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橋本忍

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鑑賞本数 合計点 平均点
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書籍
著作
複眼の映像―私と黒澤明(書籍)

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1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982 幻の湖 監督・製作・原作・脚本
1981
1980 影武者 アドバイザー
1979
1978
1977 八甲田山 製作・脚本
八つ墓村 脚本
1976 続人間革命 脚本
1975
1974 砂の器 製作・脚本
1973 イエロー・ドッグ 脚本
日本沈没 脚本
現代任侠史 脚本
人間革命 脚色・脚本
1972
1971 「されどわれらが日々-」より 別れの詩 脚本
暁の挑戦 脚本
1970 どですかでん 脚本
影の車 脚本
1969 人斬り 脚本
風林火山 脚本
1968 首 脚本
1967 日本のいちばん長い日 脚本
上意討ち 拝領妻始末 脚本
剣<TV> 脚本
1966 白い巨塔 脚本
大菩薩峠 脚本
1965 香港の白い薔薇 原案
霧の旗 脚本
その口紅が憎い 脚本
 脚本
1964 仇討 脚本
悪の紋章 原作・脚本
1963 暴行 原作
白と黒 脚本
1962 切腹 脚本
1961 南の風と波 監督・脚本
怪談火喰鳥 監修・構成
八百万石に挑む男 脚本
ゼロの焦点 脚本
1960 荒野の七人 原作
最後の切札 脚本
悪い奴ほどよく眠る 脚本
弾丸大将 脚本
地図のない町 脚本
いろはにほへと 原作・脚本
ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐 脚本
黒い画集 あるサラリーマンの証言 脚本
1959 私は貝になりたい 監督・原作・脚本
空港の魔女 脚本
七つの弾丸 脚本
コタンの口笛 脚本
1958 隠し砦の三悪人 脚本
鰯雲 脚本
奴が殺人者だ 脚本
夜の鼓 脚本
張込み 脚本
1957 どたんば 脚本
女殺し油地獄 脚本
憎いもの 脚本
伴淳・森繁の糞尿譚 脚本
蜘蛛巣城 脚本
1956 真昼の暗黒 脚本
白扇 みだれ黒髪 脚本
1955 生きものの記録 脚本
生きとし生けるもの 脚本
1954 次郎長三国志 第九部 荒神山 脚本
七人の侍 脚本
勲章 脚本
花と龍 第二部 愛情流転 脚本
花と龍 第一部 洞海湾の乱闘 脚本
さらばラバウル 脚本
1953 太平洋の鷲 脚本
加賀騒動 脚本
1952 生きる 脚本
1951 平手造酒 脚本
1950 羅生門 脚本
1949
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1920
1919
1918 4'18 兵庫で誕生

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タイトル

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物語 人物 演出 設定 思い入れ

 

幻の湖 1982

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佐藤正之
大山勝美
野村芳太郎
橋本忍(製)
橋本忍(脚)
南條玲子
北大路欣也
隆大介
関根恵子
宮口精二
大滝秀治
星野知子
光田昌弘
かたせ梨乃
長谷川初範
室田日出男
下絛アトム
北村和夫
谷幹一
仲谷昇
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 滋賀で「お市」の源氏名で働く風俗嬢道子(南條玲子)は毎朝愛犬のシロと共に湖をマラソンしているのだが、決まって悲しげな笛の音が聞こえてくるのだった。そんなある日、愛犬シロが惨殺体となっているのが発見される。残された凶器の包丁や様々な証言から、その犯人は作曲家日夏圭介(光田昌弘)と言う事が分かり、道子は東京に乗り込むのだが…
 これまで数々の映画が作られてきて、その中のかなりのパーセンテージは「失敗作」の烙印を押されている。そう言った作品は、好事家が「観たぞ」という程度の話題にしかならないものが大半ではあるが、そう言った、どう考えても失敗作で、ファンもいるはずがないと思われる作品の中で、時折全くの失敗作であるにもかかわらず、とんでもない話題性があったり、「どれほど酷いか」という基準アイコンとして用いられるようになるとか、はたまた
「映画好きであれば、絶対にこれは観ておくべき」と、評論家によって箔が付けられるような“カルト作”と呼ばれるようになる作品がある。基準は様々だが、邦画におけるそう言った類のカルト作は両手の指で数えられる程度の数だろう(『シベリア超特急』『北京原人 Who are you?』(1997)など。近年では何といっても『デビルマン』がそれに当たるだろう)。そんな“カルト作”の中でも必ずその上位に挙げられるのが本作である。
 当初話題性だけはあった。なんせこれまで脚本家として数々の賞を取った橋本忍が脚本だけでなく監督もすると言うのだ。橋本忍と言えば、黒澤明の『羅生門』『七人の侍』、成瀬巳喜男の『鰯雲』、小林正樹の『切腹』、山本薩夫の『白い巨塔』、岡本喜八の『日本のいちばん長い日』、五社英雄の『人斬り』、森谷司郎の『日本沈没』、野村芳太郎の『砂の器』と、まさしく邦画の最高峰の作品の脚本家として、燦然と輝く名前である。
 そんな橋本忍が満を持して発表した作品が。話題にならないはずはない。実際本作は東宝の50周年企画として立ち上がり、東宝は大々的なキャンペーンを張った。オーディションから話題が振りまかれ(ヒロインは一般公募で、賞金1000万円。しかもガチな公募で、全く無名の南條玲子に決まる)、テレビスポットも大々的に行われた。橋本自身、本作で「日本映画興行記録を塗り替える!」とまで言っていた。まさしく本気の作品だった。
 …で、蓋を開けてみたら、上映はたった3週間で打ち切られ、しかも予定されていた地方での上映は取りやめになると言う恐るべき失敗作となってしまった。
 これを実際に劇場で観た人は、観終わった時にさぞかし頭を捻り、そして「観なかった事にしよう」と思ったには違いないだろうが、時を経て、これをオリジナル上映で観られた人は、どれだけ幸運だったか。とうらやましがられるようになるとは思わなかっただろう。

