X-MEN |
2000年 ブライアン・シンガー(監) |
人間の種としての進化は人類の突然変異化(ミュータント)を促していた。未だ少数派であるミュータントであるが、人類と共存するか力ずくで支配するかを巡って壮絶な攻防が繰り広げられていた。この争いに一匹狼のウルヴァリン/ローガン(ジャックマン)やローグも巻き込まれる。人類に更なる進化をもたらし、ミュータントによる支配を確実なものにしようと画策するマグニート(マッケラン)の野望に対し立ち上がるX−メンの活躍を描く。 コミック版は多少知っている。と言う程度の認識に過ぎないが、それでも随分設定には違いがあるのが分かる。X−メン1期シリーズと2期シリーズの双方が入り乱れ、その生い立ちや性格も随分違っている。これは映画化のためにシンプル化させたためと思われるが、原作ファンにとっては少々物足りなく思えたことだろう。原作では凶悪な強さを持つアウトローとして描かれるウルヴァリンが弱体化したのも、仕方ないとしてもそれなりに不満。性格もやや軟弱っぽくなった。後、出来れば個人的に好きなビーストやアイスマンを出して欲しかった(ちらっとアイスマンは出ていたけど)。 見せ場は結構派手なので、それなりに楽しめるし、結構ストーリーにも緩急があるのであまり深く考えなければ楽しい作品。強いて言うならミュータントの哀しさと言うものをもう少し出してくれれば良かったとは思うけど。 一箇所。X−メンの制服のことで文句を言うウルヴァリンに対し、サイクロプスが一言「それじゃ黄色のタイツが良かったか?」。これで笑えたなら、それなりのX−メンファン。 |
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X-メン・ザ・ムービーパワーガイド(書籍) X-メン・ザ・ムービービギニング(書籍) |
アイスマン | → | |||
【あいすまん】 | ||||
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アダマンチウム | → | |||
【あだまんちうむ】 | ||||
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アンナ | → | |||
【あんな】 | ||||
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ヴィクター | → | |||
【う゛ぃくたー】 | ||||
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ウルヴァリン | → | |||
【うるう゛ぁりん】 | ||||
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エグザビア・スクール | → | |||
【えぐざびあ-すくーる】 | ||||
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エリック | → | |||
【えりっく】 | ||||
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X−オティカ号 | → | |||
【えっくす-おてぃか-ごう】 | ||||
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オロロ | → | |||
【おろろ】 | ||||
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黄色いタイツ | → | サイクロプス | ||
【きいろい-たいつ】 | ||||
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キティ | → | |||
【きてぃ】 | ||||
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ケリー | → | |||
【けりー】 | ||||
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コロッサス | → | |||
【ころっさす】 | ||||
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サイクロプス | → | |||
【さいくろぷす】 | ||||
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ジーン | → | |||
【じーん】 | ||||
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シャドウキャット | → | |||
【しゃどう-きゃっと】 | ||||
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ジュビリー | → | |||
【じゅびりー】 | ||||
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ジュビレーション | → | |||
【じゅびれーしょん】 | ||||
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ジョン | → | |||
【じょん】 | ||||
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スコット | → | |||
【すこっと】 | ||||
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ストーム | → | |||
【すとーむ】 | ||||
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セイバートゥース | → | |||
【せいばー-とぅーす】 | ||||
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セント・ジョン | → | |||
【せんと-じょん】 | ||||
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トード | → | |||
【とーど】 | ||||
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パイロ | → | |||
【ぱいろ】 | ||||
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ピョートル | → | |||
【ぴょーとる】 | ||||
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プロフェッサーX | → |
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【ぷろふぇっさー-えっくす】 | ||||||
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ボビー | → | |||
【ぼびー】 | ||||
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マグニート | → | |||
【まぐにーと】 | ||||
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マリー | → | |||
【まりー】 | ||||
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ミスティーク | → | |||
【みすてぃーく】 | ||||
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モーティナー | → | |||
【もーてぃなー】 | ||||
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ローガン | → | |||
【ろーがん】 | ||||
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ローグ | → | X-MEN MARVEL BISHOUJO スタチュー ローグ | ||
【ろーぐ】 | ||||
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2000年 ブライアン・シンガー(監) |
