読書日誌
2010’10〜12月

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10'12'29 クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子 戯言遣い3
西尾維新(検索) <amazon> <楽天>
 “史上最強の請負人”哀川潤に半ば拉致された“ぼく”は、何故か女装して超お嬢様学校澄百合学園に潜入させられることとなった。哀川によれば、それは依頼人を連れて戻ってくるだけの簡単な仕事だったのだが…
 人間失格度合いをますます増してる主人公だが、生きるために払ってる犠牲が半端無く多くなってる気がする。全部巻き込まれてるだけなんだが、巻き込んだ方が大概不幸になってる。しかし、ここでのマンガの引用は凄いもんだ。糸遣いに「お前は山城拓也か?」とかいう相当マニアックな言葉もあったが。
10'12'26 はじめの一歩93
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 A級トーナメント第一戦。板垣はかつて一歩によって沈められた唐沢と対戦。そのスピードによって唐沢を翻弄した。だがそのスピードをあらかじめ見越していた唐沢の老獪な作戦によって、逆に最初のダウンを奪われてしまう…

 一種の板垣の野望編として描かれることになった。ただ前巻で一歩の努力がきちんと描かれていたのに対し、板垣の場合、ほぼ超人となってしまっていて、勝つのがわかってる試合を延々と見せられている感じになってしまった。巻数も随分進んできたことだし、脇キャラの扱いをもうちょっと減らして一歩に集中させた方が良くはないだろうか?快感度が非常に低い。
<A> <楽>
10'12'24 銀河市民 (著)ロバート・A・ハインライン <amazon>
 太陽系を遠く離れた惑星サーゴンで奴隷として買われた少年ソービー。その主人となったバスリムはこの星で乞食をしていたが、ソービーを奴隷ではなく養子として扱う。バスリムには何か秘密があることを感じ取るソービーだったが、彼を父として愛し、彼のために働くことが喜びとなっていった。だが、突然訪れるバスリムの死により、ソービーの運命は激しく動き出す。
 一人の少年の成長を描いたSF作品。成り上がりもの作品として見るなら、確かに奴隷→乞食→商人→兵士→富豪という段階を次々に上がっていく楽しみがあるが、むしろ本作では“自由とは一体何か?”という問いかけが常にかけられている。一見不自由に見える立場の方が遥かに自由度は高かったり、何でも出来る立場というのは、意外にすることが定められていたり…良いSF作品は必ず何かしら考えさせてくれる。
10'12'22 無きが如き (著)林京子 <amazon>
 1945年8月9日。長崎に落とされた原爆は多くの死者を出したが、生き残った者たちにも、その影響は重くのしかかっていた。その当日、女学校にいた同級生達の、時を経て続いていく友情や、その生活を描く。
 文芸調に溢れたなかなかの力作。長崎の原爆は色々と私にも関わってきてはいるのだが、やはりその感情というのは、当事者でないと分からないものなのかな?
10'12'17 激マン!2 (著)永井豪 <amazon>
 連載開始したデビルマンは好調の内に話数を重ね、シレーヌの登場まで行った。だがこの作品の密度は半端ではなく、週刊4本のマンガを並行して描くことは無理と判断した。そして落としたマンガとは…
 当時社会現象ともなり、大バッシングを受けたという「ハレンチ学園」を巡る騒動について本作は少し触れられている。最後は漫画家本人の人格攻撃にまで発展したということだが、これって丁度今の日本でやられてることとよく似ている。時代は繰り返すというか、よくぞこのタイミングで本作を描いてくれたというか。色々もの思う。
10'12'16 灼眼のシャナ1 (著)高橋弥七郎 <amazon>
 なんの変哲もない高校生坂井悠二は、ある日人生を帰る出来事に出会ってしまう。突然周囲の空間が停止し、その中で怪物に襲われたのだ。そこに現れた少女によって怪物は倒されたが、その少女は悠二に残酷な事実を告げる。この空間に閉じ込められてしまった以上、悠二は既に死んでおり、今は死を待つばかりの存在になっていたと。そして悠二を餌として倒すべき怪物を呼び寄せるため、悠二を見張ると言い張る。
 アニメにもなったラノベの第一巻。ただ、文学的な意味で言うなら、作風は雑そのものだし、文章もさほど上手いとは言いがたい。ただ、テンポの良い展開と設定は結構好み。これが流行ってる理由かな?
