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湯浅憲明

湯浅 憲明
Wikipediaより
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鑑賞本数 合計点 平均点
書籍
ガメラ創世記 -映画監督・湯浅憲明-
ガメラを創った男―評伝 映画監督・湯浅憲明
ガメラ・クロニクル
大怪獣ガメラ秘蔵写真集
2004 6'14 死去
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984 アニメちゃん 監督
1983
1982
1981
刑事犬カール(2nd)
<A> <楽> 監督
1980 宇宙怪獣ガメラ 監督
ウルトラマン80
<A> <楽> 監督
wiki
1979
1978
1977
1976
1975
1974
家なき子
<A> <楽> 監督
電人ザボーガー
<A> <楽> 監督
wiki
1973
隠密剣士 突っ走れ!
<A> <楽> 監督
ラブラブ・ライバル
<A> <楽> 監督
1972
アイアンキング
<A> <楽> 18話監督
wiki
アイちゃんが行く!
<A> <楽> 監督
1971 成熟 監督
ガメラ対深海怪獣ジグラ 監督
樹氷悲歌 監督
美人はいかが?
<A> <楽> 監督
なんたって18歳!
<A> <楽> 監督
1970 裸でだっこ 監督
ボクは五才 監督
ガメラ対大魔獣ジャイガー 監督
おくさまは18歳
<A> <楽> 監督
wiki
1969 あなた好みの 監督
ガメラ対大悪獣ギロン 監督
あヽ陸軍 隼戦闘隊 特撮監督
あヽ海軍 特撮監督
1968 ガメラ対宇宙怪獣バイラス 監督
蛇娘と白髪魔 監督
1967 大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス 監督
1966 大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン 特撮監督
1965 大怪獣ガメラ 監督
ザ・ガードマン 東京警備指令(1~7Y)
<A> <楽> 監督
1964 幸せなら手をたたこう 監督
黒の切り札 助監督
1962 しとやかな獣 助監督
雁の寺 助監督
1961 女は二度生まれる 助監督
1960 あヽ特別攻撃隊 助監督
1933 9'28 東京都世田谷区で誕生

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タイトル

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物語 人物 演出 設定 思い入れ

 

宇宙怪獣ガメラ 1980
<A> <楽>
大葉博一
徳山雅也
篠原茂(製)
高橋二三(脚)
マッハ文朱
小島八重子
小松蓉子
前田晃一
高田敏江
桂小益
工藤啓子
林博二
池田真
飛田喜佐夫
斉藤安弘
豊隅哲朗
小林英樹
小林修
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
成熟 1971
<A> <楽>
高橋二三(脚)
関根恵子
篠田三郎
菅野直行
八並映子
伴淳三郎
早川保
赤座美代子
小野川公三郎
園かおる
高橋由美子
深沢裕子
近藤宏
目黒幸子
青空はるお
青空あきお
木田三千雄
松村若代
北川マキ
望月節子
原大作
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
ガメラ対深海怪獣ジグラ 1971
<A> <楽>
永田秀雅(製)
高橋二三(脚)
坂上也寸志
グロリア・ゾーナ
坪内ミキ子
藤山浩二
佐伯勇
笠原玲子
吉田義夫
八並映子
アーリン・ゾーナ
夏木章
三夏伸
九段吾郎
井上大吾
喜多大八
中原健
★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
シリーズ第7作
 天体ナンバー105系宇宙のジグラ星は高度に発達した文明は公害を生み、移住先を地球に定める。ジグラは地球人を洗脳し、それを足がかりとして地球に攻めてくる。ペルー沖で起きたM12の地震調査を行っていた国際海洋動物研究所の所員である石川洋介とウォーレス、そして彼らの子供健一とヘレンは宇宙船へと連れ込まれるが…
 中心に子供を置き、公害を前面に捉えた作品。メッセージ性はかなり高かったし、演出もお色気を出したりして
(八並映子がビキニ姿で水族館を走る姿は結構ドキドキもの)、意気の高さは買うが、どうもそれがチグハグになってしまった印象を拭えず。