ミュータントと人間との共存を提唱するプロフェッサーX(スチュワート)率いる“X−MEN”は、急進派のミュータントマグニートーとの戦いに勝利し、マグニートーを牢獄に幽閉することに成功した。しかし、人類のミュータントに対する偏見や嫌悪はやがてX−MENたちにも向けられていった。人間でありながらミュータントを従える司令官ストライカー(コックス)は、大統領が謎のミュータントに襲われた事を機に、ミュータント達を次々と捕獲していく。自らの過去を探す旅を続ける“ウルヴァリン”ローガンは、他のミュータント達を守るために、何人かの同志と共に否応なしに戦いに巻き込まれていく。その中には、ストライカーの命令で大統領を襲ったナイト・クロウラー(カミング)や、刑務所を脱出したマグニートの姿もあった…。 前作『X-メン』のヒットを受け、前作に続きシンガー監督が作り上げた正統的続編。 シンガー監督は結構私のお気に入りなのだが、前作の際のインタビューで「これは私の本当にやりたかったことではなかった」という記述を読んだ。 確かに前作は描写は良かったけど、設定や物語では割合月並みな作品だった。それでもあれだけ出てくるキャラクターにしっかり見せ場を用意し、バランスは非常に良かったし、そのX−メン達の中心のストーリーを他のメジャーなキャラクターではなく吸い取り女(下品失礼!)のローグ(パキン)に持ってきたのも卓見だと思う(これも監督のインタビューだが、やりたいことが出来なかったから、パキンをどう可愛く撮るかに心血を注いだとか)。普通の作品としては充分に面白かった。それを「本当にやりたかったことではなかった」など、よく言ったものだ。 今回この続編を大変楽しみにしていたのは、実はそのインタビューあってのこと。一体この監督は何を本当は撮りたかったのだ?と言う疑問がどうしても頭から離れなかったから。 それではっきり分かったのは、これは決して単なる続編で終わるものではない。と言うこと。これ又本作の監督の言葉だが、「これはX−メンサーガの一編だ」…確かに。少なくともオスカー女優のハル・ベリーをこの程度の使い方しかしないってだけで、壮大な物語に思えるぞ(笑) 前作でキャラクターは固定されているので、その魅力を十二分に活かしつつ、違った側面から作品を構築している。アメリカン・コミックでは割合あるパターンだけど、敵対する二大勢力が、更に大きな脅威の前に協力して戦うと言うパターンを踏襲しているが、アメリカン・ヒーローものとしてはこの話が一番燃える設定。ちゃんとその辺を顧慮しているんだろう。 前作と較べると、アクション部分は少々抑えめだが、その分マイノリティとしてのミュータントの哀しさや、余計な能力を背負い込んでしまったが故の重みというものがよく表現できていたと思う。マイノリティとして生きねばならないが故に、自らのアイデンティティを過去に求めるウルヴァリンや、明るく振る舞っているが、家族の拒絶と出会うアイスマン、自らの力を自分のために使って何故悪いと葛藤するパイロ。自分の能力の故に人と触れあうことを極端に恐れるローグ。悪魔の如き容貌を持っているのに敬虔な心を持つナイト・クロウラー、プロフェッサーXの助手で、自らの能力がどんどん高まっていくことに恐れを覚えるジーンなど、特に心理面での魅力は前作の比じゃない(その分リーダー格のサイクロップスとかストームは割喰ってたんだけど)。その辺を超越し、淡々と任務を果たそうとするミスティークやマグニートーも、主人公達の対極にあって上手い撮り方。本来原作コミックの持つ味はここにあったのだから。 ストーリー面で言うのなら、ウルヴァリンの過去探しと人間対ミュータントの戦いに主軸がおかれ、なかなかハードなものに仕上がっている。マグニートーの牢からの脱出方法もなかなか捻りが効いてて良し。ただ、意外だったのはまさかジーンがああなってしまうとは…原作コミックではジーンとサイクロップスの間にはケーブルという息子ができるはずなんだけどなあ…悪い言い方だが、前作と較べジーン役のヤンセンがすっかりおばさんっぽくなってしまったので(本当に失礼です。ごめんなさい)、続編を考えるなら、英断だったのかな? 一つ難を言わせてもらうと、私の大好きなアラン・カミングをもうちょっと魅力的に撮って欲しかったってところかな?もし続編が出たときは彼の魅力を全開にして欲しい。 |
アーチー | → | |||
【あーちー】 | ||||
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アイスマン | → | |||
【あいすまん】 | ||||
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アルカリ湖 | → | |||
【あるかり-こ】 | ||||
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ウィリアム | → | |||
【うぃりあむ】 | ||||
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ウルヴァリン | → | |||
【うるう゛ぁりん】 | ||||
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オロロ | → | |||
【おろろ】 | ||||
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カート | → | |||
【かーと】 | ||||
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コロッサス | → | |||
【ころっさす】 | ||||
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サイクロプス | → | |||
【さいくろぷす】 | ||||
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ジーン | → | |||
【じーん】 | ||||
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シャドウキャット | → | |||
【しゃどう-きゃっと】 | ||||
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ジュビリー | → | |||
【じゅびりー】 | ||||
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ストーム | → | |||
【すとーむ】 | ||||
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ダーク・セレブロ | → | |||
【だーく-せれぶろ】 | ||||
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ナイトクローラー | → | |||
【ないと-くろーらー】 | ||||
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パイロ | → | |||
【ぱいろ】 | ||||
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プロフェッサーX | → |
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【ぷろふぇっさー-えっくす】 | ||||||
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ボビー | → | |||
【ぼびー】 | ||||
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マグニート | → | |||
【まぐにーと】 | ||||
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マデリーン | → | |||
【までりーん】 | ||||
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ミスティーク | → | |||
【みすてぃーく】 | ||||
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ユリコ | → | |||
【ゆりこ】 | ||||
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レディ・デスストライク | → | |||
【れでぃ-ですすとらいく】 | ||||
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ローグ | → | |||
【ろーぐ】 | ||||
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ロニー | → | |||
【ろにー】 | ||||
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名称 | → | |||
【】 | ||||
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2006年 ブラット・ラトナー(監) |
