過ぎ、いよいよ新型デンプシーを試すこととなった。想像以上の仕上がり方を見せるのだが…

 3巻に渡って、パンチドランカーか?と引っ張ってきたが、結果として全く問題なし…いいのかこんな展開で?
 それより問題は復帰したとしてそのモチベーションをどこに持って行く?今の段階では惰性のように試合が組まれ、それを淡々とこなしていくだけになっていくのは明白。パンチドランカーと新しい展開とが結びついていくんじゃないかと思っていたもんだが、今のところ全くその方向には行ってない感じ。
<A> <楽>
17'06'10 甘城ブリリアントパーク1
賀東招二(検索) <amazon> <楽天>
 かつて天才子役と言われたが、今は引退して普通の高校生活を送っている可児江西也の前に、突然現れた転校生の千斗いすずは、どこからとりだしたかマスケット銃を突きつけ、デートを強要する。脅されて渋々高校近くにあるテーマパーク、甘城ブリリアントパークへと出向くのだが、なんとそこは本物の妖精の国だった。しかも廃園寸前のこのテーマパークの支配人になって欲しいというとんでもない申し出を受けざるを得なくなってしまう。
 ライトノベルの中では比較的ハード系に属する著者が描いたのはなんと遊園地という変化球。意外性のあるテーマだが、とりあえず第一巻はかなり面白く読ませていただいた。今巻で閉園の危機はとりあえず乗り切るという所までだが、根本的な解決には至らず、これから本格的な話が始まっていくようになる。
<A> <楽>
17'06'07 きまぐれ星からの伝言
星新一(検索) <amazon> <楽天>
 10年前に亡くなった著者を愛する人々による、著者にまつわる様々なエッセイや著作、翻訳などを集めて収録した作品。
 貴重なものも多数ある興味深い作品集だった。中でも80年代の星雲賞選出時の対談で選者である星、小松、筒井の三人の話し合いはすごく参考になる。星新一は新井素子押しとは昔から聞いていたけど、ここでそれを読むことが出来た。
<A> <楽>
17'06'05 銀の三角
萩尾望都(検索) <amazon> <楽天>
 過去銀河にあったという伝説の惑星「銀の三角」。既に滅んだはずのこの星を歌にして歌う吟遊詩人エロキュス。その歌を偶然耳にしたことで、心騒いだ中央省庁の予言者マーリーは、彼女を探しに出かける。惑星トメイにて、エロキュスから銀の三角の記憶を持つラグトーンという少年の幻を聞かされることになるのだが…
 銀河系全体を揺るがす事件を描いた著者の大作SF。時間とか空間とかが行ったり来たりして、主人公もクローンを含め複数存在する為、非常に難解な内容になっている。実は30年ほど前に一度読んで、全然理解出来なかった作品なのだが、今読んでもやっぱり「すっきり分かった」というレベルにまでは至らない。でも大分色々思えることはある。
 壮大な宇宙叙事詩を紐解いてみると、歌や人の想いなどの、非常に曖昧なものが歴史を形作るということを描いており、大宇宙のスケールと、個人的な感情が直結した、いわばセカイ系と呼ばれる作品の本当に走りだったのかもしれないし、これが結局「マクロス」などのアニメに与えた影響は莫大で、日本におけるSFを語る上ではやっぱり欠かすことが出来ない作品なのではないかと。
<A> <楽>
17'06'03 黒の双剣士 アクセル・ワールド18
川原礫 (検索) <amazon> <楽天>
 加速研究会の本拠地港区へ続く道を確保する為、緑の王グリーン・グランデとの交渉に臨むネガ・ネビュラスの面々。拳を交えての正々堂々の語り合いの末、交渉は成功したが、戦力的に決め手に欠けることを痛感するハルユキだが、心当たりがあった。だがそのためには再びあの難攻不落の帝城に入らねばならなかった。
 前巻ラストで突然現れた旧ネガ・ネビュラス幹部のグラファイト・エッジをキーパーソンとして描かれる話で、この人物が現時点で味方に付いたことで物語はスムーズに展開するようになった。ただ、あんまりにももの知りすぎる為、得体の知れないキャラではある。

