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ウルトラマンレオ

ウルトラマンレオ事典
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1974'4'12〜1975'3'28 

 第2期ウルトラシリーズの第4作でとりあえずの最終作。前作「ウルトラマンタロウ」が物語としては何でもありの感じだったが、本作で雰囲気をがらっと変え、非常に重い物語として仕上げられているのが特徴。ただ、方向性はともかく、視聴率的には大変だったらしく、大きく二回の方向転換がなされている。
 今回の話の主人公は、これまでのウルトラシリーズのM78星出身のウルトラ兄弟ではなく、既に滅びたL77という星からやってきた。と言う設定で、地球で変心能力を失ったウルトラセブンの元で修行を受けるというのが最初の方向性。レオは超人ではあるものの、決して強くはなく、宇宙人によって度々危機に陥る。それを戦士に鍛えるダン。当時流行っていたスポ根もののノリを通し、だんだん強くなっていく様子を描いていた(特訓の中には時々命まで危ないんじゃないか?という描写もあり)。
 第二期は怪奇ものやロケに時間を割き、「帰ってきたウルトラマン」以降培ってきたウルトラシリーズっぽい感じで仕上げられる。
 そして第三期。MAC基地が全滅し、レオは一民間人として強力な円盤生物と戦わねばならなくなる。基本的に防衛隊の一員であるのが基本であるウルトラシリーズで、完全に組織を離れたのはこれが初めてのこと(以降何作かはあるのだが)。孤独な戦いの描写に拍車がかかった。
 予算視聴率共にかなり苦戦したようで、レオが光線技をあまり使わなかったのもそのためだったとか。それでも一年を通してきっちり作ってくれたスタッフには惜しみない拍手を与えたい。

主な登場人物
おおとりゲン
ウルトラマンレオ
(役)真夏竜。本作が代表作になるが、この後もテレビを中心に活躍している。「ウルトラマンメビウス」では僧服で登場。
 ウルトラマンレオの人間体。そもそもは滅ぼされたL77星から地球に逃げてきた熱血漢の青年。地球では一般人として振る舞ってきたが、地球にもマグマ星人が現れ、セブンが倒されたことから正体を明かし、MAC隊員となる。
モロボシダン (役)森次晃嗣。「ウルトラセブン」主人公モロボシダン。本作でもその役割を引き継いでいる。
 かつてウルトラセブンとしてウルトラ警備隊で活躍していたが、タロウが役割放棄してしまったため、急遽地球にやってきたらしい。MAC隊長として活動していたが、マグマ星人の放つレッドギラスとブラックギラスの攻撃を受けて変身出来なくなってしまった。40話のシルバーブルーメ襲来以降行方不明となったが、死んではいなかったことが後に分かる。
山口百子 (役)丘野かおり。特撮作品の出演は多いが、レギュラーでは本作のみ。
 城南スポーツセンターのインストラクター。ゲンの恋人らしい。両親を失った梅田兄妹を引き取り、一緒に暮らしている。黒潮島出身であることが15話で分かる。40話でシルバーブルーメによって殺されてしまった。
梅田トオル (役)新井つねひろ。舞台が中心だが、今も現役で頑張っている。
 城南スポーツクラブのメンバーでカオルの兄。ツルク星人に父親を殺されてしまい、カオルと共に山口百子に引き取られる。ゲンの事を尊敬している。
梅田カオル (役)富永美子。後の富永みーなである。
 城南スポーツクラブのメンバーでトオルの妹。ツルク星人に父親を殺されてしまい、トオルと共に山口百子に引き取られる。ゲンも父親代わりに何かと世話を焼いていて、とてもなついていて、百子とゲンを「お母さん」「お父さん」と呼んだ事もある。だがやはり本当のお母さんが恋しいのか、母そっくりなマザラス星人に連れ去られる事もあり。シルバーブルーメ襲撃により死亡。
美山咲子 (役)春川ますみ。ダンサーとしてデビュー後、役者に転身し、その後数多くのテレビや映画で活躍。典型的日本のお母さん役が多い。「トラック野郎」のジョナサンの奥さん役。
 円盤生物シルバーブルーメに襲われた人々を収容していた病院に勤めている看護婦。残されたトオルとゲンを自分の家に引き取る。強いお母さんと言ったイメージ。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 セブンが死ぬ時!東京は沈没する!

  監督:真船 禎
  脚本:田口成光
  特技監督:高野宏一
 宇宙怪獣の脅威に対するため、再び地球を守っていたウルトラセブン。だがマグマ星人と双子怪獣の猛攻についに倒れてしまう。だがとどめを刺されそうになったセブンの前に現れ、その命を救った謎の宇宙人がいた!彼こそ故郷L77星を滅ぼされ、地球を第2の故郷としていたウルトラマンレオであった。彼はおおとりゲンという人間に姿を変え、地球で静かに暮らしていたが、モロボシダンの熱意にほだされ、戦うことを決意する。
 敵はサーベル暴君マグマ星人。手にサーベル、左手に鉤爪、背中にマントを羽織った宇宙人で、双子怪獣にセブンを襲わせ、弱った所をねらい打ちしようとする。そして双子怪獣のブラックギラスとレッドギラス。二体同時に現れ、バリヤーや光線技でセブンを追いつめ、その右足を折ってしまう。
 冒頭からいきなりクライマックス。セブンと双子怪獣の戦い。更にマグマ星人の登場に、レオが現れる!と見所満載。その後日常描写の後、東京が沈没…という更に力の入った特撮が待ってる。
 モロボシダンはMACの隊長となって既に地球に赴任している。隊長が率先して戦っているというのもなかなか格好良いが、実はセブンが変身するのは今回だけ。再び変身しようとしたらウルトラアイが溶けてしまった。ショッキングな描写だ。
 この作品はレオ=ゲンの成長物語にもなっていて、未だ未完成のヒーローだからこその話が展開。ここでは特に“地球を守るとはどういう事か?”という重大なテーマが触れられている。
 「人間の世界では人間のやり方でやらなければならない」と熱血のゲンを諭すダン。彼のこれまでの経験から出た言葉だろう。ただ、このテーマは以降薄れてしまうのが残念と言えば残念。
<セブンに変身出来なくなってしまったダンはゲンに「戦ってくれるな」と言うが、その言い方は無茶苦茶脅迫じみてた。この顔で迫ってこられたら、ダンでなくても思わず「はい」と言いたくなりそうだ。
 ゲンは故郷の星が壊された時、「兄弟も…」と言ってたが、後で本当に出てくることになる。星が滅ぼされたのは僅か1ヶ月前だったと言ってたけど、それにしてはゲンも地球に馴染んでるな。
 根本的な話だが、何故ダンはMACの隊長になれたんだろう?やっぱりかつてのウルトラ警備隊でダンを知っている人が裏から手を回したんだろうか?
 しかし、こんな事ならタロウも何も人間に戻ることはなかったのに…と言うのは言ってはいけないことかな?
 ラスト、砂浜を這うように歩くダンが「日本は沈没する!」と叫ぶシーンあり。宇宙にあるMAC本部からどうやってこの砂浜に移動したんだろう?>
VOL.1
<A> <楽>
第2話 大沈没!日本列島最後の日

  監督:真船 禎
  脚本:田口成光
  特技監督:高野宏一
 ダンの言いつけを聞かずにレオとなり戦ったゲンだったが、ブラックギラスとレッドギラスのコンビネーションとマグマ星人の参戦によって危機に陥ってしまう。ダンのウルトラ念力によって危機は脱したものの、
 敵は前回に続きマグマ星人ブラックギラスレッドギラス。ブラックギラスとレッドギラスは都合3回レオと戦うことになった。特訓によってきりもみキックを編み出したレオによって首を落とされる。マグマ星人は存在感たっぷりで、このままレギュラー入りしてもおかしくなかったのだが、
 第2話にして、本作の特徴とも言える“特訓”が入る。今回はダンの助言で体をくるくると回転させ、きりもみキックを編み出す。この際、単に技だけでなく、百子を思うことによって、命の大切さを知っていくことになる。ラストで死んだ人間を生き返らせてしまうのはちょっと疑問もある。殺すべきじゃなかったとは思う。
 冒頭の日本中のパニックの様子が見事にとんでもないものに。前作「ウルトラマンタロウ」とはうってかわってシリアスだ。百子は誰も助けが入らない内に容赦なく車の下敷きになってしまう。
 今回のカメラアングルはとても凝っている。これは真船監督の特徴でもあるのだが、残念ながら、本作が監督最終作。
<ナレーションでも2分40秒しか変身出来ない。と言っておいて、たっぷり戦ってるレオ。この辺は仕方ないか?
 特訓によってきりもみキックを編み出すゲン。猛が手伝ってるんだけど、空中に止まってくるくると回ってるのを見て何の疑問も抱かなかったのだろうか?
 最後、ダンはゲンに対し、「お前のために太陽は昇っている」となかなか感動的な事を言ってる。が、結局特訓は続くのね。>
第3話 涙よさよなら・・・

  監督:深沢清澄
  脚本:田口成光
  特技監督:クレジットなし
 城南スポーツクラブに通う仲の良い親子がいた。だが、その帰り道、父親の梅田が何者かに殺害されてしまうのだった。孤児となってしまったトオルとカオルの兄妹の周囲には、次々と殺人が…
 敵は奇怪宇宙人ツルク星人。両手が刃の宇宙人で、ダンとゲンを挑発するかのように通り魔殺人を繰り返す。巨大化しても身の軽さは変わらず、レオでは敵わないほどの強さを見せる。
 前後編の前編で、レオの名を騙って通り魔殺人を繰り返す宇宙人と、それに対するゲンとダンの二人の戦いが描かれる。本作の前半は、レオの物語であると同時にセブンの物語でもあったりするあたり、良く出た話。辛い決断をしなければならないダンと、ダンの期待に応えることが出来ないゲン。双方の苦悩が描かれてる。
 本作を特徴するかのように凄まじいシーンが連発する。冒頭から仲の良い親子の父親が惨殺され、しかもその子供を引き取ったMACの隊員までも殺されてしまう。あの明るい「ウルトラマンタロウ」とは一気に変わってしまったものだ。特に最初の幸せいっぱいなシーンが見ていて辛い。
 一方、ダンの冷酷さがよく示された話でもある。ゲンの言うことをことごとく否定し、ツルク星人を前にMACの全機退却を命じる。しかしこれは人的被害を最小限に留めようとする苦渋の決断でもあった。そして最後は勝てないのが分かりながら、出撃を命じる苦悩…なかなか凄い描写だ。
 これも本作を特徴づける打倒ツルク星人のための特訓シーンあり。それにしても、ダンって何でも知ってるのね。
 今回のレオの変身シーンは「レオーっ」と伸ばさず、「レオッ」と短いかけ声。これはこれで格好良い。
<ツルク星人は等身大のシーンと巨大化したシーンがあるが、その形状はまるで違ってる。
 溶けたウルトラアイを見つめ、悔しそうな顔をしてるダン。あれだけ燃えてたのに、比較的まともな形してるよ。>
第4話 男と男の誓い

  監督:深沢清澄
  脚本:田口成光
  特技監督:クレジットなし
 三段攻撃を会得しないままツルク星人に挑んだレオだが、やはりツルク星人の二段攻撃の前に敗れ去ってしまう。生きて帰ってきたゲンに、ダンは更なる特訓を命じるが…
 敵は前回に続き奇怪宇宙人ツルク星人。両手の刃を使って攻撃するが、二段攻撃を上回るレオの三段攻撃の前に敗れ去る。
 特訓風景の多い本作の中でも特徴的な特訓が描かれる話で、ダンの無茶苦茶な命令と、それに従うゲンの健気さが見える。ダンの命令は、人間の姿のまま「この滝を斬ってみろ」というものだった。どうやって?
 普通ヒーローは変身してなんぼなのだが、本作では特徴的に、変身を思いとどまることに主眼が置かれる話が多い。本話はツルク星人に到底敵わないのが分かっていて変身するレオを「無謀」としている。無謀でも何でも地球のために巨大化して戦うのが正義とされるこれまでのシリーズとは大きく異なってる。
 とにかくゲンに対して冷たく接するゲン。しかし、その目はあくまで地球の平和を見つめていた。それを見たからこそ、ゲンはダンに従っているのだ。ゲンが死んだという連絡を受けた時の心配そうな顔や、最後の笑顔など、ダンの見所は多い。
 実は子供の頃、あんまりにも盛り上がりがないので、本話で本作を見限ってしまったという記憶があるのだが、改めて観ると、暗いけどいい話じゃないか。
<「次に奴が現れた時は私の最後か」と悲壮な覚悟を決めるダン。だけど、都合二度現れてる。
 「何故変身した?」と問うダンに対し、「MACが全滅しそうだったからです」と答えたゲン。それに対し「余計な事を言うな」と叱るダン…ちゃんと答えたのに、理不尽な。
 ツルク星人にレオが殺されたと思いこんだトオルは、次にレオが現れた時、「レオは生き返ったんだ!」と叫ぶ。いや、生き返ったという以前に最初から死んでないって。>
第5話 泣くな!おまえは男の子

  監督:東條昭平
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:クレジットなし
 バスで遠足に出かけた城南スポーツクラブの面々。だが先に父を殺されたトオルとカオルの兄妹は、親子仲の良い他の家族を見て寂しさを感じていた。そんなトオルのお父さんになってあげるというゲンだったが、MACの緊急呼び出しで出撃する羽目になる…
 敵は凶剣怪獣カネドラス。コウモリのような羽根を持つ怪獣で、頭の一本角を飛ばしたり火を吐いたりして攻撃する。城南スポーツクラブの近くに舞い降りる。
 3話でツルク星人に父を殺されたトオルが中心になった話。親を殺された子供の話はシリーズの中にもいくつかあるものの、その後を描くのは珍しい。しかもそんなトオルの「お父さんになってあげる」というゲンを「感傷だ」と切り捨てるダン。確かに怪獣と戦わなくては、もっと多くのトオルが出来てしまうってのは分かるけど、やっぱり厳しい。又、今回もダンによって特訓が終わるまで戦わせてくれなかった。かなりストレスの溜まる話だ。
 一方、ゲンも「たった1人の孤児に対して何もしてやれないのに、地球だと人類だと言うのは空しい」と言っており、この二つの方向どちらも間違えてはいない。その兼ね合いを考えるのが本作の特徴と言えるか?リアルに考えるなら、戦う人間は迷わず戦いに特化した方が良いので、ダンの主張が正しいのだが、とは言え、ヒーローの特性は強く優しいこと。現実とのずれをここまで正面から描くのは、これまではなかった。
 今回もカネドラスを倒すためにゲンの特訓シーンがあり。少林木人拳みたいな一種類の動きをする機械なんだが、レトロな機械だけに妙に恐ろしげ。しかし、こんなもんスポーツクラブに置いて迷惑じゃないのか?
<父親を殺され、意気消沈するトオルに対し、妹のカオルは健気すぎ。どっちが年上だか分かったもんじゃない。
 機械相手に特訓を開始するゲン。いかにも怪獣と戦ってます。みたいな姿に、スポーツクラブの面々はそれをなんの疑問も持たなかったのだろうか?
 カネドラスの角を飛ばしてする攻撃はほとんどアイスラッガー。ヒーローじゃなくて怪獣がこういう光学特撮使うのは珍しいな。
 カネドラスは自分の角に目を射抜かれた後、レオの手刀で真っ二つ。珍しい残酷シーンだ。
 スポーツクラブの大村はなかなか跳び箱が出来ないトオルを笑うが、その傍らには杖を突いたダンの姿。ちょっとした嫌味になってるね。>
VOL.2
<A> <楽>
第6話 男だ!燃えろ!

