読書日誌
2018’1〜3月

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18'03'30 鉄人28号 原作完全版 20
横山光輝 (検索) <amazon> <楽天>
 他の会社の口上を襲った怪ロボットがファイア二世の後継機ではないかとにらんだ所長と正太郎はビッグ・ファイア博士の身辺調査を行うが、博士はなかなか尻尾を出さないままだった。そんな時に何者かに襲われる正太郎。

 ビッグ・ファイア編完了。ファイア三世は鉄人以上に強力なロボットだったが、なまじ自己判断できたばかりに生まれたばかりの未熟さにより自滅してしまった。更にその後、日本への帰り道で又しても事件が起こるが、それは次巻。
 鉄人の強さはこれまで色々語られてきたが、体のいくつかのパーツが失われてもフルに動くことが出来るという事が挙げられている。これはこれで納得がいく。
<A> <楽>
18'03'29 浪費図鑑
劇団雌猫 (検索) <amazon> <楽天>
 つい浪費してしまう、あるいは浪費せずにはいられないほど依存してしまう女性達がいる。まさにその渦中にいる自覚のある女性達が集まり、その実体を語り合う。

 Eテレで放映していた「ねほりんぱほりん」のような話で、まさにその渦中にある自分自身達が語るという企画で、少々呆れるようなエピソードが多々。
 その呆れるような話を読みたいために読んでるのだから、それで良し。
 そう言えば丹羽庭がエッセイ漫画を描いてるけど、このネタってやっぱり「ライオン丸」だよな。
<A> <楽>
18'03'27 KEYMAN11
わらいなく (検索) <amazon> <楽天>
 フランクから悪魔バトラーの目的がこの世界と魔界との融合である事を知らされたアレックス。一度ネクロによって開かれた扉をもう一度開くためにKEYMANが必要だというが、この世界にはもう二人のKEYMANが存在していた…

 前に登場した、幼児のようなKEYMANのボビーが実は重要人物になってたという話。殺すにせよ保護するにせよ、いずれにせよバトラーに渡さないようにすることが目的となるのだが、話の都合上、助ける方向に向かう。
 これも前に出てきた獣人の飲み屋の面々が大活躍するというのも面白い。
<A> <楽>
18'03'26 ドクター・スリープ 下
スティーヴン・キング (検索) <amazon> <楽天>
 AA(Alcoholics Anonymous)に通い、ホスピス病棟の看護師としての職を得たダンは無事アルコールを遠ざけつつ日々充実した日々を送っていた。だが同じ町に強い“かがやき”を持つ少女アブラがいることには気づいており、そしてその強大な力は“かがやき”を栄養源とする吸血鬼の一族“真結族”に狙われることとなる。アブラを守るため、真結族と戦う事を決意するダンだが…

 “Shining”を持つもの同士、年齢を超えたバディものの作品と言った風情。物語単体としても充分に面白く、「シャイニング」続編としても納得のいく出来。これも映画化するらしいけど。
<A> <楽>
18'03'23 ドクター・スリープ 上
スティーヴン・キング (検索) <amazon> <楽天>
 オーバールック・ホテルの惨劇から生還したウィンディ・トランスとダンの母子。それから10数年後、ダンはPTSDから逃れるために酒浸りの生活を送り、アメリカ中を彷徨っていた。そんなダンがたまたまバスを降りたニューハンプシャー州の小さな町フレイジャー。そこでダンほどではないが、“かがやき”を持つ年配者と知り合いとなり、そこから新しい人間関係を構築していくことになった。そして実はこの町には、最強の“かがやき”を持つ女の子、アブラが生まれていた…

 「シャイニング」の出来事から30年後を描く話。あんな純粋なダニーがここまで落ちぶれたかと驚きの冒頭から、最低からの出発と天職にありついていく。ある種のビルドゥングスロマンなんだが、それだけでは終わらない。やはり“Shinig”が関わってくるホラーっぽい話になってきた。
<A> <楽>
18'03'21 こぐまのケーキ屋さん
カメントツ (検索) <amazon> <楽天>
 突然町にできたケーキ屋さん。その店長はなんとこぐまだった。ケーキのこと以外何も知らない店長が気になる青年が店に通っていると、いつの間にか店員になっていて…お互いのことをとても気に入ってるこぐまの店長と店員さんの緩やかな日常を描くコメディ作品。

 twitterで話題になっていて、気がつくとフォローして全部読んでいた。紙媒体で読みたくなったので買ってみたのだが、なかなか面白い。なんとなく傍らに置いてパラパラめくってほっこりするというのに向いてる。そう言うのってかんり貴重。
<A> <楽>
18'03'18 鉄人28号 原作完全版 19
横山光輝 (検索) <amazon> <楽天>
 ロボット展覧会が行われ、各国の技術者による数々のロボットが展示されていた。その中、最強のロボットと触れ込むビッグ・ファイア博士のファイア2世。博士はそこに集まる技術者に達を挑発し、ついにどのロボットが最強かを試すこととなる。会場にやってきていた正太郎は、その挑発には乗らなかったが…