10'12'14 のだめカンタービレ9 (著)二ノ宮知子 <amazon>
 あまりにも温度差のある演奏をしてしまったため、コンクールでは選外になってしまったのだめ。正月に帰った実家で、そのまま東京に帰る気を失っていた。
 日本編の最終巻。これで一応千秋ののだめに対する気持ちもはっきりしたし、いつの間にかのだめの実家からは婿にされてしまっていた。 まあ、コメディなんだから、これくらいのことはやって然りか。あんまりにも少女漫画してるので、感想も書きにくい。
10'12'12 北人伝説 (著)マイケル・クライトン <amazon>
 実在したアラビアの使節イブン・ファドランの手記を元に、彼が何故ヴァイキングと知り合い、同行し、そしてどれだけ恐ろしい目に遭いつつ生還してきたか。10世紀の北欧を舞台とした冒険譚。
 映画『13ウォーリア-』の原作。一応実在した人物を元にしたと言う事で、しかも一々丁寧に解説まで加えてくれてはいるが、果たしてどこまで本当なのか分からない。と言う作品。あくまで歴史家ではなく、SF小説家が書いた、冒険歴史絵巻となっている。まあ、あんまり面白くないんだけど。
10'12'09 DVD映画で楽しむ世界史 (著)大串夏身 <amazon>
 歴史を扱った映画は数多く、今やDVDで手に入れることも出来る。それらを繰り返し観ることによってこそ知ることが出来る歴史を映画を通して紹介する。
 たまたまここでも似たようなことをやっていて、何かの参考になるかと思って読んでみたが、実際はたいして役に立たず。とにかく著者の見識の甘さと映画そのものをまるで紹介していないのが致命的で、しかも歴史上の人物の間違いもいくつかあり。単に「lこんなれきしがありました。そしてこの映画でこれを扱ってます」で終わってる。もう一歩進めるにはどうすれば良いか、こんなもんに頼らずに自分で考えよう。
10'12'08 月光条例11
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 おとぎ話のキャラクター達を閉じ込めていると言うアラビアン・ナイトの絵本に入り込んだ月光たち。だが事前に察知されてしまっており、偵察だけの予定が逆に包囲網のただ中に入り込んでしまう。分断されてしまった仲間達は、数多くの月打されたアラビアン・ナイトのキャラ達と戦いを余儀なくされてしまう…
 物語を横断して様々なキャラ達が一堂に会するお話しで、いよいよクライマックスも近いのかも知れない。月光の過去に関しても、少しずつではあるが明らかにされていってる。
<A> <楽>
10'12'04 空気枕ぶく先生太平記
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 小田原在住の売れっ子作家空気枕ぶく先生の担当となったばかりに貧乏籤ばかり引かされる事になった編集者の木村彦六は、理不尽なぶく先生の悪行を世間に暴露すべく、告発文を書こうと立ち上がる…
 著者にとって、この主人公ぶく先生は架空の人物であると同時に、そのモデルは明らかに自分自身。とんでもない自虐ネタが満載だった。特にぶく先生がオネエ言葉でまくしたてるシーンは思いっきり笑ってしまった。時にこういう笑える作品を読まないと駄目だな。
<A> <楽>
10'12'03 都市と星 (著)アーサー・C・クラーク <amazon>
 一度は外宇宙に進出した人類。だが全てを諦めてその科学力の全てを完全封鎖型都市ダイアスパーを建造することに費やした。そこでは人格を含めた個人は全てコンピュータのメモリバンクから生じ、全く変わらないまま人類は永遠に近い時を生き続けることが出来るようになった。そして数億の年月が経過した時、アルヴィンという青年が生まれた。他の人とは違い、都市の外に出ることを願い続けるアルヴィンだったが…
 著者の初期作品に後年手を入れたと言う物語。とにかく発想力が半端じゃなく、良くこんな事を考えつくもんだ。と今読んでも感心しっぱなし。その分物語がややまとまりがないと言う事実はさておき。
10'12'01 のだめカンタービレ8 (著)二ノ宮知子 <amazon>
