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三谷幸喜


Wikipediaより
<A> <楽>
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鑑賞本数 合計点 平均点
書籍
評論
キネマ旬報セレクション 三谷幸喜

_(書籍)
2019 記憶にございません! 監督・脚本
2018
2017
2016
2015 ギャラクシー街道 監督・脚本
オリエント急行殺人事件 脚本
2014 シャーロック・ホームズ<TV> 脚本・出演
おやじの背中
<A> <楽> 脚本
2013 大空港2013 監督・脚本
清須会議 監督・原作・脚本
女信長 出演
紙兎ロペ 笑う朝には福来たるってマジっすか! ?(2,3Y)
<A> <楽> 出演
2011 short cut 監督・脚本
ステキな隠し撮り 完全無欠のコンシェルジュ 演出・脚本・出演
2010 ステキな金縛り 監督・脚本
わが家の歴史 脚本
世にも奇妙な物語 20周年スペシャル・春 〜人気番組競演編〜 脚本・出演
サザエさん2 出演
2009 新・三銃士<TV> 脚色
2008 ザ・マジックアワー 監督・脚本
2007 西遊記 出演
2006 犬神家の一族 出演
功名が辻<TV> 出演
2005 THE 有頂天ホテル 監督・脚本
新選組!! 土方歳三 最期の一日 脚本
古畑任三郎ファイナル ラスト・ダンス 脚本
古畑任三郎ファイナル フェアな殺人者 脚本
古畑任三郎ファイナル 今、甦る死 脚本
2004 笑の大学 原作・脚本
古畑任三郎 全て閣下の仕業<TV> 脚本
新選組!<TV> 脚本
2003 川、いつか海へ 6つの愛の物語<TV> 脚本
2002 竜馬の妻とその夫と愛人 原作・脚本
HR<TV> 演出・脚本・出演
2001 みんなのいえ 監督・脚本
2000 世にも奇妙な物語 映画の特別編<TV> 脚本
合い言葉は勇気<TV> 脚本
1999 真夜中まで 出演
古畑任三郎(3rd)<TV> 脚本
古畑任三郎スペシャル VS. SMAP<TV> 脚本
古畑任三郎スペシャル VS.監察医 黒岩博士の恐怖<TV> 脚本
1998
1997 ラヂオの時間 監督・原作・脚色
マルタイの女 企画
総理と呼ばないで<TV> 脚本
1996 古畑任三郎スペシャル しばしのお別れ<TV> 脚本
竜馬におまかせ!<TV> 脚本
1995 王様のレストラン<TV> 脚本
警部補・古畑任三郎スペシャル 笑うカンガルー<TV> 脚本
1994
古畑任三郎(1st~3rd)
<A> <楽> 脚本
1993 振り返れば奴がいる<TV> 脚本
1992 君たちがいて僕がいるII 脚本
君たちがいて僕がいる 脚本
1991 12人の優しい日本人 脚本
1990 やっぱり猫が好き 恩田三姉妹の京都大騒動編 脚本
やっぱり猫が好き殺人事件 脚本
やっぱり猫が好き(2nd) 脚本
1989
1988 やっぱり猫が好き(1st) 脚本
1987
1986 超少女!はるひワンダー愛<TV> 脚本
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
1970
1969
1968
1967
1966
1965
1964
1963
1962
1961 7'8 東京で誕生

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記憶にございません!
<A> <楽>
石原隆
市川南
前田久閑
和田倉和利
森賢正
岡田翔太(製)
三谷幸喜(脚)
中井貴一
ディーン・フジオカ
石田ゆり子
草刈正雄
佐藤浩市
小池栄子
斉藤由貴
木村佳乃
吉田羊
山西あかね
柳友一郎
大関平太郎
小野田治
寺島進
藤本隆宏
迫田孝也
ROLLY
後藤淳平
宮澤エマ
濱田龍臣
有働由美子
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 史上最悪の総理と言われた黒田啓介(中井貴一)は演説中に市民から投げつけられた石が頭に当たってしまい、記憶を失ってしまう。入院先の病院から逃げ出して何も分からず町を彷徨っていた黒田を保護した秘書官の井坂(ディーン・フジオカ)と黒田聡子(石田ゆり子)だが、二人は記憶を失ったままの黒田を上手く使ってこの難局を乗り切ろうと考える。だがその渦中にいる黒田自身は一から政治を学び直したいと言い始めてしまう。