 次々と最強のロボットが登場しているが、今回登場するのはファイア2世。何体も一緒に行動する鳥形のサポートロボットを込みにすると、確かに本当に最強かも知れない。そして更にパワーアップを図ったファイア3世も登場。かなり長いエピソードになってる。
 ビッグ・ファイア博士の目的はかなり世俗的で、ファイア2世の力を見せつけることで、自社製品を売りつけようというものが、なんかリアリティある。
<A> <楽>
18'03'17 「ガンダム」の家族論
富野由悠季(検索) <amazon> <楽天>
 著者が常々感じていた、日本における家族のあり方を、自らの作品を振り返りつつ、そこに込めた家族の形を通して語る独自の家族論。

 はっきり言ってしまうと、期待していたものとは全く違うものが出されてしまった訳だが、メインの家族論については保守論そのもの。目新しいところが一切ないので正直どうでも良いし、それを無理矢理自作の補強に使ってるのは醜悪そのもの。元々考えてもいなかったことを、後になって「こういう解釈も出来る」と自分で自分を納得させてる感じ。
 ただ、そこに見え隠れする著者のルサンチマンとかアニメ業界に対する苦言とかの毒が読んでいて面白い。色々恨みがあるんだろうねえ。著者に渦巻いている闇を楽しむための作品と言えようか。
<A> <楽>
18'03'16 バーナード嬢曰く2
施川 ユウキ(検索) <amazon> <楽天>
 高校の図書館に集う面々。自分を「バーナード嬢」と呼ばせる町田さわ子、そのさわ子のいい加減さに怒りつつも、妙に仲が良い神林しおり、さわ子に何かとツッコミをかます遠藤、図書委員の長谷川スミカ。この四人が読書を中心に過ごす緩やかな日常。

 まだキャラにこなれてなかった1巻と比べ、2巻はキャラ描写に深みが出てきた感じはある。単なる暴力キャラにしか見えなかったしおりが色々こじらせてて、それを指摘されて落ち込むとか、懐かれるとまんざらでもない表情を見せるとか、むしろ彼女が主人公っぽくなってきた。
 1巻ではふりばかりで全く本を読んでなかったさわ子も結構な数の本を読んでいるようになってる。
<A> <楽>
18'03'14 土佐日記
紀貫之 (検索) <amazon> <楽天>
 「男もすなる日記といふものを」から始まる著者の旅日記。

 形式は確かに旅日記だが、内容的には著者が和歌を詠んで、どのようなシチュエーションでその和歌が詠まれたのかを説明するといった類いのものとなる。和歌は単独で読まれるべきではなく、それを取り巻く環境の情報を共有するという意味では大切な作品になる。
 実際本体は短いので、さらっと読めてしまうのも良い。
<A> <楽>
18'03'13 はじめの一歩119
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 力の差は歴然で、フィリピン王者ゲバラを追いつめる一歩。だが肝心なところで攻めきれず、スリップダウンを繰り返してしまう。一体一歩の体に何が起こっているのか…

 久々の一歩の試合で、パターンとしては新型デンプシーが炸裂して一気に勝利するかと思ったのだが、肝心の一歩が何度も倒れるという意外な展開。意外ではあるが、ストレスがたまる上に、この後の悲惨な展開が読め始めてるので、かなりきつい。
 落として上げるのがスポーツ漫画の王道とは言え、なんだか落としっぱなしのような感じでもある。
<A> <楽>
18'03'09 身毒丸
折口信夫(検索) <amazon> <楽天>
 旅芸人の子として生まれた身毒丸。その美しさは女のみならず男をも魅了してしまう。だが当の身毒丸は自分の周囲の人たちがおかしくなってしまうのか分からずに苦しむ。そんな彼の安住の地は?

