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ゴジラ
1996MTVムービー・アワード功労賞
<A> <楽>
本多猪四郎(監)
村田武雄
本多猪四郎(脚)
志村喬
河内桃子
宝田明
平田昭彦
堺左千夫
村上冬樹
山本廉
鈴木豊明
馬野都留子
岡部正
小川虎之助
手塚勝己
中島春雄
林幹
恩田清二郎
菅井きん
榊田敬二
高堂國典
東静子
鴨田清
笈川武夫
川合玉江
今泉廉
橘正晃
帯一郎
堤康久
鈴川二郎
池谷三郎
★★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 日本近海で原因不明の船舶の遭難事故が頻発した。さらに伊豆諸島・大戸島を嵐が襲うが、ただの自然災害とは思えない被害が確認される。派遣された調査団の目の前に、謎の巨大生物が姿を現わす。海底の奥深く眠っていた古代生物が、原水爆の影響で怪獣と化したのだ。大戸島の伝説の龍“呉爾羅”から「ゴジラ」と命名されたその怪獣は、やがて日本を恐怖のどん底に陥れる…全シリーズ第1作にして最高傑作。
 この年、東宝は大きな賭けに出、極端に金のかかる2作品を投入した。一作目は『七人の侍』(1954)であり、そしてもう一つが本作だった。スタッフに円谷英二という、後に“特撮の神様”を冠する特技監督を入れ、更に人間ドラマ部分は美術に中古智、撮影玉井正夫、照明石井町四郎という成瀬組という最強布陣で臨んだ(実際はインドネシアと合作で作るはずだった大プロジェクト『栄光のかげに』が駄目になり、その穴埋め企画として考えられたらしい。しかも当時の邦画2本分の予算とはいえ、前年の『原子怪獣現わる』(1953)の予算の3/4程度)。日本怪獣映画の原点となった作品。勿論初めての試みのため、製作側は公開まで相当やきもきしたらしいが、一旦公開されてしまうと、大ヒット。日本の興行成績でも8位と健闘した。

 こいつを語る前に一言だけ、重要な事を言わねばならない。

 こいつを最高!と言えなくてどこが怪獣映画ファンか!

 これが日本における怪獣映画第1号なのだが、1作目にしてこの完成度。後に追従するどの怪獣映画もこれには及ばないだろうよくぞこれを一作目に作ってくれた。と声を大にして言いたい。、ゴジラの巨大さ、悪魔の如き強力ぶり、恐怖の対象としての巨大生物の恐ろしさを実によく表していた。更にその文字通り足下で起こっている人間ドラマも凝縮され、感動を呼ぶ。
 この作品を俯瞰してみると、今の怪獣映画の基本的要素が見事に入っていることに気付かされる。最初の破壊の惨さと忽然と消え去った生物の姿。その民間伝承。徐々に集められる怪獣の情報。ついに現れた怪獣の山さえも越える巨大さ。近づいてくる怪獣に対する恐怖と人間の側の対策。そしてついに最重要地点への怪獣の上陸。カタストロフ。いや〜、もう思い起こすだけで身体が熱くなってくるみたいな気がする。更にそれを盛り上げる伊福部マーチ。すっかりおなじみとなったこの音楽も、第一作で用いられているものが一番良かったな。
 ここまでは褒めっぱなしだが、実はいくつか不満点もある。なんといっても科学考証が問題となる。300万年前に恐竜がいたとか無茶苦茶なことを学者が言っているとか…まあ、これは良しとする。完全にマッド・サイエンティストの芹沢博士が常識ぶっているところが笑える。悪魔の兵器オキシジェン・デストロイヤーを手に「私はこれを平和利用に使いたい」とか抜かす偽善者ぶりとかも(どっちも笑えるから息抜きには良いけど)。
 ちなみにこのオキシジェン・デストロイヤーは後にゴジラVSデストロイア(1995)で再登場するのだが…

 本作は勿論円谷英二によって企画されたものだが、円谷は個人用にフィルムを持っていたと言うほどのキング・コング(1933)のファンで、何とかしてこれを日本向きに製作できる機会を窺っていたが、丁度前年に原子怪獣現わる(1953)が公開され、それに触発されて恐竜をベースに怪獣を作ろうと考えたらしい(そもそも本作の題名は『海底二万哩から来た大怪獣』であり、これは『原子怪獣現わる』の原題“The Beast From 20,000 Fathoms”のほぼ直訳だった)

 下手すればキワモノ映画になってしまう可能性も持った本作には東宝もかなりの力を入れていたらしく、撮影玉井正夫、照明石井長四郎、美術中古智という、成瀬巳喜男監督のスタッフが丸ごと投入されていた。事実この撮影の直後に、彼らは『浮雲』(1955)を作り上げている。

 押井守作品にも何本かで引用がされていたりして、その傾倒ぶりが伺わせられる(機動警察パトレイバーOAV一期4億5千万年の罠(1988)はゴジラのパロディだし、うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984)では屋外映画で放映していて、それを観てメガネが涙流してたりする)。

 

あのゴジラが最後の一匹とは思えない
【あの-ごじら-が-さいご-の-いっぴき-とは-おもえない】
 ゴジラ消滅を見届けた山根博士が呟いた台詞。 甘崎
稲田
【いなだ】
 大戸島の尊重。大戸島災害陳情団を結成して国会の公聴会で被害状況を訴える。役は榊田敬二。 甘崎
栄光丸
【えいこう-まる】
 最初にゴジラに沈められた貨物船。 甘崎
大沢
【おおさわ】
 国会で首相に詰め寄った女性議員。菅井きんが演じている。 甘崎
大戸島
【おおど-しま】
 ゴジラ伝説を持つ島。ゴジラが最初に現れたのもこの島だった。「おおとじま」表記もあり。 甘崎
尾形秀人
【おがた-ひでと】
 南海サルベージ所長で山根恵子の恋人。山根博士に私淑しており、よく調査には同行している。役は宝田明。 甘崎
オキシジェンデストロイヤー
オキシジェン・デストロイヤー 画像 <A> <楽>
【おきしじぇん-ですとろいやー】
 芹沢博士が開発した水中の酸素を一瞬にして破壊し、あらゆる生物を死滅させる酸素破壊剤。海に潜ったゴジラを一瞬にして消し去ってしまった。 甘崎
小沢
【おざわ】
 野党の女性国会議員。国会の専門委員会で、ゴジラの存在を軽々しく公表すべきでないという発言に対して、憤って反論している。役は菅井きん。 甘崎
ゴジラ 東宝大怪獣シリーズ ゴジラ (1975版)
【ごじら】
 突如南洋から現れた怪獣。大戸島で信奉されていた怪竜“ゴジラ”と姿が似ていたという理由で命名された。その実体は謎ではあるが、太古から生き残っていた恐竜が水爆実験によって突然変異を起こしたと言う説が有力。口からは放射能混じりの火炎を吐き、東京を壊滅状態に陥れる。最後はオキシジェンデストロイヤーによって骨も残さず葬り去られる。 甘崎
世紀の全身発光 ゴジラ450 蓄光オブジェ
S.H.モンスターアーツ ゴジラ (1954)
呉爾羅
【ごじら】
 大戸島に伝わる怪獣の名称。恐ろしく巨大で、海の魚を食べ尽くすと、陸に上がって人間まで食べてしまったという。かつて大戸島では不漁の時は若い娘を生贄として沖に流したという。ゴジラと同一のものかどうかは不明だが、その伝説から現れた怪獣にはこの名前が与えられた。 甘崎
GHK
【じー-えいち-けい】
 日本のラジオ放送局。ゴジラの姿を最後まで中継し続けた。 甘崎
G作品
【じー-さくひん】
 本作の撮影は東宝でも秘密裏に進められており、その際に隠語として用いられた名称。 甘崎
しきね
【しきね】
 海上保安庁巡視船。ゴジラを滅ぼすために芹沢博士らを乗せて東京湾に向かう。 甘崎
新吉
【しんきち】
 大戸島の少年。ゴジラによって踏みつけられた家で唯一生き残った。 甘崎
芹沢大助
【せりざわ-だいすけ】
 隻眼の科学者。かつて山根恵子と婚約の関係だったが、戦争によって片目を失い、自ら婚約を破棄。その後酸素爆弾の作成に没頭しており、オキシジェンデストロイヤーを開発する。役は平田昭彦。 甘崎
田辺
【たなべ】
 物理学者。大戸島の調査に同行する。 甘崎
南海サルベージ
【なんかい-さるべーじ】
 尾形が作った一種の会社。名前の通りサルベージ会社らしいが、働いているのは尾形一人だけのように見える。 甘崎
備後丸
【びんご-まる】
 太平洋上で原因不明の沈没をした漁船。生き残りから巨大生物に襲われた事が分かった。 甘崎
放射熱線
【ほうしゃ-ねっせん】
 ゴジラの吐く白色の煙。強烈な放射能と熱を帯び、鉄塔を飴細工のように溶かしてしまった。ちなみにかつては放射能火炎と呼ばれていたが、この時点では名称はなかった。 甘崎
みなさんさようなら
【みなさん-さようなら】
 GHKのラジオアナウンサーがラジオ塔でゴジラを中継していた際の、最後の台詞。全文は「もう待避するいとまもありません。我々の命もどうなるか……今右手を塔にかけました!ものすごい力!……さようならみなさん。さようなら」 甘崎
もうすぐお父ちゃまのそばへ行くのよ
【もう-すぐ-おとうちゃま-の-そば-へ-いくのよ】
 ゴジラに蹂躙される東京の下町で幼い子供を抱えたお母さんが泣きながら子供達に語っていた台詞。この後、母親は病院で死体の中におり、それにすがって泣く女の子がいた。 甘崎
山田新吉
【やまだ-しんきち】
 大戸島出身の少年で政治の弟。ゴジラに家を踏み潰されて家族も失ってしまう。孤児となってから尾形に引き取られる。 甘崎
山田政治
【やまだ-まさじ】
 大戸島出身の栄光丸乗組員。栄光丸転覆には生き残ったが、その後の大戸島へのゴジラ襲来で家ごと踏みつぶされてしまった。 甘崎
山根恭平
【やまね-きょうへい】
 古生物学者。頭が相当柔らからしく、ゴジラの存在をいち早く警告していた。役は志村喬。 甘崎
山根恵美子
【やまね-えみこ】
 山根博士の娘。かつて芹沢博士の婚約者だったが、婚約破棄され、現在尾形秀人と恋人関係にある。 甘崎
名称
【】
  甘崎

ゴジラの逆襲

<A> <楽>
小田基義(監)
田中友幸(製)
村田武雄
日高繁明(脚)
小泉博
若山セツ子
笠間雪雄
千秋実
木匠マユリ
沢村宗之助
志村喬
清水将夫
笈川武夫
山田巳之助
恩田清二郎
土屋嘉男
山本廉
大友伸
木村千吉
牧壮吉
広瀬正一
吉田新
土屋博敏
夏木順平
三田照子
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 魚群探査機パイロット月岡(小泉博)と小林(千秋実)は、岩戸島でゴジラを目撃する。水爆によって誕生したゴジラは一匹だけではなかったのだ。しかもそこにはもう一つ、暴竜アンギラスの影も!防衛隊の努力も空しくゴジラは大阪へ上陸、それを追ってアンギラスも大阪へ向かい、二匹の闘いによって大阪は廃墟と化してしまう。やがてゴジラは氷の島・神子島にいるところを確認された。今度こそゴジラを倒せるのか?

 前年の『ゴジラ』(1954)の大ヒットを受けて急遽製作決定され、僅か6ヶ月で制作された続編。前回は東京だったため、今度は大阪に舞台を移す(些か単純な理由だが)。前回の東京以上に徹底的に破壊される大阪の町は見ていて楽しめる。尚、今回からゴジラには敵役が登場するわけだが、今回に関してはプロレスよりむしろ二大怪獣による破壊の方に主眼が置かれているようで、カメラアングルとか、逃げまどう人とかよく練り込まれて作られている。この二体の怪獣に善悪の区別はなく、彼らが戦えば人間側では迷惑するだけと言うのも良い。ただ、今回は飛行機からゴジラを俯瞰で見るシーンが多く、ややゴジラが小さく見えてしまうのがちょっと悲しい。
 ところでここのゴジラの造形だが、前回と異なり今回は格闘を前提とした造りとなっているため、随分シェイプアップしたものになっている。その分、体型が非常に人間っぽくなってしまったのは少々残念ながら、実際動きは良く、後の怪獣プロレスの可能性(引いては「ウルトラマン」の制作)にも貢献したことが分かる。
 初のゲスト怪獣であるアンギラスはいかにも地底獣という雰囲気で造形及びコンセプトは素晴らしい(次回作以降では単なるゴジラのお助け役(若しくはやられ役)になってしまったのが非常に残念)。
 ちなみに『ゴジラ』(1954)はトランスワールド・リリーシングという小さな製作会社によって買われてアメリカで手直しして公開されたが、それがそこそこヒットしたこともあって、本作はワーナーが買ってアメリカ公開している。

 

アンギラス ゴジラシリーズ アンギラス ソフビ
【あんぎらす】
 『ゴジラの逆襲』でデヴューしたゴジラ最初の対戦怪獣。背中を無数のトゲに覆われた、恐竜アンキロサウルスの突然変異怪獣。もっとも外見からは出自の面影はない。あっさり大阪でゴジラに焼き殺されたのち、長いブランクののち『怪獣総進撃』で再デヴュー。キングギドラ・リンチ事件にかかわったのちゴジラの舎弟となり、ガイガン、メカゴジラ等に挑むも明らかな弱さを露呈するばかりであり、ファンの同情を買った。平成時代に入っては『大怪獣総攻撃』出演のオファーがあったが、諸般の事情により出られず。2004年、久々の映画出演に期待したいところである。なお、「ニャンギラス」なる類似した名前の存在が一時TVを賑わせたが、姉妹怪獣ではないらしい。 水那岐
 四本脚で背中に棘付きの甲羅を背負った怪獣で、ゴジラ同様アンキロサウルスが水爆の放射能によって突然変異したものらしい。山根博士によれば、脳を二つ持ち、そのお陰で素早く動けるとか…。岩戸島からゴジラと闘いながら大阪へと上陸。地上での闘いでは分が悪く、結局ゴジラに組み伏せられてしまった。以降のシリーズには度々登場するが、主にゴジラの仲間になっている。役は小泉博。 甘崎
アンキロサウルス
【あんきろ-さうるす】
 アンギラスのベースとなった恐竜。実際は体長11メートルほどの草食恐竜。 甘崎
池田
【いけだ】
 北海道の防衛隊隊員。田島と月岡とは大学が同じで飛行隊の戦友だった。ゴジラの封じ込めのため、舟艇部隊の指揮を執る。。 甘崎
井上やす子
【いのうえ-やすこ】
 海洋漁業KK大阪本社の無線通信士。小林とは無線を通じて丁々発止のやりとりをしている。役は木匠マユリ。 甘崎
岩戸島
【いわと-じま】
 最初にゴジラとアンギラスの戦いが目撃された島。 甘崎
海洋漁業KK
【かいよう-ぎょぎょう-けい-けい】
 大阪に本社を持つ漁業会社。ゴジラによって徹底的に痛めつけられるが、それでも不屈の精神で再建を志す。 甘崎
神子島
【かみこ-じま】
 北方に浮かぶ氷だらけの島で、ゴジラとの最終決戦地。ここで氷塊を崩すことでゴジラを生き埋めにする。実はここは日本ではなくロシア領土。 甘崎
ゴジラ
【ごじら】
 日本に現れた二体目のゴジラ。アンギラスと死闘を繰り広げつつ大阪に上陸。その後、神子島に現れたところを航空隊の攻撃によって氷塊の中に埋められる。造形は格闘を前提とした造りとなっているため、随分シェイプアップしたものになっている。その分、体型が非常に人間っぽくなってしまった。 甘崎
ゴジラの逆襲 ゴジラ1955
ゴジラ(初代)
【ごじら】
 物語冒頭に記録映像として登場した初代ゴジラ。時空的には一年前に上陸。 甘崎
小林弘治
【こばやし-ひろし】
 魚群探査機パイロット。最初にゴジラを目撃した人物だが、岩戸島に不時着。月岡により助けられる。神子島でのゴジラ攻撃に志願し、最後はゴジラに向けて特攻をかけるが、ゴジラの火炎に焼かれて死亡。役は千秋実。 甘崎
芝木信吾
【しばき-しんご】
 海洋漁業KK北海道支局長。 甘崎
田島
【たじま】
 戦闘機乗り。 甘崎
田所
【たどころ】
 古生物学者。ゴジラの上陸地点を特定する。 甘崎
月岡正一
【つきおか-しょういち】
 魚群探査機パイロット。岩戸島に不時着した小林機を救出する際、ゴジラとアンギラスを発見する。最初の目撃者として重宝され、空中からのゴジラ攻撃の際には必ず参加する。 甘崎
寺沢
【てらさわ】
 戦闘機乗り。ゴジラ攻撃隊の隊長。 甘崎
ポンポン砲
【ぽんぽん-ほう】
 オリジナル兵器車両の24連装ロケット砲車の通称。本作が初出となる。 甘崎
山路耕平
【やまじ-こうへい】
 海洋漁業KK社長。 甘崎
山路秀美
【やまじ-ひでみ】
 山路社長の娘で海洋漁業KKの無線係をしている。 甘崎
山根恭平
【やまね-きょうへい】
 古代生物学の権威で、復活したゴジラとアンギラスの能力を特定する。一作目に続き志村喬が好演。 甘崎
名称
【】
  甘崎

