読書日誌
2017’10〜12月

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17'12'28 甘城ブリリアントパーク4
賀東招二(検索) <amazon> <楽天>
 「伴藤美依乃の特殊な事情」甘ブリに勤めるアルバイトの伴藤美依乃はいつも不幸が重なり流血が絶えなかった。そんな彼女には何らかの呪いがかかっているのではないかと勘ぐったティラミーの発案で急遽呪術師を呼ぶことにした。その結果は…
 他に短編「プロモーションビデオを撮ろう!」「ファミリー・アフェア」「五頭会談」を収録する。

 2巻で流血したままアルバイト面接に来たという強烈なキャラ伴藤美依乃を中心に、ゆるやかな(?)日常を描く話。
 呪いを解くためにはそれに関わる人たちのトラウマを明らかにしなければならないということで、可児江を含めた職員一人一人のトラウマと現状の情けない自分をさらけ出すという下りがあって、それがとにかく笑える話だった。あと、何故かアニメ版の最終話にあった「プロモーションビデオ」は、アニメ版の方が暴走してたため、原作がおとなしすぎる感じ。
<A> <楽>
17'12'25 KEYMAN9
わらいなく(検索) <amazon> <楽天>
 暴力的なKEYMANであるラズロによってロックヴィルは恐怖へと叩き込まれた。ラズロと対抗できるのは同じくKEYMANとなった元警官のピートだけだったが、決め手に欠け、いつも逃げられてばかりいた。そんなラズロを一撃で葬ったKEYMANが現れ…

 ドクター・ネクロの過去が語られる話となった。人間の中に聖性はあるのかを追求した結果、螺旋の真理にたどり着いたというところまで。そこから何に向かって踏み出したのかはこれ以降の話となる。
 一方、生き残ったKEYMANだと思われたバトラーの意外な正体も明らかに。全ては彼の手の上の出来事だったということになる。
<A> <楽>
17'12'22 ダーリンは70歳 高須帝国の逆襲
高須克弥 (検索) <amazon> <楽天>
 先行発売された西原理恵子の「ダーリンは70歳」に対し、ネタとされた当人からの反論として描かれた自伝。

 出版された途端に回収されたという曰く付きの作品だが、現在はちゃんと購入することが出来るらしい。本作は中古で手に入れた初版本だが、なるほど回収されたのはこの不快語のせいかと納得。今は自粛の差別指定用語が最初から出てくる。
 基本的に本作は自伝であり、どれだけ禁欲的な頑張りと努力でここまできたのかという事が書かれているが、基本的には自慢話である。
 著者の場合、本人が努力家でここまでのし上がったこともあって、努力というのを最大に評価する。そのため何にせよ努力を怠る人間に対しては容赦なく、ナチュラルな差別主義が出てくる。その辺が著者らしいが、不思議と不快さは感じないのが面白い。挿絵のナチュラルさもあるが、思想に対しては基本的に寛容だからかも知れない。
 思想よりも姿勢を重要視するみたいだし。
<A> <楽>
17'12'19 鉄人28号 原作完全版 11
横山光輝(検索) <amazon> <楽天>
 牧村博士によって学習能力を持つ自立思考型ロボットロビーが作られた。助手の助川に悪用された上で破壊されたと思われたが、身を隠したロビーは強力なロボット軍団を結成していた。それを知った警察は正太郎と鉄人に協力を要請するが…

 新たな敵としてロビーが登場。お椀を伏せたような顔つきと不自由な三本足歩行という、いかにもレトロ風味な容貌ながら、その性能はこれまでのどのロボットよりも高く、しかも成長するというチートな能力を持つ。
 それに対抗するのは鉄人だけでなく、ブラックオックスも投入されることになるが、そんな二大ロボットに対しても引けを取らぬどころか終始圧倒することになる。
 それにしても自立思考型ロボットとは、そもそもブラックオックスに搭載されるべき機能だったんだよな。
<A> <楽>
17'12'16 腐りゆく天使
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 土に埋められ、思考することしか出来ない“ぼく”。祭壇の後ろにある香部屋の中に天使の姿を見る“わたくし”。そして人妻となったエレナに恋い焦がれる“僕”萩原朔太郎。三者はそれぞれ懊悩の果て、導かれるように教会に集うことになるのだが…

