バーダー・マインホフ 理想の果てに
Der Baader Meinhof Komplex |
2008米アカデミー外国語映画賞
2008ゴールデン・グローブ外国語映画賞
2008英アカデミー外国語映画賞
2009ヨーロッパ映画主演男優賞(ブライブトロイ)、エクセレント賞 |
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ベルント・アイヒンガー
マルティン・モスコヴィッツ(製)
ベルント・アイヒンガー(脚) |
マルティナ・ゲデック |
モーリッツ・ブライブトロイ |
ヨハンナ・ヴォカレク |
ナディヤ・ウール |
ヤン・ヨーゼフ・リーファース |
スタイプ・エルツェッグ |
ニルス・ブルーノ・シュミット |
ヴィツェンツ・キーファー |
ジモン・リヒト |
アレクサンドラ・マリア・ララ |
ハンナー・ヘルツシュプルング |
ゼバスティアン・ブロンベルク |
ハイノ・フェルヒ |
ブルーノ・ガンツ |
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★★★☆ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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3 |
5 |
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1967年6月2日西ベルリン。イランのシャー、パフラヴィーの来独反対を唱える学生デモの中、学生の一人ベンノ・オーネゾルクが警官に射殺される事件が起こった。現場を取材していた女性ジャーナリストのウルリケ・マインホフ(ゲデック)は、国家権力の対応に疑問を抱く。そして翌年、ヴェトナム戦争に抗議するアンドレアス・バーダー(ブライブトロイ)と恋人のグドルン・エンスリンがボン市街で武装闘争を開始。逮捕された二人の脱獄をマインホフは手助けする。そしてバーダーとマインホフは仲間の若者達と共に反帝国主義、反資本主義、反米をスローガンに掲げた極左地下組織「バーダー・マインホフ・グルッペ」を立ち上げる…
ドイツ赤軍(RAF)の誕生と、その過激化の歴史を描いた実録映画で、2008年のアカデミー外国映画賞ノミネート作(受賞作は滝田洋二郎監督の『おくりびと』)。
私について言えば、学生時代はちょっと左翼にかぶれていたこともあって、日赤(JRA)とRAFが兄弟組織だと言う事くらいは知っていたし、ドキュメンタリー作品『ブラック・セプテンバー 五輪テロの真実』(1999)を先に観ていて、そこで多少言及されていたこともあって、ドイツ赤軍の名前は結構前から知ってはいた。とは言え、実際にどんな事件を起こした?と言われると、全然分からなかったこともあって、半分勉強のつもりで拝見。
実際、本作は大変勉強にはなった。こう言う経路で組織が作られ、どのような事件が起こされたか。映画観た後ネットで色々調べてみたら、なるほど色々納得いった。近頃頭空っぽにして観る映画ばかり観ていたこともあって、ガツンとくる作品を観た気分にさせられたし、映画を観た後だと、調べ物をしていても色々つながってくるから楽しい。
ただ、本作を映画として考えたら、いくつもの問題がある。
まず、根本的に映画として物語が成立してない。バーダーとマインホフという二人の主人公が物語の中心のはずだが、その行動しか追ってないので、何を考え、どこに着地点があるのか全然分からなかったし、特に後半になると、一体どこで終わるのか見えなくなってしまう。
それに、映画単体では何故そんな事件を起こしたかが分からないのが痛い。わたし自身ネットで調べて初めて「これはこんな意味が?」と分かったことばかり。武装闘争とは言え、その前提として思想があるのだから、その部分をもう少し掘り下げてくれないと物語として理解しにくい。
強いて言えばこの脚本はテレビ向きで、映画の文脈では語る事は出来ない。
実録ものなんてそんなものだ。と言われればそれまでかもしれないけど、実録で作るんだったら、余計に物語に気を遣って欲しいものだ。
その辺を解消するためには、この二人の行動に共感を覚える主人公をもう一人作り、その人物に二人の行動の意味づけを語らせていれば、かなり分かりやすくなっていたのではないかな?少なくとも、作り手が盛り上がる部分をコントロールできるから、映画としてはきっちり成立するはず。余計フィクションが入り込むから、リアルからは更に離れてしまうけど。 |
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