 

キングコング対ゴジラ

<A> <楽>
本多猪四郎(監)
関沢新一(脚)
高島忠夫
浜美枝
佐原健二
藤木悠
有島一郎
若林映子
平田昭彦
田崎潤
大村千吉
小杉義男
沢村いき雄
根岸明美
松村達男
松本染升
堺左千夫
千葉一郎
加藤春哉
ダグラス・フェーン
金子吉延
田島義文
三島耕
山本廉
大友伸
ハロルド・コンウェイ
オスマン・ユセフ
広瀬正一
桐野洋雄
中山豊
田武謙三
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 国連の潜水艦・シーホーク号が北極での異変調査中に行方不明となるが、それは復活したゴジラの仕業であった。同じ頃「巨大なる魔神」の話を聞き付け南方はるかファロ島へと辿り着いた大取材班は、伝説の怪物巨大猿と遭遇する。彼等によって日本へと運ばれるがその途中で脱走、帰巣本能から日本へと南下していたゴジラ目掛けて北上を開始する。かくして、二大怪獣の世紀の決戦の火蓋が切られた!

 アメリカの製作会社ユニヴァーサルから全面的なバックアップを受けて作られた初のカラーで作られた作品で、アメリカでもかなりゴジラの知名度が上がっていることが分かる。
 この作品は初期の並み居るゴジラ作品の中でもかなり特異な位置づけにあるが、しかし、一作目を別にすれば完成度の最も高い映画でもある。なにせアメリカの怪獣の代表キングコングと戦わせようという剛毅さが気に入った!(尤も、劇中ではその辺を配慮したのか、「南海の魔神」とかそう言う言葉で置き換えていたが)更に言わしてもらうと、『ゴジラ』を超え、怪獣映画史上最大の興行成績を記録した作品でもある(1,260万人を動員し、1962年邦画の興行成績では4位)
 このゴジラの良さは何と言っても造形の素晴らしさが挙げられよう。キングコングの出来は本家のようにゴリラ然としていないが、様々な猿の複合体みたいで非常に好感が持てる(よく見ると結構可愛いんだ、これが)。しかもこれがよく動く。ゴジラの造形も出色の出来で、非常に精悍な顔つきをしているし、よくもあそこまで動かした!と思えるほど動きが良い(実は本作からゴジラの繰演にモーターが導入されている)。何と言ってもコングがゴジラの尻尾掴まえてジャイアントスウィングするのは圧倒的迫力!
 ここでのゴジラはまだ悪役然としていて、どちらかというとコングの方が善玉的役割を果たしているが、ゴジラの方も火炎を吐くことも少なく、とっくみあいに持ち込むなど、なかなか紳士的な一面も持っている(以降のゴジラシリーズの「暴れん坊」という名称はこの辺りから来ているのだろう)
 一応ここには人間による姑息な撃退法が使われているが、逆にそれがゴジラに有利に働く辺り、怪獣映画における人間の役割の弱さを示していて良し。怪獣というのは圧倒的力を持っているからこそ怪獣映画なのだ。この辺りで止めているからこそ、楽しいんだろう。
 本作の大ヒットにより、以降怪獣プロレス的な要素を持つゴジラシリーズが製作されるようになるが、そう考えると、本作のゴジラこそが実は以降のゴジラシリーズの最初のゴジラと言うことになる(まだ今回はゴジラはあくまで悪役であり、人類を救うのはキングコングの方だったが)。
 又、本作は東宝喜劇映画の常連が続々と出演していることからも分かるが、,かなりの方向転換が図られた作品でもある。特に探検隊隊長の有島一郎のすっとぼけた演技がはまっているが、これも前年の作品である『モスラ』が思わぬ好成績だったからだろうと思われる。
 本企画は実は日本人が原案ではないところが味噌。ストップ・モーション・アニメーションの粗にして名作『キング・コング』(1933)を作り上げた技術屋オブライエンが是非作ってみたかったものとして候補に挙げていた『キング・コング対フランケンシュタイン』案を東宝が買って作り上げたもの。フランケンシュタインの方もちゃんと『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965)で使っているので、東宝としてはとても効率の良い買い物だったのでは?

 

大ダコ
【おお-だこ】
 ファロ島に生息する巨大なタコ。キングコングによって追い払われる。『フランケンシュタイン対地底怪獣』の海外版及び『サンダ対ガイラ』で用いられた着ぐるみの流用。 甘崎
大トカゲ
【おお-とかげ】
 ファロ島に棲息する巨大爬虫類。 甘崎
大貫
【おおぬき】
 原子科学者。ゴジラ対策の顧問的な役割を果たし、ゴジラとキングコングを戦わせて共倒れにさせようと提案する。役は松本染升。 甘崎
大林
【おおばやし】
 パシフィック製薬宣伝部員。薬は堺左千夫。 甘崎
ガソリン作戦
【がそりん-さくせん】
 ゴジラ埋没作戦に先行し、ゴジラの移動方向にある河川に多量のガソリンを流し込んで引火させ、ゴジラの移動を変える作戦。 甘崎
巨大なる魔神
【きょだい-なる-ましん】
 ファロ等に伝わる伝説。巨大な猿のことだった。 甘崎
キングコング
【きんぐ-こんぐ】
 大怪力怪獣。ファロ島の守護神として祀られていた巨大な猿。日本のテレビ取材班によって発見され、日本に連れてこられるが、脱走してゴジラと戦う事になる。 甘崎
キングコング<amazon> キングコング<楽天>
古江金三郎
【こえ-きんざぶろう】
 テレビ局に勤める青年。パシフィック製薬宣伝部長の多胡によってファロ島に派遣され、そこでキングコングと出会う。 甘崎
ゴジラ
【ごじら】
 北極海に眠っていた前回『ゴジラの逆襲』の同一個体(姿は違っているが)。キングコングと二度にわたって対決した後、キングコングと組み合ったまま相模湾に転落して姿を消す。 甘崎
ゴジラ焼き
【ごじら-やき】
 パシフィック製薬の食堂で出されているメニュー。どのような料理かは不明。 甘崎
桜井修
【さくらい-おさむ】
 TTV放送局のカメラマン。パシフィック製薬宣伝部長の多胡によってファロ島に派遣され、そこでキングコングと出会う。役は高島忠夫。 甘崎
桜井ふみ子
【さくらい-ふみこ】
 桜井修の妹。藤田一雄のフィアンセ。役は浜美枝。 甘崎
シーホーク号
【しー-ほーく-ごう】
 アメリカの原子力潜水艦。急激に温度が上昇した北極海の調査に向かった。そこでゴジラと遭遇し、沈没させられてしまう。 甘崎
重沢正介
【しげさわ-しょうすけ】
 生化学博士。ゴジラが帰巣本能によって日本に上陸することを予想した。役は平田昭彦。 甘崎
ジャイアントスイング
【じゃいあんと-すいんぐ】
 相手の両脚を両脇に抱えて振り回すプロレス技。キングコングがゴジラの尻尾を掴んで振り回したのが最初。以降ゴジラは好んでこの技を使う用になる。 甘崎
世界驚異シリーズ
【せかい-きょうい-しりーず】
 パシフィック製薬提供のテレビ番組で、世界中の変わったものを紹介する番組。 甘崎
多胡
【たご】
 パシフィック製薬宣伝部長。ファロ島の巨大なる魔神の噂を聞きつけ、桜井と古江の二人を派遣した張本人。 甘崎
豊登道春
【とよのぼり-みちはる】
 日本プロレスに属するプロレスラー。両手を交差させながら両脇を鳴らせる動作がトレードマーク。ゴジラがやっている真似。 甘崎
パシフィック製薬
【ぱしふぃっく-せいやく】
 テレビ番組世界驚異シリーズを提供している製薬会社。 甘崎
100万ボルト作戦
【ひゃくまん-ぼると-さくせん】
 ゴジラが電気を苦手とすることを知った自衛隊によって敷設された高圧電線で、ゴジラを首都に近づけまいとする作戦。作戦自体は成功したものの、キングコングがこれに触れて帯電体質になってしまった。 甘崎
ファロ島
【ふぁろ-とう】
 ミクロネシアに位置する孤島。ここには巨大なる魔神がいるという伝説がある。 甘崎
藤田一雄
【ふじた-かずお】
 桜井ふみ子のフィアンセ。特殊繊維のテストのために海外渡航中にゴジラに襲われてしまう。 甘崎
名称
【】
  甘崎

モスラ対ゴジラ

<A> <楽>
本多猪四郎(監)
関沢新一(脚)
宝田明
星由里子
小泉博
ザ・ピーナッツ
藤木悠
田島義文
佐原健二
谷晃
木村千吉
中山豊
田武謙三
藤田進
八代美紀
小杉義男
沢村いき雄
田崎潤
佐田豊
山本廉
野村浩三
堤康久
津田光男
大友伸
大村千吉
岩本弘司
丘照美
大前亘
土屋詩朗
熊谷卓三
宇野晃司
古田俊彦
澁谷英男
宇留木耕嗣
越後憲三
権藤幸彦
佐藤功一
安芸津広
岡部正
坂本晴哉
久野征四郎
高木弘
山田圭介
緒方燐作
鈴木治夫
手塚勝己
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 台風に乗って巨大な卵が海岸に流れ着いた。新聞記者の酒井(宝田明)と助手の純子(星百合子)はインファント島から来た小美人(ザ・ピーナッツ)から、それがモスラの卵だと教えられる。だが卵は興行主の熊山(田島義文)らの手に渡って見世物にされようとしており、取り戻そうとする小美人の声も届かない。そんなある日、台風で被害を受けた干拓地からゴジラが出現し街を蹂躙し始め、防衛隊の作戦も失敗に終わる。この危機を救えるのはモスラしかいないが、インファント島の成虫モスラはまもなく寿命を迎えんばかりの状態になっていた…
 単独でシリーズを持っていた『ゴジラ』(1954)『モスラ』(1961)を融合させた作品だが、本作は以降のシリーズの大きな試金石として製作された。これまで東宝怪獣シリーズはあくまで単独で作られ、同一の怪獣が出てきたとしても、それは基本的には別個体という認識がなされてきた。だが本作において、モスラは『モスラ』で登場した同一個体とされ、ゴジラも前作『キングコング対ゴジラ』(1962)で海に転落したゴジラと同一のものとされる。
 ストーリーの方は復讐譚として「曾我兄弟」をベースに、人の欲の浅ましさ、原水爆の恐ろしさ、そして善意ある者の誠意が結局勝つのだ。と言う形に持っていく、まあ言うなればゴジラの黄金パターン。いや、そう言うのは当てはまらないな。むしろこの作品がその形を作ったと言った方が良いかも知れない。
 物語は兎も角、この作品はゴジラという素材を縦横無尽に使い切った事の方に意味があるだろう。ここでのゴジラは「モスゴジ」などと言われ、「キンゴジ」(『キングコング対ゴジラ』と並び称される程の傑作造形だった。どことなく愛敬のある顔立ちに、凶悪な三白眼を付けることで、素晴らしいバランスの表情を見せていた。土中に埋められたゴジラが這い上がってくる様は人間が中に入っているとは思えないほどに生物感に溢れ(ゴジラアクターの中島春男の名演ぶり)、尻尾の操演は最早名人芸と言っても良い。本当に良く動く。ゴジラ本人よりも尻尾の演技の方に目が行ってしまう程。ただ、その分モスラの方にやや魅力が感じられなかったかな?都合3匹も出てくるしねえ。
 後はインファント島の描写は面白かった。明らかに日本人の顔立ちしているのが暗黒舞踊を踊っているのには笑えるし、ザ・ピーナッツの「モスラ〜ぃやっ、モスラ〜」も良い(「ぃやっ」の部分で民謡風に語尾を上げるのがポイント)。今観ても充分鑑賞に足る作品。
 ゴジラ造形が素晴らしいことは言ったが、しかしその素晴らしいバランスを取っていたゴジラが次々と受難に遭う。砂だらけになるわ、変な粉をかぶせられるわ、顔が燃えるわ、モスラの粘糸で絡めとめられるわ、挙げ句に海にたたき落とされるわ…余計なお世話だろうが、中に入ってる人はさぞ大変だっただろう。
 物語にもバランスが取れていて、結構好きなのだが、ラストの宝田明の台詞に急に醒める。「俺たちが良い世界を創ろうじゃないか」。確かに良い台詞には違いないと思う。だけど、あれだけ悲惨なことになってるインファント島にこれだけ迷惑をかけておいて、あそこには何の援助も必要ないんだ。と言う風にも取れてしまい、結局身勝手なだけじゃないか。としか思えなかったのがなあ。

 ちなみにゴジラ映画はこれまでアメリカでは様々な製作会社によって買われたが、本作以降ヘンリー・G・サパスタイン率いるベネディクト・プロによって買われ、一貫してAIPで配給されることとなる。

 

