2003'10〜12

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03'12'29 げんしけん3 (著)木尾士目 <amazon>
 あいかわらずまったりとした日常を過ごすげんしけんの面々。夏はコミフェスに行き、部室でだべり…部室存亡の危機にまで…
 微妙にイタイ描写を時折挿入し、話が展開していく。徐々に斑目のキャラがどんどんイタくなっているような気がするが…
 昔プラモデル作りに燃えていた時期があったが(徐々にエスカレートして自作の造形物もいくつか…)、そう言う話が中にあって、なんか昔を思い出してしまった。でもまだまだ描写がぬるいぞ(笑)
げんしけん 3 (3)
03'12'27 ガメラ対バルゴン
近藤和久 (検索) <amazon> <楽天>
 『ガメラ2 レギオン襲来』(1996)でレギオンを倒したガメラ。だが、ガメラに安息の日はまだやってこなかった。南島の秘境“虹の谷”で狂った科学者がバルゴンの卵を持ち帰ってしまったのだ。孵化したバルゴンは東京を襲う…

 著者の作品を初めて見たのはガンダムブームに沸く中学の時。イラストレーターとして、又モデラーとして活躍していた人物なのだが…何故だか私は非常にこの人と相性が悪かった。色々ロボットのオリジナルデザインとかもしてたけど、どうにもセンスが合わない人物だった(その後相性の悪いデザイナーには何人にも出会ったが、多分この人が一番最初だと思う)。そういや昔からマンガも描いてたよな。この人が描いた「Zガンダム」なんてのもあったよ(確か途中で打ち切られてたけど)
 私とは確かに相性は悪いけど、なかなかそそるタイトルじゃないか。『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』(1966)のバルゴンを持ってくるのはなかなか卓見だ。
 と、言うことで購入。
 描き始めたのが『ガメラ2 レギオン襲来』(1996)公開時って事は、これって10年越しのマンガなんだ。
 でも、やっぱり相性の悪さは変わってなかったみたい。
 大変失礼な言い方には違いないんだが、面白いと思えないんだもん。まあ、これは私だけだろうけどね。
<A> <楽>
03'12'25 昭和天皇の終戦史
吉田裕 (検索) <amazon> <楽天>
 1945年8月。第2次世界大戦が終了。日本は敗戦となった。日本を一時期統治していた連合軍にとって重要な問題。それは日本の天皇制をどうするべきか。であった…結果的に残されることとなった天皇制だったが、果たして天皇に戦争責任はあったのかどうか、それを検証する。
 これは真面目な気持ちで読んだ訳ではなく、単に積まれていた未読本の一番上にあったから。と言うだけで読んだ作品なのだが、思った以上に骨太な作品だった。
 私は当然戦争を知らない世代に属するが、日本における戦争を語る場合、我々は戦争を開始したのは軍部の独走であり、(天皇を含めた)穏健派は開戦を止めようとしたと言う二元論に陥りやすい。そして当然自分は穏健派に属すると言う具合に考えてしまいがち。
 結局悪いのは他人である…それ自身はある意味健康的な考えとも言えるんだが、果たして本当に穏健派は戦争を回避しようとしたのか?と考えることがあったかどうか。歴史を公平に見ることの難しさというものを突きつけられた気分だな。
<A> <楽>
03'12'24 強殖装甲ガイバー21 (著)高屋良樹 <amazon>
 獣神将カブラールにより操られるアプトムをなんとか正気に戻そうとするガイバーI=晶だったが、状況は圧倒的不利であり、ついに殖装を解かされてしまう。一方、3人の獣神将に囲まれたギガンティック・ダーク=顎人は、その不利にもかかわらず、ついに獣神将の一人エンツイ(漢字なのだが、表記できず)を屠った。彼らの行く末は…
 テンションの高さは相変わらずだが、動いているようで全然動かないと言うのも確かな話。前巻ラストから本巻ラストに至るまで、ほんの僅かしか時間的には動いてない。それで又一年待たされるのか?ちょっと効率悪いよなあ。
ガイバー (21)
03'12'23 D−妖殺行 吸血鬼ハンター3
菊地秀行 (検索) <amazon> <楽天>
 貴族によって一つの村が滅ぼされた。死んで貴族の眷属となってしまった村人から貴族に連れ去られてしまった娘を奪回するよう依頼された二組のハンター達。一つは超人的な技を駆使し、これまで一人も欠けることなく何百という依頼を果たしてきた兄弟達。そしてもう一つはDとだけ呼ばれる単独のハンターに。競争のように貴族と連れ去られた娘を負うハンター達だったが…