 ガメラシリーズを通し、面白いのはガメラ自身もそうだが、ガメラと戦った怪獣が皆恐竜や人間型と言ったオーソドックスな形をしていないと言うこと。バルゴン、ギャオス、ギロン、バイラス、ジャイガー、それぞれに個性を持たせたシルエットを持たせていたが、今回は全怪獣でも珍しい魚型。一応格闘もこなすが、やはり形状故に、泳いでいる姿が多い。ただし、これが成功したとは言えず。どうにもガメラとの戦いが間延びして見えてしまう。ストーリーもなんだかんだ言っても、メインが追い駆けっこだったし。
 最後にジグラの背びれを使ってガメラ自身がガメラマーチを奏でる所は、見所ではあるが、やっぱりあんまり盛り上がらなかったな。
 大映としてはシリーズを続ける意向だったらしいが、本作を最後に大映は倒産。それが残念。
ガメラ対大魔獣ジャイガー 1970
<A> <楽>
永田秀雅(製)
高橋二三(脚)
高桑勉
ケリー・バラス
キャサリン・マーフィ
炎三四郎
平泉征
八代順子
大村崑
フランツ・グルーベル
マーリズ・ヘリー
夏木章
北城寿太郎
槇俊夫
小杉光史
仲村隆
隅田一男
田中三津子
佐伯勇
チコ・ローランド
★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
シリーズ第6作
 南太平洋の島ウェスター島の石像「悪魔の笛」が日本の万国博に陳列されるため像を積んだ南海丸が大阪に入港した。丁度その時、島の石像跡には異変が起き、大魔獣ジャイガーが出現し、南海丸の中では石像に触れた人々が、次々と倒れた。ウェスター島に現れたガメラはジャイガーと対決するが、ジャイガーは唾液によってガメラを固定。日本に向かい、大阪で大暴れを始める。身体の自由を取り戻したガメラは再度ジャイガーと対決するが、今度は身体にジャイガーの身体に卵を産み付けるのだった。ガメラの身体を心配した少年弘とトミーは弘の父が作った小型潜水挺に乗り込み、ガメラの体内に潜入するのだった…
 東宝シリーズの
『ゴジラ』と大映による『ガメラ』これらは日本の特撮界における二大スター怪獣と呼ばれる。ただガメラの場合、後発と言うこともあって、ゴジラとは多少違った位置づけがなされているのが特徴。その中でも本作は最も“ガメラらしい”作品と仕上がっている。
 何が“ガメラらしい”のか。単純である。ガメラとは、
徹底して子供の味方なのだ。そしてそれに合わせ、子供も又、ガメラのために働く…いや、子供はガメラとの友情で動くのだ。
 この徹底して子供の視線で描くと言うのは大変重要な点となっている。子供だからこそ、ガメラの優しさが分かるのであり、子供だからこそ、どれほど危険な任務も、“友情のために”動ける。
 これが大人だとそうはいかない。怪獣は絶対的な味方には成り得ないから。どこかにそこには打算が生じる。それは『ゴジラ』のシリーズを観ても明確化している。ゴジラは人間の味方をする“こともある”で留まる。だからこそ人間の側は、ゴジラの機嫌を窺うとか、あるいは『怪獣総進撃』(1968)に見られるように、怪獣を管理しなければならないと考える。平成シリーズになると最早、ゴジラは最早単なる暴れん坊であり、ゴジラに他の怪獣をぶつけるか、あるいはゴジラを他の怪獣にぶつけると言う単純な図式しか作れなくなってしまった。
 確かにこの作品にも大人は登場する。だが、その大人の視点はどうか?やはりガメラもジャイガーも同じ怪獣としてしか見ていない。子供だけがガメラが絶対的な味方であることを知っているのだ。
 それに怪獣映画を語る上で、大変重要な点がもう一つ。
人間ドラマと怪獣の戦いはスケールの違いから断絶しやすいと言う点が挙げられる。一般には人間ドラマが展開していく一方で、怪獣同士のどつきあいが語られることが多いのだが、この場合、二つの物語が乖離しやすいと言う難点を持つ(これが監督と特技監督を分けてしまったことによる部分もある)。「ウルトラマン」シリーズで活動時間に制限を加えたのも、このためだろう。いくつかの作品でそれをクリアしているが、『ゴジラ』『ガメラ』を較べてみると、圧倒的に『ガメラ』の方がよく考えられている。本作では何せ、子供がガメラの体内に入っていくのだ。これほど二つのドラマを同時に展開する良い方法があろうか。スタッフはそこまで考えていたかどうかはともかく、画期的要素をこの作品は指し示していたのは事実であろう。

 …以上の如く、設定の上では非常に優れた作品ではあるのだ。ただ、その設定をストーリーが生かし切れたかどうかと言うと、やっぱりなあ(笑)。万博とタイアップしたが故に物語に無理や行き過ぎがあるし、国際色豊かな子供の演技がどうしても棒読みだった。物語が進めば進むほど、笑いの要素が強まっていくガメラとジャイガーの戦いなど、問題がありすぎて…
 あれ?
