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太陽戦隊サンバルカン

太陽戦隊サンバルカン事典
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 1981'2'7〜1982'1'30

 電子戦隊デンジマンに続くスーパー戦隊第5作。実は本作は電子戦隊デンジマンの完全続編となり、敵首領だったヘドリアン女王が再登場している。
 本作を特徴付けるのは、初の三人ヒーロー作品となったことで、その三人も男性のみの構成で、最後までマスクヒーローとしての女性は登場しない戦隊唯一の作品だった。またヘルメットも初めての動物モティーフとなっているのも特徴で、それぞれがモティーフとなった動物の動きを参考に戦っている。
 あと、戦隊シリーズの中で唯一レッドが交代した作品としても知られる。この事情は上層部からの関与があったからとされているが、当時から様々な噂もあって、その意味でも話題になった話でもある。実は今もはっきりしたことは分かってない。

主な登場人物
大鷲龍介
バルイーグル(初代)
(役)川崎龍介。歌手兼俳優で、俳優としてはほぼこれ一本のみ。
 バルイーグルに変身する青年でサンバルカンのリーダー。天才的な飛行機乗りで、「空を飛ぶ為に生まれてきたような男」と言われることもある。23話でNASAのスペースコロニー開発計画メンバーとして参加し、後任を飛羽高之に任せて渡米する。役は川崎龍介。
飛羽高之
バルイーグル(二代目)
(役)五代高之。テレビを中心に今も活躍中の役者で戦隊ものには何作かに出演している。
 二代目バルイーグル。初代の大鷲とは平和守備隊同期。大鷲がスペースシャトルパイロットになったことで、急遽二代目として抜擢された。
鮫島欣也
バルシャーク
(役)杉欣也。俳優の杉義一と元女優の大野陽子の子。デビューは着ぐるみアクションで、「仮面ライダー」から参加。35歳で俳優を引退。
 バルシャークに変身する青年。元地球平和守備隊の海軍将校で海洋学者。過去考古学者の父と家族とともにアフリカに住んでいたが、父と弟を戦争で失い、平和を乱す者に対して激しい怒りを燃やすようになった。そのためか、普段は明るいが、一人でいるときなど暗い顔をすることがある。
豹朝夫
バルパンサー
(役)小林朝夫。作詞作曲家の小林亜星の実子。後に引退して塾講師を経て経営者となる。
 バルパンサーに変身する青年。元地球平和守備隊のレンジャー部隊将校。「ひょひょー」が口癖のムードメーカーで、大食漢。猫科を思わせるアクションで動きは大変素早いのだが、カナヅチという弱点もある。
嵐山大三郎 (役)岸田森。特撮界の重鎮にして多芸多才な役者。数多くの作品に出演している。
 地球平和守備隊長官。ふだんはスナック・サファリのマスター。演じるのは岸田森であり、コミカルな演技とシリアスな演技を器用に使い分けた。
ヘルサターン総統 (声)飯塚昭三。東映特撮ではお馴染みの悪役声優。深みのある声とひょうきんさを併せ持つ。
 ブラックマグマ総統。黒い太陽神を崇める科学者でもあり、全てのモンガーは彼の設計。実はロボットである事が最後に発覚した。
ヘドリアン女王 (役)曽我町子。
 かつてデンジマンによって倒されたベーダー一族の女王。脱出カプセルが南極に不時着してコールドスリープ状態で生き残っていた。ヘルサターン総統によって人工心臓を移植されて甦る。基本的にはヘルサターン総統と共に地球攻略に挑むが、アマゾンキラーと合流して以降反乱の機会を窺うようになった。最終的にアマゾンキラーと共に反旗を翻す。
アマゾンキラー (役)賀川雪絵。「スパイダーマン」でのアマゾネス役。「巨獣特捜ジャスピオン」ギルマーザ役など、悪役が似合う。
 ベーダー一族の出身だが、これまで離れて宇宙各地で海賊として生活していた女海賊。ヘドリアン女王を助けるために地球へとやってきて、そのままブラックマグマに入団する。ベーダー一族を再び宇宙の覇者にすべく、機会を窺っている。
イナズマギンガー (声)渡部猛。特撮ではおなじみの声優で、他には「宇宙刑事ギャバン」のドン・ホラーなど。
 傭兵としてブラックマグマにやってきた。かつてアマゾンキラーと共に宇宙海賊として宇宙を荒らし回っていた。ブラックマグマを裏切るが、全能の神の怒りを買ってイナズマモンガーに改造されてしまう。
ゼロガールズ
ゼロワン〜ゼロフォー
(役)北川たか子(ゼロワン)、東まり子(ゼロツー)、宇田川由紀(ゼロスリー)、高島敏子、広京子(ゼロフォー)
 ブラックマグマの女性型アンドロイド。経るサターン総統の忠実な部下で、様々な任務を行った。
機械生命体(モンガー)  ブラックマグマが作り出す機械戦士の総称。モンガーとも呼ばれる。
マシンマン  ブラックマグマの兵隊。工場で大量生産されているが、個性的な個体も多く、戦闘のみならずダークQの製造まで様々な任務を担っている。科学者タイプも存在する。
ダークQ  ブラックマグマによって作られたアンドロイド。マシンマンの上位機種で、人に変装してスパイ活動を行う。体内に爆弾を仕込んで自爆することもある。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 北極の機械帝国

  脚本:上原正三
  監督:竹本弘一
 ベーダー帝国は電子戦隊デンジマンの活躍によって倒された。だがそんな時、世界各地で異常現象および大規模事故が続発する。実は北極に本拠を置く機械帝国ブラックマグマが活動を開始したのだ。これに対抗すべく国連サミットは特殊部隊を結成し、その特別なエージェントであるサンバルカンが誕生した。集められた三人のメンバーは嵐山大三郎博士の下に結集し、ベーダー帝国に対抗する。
 敵はジムシモンガー

 強大な敵の登場から新しい戦隊の結成と圧倒的なパワーを披露、更に巨大戦という、流れるような展開であっという間にフォーマットを作り上げてしまった。ほぼ仕手の名人芸と言った感じ。一話目からフルバンクでサンバルカンロボが登場してる。
 あまりに見事な流れの為に個性が少ないが、それはそれでよし。
 設定上何の説明も無いが、この作品は「電子戦隊デンジマン」から地続きの話となる。そのためか変身スーツの着用などは似たようなシークェンスを用いているし、EDにはちゃっかり曽我町子が登場してる。
 ちなみに少女役として子役時代の小林綾子が登場してる。
<ジムシモンガーとの戦いでは、ビルの上で戦っていたはずが、次の瞬間には空き地に移動している。
 早速登場するサンバルカンロボ。でもコズモバルカンとブルバルカンが登場した途端に合体してるので、別々に出撃する意味が無い。
 サンバルカン基地はサファリパークの地下にあると説明されているのだが、都市部から基地に入ってるんだよな。どれだけ基地まで移動するんだろう?>
VOL.1
<A> <楽>
第2話 人類が消滅する日

  脚本:上原正三
  監督:竹本弘一
 A国とB国二つの大国が打ち上げたスパイ衛星が墜落し、二国は対立関係に陥ってしまう。更に最近爆弾が使用されるに至り、両国は対立を深めてしまう。
 敵はシーラモンガー。滝本博士を脅迫して細菌兵器を撃ち出させようとする。

 冷戦体制時期にはリアルな話で、この時代のSF関係では普通に使われていたパターンの話。なんせ某二国が戦争状態になったら、核戦争で人類破滅ってのが当たり前のように思われていた訳だから、リアルタイムの切実度が違う。
 たまたま大鷲の知り合いの博士がブラックマグマに利用されるというのもパターン的には出来すぎだが、これが30分の限界。
<ダークQに襲われた際、嵐山長官の「こんな事もあろうかと」発言が出たが、平田昭彦を除けば、この人ほどこの台詞の似合う俳優はいない。
 バルパンサーが木に登って攻撃するシーンがあるのだが、動きがのろすぎて、ちょっと実用に耐えないな。
 発射されたロケットに対し、ジャンプして追いかけるサンバルカンロボ。ミサイルよりもスピード出てるけど、それは構造的に無理ないか?>
第3話 日本に挑む鉄の爪

  脚本:上原正三
  監督:竹本弘一
 国立銀行の地下金庫の4兆円の金塊を狙うブラックマグマの作戦に立ち向かうサンバルカンは、その作戦を阻止できた。だがブラックマグマは次なる作戦を展開しようとしていた。

 敵はナウマンモンガー。マンモスのような姿をした機械生命体。鼻から様々な液体を出す他、足踏みにより地震を起こす。
 いろいろな作戦の詰め合わせをヒーローがことごとく阻止するという話で、最初が地上殲滅、地下金庫の金塊を狙い、博士の暗殺、バスジャック。これだけ詰め込んだ話ってのも珍しい。
 幼稚園バスをジャックするシーンがある。東映の定番のようだが、確かこの前には「快傑ズバット」のみなんだよな。この作品が定番を作ったとも言える。ちなみにバスの中で子ども達に無理矢理歌を歌わせるシーンがあるけど、これは『ダーティ・ハリー』だな。
<話の都合上仕方ないのだが、あんな鈍重なバルカンベースのミサイルが全弾ヘルファイヤーに命中するのは無理がある。
 人間国宝を守るという展開で能楽師が登場してる。多分前代未聞。
 いくら相手がアンドロイドという設定だからと言って、女性の顔を蹴りまくる描写はいかがなものか?>
第4話 少年探偵とスパイ

  脚本:上原正三
  監督:竹本弘一
 ブラックマグマが作り出すアンドロイドのダークQを目撃してしまった少年。だが大人は誰も信じてくれず、しかも「家庭教師」と称し、そのダークQが家にやってきてしまう。

 敵はトリモンガー。ブラックマグマの地下要塞建築の邪魔者を排除する為に誕生した。空を飛ぶことが出来、バルイーグルと空中戦を演じる。
 身近な人が置き換わられてしまったら?古くから続く定番のホラー話。ブラックマグマの工作員ダークQは基本的に一般社会に紛れ込んで生活しているため、そういう話が常に出来るのが強みだな。そういう子どもがヒーローの身近にいる子ってのが都合良すぎだが、それが味でもある。
 メインの話としては、ブラックマグマの地下基地建設を止めるというものだが、別段それは何でも良かった気がする。
 最後にヘルサターン総統がヘドリアン女王を蘇らせようとしているシーンがあり。本作が電子戦隊デンジマンからの地続きであることが分かる。
<サンバルカンは捜査権限まで持っているらしい。やること多すぎやしないか?>
第5話 邪悪な太陽神