 今頃になってこんな古いシリーズの、しかもまだ3巻を読んでる私だが、これは単純な話で、著者の作品はそれほど好きって訳じゃないから。たまたま古本屋で100円だったので気晴らしと思って購入してきた。
 一時期夢枕獏と著者は人気を二分する売れっ子作家だった。その時期に二人の作品を読み比べて、はまったのは夢枕獏の方だけ。著者の方は何故か敬遠気味となった(それでも二桁は読んでるけど)。単に好みの問題だろうけど、なんか著者の作品は非常にサービス精神満点な割に描写が薄いというか、ぐぐっと引き込まれる度合いが少ない。漫画を読んでる感覚に近いと言うべきか?
 本作もやっぱりそうで、見所はとても多いし、アクションシーンも練り込まれているにも拘わらず、やっぱりちょっと引いた。見所が多いって事は、流れそのものがあんまり良くないって事。溜めて爆発、と言う過程が全然ないから。結局アクションシーンが小出しに出てくるだけで、絶対に主人公は勝つもと安心してしまうんだろうな。
<A> <楽>
03'12'21 できるかなV3 (著)西原理恵子 <amazon>
 久々に「できるかな」に帰ってきた著者が体当たりで行った数々のチャレンジを著者流の描写で見せる作品。「脱税」(おいおい)、「富士登山」、「気球」、「ホステス」をメインに、その他短編を絡めて描く。
 著者の作品はどれを取っても見事にツボを突いてくれる。もう思いっきり笑ってしまった。特に「ホステス」編で、自分のコネで店に呼んだ作家連中の話で、他のホステスに後ろに大沢在昌本人を尻目に、北方謙三を「「新宿鮫」書いた人だよ」と紹介する…おいおい。それで北方謙三も悪のりして「かいたかいた左足でかいた」…いやあ、やってくれるよなあ。(しかし、それなりに事情分かってないと笑えないところがミソやね)。しかし見てみたかった。北方謙三原作、西原理恵子絵の作品を。実現したらとんでもないのになっただろう。
 ただ、本作では一カ所だけ、絶対に笑えない話もあったが…ちょっと気持ち悪くなった。飯前に全部読むのはお勧めしない。
できるかなV3
03'12'19 はじめの一歩67
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 東日本新人王決定戦でついに板垣と今井の因縁の対決に終止符が打たれた。その戦いで、かつての自分自身の目標を再確認した一歩は、会長に日本王座の返上を申し出る。目標は東洋太平洋王座を巡ってのライヴァル宮田一郎との決戦。

 いよいよ動き出した一歩対宮田。まさかここまで引くとは思ってもみなかったが、後数巻でやっと最初の目標に到達か。なんか読んでて熱くなってきたよ。その後で世界王座まで描くとなると…100巻行くか?
<A> <楽>
03'12'17 骨の袋
スティーヴン・キング(検索) <amazon> <楽天>
 人気小説家のヌーナンは妻のジョアンナの事故死と共に、深刻なライターズ・ブロックとなってしまう。妻の死を悼みながら四年をほぼ無為に過ごした彼はある時から夢で不思議な光景を見るようになった。かつてジョーと共に購入した別荘“セーラ・ラフス”。そこにまつわる恐ろしい夢を…そして引き寄せられるように別荘に向かったヌーナンはそこでマッティとカイラという母娘と出会う。義父のデヴォアとカイラの親権を争っているマッティの後援を自ら買って出たヌーナンだったが、このことは彼の血にまつわる、恐ろしく忌まわしい過去を暴き出すことに…