 ライジングスターオーケストラの初演は大成功のうちに終わった。しかし、それでも日本でやっていくしかないと半ば諦めの境地に至る千秋。そんな千秋に、のだめは一計を案じる。そしてそんなのだめにも転機が訪れようとしていた¨
 これでとうとう千秋の飛行機恐怖症は乗り越えられた。あんまりにもあっけなくて唖然とするけど。一方、のだめの方もコンクールでオクレールと出会うというイベントも。これから話がどんどん進んでいく感じはあり。
10'11'30 映画とロックンロールにおいてアメリカと合衆国はいかに戦ったか (著)樋口泰人 <amazon>
 1970年代以降アメリカは“内なるアメリカ”なるものをいかに保持しようとしたか。それは映画とロックンロールに現れているという観点から、当時のいくつかの映画を通し、いかにアメリカなるものを映画は描いてきたについて著者なりの考察を述べた作品。
 いくつかの点において、特にインディペンデント映画について色々と参考にはなった作品だが、私の読解力の浅さのせいか、本書を通して描かれているはずの“アメリカ的”なものが今ひとつピンと来なかった。私にとっては映画観る上でのテーマの一つなんだけどなあ。
10'11'26 カラフル (著)森絵都 <amazon>
 死んで輪廻の扉へと向かった“ぼく”はプルプルという天使に呼び止められ、もう一度違った人間の身体に入って修行をやり直すよう命じられる。それで“ぼく”に与えられた身体は小林真という冴えない中学生。孤独で取り柄もない真の中で“ぼく”は何を修行すべきかも分からず戸惑うばかり。その内、円満に見えた真の家族の傷を見てしまう…
 原恵一監督によるアニメ映画カラフル(2010)原作。映画観た後で小説読んでみたが、はっきり映画は上手く作った。と言った感じ。勿論元が良いから映画が良くなったのは間違いないのだが。
10'11'24 アオイホノオ5
島本和彦 (検索) <amazon> <楽天>
 学芸大にも冬が来ようとしていた。庵野秀明は、その腕を見込まれて第3回大阪SFコンベンション、通称DAICONIIIの実行委員達と会っていた。そしてその同じ時、ホノオは自動車免許を取るべく教習所通いをしていた…

 痛々しくも熱いオタクを描き続けてきた本作だが、この巻に関しては、これまでの中で最も生ぬるく、そしてある意味最も痛々しい話になってる。何せ一巻まるまる主人公は自動車の教習に通っているだけ。しかもそれと対比するかのように、どんどん周囲の人間がプロに認められていくのが並行して描かれていくのがとても痛々しい。でも教習所での事は私も覚えがあるんだよな。あの頃はほんとに厳しかった。
 ところで今巻で重要人物として“のーてんき”こと武田康廣と澤村武伺が登場。ちゃっかりテンガロンハットをかぶっているあたり、いかにも狙ってる感じ。
10'11'23 エブリブレス (著)瀬名秀明 <amazon>
 15歳の夏。“世界の果て”を見せてくれたトシオ先輩との思い出を胸に力強く生きている杏子。丁度ネット世界に出来た“ブレス”という仮想空間の中に自分の分身を作ってみたところ、その世界にはトシオが描いた自分の絵があった…
 不思議な感じのSFというか、ちょっとだけ現実からずれた不思議な物語。これという盛り上がりがないまま終わってしまう。ただ、92年という年月を祖母、母、娘の3人の女性の風景を切り取って描いていると言うことで、一風変わった物語にはなってる。読後感がすっきりしてるので、ちょっとだけ不思議な物語を読みたいという人にはお薦めできる。
10'11'21 トム・ゴードンに恋した少女
スティーヴン・キング(検索) <amazon> <楽天>
 メイン州の外れにあるアパラチア自然遊歩道にピクニックへと連れてこられた9歳の少女トリシア。離婚したばかりの母と兄の口論にうんざりして、二人に黙って少し遠くへ用を足しに行ったところ、帰り道が分からなくなってしまった。やがて完全に遭難してしまったトリシアにとって、唯一の救いはボストン・レッドソックスのトム・ゴードンの空想だけだった。

 少女版「ジェラルドのゲーム」と言った風情で、この二冊には色々と共通項が見受けられる。著者自身にとって、誰もいないところに放り出されるというのが、そのままホラー的な描写になってるのかも知れない。
