読書日誌
2020’4〜6月

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20'06'30 夏目友人帳16
緑川ゆき (検索) <amazon> <楽天>
 友人のタキが禁呪である魔方陣を書いて、大きな妖怪を見てしまった。家に何か異変が起きていることを相談された夏目はタキの家に行く話と、やはり友人の田村が田舎の旅館を手伝うことになり、人手としてかり出された夏目はじめの友人達が出会うちょっとした怪異。そして突然妖怪によって拉致されてしまった夏目の顛末を描くおまけ的な話の三本を収録した作品。

 今回の話は三本とも妖怪とのふれあいのような話。人間に危害を加えることもなく、ただ人間を見守ったり、人間に興味を持った妖怪がちょっかいを出したりと言った具合。これこそが本作の最も特徴ある話とも言える。
<A> <楽>
20'06'28 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった1
山口悟 (検索) <amazon> <楽天>
 乙女ゲーム大好きの17歳のオタク少女だった“私”は交通事故に遭ってしまい、気がついたらプレイ中の乙女ゲーム“Fortune Lover”の世界に入り込んでいた。しかも転生先は主人公ではなく、主人公の恋路を邪魔する公爵令嬢のカタリナ・クラエスだった。あらかじめプレイしたゲームでは、その末路は良くて国外追放、悪ければ殺されるラストしか無かった。それに気づいた“私”はその悲惨なラストを回避するために知識を総動員して破滅フラグを回避しようとする。だが、その努力は端から見ると斜め上の方法ばかりだった。

 丁度放映していたアニメが面白かったので、その流れで読んでみたが、読んでいてとても心地が良い。お手軽な心地よさを求めるにはぴったりの作品といえよう。継続決定。
<A> <楽>
20'06'24 新九郎、奔る1
ゆうきまさみ (検索) <amazon> <楽天>
 室町末期。幕府の方を司る伊勢家の次男として生まれた千代丸は宇治の乳母の家から京の伊勢家へと引き取られてきた。父盛定をはじめとする家の者たちから薫陶を受け、兄貞興の助け手として一家をもり立てようと心に決める。だがそんな折、足利将軍家の跡目争いに巻き込まれた伊勢家はあわやお取り潰しを受けかけてしまう。

 これまで学習漫画以外で取り上げられることのなかった応仁の乱を真っ正面からエンターテインメントの漫画にしようとした著者には素直に感心する。内容的には相当読み難い上にややこしい人間関係はネット頼りという問題もあるものの、ちゃんとコメディ的な部分もあって面白いものになってる。本を読む並に時間がかかったけど。
 登場人物に蜷川新右衛門という人物が出ていて、「確か一休さんの新右衛門さん?」と思ったら、この家は代々同じ名前を名乗る家系だそうで、新右衛門さんの実子なのだとか。
<A> <楽>
20'06'21 銭形平次捕物控12 殺され半蔵
野村胡堂 (検索) <amazon> <楽天>
 上司に当たる与力の笹野三郎の頼みで四谷の旗本小永井家の跡目騒動を調べることになった銭形平次。本来の跡目である一人娘の浪江には実は半蔵という兄がいることを知り、半蔵の行方を捜してみたところ、完全なやくざものになってしまっていた。家のことなど知らぬと嘯く半蔵に、違和感を感じる平次。

 立場上手を出してはいけないところに敢えて手を出す平次。搦め手を使っての事件解決となるが、こういうのも作品の中にはあるんだな。
<A> <楽>
20'06'20 天地無用!GXP17
梶島正樹 (検索) <amazon> <楽天>
 自分自身の内に目覚めた魔素をコントロールしようとする西南。生体改造時に鷲羽から体に埋め込まれた賢者の石が西南をサポートするのだが、賢者の石と魔素が化学変化を起こしてしまい、西南は宇宙開闢以来誰も到達できなかった魔素の源となる意識体とアクセスしてしまう。そのお陰で魔法のポテンシャルが上限を超え続けて上がり続けてしまうようになってしまう。
 一方、半軟禁状態ながら機甲騎には幼生固定された樹雷の皇家の樹が使われていることを掴んだ霧子らは、その真実を探るべく動き始める。