悪魔の火
【あくま-の-ひ】
 インファント島民が語るロリシカ共和国が行った核実験のこと。 甘崎
悪魔の禊ぎ
【あくま-の-みそぎ】
 インファント島民が常飲している、島の特殊なカビから作られた飲料。放射能に対する免疫効果があり、このために島民は原爆実験の至近距離にいながら生き残ることが出来た。悪魔の火から逃れるための禊ぎという意味。 甘崎
あの人達へのお礼は我々が良い社会を作る事だ
【あの-ひと-たち-への-おれい-は-われわれ-が-よい-しゃかい-を-つくる-こと-だ】
 小美人をインファント島に送り届けた際に語られた台詞。 甘崎
岩島
【いわ-じま】
 静之浦の小島。ゴジラとモスラ幼虫が戦った場所。 甘崎
インファント島
【いんふぁんと-とう】
 カロリン諸島ミクロネシアにある孤島でモスラが生息している島。元は緑に溢れる美しい島だったが、ロリシカ共和国の核実験場に使用された結果、不毛な地となった。辛うじて島の中央部には密林が残っている。 甘崎
A作戦
【えい-さくせん】
 ゴジラを防ぐために自衛隊が取った作戦。空挺部隊と特車隊によってゴジラをA地点に追い込み、人工雷を放射する作戦だったが、発電装置を設置した鉄塔を破壊されて失敗。 甘崎
京南大学
【きょうなん-だいがく】
 大学教授の三浦が在籍する大学。東宝映画『若大将』シリーズで有名な大学と同名だが、関連は不明。 甘崎
熊山
【くまやま】
 ハッピー興行社社長。モスラの卵を見せ物にしようと、網元から買い取る。ゴジラ出現によって卵の一般公開が出来なくなって破産してしまう。最後は虎畑の金を強奪しようとして射殺されてしまった。役は田島義文。 甘崎
倉田干拓地
【くらた-かんたく-ち】
 三重県にある倉田浜産業計画のために埋め立てられた干拓地。キングコングとの戦いの後、流れ着いたゴジラがここに埋め立てられてしまっていた。 甘崎
ゴジラ
【ごじら】
 四日市に現れ、中部を蹂躙した。名古屋城を破壊する。『ゴジラの逆襲』の同一個体の二代目ゴジラ(姿は違っているが)。 甘崎
酒井市郎
【さかい-いちろう】
 毎朝新聞記者。小美人と最初に出会う。役は宝田明。 甘崎
静之浦ハッピーセンター
【しずのうら-はっぴー-せんたー】
 モスラの卵を中心にしたレジャーランド。計画中にモスラが孵化してしまって挫折。 甘崎
小美人
【しょう-びじん】
 インファント島に住むという体長30センチの双子のモスラの巫女。インファント島に唯一残ったモスラの卵が日本に流れ着いてしまったため、それを取り戻すべく日本へやって来た。役はザ・ピーナッツ。 甘崎
人工雷発生装置
【じんこう-かみなり-はっせい-そうち】
 自衛隊がゴジラ撃退のために用いた雷発生装置。変電所から来る高圧電流を雷としてゴジラに浴びせた。単独でゴジラを攻撃したA作戦は失敗し、帯電ネットでゴジラを包んだ上で電流を浴びせるB作戦は成功寸前まで行ったが、電圧に耐えきれずに電流が止まってしまう。 甘崎
虎畑二郎
【とらはた-じろう】
 興行師。モスラの卵を見せ物にしようとした。 甘崎
中西純子
【なかにし-じゅんこ】
 毎朝新聞記者で酒井市郎の助手。役は星由里子 甘崎
ハッピー興行社
【はっぴー-こうぎょう-しゃ】
 流れ着いたモスラの卵を観光名所にしようとした会社。 甘崎
B作戦
【びー-さくせん】
 人工雷発生装置と帯電ネットを組み合わせてゴジラを攻撃する作戦。作戦成功寸前まで行く。 甘崎
毎朝新聞
【まいちょう-しんぶん】
 酒井市郎の勤める新聞社。 甘崎
モスラ
【もすら】
 インファント島の守護神。ゴジラと戦って敗北するが、残された二匹の子どもがゴジラにリベンジする。 甘崎
61式特車
【ろくじゅういち-しき-とくしゃ】
 ゴジラ迎撃のために出撃した戦車。 甘崎
名称
【】
  甘崎

 

三大怪獣 地球最大の決戦

 

<A> <楽>
本田猪四郎(監)
関沢新一(脚)
宝田明
星由里子
小泉博
ザ・ピーナッツ
藤木悠
田島義文
佐原健二
谷晃
木村千吉
中山豊
田武謙三
藤田進
八代美紀
小杉義男
沢村いき雄
田崎潤
佐田豊
山本廉
野村浩三
堤康久
津田光男
大友伸
大村千吉
岩本弘司
丘照美
大前亘
土屋詩朗
熊谷卓三
宇野晃司
古田俊彦
澁谷英男
宇留木耕嗣
越後憲三
権藤幸彦
佐藤功一
安芸津広
岡部正
坂本晴哉
久野征四郎
高木弘
山田圭介
緒方燐作
鈴木治夫
手塚勝己
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 台風に乗って巨大な卵が海岸に流れ着いた。新聞記者の酒井(宝田明)と助手の純子(星百合子)はインファント島から来た小美人(ザ・ピーナッツ)から、それがモスラの卵だと教えられる。だが卵は興行主の熊山(田島義文)らの手に渡って見世物にされようとしており、取り戻そうとする小美人の声も届かない。そんなある日、台風で被害を受けた干拓地からゴジラが出現し街を蹂躙し始め、防衛隊の作戦も失敗に終わる。この危機を救えるのはモスラしかいないが、インファント島の成虫モスラはまもなく寿命を迎えんばかりの状態になっていた…
 単独でシリーズを持っていた『ゴジラ』(1954)『モスラ』(1961)を融合させた作品だが、本作は以降のシリーズの大きな試金石として製作された。これまで東宝怪獣シリーズはあくまで単独で作られ、同一の怪獣が出てきたとしても、それは基本的には別個体という認識がなされてきた。だが本作において、モスラは『モスラ』で登場した同一個体とされ、ゴジラも前作『キングコング対ゴジラ』(1962)で海に転落したゴジラと同一のものとされる。
 ストーリーの方は復讐譚として「曾我兄弟」をベースに、人の欲の浅ましさ、原水爆の恐ろしさ、そして善意ある者の誠意が結局勝つのだ。と言う形に持っていく、まあ言うなればゴジラの黄金パターン。いや、そう言うのは当てはまらないな。むしろこの作品がその形を作ったと言った方が良いかも知れない。
 物語は兎も角、この作品はゴジラという素材を縦横無尽に使い切った事の方に意味があるだろう。ここでのゴジラは「モスゴジ」などと言われ、「キンゴジ」(『キングコング対ゴジラ』と並び称される程の傑作造形だった。どことなく愛敬のある顔立ちに、凶悪な三白眼を付けることで、素晴らしいバランスの表情を見せていた。土中に埋められたゴジラが這い上がってくる様は人間が中に入っているとは思えないほどに生物感に溢れ(ゴジラアクターの中島春男の名演ぶり)、尻尾の操演は最早名人芸と言っても良い。本当に良く動く。ゴジラ本人よりも尻尾の演技の方に目が行ってしまう程。ただ、その分モスラの方にやや魅力が感じられなかったかな?都合3匹も出てくるしねえ。
 後はインファント島の描写は面白かった。明らかに日本人の顔立ちしているのが暗黒舞踊を踊っているのには笑えるし、ザ・ピーナッツの「モスラ〜ぃやっ、モスラ〜」も良い(「ぃやっ」の部分で民謡風に語尾を上げるのがポイント)。今観ても充分鑑賞に足る作品。
 ゴジラ造形が素晴らしいことは言ったが、しかしその素晴らしいバランスを取っていたゴジラが次々と受難に遭う。砂だらけになるわ、変な粉をかぶせられるわ、顔が燃えるわ、モスラの粘糸で絡めとめられるわ、挙げ句に海にたたき落とされるわ…余計なお世話だろうが、中に入ってる人はさぞ大変だっただろう。
 物語にもバランスが取れていて、結構好きなのだが、ラストの宝田明の台詞に急に醒める。「俺たちが良い世界を創ろうじゃないか」。確かに良い台詞には違いないと思う。だけど、あれだけ悲惨なことになってるインファント島にこれだけ迷惑をかけておいて、あそこには何の援助も必要ないんだ。と言う風にも取れてしまい、結局身勝手なだけじゃないか。としか思えなかったのがなあ。

 ちなみにゴジラ映画はこれまでアメリカでは様々な製作会社によって買われたが、本作以降ヘンリー・G・サパスタイン率いるベネディクト・プロによって買われ、一貫してAIPで配給されることとなる。

  

青空千夜・一夜
【あおぞら-せんや-いちや】
 実在の漫才コンビ。テレビ番組「あの方はどうしているのでしょう?」の司会で、インファント島から招いた小美人のインタビューを行っている。 甘崎
あの方はどうしているのでしょう?
【あの-かた-は-どうして-いる-の-でしょう】
 青空千夜・一夜が司会を務める第7チャンネルの公開テレビ番組。モスラに会いたいという少年のためにインファント島から小美人を招いた。 甘崎
インファント島
【いんふぁんと-とう】
 モスラのいる島。小美人がここから日本に招かれた。 甘崎
引力光線
【いんりょく-こうせん】
 キングギドラが三つの口から吐く光線。標的を一瞬無重力状態にした上で破壊する。 甘崎
宇宙円盤クラブ
【うちゅう-えんばん-くらぶ】
 脳波により空飛ぶ円盤と交信しようと試みる団体。20名近い会員がいる。1965年1月に大規模な特別集会が持たれた。 甘崎
黄金の腕輪
【おうごん-の-うでわ】
 セルジナ公国王位継承者の証となる腕輪。記憶喪失となったサルノ王女が、自分を助けた漁師にあげてしまう。 甘崎
俺たちの知ったことか。勝手にしやがれ
【おれ-たち-の-しった-こと-か-かって-に-しやがれ】
 人間を助けに行く前にゴジラとラドンがかわした会話。この後に「我々が人間を助ける理由は何も無い。人間はいつも我々をイジめているではないか」と続く。 甘崎
キングギドラ
【きんぐ-ぎどら】
 金色の三つ首を持つ宇宙超怪獣。その存在の大きさは一頭で金星文明を崩壊へ追い込んだことからも証明できるであろう。以上がデビュー作『三大怪獣 地球最大の決戦』で知ることのできる彼のプロフィールであるが、この後間もなく彼は没落の一途を辿る。『怪獣大戦争』ではX星人に、『怪獣総進撃』ではキラアク星人にアゴで使われた。もっとも彼は並の怪獣二・三頭では倒すことはできず、十頭がかりでやっと葬ることができたほどの王者ぶりを誇った。この後戦闘に疲れてか、『ゴジラ対ガイガン』に脇役でくたびれた姿を見せた後潜伏期間に入る。しかし平成に入り、『ゴジラVSキングギドラ』でその威厳は地に落ちる。いきなり冒頭シーンで彼は首を一本引きちぎられて海底に沈められていたのだ。もっとも、それは未来人がペット三匹に放射線を浴びせて創造した邪道ギドラもどきと判るのだが…。それでも半分サイボーグに改造させられ、未来人に操られてゴジラに挑む姿は涙なしには見られなかった。そして『モスラ3』では恐竜を貪り喰らう悪鬼のごとき姿を垣間見せてくれたものの、鎧モスラの翼に切り裂かれるラストにまた、涙。そして近作『大怪獣総攻撃』では護国聖獣とやらに成り下がり、まだ成長過渡期の未熟者とは言うもののゴジラの放射火炎に呑まれ絶命してしまった。一ギドラファンとしては語りかけたい、今は安らかに眠れと。いつかおまえという巨大な存在を世界が再認識してくれる、その時まで…。 水那岐
金星人
【きんせい-じん】
 キングギドラ襲来によって5000年前に滅んだ金星の住民。地球人のDNAの中に眠っており、時折先祖返りを起こす事がある。セルジナ王国王女サルノがキングギドラの波動を感じて覚醒した。 甘崎
国際合同軍
【こくさい-ごうどう-ぐん】
 キングギドラと戦う為に各国によって作られた組織らしいが実態は不明。 甘崎
ゴジラ
【ごじら】
 横浜港に現れ、ラドンと戦いつつ日本を縦断。富士山麓で合流したモスラと共にキングギドラを撃退する。『ゴジラの逆襲』の同一個体の二代目ゴジラ。 甘崎
寿山号
【ことぶきやま-ごう】
 小美人がインファント島に変えるために利用するはずの客船で、現れたゴジラによって撃沈された。事前に金星人の警告を受けた小美人は乗っていなかった。 甘崎
サルノ
【さるの】
 サルノ・マウス・ドゥリナ。金星人を名乗る少女。実は金星人の末裔でセルジナ王国の王女だったが、キングギドラが地球に向かった事を伝えるため金星人の残存思念が取り憑いた。セルジナ国の過激派によって命を狙われている。役は若林映子。 甘崎
幸せを呼ぼう
【しあわせ-を-よぼう】
 テレビ番組「あの方はどうしているのでしょう?」に招かれた小美人が歌った曲。モスラを呼び寄せるためにも歌われた。 甘崎
小美人
【しょう-びじん】
 テレビ番組「あの方はどうしているのでしょう?」に招かれたモスラの巫女。いつの間にか親日家になってしまったようだ。役は引き続きザ・ピーナッツ。 甘崎
進藤
【しんどう】
 刑事。女予言者サルノの身辺調査をしている内に事件に巻き込まれてしまう。役は夏木陽介。 甘崎
進藤直子
【しんどう-なおこ】
 進藤刑事の妹。テレビ局の企画「20世紀の神話」制作のため飛び回り、そのネタを求めて兄の元にもちょくちょくやってくる。 甘崎
セルジナ王国
【せるじな-おうこく】
 地球上のどこかに存在する王国。サルノ王女が消えてしまったために右往左往することになる。 甘崎
塚本
【つかもと】
 自称金星人のサルノ王女を診断した精神科医。役は志村喬。 甘崎
帝都工大
【ていと-こうだい】
 村井が属する大学。黒部に落下した隕石の調査を依頼される。 甘崎
20世紀の神話
【にじゅ-せいき-の-しんわ】
 直子が属するテレビ局が作ろうとしている番組で、丁度起こっている異常気象との関わりを作り出そうとしている。 甘崎
村井
【むらい】
 帝都工大助教授。黒部に落下した隕石を調査し、キングギドラの最初の目撃者となった。 甘崎
モスラ
【もすら】
 インファント島の守護怪獣。キングギドラの脅威に、ゴジラとラドンに地球怪獣として共闘を呼びかけるが失敗。単独でキングギドラと戦う。尚前作『モスラ対ゴジラ』では二体のモスラが登場したが一体は死んでしまったとのこと。 甘崎
ラドン
【らどん】
 有翼怪獣。ゴジラのライバルでいがみ合っている。モスラの説得にも耳を貸さなかったが、キングギドラ来訪に立ち上がる。 甘崎
名称
【】
  甘崎

 

