ゴジラ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1996MTVムービー・アワード功労賞 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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日本近海で原因不明の船舶の遭難事故が頻発した。さらに伊豆諸島・大戸島を嵐が襲うが、ただの自然災害とは思えない被害が確認される。派遣された調査団の目の前に、謎の巨大生物が姿を現わす。海底の奥深く眠っていた古代生物が、原水爆の影響で怪獣と化したのだ。大戸島の伝説の龍“呉爾羅”から「ゴジラ」と命名されたその怪獣は、やがて日本を恐怖のどん底に陥れる…全シリーズ第1作にして最高傑作。 この年、東宝は大きな賭けに出、極端に金のかかる2作品を投入した。一作目は『七人の侍』(1954)であり、そしてもう一つが本作だった。スタッフに円谷英二という、後に“特撮の神様”を冠する特技監督を入れ、更に人間ドラマ部分は美術に中古智、撮影玉井正夫、照明石井町四郎という成瀬組という最強布陣で臨んだ(実際はインドネシアと合作で作るはずだった大プロジェクト『栄光のかげに』が駄目になり、その穴埋め企画として考えられたらしい。しかも当時の邦画2本分の予算とはいえ、前年の『原子怪獣現わる』(1953)の予算の3/4程度)。日本怪獣映画の原点となった作品。勿論初めての試みのため、製作側は公開まで相当やきもきしたらしいが、一旦公開されてしまうと、大ヒット。日本の興行成績でも8位と健闘した。 こいつを語る前に一言だけ、重要な事を言わねばならない。 こいつを最高!と言えなくてどこが怪獣映画ファンか! これが日本における怪獣映画第1号なのだが、1作目にしてこの完成度。後に追従するどの怪獣映画もこれには及ばないだろう。よくぞこれを一作目に作ってくれた。と声を大にして言いたい。、ゴジラの巨大さ、悪魔の如き強力ぶり、恐怖の対象としての巨大生物の恐ろしさを実によく表していた。更にその文字通り足下で起こっている人間ドラマも凝縮され、感動を呼ぶ。 この作品を俯瞰してみると、今の怪獣映画の基本的要素が見事に入っていることに気付かされる。最初の破壊の惨さと忽然と消え去った生物の姿。その民間伝承。徐々に集められる怪獣の情報。ついに現れた怪獣の山さえも越える巨大さ。近づいてくる怪獣に対する恐怖と人間の側の対策。そしてついに最重要地点への怪獣の上陸。カタストロフ。いや〜、もう思い起こすだけで身体が熱くなってくるみたいな気がする。更にそれを盛り上げる伊福部マーチ。すっかりおなじみとなったこの音楽も、第一作で用いられているものが一番良かったな。 ここまでは褒めっぱなしだが、実はいくつか不満点もある。なんといっても科学考証が問題となる。300万年前に恐竜がいたとか無茶苦茶なことを学者が言っているとか…まあ、これは良しとする。完全にマッド・サイエンティストの芹沢博士が常識ぶっているところが笑える。悪魔の兵器オキシジェン・デストロイヤーを手に「私はこれを平和利用に使いたい」とか抜かす偽善者ぶりとかも(どっちも笑えるから息抜きには良いけど)。 ちなみにこのオキシジェン・デストロイヤーは後にゴジラVSデストロイア(1995)で再登場するのだが… 本作は勿論円谷英二によって企画されたものだが、円谷は個人用にフィルムを持っていたと言うほどのキング・コング(1933)のファンで、何とかしてこれを日本向きに製作できる機会を窺っていたが、丁度前年に原子怪獣現わる(1953)が公開され、それに触発されて恐竜をベースに怪獣を作ろうと考えたらしい(そもそも本作の題名は『海底二万哩から来た大怪獣』であり、これは『原子怪獣現わる』の原題“The Beast From 20,000 Fathoms”のほぼ直訳だった)。 下手すればキワモノ映画になってしまう可能性も持った本作には東宝もかなりの力を入れていたらしく、撮影玉井正夫、照明石井長四郎、美術中古智という、成瀬巳喜男監督のスタッフが丸ごと投入されていた。事実この撮影の直後に、彼らは『浮雲』(1955)を作り上げている。 押井守作品にも何本かで引用がされていたりして、その傾倒ぶりが伺わせられる(機動警察パトレイバーOAV一期4億5千万年の罠(1988)はゴジラのパロディだし、うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984)では屋外映画で放映していて、それを観てメガネが涙流してたりする)。 |
あのゴジラが最後の一匹とは思えない | ||||
【あの-ごじら-が-さいご-の-いっぴき-とは-おもえない】 | ||||
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稲田 | ||||
【いなだ】 | ||||
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栄光丸 | ||||
【えいこう-まる】 | ||||
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大沢 | ||||
【おおさわ】 | ||||
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大戸島 | ||||
【おおど-しま】 | ||||
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尾形秀人 | ||||
【おがた-ひでと】 | ||||
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オキシジェンデストロイヤー |
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【おきしじぇん-ですとろいやー】 | ||||||
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小沢 | ||||
【おざわ】 | ||||
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ゴジラ | 東宝大怪獣シリーズ ゴジラ (1975版) | ||||
【ごじら】 | |||||
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呉爾羅 | ||||
【ごじら】 | ||||
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GHK | ||||
【じー-えいち-けい】 | ||||
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G作品 | ||||
【じー-さくひん】 | ||||
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しきね | ||||
【しきね】 | ||||
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新吉 | ||||
【しんきち】 | ||||
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芹沢大助 | ||||
【せりざわ-だいすけ】 | ||||
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田辺 | ||||
【たなべ】 | ||||
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南海サルベージ | ||||
【なんかい-さるべーじ】 | ||||
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備後丸 | ||||
【びんご-まる】 | ||||
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放射熱線 | ||||
【ほうしゃ-ねっせん】 | ||||
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みなさんさようなら | ||||
【みなさん-さようなら】 | ||||
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もうすぐお父ちゃまのそばへ行くのよ | ||||
【もう-すぐ-おとうちゃま-の-そば-へ-いくのよ】 | ||||
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山田新吉 | ||||
【やまだ-しんきち】 | ||||
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山田政治 | ||||
【やまだ-まさじ】 | ||||
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山根恭平 | ||||
【やまね-きょうへい】 | ||||
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山根恵美子 | ||||
【やまね-えみこ】 | ||||
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名称 | ||||
【】 | ||||
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魚群探査機パイロット月岡(小泉博)と小林(千秋実)は、岩戸島でゴジラを目撃する。水爆によって誕生したゴジラは一匹だけではなかったのだ。しかもそこにはもう一つ、暴竜アンギラスの影も!防衛隊の努力も空しくゴジラは大阪へ上陸、それを追ってアンギラスも大阪へ向かい、二匹の闘いによって大阪は廃墟と化してしまう。やがてゴジラは氷の島・神子島にいるところを確認された。今度こそゴジラを倒せるのか? 前年の『ゴジラ』(1954)の大ヒットを受けて急遽製作決定され、僅か6ヶ月で制作された続編。前回は東京だったため、今度は大阪に舞台を移す(些か単純な理由だが)。前回の東京以上に徹底的に破壊される大阪の町は見ていて楽しめる。尚、今回からゴジラには敵役が登場するわけだが、今回に関してはプロレスよりむしろ二大怪獣による破壊の方に主眼が置かれているようで、カメラアングルとか、逃げまどう人とかよく練り込まれて作られている。この二体の怪獣に善悪の区別はなく、彼らが戦えば人間側では迷惑するだけと言うのも良い。ただ、今回は飛行機からゴジラを俯瞰で見るシーンが多く、ややゴジラが小さく見えてしまうのがちょっと悲しい。 ところでここのゴジラの造形だが、前回と異なり今回は格闘を前提とした造りとなっているため、随分シェイプアップしたものになっている。その分、体型が非常に人間っぽくなってしまったのは少々残念ながら、実際動きは良く、後の怪獣プロレスの可能性(引いては「ウルトラマン」の制作)にも貢献したことが分かる。 初のゲスト怪獣であるアンギラスはいかにも地底獣という雰囲気で造形及びコンセプトは素晴らしい(次回作以降では単なるゴジラのお助け役(若しくはやられ役)になってしまったのが非常に残念)。 ちなみに『ゴジラ』(1954)はトランスワールド・リリーシングという小さな製作会社によって買われてアメリカで手直しして公開されたが、それがそこそこヒットしたこともあって、本作はワーナーが買ってアメリカ公開している。 |
アンギラス | ゴジラシリーズ アンギラス ソフビ | |||
【あんぎらす】 | ||||
