| 幕末太陽傳 |
1957ブルーリボン主演男優賞(フランキー堺)
1957キネマ旬報日本映画第4位
1957毎日映画コンクール音楽賞 |
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山本武(製)
田中啓一
川島雄三
今村昌平(脚) |
| フランキー堺 |
| 左幸子 |
| 南田洋子 |
| 石原裕次郎 |
| 芦川いづみ |
| 市村俊幸 |
| 金子信雄 |
| 山岡久乃 |
| 梅野泰靖 |
| 織田政雄 |
| 岡田真澄 |
| 高原駿雄 |
| 青木富夫 |
| 峰三平 |
| 菅井きん |
| 小沢昭一 |
| 植村謙二郎 |
| 河野秋武 |
| 西村晃 |
| 熊倉一雄 |
| 三島謙 |
| 殿山泰司 |
| 加藤博司 |
| 二谷英明 |
| 小林旭 |
| 関弘美 |
| 武藤章生 |
| 徳高渓介 |
| 秋津礼二 |
| 宮部昭夫 |
| 河上信夫 |
| 山田禅二 |
| 井上昭文 |
| 榎木兵衛 |
| 井東柳晴 |
| 小泉郁之助 |
| 福田トヨ |
| 新井麗子 |
| 竹内洋子 |
| 芝あをみ |
| 清水千代子 |
| 高山千草 |
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| ★★★★☆ |
| 物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
| 4 |
5 |
4 |
4 |
4 |
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幕末の品川宿。豪遊した挙げ句、無一文であることを明かした佐平次(フランキー堺)は相模屋で下足番として働くことになった。万事要領の良い佐平次はまるで番頭のように振る舞い、あっという間に品川宿の人気者にまでなっていった。いつしか相模屋の主人までもが佐平次を頼りにするようになっていくが…
本作はそもそもが落語のネタ(「居残り左平次」「芝浜の革財布」「品川心中」の3つ)を元本に山内久が田中啓一名義で脚本を書く(田中は松竹に籍があったため)。その手直しには今村昌平も参加していたとか。
元本が落語だけに軽快な会話とどたばた喜劇を進上とした作品だが、ぴりっと辛みを入れた巧い風刺になっている。川島雄三としては初の時代劇ながら、様々な要素を詰め込んで、大変バランスの良い作品に仕上げられているのが特徴。
ところで、誰しも理想的な生き方というものがあるだろう。特に歴史の中にあって、功成り名を上げるというのも一つの理想だろうが、他にも、歴史の渦中にあって、義理やら人情やらから完全に離れて自分のやりたいように生きるというのも、やっぱり理想的な生き方の一つではないだろうか?少なくともかつてはそう言うのを“粋”と言っていたはずだ。自分で危機を招き、ギリギリの中で自分の才覚だけでそれを切り抜ける。人に迷惑をかけまくるのは確かだが、それを全て冗談にしてしまい、死んだ後に「あいつは面白い奴だった」と言われるような生き方。これはこれで理想的な生き方ではあろう。
ここでのフランキー堺演じる佐平次の生き方は後者。彼は極めて能力が高いが、労咳病みで、自分の体が長く保たない事を知っている。故にこそ、残った人生をおもしろおかしく生きていくことだけに全てを賭けたのでは?彼は高杉晋作らと親交を持ったりしていて、歴史の中枢をなす大人物達から一目置かれる存在ではあるが、決して彼らを大人物と扱っておらず、自分と同じ人間としてのみ(つまり面白いかどうか)だけで見ている。なかなか出来る生き方じゃないが、だからこそこういう生き方は憧れる。
本作はフランキー堺の代表作と言われるだけあって、その魅力を十分に発揮出来ている(空中に放り投げた羽織に袖を通すシーンは邦画の名シーンの一つとも言われる)。これが初時代劇出演という石原裕次郎を完全に食ってしまったのも面白い所。でも、フィルモグラフィを見ると、フランキー堺って、ほとんどこれデビューに近いんだけど。
ところで本作に『太陽』の文字が付くのは昨年のヒット作『太陽の季節』(1956)に表される“太陽族”から来ているそうだが、これは太陽族と幕末の志士をなぞらえ、新しい時代に生きようとする若者と、旧来の伝統に縛られる大人達の対比を描いたものと言われる(しっかり石原裕次郎が脇役で入っていたりもする)。
そういった激動の時代を飄々と生きること。これを“粋”というものに昇華したのが本作の魅力とも言えるだろう。 |
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