砂の器 |
1974キネマ旬報日本映画第2位
1974毎日映画コンクール日本映画大賞、監督賞、脚本賞、音楽賞 |
|
橋本忍
佐藤正之
三嶋与四治(製)
橋本忍
山田洋次(脚) |
丹波哲郎 |
加藤剛 |
森田健作 |
島田陽子 |
山口果林 |
加藤嘉 |
春日和秀 |
笠智衆 |
松山省二 |
内藤武敏 |
春川ますみ |
稲葉義男 |
花沢徳衛 |
信欣三 |
松本克平 |
浜村純 |
穂積隆信 |
山谷初男 |
ふじたあさや |
菅井きん |
野村昭子 |
今井和子 |
猪俣光世 |
高瀬ゆり |
後藤陽吉 |
森三平太 |
今橋恒 |
櫻片達雄 |
瀬良明 |
久保晶 |
中本維年 |
松田明 |
西島悌四郎 |
土田桂司 |
丹古母鬼馬二 |
高橋寛 |
渡辺紀行 |
山崎満 |
北山信 |
千賀拓夫 |
浦信太郎 |
菊地勇一 |
今井健太郎 |
山本幸栄 |
小森英明 |
水木涼子 |
戸川美子 |
佐分利信 |
緒形拳 |
渥美清 |
|
|
★★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
2 |
4 |
5 |
3 |
4 |
|
国鉄蒲田操車場構内で発見された扼殺死体。被害者の身元が分からず捜査は難航したが、警視庁の今西栄太郎刑事(丹波哲郎)と西蒲田署の吉村弘刑事(森田健作)らによる地道な聞き込みによって、徐々にその被害者像が浮かんでくる。その捜査上に浮かんできた加害者は音楽家の和賀英良(加藤剛)だった。だが和賀がそのような殺人を行う動機が分からず、更に和賀は前大蔵大臣の娘田所佐知子(山口果林との結婚が目前とされており、捜査は様々な妨害を受けてしまう。そんな中で和賀による大交響曲「宿命」が、巨大なホールを満員にしての発表の日が近づいてくる。
野村芳太郎監督の代表作で、松竹邦画の中でも最高作品とまで言われるほどの知名度を誇る名作。テレビ映画問わず様々な媒体で映像化された松本清張小説の中でも最高の出来と言われる。山田洋次も関わった脚本は原作者が満足した数少ない映画の一本。
松本清張の推理小説の多くは、名探偵や怪盗は登場せず、捜査員の地道な捜査が延々と行われ、途切れそうな細い線をたどっていくうちに事の真相が見えてくる。という特徴がある。一見これは地味な作風に見えるのだが(事実明らかに手を抜いた作品だと、地味なまま終わるのも結構ある)、これは捜査そのものを主眼とするのではなく、被害者や加害者の姿を通して日本の暗黒部分を探ろうとする努力がそこにはある。本作の捜査員は決してスーパーマンでもなければはみ出し刑事でもない。足を使ってひたすら聞き込みを続けるだけの、実に地道な人物。だから物語にメリハリが無く、だからなんか流して観ていると、延々代わり映えのない捜査を続けていくだけ(途中にちょっとしたお色気などを含めつつ)。だから、敢えて言えば結構退屈な作品でもある。その中で暑い中全国を回り、その情景を観る位がメリハリかな?勿論オールスター名優が次々に登場するのも見所ではあるが、物語にしても最初から胡散臭い人間として登場する加藤剛が、やっぱり犯人になってしまうと言う非常に単純な構造で、なんの驚きもない。
我々一般人が見ることが出来ない歴史の裏側や、この時代にあってこんな悲惨な人間が実際にいるのだ。という事を示す。そのためにどれだけ多くの人に話を聞いたり、資料を探しただろうか。と裏を見るのが楽しい作品でもある。
本作の場合も基本は同じで、捜査自体はとてつもなく地味。ただし日本各地を巡りつつ、被害者像と加害者像を結んで行くうちに見えてくる情景がある。ここではそれがハンセン病という形を取るのだが、地道に地道に、しかし少しずつ明らかになっていく患者の辛さや、だからこそ堅く結びついていく親子の情愛などが見えてくる構図となる。
本作は前半部分がとにかく地味な展開が延々と続くばかりで、なんでこれが名作?と思いつつ観ていたら、最後でキタ。
本作が大作と言われる本当の意味はラスト30分以上にわたる交響曲「宿命」の演奏シーンで明らかにされる。和賀が自分の出生を隠す理由は、小説の中では僅か数行しか書かれていないのだが、それを思い切りふくらませ、ハンセン病の父を持ってしまった子供時代の悲しき思い出と親子の情愛を、オーケストラの演奏に合わせてその物語が展開される。
ここに関しては、本当に圧倒的な迫力。ラスト部分はビデオでさえ泣けたが、これを大画面で観られたら至福の思いに至っただろうとさえ思える。機会あれば、これを劇場で観てみたいものだ(ある意味この作品は鉄道マニアにも感涙ものかもしれない)。
本作にかける松竹の意気込みは大変なものだったらしく、小説が出てすぐに松竹が映画化権を獲得したにも関わらず、構想だけで14年かけ、大作慣れしている野村芳太郎監督を指名。更に隠し球として山田洋次まで脚本で関わらせた万全の布陣で臨み、日本映画としては珍しく洋画系ロードショー館での単独興行を行った。
確かにこの迫力は気軽に観てはいけないものを感じさせられる。 |
製作年 |
1974 |
製作会社 |
|
ジャンル |
|
売り上げ |
|
原作 |
|
歴史地域 |
|
関連 |
|
キーワード |
|
|