 なんだかよく分からん内容の作品。多分長く生きられない運命の子が、この世界で自分の進むべき道を見つけるビルドゥングスロマンを目指したのかと思うのだが、中途半端に終わってしまった感がある。
 このタイトルで寺山修司の舞台劇をビデオで観たことがあったけど、あれはあれで全く訳分からなかった。
<A> <楽>
18'03'08 鉄人28号 原作完全版 18
横山光輝 (検索) <amazon> <楽天>
 十字結社のロボットモンスターとの戦いで身動きが取れなくなった鉄人。十字結社はその間に国外脱出計画を進める。

 少々長引いた十字結社編の完結編。強かったモンスターも空中戦が苦手という弱点があり、勝負は割とあっけなく付いてしまった。しかも十字結社も本国の政変によって帰れなくなってしまうと言うのも情けないオチだった。
 中編となるブラック博士編は鉄人がほとんど出てこない異色回。息子の命を救うために何でもするブラック博士の姿は、オチも含めてひたすら哀しい話でもある。
<A> <楽>
18'03'06 空の中
有川浩 (検索) <amazon> <楽天>
 四国上空2万メートルで立て続けに二つの航空機事故が起きた。どちらも何も無いはずの空間にぶつかり、爆発炎上するという珍事だった。死亡した自衛隊パイロットの斎木には高知に瞬という息子がおり、瞬はこれによって天涯孤独となってしまう。だがそんな瞬は海岸で不思議な生物を拾い…

 これまで読んだ著者の作品の中では最もSF寄りの作品。著者らしさもありながら、文体の硬さも気になったが、なるほどこれがデビュー2作目の作品だったのか。ラノベから入っているので、SFを作ろうとした結果、かなり力の入ったものになってしまったようだ。
 文体に力が入りすぎて、ちょっと読みにくい部分もあるものの、ファースト・コンタクトに伴う死というものを下手に取り繕わないので、ファースト・コンタクト作品としては質は高い。
 ラノベとはもはや言えない作品だが、だからこそその後で幅を持ったものが書けたのかも知れない。
<A> <楽>
18'03'03 仮面ライダークウガ6
井上敏樹 (検索) <amazon> <楽天>
横島一 (検索) <amazon> <楽天>
 クウガへの変身を桜子と妹のみのりに目撃されてしまい、それから変身出来なくなってしまった五代。だがグロンギによるゲゲルは続いており、次々と犠牲者が出ていた。一方、弟の津上翔一の元へと帰ってきた雪菜だが…

 妹に拒絶されイップス状態になってしまった五代雄介が立ち直るまでの話で、言うなればダレ場回。しかし正直な話、30分のテレビならともかく、漫画版にこのエピソードは単にペースが落ちただけなので不必要としか思えない。
 一方アギト編はだんだん謎が明らかになっていく。何故アギトが生まれる必要性があったかが見えてきた。こっちの方がむしろ話の中心っぽいぞ。
<A> <楽>
18'03'02 双生児
江戸川乱歩 (検索) <amazon> <楽天>
 死刑を待つばかりの一人の死刑囚が語った恐るべき犯罪の告白。実は自分の本当の名前は別で、最初の殺人は、双子の兄を殺した事という。

 双子を使ったミステリーは古典的な素材。本作は映画『双生児-GEMINI-』(1999)の原作となった話だが、映画版とは全く異なりもっと単純な展開となっており、むしろ「パノラマ島奇譚」のプロトタイプのような話になってるのが特徴。
 短い分、必要最小限の展開となるため、その分ソリッドな話ではある。
<A> <楽>
18'02'28 血界戦線9
内藤泰弘 (検索) <amazon> <楽天>
 「エラ呼吸ブルース」ある日ツェッドは何者かにより呼吸装置を奪われてしまう。半魚人であるツェッドにとって、それは地上での活動を封じられることで、なんとか一緒にパーティをしたいレオは装置を取り戻そうとライブラの面々に提案する。
 「BRATATAT MOM」ライブラのスナイパーKKは作戦の最中、なんとか息子の小学校の授業参観に出ようとする。そのために編み出した方法とは、リモコンを使って銃を操作しようというものだが…
 ツェッドとKKを中心にした二編を収録。物語自体は結構良いし、相変わらず演出は独特で上手い。
 ただ、根本的な著者の悪さがモロに出てもいる。この人、設定部分での穴を放置しっぱなしな上、それを埋め合わせるために偶然を多用する。「トライガン」の時からずっとそう。それが著者の持ち味だとも言えるけど、「なんでこうなる?」と思えてしまうところも多々。
<A> <楽>
18'02'27 鉄人28号 原作完全版 17
横山光輝 (検索) <amazon> <楽天>
 日本に来た十字結社何を狙っているのか分からないまま、そのアジトを探る警察と正太郎。それを知った十字結社は鉄人を操る正太郎をターゲットにするが…

