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特撮事典

ホラー作品

忍者と悪女

1963年
ロジャー・コーマン
 クレイヴン博士(プライス)の元に一羽の鴉がやってくる。それは実はスカラバス博士(カーロフ)に術競べで負けて鴉に変身させられたベドロ博士(ローレ)だった。クレイヴンにより元の姿に戻ったベドロ博士はスカラバス邸で、死んだはずのクレーヴンの妻レノーア(コート)を見たと証言する。訝しく思ったクレイヴンは早速ベドロを伴ってスカラバス博士の館に行くのだが、そこにはクレイヴンの術を奪ってしまおうと待っていたスカラバスが…
 ポーの詩
「大鴉」をヒントにリチャード=マシスンがシナリオを書き、それをB級の帝王コーマンがメガフォンを取って映画化した作品。話自体は荒唐無稽も良いところで、まるで80年代の日本のOVAを観てる気分だったが(決して嫌いじゃないけど)、馬鹿馬鹿しいと思いつつも、思わず笑ってしまう。
 更にこの異様に豪華なキャストホラーと言えばこの人!のカーロフにプライス。更にここにローレまで加わることで、濃い顔ばっかり。よくこんなの集めたもんだよ。その濃い顔のメンバーが何をやっていたかと言えば、『ハリー・ポッター』も真っ青な
(嘘です)魔術合戦!これこそがB級の醍醐味って奴だ。
 それに輪をかけたのがこの邦題だろう。原題の
『The Raven』をどうやったらこんな題に出来るんだ?どこが忍者?どこが悪女?いかがわしさ大爆発で、どこを取ってもポーの名前なんて出てこない。DVDのパッケージを見てもいかがわしさ大爆発。そして更に最後はコーマンの伝統と化した古城の炎上で終わる。
 こういうのが時々当たるんで、B級はやめられない。

 

大鴉
【おお-がらす】
 エドガー=アラン=ポーの詩。本作の元となった作品だが、その面影は全くなし。 甘崎
クレイヴン
【くれいう゛ん】
 古城に一人住まう錬金術師。既に妻を失っているが、悠々自適な生活を送る。その知識を狙ったスカラバス博士から魔術合戦を挑まれる。役はヴィンセント=プライス。 甘崎
スカラバス
【すからばす】
 魔術師。錬金術師であるクレイヴン博士の知識を狙い、禁断の法を犯し、クレイヴン博士の妻レノーアを蘇生させ、更にベドロを鴉に変えてクレイヴンの元に遣わし、魔術合戦を挑む。役はボリス=カーロフ。 甘崎
ベドロ
【べどろ】
 スカラバス博士に魔術合戦を挑み、敗北して大鴉に姿を変えられてしまった魔術師。クレイヴン博士に助けを求めるが、実はそれはスカラベスの陰謀だった。役はピーター=ローレ 甘崎
レノーア
【れのーあ】
 クレイヴン博士の妻で、数年前に死去。スカラバス博士によって蘇生させられ、スカラバスの為に働く。題字の「悪女」は彼女のことだろうと思われるが(と言うか、女性は彼女しか出てこない)、別段悪女と言うほどの存在感ではない。役はヘイゼル=コート 甘崎

クリープショー


クリープ・ショー
1985年
ジョージ・A・ロメロ(監)
 ビリー少年が父親から叱られながら夢中で読んでいるホラー・コミック。その雑誌に載っていた話が次々と映像となって…
 父の日:7年前、「ケーキを出せ」と騒ぎ続けた父ネイト(ローマー)を思わず殺してしまった娘ベリンダ(リンドフォース)。今年も父の日に墓参りをするが…
 草まみれの男:農家の庭に隕石が落下し、それを見たジョーディ(キング)がそれに水をかけた所…
 みち潮:リチャード(ニールセン)は妻ベッキーの浮気現場を押さえ、ベッキーと浮気相手のハリーを海辺に首だけ出して埋める。
 開封厳禁:大学教授のヘンリー(ホルブリック)は、大学に届いた荷物に怪物が入っていることを発見する。言葉巧みに悪妻のウィルマをおびき出して怪物に食べさせようとする。
 クリープショー:極端な潔癖性の悪徳実業者アプトンは、潔癖性がいきすぎて、ついに無菌室の中で生活するようになったが、そこに一匹のゴキブリを発見する…
 かつてアメリカで大人気を呼んだホラー系パルプ雑誌のECコミックを読みふけった世代の面々が(ECコミック自体はPTAの圧力で廃刊に追い込まれたそうだが)集まって、昔を思い出させる作品として作り上げたオムニバス・ホラー。
 パルプ雑誌が元と言うだけあって、演出はかなり安っぽく、コミカルに仕上げられているのが特徴で、真剣な怖さというのとは無縁なのだが、一流俳優の熱演もあって妙に楽しい作品に仕上げられている。ショックシーンもほどほどで、ドキドキしながら、同時ににやにやして観ることが出来る作品。第5話だけはちょっと勘弁して欲しいけど。
 かつてヒッチコックは
「本当の笑いとは恐怖と紙一重のところにある」と常々言っていたそうだが、ホラー映画というのは単に怖く作ればいいと言うものではなく、そこに笑いを入れることで本当に怖さを演出出来るとも言える。そう言う意味ではこれだけ安っぽく作っていながらも、まさにヒッチコック風ホラーの定式に則っているのかも知れない。
 数多くのカメオ出演もあるので、それを探してみるのも一興。楽しんで作ったのがよく分かる。
 最近又ホラーが復権してきたが、そろそろ飽きられてきた感もある。むしろ活路はこう言う所にあるんじゃないのかな?