 とてもリリカルで耽美的なお話が展開する。昔の著者の作品に戻ったようでもあり、又新境地でもあるのだろう。
 ただ問題として、作品としてさほど面白くはない。土に埋められた人間の思考ってのは、昔短編で書いてたこともあったし。
<A> <楽>
17'12'14 月刊少女野崎くん8
椿いづみ(検索) <amazon> <楽天>
 人手不足の喫茶店で応援を頼まれた鹿島。そこで彼女の先輩となったのは、なんと瀬尾結月のお兄さんだった。人好きのする鹿島はあっという間に喫茶店に馴染んでいく。勿論野崎の漫画家生活と、それをサポートする千代たち仲間の日常展開、そして新たに野崎家の末妹の登場もあり。
 8巻まで進んでまだまだ面白い日常系ギャグ漫画。これまでに度々登場していた大学生が瀬尾の兄だったという事実と、野崎にもう一人妹がいたことが分かったりと、新たな展開もあり。
<A> <楽>
17'12'09 世界の名作シネマを読みなおす
セシル・ベルジェ (検索) <amazon> <楽天>
 名作と呼ばれる映画四六本を題に取り、その裏話や監督がその作品に込めた思いなどを含めて映画を観返す作品。

 海外の人が書いたからか、文体が単なる説明口調ではなくウィットに富んでいるところが面白い。精神構造から映画を観ようとするのもこれまであんまり読んだことがなかったので、その方向性はとても面白いと思う。又映画史に於いて、その作品がどのようなメルクマールになったのかという考察もあるので、映画全体からこの作品がどのような位置づけにあるのかも色々考察できる。
<A> <楽>
17'12'07 鉄人28号 原作完全版 10
横山光輝(検索) <amazon> <楽天>
 不乱拳博士が作り上げたのは、鉄人の力を超えた完全自立型のロボット“ブラックオックス”だった。妨害電波をまき散らし、鉄人を無力化しつつ基地を守ろうとする。警察の波状攻撃により、基地そのものは破壊し、巻き添えを食った不乱拳博士も死亡したが、謎の組織はブラックオックスと、無力化した鉄人を回収して逃げ去ってしまった。最強のロボット二体を奪われた警察と正太郎の取るべき道は…

 ついに鉄人の最大のライバルとされるブラックオックスの登場。シンプルな形状ながらこれまで登場したロボットよりも格段にデザインが素晴らしく、本当にライバルキャラと言った風情。しかも鉄人の弱点を突くことによって鉄人さえ寄せ付けないというパワーまであり。
 この巻はほぼブラックオックスの強さを存分に見せつけるような話だった。これはこれで良し。
<A> <楽>
17'12'04 マルドゥック・アノニマス2
冲方丁(検索) <amazon> <楽天>
 相棒のロックと弁護士のサムを殺した謎の敵の正体を探るため、ウフコックは謎の敵クィンテットの道具に化けて潜入捜査を開始する。そこでウフコックが見たものは、リーダーのハンターの見事な戦略によって次々に潰されていくシティのギャング組織の姿だった。

 ほぼエンハンサー集団のクィンテットの活躍のみで構成された話となった。ピカレスクロマンとしての出来はなかなか良く、モラルハザードなのし上がり方は読んでいてなかなかに高揚するものがある。
 ただ、それは基本的に敵の活躍なのが問題で、秩序側の方では無く、無秩序側の方の描写の方が面白いというのがちょっと引っかかる部分もある。結局この巻、ウフコックは見てるだけで何も出来なかったわけだし。
<A> <楽>
17'11'29 トクサツガガガ5
丹羽庭 (検索) <amazon> <楽天>
 会社では隠れ特撮オタとして正体を隠しつつ、それでも入念に仲間捜しを続けつつ、特撮グッズに部屋を占領されつつある仲村さん。多くの友人達との語らいと、特撮愛で生活を乗り切っていく姿を描く。