X-MENはジーン(ヤンセン)の死から徐々に立ち直り、プロフェッサーXとストーム(ベリー)、ウルヴァリン(ジャックマン)らを中心として学園での生活を取り戻しつつあった。だが一人ジーンの恋人だったサイクロップス=スコット(マースデン)は、学園での仕事も放棄し、一人旅に出てしまう。そんな時、プロフェッサーX(スチュワート)は突然の巨大なミュータントの出現を検知した。現場には、なんと死んだはずのジーンが現れる。そんな折、人間世界ではミュータントの能力を消去し普通の人間にすることのできる新薬“キュア”が開発され、“ミュータントのまま生きるか、それとも人間になるか”という究極の選択に、ミュータント社会は大きく揺れるのだった。ミュータントによる新しい社会を目指すマグニートー(マッケラン)はこれを驚異と見なし、キュアの根絶と人間に対する全面対決の姿勢を明らかにする。人類とミュータントの全面戦争を回避しようと奔走するX-MENだったが、したジーンは、あまりにも危険なフェニックスとして覚醒してしまった… 好調に飛ばす『X-MEN』シリーズの第3弾。これが一応最終話になるとのこと。 原作自体が結構マニア心に溢れていて私も好きなのだが、これだけ人気があっても3作で止めねばならないのは、要は製作に金がかかりすぎる事が一番の理由と思われる。何せ1作目の『X−メン』(2000)やってから、大スターがどんどん出てしまい、出演料だけでとてもやっていけないのは確かで、それが最大の事情ではないかと思ったりする。それでもキャラを基本的には削ることも役を変えることも無しにこの3作目が出来たという、それ自体が快挙であろう。主要キャラだけ集めたら、立派な文芸作品だって作れるほどの豪華さなのだから。 はっきり言って1作目、2作目ともかなり好きなのだが、それは単なるアクション作品ではなく、ちゃんと社会性も捉え、マイノリティでありながら強大な力を持つミュータントと人間社会をどう折り合いを付けていくか。と言う視点がしっかりしていた事と、抑えの効いたアクションシーンの投入方法によるものだった。 だから大変質も高いのだが、一方では、折角こんなミュータントが出てくるのだから、思いっきり動いて欲しい。と言う欲求も確かにあった。 その意味で今回の第3作目は、その願いを十二分に叶えてくれる作品であったことは確か。監督も前作までのシンガー監督からアクション監督のラトナー監督となり、その辺を良く分かった配役であったと思う。 お陰で今回はミュータントの社会適合や、恋物語などは全部背後に追いやって、超常的な対決。しかも敵も味方も大挙して出てくるので、ミュータントの乱戦という豪快な事をやってくれるのが嬉しい。特に最後の戦いのシーンなんかは、まさに血湧き肉躍るって感じ。しかもちゃんとそれぞれが個性のある攻撃を繰り出すので、観ているこっちも熱くなれた。 そう言う意味では満足なのだが… 流石にこれだけ戦いのシーンばかりだと、個性的なキャラを活かしきることが出来なかったと言うのが残念。これまでの中心であったサイクロップス、プロフェッサーX、そしてミスティークを途中で切ったとしても、やはり描写時間は足りない。この辺は割り切ったと言われればそれまでの話だし、方法としては正しいと思うのだが、一方ではちょっと寂しさも覚えてしまう。個人的には前回出てきたナイトクロウラーも出てきて欲しかった。贅沢な悩みだが。 メンバーも新キャラも含めて大量放出。コミック版ではX-MEN側にいるはずのキャラがマグニート側に立って登場するのはちょっと違和感あるものの、ある程度原作を知っているなら、「ああ、こいつがここに出てきたか!」と喜べることは請け合い。キャラクタを追っていく楽しみもあり。 ただ、これが最終?と言われると首を傾げてしまう。特にラスト近くではケレン味満点の演出が続出するし、スタッフロール後のあれはどう考えても、「続く」だろう。あの終わり方からすると、次はオンスロート編?とか原作好きは考えてしまう。次を作りたい。という製作側の意地かも知れないけど、もっと出演費を抑えて、キャラクタを一新すれば、あるいは?(笑) 満足な出来だけど、完璧ではない。それが今回の評価。少なくともDVD買って繰り返し観るのに最も適した作品とは言える。 |
アークライト | → | |||
【あーくらいと】 | ||||
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ウォーレン | → | |||
【うぉーれん】 | ||||
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ウルヴァリン | → | |||
【うるう゛ぁりん】 | ||||
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エリザベス | → | |||
【えりざべす】 | ||||
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エンジェル | → | |||
【えんじぇる】 | ||||
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オロロ | → | |||
【おろろ】 | ||||
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カリスト | → | |||
【かりすと】 | ||||
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キッド・オメガ | → | |||
【きっど-おめが】 | ||||
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キティ | → | |||
【きてぃ】 | ||||
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キュア | → | リーチ | ||
【きゅあ】 | ||||
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ケイン | → | |||
【けいん】 | ||||
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コロッサス | → | |||
【ころっさす】 | ||||
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サイクロプス | → | |||
【さいくろぷす】 | ||||
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サイロック | → | PSYLOCKE MARVEL BISHOUJO スタチュー サイロック X-MEN ファインアートスタチュー サイロック -DANGER ROOM SESSIONS- |
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【さいろっく】 | ||||
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ジーン | → | |||
【じーん】 | ||||
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ジャガーノート | → | |||
【じゃがーのーと】 | ||||
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シャドウキャット | → | |||
【しゃどう-きゃっと】 | ||||
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ストーム | → | |||
【すとーむ】 | ||||
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センチネル | → | |||
【せんちねる】 | ||||
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パイロ | → | |||
【ぱいろ】 | ||||
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ビースト | → | |||
【びーすと】 | ||||
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フェニックス | → | |||
【ふぇにっくす】 | ||||
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ブラザーフッド | → | |||
【ぶらざー-ふっど】 | ||||
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プロフェッサーX | → |
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【ぷろふぇっさー-えっくす】 | ||||||
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ボビー | → | |||
【ぼびー】 | ||||
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マジック | → | |||
【まじっく】 | ||||
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マルチプルマン | → | |||
【まるちぷる-まん】 | ||||
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リーチ | → | |||
【りーち】 | ||||
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ローグ | → | |||