 主に西南を中心に展開していく話。魔法が使えるようになっただけでなく、それが超絶レベルになってしまうと言うのはこれまでの通り。力のインフレが止まらなすぎで、ちょっとやり過ぎっぽい気もする。
<A> <楽>
20'06'16 サイボーグ009 3
石ノ森章太郎 (検索) <amazon> <楽天>
 平和が続き、しばしの休暇を楽しんでいたジョーとフランソワだが、ジョーは海の底から不思議な乗り物のようなものを発見する。中に入っていたのは日本人男性だったが、その男を助けた後で何者かの襲撃を受ける。それが人類のものとは思えない進んだ科学力と見たギルモア博士は9人のサイボーグ全員の集結を指令する。

 長く続いたシリーズである海底ピラミッド編の前編。海底から宇宙へと話がどんどん展開していくスケールがとても大きな話だが、004が個性を出していて、009と意見の対立などもあり。
<A> <楽>
20'06'13 地衣騒動
ジョン・ウィンダム (検索) <amazon> <楽天>
 民間の地学研究所に入社した女性研究者のダイアナ・ブラックリー。所長のフランシス・サクソバーは彼女にさして注意を払っていなかったが、研究室でフランシスが見つけた特殊な地衣をダイアナが分析すると、それには特別な力があることが分かった。その研究データを持ったままダイアナは、20年後に再びフランシスの元を訪れる。

 もし人間の寿命を延ばせる薬があったら、社会はどのような反応を示すかというワンアイディアを膨らませた作品。作品自体は単純な構造だが、科学よりむしろ社会の反応にリアリティがあって実に面白い。ラストのどんでん返しもSFマインドあって、どっしりした読み応えある。
<A> <楽>
20'06'10 イケメン彼女とヒロインな俺!?
斎創 (検索) <amazon> <楽天>
 容姿に恵まれ、子どもの頃からちやほやされることに慣れていた一ノ瀬春馬は、高校に入って、初めて自分よりもイケメンな人物、しかも女性最上由希に出会ってしまう。必死に自分の方がイケメンだとアピールするものの、彼女の前では何故かギクシャクしてしまい、逆に由希に助けられっぱなしになってしまう。そんなことを繰り返していく内に、周囲からはイケメン彼女とツンデレ彼氏として温かい目で見られるようになってしまう。そんな二人の日常生活。

 これもTwitterに上げられてた漫画から注目した著者の作品。まるで少女漫画のようなイチャイチャした作品で、昔だったら到底読めなかったと思うが、今やにやつきながら読んでいる。正直自分がキモい。
 主人公の二人って「月刊少女野崎くん」に出てくる御子柴と鹿島の関係そのまんまなので、脳内変換が起きてしまってるのかもしれない。
<A> <楽>
20'06'07 銭形平次捕物控11 南蛮秘法箋
野村胡堂 (検索) <amazon> <楽天>
 江戸有数の質屋田代屋の主人又左衛門が何者かに毒矢を射かけられ、一命は取り留めたものの、腕を切り落とさねばならなくなってしまった。息子の若旦那に頼まれて事件を調査する平次は、そこで用いられた毒の出所を探るが…

 ちょっとした事件の解決のはずが、由井正雪の乱にまつわる相当壮大な設定になっている。この作品の舞台となる時代が確定しているからできることだ。
<A> <楽>
20'06'05 トクサツガガガ7
丹羽庭 (検索) <amazon> <楽天>
 隠れながら特撮オタク生活を満喫する仲村は、ある日仕事仲間と共にショッピング中、ヒーローショーを目撃する。同僚から「中身はバイトのオッサンでしょ」と言われ反論できなかった。本当の好きとは一体何であるのかと自ら問い続ける仲村。

 基本はゆるい特撮ライフの作品だが、いわゆる一般人と特オタの温度差というのが今巻もビシビシくる。また今巻は特撮リメイクの意味合いなどについても考えさせられるが、特撮に限れば未だに完全リメイク作品は存在しないけど。
<A> <楽>
20'06'02 赤耀館事件の真相
海野十三 (検索) <amazon> <楽天>
 謎の死を遂げた赤耀館の主人。毒殺と言うことは分かったものの、誰がどのようにして殺害したのか全く分からない事件について興味本位で調べ始めた“私”の元に、本来の赤耀館の主人であると名乗る男から連絡が入る。事件の真相を教えると言う彼に胡散臭さを感じつつも、その話を聞きに行くことになった。意外なその話と、その人物の正体は…