実際のレビューはこれだけ?(笑)
ガメラ対大悪獣ギロン 1969
<A> <楽>
永田雅一(製)
高橋二三(脚)
加島信博
秋山みゆき
クリストファー・マーフィ
笠原玲子
甲斐弘子
大村崑
イーデス・ハンソン
浜田ゆう子
船越英二
夏木章
中田勉
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
シリーズ第5作
 世界中の天文台で謎の電波が観測された翌日、天体観測が大好きな少年・明夫とトムは自宅の裏山で円盤を発見。興味本位で二人が搭乗した途端円盤は急発進、宇宙へ飛び出てしまう。やがて辿り着いたのは文明が滅びかけ怪獣(宇宙ギャオス)が闊歩する不気味な星。僅かに残った星の2人の住人から、この星が太陽系第10惑星だと知った少年達。だがその宇宙人が彼等を食料にして脱出を企んでいるとは知る由も無かった。その頃宇宙では地球から飛び出た円盤を追ってガメラが第10惑星へと向かっていたが、星には宇宙人達の番犬怪獣・ギロンが待ち構えていた!
 ゴジラの後発だけに、ガメラは様々な形でゴジラとの差別化が図られているのが特徴。
ガメラを完全に子供の味方にしてみたり、その割に怪獣同士の戦いが異様にハードだったり。中でも特筆すべきは怪獣のデザイン。まるでカメレオンのような人間離れしたデザインのバルゴンや、鳥とも獣ともつかない不思議な、それでいて格好良いデザインのギャオス、これまた他に類を見ない魚型のジグラ、円板生物バイラス…でも、その中でも最も異様で、特徴的なデザインと言えば、このギロンが最高だろう。見ただけで分かる武器のデザイン。それだけでなく、眠たげなサメの如き凶悪な目つき、極めつけに手裏剣!
 特にギロンはガメラをあれだけ苦しめたギャオスをあっという間にまっぷたつにしてしまう程の攻撃力を持つ。これでギロンの強さをアピールすると共に、彼の武器は頭部の包丁(!)だと印象づけるわけだ。それでガメラと対峙するギロンは意外にも頭部の包丁をメインの武装として用いてない!
 ところでガメラの強さを象徴するのは何だろうか?断じてパワーや炎ではない。では飛べることか?それは確かに強さの一部には違いない。しかし、本当の強さは
脅威の打たれ強さにこそある。これこそカメの特性を最大限に活かした部分だ。そしてその打たれ強さは勿論頭と手足を身体に収納できる所から来てるのだが、ギロンは一見地味に見える手裏剣を用い、それを防いでしまった。結果ガメラはこれで最大の強さを失うことになり、劇中で一度「死んだ」とまで言われる程のダメージを受ける。この辺りの戦闘の駆け引きの巧みさはゴジラを完全に超えてるよ。
 それで復活したガメラ。ギャオス、ガメラとの二度に渡る戦闘で充分に強さを見せ付けたギロンにぶつかるシーンは実に感動的だった。決死の覚悟を思わせるガメラと、強力ながら、全ての技を出し尽くしたギロン。その死闘の結果、やはり耐久力にものを言わせて勝利するガメラ。うーん。
格好良い!
 一方、この映画での人間部分のドラマはあまりにもしょぼい。子供を主人公にしたのは良いとしても、あの極彩色&銀ラメの第10惑星はデザイナーの正気を疑う程で、機械部分の特撮は今までにない程の情けなさ。更にギャグが寒い。
「嬉しいと眼鏡が落ちるんですよ」は怪獣映画に使うべきじゃないんじゃない?