  監督:東條昭平
  脚本:田口成光
  特技監督:クレジットなし
 宇宙平和会議に出席するため宇宙ステーションから地球に来た白土隊員を迎え、その恋人洋子を家に送り届けようとするゲン。だが突然現れたカーリー星人に洋子は殺されてしまい、白土はその怒りをゲンとレオにぶつける…
 敵は暗闇宇宙人カーリー星人。通り魔敵に女性を襲う宇宙人で、等身大の大きさと巨大化した時の形状が大変異なる。巨大化した際は肩の大きな刃が特徴だが、等身大の姿もインパクトあり。白土隊員の恋人洋子はこいつに殺された。
 物語そのものは3〜4話のツルク星人のものに準じているが、極めてインパクトの強い話で、前半における代表的な作品と言えよう。
 シリーズ中最もきつい話の一つでもある。自分の過失で仲間の恋人を死なせてしまい、そのために責められるゲンの姿が描かれる。
 今回のゲンの特訓シーンはすごい。吊らした大きな杭を体にぶつけるとか、ダンの乗ったジープに追いかけられるとか。これって一歩間違えれば大怪我だよ。それにしてもここまでやると、宇宙人よりもダンの方が怖くなってくるよ。
 カーリー星人とレオの戦いは短いがとてもメリハリがあり。肩の剣を前に突っ込むカーリー星人をビルに突っ込ませ、剣が抜けなくなった所を上空から蹴り入れてた…卑怯とは言わない。
<カーリー星人に敵わなかったレオをなじる白土は「宇宙一の勇者が聞いて呆れる!」と叫ぶ白土。レオってそんなに強かったっけ?
 変身して、しかも洋子を救えなかったゲンをなじるダンは一方ではカーリー星人を追いつめ、女性も助けた白土隊員を大いに褒める。当然なのかも知れないが、ゲンに対しては思い切り嫌味になってる。
 ジープでゲンを追い回しながら「逃げるな!」と叫ぶダン。逃げるのが当たり前。あまりと言えばあまりの台詞だ。>
第7話 美しい男の意地

  監督:外山 徹
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:矢島信男
 宇宙から地球をうかがうケンドロスは地上に自らの武器となる剣輪草を咲かせるのだった。珍しい花と思ってそれを摘むカオルだったが…
 敵は植物怪獣ケンドロス。地球に剣輪草を咲かせ、それが自分の武器として使えるようになった時に地球に襲来する。丸い胴体と、下に顔がある特殊なデザインで、剣輪草を頭頂部に装着して、そこからブーメランを飛ばして攻撃する。一度はレオを倒すことに成功したが、特訓にしたレオにブーメランを全てたたき落とされて敗北。
 一見理不尽に見えるほどダン隊長が厳しい。だが、その厳しさは怪獣によって殺される人間をいかになくするか。と言う悩みの上に気付かれている。この世界の厳しさがよく現れているが、女性や子供の感傷まで怪獣に利用されてしまう理不尽さも現れている。
 今回も当然の如く特訓シーンが出てくる。ダン隊長が投げつけるブーメランを全てたたき落とす事。
<剣輪草が宇宙からきたものであることを見抜いたゲンだったが、百合が「女の子の気持ちって」…とやらかしたら説得されてしまった。それだけ優しいのだが、押しが弱い人間であるとも。
 ケンドロスに負け、それでもMAC基地に行こうとしたゲンの横を車で走るダン。「乗れ」と言った時のゲンの反応は、凄く嫌そうだった。いや、分かるけどね。
 そして特訓中にダンが言ったのは「男は外に出て戦わねばならん! 何の為だ? 後ろで女の子が優しく花を摘んでいられるようにしてやる為じゃないのか。 男まで女の子と一緒になって家の中でママゴトばかりしていたら、一体、どうなる?」…ちょっと言い過ぎ。
 ダンがMAC本部に行った後、ゲンの特訓を継続するのは百合と猛。この二人は疑問とか持ってなかったんだろうか?>
第8話 必殺!怪獣仕掛人

  監督:外山 徹
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:矢島信男
 怪獣ベキラの出現で出撃するマッキー。だがその攻撃中にベキラの足下に人影を見たゲンは単独で脱出してその人物を助けに走る。だがそのゲンのスタンドプレーで町の被害が広がってしまい、ゲンはダンの命令でに一週間の謹慎を命じられてしまう。
 敵は暴れん坊怪獣ベキラ。突然東京に現れ破壊活動を始めた怪獣。背中が弱点で、特訓を積んだレオの2段キックによって倒された。ただ、何のために現れたか今ひとつ分からない。
 まずタイトルがふざけてる。
 全般的にMAC隊員の活躍の場が少ないのが本作の特徴だが、ここでは珍しく青島隊員が中心となった話になっている。又、自分一人で怪獣と闘ってるつもりだったゲンが、チームワークの大切さを知る話でもあり。確かにこれまでもゲンのスタンドプレーが多かった。隊長としてのダンの考えでは、あくまで人間の力で出来る限りのことをして、どうしようもない時にウルトラマンが駆けつける。と言うのが本来の怪獣対策と思っている節があり。
 今回の特訓シーンは三角跳びの極意を得るまで。身軽な十貫坊を見ることで会得するが、実際に十貫に教わったことは体術よりは素直に人に従う心だったのかも知れない。
 怪獣と人命を天秤にかけるシーンがあり。通常ならここで人間の方を取るが、ここで青島は怪獣を倒すことを優先した。これが本来の怪獣対策のはずだ。
 今回初めてレオが光線技を使用する。光線と言うよりはエネルギーボールで、今までのエネルギーを込めて殴ったり蹴ったりしたものの派生技のようだ。威力も高くないらしい。
 今回もダンは厳しいが、やっぱり最後は笑顔で送り出してくれた。これがあるから救われる。
<最初に怪獣に追われて逃げまどったのはなんと大村だった。なんでもパチンコやっていて逃げ遅れたとか。同情の余地無し。
 自分は十貫ではないという十貫坊。「本人が言うのだからこれほど確かなことはない」とか言ってるけど、これが一番不確かだったりする。
 ゲンが寝そべった状態でレオに変身。レオも寝転がった状態で現れる。これは広大な空き地でなければ出来ない変身だな。三角跳びでベキラを倒すのも、都市部ではできない描写。>
第9話 宇宙にかける友情の橋

  監督:深沢清澄
  脚本:土門鉄郎
  特技監督:高野宏一
 久々の休日でトオルとカオルをを連れて遊園地に遊びにやってきたゲン。トオルは遊園地の怪獣ショーの中に、人なつこい怪獣がいることに気づく。実はそれはぬいぐるみではなく本物の怪獣であった。これを悪い奴でないと主張するトオルだったが…
 敵は宇宙星獣ギロ。遊園地の怪獣軍団ショーに紛れ込んでいた本物の怪獣。頭の触角から液体を出してかけられた相手を固めてしまう。アイスクリームが好きでトオルと仲良くなった。
 怪獣と少年の友情が描かれるが、本作の最大特徴は、それが本当かどうかが最後まで分からないという点にある。トオルの主張が本当だとすれば、平和なギロを攻撃したMACこそが悪となる。一方ではトオルがギロと遊ぶシーンに限ってサイケな演出がなされていることからギロがトオルに催眠術にかけたという考えも可能。どちらとも解釈出来る。これまでにない不思議な話だが、それが中途半端さにもつながっていて、ちょっとやるせない気持ちにさせられる。最後のレオがギロを復活させるシーンはちょっと蛇足っぽいけど、救いようのない物語に対するスタッフからのプレゼントだったのかな?
 まるでオルゴールの音楽のような静かなBGMの中でレオとギロは戦い、そのままギロはあっけなく殺されてしまった。幻想的に残酷な物語でもある。マザーグースに表されるように、幻想と残酷さとは結構つながっていることが多い。
 「この地球はお菓子で出来た夢の国ではないんだ」というダンの台詞はかなり重いのだが、この理論はこれまでのヒーローが語るものでは無かった。本作がより現実的なことが思わされる。
 撮影も凝っており、サイケデリック調の色彩が多用される他、止め絵をウィンドウ化して驚きを強調したりと、実験的な試みも多数なされている。
<対ギロのために特訓に入るゲンとダン。二人してシャワー室で特訓してるのだが、それを見た百子は何も疑問に思わなかったのだろうか?
 ギロの泡攻撃を食らって泡だらけになるレオだが、その顔は髭が生えているに見えるぞ。
 最後に大村が登場してるけど、どこから出てきた?
 ダンがトオルにギロを助けると約束した途端現れ、ギロを蘇生させるレオ。これでゲンとレオの関係を疑わないみんなが不思議だよ。>
VOL.3
<A> <楽>
第10話 かなしみのさすらい怪獣

  監督:深沢清澄
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:高野宏一
 隕石に乗って怪獣が地球に飛来した。出撃したマッキーだが、その怪獣の顔を見た途端、ゲンは攻撃出来なくなってしまう。実はその怪獣こそレオの故郷L77星でのレオのペットのロンだったのだ。
 敵はさすらい怪獣ロン。L77星出身の怪獣で、元はレオのペットだった。火山エネルギーを蓄え、口や尻尾から火を吐く。宇宙をさすらう内にすっかりひねくれてしまい、元の飼い主であるレオを平気で裏切るようになってしまった。最後はレオによって小さくされたが、その後どうなったかは不明。
 全般的に寂しい雰囲気がよく出ている話。両親を失い、更に再会した懐かしいペットまで凶暴化して、それを倒せるのか?と言う話と、現実世界での寂しさが上手くリンクされた話に仕上げられている。お陰で今回は特訓シーンも無し。
 平和だった頃のL77星が描かれる。ここに登場したロンはレオのペットだったということだが、故郷の星を失ってさすらう内にすっかりひねくれてしまったようだ。ダンが言うように、ロンはレオのもう一つの可能性で、地球で受け入れられなかったら、レオもこうなっていたかも知れない。
 両親を失ったカオルの奇矯な行動が描かれる。母親に甘える女の子をいじめてしまう。悲しいからと言って、何をしても良いと言う訳ではない。というのは今こそ必要な話ではないだろうか?
<L77星でのロンとレオとの交流が描かれるが、「可愛い可愛い」とか言いながら、ロンはかなりグロテスク。
 ロンがL77星の出身であることを「先ほど知った」というダン。どうやって調べたんだろう?
 ゲンが最後にカオルに持ってきた犬の名前はロン。あるいは怪獣ロンを本当に犬に変えてしまったのだろうか?なんとも描かれていないので不明だが。>
第11話 泥まみれ男ひとり

  監督:筧 正典
  脚本:田口成光
  特技監督:矢島信男
 ケットル星人との死闘を繰り広げるMAC。しかし、ケットル星人は逃亡、その途中でボクシングチャンピオンのマイティ松本を殺してしまう。その甥一郎の心を救うため、ゲンは打倒ケットル星人に燃える。
 敵は怪異宇宙人ケットル星人。本作の特徴で、等身大と怪獣化した時の形状が大きく異なる。等身大でMAC隊員やヘビー級ボクサーのマイティ松本と闘い、巨大化すると銃にもなる槍を使って闘う。その目的は不明。
 ここにも肉親が殺される話が展開する。このパターンは本作には多いが、それが本作特有の重さになっている。
 今回は珍しくMAC大活躍で、等身大のケットル星人との数回にわたる戦いが描かれる。一般人はあっけなく殺されるが、MAC隊員は誰も死んでないところを見ると、みんな大変頑丈なのだろう。
 一方今回もゲンの特訓が描かれるが、ここではダンは直接指導していない。ゲンの方が自分自身でなすべき事を見つけていたのも特徴。
 そうそう。本作はかの有名なレオヌンチャクが登場。コンビナートの煙突を使っている。ケットル星人の槍であっけなく壊されてしまったが。
<小学生に懸垂30回をやらせようとする大村。普通無理だって。
 逃げるケットル星人の前にトレーニングするマイティ松本。それに向かって「おーい。捕まえてくれ」と頼むゲン。これが松本の死につながったのだから、これはゲンが悪い。
 一郎君はつくづく不幸なことに、叔父に続き、墓参りに来た叔母までケットル星人に殺されてしまった。偶然って言っても無理があるよ。それで叔母が殴られた直後に現れたダンは「叔父に続き叔母も殺された。少年の心はもう誰の言葉も通じない」…って、まだ病院にも行ってないよ。宇宙人の能力で死んだのを確認したのか?
 「僕は独りぼっちになってしまった」と叫ぶ一郎。殺されたのは叔父叔母であって両親じゃないけど。
 レオヌンチャクはコンビナートの煙突が材料だが、鎖はどこから持ってきたんだろう?>
第12話 冒険野郎が来た!