10'11'19 映画の記号論 (著)Yu.M.ロトマン <amazon>
 映像としての映画とは記号の構築によってなされる。映画に現れる様々な表象は、その奥に意味を持つ記号として見ることが出来る。古い映画を紐解き、映画における記号論とは何かを考察する。
 ロシア人による記号論という面白い著作だが、その分知らない映画が随分出てくる。記号論とは、やっぱり遡ればエイゼンシュタインになってしまうのか?でもそれだけで語れないのが映画というものだとも思う。
10'11'18 西原理恵子の人生画力対決2 (著)西原理恵子 <amazon>
 出版社企画で、著者が実際にイベントで他の漫画家を呼んで画力対決をするという企画の第2弾。今回は吉田戦車、伊藤理佐、雁屋哲、松本零士、須藤真澄、くるねこ大和、浦沢直樹、竹宮惠子、若杉公徳と、それ以外に乱入漫画家達との画力対決を行う。
 漫画家にとっては恐ろしく失礼な企画だと思うのだが、だからこそ読んでる方は笑えると言う、ある種怖いもの見たさの作品。特に漫画界のアンタッチャブルとも言われる松本零士まで呼んでしまうと言う太っ腹には感服。まさかの24年組から竹宮惠子が出てきたり、著者にとっては宿敵とも言える浦沢直樹との対決まであって、とにかく見所たっぷり。ニヤニヤしながら読むことが出来る。
10'11'16 ねじの回転 デイジー・ミラー (著)ヘンリー・ジェイムズ <amazon>
 デイジー・ミラー:スイスを旅行中のアメリカ人ウィンター・ボーンは活発で美しい女性デイジー・ミラーと出会う。彼女に惹かれていくウィンターだったが、デイジーの奔放さは度を超えていて…
 ねじの回転:ある女性の手記に描かれる恐ろしい風景。家庭教師として田舎の屋敷に招かれた彼女はそこでマイケルとフローラという兄妹の勉強を見ることとなった。とても聡明な二人だったが、どこか奇妙な部分を感じさせて…
 古典ホラー映画回転(1961)の原作。文学作品として確かに面白いが、しかしやっぱり映画のイマジネーションの方に軍配が上がるな。改めて映画の面白さを再認識させてくれた。
10'11'14 のだめカンタービレ7 (著)二ノ宮知子 <amazon>
 卒業した千秋は新しいオーケストラを組み、その練習に余念がなかった。一方今度は卒業を控えることになったのだめは担当教官が馬の合わない“ハリセン”江藤となり、その厳しいレッスンにメゲ気味。 そんな二人の新しい日常を描く。
 展開してそうでしていない話。前巻の千秋のトラウマも少し出ているが、あくまで二人が新しい日常に溶け込もうとしているところまで。とりあえずは千秋の新しいオーケストラがものになるかならないか。というところの途上といったところ。
10'11'11 映画館の入場料金はなぜ1800円なのか (著)斉藤守彦 <amazon>
 世界的に見ると、日本の映画館料金は極めて高く、高級な趣味と見られている。だがその1800円という料金はいつ決められたのか。日本の映画上映のシステムと映画業界の歴史を紐解きつつ、映画料金について考察する。
 なんとなく当たり前と思ってることも、ちゃんと理由があって今の形になっている。なんとなく分かってるつもりになっていても、いざ説明されてみると、なるほどよく分かることも多い。法律と興行の微妙なシステムによって映画館も今の形になってるのだな。でも、理屈が分かると、今度は逆にもっと安くできるはずだと考えてもしまう訳だが。
10'11'05 のだめカンタービレ6 (著)二ノ宮知子 <amazon>
 いよいよ卒業間近。将来を嘱望される千秋ではあるが、やはり飛行機恐怖症は治っておらず、日本に残るしかない。日本で一体何ができるのか。悩 む千秋。一方、能天気にも音楽を辞め、保育園の先生の道に踏み出そうとしているのだめ。それぞれの道を踏み出し始めたSオケの面々。さまざまな人間模様が 描かれていく。
 大学編の終了。そろそろ千秋にとって鬼門である飛行機恐怖症が重くのしかかり始めている。この巻の後半では千秋の実家(というか伯父の家)での出来事が綴られていくが、これは伏線のためかな?