 この巻はほぼ全部特撮豆知識→生活の中のちょっとした問題→豆知識の流用で乗り切るというパターンだけで構成されている。それは面白いのだが、流石に続きすぎると「又か」という感じになってしまう。
 この巻の最後の話は友人の結婚式の出席のために里帰りをして、過去の自分と向かい合うという、パターンからは外れた話になってるのだが、そこで次巻に続くとなる。なんだろうな。この引き方はまさに特撮番組のようだ。
<A> <楽>
17'11'25 ムーミン谷の仲間たち ムーミン童話全集6
トーベ・ヤンソン(検索) <amazon> <楽天>
 ムーミン谷の仲間たち。それぞれが日常生活の中で味わったちょっとした事件や困難を乗り越える話など、様々なキャラクターを通して見るムーミン谷の風景を描いた短編集。

 ムーミンシリーズは童話には違いないのだが、基本的に出てくるキャラ全員が性格的にあまり良くない。どこにでもいるような我が儘な子どもであったり勝手な大人であったり。だがそれこそが本作の面白さでもある。短編集だからこそ、その辺が見えてくるのが面白いところ。
 基本的にアニメでは超然としてるように見えるスナフキンが、ただ面倒くさいのが嫌なだけという性格のキャラなので、なんでもほっぽり出して逃げてしまうのが見えてくる。
<A> <楽>
17'11'23 鉄人28号 原作完全版 9
横山光輝(検索) <amazon> <楽天>
 不乱拳博士の基地を発見し、バッカスとモンスターの抵抗に遭いながらもなんとか基地を破壊する事が出来た正太郎と鉄人。だが戦いの末絶命した不乱拳博士の死体を盗み出す謎の組織があった。

 不乱拳博士編の終了…と思いきや、まだ終わらない。なるほどだからそんな名前を付けたか。しかも謎の組織から新たに依頼された不乱拳博士が次に作るロボットは自立思考型のロボットとなるとか…ああなるほど察し。
 それにしてもぽろぽろ人が死んでいく。これだけ簡単に人が死ぬって、最近の漫画ではほとんどない。絵が可愛らしいだけに描写が結構薄らざむい。
<A> <楽>
17'11'20 恐怖の緑魔帝王
芦原すなお(検索) <amazon> <楽天>
 都内に突如緑色の怪人が現れ、その目撃情報が次々に警視庁に送られてきた。そんな折、大金持ちの湧水家が持つ雪洲の絵を狙う怪人二十面相の予告状が舞い込むのだった。明智探偵の留守を守る小林少年は警察と協力して絵を守ろうとするのだが、なんと二十面相さえ出し抜く新たな敵が現れ…
 これも記念競作の少年探偵ものの一冊。いかにも当時江戸川乱歩が書いた少年向きのように文体を似せているけど、著者としてはそれは半分サービスの感覚なんだろう。そのノスタルジックにはまれるならば楽しい。
 著者の作品は大学時代に読んだ「青春デンデケデケデケ」以来となるが、文体に遊び心を感じて、それはそれで結構共感を覚える。
<A> <楽>
17'11'16 血界戦線8
内藤泰弘 (検索) <amazon> <楽天>
 「王様のレストランの王様」あまりの美味さに脳が冒されるとの噂のある魔界のレストランに招待されたライブラの面々。その美味すぎる料理を堪能中、その眼に異物を感知したレオ。
 「幻界病棟ライゼズ」3年前。ニューヨークが魔界と融合したその瞬間に巻き込まれた瞬間に遭遇したクラウスとスティーヴン。けが人を救うべく病院を探す二人が見つけた病院とは。そして現在、消えてしまったその病院が再びヘルサレムズ・ロットへと姿を現した。

 一応ライブラの自己紹介は終わり、いよいよ大災厄の当日に何が起こったのかに言及。
 これから実際の物語が開始しようとしているっぽい話で、これから度々お世話になる(であろう)病院が登場する。やってることはやっぱりごちゃごちゃしており、しかも過去と現在が妙にザッピングされて描写されるため、読みにくいことこの上ない。
 でも、それこそが著者の持ち味。繰り返し読んでいくと物語の流れとかが見えてくるようになる。ちょっと疲れるけど。
<A> <楽>
17'11'15 いねむり先生
伊集院静(検索) <amazon> <楽天>
 最愛の妻を亡くし、自暴自棄に陥っていた“ボク”は知人から文学者の先生を紹介された。その名前は鳴り響いており、無頼で豪放な先生かと思いきや、思った以上に腰の低い、そして一方ではとても強引に人を巻き込む才能を持った憎めない人で、この先生と共にギャンブル旅行へと行くことになるのだが…

