我が道を往く
Going My Way |
1944米アカデミー作品賞、主演男優賞(クロスビー、フィッツジェラルド)、助演男優賞(フィッツジェラルド)、監督賞(マッケリー)、脚色賞、原案賞、歌曲賞、撮影賞、編集賞
1944NY批評家協会作品賞、男優賞(フィッツジェラルド)、監督賞(マッケリー)
1944ゴールデン・グローブ作品賞、助演男優賞(フィッツジェラルド)
2004アメリカ国立フィルム登録簿登録 |
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フランク・バトラー
フランク・キャヴェット(脚)
ビング・クロスビー
バリー・フィッツジェラルド
リーゼ・スティーヴンス
ジーン・ロックハート
フランク・マクヒュー
ジーン・ヘザー
ジェームズ・ブラウン
ポーター・ホール
フォーチュニオ・ボナノヴァ |
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★★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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ニューヨークで治安の悪い西49番地のセント・ドミニク教会に新しい神父のチャック=オマリー(クロスビー)が赴任してきた。実はこの教会はフィッツギボン神父(フィッツジエラルド)が若い頃からコツコツと作り上げてきた教会だったのだが、既にフィッツギボンは高齢で、教会の上部組織が送り込んできたのだった。若く活動的なチャックはいくつかの失敗を経はしたが、徐々に教会と町中へととけ込んでいく。彼の活動は街の不良少年にも向けられ、ついには彼らを組織して素人コーラスまで作っていく。これまで自分のしたこととは全く違うやり方で、町の人の心を掴んでいくチャックのやり方に反発を覚えたフィッツギボンは司教の元へ陳情へと行くのだが…
1944年のアカデミー賞を総なめにするのみならず1944年全米興行成績1位という快挙を成し遂げた作品。フィッツジェラルドは主演と助演のアカデミーに両方ノミネートされた唯一のケースとなる。
今から見ると、あまりにもオプティミティックで出来すぎた感のある作品だが、この当時の世相を考えると、むしろこの作品こそが最も求められていたのかも知れない。なんせこれが公開されていた時は第二次世界大戦の真っ只中。世相そのものが軍国主義一辺倒で、ニュースも暗いものばかり。そんな時だからこそ、映画ならではの飛びきりの楽しさを見せてやろう。という心意気に溢れているようだ。改めて考えてみると、戦争の真っ只中でこんな作品が作れるんだから、アメリカって凄い国だ。翌年、戦争に勝った時のオスカーが『失われた週末』(1945)。更に翌年が『我等の生涯の最良の年』(1946)と、重い作品が連発しているので、世間の風潮とは全く逆の作品になっているのが大変興味深い所。
勿論物語も前向きでとても清々しい話で、ちょっと物語は色々詰めすぎの感はあるし、「いくら何でも出来過ぎだろう」とか思う部分も確かにあるものの、その前向きさ加減が本作の最大の強味だ。
何より配役が良い。いかにも頭の硬い神父役をフィッツジェラルドが好演。抑え気味の演技が、最後の明るい笑顔に結実するのはやはり見事。もう一人の主演男優賞を取ったクロスビーは、一見軽そうに見えながらその実しっかり者という役をそつなくこなしてる。それまで歌手としても人気を得ていたが、本作で演技派俳優としても認められるようになる(クロスビーはアカデミー授賞式に出ておらず、ゴルフを楽しんでいたが、受賞の知らせを受けて慌てて駆けつけたが、なんとカツラを忘れていたと言う笑い話がある)。
明るい作品を求めている時にはぴったりの作品と言えるだろう。
尚、神父がセーター姿で野球帽をかぶっているのが不謹慎だと言うことで、ラテンアメリカの何国かでは上映禁止となったとか。
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