  監督:筧 正典
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:矢島信男
 城南スポーツジムのハイキングの最中怪獣が現れる。更にアフリカ人を思わせる風体の怪しい男が現れ、不思議な踊りを踊ると、その怪獣バンゴは逃げ去ってしまうのだった。その男は佐藤三郎と言い、実はMACの新隊員だった。
 敵は風船怪獣バンゴ。普段は土の中に潜り鼻だけ出している。人真似が得意で、佐藤隊員の真似をしまくる。アドバルーンが破裂したので驚いたから、その復讐のためにアドバルーンを破壊しまくるというお茶目ぶりを見せる。尻尾の穴から特殊ガスを吹き込まれて宇宙に飛ばされてしまう。
 これまでの物語とはうってかわり、いきなりのギャグ編に仕上げられた作品。とにかく佐藤隊員の個性が強烈すぎて、それだけで終わってしまった感じ。怪獣バンゴもそれに輪をかけて妙な怪獣なので、丁度バランス取れてる。
 シリアスさが全然無いお陰か、ダンの登場もラストにちょっとだけという徹底ぶり。
<佐藤隊員がゲンと一緒に大きなおにぎり食べていたら、そのおにぎりが転がって穴の中(バンゴの鼻)に…「おむすびころりん」そのままの話。それで返ってきたおにぎりを「しょっぱおましたな」…う〜む。あとイソップ物語のがあるらしい。
 バンゴを驚かそうとアドバルーンに乗り、タバコを押しつけて破裂させる佐藤隊員。こいつよく生きてるな。
 バンゴが佐藤隊員の真似をしていることを知ったゲンは、なんと佐藤隊員の制服に水素ガス(ヘリウム?)を入れて空に浮かべる。それを真似たバンゴは空気吸い込みすぎて破裂…なんじゃこいつ?
 ところで最後に日本を去る佐藤に対し、ダンは敬語使ってるんだけど、ひょっとして佐藤って実はMAC本部のお偉いさんで、視察のために日本に来てたんじゃないのか?>
第13話 大爆発!捨身の宇宙人ふたり

  監督:前田 勲
  脚本:田口成光
  特技監督:東條昭平
 警察と協力して現れたバイブ星人を追うゲン。だが彼らの前で突如姿を消したバイブ星人はゲンのナイフを奪って警官に突き刺すのだった。殺人容疑をかけられてしまったゲンと、ダンの責任問題にまで発展してしまう…
 敵は透明宇宙人バイブ星人。等身大と巨大化では形状が全く異なり、等身大では白い顔に青と黒の隈取りが特徴で、巨大化すると今度は真っ黒のコウモリのような姿となる。高速で動くことにより姿を消すことが出来る。
 初めてウルトラマンが警察に逮捕された話。殺人武器を持たせている以上、その責任は重大と言うこと。それに言及した珍しい話だ。
 一方、この話では隊長の責任の重さも出ており、ゲンの責任を取ったダンはバイブ星人に対し特攻までしている。
 姿を消せるというバイブ星人の演出に力を入れたお陰で、巨大化戦はやや間延びした印象も受ける。レオとの戦いも、結局後ろから蹴りを入れられたら炎上して終わり。これはレオのキックがそれだけ威力あるって事なんだろうけど、もうちょっと見せ方に工夫が欲しかった。
<高速で動くことで姿を消すというのは割とありがちな話だが、それで「見えない」と言うゲンはウルトラマンレオとしての動体視力を持つはず。
 ダンがMACの隊長になったのは過去に輝かしい功績があったからだという。これは「ウルトラセブン」のウルトラ警備隊時代なのか、それ以降なのかは分からないが、前者であるとすれば、警備隊の面々はダンの正体を誰にも言わなかったことになる。
 工事現場に入り込んだバイブ星人を追いかけ、「そいつを捕まえてくれ」と叫ぶゲン。11話のケットル星人の時も同じ事やってたけど、こいつには反省がないのか?
 溶けたウルトラアイを見ながら「セブンにさえ変身出来たら」と呟くダン。セブンの方が本体のはずなんだけどね。>
VOL.4
<A> <楽>
第14話 必殺拳!嵐を呼ぶ少年

  監督:前田 勲
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:東條昭平
 突如現れたアンタレス星人に完敗を喫したレオ。ダンの助力で危機は脱するが、アンタレス星人はレオが必殺技を会得する前に倒すべく、今度は人間体となりゲンに挑戦状を叩きつける。
 敵はさそり怪獣アンタレス星人。二股に分かれた長い尻尾が特徴で、尻尾からの攻撃も可能。突如地球に飛来した宇宙人でその目的は不明。人間にも変身出来て城南スポーツクラブに空手の他流試合を申し込む。毒のある長い尻尾を用いて側面からの攻撃が出来る。レオが特訓によって強くなる事情を知っていて、特訓の開始前にゲンを倒そうとする。
 基本的にはちゃんと物語が展開していて、レオには敵わない怪獣に対し、唯一対抗出来るのは必殺技を会得したレオだけ。そのためにこれまでのように特訓がメインとなっているのだが、狡知に長けた宇宙人の存在のお陰でパターンを覆すような作品となっているのが面白い。ギリギリの戦いが描かれている。
 今回のMACの損害度は異様に高い。ゲンの特訓中に戦っているだけで8人もの隊員が犠牲になってる。それでも練習を続けさせるダン。凄い世界だ。特別扱いされていると、他の隊員からもゲンが責められてしまう。
 今回から主題歌が「戦え!ウルトラマンレオ」に変わる。主題歌の交代はこのシリーズでは初。
<城南スポーツクラブに他流試合に訪れるアンタレス星人。それは良いけど、ダンやふらふら状態のゲンが現れるのは何故?
 アンタレス星人は妙に事情通だが、マグマ星人あたりからそれを聞いていたのだろうか?
 アンタレス星人の人間体が道場に現れた際、それを静観しているMAC隊員達。ダンはこれがアンタレスって知ってる。だったら人間の内に攻撃すればいいのに。
 両手が塞がれると攻撃出来ないレオ。光線技を一切使わないって訳じゃないだろうから、目からビームを出すとか、そう言う特訓した方が現実的じゃないだろうか?
 アンタレスは首や尻尾が切られてもしばらく生きているが、両手に自分の首持ってどしんどしんと歩いてる姿は怖い。>
第15話 くらやみ殺法!闘魂の一撃

  監督:外山 徹
  脚本:田口成光
  特技監督:大木 淳
 ゲンはある日、自分を見つめている青年がいることに気が付くが、その青年津山と百合が一緒にいる所を目撃。複雑な気持ちとなるのだった。その二人の前に現れたフィリップ星人と闘うゲン。だが、その分身攻撃の前になすべきもなかった。
 敵は分身宇宙人フィリップ星人。等身大と巨大化した姿が珍しく同じ。分身能力を持つ。泣き声は「フォッフォッフォッフォ」で、バルタン星人に似ている。地球に来た目的は不明。
 百合とつきあってる男がいると複雑な思いになるゲンの姿が描かれている。本作では珍しいラブコメ的要素があるが、その複雑な思いと並行してMAC隊員が死んでしまう描写はやはり本作らしさで、ちゃんと特訓の様子もあり。
 複雑な思いを抱えながら、敢えて津山に教えを請えというダン。その立ち居振る舞いから津山の目が見えないことを察したのだろう。それで心眼を会得したゲンをちゃんと褒めている所も珍しい所。
 ダンの厳しさは今回巨大戦の時にも発揮され、分身攻撃を使うフィリップ星人に対し、なんとレオの目を見えなくさせてしまう。
 今回魅力的なキャラとして登場した津山。目が見えないという描写は今ではなかなか出来ないが、それを完全に越えたところにある達人の領域を見せてくれる。
<喫茶店でトオルが読んでた雑誌にはレオがL77星の出身であることが書かれていたらしい。どこからそんな情報が漏れた?
 梅田兄妹とアイスクリーム食べに行った喫茶店がたまたま百合と津山のデートの場所だった。偶然だが、たまたま近くの喫茶店だったんだろうか?
 こちらに背を向けて座っている津山に対し紙飛行機を投げるゲン。なんで足下に紙飛行機なんかあるんだ?
 津山が百合と同郷であることですっかり安心したゲンだけど、恋人同士かどうかは最後まで分からないままだった。>
第16話 真夜中に消えた女

  監督:外山 徹
  脚本:若槻文三
  特技監督:大木 淳
 温室に幽霊が出るという噂を聞き、友人と確かめに行ったトオルだったが、物音に怯えて逃げてしまう。笑いものにされてしまったトオルだったが、その夜から次々と人間が蝋人形にされてしまう事件が勃発する…
 敵は黒花星人アトラー星人。これも等身大と巨大化では大きく形状が異なり、等身大の姿は白い服を着た女性に、巨大化すると雪男タイプになる。ダンによればかつて地球にも来たことがあるとのこと。生物を蝋人形にしてしまう。レオの足を蝋細工化させ、町一つを完全に破壊した。
 本作では初のホラー的作品。特に前半は完全に怪談調で、姿が見えず、女性の叫び声だけが聞こえて来るというのはとても不気味な上に幽霊のメイクが怖すぎる。後半は完全にアトラー星人との戦いがメインだが、今回は特訓はなく、知恵と根性で倒してるのもいつもとは異なる。
 話そのものがこれまでとは違いどことなく「ウルトラセブン」っぽいと思ってたら、脚本がセブンでのライター若槻文三だったよ。
 アトラー星人によって蝋人形にされた人間のフォローはない。更にこの話で青島、赤石、桃井と言った第1話からの隊員達が退場。アトラー星人にやられてしまったのだろうか?だとすれば、MACの消耗率が高すぎる。
 ダンは前にアトラー星人が現れたことを述懐し、地球防衛隊が全滅したと言ってるが、これは「ウルトラセブン」のウルトラ警備隊のことか、MACの前身なのかは不明。
 ちなみに今回初めてマッキー2号の分離機能が公開された。
<トオルは肝試しのつもりで温室に向かい、そこで怖くなって逃げ出すが、それを大人は大笑い。その程度で笑う大人もどうかと思うが、その程度で落ち込むトオルもトオルだ。
 等身大のアトラー星人は白い着物を纏って現れるが、なんだか「桃太郎侍」を思わせる姿だな。>
第17話 狼男の花嫁

  監督:山本正孝
  脚本:田口成光
  特技監督:矢島信男
 三月市では若い女性が何者かに血を吸われて絶命する事件が連続して起こっていた。ダンはそれをウルフ星人の仕業だと断定し、調査を開始させるが、ウルフ星人は常にMACの追跡をかわし続け、被害も続いていく。
 敵は狼男ウルフ星人。普通は人間に擬態しているが、血が足りなくなると若い女性を襲って血を奪う。地球の狼男そっくりの行動パターンをした宇宙人。これも等身大と巨大化では大きく形状が異なり、等身大ではそのまま狼男っぽく、巨大化すると今度はコウモリのような姿になる。猛の婚約者である冴子に憑依した。
 前回から始まった怪談話は続いており、今回は狼男。全般的に夜が舞台となっているので、暗闇と血の演出が映える。又今回は初めて城南スポーツクラブの猛が中心となり、ウルフ星人に憑依されてしまった婚約者との哀しい物語が展開。婚約者を守ろうとする猛や冴子の母親の姿は健気だ。
 最後に安直に冴子を生き返らせたのはちょっと興醒めだが、この人は何も悪いことをしていないので、この位のサービスは必要なのかな?
 勿論今回も戦いの工夫はありで、ウルフ星人の動きを風車に例え、風車が動き出す前に倒そうとしている。今回も知恵が重要なので、特訓シーンはない。
 そう言えば6話で宇宙ステーション勤務として現れた白土隊員が正式に地上勤務になったようだ。MACの消耗率は高すぎる。
<あまりツッコミ所は無いのだが、根本的な問題で等身大時のウルフ星人の姿はまるでぬいぐるみでなんか可愛い。この造形の悪さが本作の良さをスポイルしてしまった感じ。あと、「狼男」と名付けられていながら、女性に憑依するのは何で?>
VOL.5
<A> <楽>
第18話 吸血鬼!こうもり少女