 これまで脚本家・演出家・監督としてテレビ、舞台、映画とマルチに活躍をしている三谷監督。映画ではこれまで数々のジャンルの作品を作ってきたが、最新作として選んだのは、これも新しい政治劇だった。
 どことなく今の日本を思わせるような政治の世界が舞台で、“偉くなること”だけを目的として、そのためにあらゆる犠牲を払ってきた男が、本当の政治家とは?と考えを巡らせるようになるという話。
 いわゆる裸の王様タイプの作品で、割とコメディでは定番作品ともいえるだろう。本作もコメディ調で話が展開する。そのため極端に話が政治的に深くなることはないし、複雑な経済問題や三権分立などには手を触れず、総理の資質についてのみを話の中心にしてる。
 でもその軽さが作品にははまっている。

 本作は深刻な問題を考えたりするのではなく、政治の初歩をコメディタッチで伝えるものでもあって、軽快さと深刻さのギャップがほどよいさじ加減。実際政治劇というのはこの程度でも充分である。単純さの中にこそ真理があり、その大切な部分さえつんで、そこから政治を学べば良い。

 それで結局“正しい”政治とは何かと言えば、純粋に国民のために働くということ。ここさえぶれなければ、あとはどんな風に作っても大丈夫。あとはコメディとして笑わせてくれればそれで良いのだし、本作はその部分はきちんとクリアしてる。

 だからこれ以上を求める事は必要ない。これでいいのだ。

 三谷組総出演と行った感じの出演者も安定してるけど、ところどころで「なんで個々にこんな人が?」という場合もあって、最後のスタッフロールで驚いたりもした。そんな驚きもあるので、少々点数はかさ上げ。
製作年 2019
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
歴史地域
関連
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
ギャラクシー街道
<A> <楽>
石原隆
市川南
前田久閑
和田倉和利
西原恵
森賢正(製)
三谷幸喜(脚)
香取慎吾
綾瀬はるか
小栗旬
優香
西川貴教
遠藤憲一
段田安則
石丸幹二
秋元才加
阿南健治
梶原善
田村梨果
浅野和之
山本耕史
大竹しのぶ
西田敏行
★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 2265年。人類は宇宙に進出し、そこで多くの宇宙人達と交流を持っている時代。木星と土星の間にある幹線ルート24666通称“ギャラクシー街道”は開設以来150年が経過し、今や辺境の地と化していた。そんなギャラクシー街道沿いにある小さなハンバーガーショップ“サンドサンドバーガー”。地球人で店長のノア(香取慎吾)と妻ノエ(綾瀬はるか)とアルバイトのハナさん(大竹しのぶ)で切り盛りしていたが、ノエの浮気を疑うノアは精神的にすっかり疲れ、店を畳むことを考えていた。そんな店に今日も変わり者の宇宙人ばかりがやってくる…
 三谷監督最新作として、大々的に宣伝されてきた大作映画。特に三谷監督が初めてSFを作ると言うことで、かなり期待されていた。
 ものとしては、監督らしいシチュエーションコメディ作品として仕上がってはいるのだが、舞台劇として考えるならば、中の下。及第点にすら達してない。演出のキレも悪く、物語もいい加減。キャラの魅力だけに頼ってるのに、その魅力が伝えにくいとか、どうにも入り込めない物語になってしまった。
 ただ、遅まきながら、途中でようやく気が付いたことがある。
 これ、ベースが舞台劇じゃないんだ。
 この作品、三谷幸喜は二つの挑戦をしたということがある。一つは初のSFであるということだが、もう一つ、ソープオペラを作る事を目指していたと言うことである。
 日本ではあまり馴染みがないが、ソープオペラだが、古くからアメリカの昼のテレビでは定番作品で、基本毎日ライブで行う短いドラマ。一応脚本はあるものの、登場人物のキャラクタや即興などにかなり重点が置かれているのが特徴(映画ではそのソープオペラを舞台にした『トッツィー』(1982)がある)。日本ではいわゆる昼ドラというきちんと作ったドラマがメインとなったため、それには馴染みがないが、輸入された海外ドラマのいくつかで細々とそれらを観ることは可能。
 そんなソープオペラを敢えて作ってみたというのが本作の挑戦だったわけだ。キャラの魅力に大部分を負ってる事と言い、細かすぎるシチュエーションコメディと言い、ほぼ完全に定式に沿ったものとなっている。映画なので、しっかり脚本を作り、それを敢えてライブ性っぽく崩したのがこの作品の特徴だと言える。
 だから、伏線さえも成立してないギャグのやりとりも、脈絡のない物語も、全てわざとやってることだった訳だ。明らかに狙ってやってる。
 …ということが前提になって、やっとほんの少し評価は上がる。そもそも日本で馴染みのない物語を作ろうとしたその意識は買おう。
 でも、敢えて崩したとしても、物語の悪さは変わってない。そもそも三谷監督の魅力って、意外性のある物語作りにあったのだから、それを封印した時点で駄目だろ。