ガメラ対宇宙怪獣バイラス 1968
<A> <楽>
永田秀雅(製)
高橋二三(脚)
本郷功次郎
高塚徹
カール・クレイグ・ジュニア
八重垣路子
渥美マリ
八代順子
ピーター・ウィリアムス
藤山浩二
北原義郎
高田宗彦
メリー・ムロース
橋本力
豪健司
夏木章
中原健
山根圭一郎
篠田三郎
船田精二
稲妻竜二
若山弦蔵
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
シリーズ第4作
 地球殖民地化を企む宇宙人バイラス人。地球征服を始める矢先、地上から飛んできたガメラに宇宙船を破壊されてしまう。再来した彼等はガメラが子供好きだという性格を利用し、二人の子供・正夫とジムを人質に取り、ガメラにコントロール装置を付け、自らの手先として利用しようとする。
 子供の頃、テレビで観た記憶が微かに残っているのだが、かなり印象が薄い。言うなれば殆ど忘れてた(何せビデオ借りて観て、やっと思い出したくらいだから)。一見して、成る程印象薄い訳なのが分かった。何というか、華が今ひとつ無い作品。
 それで再見して思うことは、この作品、確かに良い部分はたくさんある。だけど、悪い部分も多い。ガメラ諸作品の中でも評するのにかなり困難を覚える作品だ。
 良い部分を列挙するなら、造形美術が先ず挙がるだろう。スタイリッシュなバイラス星人の宇宙船はまさに造形美。五角形の頂点に5つの居住区があり、その居住区そのものが可変というかなり凝った作りをしているし、他に類を見ないバイラス星人のデザインも良い。バイラス星人が変装した人間の目が暗闇で光るのも良い演出。後、オープニングの格好良さは特筆すべき出来。最初に火を噴きながら回転しつつ宇宙空間を航行する宇宙船は、一瞬ガメラそのものを思わせる。更にその後、ガメラとの接触であっけなく破壊される宇宙船から出されるメッセージは「地球上に恐るべき生物を発見せり!その名は…」そこで
『ガメラ』のタイトルがかぶる。これ程ワクワクさせる演出はなかなか無いぞ。
 一方悪い点はこれ又多い。
一時間半に満たない公開時間で20分以上のバンク映像は止めてくれ!「15分でガメラの脳を走査する」…って、本当に15分バンクフィルム流すかって!機械好きの主人公達の行動も訳分からない。子供らしい所と、妙に大人びた所が変に混ざっていて気持ち悪い。あれだけ美しい外観を持つ宇宙船の内部がちゃちすぎ。更に設定が無茶苦茶。宇宙空間を飛行するガメラがジェット噴射で飛んでるとか(ジェット噴射というのは多量の外気を取り入れて、混合気体を燃焼させるから、宇宙では使えない)、吸引光線が何故か明らかに塩ビだとか(仮にも「光線」を手で持ち上げるのは止めて)、一体合体するごとに加速度的に巨大化するバイラス星人の身体の構造も謎。
 ストーリーは完全に子供が対象になってしまった。それは仕方ないかも知れないけど、たった二人の子供助けるのために東京が火の海になったっていうのも凄まじい。ラスト以降のあの少年達の家族を襲う運命が恐ろしい。
 ところで、この作品は明らかに子供が対象なのだが、大人でしか分からない部分を併せ持つぞ。最初のバイラス星人の宇宙船破壊シーン、ガメラが頭を出したり引っ込めたりして宇宙船の壁を破壊し、やぶれた壁から覗く亀の頭から火がどばーっと…
(済みません。お下劣ネタです)
蛇娘と白髪魔 1968
<A> <楽>
永田秀雅(製)
長谷川公之(脚)
松井八知栄
高橋まゆみ
北原義郎
浜田ゆう子
目黒幸子
平泉征
三宅邦子
石黒三郎
伊達正
丸山修
福原真理子
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
楳図かずお (検索) <A> <楽>
