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電子戦隊デンジマン

電子戦隊デンジマン事典
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1980'2'2〜1981'1'31 

 バトルフィーバーJに続くスーパー戦隊シリーズの第4作。シリーズとして順調に進化していき、五人パーティの固定、合体変形巨大ロボの登場など、後のフォーマットを確立した作品に位置される。変身用アイテムを使用するのも本作から。
 これまでの戦隊ものは基本的に訓練を受けた兵士がヒーローになるというものだったが、本作のヒーローは一般人。ただし彼らはデンジ星からやってきた宇宙人の子孫と言うことで、隠されたパワーを発動させることによってヒーローとなるとされた。
 敵はベーダー一族という唯一の敵で、結束も強かった。ただしなかなかデンジマンに勝てなかったため、途中から外部勢力の助力を受けていた。それが元で敗北を喫することとなる。敵方のドラマもしっかり描かれていたのもこれまでにはなかった点だろう。
 この話は実は契約によりマーベルとの提携した第三作(1作目が「スパイダーマン」、2作目が「バトルフィーバーJ」)となっている。ただ結果として提携は難しく、ヘドリアン女王の頭部の形状が「マイティ・ソー」に登場するヘラのものと同一ということだけで終わった。
 ちなみにベーダーの女王であるヘドリアン女王は生き残り、次回作「太陽戦隊サンバルカン」でも作品を通した敵として登場しているため、この2作は連続した時空の中にある事が分かる。

主な登場人物
赤城一平
デンジレッド
(役)結城真一。モデル出身で代表作は本作。
 デンジマンのリーダー、デンジレッドに選ばれた青年。空手の達人で、格闘技全般をこなす。ストイックな性格ではあるが、ユーモアも解す。アスレチッククラブでは空手の指導をしている。
青梅大五郎
デンジブルー
(役)大場健二。前作「バトルフィーバーJ」バトルケニアから続投。
 デンジブルーに変身する青年。元サーカス団員で、子どもに優しい明るい性格をしている。食い意地が張っており、時にそれで罠にはまることもあり。特にあんパンは大好物で、常に持ち歩いている。アスレチッククラブではヨガのインストラクターをしている。
黄山純
デンジイエロー
(役)津山栄一。子役出身。1990年代に引退。
 デンジイエローに変身する青年。知能指数200を超える天才大学生。アスレチッククラブでは主婦向けの料理教室をしている。基本的に穏やかな性格をしているのだが、キレると手が付けられなくなる。ちなみにイエローは本来はコミカル役で起用されたらしいが、ブルーに見せ場を取られてしまったためにクールな演技を心がけたとのこと。
緑川達也
デンジグリーン
(役)内田直哉。現在声優として活動中。
 デンジグリーンに変身する青年。元警視庁城南署の刑事で父をベーダーに殺されたため、ベーダーを憎む心は強い。情報収集と射撃の腕前が立つ。
桃井あきら
デンジピンク
(役)小泉あきら。本作が唯一の役者作品。
 デンジピンクに変身する女性。元テニスプレイヤーで、好きだったコーチをベーダー一族に殺された。アスレチッククラブでは水泳や合気道を教えている。
アイシー (声)京田尚子。ベテラン声優で、特撮も女性怪人の声など多数吹き替えている。「ロボット8ちゃん」では8ちゃんを演じている。戦隊レギュラーは「バトルフィーバーJ」の九太郎。
ヘドリアン女王 (役)曽我町子。数々の東映特撮に出演。特に魔女役に定評のある役者。
 ベーダー一族の女王。かつてデンジ星を滅ぼした張本人でも或。あらゆる“美しいもの”に憎悪を抱き、地球をヘドロまみれにしてしまおうというのが目的。部下からの信頼は意外に厚い。
ヘドラー将軍 (役)香山浩介。「スパイダーマン」主演の山城拓也や「超人機メタルダー」桐原剛造など。
 ヘドリアン女王に仕える忠実な戦士。剣技を得意とし、時には前線に立つ。バンリキ魔王が来るまでは唯一の男性幹部だった。
ミラー (役)美川利恵。
 ベーダー一族の女スパイ。ヘドリアン女王の鏡になったり水晶玉になったりと変化の技を使う。最後はバンリキ大王に寝返るが、それは大王の弱点を探るためで、それをヘドリアン女王に告げた後で息絶える。
ケラー (役)湖条千秋。宝塚出身の女優。
 ミラーと共にヘドリアン女王に仕える女官。盾に変化することができる。最期はバンリキ魔王から女王を守ろうとして殺される。
バンリキ大王 (役)大前均。多くの特撮作品に客演。レギュラーでは「猿の軍団」のビップ大臣。「世界忍者戦ジライヤ」牢忍ハブラムなど。
 宇宙をさまよう不吉そのものを宿命としている怪人。本人曰く「宇宙の用心棒」で、デンジマンを攻めあぐねているベーダーに助力するために来たのだとか。非常に強力で、デンジマンを一人一人襲い、それぞれに重傷を負わせている。ベーダー怪人の卵が好物。ベーダー怪人同様巨大化も出来、電子満月斬りを素手で受け止めて見せた。最後はベーダーを乗っ取ろうとするが、阻止されて重傷を負ったところをデンジマンに倒された。
ダストラー
話数 タイトル コメント DVD
第1話 超要塞へ急行せよ

  脚本:上原正三
  監督:竹本弘一
 かつて超文明を誇ったデンジ星を滅ぼし、次に地球を狙うべーダー一族の気配を感じたデンジ犬アイシーが目覚めた。そしてアイシーの元には運命に導かれるようにデンジ星の子孫である5人の男女が集結する。ここに新たな戦いが開始された。

 敵はムササビラー。最初から巨大化して登場している。その大きさは任意に変えられるらしい。
 デンジマンの戦いの開始。デンジマン達を呼び寄せたのはデンジ犬アイシーという犬。司令官が人間外という一風変わった始まりとなる。
 物語はとてもスムーズで、集められた五人は既に戦いのプロの域に達している。比較的残酷シーンなども多く、ちょっと重さも感じられる。人間が一瞬で骨だけになるシーンもあるけど、戦隊ものでは比較的珍しい描写だ。
 べーダー一族の侵略の早さは地球上の公害によるものという説明が付けられている。ある意味これも社会性を持った話でもある。
 これは別に良いんだけど、ヘドリアン女王の曽我町子とデンジブルーの大場健二が一緒にいるってだけで、なんか幸せな気分にさせてくれる。
<デンジ星の子孫を捜すアイシーだが、その家族や親しい人が犠牲になっても放っておき、本人だけを助けている。それでデンジマンになることを納得するメンバーの性格にも問題があるが。
 デンジタワーを組んで攻撃するデンジマン。でも一度組んだ後は前転するくらいしかできないらしい。
 ダイデンジンへの搭乗は走っていって、足下から入り、そこからエレベーターを使ってコックピットへと上がっていく。そんなゆっくりしていたら、その前に攻撃食いそうだが。>
VOL.1
<A> <楽>
第2話 人喰いシャボン玉

  脚本:上原正三
  監督:竹本弘一
 電子戦隊に行く手を阻まれたべーダーはデンジマン抹殺のためシャボンラーを誕生させ、美しいものを次々と襲わせる。その標的の中にはデンジマンの一員桃井あきらがいた。

 敵はシャボンラー。地球上の美しいものをシャボンを吐いて台無しにしてしまう。桃井あきらに目を付け、危うくデンジマンを倒しかけた。口癖は「シャワシャワシャワ」。
 前回は軽快なテンポ故に一人一人の紹介が遅れていたが、今回から一人一人に焦点を当てていくことになる。その第一回目はデンジピンク桃井あきら。前回でコーチが殺されたてしまったため、コーチの願いであるテニスの世界チャンピオンになろうと決意し、ベーダーとの戦いは放棄しようとしていた。だがシャボンラーに襲われることで自分の本当の使命に気付くことになる。そう言うキャラが成長していくのも醍醐味だろう。
 そしてベーダーの目的もここで明確となった。美しいものを破壊し、醜くすることだそうだ。作戦としては随分単純ではある。ヘドリアン女王が美しいものを見たり聞いたりすることに嫌悪感を覚えるという設定も明らかになった。
 ここでも簡単に人が死んでいく。こども向きにしては随分重い。
<美しいものを破壊するために地上に派遣されるシャボンラー。でもやってることが全部行き当たりばったり。こんな事してたら、地球を滅ぼすまで天文学的時間がかかりそうだ。
 あきら不在の中、連絡もせずに4人で出撃するデンジマン。連携が取れてない。
 あきらを救うためマンションの外から窓を伝って入り込んだ大五郎だが、あきらを救うよりも他のメンバーを部屋の中に入れることを優先していた。
 姿を消し、あきらに取り憑いたシャボンラーだが、横たわったあきらに馬乗りになってる姿はなんとも…
 あきらが死ぬまで「後4分」から一分も経たないうちに「あと30秒」になってる。随分あっという間だな。
 あきらはデンジマンにならないと宣言していた割にはデンジリングはちゃっかり装着しているのね。
 ダイデンジンに搭乗した際、計器を全部チェックしてるシーンがある。そんな間に全く攻撃されてないのは何故?
 最期に絆を強めるデンジマンの面々。後ろにはアイシーがいるが、完全にデンジマンを無視してるようだ。>
第3話 油地獄大パニック

  脚本:上原正三
  監督:竹本弘一
 ベーダー怪人チカゲリラーは東京の地盤を歪ませ、地盤沈下を起こす。それによって地下の原油が噴き出し、飲み水を汚染してしまった。危機を知ったデンジマンが出撃する。

 敵はチカゲリラー。地下を掘り進み、地盤沈下を引き起こすアリ型のベーダー怪人。
 デンジマンの面々は同じアスレチッククラブでインストラクターとなった。同じ職場で働くようになったデンジマンの面々の日常生活が描かれることになるが、こういう細かい日常描写がポイント高い。
 今回のチカゲリラーとの戦いも特徴がある。ベーダー怪人は任意に巨大化出来るという設定のため、巨大化から等身大への変形も可能。等身大と巨大戦が交互に展開し、テンポ良く話が進んでいく。テンポ良すぎて危機が危機に見えないという問題もある。
<ベーダー一族は観にくいものを好むらしいが、ミラーはヘドリアン女王のことを「美しい」と言っている。最大の侮辱って事になるけど、何故それで怒らない?
 子ども相手に空手の特訓をする一平だが、何故かそこは後楽園球場のマウンド。ここを選んだ意味は?
 ダストラーを率いるミラーが言った台詞は
「抹殺せよ」。上原脚本だねえ。>
第4話 ベーダー魔城追撃