 十字結社編の続きだが、その戦いは長引いている。なんだかいつも正太郎の家が狙われてる気がするが、あとは基本的にぶつかり合いのみ。寸胴でいかにもやられ役っぽいモンスターがなかなかの芸達者で存分に強さを見せつけているのが良い。
<A> <楽>
18'02'25 十八時の音楽浴
海野十三 (検索) <amazon> <楽天>
 独裁者ミルキの支配する国では、一日一回十八時にミルキへの忠誠心を向上させる音楽を聴くことが義務づけられていた。その装置の開発者コハク博士はある日王宮からの呼び出しを受けるのだが…
 ディストピアを描いたSF作品で、「メトロポリス」を更に一歩進めたような物語になってる。
 非常に奔放な想像力が特徴で、ディストピアの中でも精神を守るための戦いもあれば、科学の力によって簡単に性転換ができてしまうために結婚観が崩れているとかいう描写もあって、読んでるだけで感心する事しきり。
 しかもこれ書かれたのが1937年という。
<A> <楽>
18'02'24 双亡亭壊すべし 3
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 ついに双亡亭への突入が開始された。だが集められた霊能力者達は次々に絵に取り込まれ、全く別人となって残された者に襲いかかってくる。一度絵に取り込まれ、トラウマに直面させられた凧葉務は自力で正気のまま戻ってくることができた。その経験を活かして他の仲間たちを救おうとするのだが…

 何の役にも立たない主人公という画期的な話だったのだが、ちゃんとここで強さを見せている。双亡亭での戦いって、現時点ではメンタルの強さが一番の武器だというのが面白い。
 著者のタッチで過去のトラウマを描くと、そのおどろおどろしさが見事にはまる。やっぱりこの人、怪奇ものが一番だな。
<A> <楽>
18'02'22 母性のディストピア
宇野常寛(検索) <amazon> <楽天>
 現在の日本で語るべきものはアニメを始めとするメディア作品にしかないと断言する著者が語る、日本の社会の変遷をアニメ監督の作風の変化と共に語る作品。主に三人の監督として宮崎駿、富野由悠季、押井守の作品を読み込み、更に数人のアニメ監督を題材に「母性」というキーワードと共に語り尽くしつつ、現代、特に311以降の日本社会を読み込むための指標を作ろうと試みる作品。

 そもそも次の夏の同人誌のネタになるかと思って読み始めた作品なのだが、殊の外面白く、余暇の大部分を使って読み込んでしまった。
 著者の作品はこれで3冊目となるが、これが一番良く理解出来たのは、最も身近な話題だからだろうか?
 ただ、読んでいる内に頭の中に色々ネタが出てきており、夏の作品として三つばかり思いついてしまったのだが、どれを使おうか?
<A> <楽>
18'02'21 鉄人28号 原作完全版 16
横山光輝 (検索) <amazon> <楽天>
 鉄人のコントローラーを握ったS国のスパイはなんとかして鉄人を本国に持って帰ろうと画策する。対する正太郎は妨害電波を使い、それを阻止しようとする。

 再びのS国編は割とあっさり終わってしまった。初期の話をそのまま持ってきた感じがあって、もっと早めにこの物語をやってればはまってたけど、既にロボット同士の格闘がメインとなった今では古くさく感じる。
 そしてその後の十字結社編は巨大ロボットのモンスター(不乱拳博士の人造人間とは別)を繰り出しての死闘となる。とんがり頭に笑った口の意匠をもったモンスターはこれまで出てきたロボットの中では最も巨大な上、地下から攻撃するため、現時点では鉄人を勝たせる打開策がない。これからの展開が楽しみな話だ。
<A> <楽>
18'02'20 新本格 魔法少女りすか2
西尾維新(検索) <amazon> <楽天>
 “ぼく”供犠創貴と水倉りすかのふたりでようやく掴んだりすかの父水倉神檎の手がかり。それを検証すべく無人の病院へと潜入する二人だが、そこで待っているはずの魔法使いは既に殺されており、その現場にいたのは最悪の魔法使いツナギだった。
 「敵の敵は天敵!」「魔法少女は目で殺す!」「出征!」の3編を収録する。

 2巻にして主人公はりすかではない他の魔法使いとの関わりの方が深くなってしまうという話。一応目的は同じのため、共闘という形にはなるが、なんとなく話はあらぬ方向に飛んでいきそうな予感がある。
<A> <楽>
18'02'17 ファイブスター物語14
永野護 (検索) <amazon> <楽天>
 ハスハの辺境ベラ国に配備されたツラック隊。度重なるバハットマを初めとする枢軸国からの攻撃に対し、ナルミ支隊長を中心に、ギリギリで持ちこたえていた。壊滅確実と言われ、風前の灯火だったこの部隊に、レディオス・ソープというGTMスライダーが現れたことから、ここでの戦いは大きく様変わりしていく…