 

アプトン
【あぷとん】
 潔癖性の実業家。潔癖性が昂じて無菌室で暮らしているが、呪いがかけられ、ゴキブリの大群に襲われる。役はE=G=マーシャル。 甘崎
クリープショー
【くりーぷ-しょー】
 ビリー少年が読んでいるホラー漫画雑誌。 甘崎
ジョーディ
【じょーでぃ】
 農夫。裏庭に落ちた隕石を使って一儲けを企むが、隕石から出た緑色の粘液をかぶって植物人間になってしまう。役はスティーヴン・キング本人。 甘崎
ネイト
【ねいと】
 横暴で知られた家長。娘に殺されてしまうが…。役はジョン・ローマー 甘崎
ビリー
【びりー】
 ホラー漫画好きの少年。父に雑誌を捨てられてしまうが… 甘崎
ベリンダ
【べりんだ】
 7年前横暴な父ネイトを灰皿で殴り殺した娘。以降すっかりアル中になってしまう。毎年父の日には父の墓に悪態を付くのが日課。役はヴィヴィカ=リンドフォース。 甘崎
ヘンリー
【へんりー】
 気弱な大学教授。大学に届けられた荷物の中にゴリラのような怪物が入っていることを発見し、妻をその怪物に食わせようとする。役はハル=ホルブルック。 甘崎
リチャード
【りちゃーど】
 ビデオマニアの親父。妻が浮気している現場を見つけ、妻と間男を顔だけ出して海辺に埋める。役はレスリー=ニールセン。 甘崎

スペル


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2009年
サム・ライミ(監)