 とてもメタフィクショナルな話で、ラストも外連味で終わる。その推理自体が妄想なのか、それとも推理ではなく本当にそれを知っていたのか。なんかモヤモヤした終わり方だが、それこそが本作の醍醐味だ。
<A> <楽>
20'05'30 双亡亭壊すべし11
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 霊体となった凧葉の励ましを受け、病院から脱走した霊能力者達は一路双亡亭に向かう。だが双亡亭に精神を乗っ取られた鬼離田姉妹が警察を味方に付けて彼らを阻む。一方、双亡亭の中では、漏れ出た侵略者達が人間を使ってひたすら地を掘り進んでいた。

 10巻から続いて双亡亭の外での攻防がメイン。双亡亭に乗っ取られた人間が外に出られるということが分かったが、そうなると根本的な設定ミスになってしまうような気もしてしまう。
<A> <楽>
20'05'27 エス
鈴木光司 (検索) <amazon> <楽天>
 映像制作会社勤めの安藤孝則と高校教師の丸山茜は交際の末、子どもができて結婚の用意を始めていた。だがそんな時孝則は会社の社長から預かったUSBに入っていた映像を見せられる。それは何者かが首を吊る一種のショック動画なのだが、何故か再生する度に少しずつ映像が変化していた。更にその映像を茜が見てしまったことから二人の生活に影が忍び寄る。

 「リング」シリーズの一本となる作品で、「ループ」でやり残したことの精算を行ったといった感じ。見過ごせないアラがいくつも見つかるとは言え、ぐいぐい読ませる文章力は健在。
 「リング」「らせん」は純粋なホラー作品だったが、その後の「ループ」でホラーから脱却。本作もタッチこそホラーだけどむしろメタ小説と言った感じ。
<A> <楽>
20'05'24 銭形平次捕物控10 七人の花嫁
野村胡堂 (検索) <amazon> <楽天>
 結婚式に向かう白無垢の花嫁だけが次々に行方不明になるという奇怪な事件が起こる。しかも一度は平次の目の前で消えるという事態まで発生してしまう。平次は馴染みのお静に頼み、花嫁の格好をさせて結婚式の偽装をすることとしたが…

 平次が一度捕り物に失敗し、その雪辱戦で見事事件を解決するというパターンはかなり多く、本作もそのパターンに則ったものだが、今回に関してはお静という女性を巻き込んでしまったところに特徴がある。結局これが結婚する踏ん切りになったのかな?と考えると、それなりに重要な話なのかも知れない。
<A> <楽>
20'05'22 パタリロ!2
魔夜峰央 (検索) <amazon> <楽天>
 ロンドンのバンコランの元をパタリロが訪れる。スイスにいる母親に会いに行く前にからかいに来たというのだが、国際ダイヤシンジケートがパタリロを狙っていることもあり、バンコランは自分もついて行くことに。母親に対してはまるで借りてきた猫のようにしゃちほこばるパタリロに意外な側面を見る。

 読み切り短編がいくつか収録されているために本編が半分くらい。それでもパタリロのお母さんが出てきたり、これから長い付き合いとなるマライヒが初登場してるとか、見所は多い。あと当時もう一本連載していたラシャーヌも出てきてる。
<A> <楽>
20'05'20 トリフィド時代
ジョン・ウィンダム (検索) <amazon> <楽天>
 ある夜。緑色の彗星が目撃された。そしてその翌日、その光を見た全ての人間は目が見えなくなってしまう。たまたま目の手術を受けたため光を見ずに済んだ“わたし”ビルはイギリス中で最も貴重な目の見える人間となっていた。しかも世界には動く吸血植物のトリフィドが蔓延しており、目の見えない人間を次々に標的にし始める。そんな中、奇跡的に目の見える女性ジョセラを助けたビルは行動を共にすることになる。

 ディザスター作品の傑作とは聞かされていたが、前に観た映画があまりに普通の出来だったのでこれまで食わず嫌いしていたが、いざ読んでみたら噂に違わぬ傑作。1950年時代のイギリスの風も感じられる好作。
<A> <楽>
20'05'17 僕のヒーローアカデミア5
堀越耕平 (検索) <amazon> <楽天>
 体育祭もいよいよ決勝。一対一の対戦トーナメントが順調に進んでいく中、轟焦凍と戦う事になる出久。焦凍は自分がエンデヴァーの息子であることに嫌悪感を覚えることを出久に告白し、その上でオールマイトに似た力を持つ出久を叩き潰すと宣言する。一方、順調に勝利を重ねながら、ますます怒りが溜まっていく爆豪勝己の決勝の相手は…