  監督:山本正孝
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:矢島信男
 突如東京上空で大繁殖したコウモリは太陽の光を遮って東京を寒冷地のようにしてしまう。MACの出動によりほぼそのコウモリは全滅させられるが、一匹だけ地上に逃れ、女性の姿を取って百合に助けられるのだった。
 敵はこうもり怪獣バットン。小さなコウモリの姿で大挙して地球にやってくるが、MACの攻撃により一体を除いて全滅してしまう。生き残った一体が女性の姿を取って夜な夜な人の血を吸っていた。巨大化するとその羽根で突風を起こすほか、巨大な耳から光線を出す。
 怪奇シリーズの第3弾で今度は吸血鬼。吸血鬼に血を吸われた人はそれも吸血鬼になるが、本作の問題点は吸血鬼自身よりも吸血鬼となったとされる人を襲う普通の人々の方だろう。「デビルマン」(勿論漫画版)みたい。きつい内容だ。バットンが化けた女性は百合に対し、「悪い奴に追われてます」と言ってるけど、怪獣の目からすれば、それを退治する人間の方が悪い奴に映ってしかりか。
 ただ、その分ゲンの特訓のシーンは今回もなし。ホラー的要素を除けば極めてオーソドックスな話に仕上がっている。怪獣をただ倒すのではなく、血清を作るために血を採ろうとするなど、東映ものっぽい演出が見られる。
 後ろを向いたまま笑っていて、振り向かせようとすると、牙が。子供にはきつすぎる描写じゃないかな?
<百合は博愛の精神に溢れているようで、困っている人を助けずにはいられないらしい。それは良いんだけど、医者を呼べよ。名前も聞いてないけど。
 バットンをレオキックで倒したら、そこには注射器に入った血液が?まだレオマントをもらってないから、そんな技は使えないはずじゃないの?>
第19話 よみがえる半魚人

  監督:外山 徹
  脚本:田口成光
  特技監督:東條昭平
 盆休みに北海道に旅行に出かけたゲンたちは、ある漁村に宿を取った。その村では盆に殺生をしたら海坊主に襲われてしまうと言う伝説があったのだが、
 敵は半魚人ボーズ星人。100年前から北海道の漁村に隠れ住み、海坊主として恐れられてきた。カズオ少年の父親に釣り上げられ、釣り竿で殴られたのを恨んでカズオの父親を殺し、更に村人の家を襲って次々に村人を血祭りに上げる。
 怪奇シリーズ第4弾。今回は半魚人の話。掟に背いて悪いことをしたらしっぺ返しを食うという、昔話っぽい感じに仕上げられてる。ただ、肝心のボーズ星人のデザインが今ひとつなので損してる感じ。ホラー風味はさほど強くないけど、レオと闘ったボーズ星人が骨になっても起きあがろうとするあたりはちょっぴりそれっぽいかな?
 久々にダンの特訓とかゲンの反発とかが描かれる。
 ラスト、カズオはゲンと百合を「お父さんとお母さん」と言っていた。なかなか微笑ましいけど、この家族の運命を考えると、あまりに哀しい台詞だ。
<妙に北海道の食べ物とかに詳しいゲン。地球人じゃないのに。
 ゲン達がわざわざ北海道に行ったのは泳ぎに来たらしい。しかし、北海道の盆に海水浴?時期がおかしいんじゃ?
 海坊主が出るという村人に対し、「そんなの古いよ、海坊主なんてMACの手にかかればイチコロだよ」と言うトオル。こいつは大人の警告ってものをどう考えてるんだ?
 ボーズ星人がこの村に来たのは100年前だと聞いたゲンは「伝説を隠れ蓑にして村を騙し続けていた卑怯者」と発言。何かの事故で不時着して、人間を恐れて潜んでいたという可能性は無いのか?
 海に逃げたボーズ星人が今度は巨大化するとか、攻略法とかを推測し、妙にボーズ星人について詳しいダン。やっぱり同じ宇宙人だから?
 そう言えばボーズ星人は本当に魚そのものって感じだけど、盆の内の殺生に関してのみ反応しているってことは、やっぱりそれなりに考えがあるのかな?>
第20話 ふしぎな子熊座の少年

  監督:外山 徹
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:東條昭平
 夜、基地で監視任務に当たっていたゲンは二つの隕石が落下する映像を見る。隊長のダンと共に調査に向かうが、そこにいたのは小熊を連れた物言わぬ少年だった。
 牡牛座怪獣ドギュー小熊座人ボック登場。ボックはおとなしい怪獣だが、ドギューに母親を殺されて地球に逃げてくる。一方のドギューは凶悪な怪獣で、母親を殺されたボックに復讐される前に殺してしまおうとする。二人とも人間に化けることが出来、ボックは少年に、ドギューはマサカリ持った禿頭の大男。
 北海道ロケシリーズの第2弾。今度は田舎を舞台に、本物の熊とかも出てくる。人はたくさん死ぬけど、「怪奇シリーズ」と銘打つほどのことはない。
 最後にゲンはボックに対し、「君は小熊座だろ?僕は獅子座からやってきたんだ」と言って同じく地球に住むことを申し出る。やっぱり星座に対応してるんだろうけど、もしその申し出を受けていたら、シルバーブルーメに殺されていたことだろう。
 ドギューの人間体役は「電子戦隊デンジマン」バンリキ魔王役の大前均。
<MACに勤務しているのはダンとゲンだけってのは、ちょっと無理がないか?
 何故かダンはボックとドギューの存在そのものを知っている。個体名まで知ってるなんて、凄く顔が広いんだな。
 ドギューにより惨殺された人や牛の描写あり。キャトルミューテーション?
 ところでドギューは村人の信用を得てるみたいだけど、あんな凶悪な大男が突然現れて、あっという間に仲間になれるんだろうか?きっと北海道の人はおおらかなんだ。
 ところでボック少年、村人の前でダンのことを「セブン」って言ってなかった?それもそうだし、初めてあったはずなのにレオを名指しで応援してるよ。
 ドギューが執拗にレオの目を狙って目つぶしをしたり、ボックの投げた黒百合がドギューの目に突き刺さる描写あり。ホラーはここだけ?お互いに目が見えないレオとドギューが手探りでお互いを探すシーンはほとんどギャグにしか見えないけど。
 ボックが最後に空に帰るのは「シュワッ」というかけ声と共に。ガスのようなものが足下から出て飛んでるけど、このガスはなに?>
第21話 北の果てに女神を見た!

  監督:外山 徹
  脚本:田口成光
  特技監督:東條昭平
 高速で地球に向かっている宇宙船を探知したMAC。ゲンと北山隊員がマッキー2号で現地にむかうのだが、宇宙船は怪獣によって破壊され、一人の女性が襲われているのを発見する。
 敵は殺し屋ノースサタン星人。これも等身大と巨大化で大きく形状が異なる。アルファ星人を殺すために地球に来て、宇宙船を破壊。残ったニケを執拗に狙う。口から無数の針を吐き出して攻撃する。そしてアルファ星人。本人は「ニケの女神」と名乗っている。友好な宇宙人で、4年に一度地球人を祝福するためにやってくる。何故ノースサタン星人はアルファ星人を狙うのかは劇中明らかにされていないが、「殺し屋」の二つ名を持つので、雇われているのだろう。
 北海道ロケシリーズ第3弾。今回は札幌が舞台。北海道らしくスキーの話が言及される。
 ニケの女神とは勝利の女神のことでスポーツ大会のデザインにもなっているが、そこにいるだけでノースサタン星人に狙われ、周り中に被害をまき散らしてしまう。皮肉な話だ。
 ダンとゲン以外の隊員が表に出ることは少ないのだが、今回は北山隊員が中心となっているのも特徴だろう。
 久々にゲンの特訓シーンあり。ノースサタン星人の含み針攻撃をかわすため、スキーの回転競技を行う。雪がないので、普通に走りながらだが。
<北山が重体だというのに、アルファ星人を逃がしたことを叱責するダン。MACの損害率はこの人の性格のためかもしれない。
 アルファ星人が地球にやってくるのは4年に一度。オーロラ国際スキー大会というのが冬季オリンピックを示すのならば、オリンピックを祝福するために来ている事になる。都合良いな。
 含み針で徐々に相手を追いつめるのが得意なノースサタン星人だが、具体的にはそれしか攻撃方法を持っていない。かわされると、地団駄踏んで悔しがってた。
 最後にレオはアルファ星人を故郷に連れて行くが、真空は大丈夫なんだろうか?>
VOL.6
<A> <楽>
第22話 レオ兄弟対怪獣兄弟

  監督:深沢清澄
  脚本:田口成光
  特技監督:高野宏一
 百子の誕生日を祝うゲン。だがその最中怪獣が出現する。出動するMACだが、その際、れおとあすかという兄弟と出会うのだった。自分にも兄弟がいることに思いを馳せるゲンだが、兄弟を助けたことで町の被害を拡大させてしまったことを叱られてしまう。
 敵は兄怪獣ガロン弟怪獣リットル。最初に現れたのがガロンの方で、町を破壊するが、レオの登場とダンのウルトラ念力によって撃退される。そのガロンがピンチに陥った時に現れたのがリットル。兄弟のコンビネーションと囮でレオを完膚無きまでに叩き伏せる。その後アストラの登場とウルトラダブルフラッシャーによって倒された。
 レオの弟アストラの初登場の話。敵が兄弟でやってきたので、こちらも対抗して。ウルトラ兄弟中、実際に兄弟というのはこの二人のみ。更にガロンの出現に際して兄弟を助けるなど、まさに今回は兄弟づくし。かなりの盛り上がりを見せている。
 アストラとレオの共闘は見事なコンビネーション。ここまでシンクロした戦いは初めてのこと。最後のウルトラダブルフラッシャーは、これまでほとんど光線技を使わなかったレオにとっては貴重だ。
 現時点ではアストラは本当にただ出てきただけで、これまでどこにいたのか、何の目的を持って地球に来たのかは語られない。ただマグマ星人によって破壊されたL77星の様子がちょっとだけ見られる。
 今回MACの被害は甚大。死者3名、負傷者16名、マッキー2号2機破壊、マッキー3号2機破壊。これを冷徹に語られるのが凄い所。
 子供の命を助けた事で責められるゲンは理不尽な気もするが、確かに確かにこういう場合は連絡を取って誰かよこしてもらうのが一番効率が良い。
 子供がいる病院がリットルにより破壊。かなり衝撃的なシーンだ。二人とも生き残っているのだが。
<今回ツッコミ所はさほどない。初めてアストラを見た大村が「レオの兄弟」と言ってることと、アストラが折角の兄弟再会でもあっさりしすぎてたこと位かな?>
第23話 ベッドから落ちたいたずら星人

  監督:深沢清澄
  脚本:若槻文三
  特技監督:高野宏一
 愛用のベッドに乗って宇宙を旅してきたコロ星人は音楽に合わせて踊ってる内に地球に落下してしまう。そして助けてくれたリトルマックの少年達に、お礼としてレンボラーを連れてくるのだが、そのコントロール用尻尾を切られてしまう。
 敵は虹怪獣レンボラー。宇宙の暴れん坊だが、コロ星人に飼われている。虹が大好物で虹を食べると100倍にパワーアップしてしまう。そして快人コロ星人。歌と踊りが大好きな宇宙人で、踊ってる内に地球に落下してしまう。子供の姿をしているが、実は立派な大人で子供が43人、孫が64人、曾孫が14人もいるとのこと。
 本作初の完全コメディ作でまるで「ウルトラマンタロウ」に戻ってるかのよう。完全にコントロールされた怪獣が「地球面宙返り2回転」やってみたり、レオと空手やボクシングで戦ったりする。何というか、戦いそのものがまさにコメディそのものでボクシングやっててダブルノックダウンしてみたり、ノックアウトしたレンボラーが泡吹いてぶっ倒れたりする。
 ただ本作の場合、それよりリトルマックの少年達の方がキャラ立ちしているのが特徴か。
 コメディではあるが、ここで描写されるリトルマックの子ども達は印象深い。彼らはガキ大将に率いられてるけど、子ども達だけでコミュニティを作り、町を綺麗にしたりしてる。当時は「明日の日本を作る」として、大人を信用しない代わり、自分たちで良いことをしようと考えていた時代だった。まさに70年代の話ではある。
 後のウルトラシリーズでウルトラマンが破壊された家とかを慌てて直そうとする描写があったりするが(「ウルトラマンマックス」など)、ここではレンボラーが自分が壊した鉄塔を直そうとする描写もあり。これが初出か?
 フィンガーファイブの曲が効果的に使われた話でもあり。
<この話でツッコミ入れるのは野暮だけど、変身時間が歴代兄弟の中でも最も短いレオがボクシングで7ラウンドまで戦えるのか?(20分は戦ってる計算になる。
 コロ星人の尻尾の伸び方は斜め上にグン、グンと言った感じ…いや、だからなんだと言われても困るが。>
第24話 美しい乙女座の少女

  監督:前田 勲
  脚本:奥津啓二郎
  特技監督:矢島信男
 地球に落下した宇宙船を調査するMAC。その調査中ゲンはカロリンという少女とドドル博士と出会う。ゲンは二人を匿おうとするのだが、その二人を追ってサーリン星よりロボットがやってくるのだった。
 敵はロボット怪獣ガメロット。かつてドドル博士が作ったサーリン星のロボットだが、反乱を起こしてサーリン星を支配してしまった。サーリン星人を全滅させることを目的とする。レオを圧倒するパワーを持つが、中枢をカロリンに破壊された後、レオに左手と頭を引きちぎられて破壊される。そしてサーリン星人が登場する。ここに登場するのはドドル博士という老人(?)とカロリンという孫娘。実は彼女はドドル博士が作ったアンドロイドだった。
 ファースト・コンタクトものの作品。侵略者は悪として徹底して排除してきた本作では珍しい話で、方向性が変わってきたことを感じさせられる。ゲンもダン以外の宇宙人と心を通わせたことで喜んでいるようだ。妙に浮かれている姿が印象的。ただし悲恋に終わるのが特徴か。地球の平和のために異星人を切り捨てるのか、あるいは彼らを保護することで危機を招くのか。微妙な駆け引きだったが、ダンが選んだのは、二人を宇宙に逃がす。という選択だった。それはそれで立派な選択だが、どっちつかずとも言える。
 ウルトラシリーズで出てくるロボットというのは妙に強いのが定番だが、ここでも極端に強く、レオの力では到底敵わなかった。
 今回登場するサーリン星人のドドル博士は天本英世。この人はやっぱり名優だよ。
<百子の誘いを断ってカロリンに会いに行くゲンは口笛吹いてた。まるで恋人に会いに行くみたい…って、百子って恋人って設定じゃなかったっけ?
 今回珍しくダンは最初に交渉の場を持ってる。これまで問答無用に攻撃してきたダンにしては妙に慎重だ。
 結局最後までガメロットがサーリン星人を追ってきた理由は明かされなかったな。>
第25話 かぶと虫は宇宙の侵略者