 それだけ訳の分からない作品だったわけだが、30年の時を経てようやくソフト化。噂にだけ聞いていたカルト作をやっと観ることが出来て嬉しかった。
 嬉しいのは嬉しいが、確かにこの作品、今観ても
本当に訳が分からない。というか、全編ツッコミどころだらけで、これを本当に橋本忍が書いたの?という位に酷い。
 本編を凄く単純に言うと、愛する存在を奪われたヒロインが、幾たびかの挫折と、多くの人達の慰めを受けながら、それでも最終的に復讐に成功するという、一種のピカレスクロマンと言っても良い。それだけだったら物語に一貫性はある。
 だが、ヒロインが何をやってるのだがよく分からない。その愛するべき存在が人ではなく犬であるというのは良しとしよう。そしてその犯人があっという間に分かるのも話の都合上、強引でもまだ納得がいく(それが人気作曲家という偶然もまだ許せる)。ただ、そこで殺害にまで決意する心の過程は全く描写されてない。しかもその殺害方法が一緒にジョギングして、疲労で殺そうというのは、あまりにも斬新すぎて頭が付いていかない。ジョギングを趣味とする犯人の後ろに付いていき、犬を殺した凶器である出刃包丁で脅しながら走らせると言うものだが、それってスポーツ好きの大の大人が死ぬほどの距離を自分も走る訳だよね?最初から無理じゃね?ろ思ってたら、案の定無理。しかも男はいつものジョギングコースを走ってただけで、ヒロインは途中で疲れてついて行けない…なにがしたかったの?
 そしてそこから新たな殺害方法を考えるのか?と思いきや、急にやる気を無くして東京を去ってしまう。その程度の覚悟だったの?見ようによっては、スポーツで発散しただけのようにも見えるぞ。
 で、滋賀に帰ったら、突然奇妙な恋愛話になっていく。この辺になってくると最早全く別の話。しかもそれが織田信長にまつわる話で(しかも結構な時間時代劇を演出してる)、関わってくるようで最後まで全く意味を持たない。
 運命によって結び合わされたと思われた男はすぐに滋賀を去り、ヒロインと結婚しようと言っている男とは全く接触がないので、三角関係にもならない。
 それで結婚を心に決めていたヒロインの前に、犬殺しの犯人が突然現れ、“偶然”そこにあった出刃包丁を手に、今度はマラソンの末、そのまま包丁ぶっ刺して殺害。しかも剥き身の包丁持って走ってるのに、誰もそれに関心を持たないし、警察にでも駆け込めば済むのに、男も律儀に、自分が殺されるその瞬間までマラソンにつきあってる。
 途中の話は一体何の関わりがあるの?と問われれば、全く関わりを持たないし、何故かCIAの職員とか宇宙飛行士とかと知り合っていながら、それも全く話に関係ないとか…

 流石にこの作品、観終わった直後に納得できたのが、この作品が“カルト作”と呼ばれるようになるわけだ。と言うありきたりの感想のみ。しかし、観てる間はなんだか不思議な雰囲気でもあったんだよな。
 だから敬意を表して最低点を入れさせていただく。

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