  脚本:上原正三
  監督:竹本弘一
 撮影中のモデルが次々に不思議な殺害をされていく。その背後にベーダーの存在があると睨んだデンジマンは独自調査を始めるが、そこで彼らが見たものは撮影した写真を破棄することで対象の人間を抹殺する能力を持つルパンカメラーだった。

 敵はルパンカメラー。人間のカメラマンになりすまし、被写体の人間を自在に操る事が出来る。又、視線の先にある人間を操る能力もある。
 今回は大五郎が中心となった話。過去サーカスにいたことや、今もそのつながりがあることが描写されてる。
 今回はベーダー一族の描写が多く、ヘドリアン女王がモデルの写真を踏みつけたりするシーンもあるが、実に楽しそうにそれをやってるのが良い。
 逃げるベーダー城を直接デンジタイガーで攻撃するシーンもあった。本拠地の攻撃がこんなに早くにあるとはかなりのスピーディさ。
 大五郎を兄のように慕うサチ子役は三原順子。この頃はまだ不良っぽいイメージはない。
<事故とかで女性が殺され続けるのだが、あんまりにもストレートな描写で、とても子ども向けとは思えない展開になってる。
 変死したモデルの共通点は「5人とも美人だ」とか。それってすごく主観的な視点じゃないだろうか?
 折角ルパンカメラーを追いつめたのに、長々と台詞を言う事を許してしまったデンジブルー。そのため逃げられてしまうのだが、やってることが甘いぞ。
 悪魔島に乗り込むデンジタイガーだが、対空砲火とかは全く無し。着陸した時点で攻撃している。それって意味がないんじゃないか?
 巨大戦でルパンカメラーの首を落とすダイデンジン。この描写も結構くるな。>
第5話 壁に蠢く赤い毒花

  脚本:上原正三
  監督:広田茂穂
 ベーダーが放った怪物ツタカズラーは珍しい植物としてスポーツクラブに通う少年三太の住む団地に入り込み、住民を養分にしてどんどん成長していく。

 敵はツタカズラー。ダイデンジンを倒すために生まれたベーダー怪人で、人間を養分にして成長する植物型の怪人。三太の団地に入り込んでどんどん成長していく。ツタを使って敵を絡め取り、腐蝕液を用いて攻撃する。
 徐々に侵略していくベーダーの描写が面白い。後年の宇宙刑事シリーズではこういった手の混んだ作戦も増えたが、やっぱりこういうのは上原脚本っぽいな。
 対するデンジマンの方も地道に調査しているが、そんな手間暇も、組織としてのバックアップがないからで、自らの足で調査してるのが分かる。明らかに前作「バトルフィーバーJ」とは異なっているのが分かる。
 前回登場した三太少年は一平とは浅からぬ縁と言う事も分かる。
 デンジイエローの純が臭いでベーダー怪人を察知している。やっぱりヘドロの臭いなんだろうか?
 これまでの作品では巨大戦になれば基本的にヒーロー側が圧倒するのだが、ここでは敵の方が優勢で、逆転するという展開になっているのも特徴的。
<今回も植物に襲われ変死体となる人間の描写がある。>
第6話 悪魔分身の少女

  脚本:上原正三
  監督:広田茂穂
 自殺しようとした少女香織を助けた純と達也。複雑な家族関係から、人生になんの希望も見いだせない香織だが、そんな心につけこんだベーダー怪人ヒゲキタコラーが憑依する。

 敵はヒゲキタコラー。人の精神に入り込み、その邪悪な心を吸って成り代わるベーダー怪人。
 人の精神に憑依して操るという怪人の話。継母と折り合いが悪く、自殺未遂までした少女が、危機として復讐するとかかなりえぐい話が展開。こども向きにしてはえらく殺伐としてる。
 終わり方があまりにも出来すぎてるってのが難点ではあるが、まあこれで良いのか?
 理性的なデンジイエローがキレるとかなり恐ろしいというのもちょっとだけ描写。
<継母に苛められて自殺未遂まで起こす少女…そこまでやらんでもよかろうに。
 ヘドラ-将軍が香織の詩を朗読するシーンあるが、恐ろしいほどの棒読み。逆に巧いね。
 ダストラーが基盤を操作したらジェットコースターが逆走していた。どうやって?
 香織の体に戻ろうと家に入って布団をはねのけたら、デンジレッドが腕組みして寝ていた。えらくシュールな光景だ。
 今回の最大のツッコミは怪人の名前だろうな。実は一切名前が出ておらず、「ベーダー怪人」としか呼ばれてないんだが。>
第7話 デンジ星の大悲劇

  脚本:上原正三
  監督:竹本弘一
 ベーダーはかつてデンジ星を滅ぼした怪人の子孫ウミツラー呼び出す。あらゆる水をヘドロに変え、生物を補食するウミツラーバクテリアを繁殖させようというウミツラー。瞬く間に東京の水は汚染されていく。

 敵はウミツラー。過去デンジ星を滅ぼした怪人の子孫。水をヘドロで覆い、汚染度が98パーセントになったところでウミツラーバクテリアを繁殖させる。
 環境問題そのものを扱った話で、これまで東映特撮だと「コンドールマン」を初めとしてかなりこの問題はコミットしている。デンジ星を直接滅ぼしたのは今回の怪人ウミツラーということが分かる。デンジランドもダイデンジンもこの怪物から逃げるために作られたとのこと。
 ベーダーに滅ぼされたデンジ星と地球の違いは、電子戦隊がいたかいなかったかの違いだという。デンジマンのお陰で地球は救われた。
 ウミツラーが「忙しい忙しい」とぼやいているシーンがあるが、作戦中の怪人って結構忙しいんだろうな。
<ダムに毒を流して東京を滅ぼす作戦…伝統っちゃ伝統芸の一つ。
 オープニングでヘドリアン女王が部下達と共に暗黒舞踏やってる。ベーダー怪人って、色々な生まれ方するのね。それにしても曽我町子がやるとえらい迫力だな。
 人間が石膏のようになって死んでしまう描写有り。相変わらずきつい描写をやってるな。
 ダストラーに化けるデンジレッドとデンジピンクの姿がある。仮面を剥いだら、ダストラーよりも顔が大きいマスクが現れる。どうやって覆面付けてたんだろう?
 デンジ星には電子戦隊は存在しなかったという。でもヘドリアン女王はデンジマンを初めて見た時、確かに「電子戦隊」と呼んでいたはずだが。>
第8話 白骨都市の大魔王

  脚本:江連 卓
  監督:広田茂穂
 ベーダーの送り込んだフィルムラーは超能力によって人々をどんどん老化させてしまう。映像を駆使するフィルムラーの能力に幻影を見せられ、翻弄されてしまうデンジマンたち。

 敵はフィルムラー。映像を駆使し、人間を老化させる力を持つ。フィルムの中に逃げ込むことも出来る。
 夢と虚構の世界を描く話で、映画の中に紛れ込んで七変化するってのは、戦隊ものでは一種の伝統となるが、これがその初期タイプとなる。
 今回の中心は大五郎。細かいことにはあんまりこだわらないキャラだが、怖いのは苦手らしく、あっけなくフィルムラーの罠にはまって老人になってしまった。本当に老人にされるヒーローってなかなか珍しい話だ。
 老人になるとデンジマンにもなれないらしいが、デンジマンの変身にはそれだけ体力が必要と言うことなのだろうか?
 フィルムラーの人間態は東映特撮ではお馴染みの安藤三男。プロフェッサー・ギルばりの迫力。
<フィルムラーの能力を持ってすれば、人間を白骨になるまで老人化させられるのだが、相手が大五郎と分かっていながら、中途半端な老人にしてしまった。
 フィルムを順送りしたら老人になったが、フィルムを処分したら普通に青年に戻ってた。本人が死ぬとか考えなかったか?
 ベーダー一族って、人間の世界と同じアナログフィルムを使っているんだろうか?
 映画の支配人に、デンジマンの格好のままお願いしているシーンがあるけど、かなりシュールだな。
 フィルムラーは超能力でデンジマンの姿を人間に戻す能力を持つ。そんな力があったら、もっと違った事に使え。でも人間態になってもえらく強いので、ひょっとしたら、スーツは着たまま、見かけだけ人間に戻ってるのかもしれないけど。>
第9話 死を呼ぶ怪奇電話

  脚本:上原正三
  監督:竹本弘一
 自分の絵を認めてくれない画家達に恨みを持つ風間雄一に接触したベーダー怪人デンワラーはその怨念を利用して次々と画家達を飲み込んでいく。そんな雄一と知り合ったあきらだが…

 敵はデンワラー。人々の心を慰める芸術を撲滅するために派遣された。電話回線を通して人々の前に姿を現す。売れない画家風間を利用して他の画家達を次々に抹殺する。ダイヤルを回すことで瞬間移動も出来る。電話で喋ったことが現実になるという能力も持つ。
 シリーズ屈指の怪奇作品。物語もライティングも本当に怪談っぽく、なかなか面白い。巨大な電話機に食われてしまう人間ってのは、見た目ギャグっぽくもあるが、それが逆に怖くなるのが不思議なところ。
 今回の中心はあきらで、知り合った好青年が殺人犯だと知ってしまう。
<電話に出た直後に人が死んだという事を聞いた一平は即座に「ベーダーの仕業だ」と見抜く。その程度で分かるものなのか。
 思いっきり一般人の前で変身してるデンジマンだが、それで良いの?
 デンワラーは自分の力で電話を通して移動出来る。最初から風間は不必要なのでは?
 デンワラーは119番に電話をかけ、「火事です」と言うと火事が起こり、110番に「脱走犯です」というと、高速で走ることが出来る。便利な能力のような、全くそうではないような…>
第10話 魔法料理大好き!?