 一方、これまでずっと放っておかれたトリリード・テトラオキサイドにもやっと言及されたが、今回はほぼ停滞状態で、話があんまり進んでないのがもどかしい。
<A> <楽>
17'05'29 トクサツガガガ4
丹羽庭 (検索) <amazon> <楽天>
 同じ会社に転勤してきた北代さんから何故か目の仇にされてしまう隠れ特オタOLの仲村。その事を知り合いの吉田さんに話してみたところ、なにか感じるものを持っていたようで、そのアドバイスに従ってみることに。他にもお兄さん夫婦とその娘さんとの交流(ダシに使うとも言う)を通してヒーローショーを観に行ったり、そのお兄さんが語る仲村さんの過去なを収録。

 4巻に来て、最高の作品が投入された感じ。これまでの「特撮オタクあるある」だけでなく、そこから踏み込んで仲間を作ったり、更にディープな楽しみ方をしたり、特オタに理解のある一般人とのつきあい方まで様々。最後に収録されたカラオケ熱唱はすげえ羨ましかったり。実に素晴らしい。
<A> <楽>
17'05'26 何様
朝井リョウ (検索) <amazon> <楽天>
 「何者」に登場する人物たちのサイドストーリーを描く短編集。「水曜日の西階段はきれい」「それでは二人組を作ってください」「逆算」「きみだけの絶対」「むしゃくしゃしてやったと言ってみたかった」「何様」を収録する。