  監督:前田 勲
  脚本:若槻文三
  特技監督:矢島信男
 地球の放った新兵器がクリーン星を破壊したという報告が入っていた。その頃喘息の少年ジロウは地球が汚染される夢を見て恐怖心で一杯になってしまう。
 敵は幻想宇宙人クリーン星人。ジロウ少年の夢に出てきた宇宙人でジロウ少年に汚染のないクリーン星に来るよう誘う。そして宇宙昆虫サタンビートル。クリーン星人に操られた巨大なカブトムシの姿をした怪獣。ジロウはそれを自分のカブトムシが生まれ変わった姿と思い、自分をクリーン星に連れて行ってくれる存在だと思う。しかし実際は汚染物質を降らせ続けていたらしい。
 当時の関心事項であった(今もそのはずなのだが)公害問題を扱った話なのだが、構成そのものはまさに不条理劇。恐怖のあまり神経症になってしまった少年の夢だか現実だか分からない話に仕上がっている。そう言うことで全体的に妙に神経に来る物語に仕上げられている。どことなく「ゴジラ対ヘドラ」っぽくも思える。とにかく気持ちがすっきりしないけど、これはかなり面白い。
 郊外を感知するとジリジリとジロウの頭の中で音がしたり、クリーン星人自身が実体なのかどうか。本当にサタンビートルは公害をまき散らしていたのか…全てが本当か嘘か分からない。ここまで不思議なのは「ウルトラセブン」43話の「第四惑星の悪夢」以来か?そう言えば本作の脚本は「ウルトラセブン」のメインライターだった若槻文三だな。
<冒頭クリーン星で兵器実験が行われたという話が出てくるが、それにしてはダンの無反応ぶりがちょっと気になる。「血を流しながら走る哀しいマラソン」はどうなった?>
VOL.7
<A> <楽>
第26話 ウルトラマンキング対魔法使い

  監督:大木 淳
  脚本:田口成光
  特技監督:東條昭平
 宇宙の魔法使いプレッシャーが来訪しレオに戦いを挑む。だがその力は強大で、レオは小さくされてしまう。
 敵は怪獣人プレッシャー。宇宙の魔法使いの異名を持ち、手品のような様々な技を使ってレオを翻弄し、ついには小さく縮めてしまった。本作では珍しく等身大と巨大化では姿が同じ。何故かテツオの家族を狙い続けているのだが、この少年に何らかの秘密が隠されているのだろうか?結局劇中では明かされてないが。
 根性もの路線からホラー路線へと転換していた本作だが、本作から「ウルトラマンタロウ」を踏襲した内容へと更に変更。本作に特徴的な「日本名作民話シリーズ」が始まる。これらの路線変更は視聴率の伸び悩みのためと思われる。
 本作は「一寸法師」をベースに、小さくされたレオの話が展開する。小さくされた分エネルギー消費が少ないのか、今回は後半ずーっと変身したまま。音楽も妙に軽快で、小さくされたレオは本当にお椀の船に乗ってたりする。
 それと特徴的なのは、ここでウルトラマンキングが登場していること。これまでのウルトラ兄弟とは全く異なった存在で、誰も見たことがない伝説の存在とされている。登場の仕方はとても派手。隠遁生活を送ってるから、時々は目立ちたくなるんだろうか?アストラと言いキングと言い、仲間としてこれまでに登場してなかった存在を出しているのは独自性かな?
 そしてそのキングによってウルトラマントが与えられる。これによってこれまでの
<MAC本部で他の隊員がいる前でゲンを「宇宙人」と言ってる。ちょっと離れているとはいえ、不用意すぎない?
 プレッシャーは手品師を思わせる行動を取るのが特徴だが、杖を枕に空中で眠ってる姿は完全におちょくってるとしか思えない。この余裕が結局は負けに通じるんだが。
 小さくなったレオを風船に閉じこめるプレッシャー。風船の大きさは怪獣サイズなのだが、地上に降りた時は普通の人間が持てるくらいに縮んでる。と言うか、レオってどれくらい小さくされたんだ?
 小さくされたレオが妙に楽しそうなのは気のせいだろうか?
 レオは2分30秒しか変身出来ないと指摘するダン。確か2分40秒じゃなかったか?
 誰も見たことがない。とされるウルトラマンキングの事をダンは知っていた。顔写真とかがあったんだろうか?
 せっかく地球に来てレオを助けたキングは、なぜ変身できないセブンをスルーする?
 最後のナレーション。「ウルトラマンキングがレオに与えたウルトラマントにはまだまだ秘密があるんだよ。レオはこれからどんどん面白くなるね」…なんか切実な宣伝が見え隠れしてる気がする。>
第27話 強いぞ!桃太郎!

  監督:大木 淳
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:東條昭平
 惑星アップルから追い出されてしまった果物好きの怪獣オニオンは果物を求め地球へとやってくる。一方地球では桃太郎という名前のお陰でいじめられている少年がいた。そんな桃太郎がオニオンによって食べ尽くされてしまった祖父母の果物屋の仇討ちに立ち上がる。
 敵は鬼怪獣オニオン。青鬼そっくりな姿をした果物好きの怪獣で、故郷のりんご型惑星アップルから追われて地球へとやってくる。果物を食いまくる以外取り立てて害はない。手に持った棍棒で攻撃するほか、玉ねぎの匂いのする霧を吐き、近寄った人間に涙を流させる。最後はレオによって大きなリンゴの木にされてしまった。ニワトリが苦手。
 民話シリーズ第2作で、今度は桃太郎がモティーフとなった話。ほぼ完全に「ウルトラマンタロウ」に逆戻りしたかのようなコメディ作で、構成からして39話「ウルトラの父子餅つき大作戦」によく似た話になってる。かなり大幅な路線変更である。
 特にこの話の中心は桃太郎という少年になっているのが特徴。いじめられっ子だが芯は強く、祖父母の果物屋の仇討ちのためにオニオンに立ち向かう姿が描かれている。
 レオとオニオンの戦いもコミカルで、桃太郎少年の攻撃で虎のパンツがずり落ちた状態で戦うオニオンの姿と言い、戦いなのに妙にほんわかしたBGMと言い、狙ってるね。
 ちなみに桃太郎役は初代“あばれはっちゃく”の吉田友紀が演じている。
<惑星アップルにはニワトリがいるらしい。しかも大きさも巨大。
 いじめられた桃太郎が最後にひと言。「シンちゃんもヒデちゃんもナッちゃんも僕にやっつけられて逃げていきました。と、日記には書いておこう」…あれ?このフレーズどこかで聞いたような気がするぞ。
 仇討ちをしようと言う桃太郎に積極的に協力するゲン。MAC隊員がそんなで本当に良いのか?しかも巨大な桃型カプセルでオニオンの上に落とすなど、危険な任務に就かせてるのだけど。死んだらどう責任取るつもりだ?
 桃型カプセルをもらったオニオンはお礼に手なんか振ってる。結構良い奴なんじゃないのか?
 最後はオニオンは殺されることなくリンゴの木にされてしまうが、サイズ的にこのリンゴって人間よりも大きいよね?>
第28話 帰ってきたひげ船長!

  監督:山本正孝
  脚本:若槻文三
  特技監督:矢島信男
 ある海辺の村で緑色の髪をした少年が村人に襲われていた。たまたまそこにいた船長が高価なバロック真珠を村人に渡すことで少年を助け、お礼に招待を受けるのだが…
 敵は海棲人パラダイ星人。全身緑色の人間のような宇宙人。亀に似た宇宙船で地球にやってきた。友好的な宇宙人だったが子供が村人に殺されそうになったことで二人のパラダイ星人が合体して星獣キングパラダイとなる。耳から光線を出し、体を丸めて敵の攻撃を防ぐ。
 民話シリーズ第3作。今度は浦島太郎がモティーフ。パラダイ星人の子供を助けた船長が宇宙船に招待される。玉手箱の代わりにパイプが手渡されるが、お爺さんになった船長はなんか楽しそう。
 路線としてやや本来の流れに戻ってきたのか、民話をベースとしているが結構重たい内容に仕上げられた話。
 違った文化に属する人間同士が誤解から諍いを起こすのは現実でもままあること。多数派が少数の人間を差別する問題が本作の主題では無かろうか?実際この話では人間が加害者になっている。ひょっとして在日問題が念頭にあったのだろうか?設定が面白いので、作りようによっては傑作にもなった作品だった。
 今回はなかなか特撮演出に凝っており、パラダイ星人の女王は登場せず、能面から声が聞こえてくるとか、タンクローリーが大爆発するとか力が入ってる。戦いのシーンでも本作では珍しい光線技が多数。
<事件の渦中にいることが多いトオルとカオル。災いを招く体質なんだろうか?
 魚が捕れなくなったのはパラダイ星人のためだとして攻撃する村人達。しかしパラダイ星人が落下した直後にMACがやってきているのだが、不漁ってもっと前からだろ?
 パラダイ星人の子供を可哀想だという少年がいるのだが、よく見ると一緒に蹴りを見舞ってる。言ってることとやってることに一貫性がないぞ。
 ラスト老人になってしまった船長だが、全然悲惨さはなく、むしろ楽しそう。歳を食うのも悪くないのかね?
 キングパラダイは倒したものの、パラダイ星人は無事のはず。どうしたんだろう?>
第29話 運命の再会!ダンとアンヌ

  監督:山本正孝
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:矢島信男
 下町に子供の姿をした宇宙人が現れた。調査に赴いたダンはそこでアンヌそっくりな女性と出会うのだが、その女性は何故か自分はアンヌではない。と言う。
 敵は超能力星人ウリンガ。ウリーという赤い服を着た少年が超能力を使うたびに体が銀色になっていき、最後はロボットのような銀色の宇宙人となる。体中から生えている棘を投げつけて攻撃する。レオによって宇宙に返された。
 民話シリーズ第4話。狐のくれた赤ん坊がモティーフ。初のダンが主役の話で、「ウルトラセブン」の設定を受け継いだ話でもある。アンヌとの再会?で「ウルトラセブン」最終回の告白シーンまで使われてる。
 ただ、アンヌと思われた女性は最後まで頑なに自分がアンヌであることを否定する。果たして何故彼女はそう言い張るのか。結局分からなかった。ウリーは捨て子だったというが果たして誰だったのだろうか?
 しかしそうなると、これまで非情なまでに星人抹殺を主張していたダンが今回に限っては宇宙人をかばってしまうと言う変な話になってしまい、出来としては今ひとつと言った感じ。
 ダンは地球に来た時真っ先にアンヌを捜したのだという。これから他のウルトラ警備隊員も生きていると思わされる。他にも登場すればいいのに。
<ウリーにお母さん呼ばわりされているアンヌに対し「君も宇宙人なのか?」と尋ねるダン。普通そうは思わないと思うんだが。
 ダンの命を削るというウルトラ念力を今回は2回も使用。しかもこれは不必要な事ではなかったかと思われるのだが、自分の命をなんだと思ってるんだ?
 超能力合戦の緊張感に耐えられず思わずマックガンを撃ってしまうゲン。それはそうと、なんでダンを撃つの?
 レオはウリーのみならずアンヌまでも宇宙に連れて行ってしまうのだが、それって死んでない?>
VOL.8
<A> <楽>
第30話 怪獣の恩返し

  監督:筧 正典
  脚本:田口成光
  特技監督:高野宏一
        吉村善之
 マグマ星人に追われ地球にやってきたローランを発見したゲンはマグマ星人を撃退する。そしてローランは命を助けてくれたゲンと大熊親子に恩返しをしようとするのだった。
 敵はサーベル暴君マグマ星人。ファースト・エピソード以来の登場だが、ローランをお嫁さんにしようとして地球に来て、求婚を断られると逆ギレしてローランをつけ狙うというほとんどストーカーまがいの行いしてる。そしてそのマグマ星人に追われるのは宇宙鶴ローラン。宇宙一綺麗と言われる怪獣で、マグマ星人に襲われたところをゲンと大熊親子に助けられ、星村という女性となってその恩返しに現れる。彼女の羽根で作った風車は不思議な力を持つ。
 民話シリーズ第5話。今回は素直に「鶴の恩返し」そのまんまの話。久々に登場したマグマ星人がすっかり情けなくなってるので、あまりに寂しかったりする。あっさりと決着も付いてしまった。
 今回はゲスト出演として「ウルトラマン」のハヤタ役黒部進とフジ役桜井浩子がゲスト出演。お祭りのような話だった。
 尚、本作の物語はウルトラマンファンの高校生や大学生達が円谷プロに集まって話し合って作った話が元になっているのだとか。
<よく言われることだが、本作のマグマ星人は弱すぎる。これが一話から引っ張ってきたレオのライバルかと思うと情けなくて。ただ、本当は元々そんなに強くなくて、悪知恵が回る宇宙人だったという解釈は成り立つかも知れない。
 これもよく言われる話だが、「宇宙一美しい」と言われるローランが全然綺麗に見えないのも特徴かな?>
第31話 地球を守る白い花