 これまで順調に勝ち進んでいた出久が派手な負け方をした。主人公キャラは負けないという不文律のあるジャンプ系漫画だが、これからの長い戦いを前に、仲間内の戦いで敗北させておくのは正しい方法。本音でぶつかったお陰で、これまでクールキャラだけの存在感だった焦凍が心を開くというイベントも有り。
<A> <楽>
20'05'14 オーバーロード11 山小人の工匠
丸山くがね (検索) <amazon> <楽天>
 自分でも思いもしなかった形で帝国を併合してしまったナザリック。アインズ・ウール・ゴウンはこの状態で自分は何ができるかを考えた結果、(帝国から逃げ出す口実と共に)工匠種族ドワーフと同盟を結ぼうと考える。だがほとんど人類と接触を持たないドワーフがどこに住んでいるのか分からず、とりあえず目撃情報を頼りに旅を始めることにする。

 前巻に続き、アインズがとりあえず適当に始めたことが予想を超えた成果を挙げてしまうというパターン。このパターンは読んでてとても楽しいのだが、繰り返しになると飽きてくる。
<A> <楽>
20'05'11 銭形平次捕物控9 人肌地蔵
野村胡堂 (検索) <amazon> <楽天>
 ある町の辻にあった石地蔵が突然暖かくなっているという噂が立つ。縁起が良いと人々がお参りに来る中、その土地の持ち主である長者の黒木がその地蔵を人々の目から隠すように自分の家にいれてしまう。ところがその後家にあった千両箱が何者かに盗まれるという事件が起こってしまう。黒木家と関わりのあるがらっ八の紹介で真相究明に挑む平次。

 純粋な推理を楽しむ作品。欲をかいたものや人を下に見る金持ちは酷い目に遭うというものを割と地でやった作品でもある。
<A> <楽>
20'05'10 俺物語!!2
河原和音 (検索) <amazon> <楽天>
アルコ (検索) <amazon> <楽天>
 意外な告白を受け、晴れて恋人同士になった剛田猛男と大和凛子はいつも(砂川誠を巻き込んで)一緒でラブラブっぷりを見せつけていた。そんな猛男を友だちに紹介したいという凛子。そして柔道部に頼まれて試合に出ることになった猛男。そして誕生日を迎えた凛子を全力でエスコートしようとする猛男という三つの物語。

 すさまじい安定っぷりを見せつけるラブコメ作品。歳食ったからか、逆にこういう安定した物語の方がありがたい。終始ニヤニヤしながら読んでいられる。しかしよくこれ少女漫画で連載できたもんだな。表紙だけ見たら、全くこれが少女漫画に思えないぞ。
<A> <楽>
20'05'07 夜は短し歩けよ乙女
森見登美彦 (検索) <amazon> <楽天>
 京都にある大学のクラブの“後輩”の乙女に一目惚れした“先輩”は、自らの硬派を崩さずに彼女の関心を引くためにあらゆる“偶然”を利用しようとして出会いまくっていた。そのための涙ぐましい奮闘と、そんな先輩の思いを全く考えもしない天真爛漫な彼女は、ただ面白いことを求めて京都の町を彷徨う。すれ違うばかりの二人の主観で見る青春模様。

 著者の「四畳半神話大系」に連なるような物語。実に面白い。全編百鬼夜行のような光景が目に浮かぶ。
<A> <楽>
20'05'03 パタリロ!1
魔夜峰央 (検索) <amazon> <楽天>
 微笑ねキラーの異名を持つイギリス情報局MI5エージェントのバンコランは来英するマリネラ王国のパタリロ皇太子の警備を命じられる。だがそのパタリロはとんでもない子どもだった。すっかり振り回されてしまう。そしてこれが長きにわたる二人の腐れ縁の始まりとなる。