 「何者」に登場していた現代に生きる若者たちを、ちょっとだけ皮肉を込めて描くと言う著者のスタイルを押し通した物語。ただ、しばらく読んでいる内に「ああこれ皮肉なのか」と思わせる為にはそれなりの長さが必要な為、短編だと著者の良さはかなりスポイルされてしまうようで、全体的に今ひとつと言った感じ。どんでん返し感もなく、平板なのが少々残念。
<A> <楽>
17'05'25 孤独のグルメ2
久住昌之(検索) <amazon> <楽天>
谷口ジロー(検索) <amazon> <楽天>
 ぶらりと初めての店に入り、孤独に一人飯を楽しむ男井之頭五郎。旅先や仕事先での様々な店での食事風景を描く。
 1巻を購入したのは一体どれくらい前だろう?と言う位に久々の第2巻。既にテレビシリーズは大人気で、私もそれは好きなのだが、オリジナルとなる漫画はまた違った味わいがある。呼んでてなんだか心地が良いが、強いて言えば、1巻はもう少し無頼感が強かったような気がするが、今巻は単純な一人飯になってる感じがある。
<A> <楽>
17'05'22 響け!ユーフォニアム2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏
武田綾乃(検索) <amazon> <楽天>
 京都府大会で金を取り、関西大会への出場が決まった北宇治高校吹奏楽部は、指導教官滝の元、いっそう練習に力が入っていた。そんな中、昨年吹奏楽部を辞めた二年生の傘木希美が復部を願い出る。だが副部長で久美子と同じユーフォニアムパートの3年生の田中あすかは断固として復帰を認めようとしなかった。その頑なさに違和感を覚える久美子だが…
 第一巻が京都大会、そして第二巻となる本作は関西大会への出場と順調に時は流れていく。その中での、小さいけど当人にとっては深刻な事態のいくつかに直面することになる主人公の黄前久美子という構図を取っている。
 1巻以上にリアリティは増しているのもたいしたもの。物語の細かい「あるある感」もそうなのだが、体温や呼吸の描写がかなり細やかで、細部まで読み応えがある。
<A> <楽>
17'05'18 ズッコケ中年三人組 age42
那須正幹(検索) <amazon> <楽天>
 不登校気味の高校生の息子に悩みを覚えるハチベエと、入学したばかりの中学校でイジメに遭ってしまった娘を案じるモーちゃん。そして中学の現場でやはり悩むハカセ。三者三様子ども達を案じている仲良し三人組。そんな折、かつて小学校時代に三人が退治したお化け狸を封印した祠が道路拡張で取り壊されることを知り…
 成長した三人組が、それぞれ子どものことで悩むような年齢になっている。人の死の描写まであって、完全にこども向きではなくなっていて、重い内容になってるし、ちゃんとした教育論も展開していて読み応えもある。昔のシリーズの話を無理矢理挿入したのはバランス崩してるのがちょっと残念。
<A> <楽>
17'05'11 げんしけん21 二代目の十二
木尾士目(検索) <amazon> <楽天>
 モテ期の斑目が日光で下した判断は、「誰も選ばない」だった。煮え切らない発言に、それでも渋々従う現視研の面々。そして再びいつもの日常が戻ってきた感があったが…
 二代目現視研を扱った物語も完結。最初の斑目の結論は、彼らしいへたれたもので、「ここまで引っ張ってきてこれか?」と思わされたのだが、その後の展開が急転直下。あれよあれよという間にちゃんと伏線を全部回収してまとまって終わった。この風呂敷のたたみ方は実に見事だった。ここまで延々引っ張りすぎたことが少々気になるが、すっきりと終わってくれて何より。
 著者は咲が出た途端全部まとまってしまうという構造に持って行きたかったんだろうな。二代目になって二回しか出てこなかったのだが、どちらも一言で全部まとめてしまってる。なんだかんだ言って、この作品のヒロインは彼女一人だって事か。
<A> <楽>
17'05'08 宿神4
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 西行が得度してかなりの年月が経過した。都では保元の乱と平治の乱を経て力を増した清盛が、今度は源氏の頭領たる頼朝に追われるようになっていく。その激動の時代と、友の栄枯盛衰をただ見つめるだけの西行。
 基本的に本作では西行は何もせず、ただ観察者であり、折々歌を作るだけの人物。周囲の人々と時代が変化しているのをただ観ている。なんだか現代人が平安時代にタイムスリップしたかのような物語と言うべきだろうか。かなりウェットな物語だけど、それがちゃんと味になってる。
<A> <楽>
17'05'05 ワンパンマン10
ONE (検索) <amazon> <楽天>
村田雄介 (検索) <amazon> <楽天>
 謎の超人ガロウのヒーロー狩りが続き、次々とヒーローたちが倒れていく。そんな事を知らないサイタマは武術に興味を持って勝手に格闘大会に出場していた。

 最強のヒーローとして、サイタマをいかにして本編に絡めないかという苦労が見える巻となった。出りゃそれこそワンパンで全てを覆してしまうので、ガロウとはできる限り合わせないようにする必要があって、それで全く別種の物語が二つ同時進行することになってしまった。ちゃんとオチを考えているのかどうか、現時点では全く不明なので、なんとも言い難い。あと、作品の半分が番外編になってるので、なんか無理矢理一巻分まとめてみたという印象もあり。
<A> <楽>
17'05'02 死者の代弁者 下
オースン・スコット・カード (検索) <amazon> <楽天>
 惑星ルシタニアに着いたエンダーはそこで早速依頼を受けた“死者の代弁者”となるべく、調査を開始する。だが住民どころか依頼した当人もそれを取り消すと言う始末。だがエンダーはこの惑星に来なければならない理由があった。そして精神感応によってその理由を知ったピギー族はエンダーに対して好意的に振る舞うのだが…