 結局この作品、三谷監督の思いはともかく、自分を見失ってしまったところが最大の問題点であろう。
製作年
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
書籍名 <A> <楽>
著者名 (検索) <A> <楽>
歴史地域
関連 特撮事典
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
清須会議 2013
2013日本アカデミー監督賞、脚本賞、音楽賞、美術賞、録音賞、編集賞

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亀山千広
市川南
前田久閑
和田倉和利(製)
三谷幸喜(脚)
役所広司
大泉洋
小日向文世
佐藤浩市
妻夫木聡
浅野忠信
寺島進
でんでん
松山ケンイチ
伊勢谷友介
鈴木京香
中谷美紀
剛力彩芽
坂東巳之助
阿南健治
市川しんぺー
染谷将太
篠井英介
津島美羽
戸田恵子
梶原善
瀬戸カトリーヌ
近藤芳正
浅野和之
中村勘九郎
天海祐希
西田敏行
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 本能寺の変によって織田家前当主織田信長(篠井英介)と当主織田信忠(中村勘九郎)が亡くなり、信長三男の信孝(坂東巳之助)を後継者に推す筆頭家老の柴田勝家(役所広司)と次男の信雄(妻夫木聡)を推す羽柴秀吉(大泉洋)が真っ向から対立する。信長の妹であるお市(鈴木京香)に執着する木訥な武人柴田勝家と、この危機をも自分の味方にしてのし上がろうとする秀吉。両者の思いは大きな歴史のうねりとなっていく…
 三谷幸喜監督が新しく放った作品は、意外なところで史実をベースとした歴史物。しかも戦国時代を例に取ったものだった。
 
清須会議(あるいは清洲会議)とは、天下統一を目前としていながら本能寺の変によって死んでしまった織田信長の跡目を巡っての会議となり、これによって羽柴秀吉の天下取りの節目となったものである。ここで秀吉の取った奇策が織田家の運命を決め、実質的に秀吉が天下取りに至る歴史の節目とも言える会議だった。
 こんなテーマを取ったことに最初は意外さを感じたが、三谷監督は元々舞台の演出家で、舞台を限定したシチュエーションコメディに本領を発揮する人物でもある。会議を題に取るって、逆にこれってはまってるのかも?
 それで一見。
 結構意外だったのは、この清須会議を基本的には仮想歴史のようにはせず、基本的に史実を押さえて作っているという事だった。細かい歴史の整合性などを考えずにぶっとんだ物語にするかと思ったのだが、そんなこともなく、そう言った歴史に立った上で、出来るだけコミカルな演出を心がけている感じで仕上げている。
 歴史は歴史であり、史実を変えることなく作る。映画の作りとしては、これは全うで正しいと思うし、それを逃げずに直球勝負した監督の姿勢も評価したい。
 だけど、真面目な歴史絵巻とコメディを組み合わせた場合、往々にして起こることなのだが、
演出上のバランスの悪さも出てしまった
 これを真っ正面から描くならば、比較的真面目に作って、要所要所でコメディを入れるようにするか、さもなくば歴史を無視して笑いの方に持って行くか、どちらか極端にした方がまだ観られたのだが、しっかりした歴史の上に立ってコミカル要素をふんだんに入れようと試みたため、笑わせようと頑張ってる演出が痛々しく感じられてしまう。小説だったらともかく、映像にすると如何せん中途半端になってしまう。三谷監督にしてもそれは如何ともし難いところだったか。
 結果として本作でちゃんとコメディとして笑えるところは会議が終わって、後は想像の領域に入ってからだった。会議が終わって、後は一晩生き延びるために秀吉が取った行動と、それを取り巻く人々の狼狽や陰謀など。ここは流石三谷演出の冴えていた。ただ、史実の足かせを外されてようやく普通に笑えるようになったというのでは、やっぱり本作の狙いとは異なるだろう。