 二年ぶりの新刊となるはずなのだが「こんなに早く出るとは」と思ってる自分が我ながら飼い慣らされてるというか…
 前巻から大きく設定を変えた作品だが、本巻は圧倒の戦闘シーンの連続で、キャラの配置の仕方も良く、一気に読み込んでしまった(初見で2時間以上もかかったけど)。更に情報量が半端ないため、何度か読みなおす羽目に。それが苦痛でないところがこの作品の凄いところだ。
 久しぶりにソープ(天照)が一巻丸ごと出ずっぱりなのだが、狂言回しのような立ち位置で、基本的には群像劇。ナルミ支隊長と突然現れたツバンツヒという騎士が最も大きな紙面を使っているが、それ以外に晴れてビルドのマスターとなったハーレー、最強の騎士を身籠もっているミース、セイレイ・コーラス、超帝国騎士の転生体の面々、更に過去に行われたカイエン対リンスの戦いなど、読み応え充分。
 ちょっと気になったのは、新展開となってからFA(ファティマ)の感情がえらく豊かになってないか?という点がある。これも設定の変化による改変だろうか?
<A> <楽>
18'02'15 響け!ユーフォニアム3 北宇治高校吹奏楽部、最大の危機
武田綾乃(検索) <amazon> <楽天>
 全国大会に向けて日々練習に励む北宇治高校吹奏楽部。そんなある日、黄前久美子は職員室に怒鳴り込んでくる女性の姿を目にした。それは吹奏楽部の副部長で久美子と同じユーフォニアム奏者の田中あすかの母で、受験勉強の妨げになる吹奏楽を辞めさせようとしていたのだ。それから実際にあすかは奏楽部に姿を現さなくなってしまうのだが…

 主人公黄前久美子の一年生としての一区切りとなった話。全国大会の結果がクライマックスとなる訳だが、そこに至る過程がなかなかに熱い。普通の高校生活にありがちながら、一生懸命打ち込んでいるからこそ起こる危機といった感じ。
 それより1巻でえらく文体が硬いと思ってたけど、3巻になって文章がとてもこなれていて、すごく読みやすくなってる。著者の成長著しい。
<A> <楽>
18'02'14 KEYMAN10
わらいなく (検索) <amazon> <楽天>
 ロックヴィル市を混乱の渦に巻き込んだまま行方不明だったフランクが戻ってきた。素直に警察に捕らえられ、そこで自らと、その母ネクロ、娘ミザリーに関わる物語を語り出す。

 ほぼフランクの思い出語りで終始した話。
 前巻ラストで暗示されていたが、何故獣人が世界に現れるようになったかは、魔術により禁断の扉を開いてしまったネクロが人の遺伝子を変えてしまったと言うこと。そしてネクロの息子として生まれたフランクは生まれながらに宿業を負う事となり、最愛の家族も失うことになったということ。これまでフランクが行ってきたのは魂を失って入れ物だけになってしまったミザリーの精神を取り戻すことだったという。
 結果として数千人の命が消え、都市一つがほぼ機能停止に陥った訳だから、とんでもない親子喧嘩ではある。
<A> <楽>
18'02'11 獅子の門7 鬼神編
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 武林館主催の総合格闘技トーナメントが始まった。試合は波乱含みで継続不能者が続発し、リザーブ枠だった鳴海俊男と鹿久間源にも出番が回ってくる。その勝負の行方は。そして因縁の対決となる羽柴彦六と久我重明の野試合がついに始まる。

 いきなりの最終巻と言った風情。続ける気があればいくらでも続けられる作品のため、ちょっとあっけないというか残念というか。もうちょっと読んでいたかった気分。
 本作は要するに羽柴対久我のマッチが成立した時点でどこで終わっても良い作品なので、著者が切り上げどきと思った時点で終われて良かったのかも知れない。
 それで二人の決着だが、読んだ時点では「え?これで終わり?」と思ったが、読んでほんの少し時間が経つと、この決着にとても納得がいった。
 これを通して著者が描きたかったのは、「戦う」ということは武道家にとって一種の憑きもののようなもので、勝ち続けると言う事は負けた人間の宿業を背負っていくことになる。だから、満足のいく形でそれをどう断ち切るかということかと思われる。著者は元々この決着に持って行きたいがために本作を描いたのかもしれない。
<A> <楽>
18'02'10 亜人ちゃんは語りたい3
ペトス (検索) <amazon> <楽天>
 サキュバスという体質を持つためこれまで恋愛から自らを遠ざけ続けていた佐藤先生。だが高橋先生への気持ちが抑えられなくなってきていた。そんなオトナの事情も分からないまま、いつも高橋にまとわりつく高校生亜人の三少女達。相変わらず賑やかな日常を描く。