10'11'02 忘レ愛 (著)清涼院流水 <amazon>
 “わたし”マナ16歳の夏。最愛のユウトを突然の事故で失ってしまった。茫然自失の“わたし”を周囲の友達や母は気遣ってくれるが、一生愛していこうと心に決めたユウトの喪失はあまりに大きかった。そんな“わたし”の携帯に、一日一通のメールが届く。その送り主の名はユウトと言った…
 推理小説家の著者が描く、超自然的な要素を加えた純愛作品。これが純愛作品だと分かるまで、つまり落としどころが分かるまで、サスペンスなのかホラーなのか、今ひとつジャンルが定まらず、どういうところに持っていくの?と思って結構面白かった。そう言う意味では終わり方は大変意外だったとも言える。
10'10'31 のだめカンタービレ5 (著)二ノ宮知子 <amazon> 
 学園祭目前にして、仮装コンサートをやるということで盛り上がっているSオケ。だが、千秋はシュトレーゼマン指揮のAオケでラフマニノフのピ アノを弾くことになっていた。意外にも厳しいシュトレーゼマンの指導の下、自分のピアノを弾く課題を課せられる千秋。そして特別編では千秋とヴィエラの師 弟関係がいつできたのかが描かれる。
 ピアノに関しても才能を発揮する千秋が描かれる話。そういえばこれはドラマのほうではあったか?一応ようやくといった感じでのだめの方も多少描かれるが、なんか一度千秋と連弾したら、すっきりしてしまった感じもある。のだめの音楽の情熱ってその程度?
10'10'29 ロコ!思うままに
大槻ケンヂ (検索) <amazon> <楽天>
 著者による短編集。「ロコ!思うままに」「モモの愛が綿いっぱい」「神様のチョイスはKISS」「アイドル」「ドクター・コーチン・レッド・ブーツ」「キテーちゃん」「怪人明智文代」「イマジン特攻隊」「戦士の名は赤ちゃん」「天国のロックバス ロコ!もう一度思うままに」を収録する。

 大体においてあまり関連性のない短編集だが、これらを貫いて「ロックとは何だ?」という思いが溢れている作品群となっている。結論じみたことも書かれているのもあるが、著者が常に問いかけていることを書き綴ったのだろう。
<A> <楽>
10'10'27 バクマン。10 (原作)大場つぐみ (画)小畑健 <amazon>
 ジャンプ編集部に、「タント」を終わらせる代わり、半年以内に新妻エイジの描く2作品以上のものを描いてみせる。と啖呵を切るサイコーとシュージン。だが、それに代わるものなどなかなか見つけることが出来ず、担当の港浦と頭を抱える日が続いていた。そんな二人を見かねた港浦は、最も二人のことを知っている編集者の服部に相談に向かうが…
 ほとんど苦しいだけで終わってしまった9巻から、ついに新しい作品を生み出すに至るまでを描いた話。やっぱり二人の苦しみも描かれてはいるが、これまでの話の中で最も楽しく読めた。やっぱり何かを自分達で生み出す瞬間というのは、これ読んでいての醍醐味だろう。
10'10'26 ずっと、スタンド・バイ・ミー(下) フルメタル・パニック!21 (著)賀東招二 <amazon>
 既にアマルガムによって押さえられているメリダ島へ上陸を果たした宗介とアーバレスト、そしてトゥアハー・デ・ダナン。一方、全面核戦争を防ぐべくミンスクへと展開しているミスリルの残存部隊もやはり厳しい戦いを強いられていた。こんな状態の中、世界を根本から作り替えようとしているかなめだが…
 12年という年月の総決算が描かれる話なのだが、最終巻の本作は完全なるストレートストーリー。あまりにも直球過ぎてあっけなく終わってしまったが、総決算というのだから、これくらいで良いのかも知れない。著者には本当にお疲れ様。と言っておこう。