 銀行のローンデスクで働くクリスティン・ブラウン(ローマン)は、ある日立ち退きを命じられた老婆ガーナッシュ夫人(レイヴァー)のローン延長の申し出を受けた。だがその朝丁度上司から、昇進したくば冷徹になれ。と言い渡されていた彼女は、本来受理可能な申請を拒絶してしまう。その夜、ガーナッシュ夫人の待ち伏せにあったクリスティンは呪いの呪文を受けてしまう。そして翌日から、恐ろしい怪現象がクリスティンを襲う…
 インディーズ出身ながら、「スパイダーマン」の大ヒットにより、今やハリウッドのドル箱監督となったサム・ライミ監督。今は専らプロデューサーとして活動中だが、本人が純粋なホラー作品を監督するのは本当に久々のこと。「死霊のはらわた」の大ファンとしては、諸手を上げて歓迎したくなる作品である。お陰で普通なら敬遠してるホラーを劇場に観に行ってしまった。
 ただし、私の場合は、基本的に恐がりなので、精神的に逃げられない劇場でホラー観るのは苦手。そのため本作も劇場内では半ば後悔させられた。ホラー・コメディと聞いていて、「死霊のはらわた2」のようなものを期待していたのに、作りが本物のホラー作品だったため、ちょっと(かなり?)きつかった。この作品だったら友人を集めてわいわい騒ぎながらビデオで観たならば、コメディとして観られるだろうけど、静かな劇場で観てると辛い。
 だいたいこの作品、確信的に「来るぞ来るぞ」と雰囲気を盛り上げて、そのクライマックスに
本当に怖いのが来るお陰で、集中できなかった。
 とはいえ、本当に久々の劇場ホラーは、これはこれで又、楽しい経験だった。特に
「ソウ」以来、最近のホラーは怖がらせるよりも痛がらせる方向に持っていく傾向にあるが、こういうストレートなびっくり箱形式っぽいホラーは妙に懐かしかったし、「ああ、80年代ってこんな感じだったなあ」と妙にしみじみもさせてくれる。本当にライミの原点を感じさせる作品だなあ。と改めてしみじみと思わせる。
 基本的に本作は80年代ベースではあるものの、細かいところでそれ以前、60年代から70年代のホラーのオマージュも詰まっているし(わざわざ雰囲気たっぷりの洋館を出して見せたり、普通都会生活にこんなの必要か?という木造りの納屋を出して見せたりと、敢えて60〜70年代のホラーの小道具を持ち出してくるあたりは、やっぱりホラーマニアの作った作品だと思える。それに「スパイダーマン」で培った演出力にものを言わせ、物語の展開も疾走感あふれるものとして仕上げているし、本当に巧さってものを感じさせてくれる作りだ。
 ホラーにとって重要なのがSQ(スクリーミング・クイーン)の存在。今回主役を張った??は、存分に叫びまくり、マニア心にも大満足。かつて「死霊のはらわた2」でやった絶叫中の喉に目玉が飛び込むのもあり。グロだけど、実に楽しい演出を見せてもくれる。絶叫シーン一つを取っても、とことん楽しませてくれよう。という姿勢には頭が下がるし、ちゃんとマニアが観たいものを見せようと言うサービス精神も良し。
 それになんと言っても、パワフルなおばあちゃん。これに尽きる。これは本作の売りだったが、別段悪霊化してなくても、それだけで充分怖い。というか、あのパワフルさは怖さを通り越して笑えてしまう。
 ストーリーはキング原作の
『痩せゆく男』の焼き直しというか、ほぼ完璧にそのまんまなんだが(著作権大丈夫かいな?)、物語なんてもはやどうでもいいから、描写だけで押し切ってしまった感があり。でも、それこそが本作のねらいであり、売りなんだから、それはそれで良しだろう。
 ホラー好きにとっては大満足の一本だ。

 しかし、観てるときは後悔するほど怖かったのに、改めてこうやってレビューすると、
笑えるところしか思い出せない。なんか不思議な作品だ
 前述の通り、本作はDVDあたりで、友達とワイワイ言い合って笑いながら観るのが正しい観方なんだろう(日本と違ってアメリカの劇場ではきっと劇場内でそう言った”正しい”観方ができてるんだろうな。基本劇場では静かに。というのが私のスタンスだが、これに関しては大声出しながら観たかった気がするよ。

 

ガーナッシュ
【がーなっしゅ】
 銀行からの強制立ち退きを命じられていた老婆。クリスティンに延期を頼んだが、断られたため呪いをかける。 甘崎
クリスティン
【くりすてぃん】
 クリスティン・ブラウン。銀行のローンディスクで働く女性。副支店長の椅子をえるために非情に徹しようとした結果、恨みを買ってしまう。 甘崎
クレイ
【くれい】
 クリスティンの恋人の精神科医。奇矯な行動をとるクリスティンをやさしく受け止めようと努力する。 甘崎
サン・ディナ
【さん-でぃな】
 40年前に助けを求める男の子を悪霊に奪い取られた過去を持つ女霊媒師。霊媒師としてはかなり力を持っているようだ。ラオの“伯母”として登場する女性。ラオがインド系の顔つきしてるのに、この人はヒスパニック系。 甘崎
ジャックス
【じゃっくす】
 銀行の支店長でクリスティンの上司。餌を巧みに撒き、部下同士の競争力を煽る。 甘崎
スチュ
【すちゅ】
 クリスティンの同僚。出世に抜け目ない人間で、クリスティンを蹴落とそうと狙っている。 甘崎
ラミア
【らみあ】
 ガーナッシュ夫人が呼び出した悪霊。3日間死ぬほど術にかけられた人を怯えさせた後、地獄に引き込む。 甘崎
ラム・ジャス
【らむ-じゃす】
 高額で霊視を行う霊媒師。たまたま看板を見たクリスティンが駆け込んだ所。 甘崎