【ろーぐ】 | ||||
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ギャビン・フッド(監) |
19世紀中葉のアメリカで特殊な能力を発現させてしまったローガン(ジャックマン)は、同じく超人的能力を持った兄ビクター(シュレイバー)と2人で支え合って生きていた。150年以上に渡り、兵士として幾多の戦場を駆け抜けてきた彼らは、謎の軍人ストライカー(ヒューストン)が指揮する特殊部隊"チームX"にスカウトされ、幾多の戦場を巡り歩く。しかし、ローガンはアフリカでの非人道的なミッションを巡ってメンバーと対立、チームを離脱する。6年後、ローガンは恋人ケイラ(コリンズ)と穏やかな日々を送っていたのだが… 40年以上もの長さに渡りMARVELで連載中の人気コミックの映画化の一本。ブライアン・シンガー監督により作られた『X-MEN』は監督を変えつつ3本のシリーズを輩出したが、本作はその初のスピンオフ作品となる。 本作は『X-MEN』シリーズでも最も人気が高く、映画では主人公格として活躍していたウルヴァリンを主人公に、『X-MEN』では主題の一つであった、彼の過去が描かれる話となっている。ただ、元々が主人公だったのだから、スピンオフと言った感じじゃないし、「X-MEN ORIGINE」の原題表題通り、X-MENの前史として位置づけた方がしっくり来る。 それではまず『X-MEN』におけるウルヴァリンの位置づけというものを考えてみたい。『X-MEN』という作品はヒーローがいっぱい出てきて、正義と悪に分かれて戦い続ける。という単純構造と共に、その奥にはミュータントとして生きる事の存在意義をそれぞれのキャラが探し求めていると言う事が大きな魅力になっている。 それらX-MENメンバーの中で唯一“今”に悩みを持たないのがウルヴァリンという存在だった。彼にとって重要なのは記憶喪失となった自分の過去のことのみで、他のキャラのように、ミュータントとして生きることの存在意義について悩むことはない。と言うか、その部分はすでに超越してる。 欲望に忠実で、他のキャラがうじうじと悩む中、一人だけ突出して道を切り拓く。性格が善人のために正義の側に位置しているが、それも自分の欲に忠実なだけで、放っておけば気持ちが悪いので助ける。という単純明快さだし、洗練されたヒーローにはないワイルドさも魅力。今やジェームズ・ボンドでさえ葉巻をトレード・マークから外す時代に、堂々と喫煙してみせるなど、周囲を気にしない態度も良い。その癖妙に人懐っこいところもあったりと、人間的な魅力にもあふれている。 一見X-MENメンバーからは浮いてるような性格が、メンバーの中にあって最大限活かされていた訳だ。 だが、本作はその部分に手を加えた。 本作はウルヴァリンが切望してやまない過去の記憶についての話となった。これは前述したウルヴァリンの魅力を少々変えてしまった。 これにはプラスもマイナスもある。 過去を描くことで、ウルヴァリンの謎は解け、ぐっと身近な存在になったのはプラス面。孤高のヒーローは、過去もやはり孤高であったことが分かったし、一人のヒーローの誕生を描くには充分な作りだった。 一方、X-MENの内部にあってこそ持っていた個性は、本作においてはかなり減殺された。本作の描き方は、非常に単純なものなので、ウルヴァリンの持つ悲しみや、あるいはこだわりというものが、“今”にシフトしてしまい、他のX-MENメンバーと同じ土俵に立ってしまった。それが悪いとは言わない。ただ、謎の部分に魅力があったキャラの謎があっけなく明らかになってしまったことが少々食い足りない気分にさせられる。 言ってしまうと、本作のウルヴァリンは、とても“普通”のヒーローになってしまった。そこが問題だったんじゃないだろうか。あっけないというか、物足りないというか…そうそう、これは“寂しい”と言うべきかも知れない。 でも設定部分を単純にした分、演出の冴えはますます上がってる。CG多用は当然な話だが、今回CGの使い方もアクション部分にこだわらず、普通の生活描写の中でも数多く用いられ、自分では意識せずに能力を発揮してしまうミュータントの姿などが日常描写にそのまま溶け込んで見えるのも細かくて良い。アクション部分も見所たっぷりで、スカッとしたい時には最適の作品だろう。 キャラのはまり具合もますます良し。 このスピンオフのきっかけは明らかに『X-MEN』シリーズの中でも最高のはまり具合を見せたジャックマンあってのことで、この人にもっと大暴れさせてみたい。と言うのがそのきっかけ。ジャックマン自身もウルヴァリンには並々ならぬ思い入れがあったようで(2008年アカデミー賞司会者をやった時、オープニングミュージカルで「俺はウルヴァリーン」と絶叫したのは記憶に新しい)、肉体をますますマッシブに調整して登場。明らかに8年前の『X-MEN』の時よりも筋肉が付いていて、この役に対する打ち込み度が分かろうというもの。あたかもジャックマン=ウルヴァリンのプロモーションムービーを見せられてる気分にさせられる。 更に今回、もう一人お気に入りの俳優が出来た。セイバートゥース役のシュレイバーがそうなのだが、前に『ディファイアンス』観た時に妙に印象残る人物だと思ってたのだが(一応『スクリーム』シリーズにも出てるけど)、今回更に印象を深くする役柄で登場。決して美男子という訳ではないが、今回の野性的な役柄は見事なはまり具合で、存在感をしっかり演出してくれている。 なんでもこの後で本作の更にスピンオフとしてデッドプールを主役にした企画があるとか聞いているが、むしろセイバートゥースを主役にした作品を観てみたいね。強大な悪を持って悪を制するという、初期のイーストウッド監督の西部劇っぽく仕上げることが出来るんじゃないかな? |
アダマンチウム | → | |||
【あだまんちうむ】 | ||||
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ウィリアム | → | |||
【うぃりあむ】 | ||||
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ウェイド | → | |||
【うぇいど】 | ||||
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ウェポンXI | → | |||
【うぇぽん-いれぶん】 | ||||
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ウェポンX | → | |||
【うぇぽん-てん】 | ||||
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ウルヴァリン | → | |||
【うるう゛ぁりん】 | ||||
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エージェント・ゼロ | → | |||
【えーじぇんと-ぜろ】 | ||||
|
エマ | → | |||
【えま】 | ||||
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ガンビット | → | Marvel Select - Action Figure: Gambit | ||
【がんびっと】 | ||||
|
クリス | → | |||
【くりす】 | ||||
|
ケイラ | → | |||
【けいら】 | ||||
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ケストレル | → | |||
【けすとれる】 | ||||
|
ジェームズ | → | |||
【じぇーむず】 | ||||
|
ジョン | → | |||
【じょん】 | ||||
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シルバーフォックス | → | |||
【しるばー-ふぉっくす】 | ||||
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スコット | → | |||
【すこっと】 | ||||
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スリーマイル島 | → | |||
【すりーまいる-とう】 | ||||
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セイバートゥース | → | |||
【せいばーとぅーす】 | ||||
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チームX | → | |||
【ちーむ-えっくす】 | ||||
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デッドプール | → | |||
【でっど-ぷーる】 | ||||
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トーマス | → | |||
【とーます】 | ||||
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ハンク | → | |||
【はんく】 | ||||