  脚本:上原正三
  監督:広田茂穂
 10円という格安で販売されるハンバーガー。大人気で次々とみんな買っていくのだが、それを食べた人達は一様に美しいものを憎むようになってしまう。実はこれはベーダー怪人ハンバラーの仕業で、

 敵はハンバラー。魔術師で、音楽を聴かせながらヘドロハンバーガーを食べさせると、その人の色彩を失わせてしまい、美しいものを憎むようにさせてしまう。
 大五郎が敵の罠にはまってしまうという話。戦隊ものだと味方が多いから、一人が本当に罠に落ちてしまうシチュエーションも簡単に作れてしまう。ここで食い意地が張っているという設定が生きてくる…どっちかというと、青ではなく黄の役割って気もするが。
 物価高で、急に安いものを売るという事の危険性。そしてジャンクフードを食べ続けることで味覚障害が起こること。それらのシチュエーションが時事ネタとして機能している。こういうのって営業妨害になるから、今では出来ないパターンでもあるが。
 久々にアイシーが喋ってる。
<10円ハンバーカーと聞いて、早速大五郎を調査に向かわせる一平。察しが良すぎるが、送り込んだ人選に間違いがある。
 10円ハンバーカーは一台のバンで売り歩いている。飛ぶように売れてるとは言え、これでは作戦が効果的に遂行出来ないのでは?そもそも幹部連中が全員店員になってるし。
 ヘドリアン女王が大五郎の話を聞いた瞬間、「あの馬鹿が」と笑っているのだが、なんだかそれだけで妙に笑えてしまう。
 ハンバラーはかなり強力なモンスター。それだけに前線で戦わせる事自体が問題だと思う。
 デンジシャワーの照射によって子ども達は救われた。でもハンバーカー食べた大人もたくさんいたはずだが、一々シャワー浴びさせたんだろうか?>
第11話 いのち泥棒を追え

  脚本:上原正三
  監督:広田茂穂
 タイヤジコラーによって一平の空手の教え子の姉弟が襲われてしまった。逆上した一平は単独行動を取り、タイヤジコラーを探すが、ベーダーに捕らわれてしまった。

 敵はタイヤジコラー。タイヤに変化し、そのタイヤに轢かれた子どもの命を盗む。ちなみに武器の槍は交通標識。
 いつも冷静な一平が、今回は教え子が襲われた事で妙に熱くなっている。そのために罠にはまって捕まってしまう。そこでデンジリングを奪われてしまうのだが、一旦捕まってしまったら、いつもの冷静さを取り戻してた。これまで戦隊作品ではリーダーは間違った行動を取らなかったが、これが初めての暴走になるのかも知れない。
<毎度の事だが、なんで空手の練習は後楽園球場を使うんだろう?
 夏子はタイヤジコラーに対し、「あなたがタイヤ怪物?」と聞くのだが、素直に「そう。タイヤ怪物」と返している。素直な怪人だ。
 ベッドに縛られているヒーローにドリルを近づけるとか、ツボを心得た演出だが、こういうのって今は使われてないな。
 せっかくデンジリングを奪っておきながら、デンジレッドを呼び出すために再び返してしまうヘドラー将軍。この人が何をしたいのかよく分からない。
 デンジマシーンでダストラーを追い回すデンジレッド。でもなんでこの場所にこんなにたくさんの空段ボール箱が置いてあるんだろう?
 タイヤジコラーが変化したタイヤと戦ってるシーンがあるけど、描写がなんか間抜けというか…>
第12話 危険な子供スパイ

  脚本:上原正三
  監督:竹本弘一
 ベーダー怪人バーラーはアスレチッククラブの生徒を次々捕らえ、そのコピー人間を作ってデンジマンの命を狙う。

 敵はバーラー。バラの怪人。人間の血を用いてコピー人間を作る能力を持つ。幻術も使う。
 あきらと達也が中心となった話。子どもには手を出せないヒーローに対する作戦が展開する。ただし、気付かれないように殺害しようとする作戦はことごとく失敗。なんか間が抜けているが、その緊張感が良い。
 達也は一話で刑事だったという過去が明かされているが、そのつながりはまだ健在らしく、旧知の婦警から捜査を強引に手伝わされてるシーンがある。その婦警松尾千恵子は意外にもアクティブで、事件を探る内に達也の方に興味を持って、デンジマンを探る事になる。レギュラーにしても良いくらいの存在感だ。
 罠を知った上で、それを逆手に取る作戦ってのも良い感じ。正義のためと割り切ってヒーローも結構小狡くて、やられっぱなしではないあたり、上原脚本の真骨頂。
 巨大化したらそれで終わりという物語展開が多いが、本作の場合怪人は任意に体の大きさを変えられるため、再び等身大となって戦ってたりする。珍しいパターンだ。
<バーラーの叫び声は「バーラバラバラ」だった。なんか「イナズマン」を思い出させるなあ。
 あきらが作ってるのはホットケーキだが、ホットケーキと言うよりもでっかいコロッケみたいで、あんまりおいしそうではないな。
 アイシーを見た清子は悲鳴を上げている。なんでもライオンかと思ったそうだが、どこからライオンなんて出てくるんだ?>
第13話 割れた虹色の風船

  脚本:江連 卓
  監督:広田茂穂
 藤村博士の娘美香が小学校の子ども達にいじめられていたところを見知らぬ男が助けてくれた。その男を「おじさん」と呼んで懐いてしまった美香だが、そのおじさんは実は美香の父の研究成果を狙うベーダー怪人のアドバルラーだった。だが、純粋な美香と付き合ううち、アドバルラーの心に変化が生じる。

 敵はアドバルラー。藤村博士の娘美香に近づき、藤村の研究を狙う。毒ガス入りの風船を飛ばして人々の目を見えなくさせてしまう。正々堂々がモットーだが、女王の命令によって藤村を殺害せねばならずに悩む。
 怪人が少女と仲良くなってしまうと言う話。実は結構このパターンは多いのだが、良い話に仕上げる脚本の力量が重要になる。今回のアドバルラーは悪の心と美香を守ろうとする優しい心の板挟みになるところがなかなかよろしい。ただ、結局は普通に戦ってるところが残念。もうちょっと突っ込んで優しさを描写して欲しかったところだった。デンジマンも純粋な正義のまま終わる。
 アドバルラーの人間態は「ウルトラマンタロウ」二谷一美役、「宇宙刑事ギャバン」魔女キバ役の三谷昇。
<喰いしん坊の大五郎を懲らしめるため、大五郎が横を向いている時に胡椒をたっぷりふりかける達也。食べ物を粗末にする描写は最近すっかり無くなってしまったので、なんか新鮮。
 ダストラーがポーズを取って「ヘイ!」と叫んだところを、現れたデンジグリーンが「ヘイヘイホー」と叫んでみんながズッコケるシーンあり。今回は達也が完全ボケ役になってる。>
第14話 100点塾へおいで

  脚本:上原正三
  監督: 平山公夫
 三太の友達でいつも遊んでばかりの大石源一がテストで100点を取った。実は源一は塾へ行っており、その塾に三太を誘う。そこは「努力は無意味だ」と遊んでばかりいる塾だったが、何故かその塾に通う子ども達の成績は誰よりも良かったのだ。

 敵はジュクラー。これを使えば絶対100点が取れるという自らの分身の鉛筆を作り出す怪人。
 子ども達を怠け者にしてしまうという、気の長い作戦は上原脚本の最大特徴。今回はその上原脚本の良いところが出た話となった。
 一度怪人に魅入られてしまった子どもはなかなか抜け出せなくなるって話の持って行き方もそれっぽい。
 前々回登場した清子が再登場。達也の姿を見て「やっぱりあいつはデンジマン」と勘のいい事を言っている。仮にこれがもっと後の戦隊ものだったら6番目の戦士になってたんだろうな。
<デンジマンはデンジタイガーで敵アジトの近くまで行っておきながら、最後はデンジマシーンで突入している。デンジタイガーで出来るだけ近づくという考えはなかったんだろうか?子ども達の安全優先?>
第15話 悪の園への招待状

  脚本:上原正三
  監督:平山公夫
 かつての同僚松尾千恵子から呼び出された達也は、その正体がデンジマンではないかと問いかけられる。そんな時、二人は公園で遊んでいた青年達から突然襲われてしまうのだった。

 敵はパンチローラー。ラジオに乗せて催眠音波を出し、それを聴いた青年達を意のままに操る。
 敵の催眠音波に惑わされる青年の姿を描いた話。時事ネタと少年達を絡めるあたりこれも上原脚本の特徴が良く出た話だ。当時は深夜ラジオをみんな聴いてたなあ。懐かしい。当時のローラースケートブームも懐かしいところ。
 ダストラーとの戦いでも、ダストラーが全員ローラースケートで戦ってる。なかなかメリハリの利いた演出だ。
 12話に続き、婦人警官の松尾千恵子が再登場。達也をデンジマンと決めつけている。基本的にずれた感覚の持ち主なのだが、これに関してのみ正しいことを言っている。
<アイシーが大五郎の食い意地に皮肉を行ってるシーンがあるが、これは「バトルフィーバーJ」の九太郎と四郎とのやりとりを彷彿とさせる。
 周り中催眠音波に踊らされているとは言え、簡単に変身してしまうあたり、正体を隠す気は無いんじゃないかと思われる。
 千恵子に対して「サンキュー。チーコ」とサムアップしながら言うデンジグリーン。やっぱり隠す気ないじゃん。>
第16話 熱海の陰謀を砕け

  脚本:上原正三
  監督:竹本弘一
 ベーダーはサメラーの作り出すサメラ菌を相模湾にばらまこうとしていた。細菌学者小川博士の残した言葉をヒントにデンジマンは熱海へと向かう。そこには細菌学の教授浅野博士が逗留していたのだが…

 敵はサメラー。体から人間を土塊に変えてしまうサメラ菌を作り出す。浅野教授の息子に化けて、教授を脅迫してサメラ菌を培養させる。顔を取り外して噛み付き攻撃もする。
 これまた東映の定番である毒を海に流すという話。ダムを用いる事が多いが、今回はタイアップ企画もあってか、熱海が舞台になってる。遊園地で遊んだり、観光名所に立ち寄ったりと、サービス精神は満点。
 あと、これも定番である七変化が楽しめる話でもある。デンジマン以外にミラーとケラーも色々と扮装してる。
 今回はサメラーが次々と大きくなったり小さくなったりで、戦いも大変メリハリがある。最後はダストラーもいなくなり、集団リンチ状態だったけど。
<潜入捜査でチンドン屋に扮するデンジマン。芸達者なのは良いけど、目立ちすぎてるって。
 ミラーとケラーの誘惑を受けた大五郎は二人を振り捨てているが、その際「俺がそんなにモテる訳ないよな」と呟いている。自虐的な。
 サメラ菌をばらまくのに浅野教授を使うサメラー。ただ海に放り込めばいいだけなので、別段そんな必要は無い。
 最後に休日を楽しむ浅野博士家族。これだけ酷い目に遭っても楽しめる精神がたいしたものだ。>
第17話 泣くな! 野球小僧

