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2005 | 4'8 死去 | |||||||||
2004 | ||||||||||
2003 | ||||||||||
2002 | ||||||||||
2001 | ||||||||||
2000 | ||||||||||
1999 | ||||||||||
1998 | ||||||||||
1997 | ||||||||||
1996 | ||||||||||
1995 | ||||||||||
1994 | ||||||||||
1993 | ||||||||||
1992 | 復活の朝 製作総指揮 | |||||||||
1991 | ||||||||||
1990 | ||||||||||
1989 | ||||||||||
1988 | ||||||||||
1987 | ||||||||||
1986 | キネマの天地 製作 | |||||||||
1985 | 危険な女たち 監督・製作 | |||||||||
1984 | ねずみ小僧怪盗伝 監督・製作・脚本 | |||||||||
彩り河 製作・脚本 | ||||||||||
1983 | 迷走地図 監督・製作・脚本 | |||||||||
きつね 製作 | ||||||||||
天城越え 製作 | ||||||||||
1982 | 疑惑 監督・製作 | |||||||||
幻の湖 監督・製作 | ||||||||||
1981 | 真夜中の招待状 監督・製作 | |||||||||
1980 | わるいやつら 監督・製作 | |||||||||
震える舌 監督・製作 | ||||||||||
1979 | 配達されない三通の手紙 監督・製作 | |||||||||
1978 | 鬼畜 監督 | |||||||||
事件 監督・製作 | ||||||||||
1977 | 八つ墓村 監督 | |||||||||
八甲田山 製作 | ||||||||||
1976 | ||||||||||
1975 | 昭和枯れすすき 監督 | |||||||||
1974 | 砂の器 監督 | |||||||||
東京ド真ン中 監督 | ||||||||||
1973 | しなの川 監督 | |||||||||
ダメおやじ 監督・脚本 | ||||||||||
宮本武蔵 脚本 | ||||||||||
花と龍 青雲篇 愛憎篇 怒涛篇 脚本 | ||||||||||
1972 | 初笑いびっくり武士道 監督・脚本 | |||||||||
人生劇場 青春・愛欲・残侠篇 製作・脚本 | ||||||||||
1971 | 花も実もある為五郎 監督・脚本 | |||||||||
コント55号とミーコの絶体絶命 監督・脚本 | ||||||||||
1970 | なにがなんでも為五郎 監督・脚本 | |||||||||
影の車 監督 | ||||||||||
コント55号と水前寺清子の大勝負 監督・脚本 | ||||||||||
こちら55号 応答せよ!危機百発 監督・脚本 | ||||||||||
青春大全集 原作 | ||||||||||
1969 | ひばり・橋の 花と喧嘩 監督・脚本 | |||||||||
でっかいでっかい野郎 監督・脚本 | ||||||||||
チンチン55号ぶっ飛ばせ!出発進行 監督・脚本 | ||||||||||
ワン.ツー.パンチ 三百六十五歩のマーチ 貞永方久と共同監督・共同脚本 | ||||||||||
1968 | 白昼堂々 監督・脚本 | |||||||||
夜明けの二人 監督・脚本 | ||||||||||
コント55号と水前寺清子の神様の恋人 監督・脚本 | ||||||||||
天使の誘惑 脚本 | ||||||||||
1967 | 男なら振りむくな 監督・脚本 | |||||||||
女の一生 監督・脚本 | ||||||||||
あゝ君が愛 監督・脚本 | ||||||||||
濡れた逢びき 脚本 | ||||||||||
1966 | 命果てる日まで 監督 | |||||||||
おはなはん 第二部 監督 | ||||||||||
おはなはん 第一部 監督 | ||||||||||
暖流 監督・脚本 | ||||||||||
望郷と掟 監督 | ||||||||||
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1965 | 素敵な今晩わ 監督 | |||||||||
1964 | 五瓣の椿 監督 | |||||||||
拝啓総理大臣様 監督・脚本・音楽 | ||||||||||
続・拝啓天皇陛下様 監督・脚本 | ||||||||||
1963 | あの橋の畔で 完結篇 監督・脚本 | |||||||||
あの橋の畔で 第3部 監督・脚本 | ||||||||||
拝啓天皇陛下様 監督・脚本 | ||||||||||
1962 | あの橋の畔で 第2部 監督・脚本 | |||||||||
あの橋の畔で 第1部 監督・脚本 | ||||||||||
左ききの狙撃者 東京湾 監督 | ||||||||||
春の山脈 監督・脚本 | ||||||||||
1961 | 背徳のメス 監督 | |||||||||
恋の画集 監督・脚本 | ||||||||||
ゼロの焦点 監督 | ||||||||||
二階の他人 脚本 | ||||||||||