 ただ、生きていてはいけない人物までいたのはやり過ぎ。これだからライトノベルは馬鹿にされるんだ。
10'10'22 ハリー・ポッターと死の秘宝 下 ハリー・ポッター7
J.K.ローリング(検索) <amazon> <楽天>
 ヴォルデモートが作った6つの分霊箱。その内破壊されたのはたったの二つで一つはヴォルデモートの復活に使われた。残り3つの分霊箱を探し求めるハリー。途中何者かによる助けもあり、一つ一つ分霊箱を破壊していった。だがその過程でハリーの杖は折れてしまい、更に分霊箱の破壊を知ったヴォルデモートはハリーの母校ホグワーツにその魔手を伸ばす。
 いよいよ最終巻。これまでの鬱憤を晴らすかのようにアクション中心となった本作。最後のオチとして分霊箱が6つではなかったというのは、一巻から始まる壮大な伏線にもなってた。ただ、後半詰めすぎた感もあり、もうすこしバランス良く描いてくれてれば。とは思う。
10'10'20 のだめカンタービレ4 (著)二ノ宮知子 <amazon>
 シュトレーゼマンの半ばわがままで長野までコンサート旅行に行くことになってしまった千秋以下一行。だが、そこでのオーケストラのレベルの高 さにのだめ、峰は自信喪失状態。一方、またしても肝心なところで逃げたシュトレーゼマンの代役で、練習とは言え、指揮棒を振るうことになってしまった千 秋…。今巻ではのだめの幼少時代のエピソード「リカちゃん先生の楽しいバイエル」を巻末に収録する。
 むちゃくちゃなシュトレーゼ マンに付き合わされているうちに、いつの間にか指揮者として様になってきた千秋と、やっぱり相変わらずの面々の物語。なんか作者はのだめの方の物語をそろ そろ動かしたくなってきた感じ。そういえばこの物語はドラマのほうではなかったか、あるいはあっても見逃したかしたようだ。結構新鮮。
10'10'19 重力の井戸の底で 機動戦士ガンダムUC6 (著)福井晴敏 <amazon>
 軌道上から地球に落ち、燃え尽きようとしていたユニコーンを助けたのは、何とネオジオン軍のジンネマンだった。生きるために行動を共にするバナージは、いつしかその人柄に惹かれていく自分を見つける。一方オードリーを首尾良く地球へ連れてきたリディはそのままブライトのロンドベル隊へと組み入れられる。そして二人は導かれるように、ユニコーンシステムが次に示した地ダカールへと向かう。
 バナージとリディ二人の視点で描かれる「ガンダム」正伝の物語。立場によって正義は変化し、殺し合いをしていたもの達が次の瞬間手を結び、一緒に戦った戦友に銃を向ける。残酷な設定と、いくら離れていても常に遭遇してしまう主人公達。バランスはなかなかに面白い。
10'10'16 アステロイド・マイナーズ1
あさりよしとお (検索) <amazon> <楽天>
 21世紀末。人類は宇宙へと進出していたが、完全に地球と切り離された宇宙の暮らしは困難を極めていた。そんな中、宇宙で働く者たち、あるいは宇宙で生まれ育った者たちのドラマを描いた短編集。
 幸村誠の「プラネテス」を、よりリアルな生活で描いたような作品だが、こんなもんをさらっと描いてしまう著者の力量には改めて感服。話の一つ一つがきちんと科学的に裏打ちされているし、物語としてもきちんと成立している。まあ、ちょっとだけ著者の毒気は薄まっているが、ある程度真面目な作品なので、それは仕方ないところだろう。
<A> <楽>
10'10'14 狼と香辛料5 (著)支倉凍砂 <amazon>
 ホロの故郷近く。レノスの町を訪ねたロレンスとホロ。最初はホロの故郷の話を聞くためだったが、町の不穏な様子に違和感を感じたロレンスが聞き込みをしたところ、大きな商売の元が転がっていることが分かる。危険を冒してこの商機に乗るか、考えを巡らせるロレンス。