 ここのところ著者の作品はどうも好みから外れたものばかりだったが(途中で「デッドゾーン」を読み返して、改めて初期の作品は素晴らしいとも思いつつ)、これは久々のスマッシュヒット。初期のキングらしさ(私の好みと言うべきか?)がうまいところ出ていて、読むのを止めることが出来なかった。ほんとに久々のホラーって感じで充分堪能。「ダークハーフ」の時もだったが、作家を主人公にすると、切実度が見えたりもして、そう言う意味でも楽しめた。
骨の袋〈下〉
骨の袋〈下〉
03'12'11 テレーズ・デスケイルゥ
フランソワ・モーリアック (検索) <amazon> <楽天>
 夫殺害未遂事件を起こし、放心状態のまま裁判を受けることになったテレーズ。何故彼女がそこまで思い切った行動に出ようとしたのか。彼女の心理状態を軸に、結婚生活というものについて赤裸々に描いた作品。

 女性の内面を描く作品。内面描写が主なので、外面的にはいつもと変わらぬような生活が淡々と続き、その中で徐々に溜まっていくストレスやそれによって変えられていく女性的な部分。その辺の描写が本作の肝なんだろう。ラストも救いが現れないし、読んでいて非常に不安にさせられる…それが狙いか?
 著者は有名なカトリック作家と言われるが、本作に関してはむしろ宗教的な部分よりは無信仰的な部分が強調されているように思える。それが破滅を導くことを描きたかったのかな?

 時々は文学も読んでみるもんだ。えらい短い作品なのに、気持ちがピシッとする感じがする。
<A> <楽>
03'12'08 彼氏彼女の事情17
津田雅美 (検索) <amazon> <楽天>
 有馬の父親が生きていた。しかもNYで人気のジャズピアニストとして。偶然NYでそのコンサートを聴き、その有馬怜司と出会った雪乃の友人達に、彼は日本に戻り、息子と会うことを伝える。そして日本でついに出会った親子だが…
 大体予想は付いていたとは言え、前作でとりあえずハッピーな状態となった話が、又しても急展開を見せている。
 これからの展開はどうなるんだろう?前に徹底的に精神的揺さぶりをかけただけに、連続してそれをやるとは思えないけど、何か思いもかけない展開が待ってるんだろうか?期待したいな。
<A> <楽>
03'12'07 鉄腕バーディ3 (著)ゆうきまさみ <amazon>
 バーディが解任された。彼女の代わりに二人の捜査官が派遣され、バーディは体の良い「休暇」に入らざるを得なくなったのだが、しかし敵の方は彼女を放っておいてはくれなかった。バーディの活躍を描く。
 2巻までは比較的動きが少なかったが、今回はかなりアクションっぽく仕上がっていて良い感じ。しかし、元の話を知ってる身としては、相変わらず展開の遅さが気になるところではあるが(笑)
 そうそう。バチルスがかなり存在感主張してるのはけっこう良いよ。
03'12'03 終わりの始まり ローマ人の物語XI (著)塩野七生 <amazon>
 統一ローマの最後にして最高の時代。五賢帝の時代はマルクス・アウレリウスで終わりを告げた。次に皇帝となったアウレリウスの息子コモドゥス帝以降、短命の皇帝と弑逆が相次ぐ、ローマの衰亡期へと入っていく。栄光の時代の終わりを描く。
 いやあ、とにかく時間がかかった。一旦読み終え、二度目を読み終えるまでに優に3ヶ月は遣ってしまった。それだけゆっくりと着実に読んでいったお陰で内容は大分頭に入ってくれた。
 少なくともグラディエーター(2000)が私が思ったほど酷い設定ミスをしていなかったと言う事実が分かっただけでも良しとすべきかも知れない。非常に興味深い。
ローマ人の物語〈11〉
03'11'29 白い犬とワルツを
テリー・ケイ (検索) <amazon> <楽天>
 自分の一部だと思っていた妻に先立たれ、呆然となる老人サム。何かれなく彼の面倒をみるこども達や近隣の住民の思い遣りに感謝しつつも、やはり呆然としたまま日々を過ごしていた。そんな彼の前に現れた全身真っ白な犬。不思議なことに彼以外の人間にはなかなか姿を現さないが、まるで彼に寄り添うようにやってきた犬との奇妙な共同生活が始まった。