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アンキロサウルス | ||||
【あんきろ-さうるす】 | ||||
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池田 | ||||
【いけだ】 | ||||
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井上やす子 | ||||
【いのうえ-やすこ】 | ||||
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岩戸島 | ||||
【いわと-じま】 | ||||
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海洋漁業KK | ||||
【かいよう-ぎょぎょう-けい-けい】 | ||||
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神子島 | ||||
【かみこ-じま】 | ||||
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ゴジラ | |||||
【ごじら】 | |||||
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ゴジラ(初代) | ||||
【ごじら】 | ||||
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小林弘治 | ||||
【こばやし-ひろし】 | ||||
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芝木信吾 | ||||
【しばき-しんご】 | ||||
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田島 | ||||
【たじま】 | ||||
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田所 | ||||
【たどころ】 | ||||
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月岡正一 | ||||
【つきおか-しょういち】 | ||||
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寺沢 | ||||
【てらさわ】 | ||||
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ポンポン砲 | ||||
【ぽんぽん-ほう】 | ||||
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山路耕平 | ||||
【やまじ-こうへい】 | ||||
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山路秀美 | ||||
【やまじ-ひでみ】 | ||||
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山根恭平 | ||||
【やまね-きょうへい】 | ||||
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名称 | ||||
【】 | ||||
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国連の潜水艦・シーホーク号が北極での異変調査中に行方不明となるが、それは復活したゴジラの仕業であった。同じ頃「巨大なる魔神」の話を聞き付け南方はるかファロ島へと辿り着いた大取材班は、伝説の怪物巨大猿と遭遇する。彼等によって日本へと運ばれるがその途中で脱走、帰巣本能から日本へと南下していたゴジラ目掛けて北上を開始する。かくして、二大怪獣の世紀の決戦の火蓋が切られた! アメリカの製作会社ユニヴァーサルから全面的なバックアップを受けて作られた初のカラーで作られた作品で、アメリカでもかなりゴジラの知名度が上がっていることが分かる。 この作品は初期の並み居るゴジラ作品の中でもかなり特異な位置づけにあるが、しかし、一作目を別にすれば完成度の最も高い映画でもある。なにせアメリカの怪獣の代表キングコングと戦わせようという剛毅さが気に入った!(尤も、劇中ではその辺を配慮したのか、「南海の魔神」とかそう言う言葉で置き換えていたが)更に言わしてもらうと、『ゴジラ』を超え、怪獣映画史上最大の興行成績を記録した作品でもある(1,260万人を動員し、1962年邦画の興行成績では4位)。 このゴジラの良さは何と言っても造形の素晴らしさが挙げられよう。キングコングの出来は本家のようにゴリラ然としていないが、様々な猿の複合体みたいで非常に好感が持てる(よく見ると結構可愛いんだ、これが)。しかもこれがよく動く。ゴジラの造形も出色の出来で、非常に精悍な顔つきをしているし、よくもあそこまで動かした!と思えるほど動きが良い(実は本作からゴジラの繰演にモーターが導入されている)。何と言ってもコングがゴジラの尻尾掴まえてジャイアントスウィングするのは圧倒的迫力! ここでのゴジラはまだ悪役然としていて、どちらかというとコングの方が善玉的役割を果たしているが、ゴジラの方も火炎を吐くことも少なく、とっくみあいに持ち込むなど、なかなか紳士的な一面も持っている(以降のゴジラシリーズの「暴れん坊」という名称はこの辺りから来ているのだろう)。 一応ここには人間による姑息な撃退法が使われているが、逆にそれがゴジラに有利に働く辺り、怪獣映画における人間の役割の弱さを示していて良し。怪獣というのは圧倒的力を持っているからこそ怪獣映画なのだ。この辺りで止めているからこそ、楽しいんだろう。 本作の大ヒットにより、以降怪獣プロレス的な要素を持つゴジラシリーズが製作されるようになるが、そう考えると、本作のゴジラこそが実は以降のゴジラシリーズの最初のゴジラと言うことになる(まだ今回はゴジラはあくまで悪役であり、人類を救うのはキングコングの方だったが)。 又、本作は東宝喜劇映画の常連が続々と出演していることからも分かるが、,かなりの方向転換が図られた作品でもある。特に探検隊隊長の有島一郎のすっとぼけた演技がはまっているが、これも前年の作品である『モスラ』が思わぬ好成績だったからだろうと思われる。 本企画は実は日本人が原案ではないところが味噌。ストップ・モーション・アニメーションの粗にして名作『キング・コング』(1933)を作り上げた技術屋オブライエンが是非作ってみたかったものとして候補に挙げていた『キング・コング対フランケンシュタイン』案を東宝が買って作り上げたもの。フランケンシュタインの方もちゃんと『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1965)で使っているので、東宝としてはとても効率の良い買い物だったのでは? |
大ダコ | ||||
【おお-だこ】 | ||||
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大トカゲ | ||||
【おお-とかげ】 | ||||
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大貫 | ||||
【おおぬき】 | ||||
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大林 | ||||
【おおばやし】 | ||||
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ガソリン作戦 | ||||
【がそりん-さくせん】 | ||||
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巨大なる魔神 | ||||
【きょだい-なる-ましん】 | ||||
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キングコング | |||||||
【きんぐ-こんぐ】 | |||||||
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古江金三郎 | ||||
【こえ-きんざぶろう】 | ||||
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ゴジラ | ||||
【ごじら】 | ||||
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ゴジラ焼き | ||||
【ごじら-やき】 | ||||
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桜井修 | ||||
【さくらい-おさむ】 | ||||
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桜井ふみ子 | ||||
【さくらい-ふみこ】 | ||||
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シーホーク号 | ||||
【しー-ほーく-ごう】 | ||||
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重沢正介 | ||||
【しげさわ-しょうすけ】 | ||||
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ジャイアントスイング | ||||
【じゃいあんと-すいんぐ】 | ||||
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世界驚異シリーズ | ||||
【せかい-きょうい-しりーず】 | ||||
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多胡 | ||||
【たご】 | ||||
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豊登道春 | ||||
【とよのぼり-みちはる】 | ||||
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パシフィック製薬 | ||||
【ぱしふぃっく-せいやく】 | ||||
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100万ボルト作戦 | ||||
【ひゃくまん-ぼると-さくせん】 | ||||
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ファロ島 | ||||
【ふぁろ-とう】 | ||||
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藤田一雄 | ||||
【ふじた-かずお】 | ||||
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名称 | ||||
【】 | ||||
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台風に乗って巨大な卵が海岸に流れ着いた。新聞記者の酒井(宝田明)と助手の純子(星百合子)はインファント島から来た小美人(ザ・ピーナッツ)から、それがモスラの卵だと教えられる。だが卵は興行主の熊山(田島義文)らの手に渡って見世物にされようとしており、取り戻そうとする小美人の声も届かない。そんなある日、台風で被害を受けた干拓地からゴジラが出現し街を蹂躙し始め、防衛隊の作戦も失敗に終わる。この危機を救えるのはモスラしかいないが、インファント島の成虫モスラはまもなく寿命を迎えんばかりの状態になっていた…