 「エンダーのゲーム」のラストシーンでの約束を果たすまでが描かれる。ピギー族の特殊な生態に関しては、途中でほとんど予測が付いてしまったため、その点においてはちょっと今ひとつ。でも作品としての出来で言えば、「エンダーのゲーム」とは全く違った魅力があって、なかなか楽しい作品だった。
 まだシリーズは続くが、果たしてどれだけ読めるやら。
<A> <楽>
17'04'29 死者の代弁者 上
オースン・スコット・カード (検索) <amazon> <楽天>
 エンダーの活躍によって人類の敵バガーは宇宙から殲滅された。それから3000年の年月が経過し、人類は銀河の星々に植民地を広げていった。そして辺境の星ルシタニアでついに知的生命体との接触を持つこととなる。バガーとの悲しい接触を繰り返さぬよう、ピギー族と呼ばれる彼らに対し、慎重に接触を持つようになるのだが、心を通わせかけた調査員がピギー族によって惨殺されてしまう。残された学者たちは、ますます慎重な対応を迫られることとなり、全く調査が進まなくなってしまう。一方死者の代弁者として姉ヴァレンタインと共に光速移動を繰り返したために未だ30代の肉体を持つエンダーは、まさにそのルシタニアから死者の代弁者としての依頼を受ける。

 「エンダーのゲーム」の続編で、長らく絶版状態にあった作品。ようやく読むことが出来た。しかし「エンダーのゲーム」とは全く雰囲気が違ったファースト・コンタクトの話になっていて、ちょっと戸惑わされた。勿論これはこれで大変面白いものではある。
<A> <楽>
17'04'27 トーマの心臓
萩尾望都(検索) <amazon> <楽天>
 ギムナジウムで一人の少年が死んだ。寮のほとんどの生徒から愛されていたトーマ・ヴェルナー。彼は死の直前、舎監のユーリ宛に一通の手紙をしたためていた。「これがぼくの愛、これがぼくの心臓の音」と書かれたその手紙を破り捨てるユーリ。だがその直後、トーマそっくりの少年エーリクが転校してきた。礼儀正しく、しかし誰もその心を覗かせないユーリと、なにかとトーマと較べられてしまうことにうんざりするエーリク、そしてユーリと同室で、何かとユーリに心を配るオスカー。それぞれ複雑な家庭環境を持つ三人の男子学生と、彼らを取り巻く学生と大人達の行く末は…
 三人の少年を主軸に、彼らの複雑な絡み合いとトラウマ描写などを散りばめ、いったいどこに話が向かっているのか?と思わせる内容だったが、最終的に一人の少年の精神の再生の物語へと収斂していく。これだけ風呂敷広げておいて、ちゃんとテーマに沿ってすっきり終わらせているのが凄い所。確かに広げすぎた風呂敷の取り残しや、他のみんなのこれからは?という所にも思いが向かってしまうけど、それはそれか。倍くらいの長さがあってもちゃんと物語に出来ただろうな。
<A> <楽>
17'04'24 何者
朝井リョウ (検索) <amazon> <楽天>
 高校からの友人でシェアハウスをしている“俺”拓人と光太郎はそれぞれ大学では演劇とバンドに打ち込んできたが、卒業を前にして就職活動を開始することにした。そんな折、光太郎の元カノで海外留学していた瑞月に再会した“俺たち”は、彼女と、彼女の友人理香を加えてみんなで就職活動を共に行う事となる。
 SNSツールを駆使する今時の就職活動を結構生々しく描く作品で、途中まで観察者としての主人公に同化して読み進めていったら、後半で一気に精神的にひっくり返されるというどんでん返しが待っていた。一人称で話が展開するのを逆手に取った現代的なメタ小説とでも言うのだろうか。こんな小説を書ける人が若手にいたことに感心した。
 …jベストセラー作家を前に言うことでは無いか。
<A> <楽>
17'04'21 ダーリンは70歳
西原理恵子(検索) <amazon> <楽天>
 著者が長らくおつきあいしていた有名美容医院の院長と公認カップルとなり、著者50歳と院長70歳の合わせて120歳カップルが誕生。熟年カップルの悲喜こもごもを著者流の悪趣味さと、どこか暖かい目つきで描いたドキュメント漫画。
 自分の身の周りのことをなんでも漫画にしてしまう著者だが、ここまで赤裸々に描くものとは思ってもみなかった。割と大ざっぱな著者と、かなりの潔癖症で特に感染について病的に毛嫌いする院長の間の接触が生々しすぎる。しかしよくこれでつきあっていられるとも思う一方、非常に似合いの二人という気もせんではない。
 東京タワーの直下に日本のフリーメーソンの本部がある事は知ってたけど、まさかそれまで漫画にするとか、よくやったもんだと感心も出来るし、完全に関係ないけど、ついこの前、ある本を読んでいて鶯谷デッドボールという地雷風俗があることを知ったが、それが突然漫画で登場してびびった。
<A> <楽>
17'04'19 星の揺りかご アクセル・ワールド17
川原礫 (検索) <amazon> <楽天>
 加速研究会の正体を知った黒雪姫初めのネガ・ネビュラスの面々。だがネガ・ネビュラスは白の王が統べるオシラトリ・ユニヴァースの本拠地である港区に直接攻めることが出来なかった。その問題を解決するため、黒雪姫=ブラック・ロータスは緑の王との協定を結ぶと言う。そのための準備に追われることとなるハルユキ=シルバー・クロウだが、実生活の中学生活にも波乱があり…