  脚本:江連 卓
  監督:竹本弘一
 ベーダー怪人デッドボーラーは地球にベーダー野球を広めようと、次々と野球選手を襲って再起不能にしていく。そしてプロ野球のホームラン王玉木を狙うが、それを察知した大五郎によって阻止されてしまう。

 敵はデッドボーラー。ベーダー野球の名選手。投げる球は全て致死性のデッドボールで、打った球は必ず野手に当たる。
 野球を主軸にした話で、大人気の野球を阻止する作戦…とは言え、これは地球征服とは別で、女王が楽しいからというだけの理由で襲ってるという。人に迷惑をかけるだけの作戦ってのも、ある意味では潔い。
 人を恨みに思う人間の思いが、大きな災いをもたらす。それに対抗できるのは人を思う心。特撮は教育番組というのは、まさしくこのような話があるから。
 今回は画面にヘドリアン女王が出っぱなし。基本的に画面を締めるためだけにいる人なんだが、今回はまさしく主役級。珍しくベーダー城から出ている姿もあった。
<時速300キロの鉛球を受けて再起不能になる人々が続出。でも死んでる人は誰もいない。タフな人間だらけだ。
 人間の少年をすっかり信用してしまうデッドボーラー。根がいい奴なんだな。
 デンジドリルは体を回転させる事で地中に潜り、他の場所から出てくる技だが、コンクリートでも使用は出来るらしい。更に出てきたところにも穴はない。>
第18話 南海に咲くロマン

  脚本:曽田博久
  監督:竹本弘一
 伝説の海棲人類海彦一族を復活させ、人類を支配しようとするベーダーは、カイガラーを使い、その復活をもくろむ。そこで見つけたのはあきらの幼なじみである海原洋太郎だが、ところが洋太郎はカナヅチだった…
 敵はカイガラー。伝説の海彦一族を蘇らせる笛を吹く。

 泳げない海棲人類という、ほとんどギャグのような話。曽田脚本のコミカルな部分が出た話でもある。
 あきらが幼なじみのために一肌脱ぎ、デートに出かけるという話にもなってる。あきらが中心になった話はあまり多くないが、ちゃんど女性らしいエピソードとして仕上げられてる特徴があるか。
 物語として、ベーダーがやってることが行き当たりばったりなのが問題だが、逆にそれが良い味になってたりもする。
<海彦一族を復活させれば人類を支配出来ると言われたが、どうやったら支配出来るのか、具体的なことは一切言ってない。コンビナートを襲うのもかなり適当な作戦だった。
 たまたまアスレチッククラブのプールに侵入して泳いでいたのがあきらの幼なじみ。どんだけ偶然が重なってたんだ。
 友達に彼女がいる事を見せつけるという洋太郎につきあってデートの真似事をするのだが、誰もそれを見てない。ひょっとして洋太郎があきらを騙したのか?
 カイガラーを騙すために海彦一族の足跡を一つ一つ付けているデンジマン達。なんという暇な作戦を立ててるんだか。
 海に行こうというあきらに従って砂浜を駆ける洋太郎。二人にはソフトフォーカスがかかっていて、まるで恋人同士。特撮でやると違和感だらけだ。
 二人を追いかけて徒歩で海までやってくる他のメンバー。デンジマシンを使えばすぐに海くらい行けると思うんだが、なんで走って行かないといけないの?
 もう人間には戻れないと、南の海に向けて海に消えた洋太郎。ところで、先ほど海が汚れているから海彦一族は海で生きていけないと言ったばかり。つまり洋太郎の運命は…>
第19話 私の星の王子さま

  脚本:上原正三
  監督:広田茂穂
 太陽熱利用のクリーンモーターを開発中のワールド太陽熱研究所にベーダーの一味が侵入し、研究員を次々と殺害していく。生き残った研究員の松本を守るべく監視を始めるデンジマンだが、松本の妹にベーダーの手が伸びる。

 敵はガマラー。どんな人間にも化けられる怪人で、美少年に化けて松本の妹なるみに近づいた。幻術を使い敵を翻弄する。
 東映特撮では結構よくあるパターンの純情な少女に近づく罠。普通に巨大化した怪人が襲撃すれば済んでしまいそうなものを複雑な過程を経て暗殺へと向かう脚本は、やっぱり上原脚本らしくて良い。
 クリーンエネルギー開発についてはこの時代に随分言われていたものだ。夢のような機械がいつできる?と思ってたら、いつの間にやらほとんど話を聞かなくなった。
 千恵子が当たり前のようにデンジマンに混じって活動してる。もうばれても構わないって事かな?
<そもそもの問題として、宇宙からやって来た王子様って設定をそのまま受け入れる少女ってどうなの?
 その星の王子様を見て、それがベーダーの怪人であることを推測する純。それしか選択肢がないのは分かるけど、もうちょっと調べるとかしない?
 ガマの石象になってあちこちに現れるガマラーに対し、「よし。デンジブーメランだ」と普通に言っているデンジレッド。相手が見えないのになんで?実際、そこで倒したのは幻術で作った方だったが。>
第20話 ゴリラ少年大暴れ

  脚本:高久 進
  監督:広田茂穂
 100年に一度咲くという深紅の花の蜜を舐めてしまった怠け者の少年茂は急に怪力を持つようになってしまった。その蜜を求めるベーダーのハチドクラーは茂に接近し、その蜜を奪おうとする。

 敵はハチドクラー。生まれた時は貧弱体質の怪人でヘドリアン女王にも全く期待されていなかったが、深紅の花の蜜を摂取すると無敵となる。
 無敵となった怪人と戦うヒーロー。これ又定番の一つ。大体のパターンでは、無敵になり損ねることが多いが、今回は成功して本当に無敵になっていた。ただ、言うほどパワーアップしてるようには見えないけど。
 やっぱりデンジマンと仲良い千恵子。コミカルなキャラに磨きがかかってきた。
<100年に一度咲くという花だが、これまで人間が見たことがないとナレーションが被さる。なんでそれが分かるの?
 ハチドクラーは無敵という癖に普通に攻撃してダメージを受けてる。たいして強くもなさそうに見える。>
第21話 死神党を攻撃せよ!

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 死神党を名乗る盗賊団が次々と殺人強盗を行っていた。背後にベーダーの力を感じたデンジマンだが、実は死神党にはサーカス時代の大五郎の弟分トキオがいた。

 敵はローソクラー。「死神様」を名乗り、死神党員を洗脳してベーダーのために働くようにした。ローソクを爆弾のように使う。
 大五郎の友人の受難。欲の皮がつっぱらかると、碌でもないことになるという話で、これこそ「特撮は教育番組」と言われる所以だな。
 今回の戦闘シーンはかなり変則的で、巨大戦はデンジタイガーのみの登場。ローソクラーは等身大のみで倒された。
 デンジマンの面々はそれぞれにちゃんと過去があるって設定が良い。4話に登場した三原順子も登場。レオタード姿が眩しい。過去こんな役が多かったんだよなあ。
<ミサイル基地に普通にやってきて敬礼して返されてるデンジマン。一体デンジマンってどんな風に思われてるんだろう?>
第22話 超時間ふしぎ体験

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 ベーダー怪人タイムラーの力によって時間操作が行われた。それに巻き込まれた達也は父親が生きていた4年前に時間を戻され、デンジマンの記憶をなくしてしまう。記憶を失ったまま現代へと戻された達也だが…

 敵はタイムラー。時間を自由に操作することが出来る。
 今回は達也を中心にした話。過去父と共に刑事をしていたという設定がこれまでにも何度か出てきていたが、それを中心にして補足した話になってる。そして一人を失った戦隊の弱さが露呈した話となった。
 又、戦闘シーンも時間を操る怪人が相手ということもあって、逆回しを多用している。それでこれまでとは勝手が違う殺陣がたっぷり楽しめる話になってる。
<根本的な問題で、時間を操れる能力を持つ怪人がいたら、確実に地球侵略は可能。チート過ぎる能力だよ。
 4年前の記憶しか持ってない達也がアイシーによって再びデンジグリーンにされるのだが、そうしたら記憶も元に戻った…納得のいく説明が欲しい。
 今回のベーダーの作戦は人間を原始人にしてしまうと言うもの。タイムマシンがあるんだったら、そんな悠長な作戦でなくもっと効率的な作戦がありそうなもんだが。>
第23話 天井裏を歩く悪魔

  脚本:曽田博久
  監督:よしかわいちぎ
 大五郎の友人で、不潔な生活を送っていた若松鉄夫に目を付けたコケラーは鉄夫の体で人間の美的感覚を狂わせ、ベーダー化させる細菌を繁殖させる。鉄夫の触れた人間が次々に細菌に冒されていくのだが…

 敵はコケラー。不潔な人間が大好きで、若松鉄夫という男に細菌を植え付け、人間の感覚をベーダー化させようとした。
 今回も大五郎の友人の話で友人のために一肌脱ぐ大五郎の空周りっぷりがなかなかの見所。それで巻き込まれる形になったあきらが災難に遭ってしまう。
 コケラーをおびき寄せるため、四畳半で不潔生活を送る大五郎の姿もある。
 不潔な生活が人を蝕むってことは実際その通り。まさに特撮は教科書そのもの。
 大五郎の友人若松鉄夫役は「ジャッカー電撃隊」姫玉三郎役、「超人機メタルダー」スプリンガーの声を演じる林家源平。
<何かと捜査の協力を頼み込んでくる千恵子。なんだか普通にデンジマンに関わってくるな。
 不潔生活を送る大五郎を見張る他のメンバー。わざわざ双眼鏡なんか使わず、通信機を使うなりした方が良いんじゃないかな?
 大五郎を虜にする事に成功したコケラーだが、とりたててなにもしてない。さっさと殺すなり薬を使うなりしろよ。
 ベーダー魔境に誘い込まれたデンジブルーに向かってヘドリアン女王が「目にもの見せてくれる」と言ってるのは、なんだか「宇宙刑事ギャバン」っぽいぞ。>
第24話 罠をはる怪力男

