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今井正「全仕事」―スクリーンのある人生 今井正の映画人生 映画監督 今井 正 物語 燃えつまみれつ |
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1991 | 11'22 死去 | ||||||||
戦争と青春 監督 | |||||||||
1982 | ひめゆりの塔 監督 | ||||||||
1981 | ゆき 監督 | ||||||||
1979 | 子育てごっこ 監督 | ||||||||
1976 | あにいもうと 監督 | ||||||||
妖婆 監督 | |||||||||
1974 | 小林多喜二 監督 | ||||||||
1973 | |||||||||
1972 | 海軍特別年少兵 監督 | ||||||||
あゝ声なき友 監督 | |||||||||
1971 | 婉(えん)という女 監督・企画 | ||||||||
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1970 | 橋のない川 第二部 監督・製作・脚本 | ||||||||
1969 | 橋のない川 監督・製作 | ||||||||
1968 | 不信のとき 監督 | ||||||||
1967 | 砂糖菓子が壊れるとき 監督 | ||||||||
1966 |
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1964 | 仇討 監督 | ||||||||
越後つついし親不知 監督 | |||||||||
1963 | 武士道残酷物語 監督 | ||||||||
1962 | 喜劇 にっぽんのお婆あちゃん 監督 | ||||||||
1961 | あれが港の灯だ 監督 | ||||||||
1959 | キクとイサム 監督 | ||||||||
1958 | 夜の鼓 監督 | ||||||||
1957 | 純愛物語 監督 | ||||||||
米 監督 | |||||||||
1956 | 真昼の暗黒 監督 | ||||||||
1955 | 由起子 監督 | ||||||||
ここに泉あり 監督 | |||||||||
愛すればこそ 監督 | |||||||||
1953 | にごりえ 監督 | ||||||||
ひめゆりの塔 監督 | |||||||||
1952 | 山びこ学校 監督 | ||||||||
1951 | どっこい生きてる 監督 | ||||||||
1949 | 女の顔 監督 | ||||||||
続青い山脈 監督・脚本 | |||||||||
青い山脈 監督・脚本 | |||||||||
1946 | 人生とんぼ返り 監督 | ||||||||
民衆の敵 監督 | |||||||||
1944 | 怒りの海 監督 | ||||||||
1943 | 望楼の決死隊 監督 | ||||||||
1940 | 多甚古村 監督 | ||||||||
1939 | 沼津兵学校 監督 | ||||||||
1912 | 1'8 東京都で誕生 |
海軍特別年少兵 1972 | |||||||||||||||||||||||||||
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あゝ声なき友 1972 | |||||||||||||||||||||||||||
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仇討 1964 | |||||||||||||||||||||||||||
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不信のとき | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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喜劇 にっぽんのお婆あちゃん 1962 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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キクとイサム | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1959ブルーリボン作品賞、主演女優賞(北林谷栄)、脚本賞 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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会津の田舎、しげばあさん(北林谷栄)の家に引き取られた混血児の二人のこども、姉のキク(高橋エミ子)と弟のイサム(奥の山ジョージ)。