  監督:筧 正典
  脚本:奥津啓二郎
  特技監督:高野宏一
         吉村善之
 不思議な手品を使うお爺さんが人気を集めていた。花を出して赤ん坊をあやしたり、灰を撒くことであらゆる所に花を咲かせたり。ところがこの花の匂いを嗅いだ人たちはみんな眠り続けるようになってしまう。
 敵は昆虫星人バーミン星人。お爺さんに変身し、灰を撒いて東京中を花で埋めるのだが、その花の匂いを嗅いだ子ども達はみんな眠り続けてしまう。その本体はハンミョウのような姿をした緑色の巨大昆虫。灰を振りまきレオの体を植物で覆ってしまうが、ウルトラマントかぶせられて封じられてしまった。
 民話シリーズ第6話。「花咲爺さん」がベースだが、かなり捻ってある。正直爺さんの方が実は悪人だという物語構成は25話の「かぶと虫は宇宙の侵略者」に似ている感じ。バーミン星人は言ってるとおり地球を花で一杯にしたかっただけなのか、侵略なのか。もうちょっと演出に凝ったら面白い話に仕上がったはず。
 お花大好きなカオルを主人公にして花の精なんかも出てくるためにファンタジックな話に仕上げられているのも特徴。
 そんな中、公害に苦しむ東京をちくっと皮肉ったりもしているので、なかなかバランスのいい話でもあり。
 花咲爺さんの歌だけでなく男性コーラスの歌も入っているが、これはこおろぎ73の「花咲じいさん」と言う曲。
<肉を喉に詰まられるトオルに対し「水を汲んで」とカオルに言ったまま動こうとしない百合。トオルはどうなっても良いのか?
 カオルの育てる白い花に嫉妬して思わず植木鉢を割ってしまうトオル。それで花を手に取るカオルだが、いつの間にか花は切り花になってる。
 ところでその花なのだが、劇中大きくなったり小さくなったり、元気になったりしおれたりと様々なに変化してる。>
第32話 さようならかぐや姫

  監督:中川信夫
  脚本:石堂淑朗
  特技監督:矢島信男
 スポーツクラブに通う弥生は満月近くになると頭に呼びかける声に悩まされていた。そしてある夜ついにその声は、彼女が月族の王女であり、十五夜に迎えに来るというのだった。それを目撃したゲンだが…
 敵は月光怪獣キララ。月族の一員で、十五夜に月族の王女である弥生を迎えに来た。ガチャピンみたいな妙にかわいげのあるデザインが特徴か。体を丸めて転がったり、口から火を吐いたりするが、基本的には平和主義らしい。
 民話シリーズ第7話で最終話。「竹取物語」がベースで話もそのままで、終わり方も虚しく仕上がってるのだが、演出とかカメラアングルとかがなんだか妙にホラーくさい…監督は中川信夫ではないか。怪談もの撮らせたら日本一の監督だよ。そう言えば今回に限っては民話の音楽もなかった。
 結局キララは平和の内に弥生を迎えに来ただけでそれを止めることも出来なかった。レオの方が悪者になってしまった感がある。
<都内にあるスポーツクラブから歩いて家に帰る弥生だが、何故かそこは竹林の中にある藁葺き屋根の家に帰っている。これどこ?
 弥生に対し、「月には生物がいない」と断言するゲン。夕子はどうした?それと月星人と月族の違いは?そう言えば月族は15年間悪い奴らと戦っていたって言ってたけどその敵ってひょっとして月星人だったのか?
 レオマントを腰に纏って戦うキララはなんかスカート穿いてるみたい。>
第33話 レオ兄弟対宇宙悪霊星人

  監督:中川信夫
  脚本:若槻文三
  特技監督:矢島信男
 パトロール中のゲンとダンはマンション上空に浮かぶ黒雲を発見。不気味なものを感じたダンはMACに命じ調査を行わせるのだが、その頃にはマンションには怪異が迫っていた…
 敵は宇宙悪霊アクマニヤ星人。お腹の巨大な目が特徴。怪奇隕石アクマニヤに住み着いていた怪獣。マンションに取り憑いて様々な怪奇現象を引き起こした。その正体は悪霊とされて解析不能な存在。
 民話シリーズが終了し、これからは複数のウルトラマンが登場する新展開となっていく。今回はレオの弟アストラの再登場の話。
 今回はマンションの怪異が中心となるが、光の明暗や徹底して煽りで描かれるアングル。歪む画面。叩きつけるようなピアノの音など、完璧にホラー。そこに真っ赤な血や青い手など次々に登場。凝りすぎた演出が映える。無人のマンションに向かって俯瞰で駈けていくトオルの姿も、不吉を示しているよう。これも監督の中川信夫によるものだろう。レオとアクマニヤ星人との戦いも突如画面が暗くなり、アクマニヤ星人の真っ赤な目だけがギラギラと画面に光るという演出がなされる他、叩き折ったアクマニヤ星人の角を目玉に突き刺したり、腕を千切ったりという演出まであり。
 最後はレオを助けにやってきたアストラの活躍で無事解決だが、登場はほんの一瞬だけ。
<タカシはトオルの従兄弟だという設定。だったら何故タカシのお母さんは赤の他人に任せてトオルとカオルを引き取らなかったんだろうか?
 マンションの住民、殊にタカシの母親なんかは完全に精神がイッちまってたけど、これからどうやって生きていくんだろう?
 ところで今回のウルトラダブルフラッシャーはアストラが立ってレオがしゃがんでいたどっちでも良いんだろうか?
 次回予告だけど、帰ってきたウルトラマンが5番目の兄弟と言ってた…4番目だよね?>
VOL.9
<A> <楽>
第34話 ウルトラ兄弟永遠の誓い

  監督:前田 勲
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:大木 淳
 変身出来なくなってしまったダンのための新しい武器、怪獣ボールを手に地球に向かう新マン。だが途中アシュランに襲われ、怪獣ボールを見失った上にマスクをかけられてしまう。喋ることの出来ない郷を保護するゲンだったが…
 敵は二面凶悪怪獣アシュラン。鬼のような顔をした怪獣だが、赤青の顔が裏表に付いていて死角がない。新マンの持つ怪獣ボールを狙って宇宙で新マンを襲い、その口を利け無くさせてしまった。その後セブンガーと戦い、レオ、新マン二人の攻撃に敗れる。そして新マンの持ってきた怪獣ボールから生まれたセブンガー。新しいカプセル怪獣でダンだけが使える。ロボット怪獣でアシュランを圧倒する力を持つのだが、活動限界が僅かに1分のため、とどめを刺す前にカプセルに戻ってしまう。
 前回のアストラに続き、今度は帰ってきたウルトラマン(ジャック)が登場。それに対抗するかのように新マンとレオ二人がかりでなければ倒せない強さを持つ怪獣も登場させている。命がけでセブンのために活動する彼の姿は涙ぐましいものがあり。なんと子ども達に石とか投げられる描写まであった。そして今回しか登場しない新しいカプセル怪獣セブンガーも登場。見所の多い話だった。
 まだ完全とは言えないが、今回郷がゲンのことを認めたことで、レオ達兄弟がウルトラ兄弟へと認められていく。実際は変身している訳ではないが、アシュランの妄想で新マン、レオ、セブンが登場していたのも結構嬉しい。
<ナレーションで帰ってきたウルトラマンの事を、今回も5番目の兄弟と言っている。
 口に拘束具を付けられてしまって喋ることが出来ない郷だが、こういう場合筆談をするとか、ゲンに対してテレパシーを飛ばすとか色々方法があったのでは無かろうか?
 怪獣ボールを取るために子ども達に石投げられる郷。地球のために散々戦ってきた郷だからなんとか良かったものの、
 根本的な問題であるが、セブンが窮地に陥っているのが分かっているのに、何故今まで誰も助けに来なかったのか。今回もセブンに代わって。と言う訳でない。いろんな意味でウルトラ兄弟が可哀想な話ではある。>
第35話 おいらは怪獣大将だ!

  監督:前田 勲
  脚本:田口成光
  特技監督:大木 淳
 「怪獣君」とあだ名される宮坂少年が拾った不思議な壺の中には怪獣タイショーがいた。実は怪獣小学校の4年生だが、学校をサボって遊んでばかりだった為、お仕置きとしてお父ちゃんに不思議な壺の中に閉じ込められてしまったのだ。二人で学校を壊そうと誓った二人だが…
 わんぱく怪獣タイショー登場。怪獣小学校4年生。暴れん坊のために父親から不思議な壺に閉じこめられてしまった。宮坂少年に拾われ友達になり、学校を壊そうとする。レオとも戦うよりはほとんど遊んでる感じで、結局レオによって宇宙に帰される。
 民話シリーズは終わったものの、本作はベースは千一夜物語の壺のジンの話から。ただ「ウルトラマンタロウ」のメインライターである田口氏が脚本を書いただけあり、徹底して子供視点で展開する物語は完全にタロウそのもの。宮坂少年とタイショーのコンビが楽しい。レオとの戦いも完全にコメディで、プロレス技を展開するレオに対し、ごまかし技使って逃げ回りつつ翻弄しているタイショーという構造。
 勉強嫌いは人間も怪獣も同じ。それで怪獣を壊してしまおうとする。随分極端な考えだが、これも一種の“子供の夢”かもしれない。
 ゲンがレオに変身するのも随分お手軽になったが、やっぱり失敗するとダンに怒られる
<タイショーが学校を壊そうとしている時のBGMは「算数チャチャチャ」じゃないか。この歌の計算式は未だに分からない。
 町中を逃げ回る等身大のタイショーは風呂屋で「時間ですよ〜」と叫んでた。これは当時の堺正章主演のドラマ(と言うかコント)で、時事ネタ。それにしてもなんで風呂場?
 最後のナレーションも「怪獣君とタイショーはちゃんと勉強するかな?」という人を食ったものだった。>
第36話 飛べ!レオ兄弟宇宙基地を救え!

  監督:岡村 精
  脚本:田口成光
  特技監督:吉村善之
 3年前アトランタ星調査に向かったまま行方不明となった内田隊員が帰ってきた。だが実は内田はアトランタ星人の偽装であり、彼はMACウランを用いてMAC本部の爆破をもくろむ。
 敵は変身怪人アトランタ星人。内田に偽装してMAC基地爆破を狙う。その正体は機械のカッパって感じの星人だが、巨大化するとあんまり強くなかった。ウルトラダブルフラッシャーで倒される。
 このところコミカルな作品が続いていたが、久々にハードな物語展開。今回登場した内田が悪者である事を知っているゲンとダンは、それを言う事が出来ず、逆に内田は爽やかな笑顔で悪事を企む。内田の婚約者であるあや子の喜ぶ顔を見ていると、一体自分がどうすればいいのか分からなくなってしまうゲンの苦悩がなかなか良い。一方、自分の作戦が邪魔されたと見るや、これまでの余裕をかなぐり捨てて急に焦り出す内田の表情の演技も上手い。カーチェイスもあり、更に絶妙なタイミングでアストラまで登場という盛りだくさんの内容。
 「もし僕が宇宙人だったら?」という今回百子とゲンの会話はまるで「ウルトラセブン」最終話のゲンとアンヌの会話を思い起こさせる。ここも名場面だろう。ただ、このタイミングでこれをやるって事は、既にこの時点で百子の退場は決定していたという事だろうか?
 特撮部分ではマッキー2号の空中分離と合体が描かれている。この機能が存分に活かされた描写となった。CG使えない時代だから、繰演だけでは大変だっただろう。カメラアングルも凝りまくってる。
 中期の名作と言って過言ではない作品だが、ツッコミ所もやっぱり多い。
<宇宙船墜落にもかかわらず、かすり傷一つ無いという内田。それは良いんだけど、即日退院で翌日にはMAC隊員になってしまってるって、無茶だろ。更にゲンの操縦ミスによってMACウランの輸送は内田に任される事に。これも強引すぎ。
 ゲンと百子の会話でゲンは「僕が宇宙人だったらどうする?」と意味深な事を言っているが、それに対する百子の答えは「私の事を愛してくれているのなら、たとえ悪い宇宙人でも平気だわ」だった。別に「悪い」とは言ってないんだけど…
 あや子を危篤状態に陥らせ、内田に病院に行くように命じるダン。やり方が強引だけど、その時の台詞は「MACは人の心を無視するような組織ではない」だった…お前が言うなお前が。
 アトランタ星人はMACウランを積んだマッキー2号をステーションにぶつけようと、自分でマッキー2号を運んでいくのだが、最初から自分で破壊出来なかった?
 宇宙空間で火を出すマッキー2号の描写もなんだかなあ。
 アトランタ星人は凶悪とされるが、実際は大変弱い。アストラとレオが共同して戦ってるのは、はっきり言っていたぶってるとしか見えない。>
第37話 怪奇!悪魔のすむ鏡

  監督:岡村 精
  脚本:田口成光
  特技監督:吉村善之
 鏡の世界に住むマザラス星人は現実世界で遊んでいるカオルを見かける。死んだ娘にそっくりなカオルを鏡の世界へと誘い込んでしまうのだった。
 敵は鬼女マザラス星人。鏡の世界に住む異世界人で、子供を鏡の世界に引き込んでしまう。カオルの母親そっくりの顔をしているが、その下には般若の如き顔が隠されている。そして異次元獣スペクター。マザラス星人に操られる怪獣で、鏡の世界と現実界どちらでも暴れ回る。
 幻想的雰囲気満載の話で、カオル中心の最後の話となっている。これも退場前のサービスだろうか?母親を求めるカオリがとても健気だ。ホラーと言うよりは幻想的、ファンタジックな作品。と言うのが正しいだろう。雰囲気がとても良い。後年の実相寺昭雄作品みたい。
 映像的にも鏡や水など光を反射するものが多数用いられ、幻想的雰囲気が用いられているが、一方、ゲンの見ている光景は荒涼とした砂浜だらけ。そのギャップの描写も面白い。般若の面をしたマザラス星人が水をのぞき込むと水がまっ赤に変わってしまうと言った小技も映える。
 鏡の世界が舞台であると言う事で「ミラーマン」との関連も考えられるが、物語的に共通項は無い。むしろ鏡の世界は悪の世界として捉えられている。
<カオルが鏡の世界に入った事を、諦めきった口調で淡々と語るダン。あんまりこういう姿は見たくなかった。
 ウルトラマントは大きな鏡に変わったが、鏡の世界に置きっぱなしだった。ちゃんと回収したんだろうか?>
VOL.10
<A> <楽>
第38話 決闘!レオ兄弟対ウルトラ兄弟