 本作の最大の見所はロレンスとホロの掛け合いだろう。最初純情そのものと言った感じで老練なホロに翻弄されっぱなしだったロレンスがいつの間にか対等に近い会話をしている。しかし、その成長こそが別れを早めることに。なかなか複雑だ。
10'10'13
のだめカンタービレ3(著)二ノ宮知子 <amazon>
 いつの間にやら弟子にされていたシュトレーゼマンの肝いりで作られた混成オーケストラ(通称Sオケ)の副指揮者にされてしまった千秋。やっぱり変人だらけのオーケストラメンバーの面倒まで看ることにされてしまった千秋の苦悩と充実の日々を描く。
やっぱり変わり者のシュトレーゼマンに振り回され、混成オケを指揮することになってしまった千秋。不幸は不幸だが、少なくとも自分がなりたいものに着実に 近づいているといった風情がなかなか楽しい。に、しても一巻の情報量がなんでこんなに多いんだ?楽しいけど読むのが疲れる。
10'10'12 おサケについてのまじめな話 (著)西原理恵子月乃光司 <amazon>
 アルコールに弱い日本人には全国民の2%近くも存在するというアルコール依存症。しかもそれは本人よりも近親者を不幸にしてしまう。そんなアルコール依存症の夫を持ってしまった著者と、実際に体験を通してその恐ろしさを知っている著者とが、アルコール依存症の病症、社会的な問題について語る。
 著者の夫はアル中で、それが元で離婚したと本人もマンガで描いていたのだが、そこに至るまでどれだけ苦労していたか。実際著者のマンガずーっと読んでいたけど、全く分からなかった。丁度この被害の真っ最中に「毎日かあさん」の連載…って、著者はもの凄いな。改めて敬服仕った。
10'10'08 新仮面ライダーSpirits3
村枝賢一 (検索) <amazon> <楽天>
 左腕を切り落とされ、ギギの腕輪をゼロ大帝に奪われたアマゾンライダー。ギギの腕輪を使いパワーアップしたゼロ大帝に立ち向かうゼクロスとスピリッツの面々だが、その時アマゾンのトモダチ、ビクトルが参戦する。

 アマゾン編が完結。前に登場したキャラや、現存の人間達を上手く使い物語を回収している。いい具合に話が終わってくれた。そして話はスーパー1編へと入っていく。残っている組織はショッカー、ドグマ、新ドグマ、そしてデルザーだけになったが、はてさて物語はどういう風に転んでいくやら。
10'10'06 オーメン (著)デヴィッド・セルツァー <amazon>
 イギリスの外交官ソーン夫妻の間に一人の男の子が誕生した。それが死産だったと聞かされたソーンは医師の薦めで養子を迎えることにした。ダミアンと名付けられたその子は、しかし巨大な陰謀の一部であった。何も知らず我が子を慈しむソーンだったが…
 脚本と同時に書き下ろされたという映画原作で、映画の雰囲気はよく出ている。ただあまりに映画そのものだから(当たり前だが)、映画観ればそれでお終いという話もある。上手いのは上手いと言えるんだが、小説なりの売りが足りない。
10'10'02 はじめの一歩93 (著)森川ジョージ <amazon>
 “天才児”ウォーリーの前になすべの無いように見えた一歩。だが、試合途中、突然ウォーリーが失速してしまう。ギリギリの中で戦い続ける一歩とウォーリーだが…
 ウォーリーと一歩の試合が終了。いつも通りの逆転劇で、落ち着くべきところに落ち着いた感じ。いつものパターンでも、かなり安心して読むことが出来た。後半は板垣を中心としたA級の試合となるが、これって結構長く続きそうな感じだな。一歩の次の試合まで一体何巻かかるかな?