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。

<A> <楽>
アンディ・ムスキエティ(監)
ロイ・リー
ダン・リン
セス・グレアム=スミス
デヴィッド・カッツェンバーグ
バルバラ・ムスキエティ
デイヴ・ノイスタッター
ウォルター・ハマダ
リチャード・ブレナー
トビー・エメリッヒ
マーティ・P・ユーイング
ダグ・デイヴィソン
ジョン・シルク
ニーヤ・クイケンドール(製)
チェイス・パーマー
キャリー・フクナガ
ゲイリー・ドーベルマン(脚)
ジェイデン・リーバハー
ビル・スカルスガルド
ジェレミー・レイ・テイラー
ソフィア・リリス
フィン・ウォルフハード
ワイアット・オレフ
チョーズン・ジェイコブズ
ジャック・ディラン・グレイザー
ニコラス・ハミルトン
ジャクソン・ロバート・スコット
オーウェン・ティーグ
ステファン・ボガルト
スチュアート・ヒューズ
モリー・アトキンソン
スティーヴン・ウィリアムズ
メーガン・シャルパンティエ
ジョー・ボスティック
アリ・コーエン
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 1990年のメイン州デリー。ある雨の日、風邪を引いてしまって弟のジョージーと遊ぶ約束が果たされずに家で寝ていたビル(リーバハー)。ところが一人で雨の中遊びに出かけたジョージーが失踪してしまう。風邪は治ったものの、弟が失踪した原因が自分にあると思い込んだビルは快活さを失ってしまってしまった。そんなビルを中心に、家に問題があったりしていじめられっ子になってしまった同級生が集まってくる。いつしか“負け犬クラブ”と自分たちで名付けたその仲間だが、メンバーの一人の転校生ベンが、デリーでは27年周期で子供の大量失踪が起こっていることを発見する。町のどこかにその原因があるのではないかと考えたベンは、それを探るべく“負け犬クラブ”全員で調査を開始する。

 ホラー会の帝王と言われるスティーヴン・キングの諸作品は、その大部分が映画化されるというほど映画と相性が良いが、確かに映画として傑作と言われる作品も多々存在する。
 では、その原作で一番評価が高いのは?と考えるならば、恐らくそのトップは「IT」となるかと思われる。
 そして愛読者の一人として、私が最も好きな作品もまた「IT」である。
 この作品は最も脂がのった時期の作品と言われることもあるが、前半は少年達の友情とホラーの見事な融合で、ホラー版『スタンド・バイ・ミー』(1986)とも言われるが、重厚さはそれを遙かに超える。更に後半に至ると宇宙規模の広さを持った物語になり、しかもきちんと破綻せずに決着が付いてるところが本当に見事。

 映画とは関係がないが、私がこの原作と出会ったのは、就職して一週間程度の研修会に出席した時だった。五日間は同室に同僚もいたことから、大して本も読めなかったが、研修も終わり、一足先に同僚が帰ってしまって、一晩時間が空いた。そこでやっと持ってきた本を本腰を入れて読むかと、ホテルの一室で読み始めた(それでもそれまでぼ五日で1巻の途中までは読んでいたが)。ところが読み始めるともう止まらない。明け方まで読みふけり、帰りの電車でもずーっと読んでいて、結局10時間くらいも読んでいただろうか?頭ふらふらになりながらも一気読みしてしまった。それだけ本当に面白かったということ。これほど集中して読んだ本は数少ない。
 それだけ好きな作品である。前に映像化されていることを知り、すぐにレンタルで『IT イット』(1990)借りて観た。TMV作品だけに、前半後半合わせて合計4時間近く。割ときちんと映像化されていたが、凝縮しすぎと言った感じ。あの分厚い文庫本4冊分を2時間にまとめること自体が無理。

 本作も『IT イット』の前半部は同じ程度の時間で作られたこともあって、たぶん同じく詰めすぎになるかと思ったのだが、案に相違し、かなり見事な作りになっていた。
 これは演出の凄さのお陰。本来足りない時間を演出力でカバーしてみせた。それが本当に見事。

 はっきりジャンルとしてホラー映画を確立したのはアメリカだったが、世界中でホラーが作られることによって、お国柄で様々な系統のホラーが作られるようになっていった。その中でも突出したジャンルホラーは日本のいわゆるJホラーと、メキシコで作られたスパニッシュホラーが挙げられる。
 本作はそのJホラーとスパニッシュホラーの良いところを上手く融合させ、きちんとハリウッド映えするアメリカンホラーとして作り上げたところが上手い。
 Jホラーは怪談の要素をホラーに取り込み、徐々に近づいてくる幽霊描写が優れており、そこに謎解きを加えることで、人間側と怪物側の双方が歩み寄ってくる描写が醍醐味。対してスパニッシュホラーの場合、刺激しなければ怪物を目覚めさせることがないため、慎重に慎重を重ねて怪物の横を通り過ぎようとしたところ、何かの拍子に怪物を目覚めさせてしまい、それ以降悪夢のような追跡劇に移行するというパターンが多い。そのどちらも取り入れ、更にアメリカンホラーのびっくり箱のようなショック描写を加えることで緊張感をしっかり高めていく。
 その意味では完全に演出の勝利。