1960 | 最後の切札 監督 | |||||||||
1959 | ||||||||||
1958 | モダン道中 その恋待ったなし 監督・脚本 | |||||||||
張込み 監督 | ||||||||||
1957 | 伴淳・森繁の糞尿譚 監督 | |||||||||
1956 | ここは静かなり 監督・脚本 | |||||||||
花嫁募集中 監督・脚本 | ||||||||||
角帽三羽烏 監督・脚本 | ||||||||||
1955 | 花嫁はどこにいる 監督・脚本 | |||||||||
亡命記 監督 | ||||||||||
続おとこ大学 新婚教室 監督・脚本 | ||||||||||
1954 | びっくり五十三次 監督 | |||||||||
青春ロマンスシート 青草に坐す 監督 | ||||||||||
伊豆の踊子 監督 | ||||||||||
慶安水滸伝 監督 | ||||||||||
1953 | 青春三羽烏 監督・脚本 | |||||||||
鞍馬天狗 青面夜叉 監督 | ||||||||||
きんぴら先生とお嬢さん 監督 | ||||||||||
愚弟賢兄 監督 | ||||||||||
次男坊 監督 | ||||||||||
学生社長 助監督 | ||||||||||
1952 | 鳩 監督 | |||||||||
明日は月給日 助監督 | ||||||||||
相惚れトコトン同志 | ||||||||||
1951 | 天使も夢を見る 助監督 | |||||||||
白痴 助監督 | ||||||||||
1950 | ||||||||||
1949 | ||||||||||
1948 | ||||||||||
1947 | ||||||||||
1946 | ||||||||||
1945 | ||||||||||
1944 | ||||||||||
1943 | ||||||||||
1942 | ||||||||||
1941 | ||||||||||
1940 | ||||||||||
1939 | ||||||||||
1938 | ||||||||||
1937 | ||||||||||
1936 | ||||||||||
1935 | ||||||||||
1934 | ||||||||||
1933 | ||||||||||
1932 | ||||||||||
1931 | ||||||||||
1930 | ||||||||||
1929 | ||||||||||
1928 | ||||||||||
1927 | ||||||||||
1926 | ||||||||||
1925 | ||||||||||
1924 | ||||||||||
1923 | ||||||||||
1922 | ||||||||||
1921 | ||||||||||
1920 | ||||||||||
1919 | 4'23 京都で誕生 |
震える舌 1980 | |||||||||||||||||||||||||||
1980ブルーリボン主演女優賞(十朱幸代) | |||||||||||||||||||||||||||
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事件 1978 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1978日本アカデミー作品賞、主演女優賞(大竹しのぶ)、助演男優賞(渡瀬恒彦)、脚本賞、撮影賞 1978ブルーリボン助演男優賞(渡瀬恒彦) |
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新宿のホステス殺しの容疑者として逮捕されたのはホステスの妹ヨシ子の同棲相手上田(永島敏行)だった。ほぼ犯人は決まったと思われた公判が始まったのだが、辣腕弁護士菊池(丹波哲郎)の誘導によって公判は二転三転していく。果たして事件の真相とは… ハリウッド映画では重要なジャンルの一つとして裁判ものがある。その中には数々の傑作と言われるものがあるが、それは裁判王国と言われるアメリカならではのものだと思っていた…本作を観るまでは。 何だこれ。日本でこんな高水準にまとまった作品があったのか?相当な驚きで観られた。 ハリウッドの裁判もののジャンルに則って、裁判の様子が二転三転していくのだが、それは単に事件の真相であるに限らない。登場キャラの心理をえぐり出して、日本的な人情話への切り換えも巧みであり、心理状況までもが前提から覆される。どんでん返しの面白さの快感もしっかり与えてくれる。 それに丹波哲郎、佐分利信、芦田伸介という、声にも脂の乗った男優達が織りなす丁々発止のやりとり、そこに割ってはいる大竹しのぶの甲高いヒステリックな声。まあとにかくキャラの円熟度が高くて楽しい。 ここではあくまでただ存在してるだけって感じの永島敏行も、逆にその硬さが他のキャラを際だたせる結果となっているのも面白い。逆に「これ演技じゃないの?」と思わせてくれるので、それが良い効果を与えている。 |