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 自ら信奉する邪悪な太陽神の命令により、北極に眠るヘドリアン女王に人工臓器を与えて復活させたヘルサターン総統。ヘドリアン女王は自らの最初の任務として、太陽神に捧げる生け贄を探すことを宣言し、マジンモンガーに生け贄を探すよう命じる。
 敵はマジンモンガー。黒い太陽神の像に酷似した姿をしており、その姿を見たヘルサターン総統は混乱した。踊るようにしながら念動力を使って攻撃する。
 前作「電子戦隊デンジマン」に登場したヘドリアン女王が復活。これによってはっきりこの作品が「デンジマン」の続編である事がはっきりした。ヘドリアン女王は今回も曽我町子が演じているが、その姿は少し変わっている。頭部の装飾が球状のものに変えられ、より動きやすいデザインになった。
 一方、ヘルサターン総統の上にいる首領の存在が示され、ヘルサターンとヘドリアン女王はこの太陽神に仕えるということになる。
 メインの話は単なる人さらいで、壮大な作戦の割には作戦がしょぼくて随分とギャップがあるようでもあるが、その落差も又魅力ではある。バルパンサーが単独で頑張っていた話でもある。
<ところで「電子戦隊デンジマン」では宇宙からやってきたという設定のヘドリアン女王が地球の神の巫女になるって、相当に無理があるような気がするんだけど?>
第6話 機械の支配する家

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 突如最新家電の無料交換が行われ、街の人々は大喜びで様々な家電を求めたが、実はそこにはキカイモンガーの細胞が付着していた。
 敵はキカイモンガー。自身の細胞を付着させた機械を自在に操る事が出来る。
 一般市民の欲に乗じて世界侵略を謀る。昭和の特撮での定番の一つだ。
 玩具の戦車が実際に砲弾を発射するシーンがあるけど、上原脚本ではこの描写とても好まれる特徴がある。
 劇中歌、どこかで聴いた歌だと思ったら、榊原郁恵の「ROBOT」だった。時代を感じるなあ。
<スナックサファリで嵐山店長のことを「長官」と呼んでるシーンがある。誰もいないとは言え、これではカモフラージュの意味が無いのでは?
 バルイーグルがそのままの格好で一般市民の家を訪ねるシーンがある。すげえシュール。後に「宇宙刑事シャイダー」でやってたけど、これも上原脚本だな。
 21世紀電気の家電ロボロボターは複数のマシンマンをなぎ倒すほど強く、サンバルカンの誰かが入ってるのだろうと思ったら、嵐山長官だった。なんだこの強さ?>
第7話 野獣バッターと涙

  脚本:上原正三
  監督:服部和史
 人間の希望を担うスポーツ選手を育て、それを野獣化させることで人々の希望を失わせる為に生まれたヤキュウモンガーは、高校野球界のホープ高瀬秀一を標的に定めた。ビーストシャワーを浴びた高瀬はどんどんパワーがついて行くのだが、同時に性格が荒々しくなっていく。
 敵はヤキュウモンガー。野球のキャッチャーのような姿をしたモンガーで、野性能力開発研究所の用心棒兼、ビーストシャワー発生器。
 人間の希望を打ち砕く為にかなり回りくどい作戦が展開していく。上原脚本の特徴かな?同時に人の心の弱さというのも演出するのもやはり上原脚本の特徴。
 高瀬秀一役は次回作「大戦隊ゴーグルファイブ」の黒田官平役となる春日純一。
<人類をどうするかという作戦会議でゼロガールズはそれぞれ直接的な作戦を立案するが、ヘドリアン女王が言ってるのは凄い回りくどい作戦になってしまった。これで良いのか?
 野性能力開発研究所を調べに来た龍介は、いきなりバルイーグルに変身してバルカンアイで中を透視した後にビルを破壊し始める。隠れて調査するという考えはなかったらしい。>
第8話 父が歌う手まり唄

  脚本:上原正三
  監督:服部和史
 父の嵐山とショッピングを楽しんでいた美佐がブラックマグマに誘拐されてしまう。ブラックマグマは美佐の命と引き替えにジャガーバルカンの引き渡しを要求する。
 敵はムゲンモンガー。魔術の使い手で、様々な効果を引き起こす花吹雪で攻撃する。
 長官の人質を取り、必殺武器を取り上げようとすると言うパターンの攻撃。ヒーローであれば、これを受け入れずにはいられないが、長官としてはそれを拒否せざるを得ない。
 粘り強い交渉と調査が最初に行われるが、それでは罠にはまるだけ。ここで終わらないのが面白い。結果として長官の覚悟と機転で助け出すことは出来たものの、これは特撮における永遠のテーマでもある。
 強いて言うなら、誘拐されたのがサンバルカンのメンバーだった為、長官の葛藤がそこまで深刻に見えなかったことかな。
<電話をかけてきた美佐は「私はどうなっても構いません」と言ってる。いやあ、今では古典となってる台詞だが、やっぱり良いよなあ。
 東京全体の消防署周りをサンバルカン三人でやってる。三十分で全部回れるものなのか?
 相手が卑怯な手を使うならば、こちらも罠を張って構わないというのは昔の特撮らしさだな。>
第9話 怪物になったパパ

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 鮫島の恩師小坂教授が海水から貴金属を安価に取り出す装置を完成させた。その装置を狙い、ブラックマグマが小坂を捕らえるのだが、自白装置の拒絶反応でショック死してしまう。設計図を奪う為、ダークQを小坂に変装させて家に帰すのだが…
 敵はサソリモンガー。海水から貴金属を取り出す装置を奪う為に生まれたサソリ型モンガー。小型のサソリ型メカを分離して敵を攻撃させることが出来る。
 人間の科学者の発明品を巡っての攻防。「仮面ライダー」以来の伝統に則った作戦となる。作戦自体が穴だらけの為にほぼ自滅して作戦が終わってしまう緩さも含めて、なんかほっこりする話でもある。
 ダークQの製造工場の描写がある。単に作られただけで無く、戦闘訓練とかを行い、その中で生き残った優秀なものだけがダークQになれるのだとか…量産型じゃないの?
 割と簡単に人が死んでしまう描写があるのが昭和特撮っぽさかな?
<小坂の正体がダークQであると分かったのは夜のはずだが、外に出たらもう昼間になってた。時間の概念がどうなってるんだ?
 まあこれは良いんだが、サソリモンガーのデザインがなんだかなあ。色と言い形と言い…>
第10話 待ちぶせ毒ぐも館

  脚本:曽田博久
  監督:小林義明
 新たな機械獣クモモンガーはその小型のクモ型ロボットを使い次々に破壊活動を行う。出動したサンバルカンはクモモンガーに翻弄されっぱなしだった。そんな時、豹の前に現れた女子高生から「運命の人」と言われてしまうのだが…
 敵はクモモンガー。小さなクモ型メカを使って破壊活動を行う。色仕掛けにかかった豹を狙う。
 豹を中心とした話。なんといきなりモテ期がやってきて、長官命令でつきあうことになってしまう。なんだかまんざらでも無い様子だが、当時の男女交際の模様が垣間見れてなかなか楽しい。
 ただ、日本中の工場やら交通機関に対するテロ活動と豹の色仕掛けになんの関連もないという根本的な問題があるのだが。
 今回登場したクモモンガーは社会インフラを徹底的に破壊する事が出来る。こういう存在こそが一番恐ろしいのだが、その説明が一言欲しかったところだ。
<コンサート会場に向かうタクシーから飛び降りる大鷲と鮫島。飛び出したところは何故か採石場だった。街中を走ってたんじゃなかったか?
 クモモンガーはサンバルカンにも発見できない小型メカを使うという設定なのに、それを戦いでほとんど活かせなかったのはもうちょっと演出にいかしてほしかったところ。>
第11話 哀しみのメカ少女

  脚本:曽田博久
  監督:東条昭平
 娘を失った植物学者の上村博士にロボットの娘を帰すという条件で繁殖力の高い毒シダを作らせようとする。そんな博士に不審を覚える美佐だが…
 敵はシダモンガー。上村博士が作った毒シダを機械獣に組み込んだ怪人。
 科学者に新兵器を作らせようという、これも伝統的な東映特撮物語が展開。その博士が主人公側の知り合いってのも「仮面ライダー」っぽさだな。メカ人間が感情を持ち、父親になつくというのはこれまでにはない新しい展開だったけど。
 今回は美佐が中心となる。サンバルカンは実働部隊だけで無く、サポーターもまたその一員であると言う主張のようで面白い。
<一人で上村博士の調査を始めた美佐は、その家に忍び込んでいた。目的のためには手段を選ばずか。これで良いのか正義の味方?>
VOL.2
<A> <楽>
第12話 ダイヤを食う女王

  脚本:上原正三
  監督:東条昭平
 突如夢のお告げでダイヤ熱に取り憑かれたヘドリアン女王はダイヤモンガーを作りだし、世界有数のダイヤを奪うよう命令する。キングソロモンの星というダイヤを所望するのだが…
 敵はダイヤモンガー。ヘドリアン女王の為にダイヤを盗む為に生まれたが、その能力は高価なダイヤを食べれば発揮するという、ある意味非常に矛盾した能力を持つモンガー。
 ヘドリアン女王の執着が描かれる話。世界侵略とはかけ離れた作戦だが、こう言うのが普通に作れるのが戦隊ものの面白さでもある。
 ベーダー一族の長としてのプライドを捨ててないヘドリアン女王に対して反発するブラックマグマの面々との確執もあって、敵組織の不協和音という意味でも楽しい。間に中途半端に宝石ブローカーの話を挟んだ為、ややまとまりに欠いてしまったが。
<キングソロモンの星はロンドンで開かれた秘宝展で奪われたのだとか。秘宝展と言われて思い出すのは…
 ダイヤモンガーはダイヤモンドを食べることで能力を発動する。ヘドリアン女王にダイヤを持ってくる為に生み出されたくせに、真逆のことをやってるのでは?ちなみに技の発動には一々相手を両手で指さすのだが、巨大戦でこれをやるとすごく間が抜けてる。
 ブルーダイヤというのがサファイヤ並みに青い。これのどこがダイヤだよ。>
第13話 生命を持つ黒い玉