 2巻時点で町と佐藤先生の二人が高橋に恋愛感情を持っている事が分かったが、それが少しだけ押し進められたようなパターン。別段二人がライバル関係というわけでもないので、緩やかな日常が流れるだけの話ではあるのだが、その何気ない日常がとても心地よく読める。
 ちょっと風変わりな設定とキャラの日常風景を読むのが結構好き。
<A> <楽>
18'02'07 ムーミン谷の十一月 ムーミン童話全集8
トーベ・ヤンソン(検索) <amazon> <楽天>
 ムーミン達がルスをしている丁度その時、ムーミン谷を目指す何組かの者たちがいた。ミムラ、スナフキン、ホムサ、ヘムレン、スクレッタ。理由はそれぞれ異なるが、ムーミン一家と会うために谷に来たのだが、結局ムーミン達には会えずじまい。さしあたってムーミン一家が帰るまで待つことにした面々は奇妙な共同生活を始めるのだが…

 ちゃんと書いていないが、前作で孤島に行ってしまったムーミン一家のいないムーミン谷を舞台にした話で、ムーミン一家が一切登場しないという不思議な話になった。
 ここではそれぞれ問題を抱え、その解決のためにムーミン一家を頼ってきた面々が描かれていくのだが、気がつくと、全員自分で問題を解決してしまっている。その辺で教訓話のように捕らえることも出来るだろう。
<A> <楽>
18'02'06 鉄人28号 原作完全版 15
横山光輝 (検索) <amazon> <楽天>
 日本を襲った巨大アリの群れは某国の核実験によって引き起こされたことが分かり、本国での駆除が出来、日本に上陸したものも鉄人の活躍によって事なきを得た。しかし、その背後で再びS国が鉄人を狙い暗躍を開始していた。鉄人そっくりのロボットを作り、それをすり替えることで混乱を引き起こそうとするのだが…

 結果として巨大アリの話は無理矢理話を畳んでしまった感じ。『放射能X』みたいで面白かったんだが、著者の頭の中でストーリーが広がらなかったんだろうか?
 そして続くニセ鉄人の話で、かつてニコポンスキーを操っていたS国が再登場。今度は鉄人の偽物を作り、本物を強奪しようという話だが、ちょっと設定的に無理がある気がする。いずれにせよ、これまでいくつかの鉄人を超えるロボットは出てきていたが、相変わらず鉄人は強いと言う事を示したのだろう。
<A> <楽>
18'02'02 旅猫リポート
有川浩 (検索) <amazon> <楽天>
 誇り高い野良猫の“僕”は交通事故に遭ってしまった。病院に連れて行ってくれ、介抱までしてくれたサトルという男の家に不承不承住んでやることにしたのだが、サトルは“僕”に勝手にナナという名前を付け、しかも“僕”を人にやってしまおうとしていることが分かった。古い知り合いを訪ね、日本中を旅するサトルに嫌々ながらつきあってやる“僕”だが…

 キャラが次々にザッピングしていくために読みにくいのと、難病ものと動物という泣かす気満々のコンビネーションが大変嫌味な作品。
 で、著者の手の内で転がされる自分が確かにいるのも確かだったりする。どんなベタでもやっぱり動物ものは涙腺刺激される。
<A> <楽>
18'01'31 仮面ライダークウガ5
井上敏樹 (検索) <amazon> <楽天>
横島一 (検索) <amazon> <楽天>
 雄介の妹みのりが上京することとなり、東京を案内することになったが、ひょんな事から二人は一条とその妹の香里奈と出会う。香里奈の心が壊れてしまった原因は、津上雪菜という女性によるものと聞かされる雄介。その頃、その津上雪菜は刑務所から脱走し、町を彷徨っていた。彼女の向かう先は…

 グロンギ側がズ族からメ族へと移ったところは同じだが、それ以外はテレビとは大分異なるストーリー展開を見せ始めている。
 まず雄介の妹みのりが現れたが、随分短気な上に激しい性格のようで、テレビ版とは造形が全く異なる。ただ何より異なるのが初めて一条の妹が初登場。そしてその妹香里奈の精神が壊れてしまった理由が前巻でアギトになった女性であったということ。そしてその弟が登場してるが、彼は重要な役割を担うことになりそうだ。
 明らかにテレビとは異なる物語展開は良いのだが、人間同士のつながりが全部偶然で出会うというのはちょっといい加減すぎないか?伏線そのものを軽視しすぎ。
<A> <楽>
18'01'27 新本格 魔法少女りすか
西尾維新(検索) <amazon> <楽天>
 魔法が存在する日本。魔法の国長崎県から人間の国佐賀県にやってきた魔法使いの少女水倉りすか。国を裏切って逃亡中の父の神檎を追ってきたが、手がかりが掴めず、現在普通の小学校に通っている。そんなりすかの事情を知った“ぼく”供犠創貴は、自分自身の目的を果たすことを条件にりすかに協力を申し出る。りすかを“使い”次々にこの地に紛れ込んだ魔法使いを倒していくふたり。