単独でシリーズを持っていた『ゴジラ』(1954)に『モスラ』(1961)を融合させた作品だが、本作は以降のシリーズの大きな試金石として製作された。これまで東宝怪獣シリーズはあくまで単独で作られ、同一の怪獣が出てきたとしても、それは基本的には別個体という認識がなされてきた。だが本作において、モスラは『モスラ』で登場した同一個体とされ、ゴジラも前作『キングコング対ゴジラ』(1962)で海に転落したゴジラと同一のものとされる。 ストーリーの方は復讐譚として「曾我兄弟」をベースに、人の欲の浅ましさ、原水爆の恐ろしさ、そして善意ある者の誠意が結局勝つのだ。と言う形に持っていく、まあ言うなればゴジラの黄金パターン。いや、そう言うのは当てはまらないな。むしろこの作品がその形を作ったと言った方が良いかも知れない。 物語は兎も角、この作品はゴジラという素材を縦横無尽に使い切った事の方に意味があるだろう。ここでのゴジラは「モスゴジ」などと言われ、「キンゴジ」(『キングコング対ゴジラ』と並び称される程の傑作造形だった。どことなく愛敬のある顔立ちに、凶悪な三白眼を付けることで、素晴らしいバランスの表情を見せていた。土中に埋められたゴジラが這い上がってくる様は人間が中に入っているとは思えないほどに生物感に溢れ(ゴジラアクターの中島春男の名演ぶり)、尻尾の操演は最早名人芸と言っても良い。本当に良く動く。ゴジラ本人よりも尻尾の演技の方に目が行ってしまう程。ただ、その分モスラの方にやや魅力が感じられなかったかな?都合3匹も出てくるしねえ。 後はインファント島の描写は面白かった。明らかに日本人の顔立ちしているのが暗黒舞踊を踊っているのには笑えるし、ザ・ピーナッツの「モスラ〜ぃやっ、モスラ〜」も良い(「ぃやっ」の部分で民謡風に語尾を上げるのがポイント)。今観ても充分鑑賞に足る作品。 ゴジラ造形が素晴らしいことは言ったが、しかしその素晴らしいバランスを取っていたゴジラが次々と受難に遭う。砂だらけになるわ、変な粉をかぶせられるわ、顔が燃えるわ、モスラの粘糸で絡めとめられるわ、挙げ句に海にたたき落とされるわ…余計なお世話だろうが、中に入ってる人はさぞ大変だっただろう。 物語にもバランスが取れていて、結構好きなのだが、ラストの宝田明の台詞に急に醒める。「俺たちが良い世界を創ろうじゃないか」。確かに良い台詞には違いないと思う。だけど、あれだけ悲惨なことになってるインファント島にこれだけ迷惑をかけておいて、あそこには何の援助も必要ないんだ。と言う風にも取れてしまい、結局身勝手なだけじゃないか。としか思えなかったのがなあ。 ちなみにゴジラ映画はこれまでアメリカでは様々な製作会社によって買われたが、本作以降ヘンリー・G・サパスタイン率いるベネディクト・プロによって買われ、一貫してAIPで配給されることとなる。 |
悪魔の火 | ||||
【あくま-の-ひ】 | ||||
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悪魔の禊ぎ | ||||
【あくま-の-みそぎ】 | ||||
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あの人達へのお礼は我々が良い社会を作る事だ | ||||
【あの-ひと-たち-への-おれい-は-われわれ-が-よい-しゃかい-を-つくる-こと-だ】 | ||||
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岩島 | ||||
【いわ-じま】 | ||||
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インファント島 | ||||
【いんふぁんと-とう】 | ||||
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A作戦 | ||||
【えい-さくせん】 | ||||
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京南大学 | ||||
【きょうなん-だいがく】 | ||||
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熊山 | ||||
【くまやま】 | ||||
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倉田干拓地 | ||||
【くらた-かんたく-ち】 | ||||
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ゴジラ | ||||
【ごじら】 | ||||
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酒井市郎 | ||||
【さかい-いちろう】 | ||||
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静之浦ハッピーセンター | ||||
【しずのうら-はっぴー-せんたー】 | ||||
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小美人 | ||||
【しょう-びじん】 | ||||
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人工雷発生装置 | ||||
【じんこう-かみなり-はっせい-そうち】 | ||||
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虎畑二郎 | ||||
【とらはた-じろう】 | ||||
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中西純子 | ||||
【なかにし-じゅんこ】 | ||||
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ハッピー興行社 | ||||
【はっぴー-こうぎょう-しゃ】 | ||||
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B作戦 | ||||
【びー-さくせん】 | ||||
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毎朝新聞 | ||||
【まいちょう-しんぶん】 | ||||
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モスラ | ||||
【もすら】 | ||||
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61式特車 | ||||
【ろくじゅういち-しき-とくしゃ】 | ||||
|
名称 | ||||
【】 | ||||
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台風に乗って巨大な卵が海岸に流れ着いた。新聞記者の酒井(宝田明)と助手の純子(星百合子)はインファント島から来た小美人(ザ・ピーナッツ)から、それがモスラの卵だと教えられる。だが卵は興行主の熊山(田島義文)らの手に渡って見世物にされようとしており、取り戻そうとする小美人の声も届かない。そんなある日、台風で被害を受けた干拓地からゴジラが出現し街を蹂躙し始め、防衛隊の作戦も失敗に終わる。この危機を救えるのはモスラしかいないが、インファント島の成虫モスラはまもなく寿命を迎えんばかりの状態になっていた…
単独でシリーズを持っていた『ゴジラ』(1954)に『モスラ』(1961)を融合させた作品だが、本作は以降のシリーズの大きな試金石として製作された。これまで東宝怪獣シリーズはあくまで単独で作られ、同一の怪獣が出てきたとしても、それは基本的には別個体という認識がなされてきた。だが本作において、モスラは『モスラ』で登場した同一個体とされ、ゴジラも前作『キングコング対ゴジラ』(1962)で海に転落したゴジラと同一のものとされる。 ストーリーの方は復讐譚として「曾我兄弟」をベースに、人の欲の浅ましさ、原水爆の恐ろしさ、そして善意ある者の誠意が結局勝つのだ。と言う形に持っていく、まあ言うなればゴジラの黄金パターン。いや、そう言うのは当てはまらないな。むしろこの作品がその形を作ったと言った方が良いかも知れない。 物語は兎も角、この作品はゴジラという素材を縦横無尽に使い切った事の方に意味があるだろう。ここでのゴジラは「モスゴジ」などと言われ、「キンゴジ」(『キングコング対ゴジラ』と並び称される程の傑作造形だった。どことなく愛敬のある顔立ちに、凶悪な三白眼を付けることで、素晴らしいバランスの表情を見せていた。土中に埋められたゴジラが這い上がってくる様は人間が中に入っているとは思えないほどに生物感に溢れ(ゴジラアクターの中島春男の名演ぶり)、尻尾の操演は最早名人芸と言っても良い。本当に良く動く。ゴジラ本人よりも尻尾の演技の方に目が行ってしまう程。ただ、その分モスラの方にやや魅力が感じられなかったかな?都合3匹も出てくるしねえ。 後はインファント島の描写は面白かった。明らかに日本人の顔立ちしているのが暗黒舞踊を踊っているのには笑えるし、ザ・ピーナッツの「モスラ〜ぃやっ、モスラ〜」も良い(「ぃやっ」の部分で民謡風に語尾を上げるのがポイント)。今観ても充分鑑賞に足る作品。 ゴジラ造形が素晴らしいことは言ったが、しかしその素晴らしいバランスを取っていたゴジラが次々と受難に遭う。砂だらけになるわ、変な粉をかぶせられるわ、顔が燃えるわ、モスラの粘糸で絡めとめられるわ、挙げ句に海にたたき落とされるわ…余計なお世話だろうが、中に入ってる人はさぞ大変だっただろう。 物語にもバランスが取れていて、結構好きなのだが、ラストの宝田明の台詞に急に醒める。「俺たちが良い世界を創ろうじゃないか」。確かに良い台詞には違いないと思う。だけど、あれだけ悲惨なことになってるインファント島にこれだけ迷惑をかけておいて、あそこには何の援助も必要ないんだ。と言う風にも取れてしまい、結局身勝手なだけじゃないか。としか思えなかったのがなあ。 ちなみにゴジラ映画はこれまでアメリカでは様々な製作会社によって買われたが、本作以降ヘンリー・G・サパスタイン率いるベネディクト・プロによって買われ、一貫してAIPで配給されることとなる。 |
青空千夜・一夜 | ||||
【あおぞら-せんや-いちや】 | ||||
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あの方はどうしているのでしょう? | ||||
【あの-かた-は-どうして-いる-の-でしょう】 | ||||
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インファント島 | ||||
【いんふぁんと-とう】 | ||||
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引力光線 | ||||
【いんりょく-こうせん】 | ||||
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宇宙円盤クラブ | ||||
【うちゅう-えんばん-くらぶ】 | ||||
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黄金の腕輪 | ||||
【おうごん-の-うでわ】 | ||||
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俺たちの知ったことか。勝手にしやがれ | ||||