  脚本:上原正三
  監督:平山公夫
 工事現場で謎の黒い玉が発見された。それを奪い去ろうとしたダークQからそれを奪い去るバルパンサーとバルシャーク
 敵はアイアンモンガー。工事現場から出土した黒い玉が変形して誕生したモンガー。元々ブラックマグマが過去に作った生命体である超重量球を機械生命体に作り替えたもの。
 敵の能力を見せつけて戦うという作品で、最も純粋な戦いの物語になる。何故か本作ではこれまでほとんど無かったパターンの物語だったりする。
 機械帝国が日本をわざわざ選んで攻撃したのは日本が火山国であり、超重量球を多数作り上げることが目的だと分かった。
<黒い玉が発見された工事現場に“偶然”やってきた豹と鮫島。超能力でも持ってるのか?
 黒い玉を持ち上げようとするバルパンサーだが、玉の上の部分だけつるつる手を滑らせてるだけ。これで持ち上がらないのは当たり前。
 重量4tもある黒い玉がコロコロ基地内を転がってるし、普通に机の上にも置かれてたりする。それだけで基地の備品が破壊されないかな?
 ブラックマグマの目的は超重量球を作ることだと分かったが、そんな設定も今回だけしか出てこないのが残念。
 鱒釣りの話題で盛り上がり、升を出してオヤジギャグをかます嵐山長官…いや、だから何と言われても困るが。
 大きくなればなるほど重くなると言う超重量球を元に作られたアイアンモンガーだが、巨大化時にサンバルカンロボのパンチ一発で吹っ飛ばされる程度の重量になってる。アイアンモンガーより超重量球の方がどう見ても強いという致命的な欠陥がある。>
第14話 地球が降伏する日

  脚本:高久 進
  監督:平山公夫
 来日したアルバート国連事務総長護衛任務に就くサンバルカンだが、護衛のミルズ捜査官は実はダークQにすり替わられており、アルバートはブラックマグマに捕らえられてしまった。
 敵はアルマジロモンガー。人質に取った国連事務総長のアルバートを奪還されないように護衛役。
 この世界にも国連はあるらしく、その事務総長が連れ去られてしまうと言う話。それを人質にして人類の降伏を勧告され、その命を巡っての戦いとなる。
 今回比較的バルパンサーが中心となり、色々活躍はしてるんだが、一番活躍したのは地面を掘って移動すると言う事だった。地味な存在だ。
 モグラ叩きをモティーフにした戦いはとてもコミカルになってる。「秘密戦隊ゴレンジャー」を思い起こさせる。
<国連内部にもダークQがいるとのこと。だったらわざわざ来日待たなくて国連本部で暗殺したら?そもそもなんでサンバルカンに護衛されてる状態で誘拐しようとする?余計面倒なだけだぞ。
 ところで何で国連事務総長が国際警察では無くアメリカの連邦捜査官に護衛されなければならないのだろう?設定に無理があるぞ。
 世界人類の降伏を迫るブラックマグマ。なんで嵐山長官個人に連絡してるんだろう?
 アルマジロモンガーとバルパンサーとの戦いは土を掛け合うとか地獄車をしあうとか、なんだか子どもの喧嘩のような?
 国連事務総長が人質に取られてるのに、そこにいるのはサンバルカンと嵐山長官だけ。世界的なニュースでは?
 地下に潜ったアルマジロモンガーに対するサンバルカンの攻撃は「サンバルカンモグラ叩き」で、プラスチックのピコハンマーを使って殴りかかる。なんかとても牧歌的だ。>
第15話 女王の欲ばり踊り

  脚本:曽田博久
  監督:東条昭平
 スナックサファリの常連村井達夫は先祖の海賊の財宝を探し当てることを人生の目的としていた。実はその地図の断片はブラックマグマ基地にあり、ヘドリアン女王はその財宝を得る為、村井の記憶を探ることをタイムモンガーに命じる。
 敵はタイムモンガー。人の記憶を先祖にまでさかのぼって探る能力がある。ユニコーンが元ネタらしいが、山羊のようにも見える。
 宝探しの話。夢があるが、ヒーローものでこの手の話はちょっと浮いてる気がする。そんなのまで話しに出来るのが懐の深さかもしれない。オチは宝は既に持ち去られていたで終わっていたが。
 戦隊ものと言えば七変化だが、本作は女性ヒーローがいない為、ゼロガールズがそれを担当してる。時代に合わせて忍者の格好をしたり腰元の格好したりとバリエーション豊かに変装してる。いや、それよりヘドリアン女王までがそれに参加って…
 最初に提示された現代の村井達夫が美佐に惚れてるってのがちゃんと伏線になってたので、脚本もしっかりしてた。
 海を舞台にする為、鮫島が中心かと思ったら豹の方が目立ってた。
<そもそも宝を探す為にタイムスリップまでやらかせるのはオーバーだ。もっと有効な使い方もありそうなもんだが。
 村井達五郎が「若くてぴちぴちした女はいないのか?」と言っているのを聞いて、ヘドリアン女王が悠然と笑いながら出てくる…いやいや。それでヘルサターン総統も気後れしてるみたいで「あの、ぴちぴちおばさん」とか話しかけてる。すげえ描写。
 海賊の宝が隠されていた場所は普通の入江だった。こんなところで数百年も置かれていたとは思えないのだが。>
第16話 悪魔が校庭を走る

  脚本:上原正三
  監督:東条昭平
 子ども達を洗脳する為、手始めにサンバルカンを憎ませるよう、トビバコモンガーとダークQを学校に送り込む。
 敵はトビバコモンガー。跳び箱に変形して学校に忍び込み、子ども達にサンバルカンを憎ませるよう教育する。跳び箱を使って多彩な攻撃を行う。
 子どもをターゲットに息の長い作戦を立てる敵が出てくる脚本を書くのは上原正三しかおらん。それで焦ったサンバルカンが出動したところを狙って攻撃するのもそれっぽい。
 学校が舞台だけに人体標本が襲うとか、学校ならではの攻撃もあり。
 前回に続き今回もバルパンサーが一番活躍してる。
<トビバコモンガーが跳び箱の姿をしているのは分かるけど、登場時に跳び箱を跳びまくってるのはなんでだ?
 子ども達にサンバルカンの恐ろしさを教える為、学校の先生に「昨日サンバルカンに襲われた」と言わせてる。そんなので洗脳になるのか?サンバルカンの正体を知ってる子ども達もいるけど、全然信じてないのが面白い。
 トビバコモンガーはダークQに変えた先生は体育館に閉じ込めていた。それじゃ人質にならないけど。
 サンバルカンロボにタコ殴りされるトビバコモンガーは命乞いのように両手を合わせていたが、その直後にオーロラプラズマ返しを行っている。謝ってる敵に容赦ない。>
第17話 怪談!お化けの谷

  脚本:曽田博久
  監督:小林義明
 千獄谷にヘドロガスが噴出していることを知ったヘドリアン女王はこれを採取培養して地球をヘドロガスで覆う計画を立てる。そんな時、訓練の為に倉田隊員と共に千獄谷にやってきた鮫島だが、倉田隊員が突然消えてしまう。
 敵はガスモンガー。ドイツ式ヘルメットとガスマスク状の顔をした機械生命体。ヘドリアン女王の命令を受け、ヘドロガスを集めようとする。背中のタンクにヘドロガスを詰め込み、右手のノズルで噴出させて攻撃する。
 殺人犯の汚名を着せられた鮫島を中心に、サンバルカンが真相究明する話。なじられて痛々しい姿もあるが、基本的には痛快活劇に仕上げられている。
<ヘドロってのは海から産するものと思ってたが、普通の地上でも出るものなのか?
 ヘドロガスを吸ったヘルサターン総統以下ブラックマグマの面々はみんな咳き込んでる。こんなのを地上に蔓延させる作戦をよく許可したな。
 倉田の弟は度々千獄谷へと行っている。そんな簡単に行ける場所なの?
 ヘドリアン女王の狙いはヘドロガスを使ってこの世界を死の世界にするのだそうだが、なんで美佐がそんなことを知ってるんだ?
 お化けに扮したダークQとサンバルカンが戦うシーンがあるが、お化けがリズミカルに動き回るとなんだか違和感が。>
第18話 びっくり大スター

  脚本:上原正三
  監督: 小林義明
 ブラックマグマはどんな探査をしてもダークQを完全に人間と間違えさせる機械を完成させた。そしてカメラモンガーを用いて有名なスポーツ選手を次々誘拐させ、ダークQとすり替えていく。
 敵はカメラモンガー。巨大なカメラの顔をして、写真に撮った人間を写真の中に閉じ込めることが出来る。レンズが弱点だが、取り替えは可能。
 これまでにも人間社会にダークQを食い込ませてきたが、その作戦が本格化したという話。
 こういう目立つことを行う場合、すぐに正義の味方は違和感を感じる。後に「○○の仕業だ」とヒーローに言わせることが多くなるのは、この上原脚本にルーツがあるのだろう。
<嵐山長官の指令でスポーツ選手を見張るサンバルカン。こっそり見張るのにわざわざ変身してる。そもそも調査までサンバルカンが行う必要無いんじゃないか?
 ダークQはバルカンアイを騙す為に特殊な装置を付けているのだが、顔にしか装置をかけてないように見える。体はどうなるんだろう?>
第19話 危険な100点少年

  脚本:曽田博久
  監督:服部和史
 水から莫大なエネルギーを取り出そうとする中尾博士の研究は完成間近だった。だがその研究を横取りしようとブラックマグマは、博士の息子宏に目を付けた。身代わりとして宏そっくりなダークQを作り、博士に近づこうとしていた。
 敵はガマモンガー。小さなカエルに姿を変える能力を持つ。 中尾博士の研究を奪う為に派遣された。
 肉親をダシにして人間の発明品を狙うと言う、古典的な物語。それでも落ちこぼれた少年が父に復讐しようと言う、親への反逆が描かれるのは80年代っぽいかな。
 中尾博士役は「大鉄人17」剣持隊長役の原口剛。
<ゼロガールズにより、「遊んでいれば良い」と言われた宏少年だが、アフターフォローが全くない。ホームレスになるだけじゃないか。それに自由にさせてたもんで、すぐに偽物と入れ替わったのが分かってしまった。
 偽物とは言え、子どもに対して蹴りを入れるヒーローってどうなんだろう?
 ガマモンガーの攻撃の一つは敵を舐めまくって洗脳するというのがある。最初嫌がっていたパンサーがやがて何でも言う事を聞くようになってしまった。なんというアダルティな攻撃だ。>
第20話 機械レスラーの罠