  脚本:江連 卓
  監督:よしかわいちぎ
 自分より歯が綺麗な人間がいる事に我慢出来なくなったヘドリアン女王は、子ども達をみんな虫歯にしてしまおうと考える。そのために生み出されたハミガキラーにより、ムシ歯菌がばらまかれ、子ども達がみんな虫歯になってしまった。

 敵はハミガキラー。日本一歯が綺麗という山下ユリの歯を奪うために派遣された。右肩のチューブと、歯ブラシ状の杖が武器。
 子どもの健康を損なう作戦が展開。後年の宇宙刑事ではこの手の話が多くなるものだが、この作品ではそれが巧くはまってる。今回も前半は大五郎が中心になっているが、それにしても大五郎中心回が多い。
 冒頭で鏡を覗き込んだヘドリアン女王だが、そこに映っているのはテニスをしている曽我町子…なんというメタな話だ。
<醜いものが大好きというヘドリアン女王だが、ちゃんと歯磨きは欠かしてないらしい。なんだか矛盾っぽいな。
 一人の少女の歯を虫歯にするためだけに暗躍するミラーとケラー。女王の命令は絶対とは言え、よく文句も言わずにやってるよな。>
第25話 虎の穴は逃走迷路

  脚本:曽田博久
  監督:平山公夫
 八百屋の娘礼子から思いを寄せられていながらそれに全く気付かない純。ベーダー怪人のメダマラーはそんな礼子を利用し、純に近づき暗殺しようとする。

 敵はメダマラー。鏡に映った人間に取り憑き、操る事が出来る。純に惚れている礼子という助勢に取り憑いて純を暗殺しようとする。
 男女の恋愛を主軸にするってのは、実は戦隊ものでは結構多い話。それにしても、それを積極的に応援する敵の組織ってどうよ?って感じはある。この辺の無茶苦茶さをそのまま楽しさに出来るんだから、本作はやっぱり面白い。
 純がかなりの朴念仁という設定が初めて出てきた。そもそも純が単独で中心になった話って、これが初めてじゃないか?
 ついにデンジランドの中にベーダー怪人を招き入れてしまった。だが、迷路に誘い込んで、場所を特定しないようにしている…これ、前作「バトルフィーバーJ」でも同じ事をやってたような?
<ヘドラ-将軍に言わせると、純は「木偶の坊」だそうだが、この場合「朴念仁」と言うべきなのでは?そもそも言葉の意味が違う。
 純を殺す方法は、メダマラーが取り憑いた礼子に惚れさせるそうだが、別段その必要は無い気がするんだが。油断してるところをぐさっと刺せばそれで終わる。
 自分の思ってる娘じゃないと分かった途端、女性を突き飛ばす純。ヒーローにあるまじき行為だ。
 相手がベーダーだと推測しての上とは言え、一般人の前でデンジイエローに変身するのはまずいんじゃないか?
 デンジランドの中に入り込んだメダマラーだが、ダストラーを次々に呼び出している。
 正体を現したメダマラーの姿は、「仮面ライダーストロンガー」に出ていた一つ目タイタンの色違いのような?>
第26話 デンジ姫の宇宙曲

  脚本:上原正三
  監督:平山公夫
 達也の親友である歌手の吹雪豪が歌う「銀河ハニー」は大ヒットする。だがその曲はかつでデンジ星人がベーダー用に作った悪魔祓いの曲だった。それに怒ったヘドリアン女王はレコーラーに命じ、日本中のレコードを全て廃棄するように命じる。

 敵はレコーラー。レコードを自在に操る能力を持つ。顔が蓄音機のスピーカーとなっている。
 達也を中心とした話で、達也は吹雪豪という歌手と知り合いだった。吹雪豪が歌った「銀河ハニー」(YouTube)その曲はデンジ星のものだという。この作品、やたらと有名人とメンバーが知り合いのパターンが多い。
 そして今回、実はデンジ星から脱出したデンジ姫が地球に来たという事が分かった。実は劇場版でデンジ姫の存在が明かされ、それを受けての話となっているため、デンジマンの面々は既にデンジ姫の存在を知っていたが。
 ここでヘドリアン女王の弱点も明らかになった。悪魔祓いの曲に苦しむって事は、やっぱり自分は悪魔って自覚があるのかも。
 今回はレコードが多数登場。今となっては懐かしいばかりだ。
 吹雪豪役は声優の中尾隆聖。後のばいきんまんとフリーザである。
<銀河ハニーの歌を聴いて苦しむヘドリアン女王だけど、曲の歌詞はヘドリアン女王を称えた歌のようにも聞こえてしまう。
 銀河ハニーのレコードを破壊するレコーラー。でもそのやりかたは、一軒一軒の家を回ってレコードを奪うという方法。これがミリオンセラーだったら、どんだけ時間かかる?
 吹雪豪が歌った曲はかつてデンジ星の悪魔祓いの曲と言うが、流石に3000年前の曲だけに、著作権は消失してるだろう。
 その原曲というのが、何故かギターとかの音が入っているんだが、これって原曲を誰かが地球の楽器で演奏したってことだろうか。>
第27話 赤いカブト虫爆弾

  脚本:高久 進
  監督:小林義明
 カブトムシ爆弾を使い、自然は危険だと思わせる作戦を展開するベーダー。悪ガキ少年の三平に爆弾カブトムシを取らせ、子ども達に配布させた。子ども達の危機を知ったデンジマンは大慌てでカブトムシを回収に回る。

 敵はキーラー。爆弾カブトムシを生成する切り株に化け、子ども達にカブト虫を捕らせる。ツタを自在に操り攻撃する。
 人類の手によって自然を破壊させようという作戦が展開される。こんな手の込んだ作戦は上原脚本…と思ったら違った。子どもは子どもらしくというオチに持って行くのは、なんかほのぼのしてよろしい。
 細かいシーンだが、橋の上の鉄柱を使ってアクロバットしてる大五郎の姿がある。簡単にやってるけど、かなり凄い動きだ。
<「俺たち、カブトムシには目がない」という三平少年。表現がオッサン臭いぞ。
 金を出して買った珍しいカブトムシが死んでいるからと投げ捨てる少年達。なんでそんな事をする?
 カブトムシが爆弾だとニュースで流れているが、実際に売ったのは10匹程度。その程度でも過剰反応するのが正しいのかな?>
第28話 呪いの館の密殺者

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 ベーダーは悪魔の祈祷師と呼ばれるデリンジャーを日本に呼び寄せる。呪術によってデンジマン達を苦しめるが、何故かあきらにだけは呪いが効かなかった。そのことを調べるためにあきらがさらわれてしまう。

 敵はデリンジャー。悪魔の祈祷師と呼ばれる人間。呪術によってデンジマンを苦しめる。そしてナゾラー。クエスチョンマークをかたどったマスクをかぶったベーダー怪人。戦いの最中に謎々を仕掛けてくる。デリンジャーばかりを頼りにするヘドリアン女王に自分の存在をアピールしようとするが、失敗続き。
 久々にあきらを中心にした話。他のメンバーが次々とデリンジャーの呪術の餌食になる中、あきらだけが呪術にかからない。その理由は、デリンジャーが惚れてしまったからという面白い話になってる。
 デンジマンはインターポールから直接依頼を受けることもあるらしい。国際的にどういう位置づけなんだろうね。一方、デンジマンを倒すために人間を利用するベーダーの姿もあって、なんかいつもとちょっと違った展開になってる。
 えらく濃い顔をしたデリンジャー役は「キャプテンウルトラ」ウルトラ役の中田博久。
<なんとベーダー怪人よりも強いデリンジャー。とても人間とは思えないが、流石ゼロ大帝
 あのままデリンジャーに作戦を続けさせてればデンジマンは四人が死んでいたはずなんだが、それを邪魔したために作戦失敗。自分で自分の首絞めてどうする?>
第29話 超能力刑事の急襲

  脚本:上原正三
  監督:竹本弘一
 一平の知り合いで念写が使えるフランス警察の特捜刑事ポール伊崎が来日した。彼は頭に浮かんでくるビジョンを探して日本に来たと言うが、念写によって映し出されたその場所は、デンジランドだった。実はポールはデンジ星の子孫の一人だったのだ。

 敵はサビムシラー。ポール伊崎の体に卵のまま生み付けられ、デンジランドを錆び付かせようとする。
 前回に続き、今回も超能力ネタ。前回が呪術で今回は念写。ちなみにデンジ星の子孫はデンジマンのメンバーだけではないことがここで分かった。
 第1話以来の作品紹介もあり。今回はこれまでの戦いを振り返るって意味もあるんだろう。劇場版の話も出ているから、純粋に振り返りってだけじゃないけど。
 前回デンジマンがインターポールに協力を求められていたが、今回は普通にフランス警察のポール伊崎に自分たちの正体を明かしている。やっぱりデンジマンって、それなりに世界から認められているんだろうか?
 今回は焦ったサビムシラーの声をあてた飯塚昭三のアドリブがとても良い。
 ポール伊崎役は「バトルフィーバーJ」志田京介役の倉知成満。ほとんど同じようなキャラを演じている。
<ポールとと一平がデンジランドで会話しているのを写真に撮ってるケラー。デンジランドがここにあること、ばれてるんじゃないか。
 一平を油断させるって理由はあっても、念写しか能のない人間にデンジマン抹殺を命じるヘドラ-将軍。ちょっと荷が勝ちすぎでは?
 ポールがデンジマンを倒す唯一の機会は油断に乗じることだと思うんだが、真っ正面から拳銃突きつけている。
 注射によってポールの体内に入れられたサビムシラーだが、その誕生は口から出ていた。内臓を食い破ったんだろうか?ポールはピンピンしてるけど。>
第30話 消えた盗んだ出た

  脚本:曽田博久
  監督:竹本弘一
 泥棒のサブが入り込んだ家で、四次元空間を調査しているベーダー怪人チョウチンラーと遭遇する。その拍子にサブは四次元に引きずり込まれてしまった。