 これまでずっとアクション主体で展開していたが、今巻はあまり動きのない少々休憩と言った風情の話になってる。これが最終決戦になるかどうかはともかくとして、物語を進めるためにはとても重要な話ではある。
<A> <楽>
17'04'15 テラフォーマーズ20
貴家悠 (検索) <amazon> <楽天>
橘賢一 (検索) <amazon> <楽天>
 燈達の努力にもかかわらず、人類の一部の協力と共に既にこの地上はテラフォーマーズたちのものになりつつあった。大規模攻勢を眼前に、ついに世界人類はテラフォーマーズのことを知ることとなる。
 これまでテラフォーマーズの大群と選ばれた人類の戦いだったが、ここからは人類対テラフォーマーズとなるらしい。とは言え、多分あっけなく人類は滅ぼされかけ、又エリートたちとの戦いになるというパターンになるような気はする。
<A> <楽>
17'04'12 天地無用!GXP14
梶島正樹 (検索) <amazon> <楽天>
 海賊勢力を一掃し、残ったタラント一派も超古代兵器ZINVを手に入れることで壊滅させられた。任務を終えて再びアカデミーの学生に戻った西南だが、卒業と同時にサプライズが待っていた…

 アニメ版の最終話までを収録。10年くらいかかったが、無事これで終わり…と思ったら、実はこれでようやく前半の終わりなのだとか。確かにこれまでいくつも張ってきた伏線で全く回収されてなかったものもあるし、むしろアニメから離れたこれからが本来の作品展開となるのだろう。
 ただ、ZINV出現と共に「デュエル」の設定が多量に流入し、すごく話にまとまりがなくなった印象はある。これを読んでる人間が「デュエル」を全話観てることが前提だからねえ。著者のファン以外はついていけんぞこれは。
<A> <楽>
17'04'11 ズッコケ中年三人組 age41
那須正幹(検索) <amazon> <楽天>
 ミドリ市在住の小学校時代の仲良し三人組ハチベエ、ハカセ、モーチャンがいつものように飲み会で語り合っている内に、今テレビで大人気の占い師である鞍掛真智子がかつて二ヶ月だけクラスにいた転校生の北里真智子であるという話題となった。そんな彼女が講演会でミドリ市にやってくると知り、それでクラスのみんなと集まりたいという話になるのだが…
 記憶がないのでこの北里真智子の話というのは読んだことがなかったかと思うが、なんか今回は、ただ昔のクラスメイトと出会って旧交を温めて終わりってことになってしまい、全体的に中途半端に終わった感じ。
 まさかこれが後の伏線になってるなんてことはないよな?
<A> <楽>