八つ墓村 1977 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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身寄りのない工員として働いている辰弥(萩原健一)は、新聞の尋ね人の公告に自分の名前が載っているのを発見する。なんと彼は山奥の村の名主の後継者だというのだ。だがその村はかつて平家の落武者8人を惨殺したという村で、32人もの男女が殺されるという事件が起こった曰く因縁のある村で、彼の到着を待つかのように、再び連続殺人が巻き起こる。その謎を解くため、金田一耕助(渥美清)が村へとやってくるのだった。 横溝正史の金田一シリーズは数多く映画化され、中でも石坂浩二や古谷一行などが有名ながら、「たたりじゃ〜」で有名な、代表作の一つとも言える本作の映画化(3作作られてるけど)はそれらの有名な人物ではないのが特徴(古谷一行はテレビシリーズで登場)。特にこの年に公開となった本作では金田一役がなんと渥美清!凄え違和感。更におばあちゃん役で市原悦子まで登場(それにしても、この人30年近く前からあんまり変わってないって事実が恐ろしいな)。キャスティングを見るだけだと、なんだかほのぼの系の映画に思えてしまう。 しかしながら、他の金田一シリーズと較べても、本作の物語のハードさ、グロさは群を抜いている。部分的に特撮まで用いての残虐描写、ラストの萩原健一の悪夢のような追跡劇。追いかける方が完全に鬼女化しており、もはやこれは推理ものって言うより、こりゃまんまホラーだよ…実はかなりお気に入りだったりする。 最後まで渥美清には違和感を感じ続けたが、その分あまり場面には登場せず、萩原健一を中心に展開するのは正しい選択だった。しかし、最後の淡々と謎解きをする渥美清にはそれなりにアームチェア・ディテクティヴの貫禄があり、改めて器用な役者であることを思わせてもくれる…が、やっぱり渥美清が金田一ってのは、ミスマッチのような? |
砂の器 1974 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1974キネマ旬報日本映画第2位 1974毎日映画コンクール日本映画大賞、監督賞、脚本賞、音楽賞 |
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国鉄蒲田操車場構内で発見された扼殺死体。被害者の身元が分からず捜査は難航したが、警視庁の今西栄太郎刑事(丹波哲郎)と西蒲田署の吉村弘刑事(森田健作)らによる地道な聞き込みによって、徐々にその被害者像が浮かんでくる。その捜査上に浮かんできた加害者は音楽家の和賀英良(加藤剛)だった。だが和賀がそのような殺人を行う動機が分からず、更に和賀は前大蔵大臣の娘田所佐知子(山口果林との結婚が目前とされており、捜査は様々な妨害を受けてしまう。そんな中で和賀による大交響曲「宿命」が、巨大なホールを満員にしての発表の日が近づいてくる。 野村芳太郎監督の代表作で、松竹邦画の中でも最高作品とまで言われるほどの知名度を誇る名作。テレビ映画問わず様々な媒体で映像化された松本清張小説の中でも最高の出来と言われる。山田洋次も関わった脚本は原作者が満足した数少ない映画の一本。 松本清張の推理小説の多くは、名探偵や怪盗は登場せず、捜査員の地道な捜査が延々と行われ、途切れそうな細い線をたどっていくうちに事の真相が見えてくる。という特徴がある。一見これは地味な作風に見えるのだが(事実明らかに手を抜いた作品だと、地味なまま終わるのも結構ある)、これは捜査そのものを主眼とするのではなく、被害者や加害者の姿を通して日本の暗黒部分を探ろうとする努力がそこにはある。本作の捜査員は決してスーパーマンでもなければはみ出し刑事でもない。足を使ってひたすら聞き込みを続けるだけの、実に地道な人物。だから物語にメリハリが無く、だからなんか流して観ていると、延々代わり映えのない捜査を続けていくだけ(途中にちょっとしたお色気などを含めつつ)。だから、敢えて言えば結構退屈な作品でもある。その中で暑い中全国を回り、その情景を観る位がメリハリかな?勿論オールスター名優が次々に登場するのも見所ではあるが、物語にしても最初から胡散臭い人間として登場する加藤剛が、やっぱり犯人になってしまうと言う非常に単純な構造で、なんの驚きもない。 我々一般人が見ることが出来ない歴史の裏側や、この時代にあってこんな悲惨な人間が実際にいるのだ。という事を示す。そのためにどれだけ多くの人に話を聞いたり、資料を探しただろうか。と裏を見るのが楽しい作品でもある。 本作の場合も基本は同じで、捜査自体はとてつもなく地味。ただし日本各地を巡りつつ、被害者像と加害者像を結んで行くうちに見えてくる情景がある。ここではそれがハンセン病という形を取るのだが、地道に地道に、しかし少しずつ明らかになっていく患者の辛さや、だからこそ堅く結びついていく親子の情愛などが見えてくる構図となる。 本作は前半部分がとにかく地味な展開が延々と続くばかりで、なんでこれが名作?と思いつつ観ていたら、最後でキタ。 本作が大作と言われる本当の意味はラスト30分以上にわたる交響曲「宿命」の演奏シーンで明らかにされる。和賀が自分の出生を隠す理由は、小説の中では僅か数行しか書かれていないのだが、それを思い切りふくらませ、ハンセン病の父を持ってしまった子供時代の悲しき思い出と親子の情愛を、オーケストラの演奏に合わせてその物語が展開される。 ここに関しては、本当に圧倒的な迫力。ラスト部分はビデオでさえ泣けたが、これを大画面で観られたら至福の思いに至っただろうとさえ思える。機会あれば、これを劇場で観てみたいものだ(ある意味この作品は鉄道マニアにも感涙ものかもしれない)。 本作にかける松竹の意気込みは大変なものだったらしく、小説が出てすぐに松竹が映画化権を獲得したにも関わらず、構想だけで14年かけ、大作慣れしている野村芳太郎監督を指名。更に隠し球として山田洋次まで脚本で関わらせた万全の布陣で臨み、日本映画としては珍しく洋画系ロードショー館での単独興行を行った。 確かにこの迫力は気軽に観てはいけないものを感じさせられる。 |