 派手なパフォーマンスを演じる大泉洋の秀吉と、真面目一徹なのが逆に笑いになってしまう役所広司の勝家の対比が本作の見所なので、その意味では二人とも本当に頑張ってるし、周囲の人間の個性もそれぞれに際だたせる演出もしっかりしてる。細部までしっかりとした物語になってる分、その食い合わせの悪さで凡庸な作品になったのが残念。
 あと個人的には、秀吉の奇行と、それに伴う周囲の狼狽、結果としての大成功というシチュエーションをもっと劇的に描いてほしかったというのもあるか。行き当たりばったりではなく、複雑に伏線を張り巡らせ、それが最後に秀吉の成功につながるという演出がほしかった。

 本作の演出を存分に活かせるのは映画ではなく、小説か舞台だろう。実際本作は三谷幸喜監督自身が描いた小説が元になっている訳だし、そちらの方が物語としてもスムーズにいってるのではないか?と推測はする。
ステキな金縛り 2010
2011日本アカデミー作品賞、主演女優賞(深津絵里)、監督賞、音楽賞、撮影賞、照明賞、美術賞、録音賞、編集賞
2011毎日映画コンクールTSUTAYA映画ファン日本映画部門
2011映画芸術ワースト第1位

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三谷幸喜(脚)
深津絵里
西田敏行
阿部寛
竹内結子
浅野忠信
草なぎ剛
中井貴一
市村正親
小日向文世
小林隆
KAN
木下隆行
山本亘
山本耕史
戸田恵子
浅野和之
生瀬勝久
梶原善
阿南健治
近藤芳正
相島一之
西原亜希
中村靖日
大泉洋
佐藤浩市
深田恭子
篠原涼子
唐沢寿明
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 若くして亡くなった敏腕弁護士を父に持つ若手弁護士宝生エミ(深津絵里)は弁護に失敗続き。そんなエミに呆れた事務所長の速水(阿部寛)は、どうせ失敗するからと妻を殺害した容疑で捕まった男矢部五郎(KAN)の弁護を担当することとなった。唯一五郎の、事件の夜は山奥の旅館で落ち武者の霊にまたがられて金縛りに遭っていたというアリバイだけを頼りに、旅館に確かめに行くエミだが、本当に金縛りに遭ってしまい、しかも落ち武者の幽霊・更科六兵衛(西田敏行)に遭遇してしまうのだった。無実を確信したエミは、六兵衛に法廷での証言を依頼する…
 楽しい作品を作ることにかけては第一人者の三谷監督の最新作。
 これまで三谷監督は舞台と映画とテレビの三つのメディアで劇作しているが、それぞれのメディアで、そこでしかできない演出を重視して作品を作っている。それぞれのメディアの強みや限界を知っているからこそ出来る、監督ならではの作品を作り続けている。
 それで三谷監督の作る映画の最大の特徴は
カメラワークにあるだろう。基本的にカメラは固定で、特に人間を撮る場合、まるで舞台のような狭い空間の中で画面の中だけで演技させているのだが、そう言った制限の中で映画ならではの演出を模索するのが演出の妙。
 そして本作では、その演出をこれまで以上に舞台寄りに持っていったのが特徴となるだろう。実際本作における固定カメラの用いられ方は際だっており、ちょっと演出を変えればそのまま舞台に使って良いような演出が続く。その分ちょっとこぢんまりした印象がぬぐえないが、そこで幽霊という、目に見えないものを持ち出すことで幅を出している感じ。演出を舞台寄りにして、舞台では出来ないものを作る。相変わらずチャレンジを続けている訳だな。
 話そのものもなかなか楽しく、大いに笑わせてもらったが、多少その笑いがあっさりしていたのと、しんみりさせる部分が演出不足だった感はあるか?大いに笑い、重要なところでは泣けるようなものを求めていたが、そこは多少不満だったかな?