 長いこと読み直そうと思っていたが、ようやく決心が付いた。これから定期的に一冊ずつ読み進めていく予定。月一冊で考えても8年かかる計算になるが。
<A> <楽>
20'05'02 Re:ゼロから始める異世界生活14
長月達平 (検索) <amazon> <楽天>
 エミリアが試練を超えることを信じ、その間に聖域とロズワール邸に関わる全ての命を救ってみせると宣言したナツキ・スバル。その想いを受けて試練に挑むエミリアは過去の最も思い出したくない事実に直面していた。一方エミリアの帰還を信じて待つスバル達にこの地で起きたことを語り始めるシーマ。

 二つの過去の話で進行する。一つは400年前のベアトリーチェとシーマのエピソードで、これによって聖域が誕生したという話。もう一つは100年前にエミリアが自らを封印した出来事。実はエミリアと正気を失う前のペテルギウス・ロマネコンティは関わりがあったという意外な事実も発覚している。話の展開に全く予測突かない。
<A> <楽>
20'04'29 オヤジが美少女になってた話1
赤信号わたる (検索) <amazon> <楽天>
 国民的美少女Vチューバーのキヅケヤイにガチ恋してる高校生たかしは、ある日そのキヅケヤイの正体が自分の父親である事を知ってしまう。大ショックを受けてしまうが、その直後、母親まで末端のVチューバーである事まで発覚し、両親どちらからも協力を強いられてしまう。

 Twitterとニコニコ静画で連載中のいわゆるバ美肉を扱ったコメディ作品。毎度毎度主人公が精神的に追い込まれてしまうため、ニコ静では「地獄」の文字が躍る。改めて紙媒体で読むと、引きつった笑いが出てしまうが、面白い。
<A> <楽>
20'04'26 銭形平次捕物控8 鈴を慕う女
野村胡堂 (検索) <amazon> <楽天>
 ある日江戸市中を見回っていた平次は只ならぬ様子の女を目にする。気になった平次はがらっ八にその女を追わせる。彼女がやってきた先あった徳蔵稲荷で殺しがあったことが分かるのだが、その夜がらっ八は帰ってこなかった。

 偶然から事件に出くわし、なんとなくの勘で事件を解決する話のためリアリティも低い。珍しくがらっ八が活躍するから、そこだけは見所だと言えるか。
<A> <楽>
20'04'24 囮物語 化物語10
西尾維新 (検索) <amazon> <楽天>
 阿良々木暦を慕う千石撫子は、ある時から不思議な声が聞こえるようになった。声の主は白蛇神社の神を名乗り、自分が力を取り戻すための何かを探すように撫子に命じるのだった。言っている本人も知らないその何かを当てもなく探し回ることになるのだが、夜歩きしているところを暦に見つかってしまう。

 ファンが多いというおとなしい少女千石撫子の一人語りで描かれる物語。何故阿良々木暦を慕うのか、結構残酷な真実が現れる。
 前巻「花物語」が半年後の話を描いているのだが、今巻で突然その前に阿良々木暦が死んでしまう運命になってしまった。当然それは回避されることになるのだが、それは以降の話で。それにしても著者の考えも相当ぶっ飛んでるな。
<A> <楽>
20'04'21 新仮面ライダーSpirits17
村枝賢一 (検索) <amazon> <楽天>
 不完全ながらこの世界に顕現した大首領JUDOに従い、spirits部隊との決戦に挑むデルザー軍団。だがその前にJUDOから離反した暗闇大使率いるバダンが接触してきた。共にJUDOと戦おうと言うヤマアラシロイドを前に、動揺するspirits隊員達。

 いよいよラストが近くなっているようで、決戦についても言及され始めた。その前に地球を滅ぼした元凶バダンが同盟を持ちかけるという妙な方向性に向かっている。ただバダンの見据える未来と人類の向かうべき未来は異なっていることで、果たしてどんな結果を迎えるやら。
<A> <楽>
20'04'18 大江戸恐龍伝2
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 忙しく全国を飛び回る平賀源内が丁度江戸の自宅に帰った時、オランダ通事のツンベルクに呼び出される。そこでツンベルクが源内に見せたものは、かつて大阪で見たこともある金の鉱石キンナブだった。これはニライカナイと呼ばれる土地から来たものというツンベルクは源内にこれについて知っていることを教えてほしいと言う。