 著者の半自伝的小説で、先生こと阿佐田哲也(色川武大)と著者の交流を主軸に、著者の癒やしの過程を描くことになる。本当にいろんな人が支えてくれたからこそ、著者は今も生きているのであり、強引にいろんなところに引きずり回されることで、少なくとも生きていられたということを思わせられる。人生の中、誰かに引きずり回されることが必要な時もあるんだな。
 ほとんどの人物は名前が伏せられているが、芸能界や文学界の有名人ばかりなので、大体名前なくても「この人だろうな」と思わせるところも上手いところで、実は著者の小説は初体験ながら、良い作品を描くもんだと感心させられた。
 この作品、漫画にもなってるようなので、そのうち読んでみよう。
<A> <楽>
17'11'13 はじめの一歩118
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 一歩の復帰戦が決まった。そのための最終調整に入る一歩だが、未だパンチドランカー症状疑惑がなくなったわけではなく、更に対戦相手のフィリピンチャンピオンは初めての左利きだった。

 やっと再生の第一歩を踏み出す事が出来た。これで物語がようやく動き出した感じだが、実質これは5年くらい前にやっておかねばならない事だったのでは?引っ張りすぎてもうどうでも良いって気がしてくる。
 それになんか展開が妙に間延びしてる感じもあるし。なかなかパワー持続するって難しいな。
<A> <楽>
17'11'11 甘城ブリリアントパーク3
賀東招二(検索) <amazon> <楽天>
 新たに甘城ブリリアントパークのアルバイターとなった三人の一人で見た目が小学生にしか見えない高校生中城椎菜はいつも自信が持てずに失敗ばかりしていた。そしてそんな彼女を見守るモッフルは、彼女の才能を探っていた。

 2巻に登場したアルバイターで、ロリっ子ドジキャラという、狙いすぎのキャラの一人称で展開する前半部は、本当に楽しんで書いてる感じがして実に良し。物語は他愛ないものでオチも分かりやすいけど、むしろこういうベタな話を読みたかったことに読み終えて気づいた。読んでて疲れないから良いね。
 後半部分はみんなで着ぐるみ着て西也になりきるという話で、これも展開はいかにもと言った感じ。
 全般的に心地よい笑いが出る話なので、かなり上手くできた話だ。
<A> <楽>
17'11'10 鉄人28号 原作完全版 8
横山光輝(検索) <amazon> <楽天>
 スリルサスペンスが不乱拳博士を脅迫して作った強力なロボットバッカス。鉄人と一騎打ちの末に鉄人に甚大な被害を与える事に成功したことから、スリルサスペンスはこれを用いて次々と金品強奪事件を引き起こす。頼みの綱の鉄人が修理できるまで待つしか無い正太郎たちだったが…

 前巻で不乱拳博士とスリルサスペンスの絡みで、力関係がはっきりして、スリルサスペンスの方が無理矢理不乱拳博士を協力させるような形だったが、それが二転三転。悪党同士の争いとなったが、肝心な鉄人が修理中のため、正太郎が何もできないという話になっていた。
 バッカスは鉄人と力比べでも互角な上、単独で空を飛べるし火炎も吐く。割と早い段階で鉄人を超えるロボットが出来てしまったな。これからどんどんインフレが起きて強いロボットが次々出てきそうな感じでもある。
<A> <楽>
17'11'08 宇宙の果てのレストラン
ダグラス・アダムス(検索) <amazon> <楽天>
 紆余曲折の末、宇宙の真理の鍵となってしまった地球人のたった二人の生き残りアーサー・デントとトリシア・マクミラン。だがアーサーはこれから何をすれば良いのか全く考えていなかった。元銀河帝国大統領ゼイフォードの宇宙船「黄金の心号」でとりあえず食事に行こうかと考えていた矢先、宇宙の真理を抹殺しようと企むヴォゴン人に襲われてしまう。