怪獣大戦争

<A> <楽>
本田猪四郎(監)
関沢新一(脚)
宝田明
ニック・アダムス
田崎潤
沢井桂子
水野久美
久保明
土屋嘉男
田武謙三
田島義文
堤康久
桐野洋雄
伊吹徹
宇野晃司
村上冬樹
塩沢とき
清水元
松本染升
佐々木孝丸
伊藤実
千石規子
津田光男
熊谷卓三
納谷悟朗
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 木星の13番目の新衛星・X星の探査に向かった富士(宝田明)とグレン(アダムス)はそこでX星人を名乗る宇宙人と遭遇する。X星統制官(土屋嘉男)は彼等に「我々の脅威であるキングギドラを撃退する為、ゴジラとラドンを借りたい」と申し出る。話し合いは成立し、X星に連れてこられたゴジラとラドンは見事キングギドラを撃退する。だがこれは全てX星人の策略のうちだったのだ。やがて地上にやってくる脅威とは…
 本多猪四郎監督が子供向けに徹して作り上げたゴジラ・シリーズの一本。1965年の邦画興行成績も9位と大健闘している(実は本作の企画そのものがベネディクト・プロによるものだったため、アメリカでの配給でもかなり稼いだ)。とにかく陽性で、明るく作られているのが最大特徴と言えるだろうか。これまでもゴジラ映画のために音楽を作ってきた伊福部昭による伊福部マーチも冴え渡る。
 本作ではゴジラ映画では初めて宇宙が舞台となっているが、それも前作でキング・ギドラと言う魅力ある敵役を得た事実が大きいだろう。二作続けてのギドラ襲来により、宇宙から敵がやってくる。それから地球を守のは地球を代表する怪獣だ。と言う構図を確立した作品となった。キング・ギドラは二度目の登場(多分敵役としてなら最多登場だろう)であるが、前作のような凶暴さがやや落ちているのが残念と言えば残念(やっぱギドラは操られててはいけない存在なんじゃないかな?)。そしてX星でキング・ギドラを追い払ったゴジラは喜びのあまり、飛び跳ねながら“シェー”のポーズを取る(これは本作をこども向きにすると言う円谷英二自身の判断によると言う)。確かにこのゴジラ、良く動くのだが、怪獣同士の戦いについては特筆すべき事はあまりない、と言うのが正直な印象。特に前作の凶悪なキング・ギドラを知っている身としては。
 だけど、ここには非常に魅力的な存在がある。X星人。彼らは地球人を騙し、キング・ギドラを操って地上を征服しようとすると言う、まあある意味ステロタイプな宇宙人ではあるのだが、なんと言っても彼らの宇宙服のデザインは秀逸だし、台詞が格好良い。後年の「ウルトラセブン」に強い影響を与えたのではなかろうか?
 そしてラストで分かる。この映画の本当の主人公が誰であったかが。ゴジラには敵わないと言う前提の元、作戦を立てて目的を果たそうとするX星人。彼らこそ努力と根性をもって作戦を遂行していたのだった。そして作戦が失敗したとき、彼らは見えない未来に向けて出発したのだ。彼らはあきらめてはいない。自分たちが失敗しても、いつか必ず目的は果たす。まさしくあの台詞はその意思に溢れた言葉だった。
 あの言葉が浮かずに素直に受け入れられたのは、高度成長期と言うあの時代ならではだったのかな?そしてよほどX星人の方が等身大のヒーローっぽいのが皮肉っぽくて良い。
 ここに登場しているニック・アダムスは知名度はさほどではないが(脇役俳優で『理由無き反抗』や『ピクニック』などに出演)、顔映りが良い役者のため、ベネディクト・プロのヘンリー・G・サパスタインが引っ張ってきたのだとか。

 

Aサイクル光線車
【えい-さいくる-こうせん-しゃ】
 X星人が電磁波で怪獣達を操ることに着眼を置いた桜井博士(田崎潤)の提案により研究が進められ、富士(宝田明)らの検証結果を受けて実用化された光線兵器。Aサイクルという特殊な音波を光線上に放射することで、怪獣をコントロールす電磁波を遮断・破壊することが目的で、光線だけでなくX星人が苦手とする特殊音波も同時に照射できる装置も備え付けられている。この2段攻撃によって、X星人の野望は完全に潰えたのだった。 荒馬大介
引力光線
【いんりょく-こうせん】
 キングギドラが三つの口から吐く光線。 甘崎
X星
【えっくす-せい】
 木星の13番目の衛星として新たに発見された星。非常に暗い星で望遠鏡では発見できなかった。実はここには高度に文明の発達した宇宙人がいた。キングギドラによって襲われたことから、その退治のために地球に応援を頼み、ゴジラとラドンを連れてきた。ゴジラがシェーをした場所となる。 甘崎
]星人
【えっくす-せいじん】
 木星の新衛星に住む宇宙人。ありとあらゆるモノが機械化・番号化されており、計算機によって導き出された結果に基づき行動する。また全ての女性は、彼等の美学から水野久美そっくりの顔をしている。地球からゴジラとラドンを奪い、さらにキングギドラをも操って地球を殖民星にしようと企むが、彼等の弱点である特殊な音波、通称「殺人音波」による攻撃を受け、さらに人類側のÅサイクル光線によって怪獣をコントロールすることが不可能となる。最後は「未来へ向かって脱出する」という謎めいた言葉を残し、消滅。 荒馬大介
怪物0
【かいぶつ-ぜろ】
 X星人によるキングギドラの呼称。 甘崎
怪物02
【かいぶつ-ぜろ-つー】
 X星人によるラドンの呼称。 甘崎
怪物01
【かいぶつ-ぜろ-わん】
 X星人によるゴジラの呼称。 甘崎
ガンの特効薬
【がん-の-とっこう-やく】
 X星人がゴジラとラドンを借りた代償として地球人に提供したオープンリールテープで、その製法データが録音されているとされたが、再生したところ、地球に対する植民地化宣言が入っていた。 甘崎
キングギドラ
【きんぐ-ぎどら】
 宇宙超怪獣。X星人によって操られ、X星を襲うふりをし、それによってゴジラとラドンがX星に召還された。 甘崎
グレン
【ぐれん】
 地球連合宇宙局アメリカ人局員。X星探査を行った。世界教育社の波川をX星人のスパイと知らずに愛し、目の前で彼女を殺されてしまった上、X星人に拉致されてしまう。役はニック・アダムス。 甘崎
ゴジラ
【ごじら】
 政治的駆け引きによりX星人によって拉致されてしまい洗脳されて再び日本を襲う。。『ゴジラの逆襲』の同一個体の二代目ゴジラ。 甘崎
東宝怪獣コレクション 第27弾 ゴジラ1965
桜井
【さくらい】
 地球連合宇宙局博士。P−1号によるX星探査計画責任者。X星に招かれ、危うく拉致されかかる。役は田崎潤。 甘崎
シェー
【しぇー】
 赤塚不二夫の「おそ松くん」に登場するキャラクターであるイヤミが使った独特のポーズで、当時大流行した。X星にてキングギドラを撃退したゴジラが喜びのあまりにこのポーズを取ったことで有名。 甘崎
我々は脱出する。未来に向かって脱出する。まだ見ぬ未来へ向かってな
【われわれ-は-だっしゅつ-する-みらい-に-むかって-だっしゅつ-する-まだ-みぬ-みらい-へ-むかって-な】
 X星人統制官が円盤を自爆させる際に告げた台詞。 甘崎
名称
【】
  甘崎

 

ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘

<A> <楽>
福田純(監)
関沢新一(脚)
宝田明
渡辺徹
伊吹徹
当銀長太郎
砂塚秀夫
水野久美
ペア・バンビ
田崎潤
平田昭彦
伊藤久哉
岡部正
天本英世
本間文子
中北千枝子
池田生二
佐田豊
丸山謙一郎
大前亘
石田茂樹
沢村いき雄
広瀬正一
鈴木和夫
緒方燐作
勝部義夫
澁谷英男
★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 南太平洋で失踪した兄の弥太を探すため、良太(渡辺徹)は途中知り合った市野(当銀長太郎)、仁田(砂塚秀夫)と共に停泊していたヨット「ヤーレン号」に乗り込むが、そこには金庫破りの吉村(宝田明)がいた。成り行きで出航してしまったヨットは遭難し、4人はレッチ島という太平洋の島にうちあげられる。そこでの住民ダヨ(水野久美)から、ここは世界制覇を目ざして原水爆を製造する「赤イ竹」一味が人喰い海獣エビラを操って島民を苦しめているというのだ。しかも、この島を探検したところ、地下にゴジラが眠っているのを発見!「赤イ竹」の野望を打ち砕くべく、隣島のインファント島のモスラに救援を求めると共にゴジラを起こそうとするのだったが…
 何というか、改めてあらすじを書いてみると、この作品がどれほど荒唐無稽な物語だかよく分かる。凄いぞこれは。イタコの言葉を信じてどこにいるとも分からぬ兄を探しに行ったところ、たまたま乗り込んだヨットが金庫破りの持ち船。しかもトラブルで出航してしまったら遭難していきなりビンゴ。しかもそこには日本人による大規模なテロ組織があって、隣島はインファント島。しかもその地下にはゴジラがいる…ここまでご都合主義の物語を作ってしまったと言う点を先ず評価したい(あれ?)
 本作の主人公は元々はゴジラではなくキングコングだったそうで、ひたすら明るく作られているのはそのためか?でも、その方向性が以降のゴジラの性格を決めてしまったのだから皮肉な話だ。
 本作は福田純監督によるゴジラシリーズ第1作。この監督は昭和ゴジラ中期から後期にかけての作品の多くを監督した人で、ゴジラシリーズを怪獣プロレスにしてしまった張本人。そう言うことで評価しにくい監督さんではあるが、一つこの監督作品には評価すべき部分があると思う。
 本多猪四郎監督によるゴジラシリーズは概ね怪獣の陰の部分を強調して描かれていたのだが(大人向きという方向性ではある)、福田監督による怪獣は徹底して陽の部分を強調している。怪獣は怖い存在であると同時に、人間が利用できる存在となり、上手く使えば人間の役に立ってくれる。そんな存在へと変えていった。子供向きの方向へゴジラシリーズを転換したのは、延命の意味では正しかったし、きっちり一つの方向性を明示してもいた。なんだかんだ言っても彼がゴジラシリーズを引っ張ったのは確かな話だ。そしてこの方向転換こそがゴジラを長寿シリーズへと変えていったのもやはり事実。
 それで本作だが、上記の通り、とにかくすさまじいご都合主義の固まりな上に、新しく登場した怪獣はエビラというなんのひねりもないキャラクター(大体ゴジラにエビの化け物が釣り合うか!最初から勝負目に見えてるじゃないか)だったり、表題にバーンと大きく登場したモスラがラストにちらっと登場するだけとか(そういや以降の作品のモスラは幼虫ばっかりだけど、これの子供なのか?)様々な問題を抱えているが(致命的とも言える)、そう言うもんだと思って観る限り、結構温かい目で観られるんじゃないかな?
 前作『怪獣大戦争』(1965)でシェーをやってくれたゴジラは今度はキャッチボールをやってくれるし、日本人離れしたくっきりした目鼻立ちしている水野久美がなんの違和感もなく原住民やってるとか、今回悪役で登場した平田昭彦がまるで『ゴジラ』(1954)ばりに眼帯で登場するとか、結構見所はあるから、楽しんでみようと思えば充分楽しめると思う。
 ただ一つ、少々気になるのがラストの台詞。確か「これからは核も使い手の心次第だ」 だったと思うけど、この台詞かなり当時の世相を知る手がかりになると思う。『ゴジラ』はそもそも日本敗戦を決定づけた原子力爆弾の驚異へのオマージュがある事はよく言われることだが、ゴジラ=原子力と考えてみると、「使いようによって、原子力は人間の役にも立つんだよ」という事を暗に語っているような気がしてならない(当時は既に日本に原子力発電所設立は決まっていたし、本作の2年前の1963年には試験発電が開始、3年後の1970年には初の商業原子炉敦賀1号が運用を開始してる)。世相なのか、それとも何らかの意志が働いていたのか…考えすぎだろうか?

 

赤イ竹
【あかい-たけ】
 レッチ島に本拠地を置いて核兵器開発を進めている軍事秘密結社。 甘崎
市野
【いちの】
 大学生。ダンスコンクールに出場し、仁田と共にヨットハーバーに停泊中のヤーレン号に勝手に乗り込んで寝ていたところを良太に巻き込まれて出港してしまう。役は当銀長太郎。 甘崎
インファント島
【いんふぁんと-とう】
 モスラのいる島。なんとレッチ島のすぐ近くにあった。 甘崎
エビラ
【えびら】
 核汚染されたレッチ島のエビが巨大成長した姿。両腕にあるハサミの大きさが違うが、大きな右のハサミは敵を挟み込み、小さな左のハサミは敵を突き刺すという用途が異なる。 甘崎
大ワシ
【おお-わし】
 レッチ島に住む巨大な鳥。眠っていたゴジラを襲うが、放射熱線で撃墜された。 甘崎
革命的生物
【かくめい-てき-せいぶつ】
 ゴジラを見た赤イ竹司令官が言った台詞。 甘崎
カネ
【かね】
 彌太と良太の母。 甘崎
君といつまでも
【きみ-と-いつまで-も】
 加山雄三のヒット曲。この歌の中で「幸せだなぁ」と言いつつ鼻をこする動作をゴジラが真似ている。 甘崎
ゴジラ
【ごじら】
 南海のレッチ島の洞窟で眠りについていたが、落雷によって目覚める。『ゴジラの逆襲』の同一個体の二代目ゴジラ。ちなみに最初の脚本ではゴジラではなくキングコングだったそうで、本作のゴジラは大変愛嬌のある描写がなされている。劇中鼻をこするポーズは『若大将』シリーズの加山雄三の真似。 甘崎
小美人
【しょう-びじん】
 インファント島に住む身長30センチの双子の妖精。レッチ島に強制連行されたインファント島民を救うため、眠りについたモスラを目覚めさせる。役はこれまでのザ・ピーナッツに代わり、ペア・バンビになっている。 甘崎
耐久ラリーダンス大会
【たいきゅう-らりー-だんす-たいかい】
 東京で開催されたダンス大会。優勝賞品はヨットで、良太が参加する。 甘崎
大コンドル
【だい-こんどる】
 レッチ島に生息する巨大コンドル。ゴジラを攻撃したが、放射熱線を受けて海に落下する。 甘崎
ダヨ
【だよ】
 レッチ島に住む現地の女性。日本語を話すことも出来、吉村たちのてだすけをしている。 甘崎
仁田
【にた】
 大学生。ダンスコンクールに出場し、市野と共にヨットハーバーに停泊中のヤーレン号に勝手に乗り込んで寝ていたところを良太に巻き込まれて出港してしまう。 甘崎
モスラ
【もすら】
 レッチ島付近にあるインファント島の守護神。レッチ島に拉致されたインファント島の住民を助けるために飛来した。ゴジラとも軽く戦っているが、羽根で薙ぎ払う程度で帰っていく。 甘崎
ヤーレン号
【やーれん-ごう】
 港に停泊していたヨット。元々太平洋横断用のための大型ヨット。 甘崎
彌太
【やた】
 良太の兄。腕の立つ漁師だったが遠洋漁業中に行方不明となる。レッチ島に漂着して住民の看病を受けたことを恩義に感じ、レッチ島解放のために働く。 甘崎
吉村
【よしむら】
 金庫破り。警察に追われて逃亡し、ヤーレン号に潜伏していたところを良太に発見され、無理矢理人捜しに付き合わされる。 甘崎
竜尉隊長
【りゅうい-たいちょう】
 左目に眼帯をかけた赤イ竹の警備隊長。エビラの攻撃を受けて死亡する。 甘崎
良太
【りょうた】
 青森出身の青年。遭難した親友の彌太を探すために上京し、そこでヨットを手に入れようとする。 甘崎
レッチ島
【れっち-とう】
 南太平洋の孤島。核実験の海域の近くにあり、放射能で汚染され巨大化した生物が住む島になっている。赤イ竹はここが孤島であることに目を付け、核兵器開発を進めていた。 甘崎
名称
【】
  甘崎

 