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ビクター | → | |||
【びくたー】 | ||||
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フレッド | → | |||
【ふれっど】 | ||||
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ブロブ | → | |||
【ぶろぶ】 | ||||
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プロフェッサーX | → |
|
||||
【ぷろふぇっさー-えっくす】 | ||||||
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レミー | → | |||
【れみー】 | ||||
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ローガン | → | |||
【ろーがん】 | ||||
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名称 | → | |||
【】 | ||||
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マシュー・ヴォーン(監) |
1960年代。人類とは一線を画す能力を持ったミュータントが次々と誕生していた。そんな中、強力なテレパシストで、ミュータントと人間の共生を願うチャールズ・エグゼビア(マカヴォイ)は、政府と協力してミュータントの保護組織を作ろうと活動していた。そんな中、幼い頃に母親と引き裂かれ、復讐に生きる磁力使いのミュータント、エリック・レーンシャー(ファスベンダー)と出会う。水と油の二人だが、次第に友情を育んでいくチャールズとエリック。そんな2人の前に、世界征服を企むミュータント、セバスチャン(ベーコン)が立ちはだかる。かつてセバスチャンによって母を殺され、自信も激しい傷を負ったエリックは憎悪むき出しで立ち向かうが… 新世代となり早10年が経過したが、その間に山ほどヒーローものの映画が出来てきた。その中にあって『スパイダーマン』と共にヒーロー映画を確立していった『X-MEN』シリーズを忘れてはいけない。 物語そのものは第3作を以て一応の完結を見たわけだが、その後も次々と企画は立ち上がり、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』を経た後、今度は宿敵マグニートとプロフェッサーXの確執を描く話が作られた。時間軸的には『ウルヴァリン』の物語と重なっているため、どちらが早いのかやや混乱があるものの、殊「X-MEN」という組織そのものについては、これが一番早い物語になる。 本作は二人の主人公を配し、その友情が確執に変わるまでを描いていくことになる。チャールズと呼ばれたミュータントがプロフェッサーXとなり、エリックと呼ばれたミュータントがマグニートとなる。この名前の変化と共に、二人の関係は変化していく。本作のおもしろい点は、この二人の関係を物語の中心に置いたと言う点にこそある。徹底的に陽性に物事を考えつつ、ミュータントと人間の共存を図るチャールズと、復讐のみを心の糧として生きてきたエリックがいかにして親友となったか、そして別れに至ったのか、様々なミュータントを間に挟みつつ、二人の関係の変化を描く。 それで本作のおもしろいところは、物語が基本的にポジティヴ・シンキングで描かれているという点にあるだろう。これは本作の大きな特徴であり、成功点である。 超能力ものの作品だと、大概は主人公の描き方はネガティヴである。望んでもいない特殊能力を何者からか勝手に押しつけられ、それを持て余すのが基本的な超能力作品の作り方。どれだけ人を助けようとも、地球の危機を救おうとも、その時には協力した人間からやがて石もて追われるのが超能力者の宿命とされる(『座頭市』とか『木枯し紋次郎』にも通じる)。本作も作りようによっては、そっちの方向性に持っていくことは出来たし、その方が簡単だっただろう。単純にエリックを話の中心にすれば良かっただけだ。だが本作のウェイトは明らかにチャールズの方にかかっている。ミュータントを世の役に立てようとする理想主義のチャールズは、どんな事があろうと、決して絶望しない。なんかここまでやると、チャールズには心に欠陥があるんじゃないか?と言うレベル(原作を読んでいる人なら分かるが、実際は彼の幼少時代は他のミュータント同様いくつもの迫害を受けてきており、特に家族関係はぼろぼろと言う裏設定はある)。その辺をわざと曖昧にして作ったのは、一つの狙いだろう。お陰でこの物語は決してマイナスの方向性にぶれることなく、チャールズの理想論が最後まで有効に働いている。さすがあのポジティヴ・シンキングの固まり『キック・アス』を作り上げたヴォーン監督。見事な出来である。 又、先発の監督たちにきちんと敬意を表している描写がそこかしこに出ているのもポイントが高い。チャールズのミュータント捜索の際、見知ったキャラの幼少時代がちらっと出てきたり、ウルヴァリン役のジャックマンにカメオ出演させてみたり、はたまたチャールズとエリックの仲違いが決してマイナスだけではないと言うこととか(『3』で二人が揃ってジーンの家を訪れるシーンがあったけど、それはこの後も二人が協力する事があったと言う伏線になってる)。『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』にも出てきたホワイト・クイーンの存在も、そういった細かい配慮も行き届いている辺り、監督と脚本の連携の巧さを感じ取ることが出来る。『キック・アス』の時もただ者じゃないと思ったけど、本作で見事に才能を引き出して見せてくれた。 そういう意味で本作はかなり満足度は高い。 ただ、本作で評価が今一つ伸びなかったのは、これまでの作品とは異なり、終わりが見えていたため、プログラムピクチャーでしか無かったと言うことだろうか。プロフェッサーXとマグニートは何があろうと最後は袂を分かち敵になるし、ミスティークはマグニート側につく。そこに向かっているのが分かっているので、全く驚きが無かった。 後、あの予告は失敗だな。正直あの予告観たら、物語が最後まで丸分かり。良い作品だけど、驚きが全く無かったので、点数はやや低めとなってしまう。 |
アーマンド | → | |||
【あーまんど】 | ||||
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アザゼル | → | |||
【あざぜる】 | ||||
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アレックス | → | |||
【あれっくす】 | ||||
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ウィリアム | → | |||
【うぃりあむ】 | ||||
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エマ | → | |||
【えま】 | ||||
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エリック | → | |||
【えりっく】 | ||||
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エンジェル | → | |||
【えんじぇる】 | ||||
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シュミット | → | |||
【しゅみっと】 | ||||
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ショーン | → | |||
【しょーん】 | ||||
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セバスチャン | → | |||
【せばすちゃん】 | ||||
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セレブロ | → | |||
【せれぶろ】 | ||||
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ダーウィン | → | |||
【だーうぃん】 | ||||
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チャールズ | → | |||
【ちゃーるず】 | ||||
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デヴィジョンX | → | |||
【でう゛ぃじょん-えっくす】 | ||||
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ハヴォック | → | |||
【はう゛ぉっく】 | ||||
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ハンク | → | |||
【はんく】 | ||||