 孤児院で寂しく過ごしていた小百合は、突然自分が南条家の娘であることを聞かされ、両親の待つ家に行くことになった。だが、そこにいたのは自分を娘と思ってくれない母夕子と、それを助長するかのようなお手伝いさんのしげだった。唯一彼女に優しくしてくれた父吾郎は毒蛇の研究のために、アフリカへ出かけねばならず、小百合は孤独なまま屋敷に残される。その中で健気に母に接する小百合だったが、どうもこの屋敷には秘密があるらしいことを知るようになる。案の定、この屋敷には秘密の部屋があり、そこには小百合の姉、タマミが住まわされていたのだ。タマミは幼少の頃に毒蛇に噛まれたことが原因で、体中に鱗が生えてしまうようになったのだ。そして吾郎がいなくなったことで屋敷にでることができるようになったタマミは事あるごとに小百合に意地悪をしてくる。しかも夜な夜な小百合の前には真っ白い髪をした鬼面の女性の姿が…
 楳図かずお原作の漫画の映画化作品。『妖怪大戦争』との併映のため急遽作られた作品で、予算の都合上、モノクロ映画となってしまったが、実際の話、『妖怪大戦争』と合わせて考えてみると、
こちらの方が怖いのは事実。
 楳図かずおの漫画は怖いながら読んでると引き込まれてしまう感じがして、子供の頃は読みたくない読みたくないとか思いつつも、ついつい読んでしまって、夜眠られなくなってしまうということを繰り返したものだ
(小学校で流行ったもので、色々貸してもらった)。その辺が楳図作品の醍醐味というやつなのだが、今から考えてみると、この人の作品はお化けが出てくるのが怖いのではない。主人公が追いつめられていく課程が丹念に描かれているところが一番怖いのだと思う。つまり、ここでの怖さというのは、人間の本性に関わることであり、就中一番怖いのは人間に他ならないという結論が一番の醍醐味なのだろう。
 本作も一応特撮部分が多用された作品ではあったが、実際の怖さはやっぱり追いつめられていく主人公小百合の過程に他ならない。しかも小百合が健気なだけに、とても可哀想になってしまう…そうなんだよな。この作品の場合、怖いより、痛々しいというべきなんだろう。
 ホラーの怖さの演出というのは、こういう方法もある。
大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス 1967
<A> <楽>
永田秀雅(製)
高橋二三(脚)
本郷功次郎
上田吉二郎
笠原玲子
阿部尚之
丸井太郎
蛍雪太郎
北原義郎
夏木章
大山健二
伊東光一
遠藤哲平
ジョー・オハラ
三夏伸
小山内淳
丸山修
森矢雄二
村上不二夫
仲村隆
河島尚真
井上大吾
飛田喜佐夫
北城寿太郎
中田勉
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
シリーズ第3作
 富士火山帯が活動を開始、伊豆諸島に継いでとうとう富士山が火を噴いた。それに伴い地底に住んでいた怪鳥ギャオスが地上へと出現、大暴れを始める。そこへ、火山のエネルギーを求めてガメラが飛来。火炎放射のガメラか、超音波メスのギャオスか、空を飛ぶ二大怪獣が名古屋と富士の裾野で激突する!ガメラ・シリーズの第3作。
 怪獣もの、殊にガメラ作品ではかなりの秀作。特にラスト・バトルでのガメラとギャオスの戦闘シーンはお互いに遠間からの駆け引きが中心となり、とても緊迫感がある
(どこかでこのシーンを見たと思ったら、グレーシー柔術の駆け引きがこんな感じ)。首が回らない分、完全に不利だと思われた敵のギャオスが、ガメラの繰り出す攻撃をことごとく凌ぎきり、しかも適切に反撃を返すその姿は敵ながらあっぱれ。人間側も色々努力するんだけど、ギャオスには効かない。しかも今まで凶悪なだけの存在であったガメラが今度は子供を助け、その子供の声援を受けて戦うというのだから、いよいよヒーロー化したガメラがここに誕生した(少年合唱隊が歌う主題歌が出たのもこれが最初だったはず)。
 いくつかの致命的弱点が明らかなのに、やはり強いギャオス。しかも人間を食うという描写や、この二体のとっくみあいで多量に流れる体液など、子供向けの割にはハードな展開だし、人間側の努力もはっきり見えるのは、結構好感が持てる作りでもある。