 本自体が出たのは大分前だそうだが、近年になって大ブレイク。日本では映画も作られている。出来を言うと、原作読んでなければけっこう良い作品だったのだが、原作の方が絶対良いよ。
 白い犬の位置づけが微妙なところがやはり良いんだ。実在しないようで、ちゃんと実在していて、何を考えてるか分からないようでいて一貫してる。そんな感じ。下手に結論づけてないからこそ、良い作品となり得た。
<A> <楽>
03'11'26 国を思えば腹が立つ
阿川弘之 (検索) <amazon> <楽天>
 「国を考える」を基本コンセプトとして綴った著者によるエッセイ集。

 前作「国を思うて何が悪い」は結構面白く(と言っても読んだのは随分前だ)、続編の本作も購入はしておいたのだが、未読書の山に埋もれてしまい、たまたま発掘(笑)したので読んでみた。
 しかし、これが又、全然面白くない作品に仕上がっていた。全編を通して文壇の作家の悪口ばかりが書かれているのだから仕方ないんだが…
 エッセイにはほんと、当たりはずれがあるよな。
<A> <楽>
03'11'22 陰摩羅鬼の瑕
京極夏彦 (検索) <amazon> <楽天>
 長野は立科に建てられた華族由良家の屋敷。その中は鳥の剥製で埋め尽くされ、人々から「鳥屋敷」と呼ばれるほどだった。そこに住む現在の当主由良昂允伯爵はこれまで四人の妻を、事もあろうに婚姻の翌日に失っていた。そんな屋敷に五人目の花嫁、薫子が嫁いでくることになった。薫子を護るために呼ばれたのは、事もあろうに傍若無人な私立探偵榎木津礼二郎だった。そして一時的に失明してしまった榎木津の付き添いとして又しても惨劇の場に足を踏み入れることになった小説家の関口。推理小説に殊の外関心を寄せる昂允は、鬱が未だ治っていない関口との間に心の交流を持つようになる。そして、いよいよ婚姻の翌日。そこには…
 京極堂のシリーズも、短編を合わせるともう11冊になるのか。こんな分厚い作品に私も良くつきあってるなあ(笑)。大体普通の小説でも充分3〜4冊分、ライトノベルだったら5、6冊分にはなろうという分量だ。読むだけで一苦労だよ
 それでもなんだかんだでつきあい続けたのは、無駄話の部分の蘊蓄が面白いのと、これだけの厚さにも拘わらず、読書に引き込む演出がふんだんになされているから。特に一冊目の「姑獲鳥の夏」、四冊目の「鉄鼠の檻」なんかは大変面白かった。
 それで本作だが、ちょっと首を傾げる出来。謎解きはたった一つだけだし、しかもほとんど冒頭部分で大体犯人は分かってしまう…動機が分からなかったのが悔しいだけ。それに今回は京極堂が完全に傍観者の立場で、最後にちょっと登場して謎解きして終わり。だったしなあ。前の「塗仏の宴」で出てきた京極堂のライバルがいつ出るか結構期待してたんだが、それも出ずに終わってしまった。
 これだけ長い小説だったが、読み終わって爽快感が得られなかったなあ。次作に期待しよ…まだつきあうのか?(笑)
<A> <楽>
03'11'20 からくりサーカス30
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 人形繰りの村、黒賀村に居候している勝は、居候先の末っ子平馬と組んで大晦日の奉納人形相撲に参加することになった。並み居るライバル達をなぎ倒し、快進撃を続ける勝・平馬組だったが…
 この巻はメインの物語としては殆ど進むことなく、かなり盛り上がってきたはずの展開を敢えて捨て、展開を遅らせているように思える。なんだか一昔前のジャンプノリと言うか…しかし、そう思って読んでると足をすくわれるのが著者の特徴だったりもするからなあ(著者の場合、余計だとばかり思ってたストーリーが変にラストで絡んでくることが良くある)。まあ、しばらくは気楽に読ませてもらおうか。
 ところで、本作は主題の一つとして“笑顔”というのがあるのだが、本当に笑顔の描き方が巧い。今回はいきなり復活してゴスロリの少女姿となった(GHOST IN THE SHELLか?)コロンビーヌの不気味な笑顔が妙にはまってる。笑顔ったって色々あるんだね。
<A> <楽>
03'11'18 動物化するポストモダン (著)東浩紀 <amazon>
 現代になって「オタク」と言われる若者を中心とした独自の文化が栄えてきた。彼らは世界をどう捉えているのか、そして同行の志としてのつながりはどうなっているのか、あるいはどう変化し続けているのか。と言う観点から哲学的に現代を読み解こうとする書。
 ちょっと理由があり、本書を薦められるままに読んでいったのだが、かなり面白い。
 哲学者とはこういう眼から文化を捉えているのか。さすが哲学者は観点が違うな。と感心しつつ、オタクの文化というものをこういった形で一面のみで捉える事には少々疑問も覚える。
 哲学とは、一人の人物の思いこみによって出来るものだとも言える。それについていけるかどうかはともかく
、それにインスパイアされ、一人一人が独自の理論を構築していくことにこそ、哲学の本来的意義があるのかも知れない。本書を読んでそんな風にも思う。
動物化するポストモダン
03'11'14 ウルトラQ (著藤原カムイ <amazon>
 1966年にテレビ・シリーズとして公開された
『ウルトラQ』。そのエピソードの内の三つを現代になって漫画化したもの。「ペギラが来た!」「2020年の挑戦」「地底特急西へ」の三話を収録する。
 これは又。色々な意味で思い入れがある作品になった。
 著者は
「チョコレート・パニック」の時からのファンで、その後「雷火」を経て、今は無き「コンバット・コミック」という雑誌で押井守とタッグを組んで「犬狼伝説」を漫画化。本当にこれ、偶然に第一話の連載を見て、「私の選択は間違いがなかった」と感慨深く思った(なにをどう「間違う」のか、自分でも訳分からないけど、その時本当にそう思ったんだもん)ものだ…それで不定期巻の「コンバット・コミック」を心待ちにし、どうせコミック化される訳無いと思って全部購入(実際はちゃんとコミック化した)。繰り返し読んだお陰で兵器好きになってしまった…う〜む(笑)
 更に言えば、この
『ウルトラQ』は勿論私にとってリアルタイムではないが、偶然最近近くのレンタルビデオショップに置いてあるのを発見し、現在借りて観ている最中。特に本作に収録されている「ペギラが来た!」「地底特急西へ」は観たばっかり。偶然なんだけど笑ってしまった。
 特に
「地底特急西へ」の人工生命体M1号のラストの台詞「ワタシハカモメ」(言葉の意味は不明なんだが)がちゃんと収録されてるのが笑える。