貧しい家や、村のこども達の意地悪もどこ吹く風で二人は腕白に育っていった。しかしある日アメリカの家庭で二人のうちの一人を養子縁組に引き取るという話が舞い込んでくる。ついにイサムが引き取られることとなり… 戦後、連合軍統治下の日本では混血児の問題が浮上していた。それに対し、数こそ少ないながら色々と働いた人もいたのだが(元華族の沢田美喜が私財を投げ打って孤児院を作ったのは有名だが、日本以外の国からも色々と援助の手はさしのべられた)、戦後、復興期もまだの日本では混血児絡みの事件は数多く起こっていた。誰にも望まれずに生まれてきた子供の悲惨な話は枚挙に事欠かない。 ただ、それを悲惨なだけに考えるのではなく、そこで強く育ったこども達も数多くいるのは確かな話。本作はそんな埋もれてしまう歴史の一コマを切り取ったような作品となっている。監督の今井正は戦前からこういった作品を数多く撮っていることで定評のある監督で、本作は戦後になって本当に自分の作りたいものを作れると言った雰囲気に溢れた作品に仕上がっている(監督は本作でなんと3回目のキネマ旬報賞、ブルーリボン賞、毎日映画コンクールの主要3賞の作品賞を独占している)。 ただ、私にとっては本作を初めて観た時期が悪かった。何せ私の故郷を舞台にした作品であり、しかも人類愛に溢れた作品だって事で、中学の時に学校で上映して強制的に観せられたのである。 こんな暗い、しかも古い作品を観て、「面白い」と言える中学生が一体何人いると思うのだ? しかも強制的に感想文を書かされ、歯の浮くような感想を書いてしまった自分も嫌だ。それだけに良く覚えてるよ。 多分今観たら随分印象も変わってくるだろう。そう言った施設で働いている人や、今も社会運動のために一生懸命活動している人に多くの知り合いが出来たし。それに自分自身もそう言った施設には行く機会が多いし… ただ、映画単体として観ると、演技を学んでないこどもを出すことで、どうしてもたどたどしい印象があるし(主役二人は脚本家の水木洋子が自ら探し出した素人)、社会問題をあまりにも前面に出しすぎたため、エンターテイメントとしては見られなくなってしまった。社会問題に対して戦う姿勢を前面に出したと言うことで評価されたんだろうが、物語自体の完成度はさほど高いとは思えない。致し方ないのだが、偽善的な意味で心地悪い気もする。私の皮肉な性格が災いしてる。 |
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真昼の暗黒 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1956ブルーリボン作品賞、監督賞、脚本賞 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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正木ひろしの「裁判官」という本の映画化。山口県で起きた殺人事件“八海事件”をモチーフとする。当時裁判が継続中だったため、最高裁判所から製作中止の要請が来るが、監督は拒否する キネマ旬報賞、ブルーリボン賞、毎日映画コンクールの作品賞と監督賞を独占 この元ネタとなったのは、実際の裁判での弁護士の主張。 |
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「まだ最高裁がある」 |
ここに泉あり | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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にごりえ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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樋口一葉の3つの短編小説を原作としたオムニバス映画。 オムニバス作品では唯一キネ旬ベスト・ワン作品 |
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続青い山脈 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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女学生の寺沢新子(杉葉子)に届けられたラブレターは大きな波紋を投げかけ、新聞沙汰となり、民主化を苦々しく思う村人により怪我人まで出してしまった。学校専属医の沼田(龍崎一郎)の協力を得、島崎雪子(原節子)はPTAにこの件を提出。議論してもらうこととなった。新子の友人の大学生や浪人生の面々も詰めかける中、会議が始まる… 『青い山脈』続編。前後編とも割と近年になって観たのだが、正直これでかなり今井正監督を見直した。今井監督は社会派監督として知られ、その作風は非常に固いものが多く、さほど注目してなかったが、本作で表されるように、全くユーモアを解さないのではなく、それなりにユーモアのセンスもあることが分かった。