 平賀源内と恐龍の話で終わらず、金鉱にまつわるきな臭い話になってきた。こちらの方が著者らしい感じはするな。
<A> <楽>
20'04'17 土地神と、村で一番若い嫁1
あらをか青い (検索) <amazon> <楽天>
 小さな村の守護神が嫁を娶ることに決めた。そこで村で一番若い女人をと告げたところ、嫁いできたのは35歳の寡婦だった。家事全般を甲斐甲斐しくこなし、自分を尊敬してくれるその嫁にどんどん惹かれていく。だが人見知りが強い土地神は、もう一歩夫婦として付き合う自信を持てず、お互いに好き合いながらギクシャクした関係が続く。

 Twitterで見かけてそちらで追いかけていた作品だが、単行本になったというので購入してみた。紙媒体はじっくり読めるのがやっぱり良い。なんとももどかしい作品ではあるが。
<A> <楽>
20'04'14 キノの旅19
時雨沢恵一 (検索) <amazon> <楽天>
 三組(+1)の旅人達の訪れた国々を描く。「捨てる国」(師匠)「美しい記憶の国」「天才の国」「秀才の国」(キノ)「守る国」(シズ)「戦えない国」「偽物の国」(キノ)「助けに来た国」(フォト)「撃ちまくれる国」(キノ)を収録する。

 作品はいつも通りといった感じ。ただ巻末に15歳になったティーの話が出ていて、これがなかなか面白い。働き者のティーというのは、全く似合わないが、だから後書きでやってるんだろう。
<A> <楽>
20'04'11 銭形平次捕物控7 お珊文身調べ
野村胡堂 (検索) <amazon> <楽天>
 銭形平次はある日ガラッ八を誘い文身(入れ墨)の自慢大会を見物に出かけた。そこで見事な蛇の彫り物を彫った男が優勝をさらいそうになった時、全身に十二支の文身をあしらった女性が現れる。それを見た平次はその女を追うのだが、平次とガラッ八の目の前で女は拐かされてしまう。

 盗賊団の残党の捕り物話。何であれこの手の話は人情噺に落とし込むのが本作の特徴とも言える。悪人であっても女性を労る姿があるので、テレビ映えはしそうな話だ。
<A> <楽>
20'04'10 デキる猫は今日も憂鬱3
山田ヒツジ (検索) <amazon> <楽天>
 巨大な黒猫諭吉と生活する福澤幸来。生活の全てを諭吉に依存してしまっていたが、そんな時会社で社員旅行があり、一泊家を空けることになってしまう。たった一日で会社で見せる凜々しい姿が剥がれ落ちそうになってしまう幸来。

 発売当日に手に入れたが、多分現時点では唯一のリアルタイム購買となってる作品になってる。巨大猫というのは私にとってはかなりのツボらしいな。
 今巻の見所は幸来が外面的にどれだけ完璧に見られているかということと、そこで実態のギャップが見えるようになったことと、2巻で諭吉が助けた子猫が成長して諭吉と再会したこと。
<A> <楽>
20'04'07 十二人の死にたい子どもたち
冲方丁 (検索) <amazon> <楽天>
 ある廃病院に集まった十二人の子ども達。彼らはネットで一緒に自殺することを打ち合わせてここに集まったのだが、全員が集まった時、そこにはもう一人の死んだ子どもが横たわっていた。予想外の事態に、このまま自殺を敢行して良いのかどうか、全員で討議することにする。

 珍しい著者の推理小説。本格推理を読むのは久しぶりで、なかなか読ませてくれる作品だが、ちょっと話をひねりすぎて現実感が薄いのがネックだな。
<A> <楽>
20'04'04 僕のヒーローアカデミア4
堀越耕平 (検索) <amazon> <楽天>
 雄英体育祭の第一戦でトップ通過して二回戦に進出した緑屋出久は他のメンバーから狙われる立場に置かれてしまう。そんな中、第二回戦の騎馬戦が始まる。出久に対して何故か敵意をむき出しにする轟焦凍との一騎打ちとなっていく。

 今巻は全部体育祭で、二回戦の騎馬戦、三回戦の個人戦の始まりまで。個性は様々で、意外なところで役に立ったり、個性の相性で実力を出せなかったりと様々。著者側も組み合わせで色々考えてるみたいだ。
<A> <楽>
20'04'01 オーバーロード10 謀略の統治者
丸山くがね (検索) <amazon> <楽天>
 王国からエ・ランテルを奪い、自らの領地としたアインズ・ウール・ゴウンは表向きしっかりした内政に取り組んでいた。しかしアインズ本人がこれからの具体的な目的を見いだせないまま悩んでいた。色々考えた末、あらゆる種族に平等な冒険者ギルドを作ろうと考え、そのために情報収集を始める。