 後に情報あり
(水那岐さんより)
 
「ワタシハカモメ」というのは世界初の女性飛行士テレシコワが地球を周回しながらソ連基地に送った言葉なのだそうだ。書いてみるもんだね。
ウルトラQ(1)
03'11'11 餓狼伝14
板垣恵介 (検索) <amazon> <楽天>
 いよいよ北辰館空手のトーナメントが始まった。空手の試合に登場するのはプロレスラー、柔道選手、ムエタイなど異種格闘技の様相を呈す。一回戦での圧倒的勝利を手にしたプロレスラーの長田だが…

 もう原作を完全に離れ、板垣恵介の世界に入り込んでしまってる。最終的にはやはり空手の戦いになるんだろうけど、描写は凄いな。これはこれで見応えがある…
 って、早よ原作の小説進ませろよ!
<A> <楽>
03'11'06 復活の朝 グインサーガ92
栗本薫 (検索) <amazon> <楽天>
 「古代機械を破壊する」衝撃的な言葉を発したグインは古代機械の内部に魔王子アモンを誘い、二人ともにクリスタルから消え去る。アモンが消えたことにより正常を取り戻すクリスタルだったが、指導者を失ったパロ、ケイロニア双方、本当に大変なのはこれからだった。

 いよいよ92巻。いよいよ見えてきた100巻まで残り8巻だよ。よく書いたもんだ。
 前巻のラストがラストだっただけに、一体どうなるのか結構期待は高かったんだが、ふたを開けてみたら月並みに終わってしまっていた。やや残念かな?ま、なんにせよこれでパロ編は後1巻程度の戦後処理で終わりだろう。一エピソードにしては長すぎた話だったな。
<A> <楽>
03'11'01 つめたいよるに (著)江國香織 <amazon>
 著者による掌編集。21編の掌編を収録する。
 著者の作品はこれまで数冊を読んできたが、それを読んで思ったことが一つ。著者は
食事シーンに非常にこだわりを持っているのだ。と言うこと。決して食事自体は豪華ではないが、とてもおいしそうに、あるいは不味そうに描く。これは一種の才能だろう。
 それで本作だが、その食のこだわりが伝わってくる。SF的なものもあれば、日記風のもあり、子供の思い出のような話もありと、なんでもありの掌編だが、その大部分に食事シーンが出てきて、読んでる内に腹が減ってくる。なかなか面白い才能だ。
つめたいよるに
03'10'30 燃えつきた地図 (著)安部公房 <amazon>
 失踪した夫の行方を捜して欲しい、と言う依頼を受けて派遣されてきた興信所の所員の主人公。殆ど手がかりも無し、肝心の妻がまるで雲をつかむようなことばかり言っている。そんな状態での捜査の開始だったが、やっとつかんだと思った手がかりもどんどん失われていく。何の進展も見えないまま、しかし調査は継続させられていた。都会の迷宮に入り込む主人公は徐々に自分自身さえ見失っていく…
 著者の作品を読んでいると、ひどく不安な思いにさせられる。なんか今、私はこんな所で何をしてるんだろう?何かしなければならないはずなのに、何をして良いのか分からない。と言った、根元的な不安を突きつけられるような気分にさせられてしまう。
 読んでいるだけで大変居心地が悪くなるのだが、読み出すと止まらない。つくづく不思議な作家だと思う。
心の中に澱のようになってる暗い感情が表出できるからこそ、好きなのか?
燃えつきた地図
03'10'25 トライガン・マキシマム9
内藤泰弘 (検索) <amazon> <楽天>
 かつて同じ孤児院におり、面倒を看ていたリヴィオと対峙するウルフウッド。運動能力、冷酷さにおいてウルフウッドを凌ぐ力を持つリヴィオに対し、ウルフウッドの取った方法は…そしてリヴィオの持つもう一つの力とは…