怪獣島の決戦 ゴジラの息子

<A> <楽>
関沢新一
斯波一絵(脚)
高島忠夫
久保明
前田美波里
平田昭彦
土屋嘉男
佐原健二
丸山謙一郎
久野征四郎
西条康彦
黒部進
鈴木和夫
大前亘
当銀長太郎
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 人間の手で気象コントロールを行なう研究を進めていた楠見博士(高島忠夫)は南太平洋の無人島ゾルゲル島で実験を進めていた。だが実験は失敗。高温に包まれた島は住んでいたカマキリが異常発育。怪獣カマキラスに変わってしまう。そのカマキラスが山から掘り出したのはゴジラの卵で、そこからも怪獣が出現するのだった。ゴジラに似たその子を助けるべくゴジラまでが現れ、島は怪獣が大挙して押し寄せる地となる。そんな時、実験に居合わせた記者の真城伍郎(久保明)は無人のはずの島に少女の姿を見かける…
 怪獣映画を作る際、一つの問題がある。怪獣はあまりに巨大すぎるのだ。構造上怪獣映画は人間ドラマを入れることになるが、怪獣の巨大さに対して、人間はあまりにも小さい。どうしてもそこに断絶が生じる。
 第1作目の『ゴジラ』(1954)は確かに素晴らしい作品だったが、その巨大さが後のシリーズに与えた課題は大きかった。あまりに素晴らしすぎたがため生じた負の要素は確かにあったのだ。
 故にこそ、その体格差をどう埋めて怪獣と人間のドラマを作るか。そこが怪獣映画の宿命となった。これにはいくつかの手が用いられた。例えばゴジラシリーズからは離れるが、同年の『キングコングの逆襲』(1967)のように怪獣のスケールを小さくする方法や、『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(1999)のように怪獣の中にすっぽり人間を入れてしまう方法(ここではもう一つ、怪獣を閉鎖空間に閉じこめると言う方法も使われた)。最も単純には、人間が巨大ロボットの中に入ってゴジラと戦う方法。人間が怪獣を復活させる過程を丹念に描くなどなど、本当に様々な方法が用いられた…
 本作は福田純監督による2作目のゴジラ映画だが、前作『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』であまりに無茶苦茶やってしまった事を反省してか、一つの画期的要素を投入する。
 他でもないミニラの存在がそれ。ファンの多くにはすこぶる評判が悪いミニラだが、実はこの怪獣は人間と怪獣の橋渡しとして、これほどうってつけの存在はなかった。本作においてそれが顕著だったのはサエコ(前田美波里)がミニラに食べ物を渡すシーン。人間と怪獣が同スケールで交流できる!これがどれほど重要だったか、よく考えていただきたい。そう。ミニラはゴジラと対比することもできるし、人間とも交流できるという、怪獣と人間とをつなぐ重要な要素を持ち込んだ希有な存在だったのだ(二年後の『ゴジラ ミニラ ガバラ オール怪獣大進撃』(1969)ではより顕著にそれが表されていた)。
 そりゃ確かに作品自体は怪獣プロレスにさえなってない作品だったし、親としての使命に目覚めたゴジラなんて見たくもなかったが、それでも尚、この時点まででこれほど人間と怪獣のリンクが出来た作品はなかった。ミニラの重要さはもう少し評価して然るべきだと私は思っている。
 それともう一つ。本作で評価したいのは、表題を『ゴジラ対クモンガ』にしなかったことかな?「エビの次はクモかよ!」という極めつけの悪評は避けられたし、少なくともこども達はゴジラに親近感を持ったことだろう(以降のシリーズは子供をターゲットにしてるので、これは重要な点だ)
 形と言い、存在感と言い、殆ど怪獣ファンの口にも上らないようなクモンガだが、二体の怪獣に対し、これほど健闘したのだ(事実人間側の努力無しだったら勝ってた)。これももう少し評価すべきじゃないかな?それにクモンガやカマキラスを着ぐるみにせずにあくまで繰演にこだわったのもスタッフの意気込みが見えるようで良い。

 

赤い熱い沼
【あかい-あつい-ぬま】
 ゾルゲル島にある溶岩の吹き出る沼で、赤い水には解熱効果がある。 甘崎
怪獣島
【かいじゅう-とう】
 ゾルゲル島の俗称。以降「怪獣島」で統一されることになる。 甘崎
カマキラス
【かまきらす】
 気象コントロール実験の失敗によって誕生したゾルゲル島に生息する巨大なカマキリの怪獣。三体存在し、生まれたばかりのミニラに襲いかかる。ホバー機能があるのか、統べるように移動するのが特徴。 甘崎
気象コントロール装置
【きしょう-こんとろーる-そうち】
 楠見博士が開発した、気候そのものを変えてしまう装置。実験のためにゾルゲル島に持ち込まれた。 甘崎
楠見恒蔵
【くすみ-つねぞう】
 地球環境物理学者。ゾルゲル島で気象コントロール装置の実験をしている。隊員からは「オヤジ」と呼ばれている。役は高島忠夫。 甘崎
クモンガ
【くもんが】
 ゾルゲル島にある深い谷間で眠っている巨大蜘蛛。いくつかの資料ではカマキラスが放射能ゾンデの影響で巨大化したことを受けて「クモがクモンガに巨大化……」と記述しているものもあるが全くの誤りで、あの島にはもともと巨大なクモが住んでいたのだ。命名したのは、かつて島にいた松宮博士。武器は口から吐く糸と毒針で、その糸で獲物の動きを確実に止め、毒針でとどめを刺す。だがこの糸は熱に弱く、ライター程度の炎でも近づけると簡単に切れてしまう。親ゴジラの右目を潰すという健闘ぶりだが、最後はゴジラ&ミニラのW火炎攻撃で燃やされてしまう。 荒馬大介
東宝大怪獣シリーズ クモンガ (1967版)
ゴジラ
【ごじら】
 本来はレッチ島に住む快獣。隣の島であるゾルゲル島に多数の快獣と共に移住していたらしい。『ゴジラの逆襲』の同一個体の二代目ゴジラ。 甘崎
シャーベット計画
【しゃーべっと-けいかく】
 気象コントロール装置を用いた実験のコード名。南の島に雪を降らす実験であることから。 甘崎
真城伍郎
【しんじょう-ごろう】
 楠見博士が行っている気象コントロール装置の取材に来た日本のジャーナリスト。役は久保明。 甘崎
ゾルゲル島
【ぞるげる-とう】
 南太平洋にある孤島。ここで気象コントロール装置の実験が行われたが、ここには多数の怪獣が住んでいた。 甘崎
ゾンデ
【ぞんで】
 楠見博士が作った合成放射能。最後に打ち上げて雪を降らせた。 甘崎
松宮
【まつみや】
 かつてゾルゲル島で研究していた日本人博士。故人。 甘崎
松宮サエコ
【まつみや-さえこ】
 ゾルゲル島にいた少女。かつてこの島で研究していた松宮博士の忘れ形見。ミニラと仲良くなる。 甘崎
ミニラ
【みにら】
 ゴジラの息子。では当のゴジラ自体はオスかメスかという議論が局地的に巻き起こった。まだまだ半人前である事実を表わすのが、親に尻尾を踏んでもらわないとタバコの煙のように「わっか」形の放射能しか吐けないところ。意外に対戦歴は短く、カマキラス、クモンガ、キングギドラ、ガバラと戦ったのみで一線から離脱している。噂だが、対ヘドラ戦以後のゴジラは彼であるとの説も根強い。ともあれ、平成ゴジラにおけるベビーよりは親近感が湧くのは筆者だけであろうか。なんといってもヨーダに影響を与えたのは間違いないところですからね。しかし、北村ゴジラにおける彼の立場はミニラ嫌いの諸兄も大いに気になるところでしょう? 水那岐
森尾
【もりお】
 日本からゾルゲル島に来た気象観測員。 甘崎
名称
【】
  甘崎

怪獣総進撃

<A> <楽>
本多猪四郎(監)
馬渕薫(脚)
久保明
田崎潤
アンドリュウ・ヒューズ
小林夕岐子
愛京子
土屋嘉男
当銀長太郎
佐原健二
田島義文
伊藤久哉
丸山謙一郎
沢村いき雄
関田裕
西条康彦
久野征四郎
桐野洋雄
坪野鎌之
緒方燐作
坂本晴哉
黒部進
草川直也
大前亘
鈴木和夫
佐田豊
伊吹徹
越後憲
伊藤実
渋谷英男
勝部義夫
岡部正
権藤幸彦
岡豊
宮田芳子
森今日子
佐川亜梨
宮内恵子
高橋厚子
池谷三郎
ヘンリー大川
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 地球上の怪獣が集められ、管理される怪獣ランド。だがある日、突然島は不思議な霧につつまれ、怪獣達が逃げ出してしまう。全世界の主要都市を襲い始める怪獣を何とか止めるべく山辺(久保明)を隊長とする日開発基地のSX3号は調査を開始するが、怪獣を操っていたのはなんと怪獣島のコントロール・センターであることが発覚する。コントロール・センターの職員は既に侵略者キラアク星人の管理下にあり、職員は白衣の美女の姿をしたキアラク星人により、リモート・コントロールされていたのだ…久々にメガフォンを取る本多猪四郎監督による昭和シリーズ第9作。
 怪獣ブームが下火となり、東宝が怪獣映画の総決算として投入した作品。だが幸いな事に本作の大ヒットにより路線は継承されることになる。後々まで怪獣島の設定は残され、ゴジラシリーズのメルクマール的な位置づけにある作品で、その後1972年の東宝チャンピオンまつりでは、『ゴジラ電撃大作戦』と改題されたニュープリント改訂版(74分)が上映された。
 本作の初見は随分前のこと。見た目からあんまり期待できないと思っていたし、事実初見時点では全然面白いと思えなかった。11大怪獣とか言いつつ、実際に画面に登場するのはその一部だし、人間ドラマと怪獣の戦闘シーンは見事に乖離。キングギドラがいくら強いって言っても、集団リンチのような戦いにも引いた。何よりあまりに話が陽性すぎて正直な話、しばらく本作には最低点を付けていた。
 ところが、最近になってこれ観直してみて、評価を一気に上げた。
 怪獣と人間のドラマというものについて改めて考えてみたい。
 前作『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967)で福田純監督は人間と怪獣との交流について描いていたのだが、本作の人間と怪獣の関わりは恐ろしいほどに希薄だった。人間は完全に管理された怪獣をモニター越しに観ているだけで、人間側は独自にドラマを作っている。これが最初観た時悪い部分だとばかり思っていたのだが、実は全く逆ではないか?と言うのが今の考え。
 本多監督は本作において、徹底して人間を描こうとしていたのではないだろうか?怪獣を画面の向こうに押し込め、こちら側ではハードなドラマを展開する。向こう側を子供に分かるように、そしてこちら側では大人が興奮するように。
 …これは実は卓見だったのでは?少なくともこの関わり方だと、幅広い世代にアピールができる。元々特撮映画を大人の作品として撮っていた本多監督は、福田純監督の子供向け路線を損なうことなく、立派に大人向け作品として本作を作り上げてくれていた。
 確かにその点においてバランスが良かったとは言い難いが、人間側のこの緊迫したストーリーはどうだ。今観ても、地球規模の危機感は充分感じ取れるし、緊張感と熱で汗を流しながら地球を救おうとする人間側の努力は緊迫感溢れるじゃないか(特攻精神もあったし)。人の死というものに対しても正面切ってその重さを演出していた。その辺はやはり本多監督ならではだ。怪獣映画で必要なのは怪獣だけじゃない。人間をきっちり描くことが重要だ。と言うことを暗にほのめかしているようにも思える…考えすぎだろうか?
 それに本作では、大分コミカルになったとは言え、久々に怪獣が“天災”として描かれてもいたし。
 …このレビューを書いていて、ふとデジャヴュに襲われる。このパターンはどこかで…
 あ、そうだ。これは怪獣版の『妖星ゴラス』なんだ。そう言えばこれも本多監督だったか。

 本作で久々登場となったゴロサウルスだが、何故か解説には「バラゴン」となっている。これは破損したバラゴンの着ぐるみの補修が間に合わなかったために、急遽ゴロサウルスの着ぐるみを代用したためとか。

 

青木ヶ原
【あおきがはら】
 キラアク星人が地下要塞を建設した場所。 甘崎
アンギラス
【あんぎらす】
 怪獣ランドに住む二代目アンギラス。温厚な性格で、ゴジラのサポート役に徹する。地球怪獣達と力を合わせてキングギドラと戦った。 甘崎
引力光線
【いんりょく-こうせん】
 キングギドラが三つの口から吐く光線。 甘崎
大谷
【おおたに】
 小笠原怪獣ランドの技師長を務める博士。キラアク星人にコントロール装置を付けられて怪獣を世界各国で暴れさせた。役は土屋嘉男。 甘崎
小笠原怪獣ランド
【おがさわら-かいじゅう-らんど】
 国連科学委員会によって怪獣達が集められた場所で、ここで怪獣達を管理し、その生態観測をしている。ちなみに集められた怪獣はゴジラ、モスラ、ラドン、アンギラス、ミニラ、ゴロザウルス、バラン、バラゴン、マンダ、クモンガの10種。 甘崎
カッシーニ噴火口
【かっしーに-ふんか-こう】
 月面にある巨大クレーター。キラアク星人が月基地を建設している。 甘崎
キラアク星
【きらあく-せい】
 火星と木星の間にある小惑星郡の中の大きな星で、大気が存在し、高度な科学力を持つキラアク星人が棲息する。低温に弱い。 甘崎
キラアク星人
【きらあく-せいじん】
 キラアク星の住民。高度な科学力を持ち、地球の怪獣をコントロールする。人間と同じ姿をしているが、その正体は金属生命体。高温でないと生きられない。役は愛京子。ちなみに語源は「忠臣蔵」の「吉良上野介」と「悪」の造語。 甘崎
キングギドラ
【きんぐ-ぎどら】
 キラアク星人に操られる宇宙超怪獣。非常に強力な怪獣だが、X星人に続いて操られてしまっている。多数の怪獣達の連合にたった一匹で立ち向かうが、多数に無勢で、集中攻撃を受けて絶命。 甘崎
クモンガ
【くもんが】
 小笠原怪獣ランドで飼育されている巨大蜘蛛怪獣。地球怪獣連合軍の一員としてキングギドラと戦った。 甘崎
国連科学委員会
【こくれん-かがく-いいんかい】
 特殊な国連組織。怪獣を怪獣ランドに封じ込めるための研究及び技術供与をしている。 甘崎
ゴジラ
【ごじら】
 小笠原快獣ランドで人間に飼育管理されている。名古屋城を破壊する。『ゴジラの逆襲』の同一個体の二代目ゴジラ。 甘崎
ゴロザウルス
【ごろざうるす】
 アロサウルスの子孫とされている怪獣。小笠原怪獣ランドで管理されている。キラアク星人に操られ、パリの凱旋門近くに現れる。『キングコングの逆襲』に登場したものとは別個体らしく体長も3倍ほど大きい。 甘崎
バラゴン
【ばらごん】
 怪獣ランドにいる怪獣の一体。怪獣ランドで登場するのと最終決戦で登場しただけだが、パリに出現したというニュースが出てくる。 甘崎
バラン
【ばらん】
 怪獣ランドにいる怪獣の一体で二代目。着ぐるみが使用できなかったため、ミニチュアのみの出演で、外国で暴れている描写も無し。 甘崎
ファイヤードラゴン
【ふぁいやー-どらごん】
 キラアク星人が自らの宇宙船に炎をまとわせ龍のような姿を取らせたもの。キングギドラが倒された後でこれで攻撃するが、怪獣たちの連係攻撃であっという間に撃退された。 甘崎
マンダ
マンダ 画像 <A> <楽>
【まんだ】
 怪獣ランドにいる怪獣の一体。初代とは違い地上でも活動できる。キラアク星人に操られて東京を襲う。ニュースによるとロンドンも襲ったとされる。 甘崎
ミニラ
【みにら】
 怪獣ランドにいる怪獣の一体。唯一キラアク星人の洗脳を受けずに人間に協力する。 甘崎
ムーンライトSY−3号
【むーん-らいと-えす-わい-さん-ごう】
 国連科学委員会が保有している調査用宇宙艇。月にあるキラアク星人の基地攻略に用いられる。 甘崎
モスラ
【もすら】
 小笠原怪獣ランドにいる個体。幼虫のため前作『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』とは別個体。ゴロザウルスと同居していた。キラアク星人に操られて北京に現れ列車を襲った。キングギドラとの戦いではクモンガと共に糸を吐いてキングギドラを拘束する。 甘崎
ラドン
【らどん】
 小笠原怪獣ランドで管理されている巨大翼竜。キラアク星人に操られ、モスクワを襲った後、ウラル山脈上空で目撃されている。正気に戻ってからはキングギドラと戦うが、途中で退場している。 甘崎
名称
【】
  甘崎

 

ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃

<A> <楽>
本多猪四郎(監)
関沢新一(脚)
矢崎知紀
佐原健二
中真知子
天本英世
石田茂樹
沢村いき雄
堺左千夫
鈴木和夫
伊東潤一
森徹
伊東ひでみ
毛利幸子
田島義文
当銀長太郎
佐田豊
中山豊
内山みどり
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 怪獣大好きの小学生、三木一郎(矢崎知紀)は、留守がちな両親のいない間、発明家の南信平(天本英世)の家に入り浸っていた。南の発明のお手製コンピュータで遊んでいる内に眠ってしまい、夢の中で怪獣島へと行ってしまった。そこで大好きなミニラがガバラに虐められているのを発見した。南に起こされ、現実に戻った一郎はそこで強盗犯人に接触。捕まってしまう。夢と現実の両面で危機を迎える一郎は…
 円谷英二が最後に手がけたゴジラ作品となった本作は前作『怪獣総進撃』で支持を受け、その再来を狙って再び本多猪四郎監督を迎えて製作された。しかし、内容は「あれ?」というもので、興行成績は低迷したらしい。なにせ話自体がファンタジックな夢物語で、現実世界には怪獣は一体も出てこないという異色作(実に『大怪獣東京に現る』(1998)まで怪獣が出てこない怪獣映画は本作が唯一だった)
 ほんでもこの作品、あんまり悪く言う気もないんだよなあ。
 確かに前作のようなドラマ性はここにはないし、たかだかガキの夢じゃねえか。ってのもある。ついでに言うなら、オープニングの脱力しまくりの歌もそうだけど…だけど、この根底に流れる優しい目が良いじゃないか。作品自体はむしろ2作前の『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967)の流れを継承し(正直、この作品って福田純監督とばかり思ってたよ)、人間と怪獣との交流って点に重点が置かれ(ここでもミニラが重宝されている)、それによって子供の成長を描こうって言うのが結構設定的には惹かれる。
 成長とは一体なんだろうか?
 それはとにかく一歩踏み出すこと。今に踏みとどまっていては、それがたとえどれだけ心地よくとも、成長はできないぞ。そんなメッセージを感じ取れる。
 考えてみれば、この辺りからなんだよな。親が子供に期待しすぎるようになったのは…勉強し、大学に行って良い会社にはいる。それが唯一の価値観となりかけていた、そんな時代。こども達はその大切な“一歩”を踏み出さなくても良くなってきた。
 ラストシーン、少年は決して大人に都合の良い子供にならなかった。むしろ、今まで出来なかった悪ガキの遊びに手を染めてる。これを肯定してるってことは…
 とにかく一歩踏み出せ。これは本多監督が全てのこどもと、その親に対するメッセージだったのかも(事実本多監督は自身のフィルモグラフィの中では本作はお気に入りだったとか)。

 後もう一つ。これは絶対の売り!天本英世がこんなに人好きのするキャラクターを演じた彼の長いフィルムライブラリーでも唯一だろう(ちょっとマッド入ってるけど(笑))。ジュブナイルには必要なんだよ。こういう町内の発明家は。最初その姿を見た時は失礼ながら吹き出したよ。

 

アンギラス
【あんぎらす】
 怪獣島に住む怪獣。一郎少年の夢の中で登場。 甘崎
エビラ
【えびら】
 一瞬だけ登場するエビ型の怪獣。 甘崎
大ワシ
【おお-わし】
 一瞬だけ登場する巨大怪鳥。 甘崎
奥田
【おくだ】
 5000万円強奪犯人。三木少年に落とした免許証を拾われてしまう。 甘崎
怪獣1号
【かいじゅう-いち-ごう】
 三木一郎少年が夢の中で搭乗した飛行機。大勢のお客がいつの間にか消えてしまう。 甘崎
怪獣島
【かいじゅう-とう】
 ゴジラたちが住む島。ここでは三木一郎少年の夢の中にある存在。 甘崎
ガバラ
【がばら】
 怪獣島に住むいじめっ子怪獣。両手から放つ電気ショックでミニラを虐める。元は三木一郎少年が通う小学校のガキ大将の渾名で、それを一郎が夢で怪獣化させたもの。放射能の影響でガマガエルが突然変異した怪獣という設定もある。 甘崎
カマキラス
【かまきらす】
 一瞬だけ登場するカマキリ型の怪獣。。 甘崎
クモンガ
【くもんが】
 一瞬だけ登場する蜘蛛型の怪獣。 甘崎
ゴジラ
【ごじら】
 怪獣島に住む怪獣の王。本作では三木一郎少年の頭の中で作り上げられた空想の怪獣となる。一応これも二代目ゴジラの範疇に入る。 甘崎
ゴロザウルス
【ごろざうるす】
 怪獣島に住む怪獣の一頭。 甘崎
サチ子
【さちこ】
 三太の友達の女の子。 甘崎
三太
【さんた】
 三木一郎の通う小学校のいじめっ子。あだ名はガバラ。 甘崎
発明おじさん
【はつめい-おじさん】
 本名南信平。三木家と同じアパートに住む発明好き。 甘崎
マンダ
マンダ 画像 <A> <楽>
【まんだ】
 三木一郎少年の頭の中で作られた空想の怪獣。登場はバンクシーン。 甘崎
三木一郎
【みき-いちろう】
 空想がちな小学生。怪獣が大好きで、いつも怪獣と合いたいと願っており、自作のコンピューターを使って夢の中でミニラと出会う。 甘崎
三木健吉
【みき-けんきち】
 三木一郎の父。 甘崎
三木タミ子
【みき-たみこ】
 三木一郎の母。 甘崎
南信平
【みなみ-しんぺい】
 発明おじさんの異名を持つ町内の発明家。三木一郎と同じアパートに住み、一郎と仲良し。 甘崎
ミニラ
【みにら】
 ゴジラのこども。三木一郎少年の頭の中で作られた空想の怪獣だが、人間と会話が出来る。 甘崎
名称
【】
  甘崎

 

ゴジラ対ヘドラ

<A> <楽>
坂野義光(監)
馬淵薫
坂野義光(脚)
山内明
木村俊恵
川瀬裕之
柴本俊夫
麻里圭子
吉田義夫
鈴木治夫
勝部義夫
岡部進
渡辺謙太郎
大前亘
岡部正
加藤茂雄
由起卓也
小松英三郎
権藤幸彦
中沢治夫
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 宇宙から飛来した放射線により生まれた生物。その不思議な生物がヘドロで汚れた海に落ちたことから、ヘドロを身にまとう怪獣・ヘドラが誕生した。光化学スモッグや硫酸ミストを撒き散らすこの生物に対するは水爆実験の結果生まれたゴジラだった…
 特撮はあまり顧みられることがなく、一般にマニア受けするだけと捕らえられがちだが、実際の所はきちんとテーマ付けがされており、きちんと時代性を見ることもできる。特に本作はそれが顕著で、真っ正面から公害問題に取り組んだ作品だけに見事に時代性に合い、この年の邦画興行収入も9位と健闘している。
 この映画は初期ゴジラの最終作品なのだが、ゴジラにとどめを刺そうとすべく作った作品のようにも思える。この映画を「ゴジラのヌーベルバーグ」と呼ぶ人もいるようだが、確かに今までのゴジラ映画の常識を次々に破ってくれた事は確かだろう。
 かつてゴジラは核兵器の脅威の警告という意味合いを持って製作された。だがやがてその辺が曖昧になり、ゴジラの「放射能火炎」を格好良いと思う子供が出てくるようになったのは、明らかに方向性の迷走が観られている。一方では日本には多くの原発が立ち並び、その「クリーンなエネルギー」の宣伝に躍起になっている世論。だが、もう一つ、脅威が起こってきた。それが公害というものである。ここに登場するヘドラはそのままオリジナルの『ゴジラ』(1954)に対するオマージュであり、人間の所行が怪物を生み出すという事の意味を改めて突きつけてくる。このヘドラこそが実はゴジラの本来の姿であり、負の意味でのゴジラの合わせ鏡のような存在だったのだ。
 この映画の何が凄いか。と言うとまず最初に思い出すのがオープニングの歌だろう。サイケ調のゴー・ゴーで公害の恐ろしさを訴えている。これが夢に出そうなくらいに怖く、故に引き込まれる。へドラの攻撃方法も大部分は公害そのもの。かなり公害問題を意識していることが窺える。
 ヘドラ出現の過程は怪獣の出現形式に則ってるが(最初は謎だったのが徐々に明らかになっていき、最後にカタストロフが起こると言う形式)、ゴジラとの戦いは見応えがあるし、(極めて個人的な『ゴジラ対メガロ』(1973)を除けば)人間とゴジラの共闘態勢というのがここまで明確になったのはこの作品が唯一だろう。それにその課程で姿を変えていくヘドラの存在感は特筆すべきだろう。魚から爬虫類へ、そしてほ乳類へと成長する過程は、生物の進化そのものを示しているのだが、最後の姿は二足歩行の、あたかも人間のような姿に変わっているのだ。うがった見方かもしれないが、人間の存在こそが実は地球を滅ぼす。と言う意味合いを持たせようとしたのかも知れない。
 しかし、何と言ってもこの戦闘シーンには恐ろしい売りがある。何と、ゴジラが空を飛んでる!
 ちょっと待て、こら。どこをどうやったら「飛ぶ」なんて発想が出るんだ?しかもその飛び方が後ろ向きで奇妙に可愛いと言うおまけまで付いている。そりゃ、飛べるへドラに対抗するにはそうするのも一つの手だろうが、ちょっと安直すぎない?
 必死の思いでヘドラを倒した後のラストは救いが無くて、見終わった後に重い気分にさせてくれるが、さすがにそれは一般受けしなかったようで、以降のシリーズではより明確に怪獣プロレス化していくことになる。
 ちなみに本作には重要な共演がなされている。実際には顔のでないスーツアクターのことなのだが、初代から一貫してゴジラに入り続け、ゴジラに生物感を与え続けてくれた中島春男と、後に彼を継いでゴジラアクターとなる薩摩剣八郎(この時点では中山剣吾)が同時に登場している。新旧ゴジラ役者の対決でもあったのである。

 

アンチヘドラ酸素マスク
【あんち-へどら-さんそ-ますく】
 ヘドラの公害ミストから身を守るために緊急発売された酸素マスクで、イラストのみの登場。 甘崎
かえせ!太陽を
【かえせ-たいよう-を】
 本作を代表するかのような歌で、オープニングソングとしてサイケ調のバックと共に歌われる。「水銀 コバルト カドミウム 鉛 硫酸 オキシダン シアン マンガン バナジウム クロム カリウム ストロンチュウム」と毒性物質が連呼される始まりで、最後は「かーえせー、かーえせー、命を、太陽を、かえせ」で締められる。作詞板野光義、作曲真鍋理一郎。 甘崎
毛内行夫
【けうち-ゆきお】
 八戸敏江の弟。ギターが趣味でアングラバーに出入りしている。全日本青年連盟に所属し、富士の裾野で「公害反対!!100万人ゴーゴー」を企画する。そこに現れたヘドラに松明を投げつけたりするが、ヘドロ弾を浴びて白骨化した。役は柴俊夫。 甘崎
公害反対!!100万人ゴーゴー
【こうがい-はんたい-ひゃくまん-にん-ごーごー】
 毛内行夫によって立案された野外ゴーゴー大会。富士の裾野に100万人を集める予定だったが、実際に集まったのは100人程度で、しかもヘドラの襲撃を受け、ほとんどが死亡した。 甘崎
ゴジラ
【ごじら】
 地球と自分自身の脅威となるヘドラの出現によって、ヘドラを倒すために現れた。本作ではほぼ完全に人間の味方である。尚、本作唯一の描写として、吐いた火炎をロケットのように用いて空を飛ぶことが出来るようになった。その際体を丸めて背後に向かって飛び、背びれで攻撃するようになっている。『ゴジラの逆襲』の同一個体の二代目ゴジラ。 甘崎
酸素弾
【さんそ-だん】
 ヘドラは酸素に弱い可能性があるという報告から自衛隊が用いた爆弾。ヘリコプターから投下され、ヘドラの眼前で爆破されたが、あまり効果はなかった。 甘崎
富士宮ミキ
【ふじのみや-みき】
 アングラバーの歌手で毛内行夫の恋人。 甘崎
ヘドラ
【へどら】
 宇宙から飛来した、オタマジャクシに似た生物。公害にまみれた地上で急速成長し、ついには怪獣化してしまう。汚れた空気や水により際限なく巨大化する。 甘崎
ヘドラをやっつけろ
【へどら-を-やっつけろ】
 公開時、劇中で流れた「かえせ!太陽を」とのカップリングでレコード発売された曲。メロディは映画の内容とは違い非常に明るいが、歌詞のほとんどはヘドラの描写に費やされており、おまけに「♪トンボも鳥も皆殺し〜」「♪ビルもタワーも全滅だ〜」とかなり残酷。それを映画にも出ていた麻里圭子が爽やかに歌う、というギャップが凄まじい。余りの珍曲ぶりにファンも多く、伊集院光の手によって「おバ歌謡」として推薦された。 荒馬大介
矢野研
【やの-けん】
 矢野博士の息子。テレパシー能力を有し、ゴジラと共感出来る。 甘崎
矢野徹
【やの-とおる】
 海洋学者。タンカー事故の調査のために海に潜るが、ヘドラの幼生体に襲われてしまう。 甘崎
矢野敏江
【やの-としえ】
 矢野徹の妻で研の母。毛内行夫の姉でもある。 甘崎
名称
【】
  甘崎

 

地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン

<A> <楽>
福田純(監)
関沢新一(脚)
石川博
高島稔
梅田智子
村井国夫
菱見百合子
藤田漸
西沢利明
大前亘
木村博文
斉藤宜文
葦原邦子
中村是好
武藤章生
清水元
大宮幸悦
草川直也
★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 建設中の「世界子供ランド」は、謎の宇宙人が地球侵略のために建造していた要塞だった。彼等はサイボーグ怪獣ガイガンと宇宙怪獣キングギドラを率いて破壊活動を開始するが、それを察知したゴジラとアンギラスが怪獣島からやって来る。だが宇宙人はキングギドラのみならず、新たな破壊怪獣を呼び寄せていた…
 徹底してこども向きに作られた作品で、本作は1972年邦画興行成績で5位を取っている。
 第一期ゴジラシリーズの中盤のノリの特徴は兎に角子供向けに徹底していること。本作品がその最たるものではないか?こう言うのをいい大人がまじめな顔してやっているのを見ると、背中がむず痒くなってくるのを止めることが出来ない。大体「怪獣ママゴン」なる落書きを真面目に論議しているのは馬鹿にしか見えないぞ。
 子供向きと言うのは怪獣の方にも及んでいて、怪獣島からやってくるゴジラとアンギラスは吹き出しで喋ってるし、完全にゴジラが正義の味方になってしまった。子供の悲鳴が上がれば、自らの危険を顧みず駆けつけるゴジラの姿はガメラと区別が付かない
 それに編集が下手で、昼のシーンと夜のシーンがごちゃごちゃになってたり、過去のフィルムの使い方も今ひとつ。
 と、口を開けば文句しか出てこないような作品なのだが、その中でこの作品には一つだけ大きな売りがある。怪獣ガイガンである。このキャラクターは兎に角顔が精悍で格好が良く、怪獣同士の戦いでも残忍さを見せてくれた。お陰で競演したキングギドラは完全に脇役に押しやられてしまったが、それだけガイガンが格好良かったと言うことでもある。ただ、一つ疑問なのは、どうやってあの複雑な形状をしている腹の電ノコを回しているのだろうか?宇宙人の技術、恐るべし
 徹底して子供向けの娯楽作品として見るならば、アラについては語ることもあるまい。

 ちなみに着ぐるみの名俳優中島春雄がゴジラに入ったのは本作が最後となる。

 

