MOVIETOP

八木毅

<A> <楽>
allcinema
検索
IMDb
WikipediaJ
WikipediaE
鑑賞本数 1 合計点 3.5 平均点 3.50
allcinema Walker 検索 IMDb CinemaScape
WikipediaJ キネ旬 eiga.com WikipediaE みんシネ
書籍
2009 都市伝説セピア 監督
2008 大決戦!超ウルトラ8兄弟 監督
2007 ULTRASEVEN X<TV> 1、2、9、11,12話 監督・シリーズ構成
2006 ウルトラマンメビウス<TV> 31、32話 監督
2005
ウルトラマンマックス
<A> <楽> 監督
wiki
2004 ウルトラQ 〜dark fantasy〜<TV> 1、5、17、21、23話 監督
ウルトラマンネクサス<TV> 17、18、30、31話 監督
2001 ウルトラマンガイア ガイアよ再び<OV> 監督
ウルトラマンコスモス<TV> 19、20、33、34、45、46、50、51、56、57話 監督
1967 東京で誕生

ページトップへ

大決戦!超ウルトラ8兄弟 2008

<amazon>
<楽天>
長谷川圭一(脚)
長野博
つるの剛士
吉岡毅志
五十嵐隼士
黒部進
森次晃嗣
団時朗
高峰圭二
吉本多香美
桜井浩子
ひし美ゆり子
榊原るみ
星光子
斉藤りさ
橋本愛
高野八誠
佐原健二
木之元亮
風見しんご
中田宏
川地民夫
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
特撮事典
 幼なじみのアスカ(つるの剛史)、我夢(吉岡毅志)と共にテレビの「ウルトラマン」に夢中になっていたダイゴ(長野博)。こどもの頃三人が知り合った白い服の少女と共に夢を語っていた。だが大人となった今、ダイゴは宇宙飛行士の夢を捨て横浜市役所の職員として平凡な毎日を送っていた。プロ野球選手となりたいと願っていたアスカは横浜球場でボールボーイとして、科学者になりたかった我夢は科学館の職員として、やはりどこか後ろめたさを持ちつつも、平凡な生活に埋もれている。だが、ダイゴは最近になって不思議な夢を見るようになった。近所のおじさん達がウルトラマンとなって怪獣達と戦っている姿。更にそれは自分自身がウルトラマンになっているというもの。だんだんその夢は頻繁になり、ついには白昼夢まで見るようになってしまう。夢で横浜に登場した見知らぬウルトラマンを応援するダイゴ。だがその直後、現実世界にそのウルトラマンの人間体ヒビノミライ(五十嵐隼士)が現れ、ダイゴに「七人の勇士が必要だ」と語りかける…
 まずはこの作品をよく作ったと言うことには感謝したい。意表をつく昭和シリーズと平成シリーズの合体を破綻なくまとめ上げた脚本も褒めたいし、何より全員オリジナルメンバー+懐かしのレギュラーメンバー総出演はファンなら感涙もの。実際
よくここまでキャスティングしてくれたと感謝したいくらいだ。
 まずはこの合体について一言述べさせていただこう。
 
ウルトラマンは「帰ってきたウルトラマン」以降同一世界観で作られていた。これは放送の都合上、過去のウルトラマンたちが「兄弟」として登場すると視聴率が稼げるという制作上の利点によるものだったが(もちろん「仮面ライダー」シリーズの影響もあってのこと)、世界観が統一されたお陰で設定マニアたちが推測を交えて様々な物語を考え出す余地を与え、シリーズとして深まりを持たせることに成功した。だがそれも「ウルトラマン80」を以って終わりを告げ、それから実に20年の年月を経て平成の世に復活した「ウルトラマンティガ」は、前のシリーズとは全く異なる世界観で作られるに至った。その後連続して「ダイナ」「ガイア」が作られたが、この三部作も緩やかなつながりを持つため、一つのシリーズとして考えられる。ここにおいてウルトラマンは二つのシリーズを持つに至った訳だ。
 この二つの全く異なるシリーズを合体させるきっかけを作ったのは、2006年の「ウルトラマンメビウス」の存在あってのこと。昭和時代のシリーズ最終作
「ウルトラマン80」放送終了後25年も経過し(「ウルトラマン」に至っては40年ぶり)、ここで昭和シリーズの正統な続編が作られた。TV版の「ウルトラマンメビウス」は旧作の主人公たちが次々と登場するわ、昭和シリーズで中途半端に終わった物語に決着をつけてみせるわでオールドファンにとっては感涙ものの演出が続出し、まさに「大きなお友達」のために作られた作品と言っても良いくらいの感動作。おかげで私自身も初めて前劇場作品『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』で劇場に足を運んだくらいだから。これは本当に素晴らしい作品だった。
 このメビウスが昭和と平成二つの物語をつなげる形で本作は誕生するに至ったのである。
 さすがに普通に物語をつなげるのは無理があるため、パラレルワールドと言う設定で、しかもメビウスがティガと知り合うことを契機として物語は作られた。ちょっとややこしくなるが、本作は
正統的昭和シリーズ(メビウス)と、パラレルワールドの昭和シリーズ(マン、セブン、ジャック、A)、パラレルワールドの平成シリーズ(ティガ、ダイナ、ガイア)の三つの物語をくっつけて誕生したことになる。それによって豪華なオールスターキャスト全員参加の物語が誕生したのである。