 それに本作でのペニーワイズは群を抜く怖さ。『IT イット』の時は分かりやすいピエロの姿だったが、ここでのスカルスガルドの常軌を逸したピエロの造形は見事すぎるほど。特にあらぬ方向を向いてるのに、しっかりこちらを補足して見ている目玉の怖さは特筆すべき造形。あまりに見事にペニーワイズやったもんだから、既に『IT イット』のピエロ姿ではなくこれでアイコン化してしまってるくらい。最も新しいアイコン化されたモンスターと言えるだろう。

 そうなると、今度は続編を心待ちにしてる。決着編を早く観たいものだ。

 

エディ
【えでぃ】
 ぜんそく持ちの少年。ルーザーズクラブの一員。 甘崎
ジョージー
【じょーじー】
 ジョージー・デンブロウ。ビルの弟。雨の日にペニーワイズと出会って連れて行かれてしまう。 甘崎
スタンリー
【すたんりー】
 スタンリー・ユリス。ユダヤ人ラビの息子。ルーザーズクラブの一員。 甘崎
デリー
【でりー】
 メイン州にある街の名前。同じメイン州のキャッスルロックと並び何かと不可解な事件が起こることで有名な街。 甘崎
パトリック
【ぱとりっく】
 パトリック・ホックステッター。不良グループメンバーの一人。 甘崎
ビクター
【びくたー】
 ビクター・クリス。不良グループメンバーの一人。 甘崎
ビル
【びる】
 ビル・デンブロウ。雨の日に弟ジョージーが行方不明になってしまった少年。それ以来吃音に悩まされるようになってしまう。ルーザーズクラブのリーダー。 甘崎
ペニーワイズ
【ぺにー-わいず】
 ピエロの格好をした謎の存在。27年ごとにデリーに現れ、 甘崎
ベバリー
【べばりー】
 ベバリー・マーシュ。学校でいつも毅然と一人で過ごす少女で、自分からルーザーズクラブの一員になりたいと申し出る。 甘崎
ベルチュ
【べるちゅ】
 ベルチュ・ハギンズ。不良グループメンバーの一人。 甘崎
ベン
【べん】
 ベン・ハンスコム。転校してきたばかりの少年。一人で籠もってデリーの歴史研究をしてるため、いじめられっ子の仲間入りしてしまった。ルーザーズクラブの一員。 甘崎
ヘンリー
【へんりー】
 ヘンリー・バワーズ。ルーザーズクラブに対するいじめっ子のリーダー格。警官の息子。 甘崎
マイク
【まいく】
 マイク・ハンロン。アフリカ系の少年。ルーザーズクラブの一員。 甘崎
リッチー
【りっちー】
 リッチー・トージア。メガネの少年。ルーザーズクラブの一員。 甘崎
ルーザーズクラブ
【るーざーず-くらぶ】
 負け犬クラブとも。ビルをはじめとする学校のいじめられっ子男子が集まって結成したグループ。 甘崎
名称
【】
  甘崎

 

IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。

<A> <楽>
バルバラ・ムスキエティ
ダン・リン
ロイ・リー
リチャード・ブレナー
デイヴ・ノイスタッター
ゲイリー・ドーベルマン
マーティ・ユーイング
セス・グレアム=スミス
デヴィッド・カッツェンバーグ(製)
ゲイリー・ドーベルマン(脚)
ジェームズ・マカヴォイ
ジェシカ・チャステイン
ビル・ヘイダー
イザイア・ムスタファ
ジェイ・ライアン
ジェームズ・ランソン
アンディ・ビーン
ビル・スカルスガルド
ジェイデン・マーテル
ワイアット・オレフ
ジャック・ディラン・グレイザー
フィン・ウォルフハード
ソフィア・リリス
チョーズン・ジェイコブズ
ジェレミー・レイ・テイラー
★★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 デリーでのあの事件から27年が経過した。ビルたちルーザーズ・クラブの大部分はメイン州から出て、それぞれ社会的な成功を収めて暮らしていた。だが唯一デリーに残って警察無線に耳を傾けていたマイクは、再びペニーワイズが現れたことを知ってしまう。そしてクラブの面々に連絡を入れる。州を出た全員あの事件のことは忘れていたのだが、マイクの連絡で次々と記憶を取り戻していく。27年前の誓いで、再び町に帰らねばならないことを知りつつ、それでもあの恐怖体験を二度と味わいたくない面々は、ただ断りを入れるためだけにデリーに集結する。