 連作短編の形で展開する異能力バトルもの。バトルの中に推理小説的なものを絡め、主人公の機転で事件を解決するという、著者得意の形式となっている。ただ、主人公の性格が無茶苦茶で、ほぼサイコパス。本作を楽しむためにはそこを受け入れられるかどうかというところだろうか。
<A> <楽>
18'01'25 双亡亭壊すべし 2
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 絶対に双亡亭を破壊すると言う総理の肝いりで集められた妖怪退治の専門家達。その中で一人弟のために戦うと言う柘植紅。そんな彼女を見捨てることが出来ない凧葉務は、過去双亡亭に関わっていたという事実を立て、強引に行動を共にする。一方紅の弟立木緑朗は謎の少年セイイチに振り回され続けていた。

 1巻読んでから結構間が空いてしまったが、訳の分からなかった1巻と比べぐんと分かりやすくなってきたし、展開も燃える。
 霊媒師やら科学者やらが大挙して出てきたが、それぞれ個性豊かなのも良し。
<A> <楽>
18'01'24 獅子の門7 人狼編
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 武林館主催の総合格闘技トーナメントを控え、それぞれの選手は総合のルールに合わせるべく調整を兼ねた特訓を開始していた。そんな中、リザーブ枠にエントリーされた一人の男鹿久間源は、確実に自分がトーナメントに出られるようにと、トーナメント選手の元に行っては勝負を挑んでいた。

 ほぼ全編にわたり突然現れた鹿久間という男が出ずっぱりで、ほとんどこの人物のために一巻使ったようなもの。そのため肝心な羽柴と久我の決戦は脇に追いやられてしまった感がある。
<A> <楽>
18'01'22 鉄人28号 原作完全版 14
横山光輝 (検索) <amazon> <楽天>
 ドラグノフ博士を殺害し、ロボットのギルバートを奪ったのは、過去ギルバート博士に人体実験にされた兄弟と言う事が分かった。怪我をした弟のために呼ばれた医師の連絡でそのアジトを知った正太郎だが…

 ロビー編に続くギルバート編が終わる。これまでのように事件が解決しないまま新たな事件が勃発するような形ではなく、すっきりと終わらせている。ギルバートの強さは明らかに鉄人よりも上で、助っ人に呼んだブラックオックスとビームを撃ち合って共倒れになった。ブラックオックスもどうやらここまでらしい。
 そして新章として巨大アリの襲来が始まったところ。その目的とかどこからきたとかはまだ全く分かってない。
<A> <楽>
18'01'18 小説 仮面ライダーディケイド
鐘弘亜樹(検索) <amazon> <楽天>
 自分のいる世界で疎外感を感じ続けてきた門矢司は、ある写真館を通って他の世界に行く能力を手に入れた。しかもその世界では最強である仮面ライダーディケイドに変身出来ることから、その快感に溺れるためだけに他の世界に行っては、その世界にいる仮面ライダーと協力していった。そんな司の周囲にはいつの間にか他の世界を通ってやってきた人たちが増えていく。

 世界観が広い割にもの凄く単純で小さな物語になってしまった印象。ただ、訳の分からない物語になった本編と比べると相当にすっきりして分かりやすくなってる。むしろ本編がこれくらい単純だとすっきりしただろうにと今更ながら思わされるところ。
 ところで著者の名前はテレビシリーズに関わってないのだが、井上敏樹の娘だという噂もあるそうな。仮にそうだとしたら、三代にわたって「仮面ライダー」のホンを書いたことになるな。
<A> <楽>
18'01'16 アオイホノオ17
島本和彦 (検索) <amazon> <楽天>
 月刊少年サンデーでの連載が決まったホノオは原作付きの作画の勉強をするために、先輩漫画家の新谷かおるのアトリエを訪ねる。そこで与えられたアドバイスは…

 前々巻から何故か新谷かおるが出てきた理由はここで明らかになった。なるほど島本和彦ってアシスタントを経験せずに漫画家になってしまった人なんだな。そのためこういうアドバイスをくれた人を登場させ、思いっきり悪口言いまくるというやり方を使ってる…絶対友達なくすタイプだ。
 一応原作付きの漫画の苦労話にも関わってくるのだが、なんせそれを聞いたのが新谷かおる。「俺とブーちゃんの仲だから」で原作無視を手柄のように言ってるのが何とも。ふーん、「ファントム無頼」ってそういう描き方してたんだ。ちなみにブーちゃんとはこの人
 あと、出渕裕がデザインしたブチメカとは、「イズブチのメカ」だけでなく、「毎回ブチ壊されるメカ」の意味もあるのだと初めて知った。
<A> <楽>
18'01'13 ムーミンパパ海へいく ムーミン童話全集7
トーベ・ヤンソン(検索) <amazon> <楽天>
 ムーミン谷で静かに暮らしていたムーミン一家だったが、冒険心を我慢できなくなったムーミンパパが一家を挙げて海の果てにある孤島に移り住もうと言い出す。それに巻き込まれた一家は、本当に船で孤島に住むことになってしまう。しかしその島はとても変な島だった。