 「銀河ヒッチハイクガイド」の続編となるが、内容は壮大なのか矮小なのかよく分からないし、とりとめも無い。宇宙の果てから果てまで、宇宙の終わりの時間まであっち行ったりこっち行ったりふらふらしてる内に物語が展開していく。実際ここに書かれているのは、宇宙の終わりの時間軸でレストランで飯を食ったあと、未開の惑星に放り出されたと言うだけで終わってしまう。なんだこりゃ?という話だが、それこそがこのシリーズの醍醐味であり、実に読んでいて心地良い。
 読むと言うより、ただ浸っていたい作品である。
<A> <楽>
17'11'07 夏目友人帳11
緑川ゆき (検索) <amazon> <楽天>
 「封じてあるもの」成り行きから多軌の家の蔵の掃除を手伝う事になった夏目と田沼。だがその夜から異変が起き始める。ニャンコ先生によれば、蔵に封じられていた妖怪が偶然から蘇ってしまったというのだが…

 「遠き家路」生家が売りに出される事になったという連絡を受けた夏目。ほとんど思い出らしい思い出のない家だが、最後に訪れてみようと思い立つ。
 ここまで巻数が進み、既に同じ高校にも田沼と多軌という二人の理解者を得、他の友達も出来て結構充実し始めている。今回は多軌の家の物語を中心とするが、友情の物語に妖怪絡みの話となり、良いバランスに仕上がってる。
<A> <楽>
17'11'03 最も危険なアメリカ映画
町山智浩(検索) <amazon> <楽天>
 映画はその作られた国のその当時の思想をよく現すものであると言う観点から、アメリカで製作された何本かの映画をピックアップし、当時の社会情勢の中でどうしてこの映画が作られてきたのか。そしてそれが現代にどう影響を及ぼしているのかを考察し、アメリカの「今」がどのようにして作られてきたのかを考察する。

 映画を通した社会論と言った風情の作品。色々と発見のある作品で、特にアメリカにおけるキリスト教と映画の関わりや、革新系保守系双方の映画の成り立ちなど様々な考察がなされている。結構驚いたのが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で、観方によってこんなコンサバティブな作品になるとは、全く思いもしなかった。これも新しい発見と言えよう。
<A> <楽>
17'11'01 シドニアの騎士8
弐瓶勉 (検索) <amazon> <楽天>
 先の戦闘で大怪我を負った融合個体のつむぎを心配する長道と、珍しい長道の我が儘につきあわされるイザナ。殊の外長道になつく紬を受け入れるため、ついに長道は三人(?)で暮らす事を提案するのだった。一方、独裁体制を取るシドニア艦長の小林はレム恒星系における「大シュガフ船」との大戦争を決定するのだが…

 前巻ラストで不死の会員の虐殺を行った小林艦長がガウナとの全面戦争を決定するが、そこからすぐに作戦に移行するわけではなく、この間の大部分は日常生活に費やされる。そして意外にこれがコミカルで面白かったりする。
 つむぎは星白とどこか似てるようで、長道にとって、つむぎは失われた星白の代わりのような存在らしいが、当然それに対しイザナの嫉妬を煽る事になる。一応これって三角関係なのだろうか?性がごちゃごちゃしていてよくわからん。
<A> <楽>
17'10'31 天地無用!GXP14
梶島正樹 (検索) <amazon> <楽天>
 廉座星系に拉致されてしまったような形で連れてこられた西南たち守蛇化クルーの面々。他のクルーとは引き離され、失われた神機ZINVパイロットとして海賊掃討と権力者の駒として使われようとした西南は、今自分に出来る最大限の事をなすべく考えを巡らせていた。

 テレビシリーズの後の話の廉座編の始まり。一からの始まりとなるが、設定がまるで異なるため、これまでのような設定ばらしの快感が一切無くなってしまい、魅力の大半は消えてしまった。残念ながら現時点では小説としても並以下の出来。これからの展開次第なので、当然買い続ける予定だが。
<A> <楽>
17'10'29 血界戦線7
内藤泰弘 (検索) <amazon> <楽天>
 マクロの決死圏:レオの友人で、身体が小さく非力なために誰からも虐められるリールが、「強くしてやる」という言葉を信じ、細菌兵器の被験者となったために起こる巨大化騒ぎ。
 エスケープ フロム ペイン チェインリアクション:お使いを頼まれたザップとツェッドが爆弾騒ぎに巻き込まれ…