 前作『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の27年後を描いた作品。原作の単行本は二分冊で、前半が前作、後半が本作が描かれているパートとなる(私が読んだ文庫は四分冊で前半二冊と後半二冊に分かれる)
 『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』はホラー版『スタンド・バイ・ミー』(1986)と言った風情で、見所も多いし少年少女の冒険譚として見栄えがするため、画面映えとしては優れた素材だった。
 それに対して本作は27年後の話で、全員中年となっていてアクションシーンもかなり控えめ。前作と比べると怖さも控えめでホラーとして考えるとやや中途半端な印象はある。
 しかし、本作こそが原作の真骨頂で、原作者キングの筆の冴えは軽く前半を凌駕している。なんせキャラ全員が分別を持った年齢だし、社会的にもそれぞれ成功してる。そんな自分たちが何故又恐怖体験に向き合わなければならないのかという心の変化を丁寧に描き、更に幼少時、このデリーで味わったトラウマ体験をずっと引きずり続けている大人がそれを超えることで、人生をポジティブに生きていくという力強いメッセージにもなっているのだ。
 原作のトラウマ話と、そのトラウマのために現在も長苦しめられている表現は小説ではたっぷり描かれている。その表現が映画ではどうなるかと興味持っていたけど、物語配分の問題もあって抑え気味。それでもちゃんと可能な限りその描写に力入れてる(それら一つ一つを丁寧に演出したら映画では間に合わない。テレビシリーズにでもしないと描けない)。全部は出せないまでもギリギリまで出そうと努力したのは、監督がその演出の重要性をよく知ってるからで、本当に原作のファンが作ってることが分かっただけで充分。
 この時間内になんとか抑えようとして監督が真摯に原作に向き合っていることがいくつも分かってくる。

 原作者スティーヴン・キング自身が登場してちゃんと演技まで演ってるのも、監督の原作愛によるものだろう。お陰でホラーにあるまじき丁寧なストーリー展開が楽しめる。すごく好みだ。

 ただ、個人的には結構残念な部分もある。一人一人の描写が丁寧すぎたため、もはやホラーから離れてしまったということ。ペニーワイズの封印も精神的なものなのでカタルシスも弱い。それと前編はビルが中心で良いんだが、原作だと後編の本作はベンとベバリーの二人が中心なんで、この二人についてもう少しだけ突っ込んだ描写がほしかった。
 それは望みすぎか。この演出力で半年くらいのテレビシリーズが作られたら最高なんだが。

 

エディ
【えでぃ】
 ルーザーズ・クラブの一員。実社会ではビジネスマンとして成功しているが、母親そっくりの女性と結婚し、現在も呼吸器を手放せない。 甘崎
スタンリー
【すたんりー】
 スタンリー・ユリス。かつてのルーザーズクラブの一員で銀行員として大成したが、ペニー・ワイズの復活を知り、自分は役に立たないと自殺してしまう。。 甘崎
デリー
【でりー】
 メイン州にある架空の町。 甘崎
ビル
【びる】
 ウィリアム・デンブロウ。現在作家として活躍しているが、その活力はデリーでの事件の記憶からと自覚している。スランプ中にあれから27年が経過したことを知らされる。 甘崎
ペニーワイズ
【ぺにー-わいず】
 27年の周期でデリーに現れるピエロの姿をした魔物。本体は蜘蛛のような姿をしていることが分かった。 甘崎
ベバリー
【べばりー】
 ベバリー・マーシュ。ルーザーズ・クラブの紅一点だった。成長してからデリーから出たが、恋人のDVに悩まされていた。恋人から逃れるような形でデリーに戻ってきた。 甘崎
ベン
【べん】
 ベン・ハンスコム。ルーザーズクラブの一員で、デザイナーとして大成している。ペニー・ワイズの復活を知り、デリーに戻る。 甘崎
マイク
【まいく】
 マイク・ハンロン。ルーザーズ・クラブの一員。唯一デリーに残って警察官になった。最初にペニー・ワイズの復活を知る。 甘崎
リッチー
【りっちー】
 リッチー・トージア。ルーザーズ・クラブの一員で、現在売れっ子コメディアン。 甘崎
名称
【】
  甘崎