 敵はチョウチンラー。ある屋敷から通じている四次元空間を調査するためにやってきた。色とりどりのチョウチンを爆弾にして使う。
 トラブルに巻き込まれた人の良い泥棒を助ける話。小品だが、こういう話は出演者の力量が問われる。その意味でも巧く作った作品と言える。
 サブ役は山田隆夫。言うまでもなく笑点の座布団配ってる人である。
<単に名前だけとは思うが、「泥棒株式会社」って、株式公開してるのか?
 「妾のいた超異次元空間の他にも四次元空間なるものがあるのか?」とか言ってるヘドリアン女王。どっちが凄いと言われると超次元だから四次元を遙かに超えてる訳なんだが。
 デンジマンはサブがいなくなって泣いてる手下達に、「これに懲りたら自首しろ」と言ってる。真っ当な意見には違いないが、もっと他にやることがあるんじゃないか?>
第31話 魔法使い秘術合戦

  脚本:上原正三
  監督:竹本弘一
 大五郎が父のように慕っていたマジシャン朝風天山が何者かに殺された。娘の朝風まりも狙われている事を知り、大五郎はまりのボディガードを買って出る。

 敵はミミラー。大五郎を精神的に追いつめるためにマジシャンの朝風天山を殺害する。天山の娘まりとマジック合戦を行う。
 本物のマジシャン朝風まり(二代目引田天功)をゲストに、マジック合戦を描いた話。マジックと言えばサーカスなので、今回の中心が大五郎なのは納得。
 引田天功は当時の東映特撮に結構出演している「宇宙刑事ギャバン」「超人機メタルダー」など。これがその最初の話となる。歌声まで披露してる。
 マジックの種明かしなども、ある程度はやってるので、なかなか面白い話には仕上がっている。
<ミミラーが天山に挑むのはマジック勝負。なんだか最初の目的からずれているぞ。>
第32話 地獄の大銃撃戦

  脚本:高久 進
  監督:服部和史
 射撃の名人ダートラーはデンジグリーンを狙い狙撃を行うが、失敗。ヘドリアン女王に叱責され、あきらと子ども達が乗るスイミングクラブの送迎バスをジャックした。子ども達を救うため、現場に急行するデンジマンだが…
 敵はダートラー。ダーツの的が顔になった怪人。射撃の名手で、最初デンジグリーンを狙って狙撃するが失敗。その後バスジャックしてデンジマンをおびき寄せる。その放たれた銃弾は変幻自在。
 二つのパートに分かれた話で、どちらも狙撃をテーマに、緊張感ある演出が光る話。ただ、これだったら分割せずに二つの話にしても良かった気がする。
 後半では東映特撮のお家芸とも言える小学生のバスジャック。実際はそんなに多くはないんだけど。
 冒頭で純が大五郎と達也を狙撃というショッキングな光景から始まる。勿論これは新兵器の実験で、二人とも無傷。
 ヘドリアン女王がビデオレターをデンジマンに送っている。宣戦布告だろうが、もう大分遅くなってないか?
 そしてダートラーの狙撃によって死亡する達也…と思わせ、仮死状態というパターン。まあ、最初から分かってはいたんだが。
<チーコは達也のガールフレンドという事になっている。いつの間に仲が進展してたんだ?
 最初に登場したダートラーは普通の人間の体だったが、その後怪人の姿に。使い分けてるの?>
第33話 吸血楽器レッスン

  脚本:上原正三
  監督:服部和史
 大胆にデンジマンに美術品連続爆破を予告してくるベーダー。警察と連携して美術品を守ろうとするデンジマンだが、怪人サキソホンラーは、電波を使い美術品を破壊してしまう。
 敵はサキソホンラー。電波を操る怪人。人の心を和ませる美術品を破壊するために生み出された。サックスへと姿を変え、純の友人のミュージシャンに寄生した。
 純が中心になった話。科学者という設定のため、あまり表に出る機会がなかったが、今回はずいぶんと目立った活躍を見せている。サキソホンラーの戦力分析のみならず、友人のために走り回る姿は、まるで刑事物っぽい。戦いもイエローの活躍が目立つ。科学者って割には力任せの技が多いのもこのキャラの魅力だな。
 デンジマンと警察が協力してベーダーに対抗するシーンもあり。そういう位置づけなんだな。
<デンジランドにベーダーからビデオが送られてきているが、もう基地の場所は知られているって事になる。なんで直接攻撃しないの?
 巨大戦では、サキソホンラーが放った音波が楽譜になって攻撃するが、ダイデンジンは五線譜を盾にして、そこにオタマジャクシが加わるって描写。なんだか妙な演出だ。>
第34話 哀しい捨て子の物語

  脚本:曽田博久
  監督:竹本弘一
 立也が知り合った少年古川俊介は、実は17年前に卵の状態で地球にやってきたビーダマラーだった。母の願い虚しく怪物化が進んでいく俊介…
 敵はビーダマラー。球状のものを自在に操る能力を持ち、自らが巨大な球状になる。17年前に卵の状態で地球にやってきており、古川俊介という名前をつけられて人間として育っていた。
 今回は達也が中心。地球人として育てられた怪人との心の交流が描かれる。そして血はつながってなくても、母と子の深い絆が描かれており、しっとりした話に仕上がってる。話の都合上、デンジマンが悪者のように描かれるのもいい感じ。最終的に悪の心に染まったビーダマラーは殺さなければならなかった。なんとも切ない。
 ベーダー怪人はヘドリアン女王に絶対忠誠を誓うが、17年間も人間として育ってもやっぱりそのようだ。
 達也が中心と言う事で、やっぱりチーコが登場。ベーダー怪人が出たらすぐに達也に知らせるあたり、もう完全にばれてるとしか思えない。
<ダストラーに出される指令は紙で書かれている。ずいぶんアナクロな伝達手段だな。
 17年前のお母さんは全然今と変わってないな。
 そもそも怪人が赤ん坊の状態で落ちてるって事が問題なんだけど。>
第35話 謎のはたおり姫

  脚本:曽田博久
  監督:竹本弘一
 古代織りの家元からスカウトを受けたあきら。断ったあきらの代わりにその家に入った岡道子という女性はベーダー怪人ドクガラーだった。ドクガラーが織った布の服は人を襲うようになってしまう。
 敵はドクガラー。ベーダー織の職人だが、その腕を磨くため古代織の師匠に弟子入りする。自らの鱗粉を古代織に織り込むことでベーダー織を完成させる。
 あきらと大五郎を中心に、気むずかしいお年寄りとの交流が描かれた話。アスレチックを使ったかなりコミカルな話に仕上がってる。ものとしては、鶴の恩返しを翻案したようなものになってる。そういえばこの作品で女性型の怪人が出たのは初めてじゃないか?
 ヘドリアン女王はベーダー織で織った布を纏うことによって若さを保っているのだとか。
 ヘドリアン女王の体型はバスト98センチ、ウエスト98センチ、ヒップ98センチ…そんなに太っては見えないが、それを指摘され、むくれるヘドリアン女王の表情が実に良い。
 なんか色っぽい声を出してデンジブルーの攻撃を防ぐドクガラーの姿もある。女性を傷つけられないのもヒーローの特性か。こう言う時に女性メンバーは大きな戦力になる。
 最終的にあきらは機織り姫になる事を決意している。次の就職先は決まったな。
<あきらの「古いながらナウなセンス」って、今からすると、すごい時代錯誤な言葉に聞こえる。
 タケノコ族って、この時代だったか。原宿でなくてもタケノコ族って言うんだっけ?
 ドクガラーの織ったベーダー織の服を着込んだ際、布を破ってしまい、激怒するヘドリアン女王。その際ヘドラ-将軍はこっそりと隠れている。良い性格してるよ。
 あきらと大五郎だけに苦労させ、突然現れる他のデンジマンメンバー。これまで黙って見てたの?>
第36話 勇気ある仔犬の詩

  脚本:曽田博久
  監督:竹本弘一
 東京の地下にあるヘドロガスを誘爆させ、東京を壊滅させようとする作戦に出たノラネコラー。そんなノラネコラーの作戦を見ていたのは、黄山純とゆみ子が拾った野良犬のゴローだった。ベーダーによって捕らえられてしまった純のことを伝えようとゆみ子の元へと走るゴロー…
 敵はノラネコラー。鼻の利くベーダー怪人で、その鼻で東京の地下にあるヘドロガスを嗅ぎ当て、東京を連鎖爆発させてようとした。
 今回は純が中心となり、野良犬と少女の心の交流を描く。
 ハリウッド映画だと猫と犬が一緒に出てくる場合、猫は悪人に、犬は前任に描かれることが多い。今回もそれに準じたか、怪人は猫、子ども達の味方をしたのが犬という構図になっている。
 純はデンジマンの食事係をしているが、アイシーの食事も作っているらしい。全然危機感のない顔で「腹が減った」とか言ってるのが面白い。
 相手が猫なので、今回のデンジマンの攻撃はひっかきが多い。細かい演出…といえるかどうか。
<今回のベーダーの作戦は鼻が利く怪人が必要になった。それでなんで鼻が利くのが猫なんだ?
 純を襲ったノラネコラーは「死ね」と叫びながら攻撃しているんだが、殺さずに猿轡をかませるだけだった。なんで殺しておかない?
 「この世に生きとし生けるものは全て等しく生きる権利がある」というナレーションが流れるが、ベーダー一族は生きてるうちにはいらないのか?>
第37話 蛮力バンリキ魔王

  脚本:曽田博久
  監督:小林義明
 ヘドリアン女王の水晶球に不気味な予兆が現れる。そしてデンジマンの面々が何者かによって襲われてしまう。ベーダーとは異なる怪人の登場に、双方が警戒を強めるが…
 敵はバンリキ魔王。宇宙をさまよう不吉そのものを宿命としている怪人。本人曰く「宇宙の用心棒」で、デンジマンを攻めあぐねているベーダーに助力するために来たのだとか。非常に強力で、デンジマンを一人一人襲い、それぞれに重傷を負わせている。ベーダー怪人の卵が好物。ベーダー怪人同様巨大化も出来、電子満月斬りを素手で受け止めて見せた。
 バンリキ魔王登場の話。とてつもなく強い怪人で、ベーダーとは異なる時空から来ているとのこと。大前均は声が渋くて良いな。
 あきらが重傷を負ってしまったため、デンジマンは残り4人でバンリキ魔王と戦っているが、到底かなう相手ではない。あくまでそれだけなので、物語はあんまり進んだ感じはないが、たっぷりバンリキ魔王を見せようという意気込みは感じられる。
<生身のまま襲われた他のメンバーは、ちょっと時間が経ったらピンピンしてるのに、変身後に戦ったあきらが一番の重傷を負っている。>
第38話 無限魔空の大冒険