コント55号とミーコの絶体絶命 1971 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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でっかいでっかい野郎 1969 | |||||||||||||||||||||||||||
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ワン.ツー.パンチ 三百六十五歩のマーチ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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白昼堂々 1968 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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五瓣の椿 1964 | |||||||||||||||||||||||||||
1964ブルーリボン主演女優賞(岩下志麻) | |||||||||||||||||||||||||||
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続・拝啓天皇陛下様 1964 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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拝啓天皇陛下様 1963 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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貧しい育ちで陸軍に入隊した“ヤマショウ”こと山田正助(渥美清)。彼にとって娑婆は住みにくいことおびただしく、その分三食確保され、給与までもらえる軍隊での生活は、まるで別天地のように思えた。意地悪な上官の横暴さや、迫ってくる上官もいたりしたが、何かと気にかけてくれる棟元博(長門裕之)もいて、訓練や戦うことは全然苦にならず。連合軍と中国軍によってどんどん苦しくなっていく中、あくまで陽気に軍隊生活を送っていた。そんなある日、ヤマショウは日本が降伏するかもしれない。という噂を聞きつける。そんな時、山正が取った行動は… 日本映画において天皇の存在と言うのは、非常に描きにくい題材だった(今でもだが)。ある意味不可侵の存在であり、出来る限り避けるのが普通(ある意味“生”の天皇の姿を描くのはおそらく日本では無理で、その意味でソクーロフの『太陽』は大きな意味を持つ作品と言える)。それでも時代によってさまざまな形で描かれてはきた。 たとえば戦前や戦中では、天皇の存在そのものが現人神としてでなければならないので、存在そのものを描くことはせず、言葉の端々で表わされるように工夫がなされていたし(しかしながら、今になってそういう作品を観ると、天皇の名前はかなり都合よくつかわれていて、こっちの方が不敬に見える場合が往々にしてあるが)、戦後天皇の人間宣言がなされた後の民主主義を啓蒙する作品では、やはり本人は登場させずに登場人物の言葉の端々であくまで天皇を人間として、象徴であるとして捉えなおそうという試みがなされていった。 本作もやはり戦後民主主義の中で生まれた作品であり、天皇という存在を脱構築しようとした野心的な作品の一本と言える。本作の基調はあくまでコメディ。ただし、それがブラックなものにならないようにきちんと配慮が行き届いているし、挑戦的なタイトルにもかかわらず、極力誰も傷つかないよう、ちょっとだけずれた人間の行動の面白さを描こうとしているのが特徴で、きちんと人情味溢れる作品に仕上げてくれている。 物語自体が非常にうまくできていて、たとえば単なるお調子者のようにしか見えないヤマショウがなぜ軍隊をこんなに愛するのか。という一事においても、それは、ある人間にとっては普通に生きるということの難しさそのものを示してもいるだろう。我々が当たり前としている生き方ができない人間と言うのはどの時代でも必ずいたわけだし、軍という非人道的な機関に捉えられがちな空間でも、人情もあれば笑いもある場所として居場所を見つける人もいる。どんな生活であっても、無責任に断罪することはできないし、そこにあるものを見落とさないようにしているがために、こんな不器用な生き方しかできないヤマショウに感情移入ができるのだ。知らず、不器用なヤマショウを棟元の視線で見て、幸せになってほしいと願い、そして本当に幸せになってよかった。と思った瞬間にその訃報を知る…あのラストは悲しくて泣けるし、それで決して後味も悪くない。見事な脚本だ。 何より渥美清の好演が光る。粗野な中に暖かさを感じさせる演技は独壇場だが、本作ですでに後年の『男はつらいよ』の車寅次郎の片鱗がうかがえるし、その一番の演技を上手く引き出してみせた野村監督の上手さが光る。渥美清あってこその作品であったことを改めて感じさせてくれる。 |