【おれ-たち-の-しった-こと-か-かって-に-しやがれ】 | ||||
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キングギドラ | → | |||
【きんぐ-ぎどら】 | ||||
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金星人 | ||||
【きんせい-じん】 | ||||
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国際合同軍 | ||||
【こくさい-ごうどう-ぐん】 | ||||
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ゴジラ | ||||
【ごじら】 | ||||
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寿山号 | ||||
【ことぶきやま-ごう】 | ||||
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サルノ | → | |||
【さるの】 | ||||
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幸せを呼ぼう | ||||
【しあわせ-を-よぼう】 | ||||
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小美人 | ||||
【しょう-びじん】 | ||||
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進藤 | → | |||
【しんどう】 | ||||
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進藤直子 | → | |||
【しんどう-なおこ】 | ||||
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セルジナ王国 | → | |||
【せるじな-おうこく】 | ||||
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塚本 | → | |||
【つかもと】 | ||||
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帝都工大 | ||||
【ていと-こうだい】 | ||||
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20世紀の神話 | → | |||
【にじゅ-せいき-の-しんわ】 | ||||
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村井 | ||||
【むらい】 | ||||
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モスラ | ||||
【もすら】 | ||||
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ラドン | ||||
【らどん】 | ||||
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名称 | ||||
【】 | ||||
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木星の13番目の新衛星・X星の探査に向かった富士(宝田明)とグレン(アダムス)はそこでX星人を名乗る宇宙人と遭遇する。X星統制官(土屋嘉男)は彼等に「我々の脅威であるキングギドラを撃退する為、ゴジラとラドンを借りたい」と申し出る。話し合いは成立し、X星に連れてこられたゴジラとラドンは見事キングギドラを撃退する。だがこれは全てX星人の策略のうちだったのだ。やがて地上にやってくる脅威とは… 本多猪四郎監督が子供向けに徹して作り上げたゴジラ・シリーズの一本。1965年の邦画興行成績も9位と大健闘している(実は本作の企画そのものがベネディクト・プロによるものだったため、アメリカでの配給でもかなり稼いだ)。とにかく陽性で、明るく作られているのが最大特徴と言えるだろうか。これまでもゴジラ映画のために音楽を作ってきた伊福部昭による伊福部マーチも冴え渡る。 本作ではゴジラ映画では初めて宇宙が舞台となっているが、それも前作でキング・ギドラと言う魅力ある敵役を得た事実が大きいだろう。二作続けてのギドラ襲来により、宇宙から敵がやってくる。それから地球を守のは地球を代表する怪獣だ。と言う構図を確立した作品となった。キング・ギドラは二度目の登場(多分敵役としてなら最多登場だろう)であるが、前作のような凶暴さがやや落ちているのが残念と言えば残念(やっぱギドラは操られててはいけない存在なんじゃないかな?)。そしてX星でキング・ギドラを追い払ったゴジラは喜びのあまり、飛び跳ねながら“シェー”のポーズを取る(これは本作をこども向きにすると言う円谷英二自身の判断によると言う)。確かにこのゴジラ、良く動くのだが、怪獣同士の戦いについては特筆すべき事はあまりない、と言うのが正直な印象。特に前作の凶悪なキング・ギドラを知っている身としては。 だけど、ここには非常に魅力的な存在がある。X星人。彼らは地球人を騙し、キング・ギドラを操って地上を征服しようとすると言う、まあある意味ステロタイプな宇宙人ではあるのだが、なんと言っても彼らの宇宙服のデザインは秀逸だし、台詞が格好良い。後年の「ウルトラセブン」に強い影響を与えたのではなかろうか? そしてラストで分かる。この映画の本当の主人公が誰であったかが。ゴジラには敵わないと言う前提の元、作戦を立てて目的を果たそうとするX星人。彼らこそ努力と根性をもって作戦を遂行していたのだった。そして作戦が失敗したとき、彼らは見えない未来に向けて出発したのだ。彼らはあきらめてはいない。自分たちが失敗しても、いつか必ず目的は果たす。まさしくあの台詞はその意思に溢れた言葉だった。 あの言葉が浮かずに素直に受け入れられたのは、高度成長期と言うあの時代ならではだったのかな?そしてよほどX星人の方が等身大のヒーローっぽいのが皮肉っぽくて良い。 ここに登場しているニック・アダムスは知名度はさほどではないが(脇役俳優で『理由無き反抗』や『ピクニック』などに出演)、顔映りが良い役者のため、ベネディクト・プロのヘンリー・G・サパスタインが引っ張ってきたのだとか。 |
Aサイクル光線車 | → | |||
【えい-さいくる-こうせん-しゃ】 | ||||
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引力光線 | ||||
【いんりょく-こうせん】 | ||||
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X星 | ||||
【えっくす-せい】 | ||||
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]星人 | → | |||
【えっくす-せいじん】 | ||||
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怪物0 | ||||
【かいぶつ-ぜろ】 | ||||
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怪物02 | ||||
【かいぶつ-ぜろ-つー】 | ||||
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怪物01 | ||||
【かいぶつ-ぜろ-わん】 | ||||
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ガンの特効薬 | ||||
【がん-の-とっこう-やく】 | ||||
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キングギドラ | ||||
【きんぐ-ぎどら】 | ||||
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グレン | ||||
【ぐれん】 | ||||
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ゴジラ | |||||
【ごじら】 | |||||
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桜井 | ||||
【さくらい】 | ||||
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シェー | ||||
【しぇー】 | ||||
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我々は脱出する。未来に向かって脱出する。まだ見ぬ未来へ向かってな | ||||
【われわれ-は-だっしゅつ-する-みらい-に-むかって-だっしゅつ-する-まだ-みぬ-みらい-へ-むかって-な】 | ||||
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名称 | ||||
【】 | ||||
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|
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南太平洋で失踪した兄の弥太を探すため、良太(渡辺徹)は途中知り合った市野(当銀長太郎)、仁田(砂塚秀夫)と共に停泊していたヨット「ヤーレン号」に乗り込むが、そこには金庫破りの吉村(宝田明)がいた。成り行きで出航してしまったヨットは遭難し、4人はレッチ島という太平洋の島にうちあげられる。そこでの住民ダヨ(水野久美)から、ここは世界制覇を目ざして原水爆を製造する「赤イ竹」一味が人喰い海獣エビラを操って島民を苦しめているというのだ。しかも、この島を探検したところ、地下にゴジラが眠っているのを発見!「赤イ竹」の野望を打ち砕くべく、隣島のインファント島のモスラに救援を求めると共にゴジラを起こそうとするのだったが… 何というか、改めてあらすじを書いてみると、この作品がどれほど荒唐無稽な物語だかよく分かる。凄いぞこれは。イタコの言葉を信じてどこにいるとも分からぬ兄を探しに行ったところ、たまたま乗り込んだヨットが金庫破りの持ち船。しかもトラブルで出航してしまったら遭難していきなりビンゴ。しかもそこには日本人による大規模なテロ組織があって、隣島はインファント島。しかもその地下にはゴジラがいる…ここまでご都合主義の物語を作ってしまったと言う点を先ず評価したい(あれ?)。 本作の主人公は元々はゴジラではなくキングコングだったそうで、ひたすら明るく作られているのはそのためか?でも、その方向性が以降のゴジラの性格を決めてしまったのだから皮肉な話だ。 本作は福田純監督によるゴジラシリーズ第1作。この監督は昭和ゴジラ中期から後期にかけての作品の多くを監督した人で、ゴジラシリーズを怪獣プロレスにしてしまった張本人。そう言うことで評価しにくい監督さんではあるが、一つこの監督作品には評価すべき部分があると思う。 本多猪四郎監督によるゴジラシリーズは概ね怪獣の陰の部分を強調して描かれていたのだが(大人向きという方向性ではある)、福田監督による怪獣は徹底して陽の部分を強調している。怪獣は怖い存在であると同時に、人間が利用できる存在となり、上手く使えば人間の役に立ってくれる。そんな存在へと変えていった。