 今巻は主人公のバッシュは登場せず、丸ごとウルフウッドとリヴィオとの戦いのシーンばかり。マンガでこれだけのものを描くってのも相当大変だろう(後書きの近況報告でぼろぼろになってたが)。アクションの描き方はやはりただもんじゃないな。
 …展開はベタだけど(笑)
<A> <楽>
03'10'21 クロスファイア (著)宮部みゆき <amazon> <amazon>
 パイロキネティクス(発火超能力)を持つ青木淳子は、自らの能力を警察で取り締まることが出来ない凶悪犯罪者に対して用い、正義を貫こうとしていた。彼女の能力は絶大で、悪人を次々と火だるまにしていく。そんな彼女の前に現れた「ガーディアン」を名乗る謎の組織。そのエージェントで、人を操る能力を持つ木戸浩一が彼女に接触していく。一方、この連続放火殺人事件の担当となった刑事石津ちか子は、捜査を進めるに従い、これは超能力によるものと確信。ついに淳子を突き止めるが…
 いやはや。
凄い著者だ相当な皮肉をこめてこう言わせてもらおう。
 発火能力を持つ女性と、その能力に目を付けて接触してくる政府の組織。日に関しての忌まわしい想い出の数々…って、これ、キングの
「ファイアスターター」の設定そのまんまじゃ…それで青木淳子にガーディアンが付けたコード・ネームがそのまんま“ファイアスターター”。
 …
元ネタをパクッたこと、隠そうともしてないじゃないか。これ、よく苦情が来なかったな。しかもこれって未見だけど映画にもなってるんだよな。良いのかなあ?そりゃこういったものの著作権って複雑で取り締まることは難しいはずだけど、ここまでやられると呆れるぞ。
 物語そのものは程良く緊張感があって構成も割合しっかりしてるのでそれなりに良い作品であることは認めるけど
(ラストはちょっと尻切れトンボかな?)。キングファンだったら是非読んで欲しいぞ。それで呆れるか怒るかは判断に任せるけど(笑)
クロスファイア(上)
クロスファイア(下)
03'10'15 どすこい(安)
京極夏彦 (検索) <amazon> <楽天>
 現代日本においていくつか登場したベストセラー小説を全て相撲に置き換え、ギャグ小説にしてしまうと言う、天下の奇書。「四十七人の力士」(元ネタ池宮彰一郎著「四十七人の刺客」)、「パラサイト・デブ」(元ネタ瀬名秀明著「パラサイト・イブ」)、「すべてがデブになる」(元ネタ森博嗣著「全てがLになる」)、「土俵<リング>・でぶせん」(元ネタ鈴木光司著「リング」及び「らせん」)、「脂鬼」(元ネタ小野不由美著「屍鬼」)、「理油」(元ネタ宮部みゆき著「理由」)、「ウロボロスの基礎代謝」(元ネタ竹本健治「ウロボロスの基礎論」)の7編を収録する。
 うーん。ベストセラーなのは分かってるけど、この中で読んだのは3冊しかないぞ
 これはマジでくだらない。くだらなすぎて思わず笑ってしまうと言う作品だ。これだけくだらないものを全部描いたってだけで凄いもんだが、著者が「京極堂」シリーズの、シリアス作家ってのが又凄い。一体著者の頭の中には何が詰まってるんだろうか?と見たくなるような作品だった。自分の出世作にして大ベストセラーになった「姑獲鳥の夏」「でぶめの夏」と書いた自虐ネタも笑える。色々な意味で「面白い」と言って良い作品だ。
<A> <楽>
03'10'10 のほほん雑記帳<ノオト>
大槻ケンヂ (検索) <amazon> <楽天>
 ロックシンガーの著者のエッセイ集。
 著者の作品はこれまで何冊か読んできた。特に「新興宗教オモヒデ教」は何度も読み返すほど好きな作品だったが、そう言えばエッセイ集は今まで一冊も読んでなかった。このエッセイもなかなかいける…というか、キテる