 国作りが終わって、次の手は世界征服へと向かうはずだが、普通のサラリーマンである主人公は具体的なビジョンがない。結果色々動けば全部良い方向に向かっていく。普通の小説ではありえないグロテスクなコメディになってきた。
<A> <楽>
20'03'29 フェチップル1
るり原ズラチー (検索) <amazon> <楽天>
 重度の髪フェチの柚原太津は、ある日飲み屋で理想的な髪の女性初島言花と出会う。実は太津の背中に惚れ込んでしまったという言花と酒の勢いで意気投合してしまい、気がつけば自宅に連れ込んでしまっていた。髪フェチと背中フェチの妙な出会いから始まった二人が恋人として付き合い始めることになる。

 ちょっと前にフェティシズムについて一文書く機会があって、その際に知った漫画だが、いざ読んでみると、とっても変なラブコメに仕上がってる。あくまで本作はデフォルメされたコメディだが、フェチというのは本当に沼だということを感じさせてくれる。
<A> <楽>
20'03'26 大江戸恐龍伝1
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 才人平賀源内はやりたいことが多すぎて日々飛び回って活動していた。忙しい日々の中、多くの人々と交わっては次々と新しい面白いことを見つけてしまう。そんな折、円山応覚という絵師と共に龍の手が収められているという寺を訪れる。

 江戸時代を舞台に、生きた恐竜にまつわる話が展開する。ファンタジックな設定だが、実在した平賀源内のことをよく調べられていて、平賀源内の破天荒な生き方が面白くて一気に読ませてくれる。
<A> <楽>
20'03'25 Re:ゼロから始める異世界生活13
長月達平 (検索) <amazon> <楽天>
 否応なしに魔女の茶会に招待されたナツキ・スバルは嫉妬の魔女サテラと強欲の魔女エキドナの二人からどちらかを選ぶように強要される。その結果、スバルはそれまで持っていた死に戻りの能力を失うことになってしまう。結果としてこの厳しい状況の中、このループで最善の手を探さねばならなくなってしまう。

 この作品の最大の売りであった死に戻りが封じられてしまう。ただこれを続けたところで同じ物語になってしまうので、この思い切りは必要だったのだろう。この姿勢は評価する。ただ、それで面白いものになるかどうかはこれからの展開次第。
<A> <楽>
20'03'22 夏目友人帳15
緑川ゆき (検索) <amazon> <楽天>
 「違える瞳」名取が主演する映画を観に行った帰りにその名取の式を見かけた夏目は、その式に導かれるまま一軒の家にたどり着く。
 「険しきをゆく」ある日夏目は小妖怪に傷つけてしまう。その小妖怪は朱遠という仙人の元に行きたいと言い、無理矢理夏目を付き合わせる。
 「塔子と滋」夏目が来る前の藤原家の出来事。

 久々に読んだ続刊だったが、内容は相変わらず。名取との関係は少しずつ深刻なものになっていく一方、夏目のいつもの生活はゆるやかに流れていく感じ。
<A> <楽>
20'03'19 銭形平次捕物控6 復讐鬼の姿
野村胡堂 (検索) <amazon> <楽天>
 銭形平次の上司与力笹野の一子がさらわれた。岡っ引きが総動員されて探し回ったが、そんな時に不意に帰ってきた。だがこれから笹野家には続いて不幸が舞い込むようになる。

 かなり純粋な推理もの。短編ながらかなり内容が詰まっており、長編にしても構わないくらいのボリュームある。
 身内に不幸がある話は見所が多くなるのだが、多用は禁物のパターンだな。
<A> <楽>
20'03'17 キノの旅18
時雨沢恵一 (検索) <amazon> <楽天>
 三組の旅人と一つの国に住む少女の物語。「牛の国」「草原の話」「キノの旅」「スポーツの国」(キノ)、「止まった国」(師匠)、「税金の国」「主食の国」「チョコレートの話」(キノ)、「遺産の国」(シズ)、「お金の国」(キノ)、「復讐の国」(シズ)、「私の戦争」(キノ)を収録する。

