理由なき反抗
Rebel Without a Cause |
1955米アカデミー助演男優賞(ミネオ)、助演女優賞(ウッド)、原案賞(レイ) |
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★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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ある夜、街に引っ越して早々酔った17歳の少年ジム(ディーン)が警官に捕まった。たまたまその晩に起こった集団暴行事件の容疑者として警察に連行された彼は、そこで夜中の街を徘徊し、保護された少女ジュディ(ウッド)と、いじめられっこで、その日銃で子犬を撃ってしまった少年プラトー(ミネオ)と知り合う。翌日新しい学校に登校したジムはジュディ、プラトーの二人に再会する。同時に不良グループのバズ(アレン)に目を付けられたジムは、チキンレースを挑まれるのだが…
レイ監督による傑作と名高い作品で、ジェームズ・ディーンを一気にスターダムに押し上げた作品。前年公開された『乱暴者(あばれもの)』(1953)と共に青春映画の金字塔とされる作品。
元々モノクロで撮影されるはずのものを絶対カラーで。と主張したのも彼である。事実、この落ち着かないテクニカラーが思春期の不安定さをよく示していたとも言われている。
私にとって相性の悪さで言えばトップクラスのジェームズ・ディーン。この人の役というと、不良ぶっているが、実際は家族の愛を求める繊細な青年の役が多い。それはまさにはまり役には違いないのだが、どうにもそれを見てるといたたまれない気持ちにさせる。
実際、ここでのディーンの役回りは、「不良」と呼ばれつつ、自己に悩み抜き、それが無軌道な行動と、愛されたいという思いに引き裂かれていく、そんな難しい役回りを自然に演じきっていたのは確かなこと。それは認めねばなるまい。それに当時のトップスター、ウッドは綺麗。やっぱ輝いてるよ。
ただ、やはり現代の私の目からすると、表現的にはぬるいし、その姿は苛々させられてしまうので、どうしても高い点数を付けたくはない。
しかし、考えてみると、この時代だからこその作品だったのかも知れない。ようやくそのことが思い至るようになった。
この時代のハリウッドって、“健全であること”に大変注意を払っていた。実際過激な表現が出始めたのが60年代になってから。そして実際にハリウッドが表現に自由を持ち始めたのはニュー・シネマが出始めた70年代になってからだった。
当時であっても、多分この表現は現実世界に照らしてみる限り、相当にぬるい内容だったのだろうが、それでもかなりの冒険だったのだろう。だからこそ評価されているのかも知れない(事実ここで親子の和解が最後になるのは当時のハリウッドの規制によるものらしい)。今から考えるとこれだけぬるくても、相当な挑戦だったのだから(お陰でレイ監督は「ハリウッドの反逆児」なる名称をいただいてしまった)。
本作がどうにも好きになれなかったお陰で、実は私が「家族を作る」という物語がツボであることに気付くのがとても遅くなってしまった。私にとっては、色々な意味で相性の悪い作品だったと言うことになる。
改めて考えてみると、今では割合当たり前の「不良」と言われることが、身の破滅を意味した時代。そんな雰囲気を感じることが出来る作品だったのかも。
当時の若者を中心に大ヒットした作品ではあるのだが、本作はもう一つありがたくない異名が付いた。すなわち、「呪われた映画」という。ディーンは公開前の9月に自動車事故で死亡、サル=ミネオは1976'2にアパートの駐車場で刺殺。ウッドは1981'11に映画の撮影中に溺死…見事に主役3人が事故死という結果を生んでいる。 |
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