 ところでこの作品が作られた年を見ると、1967年となっている。実はこの1967年と次の1968年は怪獣映画にとっては最も輝いていた年でもあった。世はまさに高度成長時代。日本中が掘り返され、高速移送や近代建築の夢を追っていた時代である。この映画でも主人公は建設現場の監督であり、高速用地を売り渋る村人に説得する側だった。現代であれば自然破壊をする者として、逆に槍玉に挙がる役柄が正義の側という構成はまさにそれを端的に示しているだろう。更にギャオスに対し人間の側から様々な攻撃のアプローチが謀られているのも、科学への信奉の度合いが非常に高かったと言う事実がある。働く人間が最も輝いていた時代、そして未来に大きな展望がもたれていた時代である。それだけに怪獣はパワフルに、そして豪快に作られている。
 そしてこの年は東宝、大映以外にも日活が『大巨獣ガッパ』を、松竹が『宇宙大怪獣ギララ』を投入している。年間に四社の怪獣映画放映なんて、この年だけ。
 1968年末にいわゆるオイル・ショックが起こり、高度成長時代に陰りが見えてくる。バラ色の未来への夢が段々薄れていく時代へと変わっていく。それに連れて怪獣映画も様変わりしていく。
60年代に作られた作品と70年代になって作られた作品には、実はかなりの隔たりがあるのだ
大怪獣ガメラ

<A> <楽>
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WikipediaJ
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永田雅一(製)
高橋二三(脚)
船越英二
姿美千子
霧立はるみ
山下洵一郎
北原義郎
内田喜郎
浜村純
吉田義夫
左卜全
北城寿太郎
藤山浩二
大川修
小山内淳
中田勉
森矢雄二
大山健二
村田扶実子
高田宗彦
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 北極に某国の水爆輸送機が撃墜され、そのエネルギーで古代アトランティスの伝説の怪獣・ガメラが復活を遂げた。飛行能力を有し、金属よりなお固い体と全ての爆発エネルギーを栄養にしてしまうガメラ。ガメラに命を助けられ、何とか助かって欲しいという少年トシオの思いも空しく、ガメラはエネルギーを求めて暴れ始める。あらゆる軍事行動に失敗した人類は全ての科学を結集させ、最後の手段「Z計画」をガメラに試みる
 東宝の『ゴジラ』(1954)に対抗して大映が試みた特撮野心作。単に破壊するだけではゴジラと同じになってしまうからか、色々と違いを出すべく様々な試みがなされているのが特徴で、後年の作品に色濃く残されていく(「ガメラは子供が好き」というのも既にここから始まっている)
 大映はこれが最初の特撮作品になるはずだが、ガメラの動きと言い、特撮の凝り方と良い、かなり凄い水準に達している。飛行機の描き方は特に良い。アニメーション合成もさほど違和感無しだし、特に尻尾の演技は特筆に値する(ゴジラでの操尾技術も凄かったけど)。飛行の見せ方も実に巧い。
 事は日本だけでなく、世界を舞台としているのも良い。最後の「Z作戦」は全世界が共同して行っていると言うことで、冷戦を笑い、グローバリゼーションをしっかり念頭に置いていることが分かる(冒頭で原爆が爆発した時はちょっと驚いたけど)。更に子供を起用することで、怪獣が単なる恐怖とは違っていることを印象づけていることも大切だろう。
 だけど、「ガメラは悪い奴じゃないんだ」というのが、どうもこの映画を中途半端な位置づけにしてしまった感じだし、冒頭のイヌイット(劇中ではエスキモー)がどう見ても日本人にしか見えないとか、アトランティスが北極にあるとか、少々気になるアラも多い感じ。ガメラの登場もあまりに早すぎて、ちょっとサービスしすぎかな?
 『ゴジラ』の対抗作品としてではなく、単体でかなり水準が高い作品なので、是非鑑賞をお勧めする。

 先に本作は『ゴジラ』の対抗として作られたと書いたが、当時大映は特撮のノウハウが低かったため、スタッフの多くは実は東宝からアルバイトできていた『ゴジラ』組の面々だったのだとか(彼らは「Xプロ」と称されている)。道理で手慣れてるはずだ。
製作年 1965
製作会社 大映
ジャンル 怪獣(SF)
売り上げ
原作
歴史地域
関連 シリーズ第1作
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