子供向きの方向へゴジラシリーズを転換したのは、延命の意味では正しかったし、きっちり一つの方向性を明示してもいた。なんだかんだ言っても彼がゴジラシリーズを引っ張ったのは確かな話だ。そしてこの方向転換こそがゴジラを長寿シリーズへと変えていったのもやはり事実。 それで本作だが、上記の通り、とにかくすさまじいご都合主義の固まりな上に、新しく登場した怪獣はエビラというなんのひねりもないキャラクター(大体ゴジラにエビの化け物が釣り合うか!最初から勝負目に見えてるじゃないか)だったり、表題にバーンと大きく登場したモスラがラストにちらっと登場するだけとか(そういや以降の作品のモスラは幼虫ばっかりだけど、これの子供なのか?)様々な問題を抱えているが(致命的とも言える)、そう言うもんだと思って観る限り、結構温かい目で観られるんじゃないかな? 前作『怪獣大戦争』(1965)でシェーをやってくれたゴジラは今度はキャッチボールをやってくれるし、日本人離れしたくっきりした目鼻立ちしている水野久美がなんの違和感もなく原住民やってるとか、今回悪役で登場した平田昭彦がまるで『ゴジラ』(1954)ばりに眼帯で登場するとか、結構見所はあるから、楽しんでみようと思えば充分楽しめると思う。 ただ一つ、少々気になるのがラストの台詞。確か「これからは核も使い手の心次第だ」 だったと思うけど、この台詞かなり当時の世相を知る手がかりになると思う。『ゴジラ』はそもそも日本敗戦を決定づけた原子力爆弾の驚異へのオマージュがある事はよく言われることだが、ゴジラ=原子力と考えてみると、「使いようによって、原子力は人間の役にも立つんだよ」という事を暗に語っているような気がしてならない(当時は既に日本に原子力発電所設立は決まっていたし、本作の2年前の1963年には試験発電が開始、3年後の1970年には初の商業原子炉敦賀1号が運用を開始してる)。世相なのか、それとも何らかの意志が働いていたのか…考えすぎだろうか? |
赤イ竹 | ||||
【あかい-たけ】 | ||||
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市野 | ||||
【いちの】 | ||||
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インファント島 | ||||
【いんふぁんと-とう】 | ||||
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エビラ | ||||
【えびら】 | ||||
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大ワシ | ||||
【おお-わし】 | ||||
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革命的生物 | ||||
【かくめい-てき-せいぶつ】 | ||||
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カネ | ||||
【かね】 | ||||
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君といつまでも | ||||
【きみ-と-いつまで-も】 | ||||
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ゴジラ | ||||
【ごじら】 | ||||
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小美人 | ||||
【しょう-びじん】 | ||||
|
耐久ラリーダンス大会 | ||||
【たいきゅう-らりー-だんす-たいかい】 | ||||
|
大コンドル | ||||
【だい-こんどる】 | ||||
|
ダヨ | ||||
【だよ】 | ||||
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仁田 | ||||
【にた】 | ||||
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モスラ | ||||
【もすら】 | ||||
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ヤーレン号 | ||||
【やーれん-ごう】 | ||||
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彌太 | ||||
【やた】 | ||||
|
吉村 | ||||
【よしむら】 | ||||
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竜尉隊長 | ||||
【りゅうい-たいちょう】 | ||||
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良太 | ||||
【りょうた】 | ||||
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レッチ島 | ||||
【れっち-とう】 | ||||
|
名称 | ||||
【】 | ||||
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人間の手で気象コントロールを行なう研究を進めていた楠見博士(高島忠夫)は南太平洋の無人島ゾルゲル島で実験を進めていた。だが実験は失敗。高温に包まれた島は住んでいたカマキリが異常発育。怪獣カマキラスに変わってしまう。そのカマキラスが山から掘り出したのはゴジラの卵で、そこからも怪獣が出現するのだった。ゴジラに似たその子を助けるべくゴジラまでが現れ、島は怪獣が大挙して押し寄せる地となる。そんな時、実験に居合わせた記者の真城伍郎(久保明)は無人のはずの島に少女の姿を見かける… 怪獣映画を作る際、一つの問題がある。怪獣はあまりに巨大すぎるのだ。構造上怪獣映画は人間ドラマを入れることになるが、怪獣の巨大さに対して、人間はあまりにも小さい。どうしてもそこに断絶が生じる。 第1作目の『ゴジラ』(1954)は確かに素晴らしい作品だったが、その巨大さが後のシリーズに与えた課題は大きかった。あまりに素晴らしすぎたがため生じた負の要素は確かにあったのだ。 故にこそ、その体格差をどう埋めて怪獣と人間のドラマを作るか。そこが怪獣映画の宿命となった。これにはいくつかの手が用いられた。例えばゴジラシリーズからは離れるが、同年の『キングコングの逆襲』(1967)のように怪獣のスケールを小さくする方法や、『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(1999)のように怪獣の中にすっぽり人間を入れてしまう方法(ここではもう一つ、怪獣を閉鎖空間に閉じこめると言う方法も使われた)。最も単純には、人間が巨大ロボットの中に入ってゴジラと戦う方法。人間が怪獣を復活させる過程を丹念に描くなどなど、本当に様々な方法が用いられた… 本作は福田純監督による2作目のゴジラ映画だが、前作『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』であまりに無茶苦茶やってしまった事を反省してか、一つの画期的要素を投入する。 他でもないミニラの存在がそれ。ファンの多くにはすこぶる評判が悪いミニラだが、実はこの怪獣は人間と怪獣の橋渡しとして、これほどうってつけの存在はなかった。本作においてそれが顕著だったのはサエコ(前田美波里)がミニラに食べ物を渡すシーン。人間と怪獣が同スケールで交流できる!これがどれほど重要だったか、よく考えていただきたい。そう。ミニラはゴジラと対比することもできるし、人間とも交流できるという、怪獣と人間とをつなぐ重要な要素を持ち込んだ希有な存在だったのだ(二年後の『ゴジラ ミニラ ガバラ オール怪獣大進撃』(1969)ではより顕著にそれが表されていた)。 そりゃ確かに作品自体は怪獣プロレスにさえなってない作品だったし、親としての使命に目覚めたゴジラなんて見たくもなかったが、それでも尚、この時点まででこれほど人間と怪獣のリンクが出来た作品はなかった。ミニラの重要さはもう少し評価して然るべきだと私は思っている。 それともう一つ。本作で評価したいのは、表題を『ゴジラ対クモンガ』にしなかったことかな?「エビの次はクモかよ!」という極めつけの悪評は避けられたし、少なくともこども達はゴジラに親近感を持ったことだろう(以降のシリーズは子供をターゲットにしてるので、これは重要な点だ)。 形と言い、存在感と言い、殆ど怪獣ファンの口にも上らないようなクモンガだが、二体の怪獣に対し、これほど健闘したのだ(事実人間側の努力無しだったら勝ってた)。これももう少し評価すべきじゃないかな?それにクモンガやカマキラスを着ぐるみにせずにあくまで繰演にこだわったのもスタッフの意気込みが見えるようで良い。 |
赤い熱い沼 | ||||
【あかい-あつい-ぬま】 | ||||
|
怪獣島 | ||||
【かいじゅう-とう】 | ||||
|
カマキラス | → | |||
【かまきらす】 | ||||
|
気象コントロール装置 | → | |||
【きしょう-こんとろーる-そうち】 | ||||
|
楠見恒蔵 | → | |||
【くすみ-つねぞう】 | ||||
|
クモンガ | → | ||||
【くもんが】 | |||||
|
ゴジラ | ||||
【ごじら】 | ||||
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シャーベット計画 | → | |||
【しゃーべっと-けいかく】 | ||||
|
真城伍郎 | → | |||
【しんじょう-ごろう】 | ||||
|
ゾルゲル島 | → | |||
【ぞるげる-とう】 | ||||
|
ゾンデ | ||||
【ぞんで】 | ||||
|
松宮 | ||||
【まつみや】 | ||||
|
松宮サエコ | ||||
【まつみや-さえこ】 | ||||
|
ミニラ | → | |||
【みにら】 | ||||
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森尾 | ||||
【もりお】 | ||||
|
名称 | ||||
【】 | ||||
|
|