 あと三谷作品で楽しみなのは、いわゆる三谷組の総出演ぶり。カメオ出演でなじみのキャラがどんどん出てくるので、「ここにこいつを持ってきたか」というのが楽しい。今回も唐沢寿明とか佐藤浩市とかが意外なところで出てくるので、それ眺めてるのも楽しい(ちなみに佐藤浩市の役名は村田大樹だそうで、これって『ザ・マジックアワー』で出てきた本人役)。更に映画のオマージュが小気味よく決まってくれるので、「分かってらっしゃる」とニヤニヤできるのも嬉しい。

 今回は少々小品っぽかったけど、充分楽しめたのでこれで良しだろう。
ザ・マジックアワー 2008
2008日本アカデミー作品賞、主演男優賞(佐藤浩市)、監督賞、脚本賞、音楽賞、美術賞、録音賞、編集賞
2008映画芸術ワーストテン第3位
2008映画館が選ぶ映画館大賞第19位
2008CDV-Jマイベスト邦画4位

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三谷幸喜(脚)
佐藤浩市
妻夫木聡
深津絵里
綾瀬はるか
西田敏行
小日向文世
寺島進
戸田恵子
伊吹吾郎
浅野和之
市村萬次郎
柳澤愼一
香川照之
甲本雅裕
近藤芳正
梶原善
阿南健治
榎木兵衛
堀部圭亮
山本耕史
市川亀治郎
市川崑
中井貴一
鈴木京香
谷原章介
寺脇康文
天海祐希
唐沢寿明
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
三谷幸喜のありふれた生活7 ザ・マジックイヤー(書籍)
 小さな港町・守加護(すかご)。この街を牛耳るギャングのボス天塩(西田敏行)の部下で、彼に引き立ててもらって若くしてホテル支配人となった備後(妻夫木聡)は、天塩の愛人高千穂マリ(深津絵里)に手を出してしまったことから、天塩の第一の子分黒川(寺島進)に捕らえられ、コンクリート詰めにされかかる。そんな時黒川が漏らした言葉「デラ富樫」を知っている。と叫んだことから窮地を脱するのだが、実はデラは天塩を狙う殺し屋。勿論そんな知り合いがいるはずもなく、備後は命が助かるように、デラの身代わりを立てることにした。映画監督になりすました備後は無名の俳優村田大樹(佐藤浩市)を雇うと、映画の撮影と称して彼に殺し屋"デラ富樫"を演じさせ、天塩の前に差し出す。
 舞台の演出家、テレビドラマの脚本家、そして映画監督と大活躍の三谷幸喜監督による作品。
 前々から思っているのだが、三谷監督は映画作りの際、
舞台的な演出を敢えて心がけて作っているように思える。舞台は舞台で良いところがあるし、映画は映画で良いところがある。その双方の良さを知っているからこそ、どちらの良さも併せ持った作品を作ろうと常に心がけているのだろう。
 本作はその意味ではこれまでの三谷監督作品中最も融合が大変進んだ作品と見られる。舞台と映画双方が好きな人にはたまらない内容になってる。敢えて映画俳優に胡散臭さとオーバーアクションの舞台的な演技をやらせて自然さよりも見栄えを強調させ、敢えて観客に顔を見せようとする作り。笑わせるところはちゃんと役者も工夫して、「さあ、みんなで一緒に笑いましょう」的な舞台演出で笑わせてくれる。本当に舞台と映画双方をよく理解している三谷監督ならではの演出方法だ。
 ただ、改めて考えてみると、実はこの映画の作りは、60年代の日活アクションで多用された演出方法でもあるんだな。舞台劇と映画をどんどん融合させていくと、そういう方向性になっていくんだな。と再認識。
改めて60年代の日活アクションを再評価したくなるような作品に仕上げてくれた。そう言う意味で作りが非常に巧み。
 更に60年代を意識させる作りは、わざわざここに先日亡くなった市川崑本人を登場させ、
『黒い百一人の女』なる作品を作らせてる(言うまでもないがこれは市川崑監督の『黒い十人の女』(1961)をリメイクさせている(あるいはその本体を撮っている)という設定)。しかもそこで登場させる中井貴一なんかに当時っぽい演技をさせているあたりにも見られる。他にも様々な映画のパロディが登場するが、その大部分は50〜60年代の映画ばかり(深津絵里が月に乗って歌うのは『ギター弾きの恋』だろうけど、この映画自体が60年代を舞台にしてる)
 つまりこれは、現代を舞台にしていつつ、実はこの舞台は60年代で止まってますよ。という一種の見立てであると考えるべき。演出のみならず、価値観や言動を敢えてその時代に区切って使ってるし、多分劇中で佐藤浩市に言わせた、B級映画の思い入れは、
三谷監督自身の思い出でもあるんだろう
 その中で、60年代の映画はこんな感じだったんですよ。とさりげなくマニアックな知識やネタを散りばめつつ、敢えてベタな笑いへと誘う。三谷演出の笑いは、古くから伝わるものを上手くアレンジして使っているので、こういう笑いの演出は本当にほっとする。
 だから本作の映画にリアリティがないとか、現代的じゃない。ってのは野暮ってもの。最初からそれを見越して作ってるんだから。