 特に著者の歌う歌は自虐に溢れていて、それが妙なパワーに昇華されているので大好きなんだが、ここまで赤裸々に自分のことを描けるってのも、一種の才能だな。露悪趣味があるんじゃなかろうか?でも、それが又実に面白いから困ったもんだ。誰の中にもある、一種ゆがんだ思考が文体となって溢れているから。なのかもしれないな。エッセイを読んでいてこれほどドキドキするのも珍しいよ。
 …多分に似た部分があるんだろうなあ(笑)
<A> <楽>
03'10'08 アフリカ大陸探検史
アンヌ・ユゴン (検索) <amazon> <楽天>
 かつて暗黒大陸と呼ばれたアフリカ中央部。18世紀の終わりからイギリスを中心としてアフリカ探検が盛んに行われるようになった。特に初期の探検は苦難を極め、その探検記は興味深い事実や虚飾に彩られている。そんな探検家達の行動と、それによってアフリカとヨーロッパの各国がどのように変わっていったかを綴る。
 基本的に読書は小説を中心としてるけど、時折歴史ものを読みたくなる。そのため、未読書にはかなりのパーセンテージで歴史書やそれに類するものがあるが、たまたまその内の一冊を選んだのが本書。子供の頃伝記で読んだリヴィングストンの探検史とかも出てるし、これまで知らなかった興味深い人達も知ることが出来た。
 なんだかこういう硬質な本を時折読むと、ほっとする。不思議なもんだね。
<A> <楽>
03'10'02 てんでフリーズ!3 (著)ISUTOSHI <amazon>
 超能力の「増幅」の力を持つ菊水梅八。それを巡って能力者達が彼の日常に入り込んでくるのだが、自分の能力に気付かぬ梅八は自分が急に持て始めたと言うことに有頂天になるばかり…そんな彼を中心とするちょっと変わった日常を描く作品。
 前にチャットをやっていて、私は80年代の漫画を偏愛してると指摘されたことがあったが、それは確かにその通りかも知れない。実際本作のノリはまさにその通りだから(笑)
 私が好きなのは多分、
「異常な日常生活」を淡々と描くことなんだろうな。
 特に梅八の母ちゃんがお気に入り(笑)