  監督:東條昭平
  脚本:若槻文三
  特技監督:矢島信男
 地球では平和な日が続き、MACもややのんびりムード。そんな時、ウルトラの星をコントロールするウルトラキーが盗まれてしまった。地球への衝突コースを辿るウルトラの星の接近を受け、地球各地では異変が起き始める。だがそのウルトラキーを盗んだのは、なんとレオの弟アストラだった…
 敵はとりあえずは不明。ババルウという名前だけは出てくるが、その姿はアストラだった。
 第3部の終了となる前後編の前編。ウルトラ兄弟とレオ兄弟の戦いが描かれ、ウルトラマン同士の戦いという前代未聞の話が展開する。
 ショックを受けたゲンは、ダンの事を「隊長」ではなく「セブン」と呼んでいた。ゲンの意識では対等な関係となってきてるのだろうか。
 初めてのウルトラの星の描写が描かれ、ウルトラ兄弟総出演…と言ってもそこにいる兄弟にはセブンとタロウがいない。セブンとタロウは二人とも地球にいると言う事か。ウルトラキーを盗んだアストラと、そのアストラを救うために他の兄弟達と戦うレオ。何とウルトラマンはアストラを「殺す」とまで言っている。そしてレオも本気を出して兄弟達と戦う。騙されたとは言え、最も哀しい戦いが始まったということになる。
 セブンの回想シーンだが、デモスという小惑星がウルトラの星に衝突しそうになったという話が描かれていた。何の説明もないけど、これはエンペラ星人との戦いだろうか?
<ウルトラ兄弟の声は全員変わってる。特にエースの声の改変は…いや、この方が良いか。
 ウルトラの星に燦然と輝くウルトラタワー。だけど、いかにもちゃちっぽいのはご愛敬か。>
第39話 レオ兄弟ウルトラ兄弟勝利の時

  監督:東條昭平
  脚本:田口成光
  特技監督:矢島信男
 ウルトラ兄弟の必殺技を受けて倒れるレオ。そしてアストラはウルトラキーを武器として用い、ウルトラ兄弟を殺そうとする。その時現れたのは、伝説のウルトラマンキング。彼はアストラがババルウ星人であることを暴くが、同時にウルトラキーを破壊してしまう。
 敵は暗黒星人ババルウ星人。アストラに化けてウルトラ兄弟を騙し、ウルトラの星と地球を激突させようともくろんだ。肝心なアストラ自身はババルウ星人に氷付けにされて暗黒星雲に閉じこめられていたが、レオによって救い出され、レオと共にウルトラキーを再生。最終的にレオと共にウルトラ兄弟へと認められる。最後にウルトラの父とウルトラの母もちらりと登場。
 前後編の後編。地球とウルトラの星の激突回避が描かれる話で、作品中おそらく最も派手な話と言える。実際これが最終回と言っても納得出来る出来。
 アストラと思われたのは実はババルウ星人であり、その正体を暴き、ウルトラキーを壊してウルトラ兄弟を救ったりと、今回はキングが大活躍の話となっている。ただウルトラキーを破壊したのはどう見てもやりすぎ。
<ここまで近くにいながらセブンを元に戻してやらないウルトラ兄弟やキングに、どこか悪意さえも感じるのだが、気のせいだろうか?平成版では恒点観測員としての任務を放棄したから。とあるが、ここでもそうだと言えなくもない。
 瀕死の重傷を負い絶対安静状態のゲンは何故か制服を着たまま寝かされていた。周り中気が利かない人ばかりだ。
 そう言えばウルトラの星はこれまで「光の星」と呼ばれていたはずだが、真っ黒になって煙を吐いてる今回の姿を観る限り死の星に見える。
 海獣を倒す力は無いが、星を破壊するほどの威力の爆弾を開発する人間の科学力はどこかが歪んでいる。>
第40話 MAC全滅!円盤は生物だった!

  監督:深沢清澄
  脚本:田口成光
  特技監督:大木 淳
 MACステーションでは松木隊員の誕生パーティが開かれていた。だが、その乾杯が行われている矢先ステーションに未確認飛行物体が接近。その物体はステーションを包み込んで破壊してしまうのだった。脱出しようとした隊員達も次々に倒され、ゲン一人が脱出。しかもその円盤シルバーブルーメは今度は地球を襲い、スポーツセンターの人々を殺してしまうのだった。残されたゲンとトオルは美山家に下宿することになるが…
 敵は円盤生物シルバーブルーメ。MACステーションを破壊し、地上で百合たちを襲う。エネルギーを使い果たすと小さく縮んでしまう。
 前回でウルトラ兄弟の末席となったレオ。その喜びも束の間、突如最大の悲劇が襲う。これまでのシリーズでも一般人、しかも主人公の親しい人が死ぬ事はあったが、ここまで徹底して、しかも小さな子供まで殺すのは前代未聞であり、とんでもない話が展開する。
 人の死に絶叫が用いられる事が多く、ここでも確かにそれはあるが、カオルや百合が死ぬ際、おしゃべり人形が可愛い声で喋ってるのは大変シュール。これがモンタージュ技法という奴だ。しかも生きている淡い期待が、死傷者発表ではっきりと死んだ事が告げられる。この前半の描写はシリーズ屈指の出来を誇るだろう。
 ただ、後半になり、ゲンとトオルが美山家に下宿する事になると、話は一転して明るくなってしまう。そのギャップも凄い。更に小さくなったシルバーブルーメが巨大化するって話もあり、内容が詰まりすぎて一話にまとめるには無理があった話と思われる。よくここまでまとめたとは思うのだが。
 一方円盤生物であるシルバーブルーメも、これまで出てきたどんな怪獣にも似ていない得体の知れない存在で、大変不気味さがある。以降円盤生物の大半は人間型とは異なる怪獣となっていく。
 ダン亡き後、ゲンは怪獣と戦う時にも、町の人の避難を最優先しているのが特徴。随分成長したものだ。
<MACステーションはシルバーブルーメの接近を探知出来なかった。これは前回のウルトラの星接近で通信網がボロボロになったのだろうか?
 巨大化したシルバーブルーメを見て「町を襲った円盤とそっくり」と言うトオル。とてもそうは見えないんだが。
 シルバーブルーメを倒す前にその口(?)からマッキーを引きずり出すレオ。溶けちゃってるから中身は当然隊員は死んでるはずだけど、あの小さくなった状態でどうやって収納されてたんだろう?>
VOL.11
<A> <楽>
第41話 悪魔の惑星から円盤生物が来た!

  監督:深沢清澄
  脚本:田口成光
  特技監督:大木 淳
 円盤博士と言われるクラスメイトの大場少年に誘われ、円盤探しをしているトオルとあゆみ。そんな彼らの前に本当に円盤が現れ、大場少年は鏡を使って交信を試みる。だがそれは実は円盤生物であり、町を破壊し始めるのだった。
 敵は円盤生物ブラックドーム。円盤形からカニのような手足が生える。口から泡状の溶解液を吐いたりと、本当にグロな怪獣。
 子供のちょっとした好奇心でシャレにならない事態を引き起こしてしまった。というお話。ちょっと円盤を呼んでみようと思ったら、怪獣を呼んでしまって、町の人が次々に殺されてしまった。両親は大怪我で済んだとは言え、シャレにならない。
 MACが全滅した事で宇宙から来る脅威に対抗出来なくなったのかも知れない。
 いずみの先輩高田が美人だったのを知って鼻の下を伸ばしたり、トオルとあゆみをドライブに連れて行こうとしたりと、今回のゲンは妙に明るい感じ。無理に明るくしているのかも知れないけど。
 設定面で言えば、ブラック指令は円盤生物を支配しているが、それはあくまで水晶玉を通して指令を与えるだけという関係らしい。ちょっとのトラブルでブラック指令を無視するブラックドームの姿がある。
<大場少年は円盤を探すのを趣味にしていたというが、これまでの経緯で宇宙から来るのは地球侵略にやってきた宇宙人だという教訓が活かされていないらしい。当時は円盤ブームだったらしいし。「あの円盤があんなことするとは思わなかった」というのはちょっと軽すぎるかも。
 あゆみの言いたい事をずばずば言う性格は母親譲りか父親譲りかでちょっとした口論。咲子は「お父さん似」と言ってたけど、ほぼ間違いなくお母さん似だと思われる。
 いずみの学校の教授は「2000年前のハスの種が生きていた事例もある」とか言ってたけど、これ「ウルトラQ」か?
 いずみの研究室の教授が妙に格好良い。「避難してください」と突然言ってくるゲンに素直に従ったり、大場少年を助けて。というトオルと共に危険を顧みずに現場に突入したり。
 両親を重傷に逢わせる事で、円盤好きから一転円盤を憎むようになってしまった大場少年。子供の夢を壊すような話だな。>
第42話 レオが危ない!暗殺者は円盤生物!

  監督:前田 勲
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:吉村善之
 ブラック司令により呼ばれた新たなる円盤生物アブソーバ。その夜は何事もなく済み、ゲンとトオルは翌朝調査を始めるのだが、そこでいじめられている秀行という少年と出会うのだった。動物が大好きな秀行はなんと円盤生物と知りつつアブソーバを匿っていた。
 敵は円盤生物アブソーバ。円盤生物三番手。大きな傘の下からいくるもの触手が生えた姿で、一見クラゲのような姿をしている。地球にやってきたが小型化したところを動物好きの秀行少年によって保護されるのだが、巨大化して町を襲う。
 MACがもうおらず、侵略者と戦うのはもはやゲンの個人的活動となっているが、何故か円盤生物はゲンのいるところを狙って降りてくる傾向がある。
 今回の円盤生物は心優しい少年によって保護されており、その少年の心を大切にしたいゲンには手出しが出来ない。円盤生物であっても生きものを大切にする少年の登場が特徴的だが、同じ生物だから共生する。と言うのではなく、単にお人好しが騙されていた事になっているのが特徴。結果として円盤生物は悪でしかなく、フォローもされていない。まるで生きもの不審を煽るかのような話になってしまい、ちょっとやるせない。
 MACがいないだけにアブソーバの迎撃は防衛隊が当たっているが、ウルトラシリーズでは珍しい戦車隊が登場している。
 家族を殺した円盤生物に敵意を剥き出しにするトオル。無理もないのだが、それが秀行少年と見事な対比になっている。
<アブソーバは秀行の小屋を中心として活動している事を推測するゲン。しかし一日出ただけでそれが分かるとは思えないんだけど。>
第43話 挑戦!吸血円盤の恐怖

  監督:前田 勲
  脚本:若槻文三
  特技監督:吉村善之
 ブラック司令はレオを倒すべく円盤生物デモスを呼び寄せる。デモスは人間を操り、更に分身までも使いレオの正体がゲンであることを突き止めようとする。周囲の不穏な空気に、これが挑戦であると感じたゲンは、周囲に迷惑をかけないように、一人黙って美山家を出るのだった。
 敵は円盤生物デモス。蜘蛛のような姿をした円盤生物で、小型化して人間の血を吸い、分身も使って情報を集めてレオの正体を突き止める。最終的に分身と合体して巨大化。溶解液を吐く。
 これまで意外な事に円盤生物はレオを倒そうとして地球に来た訳ではなかったのだが、3体も倒されてようやく本腰入れてレオを倒しに来たらしい。
 今回はMAC無き後の日本の状況がいくつか分かった話になっている。まずMATの生き残りであるゲンは警察もそれを認識しており、その助力を仰いでいる事。科学捜査研究所なるものが、少なくとも怪奇事件の分析のために存在している事。
 ゲン自身の存在が周囲に迷惑を及ぼしているという初期の頃の話に似ている。話がミステリー調で展開することもあってか、特撮部分は極力抑えられ、ゲンやゲンを取り巻く人々の描写に力を入れている事が分かる。
 ゲンも自分の存在が周りに迷惑をかけている事を知って町を出てしまうのだが、これもMACという後ろ盾が無くなってしまった事の弊害だろう。頼るべき存在が何一つ無い孤独な戦いを強いられているのが分かるが、ここまでの孤独はシリーズでも唯一。
<バランス良くまとめられてツッコミ所がほとんど無いのだが、ラストシーンでトオルの元に帰ってくるゲンの姿は、この後の展開を考えると痛々しすぎるというか…>
第44話 地獄から来た流れ星!