 孤島での一家の冒険が描かれるが、なんせ孤島だけに他のキャラとの交流がほとんどなく、ちょっと間延び感のある話になってしまった。結局は最後のオチのためだけに長いページ数を使っただけのような気もする。でもそれも又この作品の魅力になるのかも。
 ムーミンパパって頼り甲斐のある立派な大人というイメージがあったけど、実情は我が儘で人を巻き込んで悪びれないタイプの大人だった。結構よくいるタイプで、ぐっと身近に感じさせる。
<A> <楽>
18'01'12 鉄人28号 原作完全版 13
横山光輝 (検索) <amazon> <楽天>
 ロビーの本拠地を突き止めた正太郎。だがそこにいたのはロビーではなく、電子頭脳欲しさにロビーに協力するドラグノフ博士だった。ドラグノフ博士が作り上げたロボットのギルバートの強さに苦戦する鉄人だが…

 随分引っ張った割にロビーがあまりにあっけなく倒されてしまった…というか、鉄人暴れ回ったら巻き沿いで破壊されるとか、あまりに情けない倒され方。しかも黒幕?と思われたドラグノフ博士までいつの間にか殺されてるし、話が二転三転するので、全く飽きない。
 新しく登場したロボットのギルバートは明らかに鉄人よりも強く、ブラックオックスと比べても空を飛べる分更に強い。だんだんロボットの強さがインフレを起こしてきたな。
<A> <楽>
18'01'10 アンマーとぼくら
有川浩 (検索) <amazon> <楽天>
 昔亡くなったカメラマンの父の再婚相手だった「おかあさん」のいる沖縄に親孝行のために帰ってきた“ぼく”。三日間「おかあさん」に付き合い、過去父と共に巡った沖縄の名所を訪れるのだが、行く先々で“ぼく”は過去生きていた幼い自分自身と父と出会う…

 幽明境を異にしていく道行きを、思い出と共に辿るという物語。割と早い段階でそれは分かってしまい、「まーた泣かそうとしてる」とか思えてしまうのだが、力業でちゃんと見せるところが著者らしいところ。
<A> <楽>
18'01'07 シドニアの騎士9
弐瓶勉 (検索) <amazon> <楽天>
 調査に向かい、奇居子のシュガフ船に不時着してしまったイザナ。それを知って突然飛び出したハイブリッド種のつむぎ。二人を放っておけないと長道も最新鋭の衛人を駆り、救出に向かう長道だが…

 最新鋭機体を得たことで無双がますます進む長道の姿を描く話になってしまった。再び紅天蛾との戦闘となって、又しても星白クローンを捕獲…というか、長手の方が捕獲されてしまったような形でシドニアに戻ってくることと、相変わらず分かりづらいコメディでイザナの女体化を描くのが見所と言うところだろうか?やっぱり面白い。
<A> <楽>
18'01'05 聖林聖書(ハリウッドバイブル)
新村千穂 (検索) <amazon> <楽天>
 2000年代に入り、著者がインタビューした映画人とのインタビュー記事を中心に、ビジネスの裏側と、本当に作りたかったものは何かを考察する作品。

 基本は俳優や監督のインタビュー記事なのだが、結構本音も出ているように見える。
 ただ、ここから伝わってくるのは、インタビュワーの著者がいかに映画人達の懐に飛び込んでいくかということだった。
 そんなことで、基本的に自慢話にしかなってないという側面もあり。
<A> <楽>
18'01'03 鉄人28号 原作完全版 12
横山光輝 (検索) <amazon> <楽天>
 ロビーの送り込むロボット軍団に守勢一方の正太郎。なんとか鉄人とブラックオックスを駆使して攻撃に耐えるが、そんな正太郎達の前に謎の科学者が現れた。

 ロビー編の続きとなるが、前巻ラストでロビーに奪われないために鉄人のコントロール装置を破壊していたため、実質的な戦いの大部分はブラックオックスが行っている。既にタイトルが鉄人ではなくなってるような感じだ。
 そして現れる新しい博士ドラグネット博士。ロビー製作者の牧村博士とは異なり、人工頭脳の研究のためには他人の犠牲は全く厭わないと言うマッドサイエンティストそのもの。こういうキャラって大好き。
<A> <楽>