アクション・ツー
【あくしょん-つー】
 世界子供ランド事務所に放置されていた謎のテープ。ここには不思議な音が録音されており、この音に応じてガイガンが飛来する。 甘崎
アンギラス
【あんぎらす】
 ゴジラと共にガイガンと戦う為に東京へとやってきた。モンスター語でゴジラと会話している姿がある。ジャンプして背中の棘を敵にぶつけて攻撃する方法を編み出した。 甘崎
引力光線
【いんりょく-こうせん】
 キングギドラが三つの口から吐く光線。 甘崎
M宇宙ハンター星人
【えむ-うちゅう-はんたー-せいじん】
 地球侵略を企むゴキブリのような姿をした宇宙人。自分の星の寿命が尽きそうになったため、地球侵略を試み、世界子供ランドを前線基地に、ガイガンを引き連れてやってくる。キングギドラまで使っている。 甘崎
小高源吾
【おだか-げんご】
 売れない漫画家。こども達のために書いたマンガが世界子供ランドのモデルとなる。気が弱いが機転は利き、ゴジラタワーから志摩武士を救い出した。Mハンター星雲人から「われわれのリストには珍しい種類」と称される。役は石川博。 甘崎
ガイガン
【がいがん】
 M宇宙ハンター星雲人が宇宙恐竜をベースに造り上げたサイボーグ怪獣。地球侵略の切り札となった。体長65メートル。体重2万5千トン。腹部に巨大高速回転カッター、頭部にレーザー光線発射角、手には鍵爪、背には翼と、円谷ゴジラではありえなかった反則満載のサイバーヒール。デザインがとにかく革命的。メカゴジラへの過渡期とも取れる位置づけだが、特筆すべきはメカニカルと言えるほどのパーツがなかったにもかかわらず、見事にハイブリッドなイメージを体現していた点である。ゴーグルのような赤目、鎌の如き手足、嘴と鋏が混在したような口、間接部のカバー、金色の鱗、魚の背鰭のような翼と、今までの爬虫類系、獣系とは明らかに一線を画していたにもかかわらず、ロボット的な外観は一切見当たらなかった。それはメカではなく、生身とツールの混在により体現された生物と機械のギリギリの境界線にして、およそサイボーグという言葉が想起させるところの原初的な形態だった。こんなのが相手では、さしものゴジラも大流血を強いられ、それはそれは凄惨なタッグマッチ(ゴジラ組→アンギラス、ガイガン組タッグ→キングギドラ)となった。この一部のマニアに復活を望まれてきたガイガンだったが、2004年、ゴジラ最終作(…誰も信じていない?)にて、北村龍平監督の手により遂に復活!ただし、デザイナーが無理解だったため、発表された新デザインはガイガン特有のメカニカルならざるハイブリッド感を無視した、ロボット色が散りばめられた大変中途半端なものになってしまった。 kiona
怪獣島
【かいじゅう-とう】
 ゴジラとアンギラスが住んでいる島。 甘崎
回転カッター
【かいてん-かったー】
 ガイガンの胸にある回転ノコギリ。その形状から、回転させることは不可能なはずだが、その辺はM宇宙ハンター星雲人のオーバーテクノロジーであろう。 甘崎
カマキラス
【かまきらす】
 怪獣島に住むカマキリ型の怪獣。クボタが怪獣島を語る際に登場している。 甘崎
キングギドラ
【きんぐ-ぎどら】
 2代目キングギドラ。M宇宙ハンター星雲人によって操られ、ガイガンと共に地球を襲撃する。 甘崎
クボタ
【くぼた】
 世界子供ランド事務局長。小高にアイディア協力を要請する。その正体はM宇宙ハンター星雲人が成り代わった姿で、本人は一年前に死んでいる。役は西沢利明。 甘崎
クモンガ
【くもんが】
 蜘蛛型怪獣。クボタが怪獣島を語るシーンで一瞬登場。 甘崎
ゴジラ
【ごじら】
 怪獣島に住む怪獣王。キングギドラとガイガンの地球襲来に際し、アンギラスを伴って日本へとやってきた。怪獣同士吹き出しで会話も出来る用になった。 甘崎
ゴジラタワー
【ごじら−たわー】
 世界子供ランドにあるゴジラを模した50メートルの塔。将来的には古今東西の怪獣の資料を集めて展示すると説明されたが、実はM宇宙ハンター星雲人の地球侵略基地で、ゴジラの口からはレーザーが出る。 甘崎
ゴロザウルス
【ごろざうるす】
 怪獣島に住む怪獣の一頭。 甘崎
志摩マチコ
【しま-まちこ】
 高杉と共に世界子供ランドを探った女性。ゴジラタワーに拉致されていた兄を救出した。役は梅田智子。 甘崎
シュクラ
【しゅくら】
 小高がこども達のために描いた宿題を怪獣として描いたカットで出版社からは却下されたが世界子供ランドで採用される。 甘崎
須東文夫
【すどう-ふみお】
 17歳の天才少年で世界子供ランド事務局会長。実はM宇宙ハンター星人。役は藤田漸。 甘崎
世界子供ランド
【せかい-こども-らんど】
 子供の王国として建設された巨大テーマパーク。しかし実はM宇宙ハンター星人による前線基地だった。 甘崎
高杉正作
【たかすぎ-しょうさく】
 志摩マチ子の友人のヒッピー風の男。 甘崎
友江トモ子
【ともえ-ともこ】
 小高源吾のマネージャーを名乗る女性。何かと小高の面倒を看ており、世界子供ランドのイラストの仕事を斡旋する。 甘崎
ママゴン
【ままごん】
 小高がこども達のために描いたカット。鬼のようなお母さんの顔が描かれている。 甘崎
名称
【】
  甘崎

ゴジラ対メガロ

<A> <楽>
福田純(監)
福田純(脚)
佐々木勝彦
川瀬裕之
林ゆたか
ロバート・ダンファム
富田浩太郎
大月ウルフ
中島元
三上左京
池田芙美夫
森幹太
ロルフ・ジェサップ
中西英介
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 300万年前に水没したレムリア大陸の生き残り、海底王国シートピアは地上で繰り返される核実験に怒り、守護怪獣メガロを地上へ送り込んだ。さらに彼等は人類の作り出したロボット、ジェット・ジャガーを奪い侵略の手先とするが、製作者達の手によってジャガーは奪還され、メガロに対抗するため怪獣島に向かう。しかもジャガーは自我を持ち始めており、ついに巨大化してメガロに戦いを挑む!
 怪獣映画もこの時代になるとテレビに押され、すでに気息奄々。その中で、なんとか子供たちに親しみを持って劇場に足を運んで欲しい。という思いがあったのは認める。
 …認めるんだけど、ここまでやると開いた口が塞がらないと言うか、もうどうとでもしてくれ的内容。設定のアラは枚挙に暇がないほどだし、怪獣の造形も駄目すぎ。大体主人公であるはずのジェット・ジャガーが悪役にしか見えないのは致命的。敵だって、別に海底人の必然性が全く無い。敵役が宇宙人であろうと、マッド・サイエンティストであろうと、場合によってはイーブル・スピリットだってもストーリーに全く変化はないだろう。
 あと、正義の味方のはずのゴジラが極めて性格悪いのもな〜、ジェット・ジャガーを人質(?)に取るガイガンに対して躊躇無く放射能火炎浴びせかけるし(当然もの凄い量の放射線を受けて、しかも身体中に放射性物質を多量にくっつけているジェット・ジャガーだから、あの後の化学者一行は高度被曝して全員死亡だろう)、周りに逃げ道が無くなった時は当然のごとく瀕死のジャガーにぶら下がって空を飛ばさせるし、ガイガンが逃げた後はジャガーと一緒になってメガロをどつき回してるし。これではジャガー君受難物語じゃないか。
 それでも敢えて良いところを挙げてみよう。
 この作品、中野昭慶が特撮監督作品中最も彼の魅力が発揮された作品とも言える。あれだけ容赦なしに爆発シーン撮れたら、さぞかし気持ちが良かっただろう。無意味な爆発シーンに情熱を傾ける彼の業をこそ、この作品では讃えたい。

 

アスカ島
【あすか-とう】
 アリューシャン列島にある小島で、ここで地下核実験が行われた。その地下に位置するシートピア海底王国北地区が壊滅的なダメージを受け、地上侵攻の原因を作る。 甘崎
アンギラス
【あんぎらす】
 怪獣島に住む怪獣。今回はちら見せ程度の登場。 甘崎
アントニオ
【あんとにお】
 シートピア海底王国の最高指揮官。役はロバート・ダンファム。 甘崎
イースター島
【いーすたー-とう】
 シートピア海底王国の前線基地で、モアイ像を使って宇宙と交信していた。 甘崎
伊吹吾郎
【いぶき-ごろう】
 電子工学者。ジェットジャガーを一人で設計、完成まで持ち込む。シートピア海底王国にジェットジャガーを盗まれた際、超音波ペンダントを使って奪還した。六郎の兄。役は佐々木勝彦。 甘崎
伊吹六郎
【いぶき-ろくろう】
 伊吹吾郎の弟。兄同様発明好きで、小型バイクであるベビーライダーを自作している。役は川瀬裕之。 甘崎
Vサイン
【う゛い-さいん】
 ゴジラがメガロにドロップキックを放つ際に行った動作。 甘崎
M宇宙ハンター星雲人
【えむ-うちゅう-はんたー-せいうん-じん】
 シートピア海底王国と友好関係にあるゴキブリ型宇宙人。シートピアの要請によってガイガンを地球に派遣する。 甘崎
ガイガン
【がいがん】
 M宇宙ハンター星雲人の作り上げたロボット怪獣。シートピア海底王国の要請で供与され、メガロと共にゴジラとジェットジャガーに立ち向かった。 甘崎
怪獣島
【かいじゅう-とう】
 ゴジラが住んでいる島。 甘崎
ゴジラ
【ごじら】
 二代目。怪獣島に住む怪獣王。メガロ襲来に呼応して日本にやってくる。ジェットジャガーと連携してガイガンとメガロを撃退。 甘崎
シートピア海底王国
【しーとぴあ-かいてい-おうこく】
 300万円前に太平洋に沈んだレムリア大陸の生き残りが海底に人工太陽を作って生き延びた王国。1970年代の地上人の地下核爆発実験によって甚大な被害を受け、報復のために地上を攻撃する。 甘崎
ジェット・ジャガー
【じぇっと-じゃがー】
 伊吹吾郎が制作した電子ロボット。労働力としてシートピア海底王国によって奪われ、メガロの案内役を務めさせられた。吾郎によって奪還させられた後、突然意志を持ち未知のエネルギーによって巨大化してゴジラと共闘しメガロとガイガンと戦う。戦いが終わった後、意志は消え、再び等身大に戻る。 甘崎
ジェットパンチ
【じぇっと-ぱんち】
 ジェットジャガーの繰り出すパンチ。 甘崎
ジャガーキック
【じゃがー-きっく】
 ジェットジャガーが蹴り上げるキック攻撃。 甘崎
陣川博
【じんがわ-ひろし】
 伊吹五郎の後輩のプロレーサー。 甘崎
マスターコントローラー
【ますたー-こんとろーらー】
 ペンダント型のジェット・ジャガーのコントロール装置。これに音声で命令することでジェット・ジャガーを動かせる。 甘崎
メガロ
【めがろ】
 シートピアの守護怪獣。巨大なカブトムシのような姿をした怪獣で、両手はドリルになってる。口からはミサイル、角からビームを出す。シートピアのコントロールで動いていたが、時に暴走してしまう。 甘崎
ラドン
【らどん】
 怪獣島に住む怪獣。今回はちら見せ程度の登場。 甘崎
名称
【】
  甘崎

 

ゴジラ対メカゴジラ

<A> <楽>
福田純(監)
福田純
山浦弘靖(脚)
大門正明
青山一也
田島令子
平田昭彦
松下ひろみ
小泉博
今福正雄
ベルベラ・リーン
岸田森
睦五郎
草野大悟
鳥居功靖
佐原健二
小川安三
渡辺高光
遠矢孝信
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 富士山麓出現したゴジラは仲間であるはずのアンギラスを倒して進撃を開始する。破壊活動を続けるゴジラの前に何ともう一匹のゴジラが…実は最初に出現した方は偽者で、その正体はブラックホール第3惑星人が開発した侵略兵器「メカゴジラ」だったのだ。圧倒的破壊力を誇るメカゴジラに、ゴジラでさえ敗退を余儀なくされた。人類の危機を救う鍵を求め、沖縄に伝わる予言にあった。
 全般的にこの作品は怪獣同士の戦いがメインなのだが、それら一つ一つに華(見所)があるために飽きさせない(冒頭部分のアンギラスの口を裂くゴジラ、ゴジラの放射能火炎によりメタリックボディを露わにするメカゴジラ、メカゴジラのビームをはじき返すキングシーサー、兵器庫メカゴジラ、そしてメカゴジラの最後)。それら一つ一つがちゃんと瞼に浮かんでくる)、ゴジラシリーズの他の諸作品とは違って下で行われている人間ドラマも結構しっかり作られている。予言の辺りは眉唾な感じがするが、キングシーサーを呼ぶ時の緊張感は子供心に手に汗を握る出来だった。(今から考えると、あの唇のアップは妙に艶めかしかったぞ)
 何と言っても本作品の売り。メカゴジラは圧倒的な強さを持ち、まさに兵器庫と言った風情。そこにふてぶてしい表情とも相まって非常に格好良い。何せゴジラの武器は口から吐く火炎だけ、対してメカゴジラは目から口から手から腹から足から武器が飛んでくる。華々しく登場したキングシーサーでさえ最後は手も足も出ずで、一体どうすれば勝てるんだ〜。とか心の中で念じていた(ミサイルが身体に内蔵されているのは良いとして、一体あんな太い指がどこから出てくるのかは謎だ)
 ちなみに本作が私が観た最初のゴジラ作品となる。そのお陰ですっかりゴジラにはまってしまったが、この作品を基準に他の作品を観るようになってしまった。私にとっては初代『ゴジラ』(1954)に次いで好きな作品である。

 