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地球上の怪獣が集められ、管理される怪獣ランド。だがある日、突然島は不思議な霧につつまれ、怪獣達が逃げ出してしまう。全世界の主要都市を襲い始める怪獣を何とか止めるべく山辺(久保明)を隊長とする日開発基地のSX3号は調査を開始するが、怪獣を操っていたのはなんと怪獣島のコントロール・センターであることが発覚する。コントロール・センターの職員は既に侵略者キラアク星人の管理下にあり、職員は白衣の美女の姿をしたキアラク星人により、リモート・コントロールされていたのだ…久々にメガフォンを取る本多猪四郎監督による昭和シリーズ第9作。 怪獣ブームが下火となり、東宝が怪獣映画の総決算として投入した作品。だが幸いな事に本作の大ヒットにより路線は継承されることになる。後々まで怪獣島の設定は残され、ゴジラシリーズのメルクマール的な位置づけにある作品で、その後1972年の東宝チャンピオンまつりでは、『ゴジラ電撃大作戦』と改題されたニュープリント改訂版(74分)が上映された。 本作の初見は随分前のこと。見た目からあんまり期待できないと思っていたし、事実初見時点では全然面白いと思えなかった。11大怪獣とか言いつつ、実際に画面に登場するのはその一部だし、人間ドラマと怪獣の戦闘シーンは見事に乖離。キングギドラがいくら強いって言っても、集団リンチのような戦いにも引いた。何よりあまりに話が陽性すぎて正直な話、しばらく本作には最低点を付けていた。 ところが、最近になってこれ観直してみて、評価を一気に上げた。 怪獣と人間のドラマというものについて改めて考えてみたい。 前作『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967)で福田純監督は人間と怪獣との交流について描いていたのだが、本作の人間と怪獣の関わりは恐ろしいほどに希薄だった。人間は完全に管理された怪獣をモニター越しに観ているだけで、人間側は独自にドラマを作っている。これが最初観た時悪い部分だとばかり思っていたのだが、実は全く逆ではないか?と言うのが今の考え。 本多監督は本作において、徹底して人間を描こうとしていたのではないだろうか?怪獣を画面の向こうに押し込め、こちら側ではハードなドラマを展開する。向こう側を子供に分かるように、そしてこちら側では大人が興奮するように。 …これは実は卓見だったのでは?少なくともこの関わり方だと、幅広い世代にアピールができる。元々特撮映画を大人の作品として撮っていた本多監督は、福田純監督の子供向け路線を損なうことなく、立派に大人向け作品として本作を作り上げてくれていた。 確かにその点においてバランスが良かったとは言い難いが、人間側のこの緊迫したストーリーはどうだ。今観ても、地球規模の危機感は充分感じ取れるし、緊張感と熱で汗を流しながら地球を救おうとする人間側の努力は緊迫感溢れるじゃないか(特攻精神もあったし)。人の死というものに対しても正面切ってその重さを演出していた。その辺はやはり本多監督ならではだ。怪獣映画で必要なのは怪獣だけじゃない。人間をきっちり描くことが重要だ。と言うことを暗にほのめかしているようにも思える…考えすぎだろうか? それに本作では、大分コミカルになったとは言え、久々に怪獣が“天災”として描かれてもいたし。 …このレビューを書いていて、ふとデジャヴュに襲われる。このパターンはどこかで… あ、そうだ。これは怪獣版の『妖星ゴラス』なんだ。そう言えばこれも本多監督だったか。 本作で久々登場となったゴロサウルスだが、何故か解説には「バラゴン」となっている。これは破損したバラゴンの着ぐるみの補修が間に合わなかったために、急遽ゴロサウルスの着ぐるみを代用したためとか。 |
青木ヶ原 | ||||
【あおきがはら】 | ||||
|
アンギラス | ||||
【あんぎらす】 | ||||
|
引力光線 | ||||
【いんりょく-こうせん】 | ||||
|
大谷 | ||||
【おおたに】 | ||||
|
小笠原怪獣ランド | ||||
【おがさわら-かいじゅう-らんど】 | ||||
|
カッシーニ噴火口 | ||||
【かっしーに-ふんか-こう】 | ||||
|
キラアク星 | ||||
【きらあく-せい】 | ||||
|
キラアク星人 | ||||
【きらあく-せいじん】 | ||||
|
キングギドラ | ||||
【きんぐ-ぎどら】 | ||||
|
クモンガ | ||||
【くもんが】 | ||||
|
国連科学委員会 | ||||
【こくれん-かがく-いいんかい】 | ||||
|
ゴジラ | ||||
【ごじら】 | ||||
|
ゴロザウルス | ||||
【ごろざうるす】 | ||||
|
バラゴン | ||||
【ばらごん】 | ||||
|
バラン | ||||
【ばらん】 | ||||
|
ファイヤードラゴン | ||||
【ふぁいやー-どらごん】 | ||||
|
マンダ |
|
|||||
【まんだ】 | ||||||
|
ミニラ | ||||
【みにら】 | ||||
|
ムーンライトSY−3号 | ||||
【むーん-らいと-えす-わい-さん-ごう】 | ||||
|
モスラ | ||||
【もすら】 | ||||
|
ラドン | ||||
【らどん】 | ||||
|
名称 | ||||
【】 | ||||
|
|
|
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怪獣大好きの小学生、三木一郎(矢崎知紀)は、留守がちな両親のいない間、発明家の南信平(天本英世)の家に入り浸っていた。南の発明のお手製コンピュータで遊んでいる内に眠ってしまい、夢の中で怪獣島へと行ってしまった。そこで大好きなミニラがガバラに虐められているのを発見した。南に起こされ、現実に戻った一郎はそこで強盗犯人に接触。捕まってしまう。夢と現実の両面で危機を迎える一郎は… 円谷英二が最後に手がけたゴジラ作品となった本作は前作『怪獣総進撃』で支持を受け、その再来を狙って再び本多猪四郎監督を迎えて製作された。しかし、内容は「あれ?」というもので、興行成績は低迷したらしい。なにせ話自体がファンタジックな夢物語で、現実世界には怪獣は一体も出てこないという異色作(実に『大怪獣東京に現る』(1998)まで怪獣が出てこない怪獣映画は本作が唯一だった)。 ほんでもこの作品、あんまり悪く言う気もないんだよなあ。 確かに前作のようなドラマ性はここにはないし、たかだかガキの夢じゃねえか。ってのもある。ついでに言うなら、オープニングの脱力しまくりの歌もそうだけど…だけど、この根底に流れる優しい目が良いじゃないか。作品自体はむしろ2作前の『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967)の流れを継承し(正直、この作品って福田純監督とばかり思ってたよ)、人間と怪獣との交流って点に重点が置かれ(ここでもミニラが重宝されている)、それによって子供の成長を描こうって言うのが結構設定的には惹かれる。 成長とは一体なんだろうか? それはとにかく一歩踏み出すこと。今に踏みとどまっていては、それがたとえどれだけ心地よくとも、成長はできないぞ。そんなメッセージを感じ取れる。 考えてみれば、この辺りからなんだよな。親が子供に期待しすぎるようになったのは…勉強し、大学に行って良い会社にはいる。それが唯一の価値観となりかけていた、そんな時代。こども達はその大切な“一歩”を踏み出さなくても良くなってきた。 ラストシーン、少年は決して大人に都合の良い子供にならなかった。むしろ、今まで出来なかった悪ガキの遊びに手を染めてる。これを肯定してるってことは… とにかく一歩踏み出せ。これは本多監督が全てのこどもと、その親に対するメッセージだったのかも(事実本多監督は自身のフィルモグラフィの中では本作はお気に入りだったとか)。 後もう一つ。これは絶対の売り!天本英世がこんなに人好きのするキャラクターを演じた彼の長いフィルムライブラリーでも唯一だろう(ちょっとマッド入ってるけど(笑))。ジュブナイルには必要なんだよ。こういう町内の発明家は。最初その姿を見た時は失礼ながら吹き出したよ。 |
アンギラス | ||||
【あんぎらす】 | ||||
|
エビラ | ||||
【えびら】 | ||||
|
大ワシ | ||||
【おお-わし】 | ||||
|
奥田 | ||||
【おくだ】 | ||||
|
怪獣1号 | ||||
【かいじゅう-いち-ごう】 | ||||
|
怪獣島 | ||||
【かいじゅう-とう】 | ||||
|
ガバラ | ||||
【がばら】 | ||||
|
カマキラス | → | |||
【かまきらす】 | ||||
|
クモンガ | ||||
【くもんが】 | ||||
|
ゴジラ | ||||
【ごじら】 | ||||
|
ゴロザウルス | ||||
【ごろざうるす】 | ||||
|
サチ子 | ||||
【さちこ】 | ||||
|
三太 | ||||
【さんた】 | ||||
|
発明おじさん | ||||
【はつめい-おじさん】 | ||||
|
マンダ |
|
|||||
【まんだ】 | ||||||
|
三木一郎 | ||||
【みき-いちろう】 | ||||
|
三木健吉 | ||||
【みき-けんきち】 | ||||
|
三木タミ子 | ||||
【みき-たみこ】 | ||||
|
南信平 | ||||
【みなみ-しんぺい】 | ||||
|
ミニラ | ||||
【みにら】 | ||||
|
名称 | ||||
【】 | ||||
|
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宇宙から飛来した放射線により生まれた生物。その不思議な生物がヘドロで汚れた海に落ちたことから、ヘドロを身にまとう怪獣・ヘドラが誕生した。光化学スモッグや硫酸ミストを撒き散らすこの生物に対するは水爆実験の結果生まれたゴジラだった… 特撮はあまり顧みられることがなく、一般にマニア受けするだけと捕らえられがちだが、実際の所はきちんとテーマ付けがされており、きちんと時代性を見ることもできる。特に本作はそれが顕著で、真っ正面から公害問題に取り組んだ作品だけに見事に時代性に合い、この年の邦画興行収入も9位と健闘している。 この映画は初期ゴジラの最終作品なのだが、ゴジラにとどめを刺そうとすべく作った作品のようにも思える。この映画を「ゴジラのヌーベルバーグ」と呼ぶ人もいるようだが、確かに今までのゴジラ映画の常識を次々に破ってくれた事は確かだろう。 かつてゴジラは核兵器の脅威の警告という意味合いを持って製作された。だがやがてその辺が曖昧になり、ゴジラの「放射能火炎」を格好良いと思う子供が出てくるようになったのは、明らかに方向性の迷走が観られている。一方では日本には多くの原発が立ち並び、その「クリーンなエネルギー」の宣伝に躍起になっている世論。だが、もう一つ、脅威が起こってきた。それが公害というものである。ここに登場するヘドラはそのままオリジナルの『ゴジラ』(1954)に対するオマージュであり、人間の所行が怪物を生み出すという事の意味を改めて突きつけてくる。このヘドラこそが実はゴジラの本来の姿であり、負の意味でのゴジラの合わせ鏡のような存在だったのだ。 この映画の何が凄いか。と言うとまず最初に思い出すのがオープニングの歌だろう。サイケ調のゴー・ゴーで公害の恐ろしさを訴えている。これが夢に出そうなくらいに怖く、故に引き込まれる。へドラの攻撃方法も大部分は公害そのもの。かなり公害問題を意識していることが窺える。 ヘドラ出現の過程は怪獣の出現形式に則ってるが(最初は謎だったのが徐々に明らかになっていき、最後にカタストロフが起こると言う形式)、ゴジラとの戦いは見応えがあるし、(極めて個人的な『ゴジラ対メガロ』(1973)を除けば)人間とゴジラの共闘態勢というのがここまで明確になったのはこの作品が唯一だろう。それにその課程で姿を変えていくヘドラの存在感は特筆すべきだろう。魚から爬虫類へ、そしてほ乳類へと成長する過程は、生物の進化そのものを示しているのだが、最後の姿は二足歩行の、あたかも人間のような姿に変わっているのだ。うがった見方かもしれないが、人間の存在こそが実は地球を滅ぼす。と言う意味合いを持たせようとしたのかも知れない。 しかし、何と言ってもこの戦闘シーンには恐ろしい売りがある。何と、ゴジラが空を飛んでる! ちょっと待て、こら。どこをどうやったら「飛ぶ」なんて発想が出るんだ?しかもその飛び方が後ろ向きで奇妙に可愛いと言うおまけまで付いている。そりゃ、飛べるへドラに対抗するにはそうするのも一つの手だろうが、ちょっと安直すぎない? 必死の思いでヘドラを倒した後のラストは救いが無くて、見終わった後に重い気分にさせてくれるが、さすがにそれは一般受けしなかったようで、以降のシリーズではより明確に怪獣プロレス化していくことになる。 ちなみに本作には重要な共演がなされている。実際には顔のでないスーツアクターのことなのだが、初代から一貫してゴジラに入り続け、ゴジラに生物感を与え続けてくれた中島春男と、後に彼を継いでゴジラアクターとなる薩摩剣八郎(この時点では中山剣吾)が同時に登場している。新旧ゴジラ役者の対決でもあったのである。 |
アンチヘドラ酸素マスク | ||||