  脚本:上原正三
  監督:服部和史
 たるんだブラックマグマ基地の雰囲気に怒ったヘルサターン総統は、これまでの機械生命体の鎮魂の意味を含めて自ら新しい機械生命体レスラーモンガーを誕生させ、無差別に人々を痛めつけさせる。
 敵はレスラーモンガー。これまでに倒されたブラックマグマの面々の鎮魂の為にヘルサターン総統自らが「無敵生命体」として作り上げた機械生命体。次々に道場破りを行い、その後無差別に人々を襲う。バルシャークとの一騎打ちでは全く相手にしなかったほどの力を持つ。
 敵の側がこれまでやられたメンバーを供養するという不思議なお話。
 今回中心となるのは鮫島だが、なんだか分からない内に特設リングでレスラーモンガーと戦う羽目に。なんだろうこの「アステカイザー」臭は。
 また鮫島の過去が嵐山長官により語られる。戦争に巻き込まれて父と弟を失ってしまい、平和を脅かす者に対して激しい憎悪を燃やすのだとか。
<ヘルサターン総統が眠れない時を過ごしてると言うが、ヘルサターンってロボットじゃ無いのか?
 道場破りにやってきたレスラーモンガーとマシンマンだが、誰一人殺してない。なかなか紳士的な機械生命体だ。
 何故今回鮫島が正気を失うほど怒っていたかは、平和を愛する心からだそうだが、それだったらこれまでの戦いでそうなってなかったのは何故だ?
 さっきまで意識不明の重傷だったのに、すぐに戦いに参加して、いつも通りに戦うバルシャーク。本当に人間なのか?
 レスラーモンガーの得物はバーベル型の杖。とても使いにくそうで、結局投げて使う以外攻撃方法が無かったみたい。>
第21話 潮風がはこぶ愛

  脚本:酒井あきよし
  監督:東条昭平
 海女が発見した沈没船。それはナチスの秘宝を積んだ貨物船だった。そこに超兵器があることを知ったブラックマグマは天野姉弟に取引を持ちかける。
 敵はイソギンモンガー。ナチスの財宝を奪う為に作られた機械生命体。頭部は分離可能で、巨大なイソギンチャクのように海の中で敵を待ち受けることもあった。
 姉弟愛が描かれる話で、貧乏ながら地道に生きようとする姉と、手っ取り早く金をもらいたい弟の葛藤を通して、本当に必要なものとは何か?という事を考えさせる内容になっていて、まさに教育番組を地でやってる。
 海が舞台と言う事で鮫島が中心になるのだが、姉弟の方にトピックが中心になった為、今ひとつ目立てなかった感じ。
<サンバルカンの出撃を知ったゼロガールズは、「こんなに早くサンバルカンが出撃するとは」と驚いているが、政府の会議でダークQが姿を現してるんだから、想定の範囲内ではないかな?
 舞台は東北の海らしいが、そこで話される東北弁が凄くわざとらしい。これだったら訛り入れない方が良かったよ。
 イソギンモンガーは海の中でも活動が出来るっぽいけど、だったら沈没船を探すような能力を持たせた方が良かったんじゃないだろうか?
 村上家の墓は崖の上にある。ちょっと風が吹いただけで海に落ちそうだな。ぐらぐらしてるし。>
VOL.3
<A> <楽>
第22話 東京大パニック!

  脚本:松下幹夫
  監督:東条昭平
 ブラックマグマが開発中だった化石化マンガン水が漏れ出してしまい、釣り人が化石になってしまった。
 敵はカブトガニモンガー。化石化ガスを吐いて人類を滅亡させようとする。
 秘密基地を暴く話。パターンとしては往年の「キカイダー」に近い話になる。水源を毒に変えてしまうと言うのも確か第1話でやってたし、子どもを守りつつ戦い続けるというのもそれっぽい。全般的に「キカイダー」および「01」臭がぷんぷんする話になったな。
 豹が中心となってブラックマグマの野望を防ぐという話になってる。満身創痍で活躍してるバルパンサーの姿はほとんど死亡フラグのようにも見える。死なないけど。
 その代わり?か、これまでゼロガールズのリーダーだったゼロワンが落盤に巻き込まれて死亡してる。アンドロイドという設定だから、「死んだ」とは言わないのかも知れないけど。
<父を探しに来た少女につきあってやってきた豹を見たゼロガールズは「秘密を知られる訳にはいかない」と、カブトガニモンガーの出動を命じる。これまで勝った試しないのになんで出す?隠したいんだったら黙っておけよ。なんで実力行使しか考えないんだ?
 ひろみが父親を送り出した時には太陽がもう高く昇っているが、その日のうちに行方不明になって、更にひろみたちが川に行っている。そんな時間かかっても真っ昼間って、白夜かよ?
 カブトガニモンガーの吐く化石化ガスは生物をあっという間に化石にしてしまう。なんで戦いで全く使おうとしないんだろう?攻撃にも防御にも使える最強の武器じゃないのか?>
第23話 銀河魔境の女隊長

  脚本:上原正三
  監督:平山公夫
 ヘドリアン女王が呼び寄せたベーダー一族の行動隊長アマゾンキラーに太陽戦隊の基地破壊を命じるヘルサターン総統。首尾良くオオダコモンガーの卵を基地に滑り込ませ、内部から破壊工作を行わせる。
 敵はオオダコモンガー。隕石に偽装して地上に落ち、調査のために太陽戦隊基地に潜り込んだ。吸盤付きの触手を使って攻撃する。
 前代未聞。レッドの突然交代となった話。これまでのバルイーグルであった大鷲を中心に話が進み、話の終わりに交代と言う事になり、怪我の為に交代した訳では無いことが分かる。それでもいきなり「NASAへ行け」で行ってしまうのはちょっと簡単すぎるな。
 それに合わせるようにブラックマグマ側はアマゾンキラーが、スナック・サファリにはコック見習いの矢沢助八が入る。アマゾンキラーが出た途端に話が一気に進み、あっという間に太陽戦隊の秘密基地が暴かれてしまい、ジャガーバルカンも地の底に閉じ込められてしまう。
 そして現れるニューバルカンベース。敵味方一進一退の攻防が、テレビシリーズの一本とは思えないほどの盛り上がりを見せてくれる。レッド交代と言う事を抜きにしても本作中期の傑作回だろう。
<隕石を見た女記者は「あれはエイリアンよ」と叫んで周囲にパニックを起こしている。話がつながっている前作「デンジマン」では基本敵はエイリアンだったので、今更という感じはある。
 基地の場所が特定され、バルカンベースが破壊されてしまった。地上部分はサファリパークなんだが、そっちはどうなったんだろうか?
 ニューバルカンベースに搭載されて現れたジャガーバルカン。でもさっきまで土砂に埋もれてたはずなんだが、どうやって掘り起こしたかは明らかにされてない。もう一台あったとか?…これが後年の戦隊であれば新ヒーローメカ登場につながってたな。
 そのニューバルカンベースだが、ジャガーバルカンまで収納する巨大空中空母。物理的には空に浮くはずのない形状をしているが、何らかのオーバーテクノロジーが使われているのかな?
 宇宙から来たアマゾンキラーの直属の部下として登場したオオダコモンガー。せっかく宇宙からなんだから、もうちょっと宇宙っぽい怪人にした方が良かったのでは?>
第24話 浜名湖のネッシー

  脚本:上原正三
  監督:平山公夫
 新聞記事で浜名湖でカッパが現れたという記事を読んだ飛羽は、それがブラックマグマによる可能性を感じ、現地へと向かう。
 敵はタガメモンガー。浜名湖に眠る豊臣家の一億両の財宝を引き上げようとする。その際姿を見られ、河童と間違えられている。頭部が分離して瞬間移動しながら攻撃する。
 初登場した飛羽が活躍する話。全体登場したアマゾンキラーとの一騎打ちもあり、新キャラをちゃんと見せようという意気込みを感じさせる。サンバルカン三人が揃った時の口上ポーズおよびバルカンボールのポーズもちょっと違っている。バルイーグルの声が変わっている為にちょっと違和感は感じるが、じきに慣れるだろう。
 今回は浜名湖が舞台でモーターボートを使ったチェイスが楽しめる。往年の「仮面ライダー」のロケ回っぽい。
 今回ブラックマグマが狙う財宝は嵐山長官の先祖が隠したものだという。なんでも真田十勇士の一人が先祖らしい。忍者の家系か。
<三面記事を読んで「ブラックマグマの仕業かも知れない」と呟く飛羽。勘が良すぎるが、それが上原脚本の醍醐味でもある。
 タガメモンガーは部下のマシンマンを従え、「抹殺!」と叫ぶ。それ自体で問題は無いのだが、ポーズと言い、口調と言い、「宇宙刑事シャリバン」のガイラー将軍にしか見えない。
 登場した途端にブラックマグマに捕らえられた飛羽。随分簡単にとっつかまるもんだ。本人は「虎穴に入らずんば虎児を得ず」と嘯いてるけど、シャークとパンサーに助けられなかったら死んでた。
 嵐山長官の言葉によれば、真田十勇士によって財宝が隠されたとのことだが、もっと重要なのは豊臣秀頼が生きていたという事だと思うんだが、そっちはなんのツッコミなし?>
第25話 ドッキリ海蛇の穴

  脚本:曽田博久
  監督:平山公夫
 海ヘビ伝説の残る村に不穏な空気を感じた飛羽は早速その調査に向かうが、そこで村人たちによって生け贄に捧げられそうになった親子を助ける。
 敵はウミヘビモンガー。海ヘビ伝説のある村で村人をパニックに落とし、その間に地下のマグマを噴出させる作戦を行う。
 冒頭から突然飛羽が大ピンチで海に突き落とされて行方不明に。東映特撮では生存フラグで、今回も当然そうなっていた。
 話そのものはかなり端折ってしまった感があり。檜葉の命を助けた少女はその日のうちに飛羽の彼女面してるところに無理矢理感があるとか、物語が盛りだくさんな割に駆け足過ぎて、いかにも尺が足りなかった感じ。
<海辺でサンオイルを塗って体を焼くウミヘビモンガー。シュールな光景だが、「今年の夏は真っ黒になるぞ」とか言っていた。結果としてバルカンボールを受けて真っ黒焦げになってた。
 洞窟に閉じ込められたバルイーグルとバルパンサーは巨大な卵を発見する。それを「ウミヘビの卵だ」と言っていたが、人の頭ほどもある卵なんてあるか。
 海に突き落とされた檜葉が生きていた事実に驚くアマゾンキラー。でも普通に海に落ちただけだから死んでるとは思えないけどねえ。
 ウミヘビモンガーの攻撃を一方的に受けている飛羽。本人に言わせれば、「人質を出すまで辛抱だ」そうだが、一方的に勝っていた場合、人質の必要ないと判断すると思う。>
第26話 ハラペコ満腹料理