 ただ、これだけ褒めておきながら、点数はどうしてもあまり上がらないのは、私が最も苦手な物語は
“善人を騙し通そうとする”作品で、まさにこれがそのものだから。騙す方も騙される方も痛々しくて直視するのがキツイ。私はワイルダー作品が大好きだけど、唯一『恋人よ帰れわが胸に』だけは直視できなかったから。土台この作品自体がその『恋人よ帰れわが胸に』を含めたワイルダー作品への思い入れたっぷりに作られてるわけだし。
THE 有頂天ホテル 2005
2006日本アカデミー作品賞、主演男優賞(役所広司)、助演男優賞(佐藤浩市)、監督賞、脚本賞、音楽賞、撮影賞、照明賞、美術賞、録音賞、編集賞
2006毎日映画コンクール美術賞

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三谷幸喜(脚)
役所広司
松たか子
佐藤浩市
香取慎吾
篠原涼子
戸田恵子
生瀬勝久
麻生久美子
YOU
オダギリジョー
角野卓造
寺島進
浅野和之
近藤芳正
川平慈英
堀内敬子
梶原善
石井正則
榎木兵衛
奈良崎まどか
田中直樹
八木亜希子
原田美枝子
唐沢寿明
津川雅彦
伊東四朗
西田敏行
山寺宏一
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 都内の高級ホテルである“ホテルアバンティ”の毎年恒例のカウントダウンパーティーが今年も盛大に行われることになった。しかし、その時間が迫る中、ホテル内で様々なトラブルが続発。副支配人の新藤平吉(役所広司)はアシスタントマネージャーの矢部(戸田恵子)と共にホテル内をかけずり回る。ホテルの従業員達と、訳ありの宿泊客達が起こす様々なドラマを描く。
 