【あんち-へどら-さんそ-ますく】 | ||||
|
かえせ!太陽を | → | |||
【かえせ-たいよう-を】 | ||||
|
毛内行夫 | ||||
【けうち-ゆきお】 | ||||
|
公害反対!!100万人ゴーゴー | ||||
【こうがい-はんたい-ひゃくまん-にん-ごーごー】 | ||||
|
ゴジラ | ||||
【ごじら】 | ||||
|
酸素弾 | ||||
【さんそ-だん】 | ||||
|
富士宮ミキ | ||||
【ふじのみや-みき】 | ||||
|
ヘドラ | → | |||
【へどら】 | ||||
|
ヘドラをやっつけろ | → | |||
【へどら-を-やっつけろ】 | ||||
|
矢野研 | ||||
【やの-けん】 | ||||
|
矢野徹 | ||||||||||||||||||||||||||
【やの-とおる】 | ||||||||||||||||||||||||||
|
|
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建設中の「世界子供ランド」は、謎の宇宙人が地球侵略のために建造していた要塞だった。彼等はサイボーグ怪獣ガイガンと宇宙怪獣キングギドラを率いて破壊活動を開始するが、それを察知したゴジラとアンギラスが怪獣島からやって来る。だが宇宙人はキングギドラのみならず、新たな破壊怪獣を呼び寄せていた… 徹底してこども向きに作られた作品で、本作は1972年邦画興行成績で5位を取っている。 第一期ゴジラシリーズの中盤のノリの特徴は兎に角子供向けに徹底していること。本作品がその最たるものではないか?こう言うのをいい大人がまじめな顔してやっているのを見ると、背中がむず痒くなってくるのを止めることが出来ない。大体「怪獣ママゴン」なる落書きを真面目に論議しているのは馬鹿にしか見えないぞ。 子供向きと言うのは怪獣の方にも及んでいて、怪獣島からやってくるゴジラとアンギラスは吹き出しで喋ってるし、完全にゴジラが正義の味方になってしまった。子供の悲鳴が上がれば、自らの危険を顧みず駆けつけるゴジラの姿はガメラと区別が付かない。 それに編集が下手で、昼のシーンと夜のシーンがごちゃごちゃになってたり、過去のフィルムの使い方も今ひとつ。 と、口を開けば文句しか出てこないような作品なのだが、その中でこの作品には一つだけ大きな売りがある。怪獣ガイガンである。このキャラクターは兎に角顔が精悍で格好が良く、怪獣同士の戦いでも残忍さを見せてくれた。お陰で競演したキングギドラは完全に脇役に押しやられてしまったが、それだけガイガンが格好良かったと言うことでもある。ただ、一つ疑問なのは、どうやってあの複雑な形状をしている腹の電ノコを回しているのだろうか?宇宙人の技術、恐るべし。 徹底して子供向けの娯楽作品として見るならば、アラについては語ることもあるまい。 ちなみに着ぐるみの名俳優中島春雄がゴジラに入ったのは本作が最後となる。 |
アクション・ツー | ||||
【あくしょん-つー】 | ||||
|
アンギラス | ||||
【あんぎらす】 | ||||
|
引力光線 | ||||
【いんりょく-こうせん】 | ||||
|
M宇宙ハンター星人 | ||||
【えむ-うちゅう-はんたー-せいじん】 | ||||
|
小高源吾 | ||||
【おだか-げんご】 | ||||
|
ガイガン | → | |||
【がいがん】 | ||||
|
怪獣島 | ||||
【かいじゅう-とう】 | ||||
|
回転カッター | ||||
【かいてん-かったー】 | ||||
|
カマキラス | → | |||
【かまきらす】 | ||||
|
キングギドラ | ||||
【きんぐ-ぎどら】 | ||||
|
クボタ | ||||
【くぼた】 | ||||
|
クモンガ | ||||
【くもんが】 | ||||
|
ゴジラ | ||||
【ごじら】 | ||||
|
ゴジラタワー | ||||
【ごじら−たわー】 | ||||
|
ゴロザウルス | ||||
【ごろざうるす】 | ||||
|
志摩マチコ | ||||
【しま-まちこ】 | ||||
|
シュクラ | ||||
【しゅくら】 | ||||
|
須東文夫 | ||||
【すどう-ふみお】 | ||||
|
世界子供ランド | ||||
【せかい-こども-らんど】 | ||||
|
高杉正作 | ||||
【たかすぎ-しょうさく】 | ||||
|
友江トモ子 | ||||
【ともえ-ともこ】 | ||||
|
ママゴン | ||||
【ままごん】 | ||||
|
名称 | ||||
【】 | ||||
|
|
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||
300万年前に水没したレムリア大陸の生き残り、海底王国シートピアは地上で繰り返される核実験に怒り、守護怪獣メガロを地上へ送り込んだ。さらに彼等は人類の作り出したロボット、ジェット・ジャガーを奪い侵略の手先とするが、製作者達の手によってジャガーは奪還され、メガロに対抗するため怪獣島に向かう。しかもジャガーは自我を持ち始めており、ついに巨大化してメガロに戦いを挑む! 怪獣映画もこの時代になるとテレビに押され、すでに気息奄々。その中で、なんとか子供たちに親しみを持って劇場に足を運んで欲しい。という思いがあったのは認める。 …認めるんだけど、ここまでやると開いた口が塞がらないと言うか、もうどうとでもしてくれ的内容。設定のアラは枚挙に暇がないほどだし、怪獣の造形も駄目すぎ。大体主人公であるはずのジェット・ジャガーが悪役にしか見えないのは致命的。敵だって、別に海底人の必然性が全く無い。敵役が宇宙人であろうと、マッド・サイエンティストであろうと、場合によってはイーブル・スピリットだってもストーリーに全く変化はないだろう。 あと、正義の味方のはずのゴジラが極めて性格悪いのもな〜、ジェット・ジャガーを人質(?)に取るガイガンに対して躊躇無く放射能火炎浴びせかけるし(当然もの凄い量の放射線を受けて、しかも身体中に放射性物質を多量にくっつけているジェット・ジャガーだから、あの後の化学者一行は高度被曝して全員死亡だろう)、周りに逃げ道が無くなった時は当然のごとく瀕死のジャガーにぶら下がって空を飛ばさせるし、ガイガンが逃げた後はジャガーと一緒になってメガロをどつき回してるし。これではジャガー君受難物語じゃないか。 それでも敢えて良いところを挙げてみよう。 この作品、中野昭慶が特撮監督作品中最も彼の魅力が発揮された作品とも言える。あれだけ容赦なしに爆発シーン撮れたら、さぞかし気持ちが良かっただろう。無意味な爆発シーンに情熱を傾ける彼の業をこそ、この作品では讃えたい。 |
アスカ島 | ||||
【あすか-とう】 | ||||
|
アンギラス | ||||
【あんぎらす】 | ||||
|
アントニオ | ||||
【あんとにお】 | ||||
|
イースター島 | ||||
【いーすたー-とう】 | ||||
|
伊吹吾郎 | ||||
【いぶき-ごろう】 | ||||
|
伊吹六郎 | ||||
【いぶき-ろくろう】 | ||||
|
Vサイン | ||||
【う゛い-さいん】 | ||||
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M宇宙ハンター星雲人 | ||||
【えむ-うちゅう-はんたー-せいうん-じん】 | ||||
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ガイガン | ||||
【がいがん】 | ||||
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怪獣島 | ||||
【かいじゅう-とう】 | ||||
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ゴジラ | ||||
【ごじら】 | ||||
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シートピア海底王国 | ||||
【しーとぴあ-かいてい-おうこく】 | ||||
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ジェット・ジャガー | ||||
【じぇっと-じゃがー】 | ||||
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ジェットパンチ | ||||
【じぇっと-ぱんち】 | ||||
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ジャガーキック | ||||
【じゃがー-きっく】 | ||||
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陣川博 | ||||
【じんがわ-ひろし】 | ||||
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マスターコントローラー | ||||
【ますたー-こんとろーらー】 | ||||
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メガロ | ||||
【めがろ】 | ||||
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ラドン | ||||
【らどん】 | ||||
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名称 | ||||
【】 | ||||
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富士山麓出現したゴジラは仲間であるはずのアンギラスを倒して進撃を開始する。破壊活動を続けるゴジラの前に何ともう一匹のゴジラが…実は最初に出現した方は偽者で、その正体はブラックホール第3惑星人が開発した侵略兵器「メカゴジラ」だったのだ。圧倒的破壊力を誇るメカゴジラに、ゴジラでさえ敗退を余儀なくされた。人類の危機を救う鍵を求め、沖縄に伝わる予言にあった。 全般的にこの作品は怪獣同士の戦いがメインなのだが、それら一つ一つに華(見所)があるために飽きさせない(冒頭部分のアンギラスの口を裂くゴジラ、ゴジラの放射能火炎によりメタリックボディを露わにするメカゴジラ、メカゴジラのビームをはじき返すキングシーサー、兵器庫メカゴジラ、そしてメカゴジラの最後)。それら一つ一つがちゃんと瞼に浮かんでくる)、ゴジラシリーズの他の諸作品とは違って下で行われている人間ドラマも結構しっかり作られている。予言の辺りは眉唾な感じがするが、キングシーサーを呼ぶ時の緊張感は子供心に手に汗を握る出来だった。(今から考えると、あの唇のアップは妙に艶めかしかったぞ) 何と言っても本作品の売り。メカゴジラは圧倒的な強さを持ち、まさに兵器庫と言った風情。そこにふてぶてしい表情とも相まって非常に格好良い。何せゴジラの武器は口から吐く火炎だけ、対してメカゴジラは目から口から手から腹から足から武器が飛んでくる。華々しく登場したキングシーサーでさえ最後は手も足も出ずで、一体どうすれば勝てるんだ〜。とか心の中で念じていた(ミサイルが身体に内蔵されているのは良いとして、一体あんな太い指がどこから出てくるのかは謎だ)。 ちなみに本作が私が観た最初のゴジラ作品となる。そのお陰ですっかりゴジラにはまってしまったが、この作品を基準に他の作品を観るようになってしまった。私にとっては初代『ゴジラ』(1954)に次いで好きな作品である。 |
R1号 | ||||
【あーる-いち-ごう】 | ||||
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赤い月 | ||||