  脚本:上原正三
  監督:平山公夫
 ハラペコモンガーが出すハラペコ菌に感染してしまった人間は満腹感を失ってしまう。そんなハラペコ菌に著名人が次々と感染してしまう。
 敵はハラペコモンガー。ハラペコ菌を作り出し、それを食べさせた人間を意のままに操る事が出来る。赤色の土瓶のような顔で、あまり強そうに見えないが、意外な実力者。
 今回はハラペコ菌に冒された豹と美佐が中心となり、かけられた罠を逆転させて罠にはめるという話。基本的に敵の思考は単純な為、罠をかけられるとあっけなくひっかかってしまう。
 人間を徐々に変えて悪の組織に従わせる。こういった時間のかかる作戦は上原脚本の特徴でもある。
 いつもバレーボールのように使うバルカンボールを今回はラグビーのように使っていた。「ゴレンジャー」みたい。
<ハラペコモンガーの胡椒爆弾を受けたシャークはくしゃみを連発してる。バルスーツは通気性が高いのかな?しかしそれでは仮面の意味がないような?>
第27話 真夏の夜の大恐怖

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 人間を狼人間に変えてしまうエイリアン毒液を使い、次々に人間を狼人間に変えてしまうエイリアンモンガー。
 敵はエイリアンモンガー。アマゾンキラーの宇宙船に潜り込んでいた宇宙蚊を機械生命体に改造したもの。蚊に化け、人間を狼人間に変える毒液を次々と一般人に注入する。作り出した狼人間を自在に扱って攻撃した。
 人間を狼人間にするという作戦で、昭和特撮に特徴的な話っぽくて懐かしい雰囲気がある。一度作戦に失敗して、パワーアップして同じ事をするってのも懐かしい雰囲気。
<エイリアンモンガーは空を飛べるようだが、同じ所を浮かぶ以外の移動方法はないらしい。すごく不便だ。
 両親が狼人間になってしまった少年が家から逃げ出すと、偶然パトロール中のバルイーグルとバルパンサーがいた。ご丁寧に変身までしていたが、これがどれだけ確率低いと思ってるんだ。
 エイリアン毒液が抽出できなかったのに、次のスーパー毒液ではすぐさま血清を使っている。どうやって作ったんだ?
 エイリアンモンガーの配下はマシンマンではなく狼人間だが、こっちの方が強いみたい。マシンマンの立場がないな。
 そもそも蚊をモティーフにしてるくせに、顔が蠅にしか見えないのはデザイン的に問題あるぞ。>
第28話 助八は敵か味方か

  脚本:上原正三
  監督:東条昭平
 バルカンベースを探る為に作られたクリスタルモンガーはスナック・サファリの助八に目を付け、仲間に引き込んでしまう。
 敵はクリスタルモンガー。体を消したりミクロ化したりしてスパイ活動を行う機械生命体。自分だけでなく配下のマシンマンの姿も消す事が出来る。
 登場してからそれなりに時間が経過しているが、今ひとつ個性が見えない助八に焦点を当てた話。なんで助八に目を付けたかというと、単純にヘドリアン女王の占いでというのが分かりやすい。それで太陽戦隊のスカウトという触れ込みで助八を仲間に引き入れてしまった。
 助八はドジキャラのくせに妙に勘が鋭いところがあって、スナック・サファリに入り浸っている三人がサンバルカンであることを薄々気づいている様子…って、このキャラ、事情も知らずに店員やってたのね。
 それで助八を誘拐して秘密基地をさぐるが、結局それではどうにもならず、結局単独で水道管を伝わって基地を探ることに。助八関係ない。
<アマゾンキラーは助八に付けたカメラでスナック・サファリにいる三人の顔を見た途端に「サンバルカン!」と叫んでる。確かにブラックマグマはサンバルカンの素顔を知ってたけど、だったら今までなんでそれに気づかないままだったのやら。
 助八が誘拐されるのをモニターで見ていたサンバルカンの面々は、「スパイとして使うから命は大丈夫」とか言っていたが、首をすげかえらされかけた。冷たすぎる。
 ところでニューバルカンベースは空を飛べるので、いくら基地を探っても飛んでしまえば場所を変えられるんだが、その辺どう考えてたんだろう?
 そもそもニューバルカンベースって、岬に剥き出しで建ってるんだけど、あんな巨大なものを見つけられないの?>
第29話 美剣士白バラ仮面

  脚本:曽田博久
  監督:東条昭平
 ヘドリアン女王はサンバルカンロボのオーロラプラズマ返しを攻略する為、最強の剣士バラモンガーを飛羽高之に差し向け、飛羽返しの妙技を身をもって習得させようとする。
 敵はバラモンガー。へドリア女王曰くブラックマグマ一の剣士。赤バラの剣士として飛羽の前に現れ、飛羽返しを習得。巨大化してサンバルカンロボのオーロラプラズマ返しを破って見せた。
 巨大化戦に焦点を当て、最初からクライマックスと言った感じの話。一度敗北した敵に対して特訓で対抗するというのは実に昭和テイスト
 女性型の怪人というのは結構登場するが、人間態が戦うのは幹部クラス以外では結構珍しかったりする。レオタード姿で戦う姿はこれまた昭和テイスト。美佐までマスクをかぶって剣士姿になってたりして、ノリが面白い。少なくとも剣に関しては美佐の方が他のメンバーよりも実力は上だった。
 サンバルカンロボとバラモンガーとの戦いの中継を観て興奮したヘドリアン女王がプロレス技を連呼しながらヘルサターンの頭をぽこぽこ叩いてる。良い漫才コンビだ。
 ちなみに赤バラの剣士役は後の「宇宙刑事シャイダー」アニー役となる森永奈緒美。実質これがデビュー作らしい。
<ヘルサターンの頭を叩くと空洞のプラスチックを叩いたような音がする。中身がないという設定なのかな?
 キャラが危機に陥ると都合良く現れるサンバルカンの面々。これはいつものことだが、今回は一応バラモンガーが呼んだと説明されていたところが親切。>
第30話 大暴れ夢の大怪獣

  脚本:上原正三
  監督:平山公夫
 妖魔獣が住むという伝説の山大神山でキャンパーが襲われる。麓に住む少年三郎は、これが妖魔獣の仕業だと思い、妖魔獣を見に山に入るのだが…
 敵はバッファローモンガー。大神山に設置した地震発生装置を守るために作られた。8メートルサイズに巨大化することが可能。大きな顔に付いている二本の角が弱で、ここを攻撃されると巨大化を解かれてしまう。
 日本の秘境に踏み入るという話。伝説と科学の相克とは「怪奇大作戦」からの伝統的な物語ではある。祟りにあった科学者がうわごとのように「悪魔じゃ」とか言ってるのが実に懐かしくて良い。
 なんか今回はえらく特撮に力が入ってる。伝説にある妖魔獣とかバッファローモンガーによる小屋破壊とか。なんか理由があるのだろうか?
<キャンパーが襲われた程度で太陽戦隊まで総動員で調査してる。これがブラックマグマ絡みである事を勘で察知したのだろう。流石上原脚本。
 大神山を「おおがみやま」と呼んだり「おおかみやま」と呼んだりしてる。
 仕事をしろと叱られた助八は店長の嵐山を「カマキリモンガー」と呼んでいた。失礼な…というか、言い得て妙というか…
 三郎少年を捕らえたアマゾンキラーは「餌にしてやれ」と言ってバッファローモンガーの洞窟に放り込む。機械獣が人間食べるの?初めての設定だ。
 大神山は人も入らない秘境のようだが、ちゃんと道が整備され、まるで採石場のような広い空間がある。
 最後のナレーションで大平透の声で「それにしても許せないのはブラックマグマだ」というフレーズがあり、これだけでもなんだか笑ってしまう。ある意味上原脚本って本当にぶれない。>
第31話 大東京シビレ音頭

  脚本:筒井ともみ
  監督:平山公夫
 放電により日本の電気を混乱させようとするカミナリモンガーが第一発電所を標的に取り、その主任技師小林勇吉をさらった。
 敵はカミナリモンガー。人間を痺れさせるシビレビームを武器とする雷様をイメージした機械生命体。電気を吸収して日本中の人間を痺れさせようとする。
 ストレートな破壊活動を行う機械生命体が登場したのだが、ストレートに攻撃しても強いのに、わざわざ誘拐なんてさせるから作戦がまだるっこしくなってサンバルカンにつけ込まれるという、実にそれっぽい話になってる。
 すれ違いが続く親子の絆を描く話でもあり。仕事ばかりで子どもを顧みることがない父親でも、やっぱり子ども第一に考えてるという、この時代性を感じさせる話にもなってる。
<カミナリモンガーの活躍に太鼓叩きながら諸肌脱いで喜ぶへドリアン女王。はしゃぎすぎだって。
 そもそもビーム一撃でビルまで破壊できる力持ってるのに、なんでちまちま誘拐しなければならないんだ?その説得力に欠ける。>
第32話 顔泥棒を逮捕せよ

  脚本:曽田博久
  監督:小林義明
 飛羽のもとで剣道の特訓に明け暮れる青柳兄弟の前に現れたペッタンモンガーは兄の大介の顔を奪ってしまう。凶暴化して飛羽を襲う大介だが…
 敵はペッタンモンガー。人間の顔に取れない仮面を被せ、凶暴化させてしまう。顔は脱着可能。
 人間を凶暴化させてヒーローを襲わせるという、古典的な東映特撮作品で、これはこれでとても良い感じ。この手のものは伊上勝とか上原正三が得意なんだが、曽田脚本はうまくそれを継承してる感じだ。
 一度飛羽を襲ってしまったために他のみんなから「こいつの本音はこんな奴だ」とされてしまう大介の姿。一度レッテルを貼られると、ずっとマイナスイメージが付いてしまうと言うのは、メディアの発達した現代ではもっと酷くなってるので、かなり時代を先取りしてる感じだ。
 嵐山司令と助八の漫才も練れた感じで大変微笑ましい。
<ペッタンモンガーの恐ろしさを開設するアマゾンキラーだが、主婦が料理を作りたくなくなったり、お巡りさんがピストルを乱射したりとか…う〜ん。恐ろしいってよりもコミカルな方向に流れてるぞ。
 ペッタンモンガーが貼り付ける仮面はムンクの「叫び」の表情のよう。これって後の「忍者戦隊カクレンジャー」の戦闘員ドロドロそのもの。>
第33話 憎いおしゃれ泥棒