 このパラレルワールドと言う設定はかなり痛し痒し。良い部分と悪い部分くっきりと目立つことになってしまった。
 悪い部分というのは、物語の強引な結び付けによって、全部の過去を一旦リセットしてしまったこと。この作品はノスタルジーはあっても外伝的な要素が強く、過去からつながる設定の引き継ぎがなくなってしまったため、
残念ながら物語が表層的で薄いものになってしまった。過去からの膨大な物語、資産がほとんど生かされなかった結果、ウルトラマンたちは個性が弱く、大半が単純に登場しただけになってしまったのが痛い(前作はそこから思い切り盛り上げてくれたのに)。物語の性質上仕方なかったこととは言え、特撮ファンの目で見ると、これは結構寂しい。敵も個性が弱く、合体後の姿に至ってはCGそのもの。特に戦いも終わりくらいになると描写は特撮と言うよりもアニメーションに近い。主だった強敵は「ウルトラマンメビウス」本編で出尽くしたとはいえ、ヒッポリト星人ではやっぱり弱いな。変身シーンまではかなり盛り上がったのに、いざ変身した後の戦いのシーンが盛り上がらなかった。
 一方良い点は、パラレルワールドだけに、シリーズでは見られなかった
「こうだったら良かったのに」という組み合わせが観られることだろう。この作品は特に女性の描写に力が入っていて、オリジナルキャストをわざわざ引っ張ってきて、本シリーズではありえなかった組み合わせを夫婦役としてキャスティングしている。ウルトラマンのハヤタにはフジアキコが、セブンの諸星ダンにはアンヌが、ジャック(新マン)の郷秀樹には坂田アキが(岸田森の遺影も泣かせる)、エースの北斗には南が。これら本シリーズの関係は劇中好き合っていることが繰り返し描かれているにもかかわらず、決して結ばれることなく、最後は別れてしまう運命にあった恋人たちだった。彼らがこのパラレルワールドではそれぞれちゃんと結ばれ、夫婦となって歳を取っているいるというのは、ファンとしては、観たかったものを見せられた感じで頬が緩む(残念ながら平成版の方の組み合わせは分からないが、これも知ってる人からすれば納得行く組み合わせなのだろう)。しかも単に夫婦になっているだけでなく、お互いの信頼関係をしっかり描けているのは大きい。怪我をした妻をつききりで看病してる姿もあれば、一番一緒にいてほしいはずの良人を信頼して何も言わず送り出す女性の姿もあり。それぞれのヒーローが、二人の信頼関係あって戦えるということをよく示している。さらに昭和シリーズヒロインたちが一同に介してのフラダンスのシーンなんかもあって、これだけでかなり点数を甘くしたくなる程だ。
 私に限って言えば、昭和シリーズの頃は小学生で、昭和シリーズに関して少なからず思い入れと知識を持つが、しばらくの間この手のサブカルチャから離れたこともあって、平成シリーズはほとんど観ておらず、こちらの方は全然わからず。だから昭和シリーズと平成シリーズの合体と言われても本当の意味で楽しめたのは半分だけだが、それだけでも充分ノスタルジーには浸れた。
 ウルトラマン登場以降の描写の弱さを置けば、概ねにおいては満足な作品とは言えるだろう。バトルシーンでの不満は『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』かTV版本編のビデオで楽しませてもらおう。

 ちなみに本作では
『ウルトラマンガイア』のウルトラマンアグル役の高野八誠も登場しているが(劇中未変身)、実は同じく『ウルトラマンガイア』に出演した石田裕加里と結婚。夫婦役でラストに出演してる(しかもラストで抱いていたこどもは二人の実子)。

ページトップへ