『有頂天時代』(1936)『グランド・ホテル』(1932)を日本でやろうという三谷監督の思いで作られた作品。しかも彼の元に集まった面々はとんでもなく豪華。それぞれが他の映画だったら主役クラスばかり。本当に『グランド・ホテル』らしくなってしまった。
 そもそも舞台演出家の三谷監督は空間配置が巧い。これだけのキャラを出しておいて、過不足なくきっちりとまとめきり、一つの物語に仕上げた手腕は確か。これだけのキャラが互いに個性を殺し合わずに演技できたと言うだけでも特筆すべき出来事だろう。オダギリジョーや唐沢寿明なんかキャライメージをがらっと変えていながらちゃんと個性見せていたし、脇を固めるヴェテラン俳優が要所要所で締めている所なんかが心憎い演出だ。その中でも中心となる役所広司は特に複雑な役回りを強いられていたが、それもしっかりこなしていた。
 三谷監督の空間配置の巧さはキャラだけに止まらず、画面毎の配置の仕方が又巧み。長回しあり、カメラの回り込みあり、そして固定カメラにも人間の動きが完全にコントロールされているし、音楽の使い方も良い。実に巧い作り方だ。
 少なくとも映画作りとして考えるならば、最高峰だろうと思う。
 登場人物それぞれのミニドラマが複雑に絡み合い、それが収束していく作りは大変買う。ただ、いくつか不満点もある。ミニドラマはあくまでミニドラマでしかないため、どうしても盛り上がりには欠け、後半になってさえ盛り上がった感じがあまりしなかったこと。キャラが過不足なく登場してる一方、どうしてもそれぞれが薄味になってしまったこと。そして何より全体的にテンションを持続させようとしたため、2時間半は長すぎたこと。
観終わった時にはすっかり疲れ切ってしまった
 映画としての質が高い分、それがネックになってしまった。
みんなのいえ 2001
2001日本アカデミー新人賞(八木亜希子、田中直樹)、話題賞(田中直樹)、助演男優賞(田中邦衛)、監督賞、脚本賞

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三谷幸喜(脚)
唐沢寿明
田中邦衛
田中直樹
八木亜希子
伊原剛志
白井晃
八名信夫
江幡高志
井上昭文
榎木兵衛
松山照夫
松本幸次郎
野際陽子
吉村実子
清水ミチコ
山寺宏一
中井貴一
布施明
近藤芳正
梶原善
戸田恵子
梅野康靖
小日向文世
松重豊
佐藤仁美
エリカ・アッシュ
遠藤章造
明石家さんま
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 TVドラマの脚本家飯島直介(田中直樹)とその妻飯島民子(八木亜希子)が郊外に土地を買ったところから始まる。あこがれのマイホーム建設のため、民子は後輩のデザイナー柳沢英寿(唐沢寿明)に設計を、大工である父の岩田長一郎(田中邦衛)に建築を頼む。現場を知らず、自分はアーティストだと主張する柳沢と、あくまで自分流の家造りを目指す岩田はまさに水と油。その間に立つ直介を巻き込んでの人間模様を描くコメディ映画。
 監督は三谷幸喜。『ラヂオの時間』(1997)で質の高いコメディ映画を録った監督である。あの時は設定見ただけで吹き出しそうになった記憶があり、今回も結構期待できそう。
 一見して小粒な作品と言うイメージ。2時間という長い時間だが、あと10分ほどは短い方が良いと感じる。ただ、小憎らしいほど小技が利いており、ポイントを抑えて笑いを取るのは上手い。ほのぼのとした映画を求める人にはお薦めの作品。又、画面の端々に登場する某有名タレントもチェックされたし。カメオ出演を見てるだけでも楽しめる。
 どっちかというと、劇場よりはビデオで楽しむべき作品と言えるかも知れない。
 ただ、ちょっと気になるのは
キャストの名前で主人公のココリコの田中直樹より唐沢寿明や田中邦衛の方が先になっているのだが。知名度の違いかな?
ラヂオの時間 1997
1997日本アカデミー脚本賞、録音賞、話題賞(西村雅彦)、作品賞、主演男優賞(唐沢寿明)、主演女優賞(鈴木京香)、助演女優賞(戸田恵子)、監督賞(三谷幸喜)、撮影賞、照明賞、編集賞
1997
ブルーリボン新人賞(三谷幸喜)
1997
キネマ旬報日本映画3位
1997毎日映画コンクール日本映画優秀賞、脚本賞、スポニチグランプリ新人賞(三谷幸喜)
1997報知映画作品賞、助演男優賞(西村雅彦)
1997ヨコハマ映画祭新人監督賞、主演女優賞(鈴木京香)、助演男優賞(西村雅彦)、
第4位
1998ベルリン国際映画祭特別表彰