  脚本:曽田博久
  監督:東条昭平
 自称“ブラックマグマの天才デザイナー”カニモンガーの作る服が気に入らないヘドリアン女王。意地になったカニモンガーは腕利きと有名な太田和子の洋裁店に忍び込み、盗んだ服を女王に献上する。その頃、当の太田洋裁店では、母の作った洋服に嫌悪感を覚える娘和子に手を焼いていた。
 敵はカニモンガー。自称“ブラックマグマの天才デザイナー”だが、ヘドリアン女王に言わせれば、「どっちが前で後ろか分からない」ような服を量産して不興を買う。何でも溶かしてしまうカニアワーを武器とする。
 親子の断絶をテーマに、ものを大切にすることの重要さを描く、教育を前面に出した話。
 仕立て直し専門の小さな町の洋裁店をわざわざ襲うというのが昭和っぽくて素晴らしい。特撮ならではの無理矢理演出がむしろ心地良い。
 今回の話は最初から最後までヘドリアン女王の身勝手さで展開するが、それを首を振りながら容認するヘルサターンの姿が妙に哀愁を感じる。
<カニモンガーは太田和子のデザインした服を切り刻んでいるが、下着をモロ出しにしてる女性もいた。いいのかこの描写。
 被害に遭った女性をわざわざスナックサファリに連れてくるバルイーグル。ここが基地だって言ってるようなもんだが。>
第34話 呪われた亡霊たち

  脚本:筒井ともみ
  監督:東条昭平
 美佐の旧友でファッションモデルのゆかりが吸血鬼に襲われた。それだけでなく次々と何者かによる怪奇事件が続発する。
 敵はノロイモンガー。人間に恨みを抱く伝説の怪物や人間を蘇らせる能力を持つ機械生命体。ドラキュラやビリー・ザ・キッド、ジャンヌ・ダルクなどを蘇らせた。呪いを使って攻撃する。
 伝説の怪人たちと戦うという話で、これはこれでお祭り騒ぎっぽくて面白い。戦隊ものでは結構怪談ものも多いけど、どれも微笑ましいのが良い。
 EDがここから変更。「一足す二足す一足す二足すサンバルカン」は後々様々に引用された名曲。
<ブラックマグマは超科学組織で、更にヘドリアン女王は宇宙人のベーダー一族なのだが、地球上の呪いとかにやたら詳しいのは何でだろう?科学的とはかけ離れてるような?
 呪いの洋館を探り当てたサンバルカンだが、なんでそんな一軒家が分かったのか、過程がよくわからない。
 亡霊たちは普通に喋ってるけど、外国のキャラが流ちょうな日本語を操るのはねえ…そもそも全員日本人顔してるけど。
 サンバルカン合体剣を繰り出した瞬間、BGMが「キカイダー01」のものに。流用か。
 呪いを解く為にはノロイモンガーを倒すしかないというのが漠然とした目的だったが、ノロイモンガーを倒したら別段消えた訳ではなく、サンバルカンの説得で死の世界に帰って行った。なんかおかしくないか?>
第35話 友達!? クカラッチャ

  脚本:曽田博久
  監督:奥中惇夫
 日本中の人間を死ぬまで踊らせ続けるという踊り病菌の開発に成功したゴキブリモンガーは早速そのガスの試験を行う。サンバルカンとの戦いで巨大ゴキブリとなって逃げたゴキブリモンガーだが、安夫という少年と出会う。
 敵はゴキブリモンガー。細菌融合の天才。感染した者を死ぬまで踊らせ続ける踊り病菌ガスを開発した。
 物語の基本路線は怪人退治だが、特徴として怪人と小学生の友情話が展開するという不思議な話になってる。怪人が改心している訳では無いので、結果的に寂しい少年の心につけ込んで利用しているだけなんだが。
 そんな少年を温かく見守る豹朝夫がちゃんと立った話になってるのが特徴。悪い友達を友達と思ってはいけないという教育的要素もちゃんと揃ってる。
<ヘドリアン女王曰く、ゴキブリモンガーは「細菌融合の天才」だそうだが、作られたばかりの機械獣に天才とかあるのか?
 今回の安夫少年というのは結構受難が多く、普段でもいじめられっ子と言う事で、石を投げつけられたり、ゴキブリに頬ずりさせられたり、最後はパンツ一丁で走らされてたりする。可哀想に。
 サンバルカンは三人で電撃を地面に這わせるバルカンシュートを放つが、ゴキブリモンガーは電撃が走る前に足をぴょんぴょんさせてた。>
第36話 エスパー

  脚本:上原正三
  監督:奥中惇夫
 予知能力を持つシスター北沢日美子は夜な夜な姉が何者かに殺される悪夢を観続けていた。そしてその悪夢を見ることによってブラックマグマのヘドリアン女王の能力が失われていく。自分の能力を阻害する人間を抹殺するように命じる。その頃、占い師をしている日美子の姉加美子がブラックマグマによって狙われていると連絡を受けたサンバルカンだが…
 敵はサターンモンガー。ヘドリアン女王から超能力の訓練を受け、様々な超能力を操る。ヘドリアン女王の能力を阻害する超能力者を抹殺しようとする。
 ヘドリアン女王に直接関わる前後編の話で、「電子戦隊デンジマン」からの設定を引き継ぎ、デンジ星の生き残りが女王の精神波を乱し、ヘドリアン女王が超能力を使えなくなってしまうと言う話になる。バンクではあるがデンジ姫やダイデンジンもバンクで登場してる。
 モンガーも超能力を使う敵だったが、今回は巨大化したサターンモンガーが超能力を駆使して逃げてしまった。多分オーロラプラズマ返しを避けたのは初めて。
 巨大戦で初めてオーロラプラズマ返しが破られたが、要するに逃げれば良いだけ。
 北沢日美子を演じるのは三原順子。ヒロイン役には声が低すぎるのが難点だが、やっぱり華があるな。
<北沢日美子が超能力者だと知った嵐山長官は「彼女はデンジ星の生き残りかもしれない」とか言っていた。なんでそれだけで分かるのやら。勘の鋭さは上原脚本の特徴だが。
 サターンモンガーが使う技は基本的に超能力と言う事で説明されるが、サイコキネシス曼荼羅とか、サイコ爆弾とか、なんだかネーミングがずれまくってる気がしてならない。>
第37話 日見子よ

  脚本:上原正三
  監督:奥中惇夫
 ヘドリアン女王の頭痛はますます酷くなり、サターンモンガーはその人物を探すが、なかなか見つからないままだった。それが北沢加美子の関係者であるとにらみ、入院中の加美子を誘拐しようとするのだが…
 敵はサターンモンガー。十字架を見ると能力が発動できないという弱点が出た。
 ヘドリアン女王を苦しめるエスパーを巡る話。実際には本人には全く自覚が無いのだが、ただ存在するだけで苦しみを与えると言うのが厄介な話。頭痛がするから人を殺せって駄々っ子か?
 日見子の能力はヘドリアン場との戦いで使い果たしてしまったが、それが普通の幸せにつながるという所とか、一度入った信仰心を貫こうとするところなど、深いものも感じさせてくれる。
<「ブラックマグマには指一本触れさせない」と豪語する豹が次の瞬間に加美子をさらわれてしまってる。ドジ踏むこと前提の豹だから出来る芸当だね。
 ヘドリアン女王の苦しみを知ったヘルサターン総統は「最後の手段」と称し、デンジ星の行きの理を片っ端から捕らえることを命じる。そもそもそれが誰だか分からないから苦労してるという事実はどうなる?
 日見子が危ないことを知っていながらとりあえず放置しているサンバルカン。ギリギリで助けることが前提かも知れないけど、ちょっとやってることが冷たい。>
第38話 豹朝夫のおやじ殿

  脚本:上原正三
  監督:加島 昭
 豹朝夫の父朝太郎が上京してきた。それを知ったブラックマグマはトーテムポールモンガーを差し向け、朝太郎を人質に取り、
 敵はトーテムポールモンガー。トーテムポールをモティーフとした機械生命体で、自称「インディアンの守護神」。父親を人質に取り、バルパンサーと一騎打ちを演じるが、どっちかというと押され気味だった。あんまり強くないのかも知れない。
 豹朝夫を中心に、家族の絆を描く話。戦隊ものであれば、大概一話くらいはこの手の話が出るが、その走りとなるか。朝夫は飛騨の素封家の息子と言う事が分かり、親父から後を継いで山を管理してほしいと言われている。朝夫以上の大食漢で、なるほどちゃんと血がつながってることを思わせてくれる。
 豹朝太郎役は小林亜星。この作品に作詞家としては参加していないものの、実は本当に小林朝夫の父親。「親父殿」と呼ぶのが妙な感じだ。岸田森と丁々発止のやりとりが楽しい。ただ、あんまりにも個性的すぎた為、キャラばかり見えてしまって、碌々ストーリーが頭に入らないという問題がある。
<サンバルカンを見張るアマゾンキラーたち。これまでそれやってなかったことに驚く。
 太陽戦隊のことを打ち明けることは出来ないとナレーションがあったが、既にブラックマグマにばれてるんだったら意味が無いのでは?
 折角父親を人質に取りながら、正面からそのことを打ち明けてしまうアマゾンキラー。仲間に連絡を取れって言ってるようなもんだけど。
 息子の危機に、縛られていた朝太郎が縄を引きちぎり、マシンマンを蹴散らしてる。どんだけ強いんだよ?>
第39話 尻もちおてんば娘