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 ベーダー怪人カマキラーの異次元転換装置の実験により次々人間が消えてしまう。目の前で父親が消えてしまった少年雷太は真相を確かめに行くのだが…
 敵はカマキラー。超異次元への扉を開く異次元転換装置を作り、地球そのものを超次元に飛ばしてしまおうとする。
 このところスケールの小さい話が続いていたが、今回は地球そのものの危機が描かれていく。それを同列に作るのがこの当時の戦隊ものの良いところだな。
 大五郎を中心に超異次元での戦いが描かれる話。異次元の描写が非常にシュールで、この後の番組で青梅大五郎が戦うべきところを暗示してるとか…脚本家も同じだしなあ。
 デンジブルーが敵の本拠地に乗り込む描写もあり。すぐそばにはヘドリアン女王(とバンリキ魔王)もいたはずだが、出会う事はなかった。
 そのバンリキ魔王は酒ばかり飲んでいるようで、ヘドリアン女王も相当苦い顔をしていた。
<デンジマンに頼みに行くという雷太はまず大五郎に話を持っていってる。子ども達にも薄々気づかれているのかな?
 大五郎を二次元人間にせよと命令するヘドリアン女王。現代ではそれがご褒美って人もいるんじゃないかな?>
第39話 女王怒りの妖魔術

  脚本:上原正三
  監督:竹本弘一
 他人を憎む者達が集まり、人々に呪いをかける妖魔術の会。実はこれはヘドリアン女王自らが人を呪う術をかけるための会だった。調査に乗り込んだ一平だが…
 敵はアクマラー。ヘドリアン女王に直結する妖魔術人形を配り、女王の使命を果たすために呪いをかける。女王の呪いパワーを受け、相当な強さを見せたが、バンリキ魔王の妨害を受けてパワーを失った。
 ついにヘドリアン女王自らが作戦に乗り出す。と言っても前線で戦うのではなく、人々に呪いをかけるという役柄だが、流石にその呪いは強烈で、なんと一平までもが洗脳を受けてしまう(と言っても呪いの人形を手渡されるだけだが)。
 実際に洗脳されてしまうヒーローってそう多くないんだが、複数ヒーローだとこういう話は作りやすい。
<最初に仲良くボートに乗っているカップルを呪う青年の姿が。「リア充爆発しろ」かよ。
 これ見よがしに妖魔術人形を着用してデンジランドに戻ってきた一平。すぐばれてしまうから、もう少し注意しようね。
 そもそもデンジランドの破壊に戻すのではなく、そのまま殺してしまえば問題はなかったわけだが。
 ぐるぐる回って攪乱するデンジマンに「目が回るよ。いい加減にしろよ」とか、妙にお茶目な声を出すアクマラー。飯塚正三の素の声ってこんなのなのね。
 ヘドリアン女王が本気を出すとダイデンジンさえピンチに陥る。もっとはやくやってれば良いのに。>
第40話 チャンピオンの敵

  脚本:上原正三
  監督:竹本弘一
 一平の友人のボクサー岬達也が銀河拳ボクシングジムに移籍した。だがそれは地下拳闘のデスマッチを行うジムだった。達也を救いたい一平は単身ボクサーとして潜入するのだが…
 敵はヒカリラー。銀河拳ボクシングジムのボクサーに化け、対戦相手を再起不能にしていた。数々の格闘技でデンジマンと渡り合うが、ことごとく敗れ去る。
 地下ボクシングを舞台にした一平の友情話。前作「バトルフィーバーJ」でも同じような話があったな。デンジリングも奪われ、生身でベーダー怪人と戦う姿がある。
 ヘドリアン女王は7600歳になるという。殊の外ボクシングが好きだという描写もあり。
 岬達也役は後に「大戦隊ゴーグルV」黒田官兵衛、「科学戦隊ダイナマン」星川竜役の春日純一。
<パンチドランカートなり、正気を失った人間の描写があるが、その描写は完全に惚けた状態で、子ども用にはあんまりにも過激すぎる。
 達也と弟の達次はかつてデンジレッドに助けられ、孤児院に入ったという設定だが、年齢的に孤児院に入るには歳食い過ぎてるよな。あるいはこの作品、10年くらい戦っているとか?
 罠と知りつつ単身乗り込む一平だが、それに対しアイシーは「幸運を祈る」と言うだけ。おまえが止めなくてどうするんだよ。
 折角一平のデンジリングを奪っているのに、すぐに奪い返されてしまったヘドラー将軍。大切なものなんだから、しまっておけ。
 一平が地下ボクシングから外に出たら、そこはいつもの採石場で、しかも仲間が全員揃ってる。ここまで来てたら、中に押し入ってれば良いのに。
 巨大化したヒカリラーに対しダイデンジンはボクシングで勝負するのだが、右ジャブを放っている。ダイデンジンは左利きなのか?>
第41話 史上最大の総力戦

  脚本:上原正三
  監督:服部和史
 デンジマン打倒に燃えるヘドラー将軍はジシンラーを使い局地地震を発生させ、調査に来た純を捕獲する。デンジランドの場所を言うよう拷問を受ける純だったが…
 敵はジシンラー。ナマズの化身のような姿で、地震を起こす事が出来る。細かい岩が集まって出来ているため、破壊されてもすぐに復活できる。
 純が中心となった話で、捕まった純がなんとか仲間と連絡を取ろうとする姿が良い。
 冒頭にヘドリアン女王の夢でデンジマンに倒された怪人達のことを見ているが、怪人達のことを我が子のように慈しんでいるのが分かる…その割に何度か使い捨てっぽい描写もあったようだが?
 ダイデンジンはアイシーでも操縦可能。なんで今までそれをやってなかったんだろう?
<デンジランドの場所が分からないというヘドラー将軍だが、その入り口は何度か目撃されてるはずなんだが。
 一応4キロ四方の中にデンジランドがあると目算を付けているらしいが、だったらその地点を絨毯爆撃すれば?基地を破壊出来なくても、位置くらいは特定できるぞ。うまくいけばデンジマンを生き埋めにも出来るし。
 ジシンラーの地震を起こす仕草は腰をカクカク揺らすこと。なんか卑猥だ。
 折角捕まえた純のデンジリングは手に付いたまま。なんで奪わない?>
第42話 少年を喰う悪い夢

  脚本:高久 進
  監督:服部和史
 あきらの教え子秀一にニンポーラーが取り憑き、突如悪事を始めてしまう。秀一を守ろうとするあきらだが、そのままニンポーラーによって取り憑かれてしまうのだった。
 敵はニンポーラー。日本古来の忍法をマスターしたというベーダー怪人。小さくなって人の頭の中に入り、凶暴化させる。
 今期アハあきらが中心の話で、敵によって取り憑かれてしまう。なんかこの手の話が続いてるな。優しさが逆に敵に利用されるのは定番の一つ。
 今回は忍術合戦となるが、デンジマンが全員三人に分身。15対1とは、なんという卑怯ぶり。多分この記録は抜けないだろう。
 今回の子役は「子連れ狼」の大五郎役だった佐藤たくみ。
<なんで異次元から来たベーダー一族の中に忍術を極めた怪人がいるのだろうか?
 「桃井あきらをおびき出せ」と秀一に命令するニンポーラーだが、肝心なデンジピンクはニンポーラー配下のダストラーと戦っている。何をしたかったんだ?
 「おいピンク。頭がどうかしたのか?」とか言ってる大五郎。良いのかそんな台詞?
 正義の味方によって女性が電気ショックの拷問を与える…なんかとってもシュールというか、マニアックな話だ。>
第43話 謎なぞ七色レディ

  脚本:江連 卓
  監督:竹本弘一
 ミスコンテストの優勝者が次々にさらわれてしまう。あきらは自ら囮となって事件を調査するのだが…
 敵はデスマスクラー。ヘドリアン女王のプレゼントのため美女を10人集めるために派遣された。香月美那子という女性になり、ミスコンの優勝者を次々にさらう。
 戦隊もののお家芸といえる七変化の話。初期の作品なので、ちょっと恥ずかしがってるのが味がある。素顔のダストラー達がめろめろにされてしまうのも面白い。
 今回は本当にあきらだけが中心で、他のメンバーは戦いしか出てこない。
<あきらがデンジピンクなのはとうの昔に分かっているのに、それでもあきらを拉致しようとするダストラー。おかしいんじゃないの?
 あきらが変装すると何故かそれが煙幕になるらしい。なんで?
 「多少質が落ちても」と言われてターゲットにされたのはチーコだった。一応ミス警視庁なる称号を受けていたらしいけど、大変失礼だ。>
第44話 不思議ランプ物語

  脚本:上原正三
  監督:竹本弘一
 ある日、空腹の老人にアンパンをあげた大五郎は、その老人から不思議なランプをもらう。言われたとおり呪文を唱えると、そこからアラジンを名乗る美女が現れ、大五郎の願いを何でも叶えてくれると言うのだった。
 敵はアラジンラー。金のランプの妖精のふりをして大五郎に取り憑き、デンジランドを内側から破壊しようとする。デンジタイガーを乗っ取ったのは良いが、操作できずに作戦失敗。
 大五郎が中心となった話。アラジンと魔法のランプを題材に、ファンタジックな話が展開するが、全てはベーダーの罠。こういう搦め手を使っての話はやっぱり上原脚本だな。そういうのにころっとかかってしまう大五郎が面白い。それでなんとデンジタイガーが強奪されてしまうのだが、詰めが甘く、
 デンジランドに侵入したのは良いけど、エレベーターを降りたらスポーツ用品店だったというオチは前作「バトルフィーバーJ」でも同じ話があった。
<ツッコミではないけど、怪人の名前はアラジンラーではなくアブラカタブラーの方が良かったかも?
 子ども達が次々に夢を語るが、それは全部即物的なものばかり。もっと夢を持とうよ。
 首尾良くデンジランドへの侵入を果たし、エレベーターで降りたアラジンラーの前にデンジマン達が現れるが、全員ポーズを取ったまま。いつからその格好のままで固まってたんだ?
 デンジタイガーが操作できないため、ダストラーと共にダイデンジンから降りてしまうアラジンラー。中から破壊するとかもっとやり方があっただろうに。>
第45話 二人いたデンジ姫