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バンシー | → | |||
【ばんしー】 | ||||
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ビースト | → | |||
【びーすと】 | ||||
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ヘルファイア・クラブ | → | |||
【へる-ふぁいあ-くらぶ】 | ||||
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ヘンドリー | → | |||
【へんどりー】 | ||||
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ホワイト・クイーン | → | ||||
【ほわいと-くいーん】 | |||||
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モイラ | → | |||
【もいら】 | ||||
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ヤーノシュ | → | |||
【やーのしゅ】 | ||||
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リップタイド | → | |||
【りっぷたいど】 | ||||
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レイヴン | → | |||
【れいう゛ん】 | ||||
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名称 | → | |||
【】 | ||||
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2013年 ジェームズ・マンゴールド(監) |
ブラザーシップとの戦いを経て解散したX-MEN。生き残ったローガン(ジャックマン)は極力人間とは関わらないよう生きていたが、そんなローガンの前に、日本のヤシマ家からメッセージが届く。今から半世紀以上前、長崎の原爆でローガンに命を救われたお礼をしたいと言うヤシマの願いを聞き、日本にやってきた。既に死の床についていたヤシマがローガンに申し出たプレゼントとは、ローガンの不老不死の能力を取り去ると言うことだった。だがその答えを出す前にヤシマは亡くなり、その葬儀に出ることに鳴ったローガンの目の前でヤシマの孫娘マリコがさらわれてしまう… 『スパイダーマン』(2002)に並び立つMarvelの代表シリーズ『X-メン』(2000)。スピンオフを含めこれまでに既に5作が作られている人気作だが、それら一つ一つがかなり質が高かった。それぞれにミュータントとして生きることの問いかけがなされており、そのアプローチも様々。 その中で中心となることが多いのがウルヴァリンだった。極端な回復能力と長い命。更に記憶喪失と言う足枷をかけられた存在で、しかも関わった全ての物語で深い喪失感を味わう事になる。彼が常にぶっきらぼうなのはそんな苦しみにおいて。そんな深いキャラだけに、作り手も愛情を持って造形していたのだろう。スピンオフ作も最初の作品がウルヴァリンだったのも肯ける。 そしてスピンオフも三作目となり、再びウルヴァリンを主人公とした作品が作られる!しかも舞台は日本で!これはコミック版のヤシマ=シルバーサムライが出てくる話で、かなり人気の高い物語(ちなみに日本のアニメ会社マッドハウスが一連のマーベル作品を制作したことがあったが、その時もこの物語を作ってた)。 と言うことで、かなりの期待作ではあった。 …で、問題となる出来は、はっきり言わせてもらえれば、「シリーズ最低作」としか言いようがない。 日本を敢えて誤解させたまま、かつてアメリカ人が考えていたジャパンにしたのは悪くない。これくらいむちゃくちゃにしてくれた方が興味もってもらえる位だから。要人警護にはもちろんニンジャが行い、ほぼゾンビ並みの体力を持つヤクザ、敵の首領はお城に住む。まあよくここまでやってくれたと感心出来るくらいだ。 それは良くても、肝心の物語が酷い。 今回ウルヴァリンがやってることは、ステロタイプのヒーローそのもので、キャラの深みは一切ない。目の前の危機を順番にクリアするだけで、そのモチベーションはお姫様を守る騎士そのもの。今時こんな馬鹿みたいな単純な物語見せられるとは思ってもみなかった。シルバーサムライは出てるにしても、これじゃ単なるロボット。シルバーサムライとなるヤシマの悪人っぷりが薄っぺらい。せっかく出した真田広之が単なるチンピラキャラ。力入ってるはずのアクション部分がお粗末。どこを観ても褒める要素が見つからない。それに明らかに安普請のアクション描写も今ひとつ。 これらのどれかをきちんと作ってくれれば、まだ褒めるところ見つかったんだが、ここまで褒めるところがないと、流石に呆れる。オリジナルの物語を曲げてもシルバーサムライ役は真田広之が演じさせるべきだったんじゃないか?正直、ジャックマンと真田広之が殺陣でぶつかるシーンが一番楽しみだったから、それを裏切られたのが痛い。 正直、文句以外出てこない。 それでも強いて良いところを言うなら、この作品の位置付けだろうか。一応『ファイナル ディシジョン』(2006)で完結したはずの『X-MEN』が、まだ終わっておらず、ちゃんと続編を考えていることが分かったことだけが成果か?ことある毎に夢でジーンが現れるのと、あれだけ完璧に死んだと思われたプロフェッサーXが、実は…と言うラストシーンは少し嬉しい。でもこれは本編とは全く別なこと。その程度で評価を上げるほどの事はない。 |
ヴァイパー | → | |||
【う゛ぁいぱー】 | ||||
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ウルヴァリン | → | ||||
【うるう゛ぁりん】 | |||||
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ジーン | → | |||
【じーん】 | ||||
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シルバーサムライ | → | |||
【しるばー-さむらい】 | ||||
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シンゲン | → | |||
【しんげん】 | ||||
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Dr.グリーン | → | |||
【どくたー-ぐりーん】 | ||||
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プロフェッサーX | → |
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||||
【ぷろふぇっさー-えっくす】 | ||||||
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マグニート | → | |||
【まぐにーと】 | ||||
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マリコ | → | |||
【まりこ】 | ||||
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ヤシダ | → | |||
【やしだ】 | ||||
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ヤシダグループ | → | |||
【やしだ-ぐるーぷ】 | ||||
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ユキオ | → | |||
【ゆきお】 | ||||
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ローガン | → | |||
【ろーがん】 | ||||
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名称 | → | |||
【】 | ||||
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ブライアン・シンガー(監) |