 力の強さが本当の強さではないとはよく言われる事だが、ミクロの存在が実は一番強いとか、事件解決の糸口は力ではなくスピードだとか、SFマインド溢れたジョジョ風の解決の仕方をする前編と、凸凹兄弟弟子の珍道中のギャグ回で構成される物語。
 著者の場合、いかにスピードを画面に出すかで苦労してるのは分かるのだが、それが効果的かどうかは疑問。単に夜見にくいだけになってる事が多々。それでも画面が分かると「なるほど」と納得する。そのためにじっくり読まねばならないので、結構疲れる本でもある。
<A> <楽>
17'10'26 昭和特撮文化概論 ヒーローたちの戦いは報われたのか
鈴木美潮(検索) <amazon> <楽天>
 昭和の時代戦後復興期から始まり、現在に至るも連綿と作り続けられている特殊ジャンルの特撮ヒーロー作品。幼少時よりどっぷりその世界にはまり込んだ著者が語るヒーローの魅力と、ヒーローのあり方の変遷を語る。

 著者は特撮界隈ではかなり有名な人で、いろんなイベントを開いたりコラムも多数書いているのだが、著者オンリーで書いた特撮関連の本はこれが最初となる。そんな事もあってか、とにかく凄い特撮愛に溢れた作品であり、しっかりしたヒーロー論が展開していく。
 正直、私が「そのうち書く」と言い続けてきたヒーロー論はこの本を読んでいただければそれで充分って感じである。それだけ昭和ヒーロー愛と考察に溢れている。ディープな特撮ファンにだけ分かるようなネタも多々あるため、特撮ファンを自認する人には読んでいただきたい。
<A> <楽>
17'10'24 鉄人28号 原作完全版 7
横山光輝(検索) <amazon> <楽天>
 鉄人と戦う人造生命体だが、意外な強さに鉄人も苦戦する。それでもなんとか拘束することには成功するのだが、入れられた留置場で大暴れした人造生命体は、たまたま同じところに収監されていたスリル・サスペンスと共に逃げ出してしまうのだった。

 謎の人造生命体との戦い一本に絞るのかと思いきや、退場したはずのスリル・サスペンスが再登場。又しても三つ巴の争いへと展開。複数の組織が入り乱れるパターンは著者の得意とする展開っぽい。
 この辺になるともう鉄人は正太郎が操縦するのが当たり前になっているけど、流石に少年一人に全部任せるって展開はちょっと変な気もする。
<A> <楽>
17'10'18 別冊 図書館戦争U
有川浩(検索) <amazon> <楽天>
 堂上と結婚して舎監住まいとなった郁。寮に残された柴崎は新しいルームメイトを迎え、新しい生活へと入っていく。いくつかのトラブルに直面する度、手塚と力を合わせる事が多くなっていく。そんな中、明らかに柴崎を標的とした事件が起こってしまい…

 メンバーそれぞれの「それから」を描くスピンオフシリーズの2作目。半分以上は手塚と柴崎の話となっており、手塚は本編でわだかまりの出来た家族との和解へと、そして柴崎はストーカー騒ぎを通して本当の自分の弱さと、それを受け止めてくれる人を発見するという話になってる。
 正直はなしとしては甘々で、ちょっときついものがあるのだが、著者はサイコパスを描くのがとても上手い。そのことを再認識。
<A> <楽>
17'10'14 バーナード嬢曰く1
施川 ユウキ(検索) <amazon> <楽天>
 読書好きを自認し、いつも高校の図書館に入り浸っている町田さわ子は、バーナード・ショーをもじり、自分の事をバーナード嬢と呼ぶように周りに言っていた。しかし彼女の読書好きは見せかけで、読書通に見せたがっていただけで、それは周りにも知られていた。そんな彼女と一緒に読書に勤しむ高校生男子遠藤と、その遠藤を好きな長谷川スミカ。そして何かというとさわ子に絡む真の読書家神林しおりら、図書館を舞台としたゆる〜いギャグ漫画。