 今巻の恒星は複数の話にまたがって前後編になってたり後日譚のような話が多いのが特徴。今巻にもフォトは登場するが、ちょい見せ程度。前巻でシズと合ってるはずだが、ここでは初めて出会ったかのよう。
<A> <楽>
20'03'14 はじめの一歩126
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 鷹村の防衛戦を二人の弟子を連れて観に行く一歩。そこで一歩が観たものは、高度な左の使い方だった。むしろ弟子よりも自分自身の戦い方に思いを馳せてしまう。

 トレーナーとして頑張ってる一歩だが、一歩引いて試合を観ることで、逆に自分自身の戦い方を考えてしまうと言う話で、復帰の足がかりの伏線だろうか?50巻ほど前にやっておくべき話だった。
 あと千堂がメキシコに殴り込みに出かける話も出ている。現時点ではコメディ回みたいだけど。
<A> <楽>
20'03'13 高慢と偏見とゾンビ
ジェーン・オースティン (検索) <amazon> <楽天>
セス・グレアム=スミス (検索) <amazon> <楽天>
 30年以上もゾンビが暴れ回っているイギリスの片田舎。父母と五人の娘がいるベネット家では、娘五人がそれぞれ修行を積んだゾンビハンターとして働いていた。そんなベネット家の近くに貴族のビングリー家が引っ越してくる。ミセス・ベネットは、これは娘の一人を嫁がせる好機とみて積極的に関わった結果、ビングリー家の長男チャールズは長女ジェーンと恋仲となる。だがそんな二人を引き離そうとする男がいた。その男フィッツウィリアム・ダーシーに激しい敵意を覚える次女のエリザベス。

 未読だが映画は観た「高慢と偏見」にゾンビ要素を加えた異色作。あらかじめ高慢と偏見とゾンビ(2016)の方は観ていたが、物語はまるで異なり、とても文学的になってるのが特徴になってる。その分ゾンビの出現が違和感しかないという問題があり。
<A> <楽>
20'03'10 JJM 女子柔道部物語3
小林まこと (検索) <amazon> <楽天>
 強豪旭竜高校との合同練習を経て、柔道部の練習に明け暮れ、ようやく道大会を迎えたカムイ南高校。61キロ級に出場した神楽えも。最初の一回戦は大声対決になってしまうのだが…

 練習を経て試合へと向かう高校スポーツ王道の展開。2巻までのスピーディさはなくなったが、飽きっぽい主人公が勝手を言ったり戻ったりしながら実際に強くなっていく過程がじっくり描かれており、これはこれで大変面白い作品になってる。
<A> <楽>
20'03'06 オーバーロード9 破軍の魔法詠唱者
丸山くがね (検索) <amazon> <楽天>
 アインズ・ウール・ゴウンは帝国皇帝ジルクニアを呼び出し、強制的にナザリックと帝国の間に同盟を締結した。そして毎年恒例となった王国に対する軍事侵攻に無理矢理同行を申し出るのだった。得体の知れないナザリックを調査する王国王子のバルボアはナザリック近くのカルネ村を蹂躙しようとする。

 ナザリックがついに世界に対して建国を宣言する話。ただ戦力的にはあまりに圧倒的で、王国軍はなすすべもなく壊滅。更に同盟しているはずの帝国軍にも多大な恐怖を与えてしまう。一応これで当面の目的は果たしたことになるが、その過程で1巻で知り合ったガゼフを簡単に殺してしまうとか、主人公の悪人っぷりがだんだんすさまじいレベルになってきた。しかも本人にはほぼその自覚がないところがなんか落ち着かない。。
<A> <楽>
20'03'03 仮面ライダークウガ11
井上敏樹 (検索) <amazon> <楽天>
横島一 (検索) <amazon> <楽天>
 警視庁で新設された未確認生命体対策本部監視委員会によって拘束されてしまう五代と一条。これがグロンギとの対抗手段となるならと自ら進んで研究素材となる五代だが、その研究室で保管されていた顔なしのグロンギの死体が動き出していた。一方アギトとしての正体を知られた駿河の誘いに乗る津上翔一は裏カジノに連れて行かれる。

 グロンギのゲゲルも終盤に入り、最強のゴ族が登場しているのだが、仮面ライダーの方が五代も津上も足踏み状態であんまり話は展開してない。
 アギトにあっさり殺されてしまったメ・ガリマ・バが頭部を失ってもまだ生きていた。たまたま五代のいる研究室にいたというのは都合良すぎだが。
<A> <楽>