プロフェッサーX(スチュワート)とマグニートー(マッケラン)から、人類の作りだした対ミュータント用ロボットのセンチネルによってミュータントが滅亡の危機にあることを聞かされたローガン(ジャックマン)は、キティというミュータントの能力によって精神を1973年に飛ばし、そこでセンチネル計画を阻止することとなった。そこで若き日のプロフェッサーX(マカヴォイ)と出会うが、その当時の彼は全てに絶望し、自らの能力を封印していた。マグニートー(ファスベンダー)との協力が必要と訴えるローガンだったが… X-MENシリーズ最新作。正直な話を言えば、その前に当たる『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013)が見事な駄目作品だったので、あんまり期待は出来ないだろうと思いつつ、それでもこのシリーズ好きなので、やっぱり劇場に足を運んだ。 結果、大満足して劇場を出ることになった。こんなに楽しい思いをさせてくれた作品が出来たことを素直に賞賛したい。 このシリーズは結構枝葉が伸びていて、オリジナル版は『X-MEN:ファイナル ディシジョン』(2006)で一応の完結。その後、外伝として生まれから記憶を失うまでのウルヴァリンを描いた『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009)があり、更に前史を描く『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011)がある。つまり、都合で3つの枝葉があった(ちなみに『ウルヴァリン:SAMURAI』は『X-MEN:ファイナル ディシジョン』の後の話になるため、正史の続編となると言うややこしい話にもなってる)。それで本作は正史の続編という位置づけであるのは確かにせよ、その枝葉である『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』および『ファースト・ジェネレーション』の続編にもなっている。都合三つのシリーズ全ての続編となる。正直、これまでのシリーズを全部包含出来るとは思ってなかった。ほとんど曲芸とも言えるが、こんなことをやってくれたことに惜しみなく称賛したい。シリーズを再びシンガー監督へと戻したのは大正解と言えよう。 なにより、その点だけでも本作は素晴らしい。スチュワート&マッケランのコンビだけでなく、マカヴォイ&ファスベンダーのプロフェッサーXとマグニートの姿が観られたことも嬉しいし、この二人が自らの信念に従って、時に協力、時に敵対という姿勢を取り続けていたことも分かったし、『ファースト・ジェネレーション』と正史の間にあるミュータント達の断絶の理由も明らかにされた。結局あれだけいたミュータントの大部分は、1970年代にみんな殺されてしまったことが分かる(ちなみに『X-MEN2』に登場したナイトクロウラーはミスティークとアザゼルの間の子なので、その存在の証は続いている)。 プロフェッサーXもマグニートーも、ミュータントを愛し、彼らを守ろうとする姿勢は一致しているのだが、そこからの姿勢が違う。ミュータントと人類は共存できるとを主張するプロフェッサーX。対してミュータントこそが人類を指導する立場にあるのだとするマグニートーの立場。この二人の主張のぶつかり合いが本作の物語そのものを引っ張っていく。 そこで重要なキーパーソンとなるのがミスティーク。彼女の遺伝子情報がセンチネル計画の肝となり、彼女が人類に捕まってしまったら、その時点で未来は終わってしまう。それに対し、本来敵対する立場にあるプロフェッサーXの方が彼女を保護しようとしているのに対し、ミスティークの上司であるマグニートーが、もっと手軽に、彼女を殺してすべてを終わらせようとしているところが描かれるのだが、これが二人の主張のぶつかり合いを視覚化したものとして捉えるべき部分だ。 ミュータントの未来の為に、彼女には死んでもらわねばならないとするマグニートー。それは彼にとっても苦渋の選択だっただろう。自身の片腕とも言えるミスティークがいなければ、マグニートーの考えるミュータントの独立は遠くなる。だが、彼女が生きている限りは人類に狙われ続け、一回でも人類に彼女が囚われてしまった場合、全ては灰燼に帰す。だからこそ、彼女には死んでもらわねばならないと考えた。一方プロフェッサーXの場合、人類との共存が可能であれば、人類は対ミュータント用のセンチネルを作らないで済むはず。と考えているため、敢えて敵であるミスティークをも助けられると考えた。 実はこの二人の主張のぶつかり合いこそが、本作の最大の見所となる。そしてその二人の思いを受け、ミスティークが下した判断が、ミュータントの未来を作り出していくことになった。 その結果が、あのラストシーン。これまでの戦いで死んだ筈のX-MENメンバーたちが全員生き残り、ミュータントにもちゃんと未来は用意されていた。マグニートーやミスティークは決して単なる悪の存在ではないし、単に本作が「的の敵は味方」を描いただけのものではないことがここで分かる。形はいろいろ違っていたとしても、ウルヴァリンはX-MENのメンバーになり、ミスティークの変化によってジーンは覚醒することなく、故にスコットも生き残る。最後に憎まれ口を叩くスコットを見ているウルヴァリンのシーンはとても印象深い。 …あれ?そうなると、ウルヴァリンの存在はどうなる?彼の存在とは、未来の危機を警告するためだけでしかない。狂言回しのような存在。結局最後は宿敵ストライカーに発見されてしまい、同じ運命を辿ることになるわけだし…人類を救うために命がけで過去に行ったのは良いけど、本編に全然絡まないって、なんだかとても気の毒。 以下余談。 本作では、人類とミュータントは時に協力もするが、基本は敵対しているということがはっきりしているわけだが、この部分が丁寧に描かれていることが大きな強みとなっている。シンガー監督が作り上げたX-MENサーガの根幹部分は、特殊能力を持ってしまったミュータントと人類との確執にこそあるのだから。 これは、マイノリティとして生きざるを得ない人間が、そのアイデンティティを勝ち得る物語となる。この前提があってこそ、本作はしっかり地に足が付いたものとなるのだ(実際にアメリカで起った公民権運動と歩調を合わせているところもある)。 本作でもそれはさり気なくいくつも登場している。 例えば、マグニートーはケネディ大統領暗殺の罪を被されているが、実はマグニートー自身はケネディを救おうとしたと本人が言っている。これはケネディが公民権運動を受け入れようとしていたことにも絡んでいて、多分この世界のケネディは(ミュータントを含めて)公民権を認めようとしていたがために殺され、そのスケープゴートとして、皮肉なことにケネディを救おうとしたマグニートーに罪を被せたということになる。マグニートーが捕まっているという事実だけでも、ちゃんと深いところで絡みがある(誰が本当にケネディを殺したのかは推測以外はできないけど)。 そして1973年というのはヴェトナム戦争の停戦協定であるパリ和平協定が結ばれた年で、本作はその当日を舞台にしているのだが、ここで和平協定の文言が「人類は新たなる敵に対して手を結ぶ」と宣言されていた。これはすなわち「これからは人類ではない存在に対して戦っていこう」という宣言となっているわけで、「人類は手を組んでマイノリティであるミュータントを撲滅していく」。人類を統合するために新しい敵を作り出すという宣言になるわけだ。 マイノリティを扱うというのは、ミュータントに限ってのことではない。様々な部分でマイノリティは存在するのだから、そういう存在が、国家によって弾かれ、敵とされていく過程をちゃんと見せようとしている。 「X-MEN」という作品自体がアメリカで受け入れられてきた素地として、このマイノリティに対する視点があるからなのだろうし、だからこそ映画になってもきちんと映える作り方になっている。 |
アイスマン | → | |||
【あいす-まん】 | ||||
|
アレックス | → | |||
【あれっくす】 | ||||
|
アンナ▲ | → | |||
【あんな】 | ||||
|
ウィリアム | → | |||
【うぃりあむ】 | ||||
|
ウォーパス | → | |||
【うぉーぱす】 | ||||
|
ウルヴァリン | → | |||
【うるう゛ぁりん】 | ||||
|
エグゼビア・スクール | → | |||
【えぐぜびあ-すくーる】 | ||||
|
エリック | → | |||
【えりっく】 | ||||
|
オロロ | → | |||
【おろろ】 | ||||
|
キティ | → | |||
【きてぃ】 | ||||
|
クイックシルバー | → | |||
【くいっく-しるばー】 | ||||
|
クレア | → | |||
【くれあ】 | ||||
|
コロッサス | → | |||
【ころっさす】 | ||||
|
サイクロプス | → | |||
【さいくろぷす】 | ||||
|
サンスポット | → | |||
【さんすぽっと】 | ||||
|
ジーン | → | |||
【じーん】 | ||||
|
ジェームズ | → | |||
【じぇーむず】 | ||||
|
シャドウキャット | → | |||
【しゃどう-きゃっと】 | ||||
|
スコット | → | |||
【すこっと】 | ||||
|
ストーム | → | |||
【すとーむ】 | ||||
|
センチネル | → | |||
【せんちねる】 | ||||
|
チャールズ | → | |||
【ちゃーるず】 | ||||
|
トード | → | |||
【とーど】 | ||||
|
トラスク・インダストリー | → | |||
【とらすく-いんだすとりー】 | ||||
|
ハヴォック | → | |||
【はう゛ぉっく】 | ||||
|
ハンク | → | |||
【はんく】 | ||||
|
ビースト | → | |||
【びーすと】 | ||||
|
ピエトロ | → | |||
【ぴえとろ】 | ||||
|
ビショップ | → | |||
【びしょっぷ】 | ||||
|
ピョートル▲ | → | |||
【ぴょーとる】 | ||||