  脚本:筒井ともみ
  監督:服部和史
 突然日本全国の稲が枯れ始めた。ブラックマグマの関与を疑う飛羽は単身研究所へと向かう。その頃農家の息子兼太は雑誌社に連絡を取り、取材がやってきたのだが…
 敵はムカデモンガー。ムカデの分身を使い、日本中の稲を枯らしてしまう。自身の出すガスにも植物を腐らせる能力がある。巨大なムカデに変化することも出来る。
 食事、特に米を狙った作戦というのは地味だが結構効果的。特撮はこういう地道な話も似合う。田んぼのあぜ道を使っての立ち回りも微笑ましい。おてんば記者が戦いのスクープを取ろうとして思わずサンバルカンを邪魔したり、本人も酷い目に遭ったりして、その辺の細かい描写もよし。
 今回バルカンボールが巨大になり、その上でムカデモンガーが玉乗りをするシーンがあったが、往年の「秘密戦隊ゴレンジャー」のゴレンジャータイフーンを思わせてよし。
 新聞記者川村みどり役は「宇宙刑事ギャバン」ミミー役の叶和貴子。
<田んぼのあぜ道での立ち回りを「レッドマン」みたいと言ってはいけない。
 バルパンサーのオーバーアクションはいつものことだが、新聞記者を説得する時も大きく体を動かして喋ってる。見た目すごく鬱陶しい。
 稲がおかしくなった翌日に新聞記者が来るのだが、兼太少年は既に詳細な被害地図を作成していた。専門家顔負けの行動力だ。
 みどりと兼太少年を助けに来たバルイーグルはあぜ道でちょっと滑ってた。下が濡れてるから仕方ないけど。>
第40話 なかよし暗殺天使

  脚本:曽田博久
  監督:服部和史
 サンバルカンの前に現れたコウモリモンガーは、なんとバルカンボールをかわしてしまい、飛羽に怪我を負わせる。その後コウモリモンガーは人々をコウモリ人間に変えようと巨大なコウモリとなって次々と人を襲う。
 敵はコウモリモンガー。バルカンボールをかわすほどの実力者で、更にバルカンスーツを食い破るほどの強度の牙を持つ。嵐山長官に言わせれば「最も恐ろしい暗殺者」
 サンバルカンに挑戦してきた最強の機械生命体との戦いが展開…と思ったら、子どもをコウモリ人間にして世界征服に使おうとか、更にコウモリ人間にされてしまったいじめっ子の少年が少女の為に働くとか盛りだくさんで、悠長というか、ぶれまくった話になってた。その緩さが魅力には違いない。
 今回のバルカンボールはよけられることが前提となっており、中にミサイルを搭載していた。凄い技術だが、ボールよりもミサイルの方が大きいように見えるぞ。
<飛羽の前に現れたコウモリモンガーは、「ブラックマグマの暗殺者コウモリモンガーだ」と言っていた。暗殺者にしては口が軽い。
 コウモリモンガーの牙が生え換わるまで100年かかるという。生まれたばかりの機械生命体のくせに結構長生きできるもんだ。それ以前にもう一体作った方が早くね?
 三人一緒にパトロールをしていたサンバルカンの前に、丁度現れるコウモリモンガー。都合良いな。
 バルカンボールもよけられる割にあんなゆっくりのオーロラプラズマ返しはしっかり受けてしまうコウモリモンガー。いろんな意味でおかしい存在だ。>
第41話 七化けドロンパ狸

  脚本:筒井ともみ
  監督:東条昭平
 ある晩、都内の犬が一斉に変死した。解剖の結果、猛毒を吸って死んだ事が分かった
 敵はチャガマモンガー。猛毒ガスを吐く他、自在に姿を変える事が出来る。動物を抹殺して人間に絶望を植え付けるのが目的。
 脚本の筒井ともみらしさが出た、ペットを失って悲しむ子どもにつけ込む怪人という構図の話。毒ガスを使って犬を殺すという話で、その目的は、子ども達と仲の良い動物を殺して子ども達に絶望を与えることだそうだ。人間を全く傷つけないとは、随分牧歌的な作戦だ。
 犬の危険と言う事で、シーシーが正夫に捜査を命じているが、なんか久々に喋った気がする。そもそも存在自体が「デンジマン」のアイシーの二番煎じだし、存在感も薄いから、あんまり出てる意味が薄いのがなんとも哀しい。
 七変化は戦隊の定番だが、ヒーロー側で無く怪人が次々に変化するというのが面白い。今回は戦闘員のマシンマンも登場せず、チャガマモンガーだけで戦ってるのが特徴かな?アマゾンキラーとゼロガールズは出てきただけで何もしてないし。
 今回のバルカンボールは大きなライターに変化。それを受けたチャガマモンガーは「カチカチ山じゃない」と言って爆発してた。昔話つながりか。
<ペットを失って悲しむ純一少年の前に突然傷ついた兎が現れる。都合良すぎ。
 動物園の飼育員はモンガーが兎に化けたと言っていたが、実際に化けたのは大分後になってから。つなぎがおかしい。
 バルカンアイで兎のピョン太を透視して、チャガマモンガーであると見抜いたバルイーグル。透視したピョン太の中にはでっかい歯車が二つほどあっただけ。どんなシステムでモンガーって動いてるんだろう?
 サンバルカンを見たチャガマモンガーは一言「おのれ青二才」…いや、生まれたばかりなのはそっちだから。ニンジャマンが出てきたりして…
 バルパンサーに化けたチャガマモンガーの正体を見極める為にバルイーグルがやってるのは、二人一緒に攻撃すること。バルカンアイという便利な機能があるのに使用しないってのは、パンサーは少しくらいいたぶっても構わないってことなのか?>
第42話 寝坊少年の白昼夢

  脚本:曽田博久
  監督:東条昭平
 ヘドリアン女王は最高位の妖魔術である集団催眠術を不眠不休で行った。その結果生まれたドラゴンモンガーは、ドラゴンの太陽で東京中の人々を眠れないようにしてしまう。
 敵はドラゴンモンガー。ドラゴンの太陽を作り出し、世界から夜を無くしてしまう。そしてヘドリアン女王の念波を受けて東京中の人間を集団催眠状態に陥らせようとする。
 東京中を昼間にしてしまい、そこに住む人間を眠らせないようにするという話。スケールが大きいんだか小さいんだかよく分からないが、一般市民が悪の組織を応援するようになってしまうというパターンは、川内康範の諸作品を思わせて良し。
 普段からいつも寝てばかりいる少年がキーパーソンになるって物語展開も面白い。役立たずな人間なんていないという主張が出ているよう。
 今回のバルカンボールはクツワに変化し、ドラゴンモンガーの口を覆って爆発。
<鮫島の目の前に現れ、ドラゴンの太陽を発生させたドラゴンモンガーは、「来たなサンバルカン」と見栄を切っている。来たのはそっちの方なんだが。
 東京を眠らせないようにしたヘドリアン女王だが、ヘルサターン総統に向かって「これからどうするのじゃ?」と訊ねている。何も考えずに命を賭けて催眠術使ってたのか。
 平和守備隊がクーデターを起こそうというのは大問題かと思うんだが、「クーデターの邪魔をするな」って分かりやすい説明をするなよ。主義主張はどうなった?
 居眠り少年の和夫少年は夢の中でヘドリアン女王と出会うのだが、「おばちゃん何してんの?」と聞いていた。うわ、言っちゃいかんことを。
 クツワを噛まされて口が開けないはずのドラゴンモンガーだが、「こりゃたまらん」といういつもの台詞はちゃんと言えている。>
第43話 君も天才になれる

  脚本:酒井あきよし
  監督:加島 昭
 なんでも回答を与える万能機械を子ども達に与えて怠惰にしてしまおうとする作戦を開始するブラックマグマ。いつもスナックサファリにいる正夫がその機械を使ったところ、天才少年となってしまう。
 敵はメカメカモンガー。子ども達に万能解答機を与えて子ども達を怠惰にしてしまおうとする。超ブラックマグマLSIを搭載し、あらゆる質問に答える。サンバルカンの攻撃を解析して三人を大いに苦しめたが、動物の能力を取り入れたサンバルカンの攻撃のデータを取る事が出来ずに敗北。
 子ども達を怠惰にしてしまうと言う作戦。「これはブラックマグマの仕業かも知れない」の台詞まである為、パターン的に言えばこれは上原脚本の典型的な話なのだが、脚本家が酒井あきよしだった。ちゃんと努力することが大切だよって話に持って行くところが当時の作品っぽい。
 飛羽曰く「(こんなものを持っていたら)日本中の子ども達は無能人間にされてしまう」だそうだ。なんでも答えを与えてくれる万能機械って、現在小学生も使っているスマホそのものだったりする…この作戦はひょっとして現在も続いているのかも?色々考えさせられる話でもある。
<万能解答機にはボタンが5つくらいしか付いてないけど、どうやって日本語入力してるんだろう?
 万能解答機の反応がないと機械を叩くバルイーグル。昭和だなあ。
 デンジバリアを張っているバンを攻撃するジャガーバルカン。普通の車に巨大空中戦艦が攻撃って、弱いものいじめも良いところだ。>
第44話 大脱走・ヘリ爆破

  脚本:筒井ともみ
  監督:服部和史
 太陽戦隊を強力にするためのサポートメカの完成が近づいていた。そのテストパイロットに選ばれたのは飛羽の親友でライバルである山根淳一だったが、その挙動に不審を覚える嵐山。
 敵はムササビモンガー。ハカイモンガーを完成させる為に太陽戦隊の新兵器の設計図を奪おうとした。
 飛羽本人の過去にまつわる話。エリートというのは時に自分が傷つけた人間のことを顧みないことがあるが、飛羽も又、そう言う弱点を持っていたという話になる。
 一方、飛羽の親友という山根は飛羽に対するコンプレックスによって、一人でヘルサターンを倒そうとして失敗してしまい、結果として飛羽に対しても危機に陥れてしまった。
 今回はヘリコプターまで動員して、貨物列車のすぐ脇で爆発させたりとか大変力が入った特撮風景が見られるが、これは多分劇場版に合わせてのことだろう。
 山根役は「宇宙刑事ギャバン」ハンターキラー役の飯田道朗。
<サンバルカンロボの設計図というのが穴あきのサンバルカンロボの姿にメカが書き込まれているもの。いわゆる怪獣解剖図鑑のロボット版。これは断じて設計図とは言わん。
 バルカンスーツは傷つけられると自爆機能を持つという事実が発覚。「死して屍拾う者なし」の精神か。そこまで非道な組織だったか?
 今回のバルカンボールは消火器に変形したが、普通に爆発している為、なんで消火器なのか分からない。
 最後に「これからも良いライバルでいよう」という飛羽。でもサンバルカンロボの設計図を黙って盗んだという事実は消えない。>
第45話 銀河無敵の電気男