 読書好きなら刺さる部分があると聞いていたので読み始めたが、確かにいくつか刺さってくるところはある。しかし、読み進むにつれ、いかに私がいい加減な読書ばかりしているのかを指摘されてる気になり、少々落ち着かない気分にさせてくれる。
 基本的にギャグが緩すぎるので、これを笑える人は限られるだろうけど、これまでに読んだことのないジャンルの作品なので、結構楽しい。
<A> <楽>
17'10'12 ウルトラマンは現代日本を救えるか
神谷和宏(検索) <amazon> <楽天>
 「ウルトラマン」初放送から既に半世紀。その中でウルトラマンたちは様々な社会事情を背景に戦い続けてきた。それぞれのウルトラマンの活躍を見つつ、その当時の社会とウルトラマンの関わりを紐解く。

 著者の「ウルトラマンと正義の話をしよう」(書評)の続編と言っても良い作品で、ちゃんと全シリーズを観てウルトラマンと社会の関わりを書いてきたことが分かるし、著者のウルトラマンに対する愛着もビンビンに感じる。
 ただ、何故このタイミングかというと、仮面ライダーについて描いた宇野常寛の「リトル・ピープルの時代」(書評)に触発されたとしか見えない部分もいくつか。宇野が敢えて捨てた部分をわざわざ拾ってきたというか、「ウルトラマンは時代を映してないんじゃない!」という答えを突きつけてるような?
 言われるまでもなく「仮面ライダー」よりも「ウルトラマン」の方が社会情勢にはストレートに対応している。ただ、若者の心理的葛藤という意味では、どうしても等身大の人間を描く「仮面ライダー」には敵わないという事実も浮き彫りにしてしまった。
<A> <楽>
17'10'07 鉄人28号 原作完全版 6
横山光輝(検索) <amazon> <楽天>
 鉄人を狙うスリル・サスペンスとジャネル・ファイブはお互いに出し抜きを狙いつつ、正太郎を狙う。予備のコントロール装置を手に入れたジャネル・ファイブはついに鉄人の奪取に成功するが、何故かジャネル・ファイブの行くところ、電波障害を起こす空飛ぶエイが出現して…

 展開は相変わらずスピーディで、スリル・サスペンスとジャネル・ファイブの話は一気に終わるのだが、今度はおかしな博士が登場。彼自身は鉄人に何の接点もないものの、作り上げた人造人間が強力な上に凶悪で、大きな被害を与えることになるため、そのために鉄人が出動するという話になってきた。
 とにかくこれからは鉄人のコントローラーは正太郎が持つ事になったらしいので、ようやく話としては安定化したと言ったところか。
<A> <楽>
17'10'06 ムーミン谷の冬 ムーミン童話全集5
トーベ・ヤンソン(検索) <amazon> <楽天>
 冬がやってきて、いつものように冬眠に入ったムーミン一家。だが冬の真っ最中に目を覚ましてしまったムーミンは、それから再び冬眠に入る事が出来なくなってしまった。やはり起きてしまったちびのミイと共に、冬を過ごすムーミン。

 前に当たり前のように「冬眠」と書かれていたのがちょっとした違和感あったが、北欧の冬はずっと闇の中で、起きていてもすることがないからだとここでよく分かった。
 一人起きてしまい、孤独に打ちのめされるムーミンだが、冬の間に活動してる動物たちも意外に多く、そこから何かを学ぶということで、子どもだけでなく、意外に大人向けにも深い内容を持つ話でもある。
<A> <楽>
17'10'03 血界戦線6
内藤泰弘 (検索) <amazon> <楽天>
 「人狼大作戦」チェイン皇がライブラ以外に属するもう一つの人狼部隊を狙う謎の人物。チェインらは高速の世界にダイブし、その犯人を探る。
 「ジ・アウトロー・オブ・グリーン」クラウスが入っている園芸クラブに事件が。仲間のために自然と闘いに挑むクラウス。
 「ラン!ランチ!!ラン!!!」新入りのツェッドに何か美味いものを食べさせようと昼食に誘ったレオ。だが弟弟子が大嫌いなザップはそれを妨害し、変な店にばかり入ろうとする。

 今回三つの物語が収録されるが、どれも結構内容は濃い。つまり情報量過多でとにかく読みにくいと言う事。相変わらずな著者っぷりを楽しむ作品だろう。これはこれで大変面白い。そもそも絵に描けないものを絵にしようとするから相当無理が生じてるのも確かなんだが。
<A> <楽>