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三谷幸喜(脚)
唐沢寿明
鈴木京香
西村雅彦
戸田恵子
井上順
細川俊之
奥貫薫
梶原善
モロ師岡
近藤芳正
布施明
藤村俊二
並樹史朗
田口浩正
梅野泰靖
小野武彦
市川染五郎
遠藤久美子
渡辺謙
桃井かおり
佐藤B作
宮本信子
★★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 ラジオ弁天の企画で一般公募したラジオドラマの生放送が行われようとしていた。この作品によって脚本家としてデビューすることになった主婦の鈴木みやこ(鈴木京香)自身の見守る中、本番が近づくが、直前になって主演女優の千本のっこ(戸田恵子)が自分の役名が気に入らないと言い始め、役名をメアリー=ジェーンに変更させてしまう。そんなのっこに腹を立てた相手役の浜村(細川俊之)も、自分の役名も外人にしてほしいと言い出し、熱海を舞台にしたメロドラマのはずだった台本は、ニューヨークに設定を変更させられる。更に本番が始まってからも役者の勝手からトラブルが連続し、そのつじつま合わせのために裏方が駆け回る羽目に…
 若いながら舞台監督とTVドラマ脚本家として既に第一人者として認められていた三谷幸喜監督の劇場デビュー作で、脚本も三谷監督自身が書いている。内容的にも狭い空間の中で心の中をむき出しにしての笑いや怒りなど、まさに舞台劇そのもので、三谷監督は最初の作品は自分の土俵に映画を持ち込んで作ったと見える。舞台劇の醍醐味は単に生の役者が目の前で演じるリアルさと言うだけではない。それによって得られる効果とは、
観ている側が心理的に役者に近づき、やがて気持ちそのものが揺さぶられる。映画ではなかなか難しい部分がきちんと出来るという利点があるので、これからも演劇が廃れることは無かろう。私自身舞台劇も好きなんだけど、値段が高い上に場所が限られるので、なかなか観に行けないのが現状。
 三谷監督のしようとしていることは、その垣根をなるだけ低くしようと言うのではないか?と思えたりするが、本当に見事に舞台劇を切り取っている。これは単に舞台劇を映画化しただけでなく、映画でこそ出来る部分を加えることによって、初めて舞台“らしく”出来る。その事をよく分かっているからこそ、こういう作品が作れるんだろう。それに流石に三谷監督は人脈が太く、キャストも異様に豪華。芸達者が揃ってこそ出来た作品だ。
 物語の展開も飽きさせないし、特に後半に行けば行くほど収拾つかなくなっていき、これをどうまとめるの?と思うと画面から目が離せなくなっていく。しかも本当にちゃんとまとまってくれるから凄い。本当に見事な構成だ。
 この中には苛つかせるキャラもいれば、そのキャラに触発されて本性を露出させるキャラもいる。自分に素直になればなるほど、人には迷惑をかけるものだが、そう言う人間は「自分だけが苦労してるんだ」みたいな顔をしがち。現実世界にも多い(役者だけじゃなく、被害者面した原作者もやっぱり勝手なんだし)。観てるこっちは本気でむかつくのだが、現実的にそれでも番組は成立させなければならないため、それを調整するキャラもおり、その苦労を見ているのが楽しい。最初ぶっきらぼうで投げやりに見える裏方役の面々が実は一番番組作りに一生懸命って事が分かる構成も上手い。
 結局はこの作品、そう言う裏方の調整を見るべき作品なのかも知れない。何事もやり遂げるってのは難しい。そして
一番難しいのは人災なんだよな。どんな立場にあっても、現実世界にありがちな話だからこの作品は面白い。
 これまで三谷監督は三作映画作ってきたけど、デビュー作の本作が一番面白かった。

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