  脚本:上原正三
  監督:山田 稔
 突如地上に降り注ぐ稲妻に乗って、宇宙の傭兵イナズマギンガーが現れた。ブラックマグマを内部から崩壊させることを豪語しつつ、その実力を見せつけ、サンバルカンも圧倒した。
 敵はボクサーモンガー。強い敵を見ると戦いたくなると言う血の気の多い機械生命体で、イナズマギンガーの強さを見て、戦いたいと願う。バルカンボールを防いでみせると豪語してサンバルカンと戦ったが、ニューバルカンボールの前にあっけなく敗北する。そしてイナズマギンガー。かつてアマゾンキラーと共に銀河系を暴れ回ったという過去を持つ傭兵で、サンバルカンの攻撃を全てはねのけ、剣技においてもバルイーグルを圧倒するほどの強さを見せる。
 ラストの展開に向け、最強の敵イナズマギンガーが登場。前作「電子戦隊デンジマン」におけるバンリキ大王みたいな立ち位置にいるキャラ。アマゾンキラーとは因縁浅からぬ縁にある為、二人の関係が今回の話の主軸となる。イナズマギンガーとしては、アマゾンキラーを相棒と思ってるようだが、これまで散々酷い目に遭ってきたらしいアマゾンキラーは、彼の野心を知って徹底的に避けようとしている。そのためヘルサターンとヘドリアン女王の間に軋轢が生じている。
 そして一度完全にバルカンボールが破られたため、新しくニューバルカンボールが登場。これまでのサッカーボールからラグビーボールへと変化した。原点回帰かな?
<かつてアマゾンキラーとイナズマギンガーが宇宙を暴れ回っていた際に乗っていた宇宙船はリアベ号だった。同型艦という設定なのか、あるいはどこかから奪ったのかは定かでは無い。>
第46話 女隊長の(秘)作戦

  脚本:上原正三
  監督:山田 稔
 ブラックマグマの本部を監視するために開発された静止衛星を強奪しようと計画を立てるブラックマグマ。だがその作戦は既にサンバルカンに知られていた。組織の中に裏切り者がいると睨んだヘルサターンだが…
 敵はシノワナモンガー。トラバサミのような仮面をした機械生命体で、防衛隊が打ち上げようとしている静止衛星を阻止しようときた。
 アマゾンキラーを中心とした話で、ついに防衛隊に潜入して嵐山長官の前に立っている。暗殺には至らなかったが、完全にこの話はアマゾンキラー視点で描かれており、とても珍しい話になってる。この話に関してはむしろサンバルカンの方が悪役っぽくなってる。
 ヘドリアン女王に忠誠を尽くすアマゾンキラーは、ヘルサターンにとっては目の上のこぶで、排除しようという動きが出てきた。事実ヘドリアン女王とアマゾンキラーはブラックマグマの支配権を狙い、反逆を企てていた。
 そのためヘルサターンとヘドリアンはお互いにイナズマギンガーをだしに使って、相手の真意を探ろうとしている。なかなか複雑な物語展開になってる。あとゼロガールズの口から「黒い太陽神」の言葉が出てきた。話をまとめ始めてることを感じる。
<人工衛星の輸送トラックが何故か採石場を通ってる。ヘリコプターで襲撃させる為なんだけど、凄い違和感。実はその採石場こそが衛星の打ち上げ基地だったというのが分かるんだが、それも無理が…
 防衛隊の目をくらます為に老婆に変装するアマゾンキラーだが、年齢がどうしても老人には見えない。
 衛星打ち上げを阻止する為に作られたシノワナモンガーだが、攻撃が近接近用ばかりなのはなんでだろう?それと、二本の斧を武器にしているのだが、巨大戦では、それとは別な斧を手に持って攻撃していた。>
第47話 機械帝国の反乱

  脚本:上原正三
  監督:服部和史
 ヘルサターン総統により地下牢から出されたイナズマギンガーは自分によく似た性能を持つファイターモンガーを誕生させ、サンバルカンに差し向けた。
 敵はファイターモンガー。イナズマギンガーによって作られたアメリカンフットボールのプロテクターのような装甲を持った機械生命体。イナズマギンガーと共にサンバルカンと戦い、見事な連係攻撃を見せた。そしてイナズマギンガー。ニューサンバルカンボールまで無効化した。アマゾンキラーの誘いによってヘルサターン総統に反抗して一騎打ちの末、ヘルサターンを破壊した。
 ラストに向けて急展開。イナズマギンガー登場以来、ブラックマグマ内部で動きが出ているが、ヘルサターンが作戦を焦りだし、そのためになりふり構わずイナズマギンガーを重用するようになり、それを知ったヘドリアン女王が反逆の意思を固めているという構図となる。お互いにイナズマギンガーを利用し、サンバルカンの打倒と機械帝国の主導権を握ろうと画策する。
 そしてヘルサターン総統とイナズマギンガーが激突し、ヘルサターンの方が負けてしまった。そしてヘドリアン女王が機械帝国総統へ。
 色々急展開だが、敵組織のごたごたが面白すぎて肝心のサンバルカンが完全に脇役に押し込められてしまってる。
<イナズマギンガーは危険だというアマゾンキラーの言葉に「儂はイナズマギンガーを信じてる」と強弁するヘルサターン総統。全く説得力を持たない。
 ヘルサターン総統の体は機械で出来ていることを知ったヘドリアン女王だが、これがロボットで本体は別にあるとか考えなかったんだろうか?未来予知まで出来る割に詰めが甘い。>
第48話 奪われた巨大空母

  脚本:上原正三
  監督:山田 稔
 夜な夜なヘルサターンの亡霊に悩まされることになったヘドリアン女王。原因究明を進めるものの、その理由は全く分からなかった。完全に誰も信用できなくなったヘドリアン女王の為に太陽戦隊の攻略を進めるアマゾンキラーは、ミイラモンガーの力を借りてバルイーグルを生け捕りにするのだが…
 敵はミイラモンガー。当初サムソンモンガーとして、イナズマギンガーとサンバルカンを倒す為に作られた怪力の機械生命体を誕生させようとしたが、調整失敗によってミイラの姿となった。不完全な誕生をしていた割にかなり強く、バルイーグルを捕らえてしまう。性格はかなり調子良く、自分を買ってくれたイナズマギンガーについていく。
 そして人質となったバルイーグルを救う為、ジャガーバルカンを明け渡すことになってしまう。
 今回もブラックマグマ内の混乱が描かれる。ヘルサターン総統の亡霊に悩まされるヘドリアン女王は判断力を失い、あらゆる仲間を信用できなくなってしまった。そこで仕方なく、アマゾンキラーが単独で太陽戦隊を攻略しようとするのだが、そこにイナズマギンガーが絡み、話は複雑に絡み合う。
 前回倒されたはずのヘルサターンが復活。ヘルサターンがロボットだったことは前回明らかにされたが、今や完全に黒い太陽神のメッセンジャーとして復活していた。ヘドリアン女王が見たというのも本人。
<首尾良くサンバルカンロボを手に入れたイナズマギンガーに対して「オートコントロールだ」と言って、実はコントロールは全て自分が握っていたことを明らかにする嵐山長官。それって卑怯な気がするんだが、悪人に対しては嘘もやむなしってのは東映特撮の特徴か。>
第49話 女王最期の妖魔術

  脚本:上原正三
  監督:山田 稔
 ヘルサターン総統の亡霊は更にヘドリアン女王を苦しめていた。徐々に衰弱していく心臓を取り替えようと注進するアマゾンキラーだが、疑心暗鬼に陥ったヘドリアンは誰も信じようとせず、自分のよう魔術の力で太陽戦隊を滅ぼそうとする。そのために嵐山美佐を魔術で呼び寄せ、黒い太陽神の生け贄に使おうとする。美佐を奪われたサンバルカンは、転送装置の在処を探すのだが…
 敵はイナズマモンガー。黒い太陽神の怒りに触れたイナズマギンガーが機械生命体にされてしまった姿。以前の意識は残っていないが、武装は変わらず、強力な攻撃を加えてくる。
 イナズマギンガーの最期が描かれる話。最後に登場して引っかき回してあっけなく退場というのは前作「電子戦隊デンジマン」のバンリキ大王と同じ。同じ事をやってるわけだから、ヘドリアン女王も成長しないな。
 ヘドリアン女王、イナズマギンガー、ヘルサターン総統の三つ巴の争いが話の中心となる為、今回もサンバルカンは割食ってほとんど活躍出来なかった。必殺技を次々に繰り出す為、見た目はとても派手だけど。
<イナズマモンガーの誕生に「こんな姿になって」と嘆くアマゾンキラーだが、元の姿に赤いお面を付けただけなので、別段そんなに変わってないような?>
第50話 輝け北極オーロラ

  脚本:上原正三
  監督:山田 稔
 さらわれた美佐を探す為に北極で探査を進める太陽戦隊。一方、ブラックマグマ本拠地ではアマゾンキラーがついに黒い太陽神の正体を突き止めていた。そこで黒い太陽神は、改めて地球侵略の最後の作戦に協力するようにアマゾンキラーに伝える。
 敵はキングマグマー。最初から巨大ロボットして作られ、ゼロガールズの操縦で動く。北極でサンバルカンロボを襲い、皆既日食を利用してサンバルカンロボを追いつめた。
 最終回。ブラックマグマの内紛もヘルサターン、ヘドリアン、イナズマギンガー全員の死となり、残った黒い太陽神とアマゾンキラーの支配するブラックマグマとサンバルカンの最終決戦となる。
 サンバルカンと女王となったアマゾンキラーの戦いが前半の見所。女王である為にゼロガールズの力を借りずに単独で三人を相手に戦うが、三人まとめて戦っても全く引けを取らず、ニューバルカンボールの直撃を受けても反撃してきた。最終的には自害したが、その立派な最期にサンバルカンも敬礼で返している。
 最終回となり、ついにサンバルカンロボの弱点が明らかになった。太陽光を浴びることで無敵の回復力を持っていたが、日蝕などで太陽が消えると回復できなくなる為、弱体化してしまうとか。
 最後は脅迫を受けた嵐山長官自らが戦うという見所あり。最後に締めるのは長官というのは実に素晴らしい。
 黒い太陽神の正体はカプセルに入った脳髄であり、最後に黒い太陽神との戦いもなかったが、このあっさり加減はこれまでの東映特撮の流れに沿ってのこと。
<黒い太陽神によればヘルサターンも生命体として死んだとのことだが、ヘルサターンはロボットだし、黒い太陽神は生身の脳髄を持つ為、生物のような?それで機械生命は永遠だとは良く言ったものだ。それとも脳髄の姿をした機械だったのかな?
 サンバルカンロボの弱点は太陽光を防がれることだと分かった。しかもそれに関して黒い太陽神は知っていたようだ。だったらなんでこれまで夜襲をかけてこなかったんだ?>
第51話
第52話