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堀部圭亮

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鑑賞本数 1 合計点 4 平均点 4.00
allcinema goo ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
書籍
2010 チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋 出演
ソフトボーイ 出演
ちょんまげぷりん 出演
18番ホール 出演
武士道シックスティーン 出演
まっつぐ 鎌倉河岸捕物控<TV> 出演
TAX MEN<TV> 出演
ブラッディ・マンデイ(2nd)<TV> 出演
2009 悪夢のエレベーター 監督・脚本
阪神・淡路大震災から15年 神戸新聞の7日間 〜命と向き合った被災記者たちの闘い〜 出演
童貞放浪記 出演
DOOR TO DOOR 〜僕は脳性まひのトップセールスマン〜 出演
誰も守れない 出演
外事警察<TV> 出演
こちら葛飾区亀有公園前派出所
<A> <楽> 出演
リミット -刑事の現場2-
<A> <楽> 出演
wiki
2008 東京残酷警察 出演
愛のむきだし 出演
クライマーズ・ハイ 出演
百万円と苦虫女 出演
ザ・マジックアワー 出演
陰日向に咲く 出演
Room Of King<TV> 出演
監査法人<TV> 出演
7人の女弁護士(2nd)<TV> 出演
バッテリー<TV> 出演
エジソンの母<TV> 出演
2007 赤んぼ少女 出演
幽霊VS宇宙人 出演
ちーちゃんは悠久の向こう 出演
魍魎の匣 出演
伝染歌 出演
ユメ十夜 出演
帰ってきた時効警察
時効警察(2nd)
<A> <楽> 出演
風の果て<TV> 出演
ハリ系<TV> 出演
相棒(6th)<TV> 出演
2006 ハチミツとクローバー 出演
怨み屋本舗<TV> 出演
2005 姑獲鳥の夏 出演
汚れた舌<TV> 出演
2004 いつか読書する日 出演
2003 茶の味 出演
2002 SABU さぶ 出演
壬生義士伝 出演
明日があるさ スペシャル 出演
竜二 〜Forever〜 出演
2000 PARTY7 出演
1999 MONDAY マンデイ 出演
1997 POSTMAN BLUES ポストマン・ブルース 出演
アンラッキー・モンキー 出演
1996 弾丸ランナー 出演
1993 パチンコ物語 番外篇 パチスロ一攫千金 出演
1966 3'25 東京で誕生

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悪夢のエレベーター 2009

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鈴木謙一
堀部圭亮(脚)
内野聖陽
佐津川愛美
モト冬樹
斎藤工
大堀こういち
芦名星
本上まなみ
小西遼生
池田鉄洋
市川しんぺー
いけだしん
山本彩乃
長澤つぐみ
芦田昌太郎
宮下誠
いか八朗
堀井茶渡
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
悪夢のエレベーター <A> <楽>
木下半太 (検索) <A> <楽>
 とあるマンション。夜半、産気づいたとの妻からの連絡を受けた小川順(斎藤工)は、エレベーターに乗ったのだが、その瞬間気を失ってしまう。意識を取り戻した順が見たのは、同じくエレベーターに取り残されたヤクザ風の男(内野聖陽)、ジャージ姿の中年男(モト冬樹)、ゴスロリファッションの少女(佐津川愛美)の3人だった。三人によれば、エレベータの急停止により順は床にたたきつけられて意識を失っていたという。非常ボタンも反応せず、完全に外部との連絡の手段を絶たれてしまった。急いで妻の元へ向かわねばならないのだが…
 今や邦画も演出力が上がり、CGや技術の向上によって、ハリウッドに負けないアクション大作も作られるようになってきた。
 それはそれでありがたいことなのだが、私が思うには、あまりの大作は肩が張るし、
どうにも日本人の身の丈に合ってないように感じてしまうこともある(お祭り作品として年に1本くらいあればそれで充分とも思うし)。
 そういう意味で、低予算でもしっかり作り込まれた作品が時折出てくると妙に嬉しい。こう言う作品って、とても好みだ。
 改めて、本作を観ると、エンターテインメントというのは、突き詰めればアイディアと編集にあることを再認識させられる。たとえ元がテレビサイズの物語であっても、しっかり映画にすることが出来るのだ。

 ところでテレビサイズの物語を映画として成立させているのはどこにあるだろうか?と考えてみよう。
 作品によっても、あるいは観方によってもいくつも出てくるだろうが、特に本作の場合は、
「情報量」と言えるだろう。
 本作が内包する情報量は半端ない。物語形式も二重性(あるいは三重性)を持つだけに、画面の一つ一つ、言葉の端々に物語の真相につながる事実が詰まっていて、しっかり目を凝らしていないと、散りばめられた伏線に気づかないまま終わってしまう。虚々実々の会話についても、嘘の中にも多くの真実が隠されていて、最後にそれらの散りばめられた伏線がパチンパチンとピースがはまっていく快感もある。
 更に本筋から離れていてる部分でさえ手を抜かず、様々な考察がなされていることが分かる。オープニングとラストの消化試合の話は、一見余計にも思えるが、あれがあるからラストの余韻が増している。
 これらの多量の情報量に押しつぶされることなく、情報をきちんと処理しているという点こそが本作が映画として機能している最大の点だろう。

 もちろん同じ物語をテレビで作ることは可能だろうが、
テレビでは間にCMが入ることを前提に制作するため、これほど緊張感を持続させられないし、時間や金額の問題でここまで嫌味的な編集もできない。結果として緊張感の演出も難しい。最初から映画として作られているからこそできる大胆な構図となっているのだ。

 それになんだかんだ言って、登場人物の大部分が劇を通してしっかり自分に向き合い、真剣に人生について考えているのも心憎い部分だ。最初の野球にたとえた人生についてもそうだが、自分の生き方を振り返って、それを告白することで、新たな歩みを始めようとする課程がしっかり語られてもいる。自分自身に決着を付けるべく、与えられた命題を正面からとらえようとしている姿勢が良い。

 本作は堀部圭亮にとって初監督となる。多少情報量に押しつぶされたきらいはあるものの(少々演出上力みが入り、嫌みになってるところもあるし、設定上の甘さがいくつも見つかる)、初監督でここまでやれたら大したものだ。

 今回の拾いものは佐津川愛美になるだろう。『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(2007)でも二重性を持つ妹キャラを上手く演じていたが、本作ではそれが更に増しており、ギャップのある二つの役を見事に一人で演じきって見せた。この手の作品にはうってつけのキャラに育ちつつあるな。

 最初の話に戻るが、単純に金を遣えば良い映画ができるわけではない。
ピンポイントで遣うべきところに金と手間を遣ってこそ映画は良くなるのだ。その基本を改めて知らされたような思いにさせてくれた。それだけで充分本作は楽しく感じる。

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