  脚本:曽田博久
  監督:服部和史
 一平が町中でデンジ姫そっくりな女性有明夕子をみかける。そして彼女をデンジ姫と間違えたベーダーは彼女が勤めている幼稚園の園児を誘拐する。
 敵はオニラー。幼稚園の先生有明夕子をデンジ姫と勘違いして襲う。
 劇場版に登場したデンジ姫を、改めて劇中に登場させた話。彼女がデンジ姫だと思い込んでいるため、一平は壁で彼女の前で変身してる。
 ネタとして昔の特撮では幼稚園バスのジャックがよくあったと言われているが、実際にはそう多くはない。この話は結構貴重なバスジャックの話になってる。
<一平の事を信用してないと言いつつ、ピンチの時は現れる他のデンジマンメンバー。そんなこと言いつつも監視してたの?
 今し方ベーダーに襲われていたのに、普通に幼稚園児と歌を歌いながら去って行く夕子。危機感なさ過ぎ。
 夕子を部屋から連れて行こうとしたところ、都合良く現れる幼稚園児達。先生をお迎えに来たらしいが、なんで幼稚園の先生が園児と一緒に登園するんだよ?
 三千年前に地球を去ったというデンジ姫が又戻ってきたと思い込むデンジマン達。既に死んだとは思ってないの?
 園児バスジャックと思われたが、実際には捕まった後だけしか出てこなかった。ネタとしては寂しい。>
第46話 腹ペコ地獄X計画

  脚本:曽田博久
  監督:服部和史
 サバイバルを考えるテレビ番組で評論家五代万作が人類の未来は暗いと強調する。それを聞いた子ども達は自分たちでサバイバル訓練を始めようとする。それを知ったベーダーは、子ども達に恐怖を味合わせようと画策する。
 敵はトリカゴラー。評論家五代万作として子ども達に恐怖心を植え付けようとする。
 子ども達に危機意識を与えるという意味では特撮も重要な役割を担ってきた。本話はその典型的な話といえる。ただ、それが泥縄式というのがちょっと残念。最初からそういう作戦だったら良いんだけど。ベーダー怪人もやってることが単なる子どもに対する嫌がらせだし。
 でも、それだけに生の子ども達の嫌らしさのようなものがよく描けている。自分だけが良ければ良いというサバイバルの中で、本当に大切なものは何か?と真摯に問いかけている姿勢には好感が持てる。
 デンジマンの中で一番サバイバルに長けているのは大五郎と思われるので、真っ先に子ども達を探し当てるのも大五郎という設定になってる。そのため、怪我した状態で一人でベーダー怪人と戦う事になる。
 評論家五代万作役はi飯塚昭三本人。顔出しは珍しい。
<五代万作のしゃべり方はほとんど竹村健一。まあそれが狙いなんだけど。
 採石場の中に置き去りにされた子ども達だが、その後わざわざ山に登っている。なんでそんな訳の分からない事をする?
 看板を頼りに山歩きをするデンジマン。電子戦隊という割にはずいぶんローテクだな。>
第47話 朝日に消えた人魚

  脚本:曽田博久
  監督:服部和史
 デンジランド付近で一平は不思議な少女と出会う。実は彼女は人魚族の姫で、人間の姿を取って地上にやってきたのだ。それを知ったベーダーは彼女を襲う。
 敵はボートラー。人魚姫を捕らえようとする。
 人魚と一平の交流の話が展開する。18話でも人魚の話が出たが、どちらも曽田脚本か。何らかの思い入れがあるんだろうか?常識外れの女の子に振り回される主人公の姿が描かれるわけだが、それも逆手にとってしまうあたりがやっぱりリーダーといったところか。
 ネタとしては、以降定番の一つとなった『ローマの休日』パターン。
<デンジランドの場所まで分かっているのに、ベーダーはなんで入り口ばかり探すんだか。爆撃でもすれば済んでしまうのに。
 人魚族なんて一族がいたことに驚いているあきらだが、18話で幼なじみが人魚だったという事実があったはずだが。
 ところでずーっと眠り続けていたアイシーがなんで人魚族の事を知ってるんだ?>
第48話 バンリキ魔王反乱

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 デンジマンとの決戦を決意したヘドリアン女王はサッカラーに指令を与えるが、事前に情報が漏れたため、失敗してしまう。失敗の作戦をサッカラーの責任として処刑しようとするのだが…
 敵はサッカラー。地球侵攻のゼロ作戦と霧作戦を敢行するが、事前にデンジマンに作戦を知られてしまい失敗。その後責任を取らされて処刑されそうになったところをバンリキ魔王によって助けられ、女王を裏切る。そしてケンダマラーカラクリラー。どちらも女王の魔力によって生み出された怪人で、売り切り者のサッカラーを倒す。
 バンリキ魔王の反乱が描かれる。疑い深いヘドリアン女王の心理を突き、内輪もめを演出して自分の思い通りに基地を乗っ取る。これまでバンリキ魔王を快く思ってなかったヘドラー将軍と戦っている。だが、女王の魔力によって反乱は失敗。
 今回のデンジマンはほとんど戦うためだけに登場で、その戦いもあっさりと終わってる。完全に敵側の話だった。
 バンリキ魔王とヘドラー将軍の戦いは、テレポートしながら様々なところで展開している。ベーダー城で暗黒舞踏もあったりして、後年の宇宙刑事シリーズに通じる不条理描写が展開していた。
<事前にゼロ作戦を知り、待ち受けていたというデンジマンだが、いつもとやってることは同じような?そもそもデンジマンとの決戦なんだから、出てきて当然では?
 これまでのベーダー怪人は女王に絶対忠誠を誓っていたが、バンリキ魔王によってあっさりと裏切っている。ひょっとしてこれがバンリキ魔王の力なのか?>
第49話 ベーダー城大異変

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 度重なる作戦失敗に、ヘドラー将軍が自ら乗り出す。次々にデンジマンのメンバーを襲って捕らえてしまう。残ったレッドはヘドラーに一騎打ちを挑む。
 敵はカラクリラー。首を自在に回す事が出来るが、それくらいしか特徴が無い。
 デンジマンが各個撃破されてしまうという話。最初からこうしていれば良かったという話は敢えて無しにしよう。
 あきらは割と直球で襲っていたが、他のメンバーは騙し討ちに近い。でもそれが効果的か。頭の良い純も、仲間を人質に取られては動けなかったようで。
 今回デンジマンが勝利できたのは、ヘドラー将軍のプライドでデンジレッドとの一騎打ちにこだわったから。
 ヒーロー側が七変化するというパターンは本作から始まったようなものだが、敵側ばかりが変化するってのはあんまりない。
 メインの物語はここまでだが、今度はベーダー城で気味の悪い卵が孵り、それがバンリキモンスに成長し、再びバンリキ魔王がベーダー城を支配する事となった。
<折角デンジマンの内4人も虜にできたのに、そこから何にもしてないヘドラー将軍。もはや良い奴過ぎて…>
第50話 将軍は二度死す

  脚本:上原正三
  監督:広田茂穂
 ベーダー城を乗っ取ったバンリキ魔王はヘドラーに特攻を命じる。だが作戦は失敗。ついに自らバンリキモンスと共に出撃するのだが…
 敵はバンリキモンス。バンリキ魔王がベーダー怪人の卵の中に紛れ込ませておいた卵から誕生したバンリキ魔王の怪人。敵の体を自在に操り、デンジブーメランも無効化してしまった。そしてヘドラー将軍。ベーダーの剣を装着し、怪物となってダイデンジンに戦いを挑む。
 再度乗っ取られてしまったベーダー城がメインの舞台となる。バンリキ魔王に支配されてしまい、女王を救うために健気に戦うヘドラー将軍の姿が良い。そしてそんなヘドラーを気遣うヘドリアン女王の姿もあり。
 そして事情は知らないながら、いつもと違っているヘドラーを思わず助けてしまうデンジレッド。いつもと展開がまるで違う。だが、それはヘドラーにとっては屈辱で、さらなる怒りをもってデンジマンを襲うが、返り討ちとなりついに死去。
<おまえらのやってる事は手ぬるいとヘドラーを叱責するバンリキ魔王。まあ、それは事実だが。
 「お前さん方も名乗っちゃくれないか?」というリクエストに素直に応じるデンジマン。ずいぶん素直だ。>
第51話 ひびけ希望の鐘よ

  脚本:上原正三
  監督:広田茂穂
 バンリキ魔王の放つバンリキモンスの力に完膚なきまでにたたきのめされるダイデンジンとデンジマン。そして地上もバンリキ魔王によって支配されようとしていた。満身創痍で出撃しようとするデンジマンを止めるアイシーの本心とは…
 敵はバンリキ魔王バンリキモンス。バンリキモンスのパワーはどの怪人よりも強く、ダイデンジンですら全く手が出せない。
 ついに最終回。下克上によってベーダーを支配するバンリキ魔王を相手に戦うデンジマンにヘドリアン女王までもが加勢している。
 ヘドリアン女王に最後まで忠実に仕えたヘドラー将軍とミラーとケラー。敵ながら、その姿は実に良い。ミラーなんか、一度バンリキ魔王に下ったかのように見せて、バンリキモンスの弱点を探り、それをデンジマンに告げて殺されるという凝った死に方までさせている。
 一方デンジマンの方もアイシーが動かないダイデンジンのために自らパーツとなって散っていった。
 そしてバンリキ魔王を倒したデンジマンの前に、ヘドリアン女王はホログラフで別れの言葉を告げて消えた。敵の親玉が結局倒されなかったというのは極めて珍しい(川内康範作品を除く)が、これも次回作「太陽戦隊サンバルカン」の伏線。
<前回ヘドラー将軍まで殺されていながら、デンジマンを応援するヘドリアン女王。それ以上にバンリキ魔王の方が憎いらしいが、変わり身が早いな。
 ダイデンジンとバンリキモンスの戦いだが、背景にビルが出たり荒野であったりと一定しない。>
第52話