R1号
【あーる-いち-ごう】
 ブラックホール第3惑星星人の工作員。柳川という男に化けて清水敬助らを見張っていた。 甘崎
赤い月
【あかい-つき】
 沖縄に伝わる予言書で、「赤い月が沈み、西から日が昇る時、二頭の怪獣が現れ、人々を救う」と書かれている。ただし、何故月が赤くなっているのかは劇中では明かされない。 甘崎
安豆味王族
【あずみ-おう-ぞく】
 沖縄の先住民族で、守護神としてキングシーサーを崇めていた。その城跡は今も残っており、観光スポットになっている。 甘崎
「アルファ」「ケンタウルス」 ブラックホール第3惑星星人
【あるふぁ-けんたうるす】
 宇宙人の基地警備のため使っていた合言葉。せめて「アルファ」「ケンタウリ」としてくれれば教養が窺えたのだが…。ブラックホールはケンタウルス座第一恒星に近いらしいという事実を判りやすく説明してくれている。 水那岐
アンギラス
【あんぎらす】
 最初に日本に現れたゴジラの前に立ちふさがり死闘を演じた。善戦虚しくゴジラ(実はメカゴジラ)によって重傷を負わされてリタイヤ。 甘崎
沖縄海洋博覧会博
【おきなわ-かいよう-はくらんかい】
 1975年7月から76年1月まで開催されたテーマ博。この建設工事が進められている時にゴジラとメカゴジラの戦いが行われた。 甘崎
金城冴子
【かなぐすく-さえこ】
 首里大学考古学研究室研究生。沖縄海洋博の工事現場から出土した古代壁画を解読し、キングシーサーの復活に助力する。役は田島令子。 甘崎
キングシーサー
【きんぐ-しーさー】
 琉球・安豆味王朝の守護神である怪獣。基本的にシーサー=獅子であるからして、二本足で歩くのは奇妙ではないかとか、頭に英語の「キング」がついているのはどーいうわけだとか、いろいろ謎の多い怪獣である。ヤマトンチュー(日本人)が琉球を侵略し、安豆味王朝が危機に陥ったときも眠りからさめて戦ってくれたらしいが、そのわりに琉球はいとも簡単に陥落してしまったあたりからも、あまり頼りにならない性格がうかがえる。武器が敵から発射された光線を右目で受け、左目から発射し返すくらいだから納得できるが。なお、王家の血を引く者にしか目覚められないので、浜辺でミヤラビがこんな歌を歌う。「♪暗い夜のとばりが消える 朝が来たら 眠りから覚めて欲しいの♪」…男しか血筋の者が生き残っていなかったら、随分恥ずかしい事態になりそうである。果たして、対メカゴジラ戦ではほとんど役に立たなかった。北村ゴジラでの活躍はあるのだろうか。 水那岐
東宝大怪獣シリーズ キングシーサー (1974版)
国頭天願
【くにがみ-てんがん】
 琉球民族安豆味王族の末裔で那美の祖父。キングシーサーの伝説を信じ、ヤマトンチュが琉球を攻めてくる時にキングシーサーが現れると主張する。役は今福正雄。 甘崎
国頭那美
【くにがみ-なみ】
 琉球民族安豆味王族の末裔で天願の孫。沖縄民踊の踊り手だが、怪獣の出現を予言するなど、特殊能力を持っているようでもある。ミヤラビの歌を歌い、キングシーサーを目覚めさせた。役はベルベラ・リーン。 甘崎
クロスアタックビーム
【くろす-あたっく-びーむ】
 メカゴジラの胸部から発射される高圧電磁光線。 甘崎
黒沼
【くろぬま】
 ブラックホール第三惑星星人地球征服司令官。 甘崎
ゴジラ
【ごじら】
 @最初に海から現れたゴジラ。アンギラスと戦い、大怪我を負わした上で日本を蹂躙する。突如現れたもう一体のゴジラの放射熱線を受け、メカゴジラの正体を現した。
 A二代目。最初に現れたゴジラに対するように現れ、メカゴジラの正体を暴く。メカゴジラの猛攻の前に敗退するも、雷のエネルギーを吸収して磁性体となり、キングシーサーと連携してメカゴジラを破壊した。 甘崎
さんふらわあ
【さんふらわあ】
 長距離カーフェリー。船体に太陽のマークがトレードマーク。ここに乗った清水敬介と金城冴子がブラックホール第三星人に襲われる。 甘崎
清水敬介
【しみず-けいすけ】
 沖縄で働く建設技師で和倉博士の甥。キングシーサーを呼び出す獅子の置物を発見する。役は大門正明。 甘崎
清水正彦
【しみず-まさひこ】
 清水敬介の弟。大学の休暇で訪れた沖縄でスペースチタニウムを発見するが、ブラックホール第3惑星星人に拉致されてしまう。 甘崎
首里大学
【しゅり-だいがく】
 金城冴子が勤める沖縄にある大学。 甘崎
城北大学
【じょうほく-だいがく】
 和倉教授が在籍する大学。 甘崎
スペースチタニウム
【すぺーす-ちたにうむ】
 鋼鉄の10倍の強さを持つ宇宙金属で、メカゴジラの装甲に使用される。 甘崎
スペースビーム
【すぺーす-びーむ】
 メカゴジラの両眼から発射される虹色の光線。 甘崎
南原
【なんばら】
 フリーのルポライターで、取材と称して清水敬介の周りに出没する。実はインターポールの捜査官で、ブラックホール第3惑星星人の侵略を食い止めようとしていた。 甘崎
西から日が昇る時、この置物を安豆味城の石のほこらの上に置け
【にし-から-ひ-が-のぼる-とき-この-おきもの-を-あずみ-じょう-の-いし-の-ほこら-の-うえ-に-おけ】
 安豆味城跡にあったシーサーの像に書かれていた暗号を読み解いた言葉。キングシーサーを目覚めさせる手順。 甘崎
ブラックホール第3惑星星人 「アルファ」「ケンタウルス」、メカゴジラ
【ぶらっくほーる-だい-さん-わくせい-じん】
 地球植民地化を目論み、その最重要過程たるゴジラ撃退に向けた究極の戦闘ロボット・メカゴジラを引っさげ、地球に来襲した。地球最強たるゴジラを模して最強兵器を造らんとの発想を、科学的根拠としての弱さからのみ一笑に伏してはいけない。彼らの故郷がブラックホールの第3惑星なら、我らが地球は太陽系の第3惑星であり、二つの星はいわば陰と陽の関係にある。そして、陰に生きる者が陽の恩恵を被る者を妬み、憎み、侵そうとするのがこの世の常ならば、彼らもまた確固たる信条を持って地球にやってきた。類い希なる環境を持ちながら浪費するばかりの地球文明に、もはや人類の飼い犬に成り下がったゴジラを模した兵器に形骸化した本物の形骸を被せて送り込んでくるそのアイロニーは純然たるテロルだ。蛇足だが、その殺傷能力の高さに鑑みれば逆説的に必然が感じられないにもかかわらず、ターミネーターたちに本物=人間の皮を被せたスカイネットの思想は、彼らを模したものと言えよう。  kiona
プリズム・アイ
【ぷりずむ-あい】
 キングシーサーの目。ビーム攻撃を片眼で吸収し、もう一方の眼で跳ね返す。 甘崎
宮島郁子
【みやじま-いくこ】
 宮島秀人の娘。 甘崎
宮島秀人
【みやじま-ひでと】
 ノーベル賞受賞もしている宇宙工学の権威で、清水正彦が持ってきた金属片をスペースチタニウムであると見抜く。ブラックホール第3惑星星人に捕らえられてメカゴジラの修理に協力させられた。 甘崎
ミヤラビの祈り
【みやらび-の-いのり】
 巫女が捧げる歌で、キングシーサーを目覚めさせる。 甘崎
メカゴジラ ブラックホール第3惑星星人、メカゴジラII
【めか-ごじら】
 ただゴジラを葬るために産み出された。オリジナルが破壊神から守護神に転じ人間的な感情に支配されていった末期に、突如として現れた。形骸化したオリジナルの皮をつき破って立ち現れたその全貌は、オリジナルの漆黒を過去に追いやるかのような銀色にして、ガイガンさえ持ち得ていた生物の温もりを全否定するかのような金属(スペースチタニウム)で覆われていた。無論、その内面も完全なる機械のそれ。反旗を翻した分身、切り捨てられた負の双生児、感情も持たされず、意志も許されず、宿命のままただ触れるもの全てを破壊する亡霊。しかし、同時にそれはオリジナルがオリジナルだったころの幻影。偽ウルトラマン、偽仮面ライダー、巨大な実像は常に虚像を産み出してきたが、かつてこれほどまでの影は存在しなかった。だが、それでもやはり影は影に過ぎない。オリジナルなくして存在し得ない悲しさ、悲しみさえ持ち得ない機械の哀しさ。せめてオリジナルへの怒りと憎しみぐらいの弱さは許されてもいい。にもかかわらず、彼はただただ冷徹にオールレンジ攻撃を繰り出すのみ。壊せ!壊せ!全部壊せ!! kiona
東宝大怪獣シリーズ メカゴジラ (1974版) 玉泉洞秘密基地Ver.
和倉
【わくら】
 城北大学教授で清水兄弟の叔父。古代文字の解読を行う。 甘崎
名称
【】
  甘崎

メカゴジラの逆襲

<A> <楽>
高山由紀子(脚)
平田昭彦
藍とも子
内田勝正
佐々木勝彦
麻里とも恵
睦五郎
伊吹徹
六本木真
中丸忠雄
富田浩太郎
大門正明
沢村いき雄
佐原健二
鈴木和男
梅津昭典
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 かつて学会から追放された真船博士は恐竜チタノザウルスを復活させる。しかし、そのコントロールに失敗し、娘を失う。その娘をサイボーグとして復活させ、メカゴジラのコントローラーとして操るブラックホール第3惑星人と結託した真船。孤軍奮闘するゴジラだが、パワーアップしたメカゴジラとチタノザウルスの両面攻撃に窮地に陥る。
 前作『ゴジラ対メカゴジラ』があくまで怪獣同士のどつき合いが主眼であったのに対し、今回はヒューマンドラマを主体に持ってくる。脚本は一般公募によるもので、本作で脚本家デビューを果たした高山由紀子はこの時点ではまだ映画専門学校に通う学生。
 怪獣作品(特にゴジラ映画は)人間ドラマと怪獣同士の戦いどちらに主眼を置くか、そのバランスかなり微妙なものがある。本作品はあまりに重点が人間ドラマの方に置かれてしまったので、今ひとつ素直に楽しめなかった部分がある。登場人物が「愛」を語る映画を子供が喜んで観るだろうか?しかし、今になって思うと、この作品の人物描写って本当に優れていたと思う。何より正当派マッドサイエンティスト真船博士(奇しくも日本における最初のマッドサイエンティスト『ゴジラ』(1954)の芹沢博士役の平田昭彦)の狂いっぷりは見事なほどで、今思い直すとほれぼれしてしまう。藍とも子の艶っぽさも演出的には優れている。
 怪獣の戦いも結構見応えはある。特にゴジラとメカゴジラの戦いで、ゴジラがメカゴジラの首を落とした時点で決まった!と思った瞬間(前作ではこれで勝ったのだ)、無くなった顔の部分から怪光線が出るシーンはかなり驚いた。
 初登場のチタノザウルスは普通の恐竜と言う感じで、あまり強そうに見えなかったのが少々残念。
 この作品は本多猪四郎監督作品としてのゴジラの最終話。以降9年の沈黙期間を置くことになる。
 ちなみにこの特技監督は中野昭慶。怪獣同士のどつき合いにはピッタリの人物。

 …レビューを直すたびに評価が上がっていく不思議な作品になってるな。本作は。

 

あかつき号
【あかつき-ごう】
 海洋開発研究所が開発した海底調査船。沖縄近海でメカゴジラの残骸を探索中、チタノザウルスによって撃沈される。その後チタノザウルス調査のため2番艦が急ピッチで開発された。 甘崎
一ノ瀬明
【いちのせ-あきら】
 生物学者。チタノザウルスの調査を命じられるが、その際恐竜生存説を唱えて学会を追放された真船博士の存在を知り、その邸宅を訊ね、桂と出会う。役は佐々木勝彦。 甘崎
太田
【おおた】
 海洋開発研究所所長。 甘崎
回転ミサイル
【かいてん-みさいる】
 メカゴジラIIの新兵器。フィンガーミサイルを回転させながら発射する。 甘崎
草刈
【くさかり】
 国際警察東京支局捜査員。あかつき号に乗り込み、メカゴジラの残骸回収中にチタノザウルスの襲撃を受け、ブラックホール第三惑星人に拉致される。スペースチタニウムを託す。役は大門正明。 甘崎
クロスアタックビーム
【くろす-あたっく-びーむ】
 メカゴジラIIの胸部から発射される高圧電磁光線。 甘崎
ゴジラ
【ごじら】
 二代目。復活したメカゴジラの前に立ちはだかるが、逆にメカゴジラIIとチタノザウルスの連係攻撃を受けてほぼ太刀打ちできなかった。結果としてメカゴジラIIの自爆によって勝利をもぎ取った。 甘崎
スペースチタニウム
【すぺーす-ちたにうむ】
 メカゴジラの体を形成する特殊金属。 甘崎
田川
【たがわ】
 国際警察東京支局署長。対ブラックホール第3惑星人の指揮を執る。 甘崎
チタノサウルス
【ちたのさうるす】
 真船博士が発見した生きた恐竜。ブラックホール第3惑星人の技術供与によってサイボーグ化した真船桂によってコントロールされるようになる。 甘崎
東宝大怪獣シリーズ チタノザウルス
ブラックホール第3惑星星人
【ぶらっくほーる-だい-さん-わくせい-じん】
 前作『ゴジラ対メカゴジラ』にてメカゴジラを用いて地球侵略を行おうとした宇宙人。メカゴジラが倒されたことで地球侵略は中断したが、真船博士を足がかりとしてメカゴジラIIを作り上げ、再度の地球侵略を狙う。 甘崎
真船桂 真船博士、メカゴジラII
【まふね-かつら】
 真船博士の一人娘。幼い頃から父親の世間に対する憎悪を刷り込まれて育てられた挙げ句、実験中の事故で命を奪われ、ブラックホール第3惑星人の手によりサイボーグとして甦らせられた。また、脳内に埋め込まれたコントロール装置によりチタノザウルスを支配し、調査船などを沈める役割を担わされてきた。こうして紛うことなきテロリストとして生きてきた彼女だったが、父親を訪ねてきた市之瀬との許されぬ恋に陥り苦悩する最中、再び命を落とすと、またもブラックホール第3惑星人に助けられ、その代償として、今度はメカゴジラUのコントロール装置まで脳内に埋め込まれてしまう。そして、一之瀬に対する最初で最後の恋心を押し殺しながら、宿命のままに復讐の二大怪獣を野に放つ!――藍とも子、怪獣映画、最初で最後の妖艶! kiona
真船信三 真船桂、メカゴジラII
【まふね-しんぞう】
 若くして生物学・電子工学の第一人者に登り詰めたエリートだったが、恐竜チタノザウルスの発見とその捕獲・飼育・操作を唱えて学会から追放された過去を持つ。その際に妻が心身共に苦労を重ねた末他界してしまったこともあり、無理解な世間に対する逆恨みをひたすら燻らせ、狂気の研究を続けてきた。だが、実験の暴走が今度は娘・桂の命をも奪ってしまう。そして、そこに突如として介入してきたのがブラックホール第3惑星人だった(介入のタイミングがあまりに良すぎたために、実験の失敗は彼らの真船博士を抱き込むための策謀だったとの説もある)。そこで、博士は娘を救って貰う代わりに彼らの地球侵略に荷担する決心をし、メカゴジラの再生とチタノザウルスによる破壊工作を展開する――平田昭彦、最後の熱演! kiona
ムガール
【むがーる】
 ブラックホール第3惑星人の二代目司令官。 甘崎
村越二郎
【むらこし-じろう】
 インターポール捜査官。一ノ瀬の大学の後輩でもある。 甘崎
メカゴジラU 真船桂、真船博士、メカゴジラ
【めか-ごじら-つー】
 ゴジラとキングシーサーにより沖縄の海に沈められたメカゴジラだったが、ブラックホール第3惑星人がこの残骸を密かに回収、真船博士を用して再構築したのがメカゴジラUである。真船博士の発案により、より完璧な戦闘ロボットたるべく、修繕当初からそのコントロール装置には生きた人間の脳が望まれたが、皮肉にもその役割を担わされることになったのは真船博士の一人娘・桂のそれだった。これは、今にして思えば、『イノセンス』のガイノイドの先駆けとなる発想だったと言えよう。究極の巨体と破壊力を持たされた最大・最悪の人形、メカゴジラU!サイボーグ・真船桂の苦悩・葛藤・愛憎全てを体内に封じ込め、ただひたすら破壊の輪廻を巡りゆく!壊せ!壊せ!全部壊せ! kiona
山下
【やました】
 天城山中の山小屋のオーナー。草刈からスペースチタニウムを託される。 甘崎
山本ユリ
【やまもと-ゆり】
 海洋開発研究所助手。一ノ瀬に近づく真船桂を不審に思う。 甘崎
若山勇一
【わかやま-ゆういち】
 海洋開発研究所助手。技術者でもあり、超音波発生装置の開発なども行っている。 甘崎
名称
【】
  甘崎