【あかい-つき】 | ||||
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安豆味王族 | ||||
【あずみ-おう-ぞく】 | ||||
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「アルファ」「ケンタウルス」 | → | ブラックホール第3惑星星人 | ||
【あるふぁ-けんたうるす】 | ||||
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アンギラス | ||||
【あんぎらす】 | ||||
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沖縄海洋博覧会博 | ||||
【おきなわ-かいよう-はくらんかい】 | ||||
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金城冴子 | ||||
【かなぐすく-さえこ】 | ||||
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キングシーサー | → | ||||
【きんぐ-しーさー】 | |||||
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国頭天願 | ||||
【くにがみ-てんがん】 | ||||
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国頭那美 | ||||
【くにがみ-なみ】 | ||||
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クロスアタックビーム | ||||
【くろす-あたっく-びーむ】 | ||||
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黒沼 | ||||
【くろぬま】 | ||||
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ゴジラ | ||||
【ごじら】 | ||||
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さんふらわあ | ||||
【さんふらわあ】 | ||||
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清水敬介 | ||||
【しみず-けいすけ】 | ||||
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清水正彦 | ||||
【しみず-まさひこ】 | ||||
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首里大学 | ||||
【しゅり-だいがく】 | ||||
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城北大学 | ||||
【じょうほく-だいがく】 | ||||
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スペースチタニウム | ||||
【すぺーす-ちたにうむ】 | ||||
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スペースビーム | ||||
【すぺーす-びーむ】 | ||||
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南原 | ||||
【なんばら】 | ||||
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西から日が昇る時、この置物を安豆味城の石のほこらの上に置け | ||||
【にし-から-ひ-が-のぼる-とき-この-おきもの-を-あずみ-じょう-の-いし-の-ほこら-の-うえ-に-おけ】 | ||||
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ブラックホール第3惑星星人 | → | 「アルファ」「ケンタウルス」、メカゴジラ | ||
【ぶらっくほーる-だい-さん-わくせい-じん】 | ||||
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プリズム・アイ | ||||
【ぷりずむ-あい】 | ||||
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宮島郁子 | ||||
【みやじま-いくこ】 | ||||
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宮島秀人 | ||||
【みやじま-ひでと】 | ||||
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ミヤラビの祈り | ||||
【みやらび-の-いのり】 | ||||
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メカゴジラ | → | ブラックホール第3惑星星人、メカゴジラII | |||
【めか-ごじら】 | |||||
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和倉 | ||||
【わくら】 | ||||
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名称 | ||||
【】 | ||||
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かつて学会から追放された真船博士は恐竜チタノザウルスを復活させる。しかし、そのコントロールに失敗し、娘を失う。その娘をサイボーグとして復活させ、メカゴジラのコントローラーとして操るブラックホール第3惑星人と結託した真船。孤軍奮闘するゴジラだが、パワーアップしたメカゴジラとチタノザウルスの両面攻撃に窮地に陥る。 前作『ゴジラ対メカゴジラ』があくまで怪獣同士のどつき合いが主眼であったのに対し、今回はヒューマンドラマを主体に持ってくる。脚本は一般公募によるもので、本作で脚本家デビューを果たした高山由紀子はこの時点ではまだ映画専門学校に通う学生。 怪獣作品(特にゴジラ映画は)人間ドラマと怪獣同士の戦いどちらに主眼を置くか、そのバランスかなり微妙なものがある。本作品はあまりに重点が人間ドラマの方に置かれてしまったので、今ひとつ素直に楽しめなかった部分がある。登場人物が「愛」を語る映画を子供が喜んで観るだろうか?しかし、今になって思うと、この作品の人物描写って本当に優れていたと思う。何より正当派マッドサイエンティスト真船博士(奇しくも日本における最初のマッドサイエンティスト『ゴジラ』(1954)の芹沢博士役の平田昭彦)の狂いっぷりは見事なほどで、今思い直すとほれぼれしてしまう。藍とも子の艶っぽさも演出的には優れている。 怪獣の戦いも結構見応えはある。特にゴジラとメカゴジラの戦いで、ゴジラがメカゴジラの首を落とした時点で決まった!と思った瞬間(前作ではこれで勝ったのだ)、無くなった顔の部分から怪光線が出るシーンはかなり驚いた。 初登場のチタノザウルスは普通の恐竜と言う感じで、あまり強そうに見えなかったのが少々残念。 この作品は本多猪四郎監督作品としてのゴジラの最終話。以降9年の沈黙期間を置くことになる。 ちなみにこの特技監督は中野昭慶。怪獣同士のどつき合いにはピッタリの人物。 …レビューを直すたびに評価が上がっていく不思議な作品になってるな。本作は。 |
あかつき号 | ||||
【あかつき-ごう】 | ||||
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一ノ瀬明 | ||||
【いちのせ-あきら】 | ||||
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太田 | ||||
【おおた】 | ||||
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回転ミサイル | ||||
【かいてん-みさいる】 | ||||
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草刈 | ||||
【くさかり】 | ||||
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クロスアタックビーム | ||||
【くろす-あたっく-びーむ】 | ||||
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ゴジラ | ||||
【ごじら】 | ||||
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スペースチタニウム | ||||
【すぺーす-ちたにうむ】 | ||||
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田川 | ||||
【たがわ】 | ||||
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チタノサウルス | |||||
【ちたのさうるす】 | |||||
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ブラックホール第3惑星星人 | → | |||
【ぶらっくほーる-だい-さん-わくせい-じん】 | ||||
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真船桂 | → | 真船博士、メカゴジラII | ||
【まふね-かつら】 | ||||
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真船信三 | → | 真船桂、メカゴジラII | ||
【まふね-しんぞう】 | ||||
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ムガール | ||||
【むがーる】 | ||||
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村越二郎 | ||||
【むらこし-じろう】 | ||||
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メカゴジラU | → | 真船桂、真船博士、メカゴジラ | ||
【めか-ごじら-つー】 | ||||
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山下 | ||||
【やました】 | ||||
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山本ユリ | ||||
【やまもと-ゆり】 | ||||
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若山勇一 | ||||
【わかやま-ゆういち】 | ||||
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名称 | ||||
【】 | ||||
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