特にPTAの会議はともすると弾劾裁判のようになりそうなところをするりするりと笑いで切り返していく。真面目な作りの中に、ちゃんとエンターテイメントを志向していることがよく分かる。 前編の『青い山脈』で見られた民主主義と伝統との対立がここではっきりと打ち出され、それが裁判のような形を取るのが本作の特徴。こういう裁判ものは後に今井監督の得意とするジャンルになっていくが、その最初となる本作はかなりキレがある作りがなされている。 特に会議の模様がよく練られていて、伝統主義者権威主義者が価値観を押しつけようとし、それに対して、いかに返していくか。というのが本作の主眼。伝統主義がかなりステロタイプに描かれるのは難点とはいえ、それに対して、人間の自由を語る側が知恵を絞って対抗していくのがなかなか楽しい。それにのらくらかわしているように見えながら、実はその中に巧みに主張を取り混ぜて、言いたいことを言ってるのも痛快。 ラストで結局今回の訴えは双方痛み分けで終わる。進歩的な意見も伝統主義に一旦は押さえつけられてしまったかのようだが、少なくとも、こんな小さな町でもその意見に耳を傾ける姿勢を作り上げることが出来たし、町民がそれに関心を持ってくれた。まずはそこから始めるべきだ。という主張が見えているよう。 それにやっぱり役者がね。この時代に女子の水着シーンを入れたのはかなりの冒険だったが、それで司葉子なんかは見事なプロポーションを披露。それで恥ずかしそうに「六助さんが好きだわ」とか言ってのけるシーンはなかなかぐっと来るものがあり。 流石にユーモアという意味では西河克己監督版『青い山脈』(1963)には負けるが、こちらが先発であり、このヒットによって青春ものとしてリメイクが作られたと考えれば致し方ないところか。 |
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青い山脈 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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海沿いの片田舎町。町の実力者によって秩序が保たれているこの町にも新しい波が押し寄せようとしていた。この町の女学校に赴任した英語教師島崎雪子(原節子)は、寺沢新子(杉葉子)という生徒が受け取ったとされるラブレターが、クラス会の大問題になっている事を知り、新子の力になろうと考える。実はこのラブレターは新子が町で親しくしている金物屋の六助(池部良)との仲を疑ったクラスメイトによる偽物であり、それを糾弾する雪子に、彼女たちは口々に「学校のため」と言うのだった… 石坂浩二郎による同名小説の初映画化。朝日新聞に連載されたという小説自体が、未だ封建的な土壌にある日本の田舎町にアメリカ的民主主義を取り入れることの困難と、最終的な民主主義の勝利。という話になっていて、知識人のみならず、これをモデルケースとして、民主主義的な制度を取り入れようとする学校など、様々な影響を与えた。その初映画化が本作で、こういった人文主義的な作品を作らせたら第一人者とされる今井正監督が渾身の力を使って作り上げた。結果的に一本では間に合わず、本作と続編が作られることとなるが、どちらも大ヒットを取る。 特に戦中抑えられていた左翼的映画がようやくおおっぴらに作られるようになり、戦中は国威高揚映画を作らされていた若手監督も、ようやく自分の作品が作られるようになったこと自体は重要なことで、そのお陰でいくつもの傑作が登場している。今井監督はその中でも突出した左翼的作風で知られる事になる。 ただ、私は今井監督作品は少々苦手。確かにこの人は非常に真面目な人だと思う。それだけになんでも物語をストレートに描く傾向があって、主張をユーモアでくるみこんだりしないため、どうしてもできあがる作品が硬めになってしまう。 本作もそうで、恋愛物語や、クラスメイトへの糾弾シーンなんかがまさに直球そのもの。全員がはきはきと台詞を舞台的に言いつつ、きついことを平気で言ってのけるために、観ていて嘘くさいというか、かなり気恥ずかしい。設定的に戦後民主主義賛歌なのは分かるけど、特に前編では主題は恋愛話になるため、ちょっとそこが固くなり過ぎてしまった感じ。そもそも恋愛話なんて今井監督が苦手とする描写が主題だけに、その辺が固くなりすぎて。これより先に物語は同じながら恋愛話を中心とした西河克己監督のリメイク版『青い山脈』(1963)の方を観ていたため、余計にそれを感じてしまう。キャラの描写が硬すぎるんだよね。 でも、いかにも本当にようやく平和な時代が来た。という解放感に溢れて溌剌としたキャラクタ描写は悪くないし、そしてこれからが本当の戦いである。と言うことを予見させてくれるのは嬉しいところ。 ただ、今井監督の本領発揮はこちらではなく、むしろ続編の続青い山脈の方にある。こちらは間違いなく今井監督らしさにあふれた作品になってるから。 |
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