|
ブリンク | → | |||
【ぶりんく】 | ||||
|
プロフェッサーX | → |
|
||||
【ぷろふぇっさー-えっくす】 | ||||||
|
ボビー | → | |||
【ぼびー】 | ||||
|
ボリバー | → | |||
【ぼりばー】 | ||||
|
マグニートー | → | |||
【まぐにーとー】 | ||||
|
ミスティーク | → | |||
【みすてぃーく】 | ||||
|
ルーカス | → | |||
【るーかす】 | ||||
|
レイヴン | → | |||
【れいう゛ん】 | ||||
|
ローガン | → | |||
【ろーがん】 | ||||
|
ローグ | → | |||
【ろーぐ】 | ||||
|
ロベルト | → | |||
【ろべると】 | ||||
|
名称 | → | |||
【】 | ||||
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|
アル | → | |||
【ある】 | ||||
|
ヴァネッサ | → | |||
【う゛ぁねっさ】 | ||||
|
ウィーゼル | → | |||
【うぃーぜる】 | ||||
|
ウェイド | → | |||
【うぇいど】 | ||||
|
エイジャックス | → | |||
【えいじゃっくす】 | ||||
|
エグゼビア・スクール | → | |||
【えぐぜびあ-すくーる】 | ||||
|
X−MEN | → | |||
【えっくす-めん】 | ||||
|
エンジェル・ダスト | → | |||
【えんじぇる-だすと】 | ||||
|
コロッサス | → | |||
【ころっさす】 | ||||
|
デッドプール | → | |||
【でっど-ぷーる】 | ||||
|
ドーピンダー | → | |||
【どーぴんだー】 | ||||
|
ネガソニック | → | |||
【ねがそにっく】 | ||||
|
フランシス | → | |||
【ふらんしす】 | ||||
|
名称 | → | |||
【】 | ||||
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2016年 ブライアン・シンガー(監) |
アポカリプス | → | |||
【あぽかりぷす】 | ||||
|
アルカリ湖 | → | |||
【あるかり-こ】 | ||||
|
アレックス | → | |||
【あれっくす】 | ||||
|
ウィリアム | → | |||
【うぃりあむ】 | ||||
|
ウェポンX | → | |||
【うぇぽん-えっくす】 | ||||
|
ウルヴァリン | → | |||
【うるう゛ぁりん】 | ||||
|
エリック | → | |||
【えりっく】 | ||||
|
エン・サバー・ヌール | → | |||
【えん-さばー-ぬーる】 | ||||
|
エンジェル | → | |||
【えんじぇる】 | ||||
|
オプティックブラスト | → | |||
【おぷてぃっく-ぶらすと】 | ||||
|
オロロ | → | |||
【おろろ】 | ||||
|
カート | → | |||
【かーと】 | ||||
|
クイックシルバー | → | |||
【くいっく-しるばー】 | ||||
|
サイクロップス | → | |||
【さいくろっぷす】 | ||||
|
サイロック | → | |||
【さいろっく】 | ||||
|
ジーン | → | |||
【じーん】 | ||||
|
スコット | → | |||
【すこっと】 | ||||
|
ストーム | → | |||
【すとーむ】 | ||||
|
チャールズ | → | |||
【ちゃーるず】 | ||||
|
ナイトクローラー | → | |||
【ないと-くろーらー】 | ||||
|
ニーナ | → | |||
【にーな】 | ||||
|
ハヴォック | → | |||
【はう゛ぉっく】 | ||||
|
ピーター | → | |||
【ぴーたー】 | ||||
|
プロフェッサーX | → |
|
||||
【ぷろふぇっさー-えっくす】 | ||||||
|
マグニートー | → | |||
【まぐにーとー】 | ||||
|
ミスティーク | → | |||
【みすてぃーく】 | ||||
|
恵まれし子らの学園 | → | |||
【めぐまれし-こ-ら-の-がくえん】 | ||||
|
モイラ | → | |||
【もいら】 | ||||
|
黙示録の四騎士 | → | |||
【もくしろく-の-よん-きし】 | ||||
|
レイヴン | → | |||
【れいう゛ん】 | ||||
|
名称 | → | |||
【】 | ||||
|
|
|||||
ウィル | → | |||
【うぃる】 | ||||
|
X−23 | → | |||
【えっくす-とぅえんてぃすりー】 | ||||
|
X−24 | → | |||
【えっくす-とぅえんてぃふぉー】 | ||||
|
エデン | → | |||
【えでん】 | ||||
|
ガブリエラ | → | |||
【がぶりえら】 | ||||
|
キャスリン | → | |||
【きゃすりん】 | ||||
|
キャリバン | → | |||
【きゃりばん】 | ||||
|
ザンダー | → | |||
【ざんだー】 | ||||
|
ジェームズ | → | |||
【じぇーむず】 | ||||
|
チャールズ | → | |||
【ちゃーるず】 | ||||
|
ドナルド | → | |||
【どなるど】 | ||||
|
ネイト | → | |||
【ねいと】 | ||||
|
ライアン | → | |||
【らいあん】 | ||||
|
ローガン | → | |||
【ろーがん】 | ||||
|
ローラ | → | |||
【ろーら】 | ||||
|
名称 | → | |||
【】 | ||||
|
|
2018年 デヴィッド・リーチ |
||||
アイスボックス | → | |||
【あいす-ぼっくす】 | ||||
|
アル | → | |||
【ある】 | ||||
|
ヴァネッサ | → | |||
【う゛ぁねっさ】 | ||||
|
ウィーゼル | → | |||
【うぃーぜる】 | ||||
|
ウェイド | → | |||
【うぇいど】 | ||||
|
ウルヴァリン | → | |||
【うるう゛ぁりん】 | ||||
|
X−フォース | → | |||
【えっくす-ふぉーす】 | ||||
|
X−MEN | → | |||
【えっくす-めん】 | ||||
|
オロロ | → | |||
【おろろ】 | ||||
|
カート | → | |||
【かーと】 | ||||
|
クイック・シルバー | → | |||
【くいっく-しるばー】 | ||||
|
ケーブル | → | |||
【けーぶる】 | ||||
|
コロッサス | → | |||
【ころっさす】 | ||||
|
サイクロプス | → | |||
【さいくろぷす】 | ||||
|
ジャガーノート | → | |||
【じゃがー-のーと】 | ||||
|
シャッタースター | → | |||
【しゃったー-すたー】 | ||||
|
スコット | → | |||
【すこっと】 | ||||
|
ストーム | → | |||
【すとーむ】 | ||||
|
チャールズ | → | |||
【ちゃーるず】 | ||||
|
ツァイトガイスト | → | |||
【つぁいとがいすと】 | ||||
|
デッドプール | → | |||
【でっど-ぷーる】 | ||||
|
ドーピンダー | → | |||
【どーぴんだー】 | ||||
|
ドミノ | → | |||
【どみの】 | ||||
|
ナイトクローラー | → | |||
【ないと-くろーらー】 | ||||
|
ネガソニック | → | |||
【ねがそにっく】 | ||||
|
バイオニックアーム | → | |||
【ばいおにっく-あーむ】 | ||||
|
バニッシャー | → | |||
【ばにっしゃー】 | ||||
|
ハンク | → | |||
【はんく】 | ||||
|
ビースト | → | |||
【びーすと】 | ||||
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ピーター | → | |||
【ぴーたー】 | ||||
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ファイヤーフィスト | → | |||
【ふぁいやー-ふぃすと】 | ||||
|
ブラック・トム | → | |||
【ぶらっく-とむ】 | ||||
|
プロフェッサーX | → |
|
||||
【ぷろふぇっさー-えっくす】 | ||||||
|
ベドラム | → | |||
【べどらむ】 | ||||
|
ユキオ | → | |||
【ゆきお】 | ||||
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ラッセル | → | |||
【らっせる】 | ||||
|
ローガン | → | |||
【ろーがん】 | ||||
|
名称 | → | |||
【】 | ||||
|