  監督:外山 徹
  脚本:田口成光
  特技監督:矢島信男
 トオルは父親不在を馬鹿にした中森少年と喧嘩し、父親からもらった時計を壊してしまう。さらに翌日トオルが目撃したという謎の物体を巡って再び二人は喧嘩してしまうのだった。
 敵は円盤生物ブラックガロン。二足歩行するカエルのような姿の円盤生物で、長く伸びる舌と両手から出す火花を使って攻撃する。円盤生物では初の着ぐるみとなる。
 父親不在のトオルがその事で馬鹿にされてキレるという話で、確かに両親のいない子供に対して親自慢をする少年の無神経さは確かに責められるべきだが、それに対しすぐに暴力を持ち出すトオルの方も問題があり。更に子供の喧嘩に親(ゲンもだが)が出るのも大人げない感じ。これが当時の世相って奴だろう。
 一方ではその子供の喧嘩に親バカ全開でつきあう親もいる。困ったものだが、そんな人間もやはり助けねばならないと気付くゲンの姿もあり。それがヒーローの使命だ。
<円盤生物に襲われて大怪我をしたトオルは翌日には元気に学校に行ってる。タフさにかけてはウルトラマン並だな。
 隕石を見つけてやってきたゲンを見た中森少年は「ちっ。大人まで持ち出して」と言った後、「パパに言いつけてやる」…なかなか素敵な事を言う少年だ。
 その後父親の中森は小さくなった円盤生物を指して「私をなんだと思ってる?」と言った後で「これは多分隕石だ」…なんだ「多分」って?
 その隕石が円盤生物である事を推測するゲンだが、あくまでそれは推測だけ。超感覚で見抜くとか言うものじゃなかった。レオはそう言う感覚に疎いのかな?>
VOL.12
<A> <楽>
第45話 まぼろしの少女

  監督:外山 徹
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:矢島信男
 地球人が円盤生物に気付き調査隊を派遣しようとしていた事に気付いたブラック司令は調査隊を抹殺するために第6の円盤生物ブリザードを呼ぶ。ブリザードは少女に化け、調査に携わった科学者を次々に殺していく。
 敵は円盤生物ブリザード。円盤形態とイカのような戦闘形態に変形する。戦闘形態は表と裏が同じデザイン。片側から零下100度の凍結ガスを、片側から1000度以上の炎を吐く。眉子という少女を使って科学者を次々と殺していく。
 今回もトオルが中心になった話で、殺されてしまったカオルを思い出させる少女眉子との交流が描かれていく。子供に対しては警戒心を持たないという事を利用し、眉子という少女を使っての攻撃が描かれていくのだが、ほんの少しだけ眉子はトオルに心を開いたような描写もあり。
 ところでこの眉子、ブリザードの化身ではなくブリザードの力を受けた別個体と思われる。実際ブリザードと共にいる事が見えるし、どこかトオルに危機を伝えようとしているような仕草もしてる。実際は彼女の持つフランス人形こそが本当の化身だったのかも。ブリザードが破壊される際、最後に顔が出てくるのがなかなか芸細か。
 MAC無き後、円盤生物を特定する事が出来なかった地球防衛隊も、ようやくこの一連の怪獣騒動が一貫性のある事を突き止めた。しかし、だからといって対策はなく、更に科学者が次々に殺されていく。やりきれない話だ。
 戦いの描写も冷凍ガスによってレオが凍らされたりと言った描写がなかな映えていた。
<異変が起こったら、夜中だろうとすぐに飛び出すのはMAC時代からの訓練の賜物だろうけど、トオルまで連れて行く必要があるのやら。
 円盤生物に狙われている博士の家に行ったゲンは、警備中の警官から顔パスで家に入る。元MACであることは知られているんだろうけど、なんでこれで民間で戦っているのだろう?>
第46話 戦うレオ兄弟!円盤生物の最後!

  監督:東條昭平
  脚本:田口成光
  特技監督:大木 淳
 ブラック指令は7番目の円盤生物ハングラーを呼び出す。その頃地球ではトオルの友達である純次と兄のトラック運転手純平が夜に怪獣に襲われる。だが警察は証拠がないとして純平の運転ミスと断定してしまう。純平は職も失い、自暴自棄になっていく。
 敵は円盤生物ハングラー。チョウチンアンコウのような姿で、犠牲者を口の中に誘い込む。間延びした顔に似合わず大変な強さで、レオを全く問題にしなかったが、アストラにあっけなく倒されてしまう。
 一種の冤罪事件が描かれる話。たった一回の、しかも自分には関係のない事故で全ての人にそっぽを向かれてしまう。大変痛々しい話。
 同時に本作の主題は兄弟愛。嘘をつくことを嫌う男が「嘘つき」と言われ、世に拗ねるのに、弟だけは必死に信じようとする姿が描かれる。ゲン自身も言っていたが、それはかつてのダンと自分の関係に照らし合わされている、又久々にレオの実弟アストラも登場。兄弟がたくさん出た話となった。30分だけにドラマ部分はやや駆け足っぽいけど見所は多い。
 そのアストラは今回が最後の登場となるのだが、強さを印象づけた。身体を小さくさせてハングラーの口に飛び込み、内部から破壊。
 「汝の敵を愛せ」とか聖書の話が出てくるから美山家はクリスチャンっぽい。そういえば出会った時もロザリオ持ってたな。
<鉄棒が出来ず笑いものにされる純次をみんなと一緒に笑うトオル。これは人付き合いなんだろうか?その後で優しい言葉をかけるのが妙に偽善的に思えてしまう。
 たった一階の事故で解雇されてしまう純平。当時は保険の問題とか無かったはずはないけど。それに純平が世を拗ねる姿はちょっと単純すぎる。話の都合上仕方ないか。
 ハングラーと遭遇したゲンはレオに変身することなく、アドバルーンを使って攻撃しようとする。純次が近くにいたからか?それでもこれまでは平気で変身してなかった?
 今回のレオの登場シーンはなんと頭から真っ逆さまに落下してハングラーに頭突きを食らわせるというものすごいもの。首がいっちゃうよ。>
第47話 悪魔の星くずを集める少女

  監督:東條昭平
  脚本:若槻文三
  特技監督:大木 淳

 ブラック指令に呼ばれ地球に飛来した円盤生物ブラックテリナは無数の美しい貝が吐き出されて地上に落ちる。その貝テリナQを身につけた人間はブラック指令の命令に従うようになってしまう。桜貝を集めると幸せになれると信じる少女マリ子は、みんなの幸せを祈って拾った桜貝をみんなに配るのだが…
 敵は円盤生物ブラックテリナ。巨大な貝に足をつけたような姿をした円盤生物で、桜貝に似た指令装置テリナQを地上にばらまく。テリナQにゲンを襲わせて右目に怪我を負わせた後に本体が出現。形状故に肉体的な攻撃はあまり得意としていないようだ。
 少女の思いを利用して悪に染めてしまうと言う、非常にやるせない物語が展開。人の良心を利用する円盤生物も、前と較べて闇雲に攻撃するのではなく、心理攻撃へと切り替えたように思える。
 テリナQが目に張り付いて血を流す漁師や血だらけの包丁を握りしめて道ばたに倒れる主婦など、ホラーシーンも満載。凝った画面構成と共に、強烈な印象を残す。ゲンもテリナQに襲われて右目を傷つけてしまうが、顔の半分を血だらけにしてしまい、かなり痛々しい。ゲンを襲う人々も「アヒャヒャヒャヒャ」とか笑いながらで、狂気に彩られたシーンがやたらと多い。ブラックテリナとの戦いも甲羅を引っぺがして中身をぶん殴り、青い血を流させるなど、これもホラー要素が強い。
 ブラックテリナに勝ったレオは疲れ切ってしまって一旦膝を落としてしまう。連戦の疲れが出てきたのかな?
<ビルの上からゲンにブロックを落とす女性がいたが、ブロックは空中で風に巻かれて空中分解してしまう。えらい軽いブロックだ。
 テリナQを付けて鬼のような形相になったあゆみを見たマリ子は「まあ綺麗」と貝だけを見て言ってる。この子の感性って凄いな。
 今回の円盤生物ブラックテリナは人間型をしてないだけでなく、大きさもレオの1/3位しかない。こういう怪獣は珍しいが、戦うレオの中の人はさぞかし大変だっただろう。>

第48話 大怪鳥円盤日本列島を襲う!

  監督:山本正孝
  脚本:若槻文三
  特技監督:吉村善之

 円盤生物サタンモアが地球に飛来。防衛軍のミサイル攻撃もものともせず、東京にある超高層ビルを襲撃する。一方、ゲンは3年前に喧嘩別れした親友の宏と再会していた。かつてゲンと宏はスポーツマンシップに則った親友だったが、カメラマンになるために恋人の厚子を捨てたという過去を持っていた。サタンモアに襲われ、倒壊しそうになるビルの下、ゲンと宏は厚子の息子を救えるのか?
 敵は円盤生物サタンモア。鳥のような姿をした円盤生物で、東京のビルに飛来し、内蔵の小型怪鳥円盤を用いて人々を襲う。倒れそうになったビルを支えるレオを後ろから攻撃する。
 ゲンの過去の話が描かれる。ゲンと宏、厚子という三人の親友が3年の間にどれだけ変わったか。青春群像劇のような話に仕上がった。ただ、ゲンはL77星が壊れてから一月後にはダンと出会っているわけで、この物語はMACに入っていた時代の話でないとおかしいが、劇中では既に3年経ってるって事だろうか?ゲンが自分がレオであることを明かしたのもダンを除けば宏に対してのみだった。結局宏は死んでしまうため、やっぱり誰もレオの正体を知らない訳だが。
 ブラック指令がゲンの後ろから近づき、片目だけ見せて不気味に笑っているのも印象深かった。
 クレイアニメーションや防衛軍のミサイル描写とか見所は多いのだが、予算の都合か、大変安普請になってしまったのがきつい。サタンモアや円盤怪鳥なんて全然動いてないよ。見所に対して予算配分が難しかったんだろうな。
 物語自体は決して悪くないのだが、妙につっこみどころの多い話でもある。
<厚子は息子の正夫をゲンに合わせるが、これが全然動いてない。顔が見えてないのだが、まるで固まりみたい…本物の子供を使うわけにはいかなかったのかな?
 ゲンは3年前から地球に来ていた事をアピール。番組開始時には1月だったので、それだけの時が経ったのか…単にスタッフの間違いのように思えるけど。
 息子の正夫にゲンを「おじちゃん」と紹介する厚子。ゲンはさりげなく「お兄ちゃんだよ」とフォロー。いやあ、これって経験あるなあ。
 サタンモア飛来に際し、一人だけバイクで逃げようとする宏をぶん殴るゲン。実際は誤解なのだが、怪獣がやってきてる中でよく喧嘩なんかしてられるな。
 ビルが倒壊すると地下街が大変な目に遭う。とナレーションが入る。しかしそれ以前にレオがその辺踏みつぶしてるのは大丈夫なんだろうか? 厚子はビルの中で観葉植物に押しつぶされていたが、最後に出てきた時は服に汚れが全く付いてない。>

VOL.13
<A> <楽>
第49話 死を呼ぶ赤い暗殺者

  監督:山本正孝
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:吉村善之

 授業参観にゲンが来られないことが分かりトオルは拗ねてしまった。家族を失い寂しい思いをしているトオルの心の隙間に円盤生物ノーバが忍び寄る。家族に会わせるというノーバの言葉を信じ、人間を凶暴にする猛毒ガスを吐き散らすノーバと行動を共にするトオル…
 敵は円盤生物ノーバ。真っ赤なてるてる坊主のような姿が特徴的な円盤生物。家族を失い、寂しい思いをしているトオルの心の隙間を狙いトオルにとりついてしまう。巨大化すると右手の鞭を使って攻撃するほか、猛毒ガスを含む真っ赤な雨を降らせてレオの力をそいだ。ただ、てるてる坊主をベースにしてるだけあってノーバは間の抜けた顔してる。
 シリーズを通してゲンの相棒のような存在のトオルが中心となった話となる。かつて両親と妹を喪い、それでも気丈に振る舞っているのだが、その実はかなり寂しがっている事がよく分かる。この話自体が精神的なものなのだが、丁度こういった心の問題が徐々に物語の主題になりつつある時代だったのかも知れない。かなり現代的センスにあふれている。こどもの暴力性も描かれていた。そのトオルの精神的危機を救ったのは美山家の面々で、咲子はトオルを「私の子供」と受け止めている。
 一方、そのトオルの精神的危機を起こしたのは、事件が起こったら迷うことなく現場に向かったゲンで、5話の「泣くな! おまえは男の子」と基本的に同じ物語展開。ただゲンのこの態度は、責任感にあふれたもの。MACが無くなってヒーローとしての自覚が起こったものと思われる。
 最終回前だからか、今回の特撮は結構力入ってる。防衛軍の戦闘機や戦車が登場。相変わらずあっけなく落とされてしまうのだが、たっぷり時間をかけてノーバとの戦いが描かれている。又ノーバとの戦いは画面全体が真っ赤。レオの姿自体が元々赤いし、ノーバも赤いので画面が本当に赤だらけ。すごい描写。
<ノーバの飛行形態はまさにタコそのもの。一応円盤形をしてるんだけど、なんか笑ってしまう。
 それにしてもトオルの精神的危機はかなり凄いもの。「自画像」と称して赤いてるてる坊主を書いてみたり、「首をちょん切るぞ」と歌ってみたり、てるてる坊主の首をはさみで落とそうとしたり。狂気演出はなかなかきてる。
 咲子はトオルの授業参観にもちゃんと行くと言っていたが、確かあゆみとトオルって同じクラスじゃなかったか?>

第50話 レオの命よ!キングの奇跡!

  監督:山際永三
  脚本:石堂淑朗
  特技監督:矢島信男

 ブラックスターから新たなる円盤生物が来ないため苛つくブラック指令。そんな時ひょいと円盤生物が送られてきた。人間の姿をしたその円盤生物ブニョは見るからに頼りなく、ブラック指令は全然期待してなかったのだが、「力はないが知恵はある」とうそぶくブニョは次々に罠を仕掛け、ゲンを陥れようとする。何度目かの罠に、ついにレオを捕らえることに成功する。
 敵は円盤生物ブニョ。唯一の人間形態を持つ円盤生物で、常ににたにた笑い、ブラック指令からも全然信用されていないが、「力はないが知恵はある」と言うとおり何度もゲンに罠を仕掛け、ついにはゲンを捕まえ、身体をバラバラにしてしまう。地球の重力に慣れてないため、巨大化したのは良いがほとんど自壊してしまう。最後にレオキックを受けて溶けてしまった。
 ラス前に、突然前半部分は妙な脱力系の話が展開。全然頼りなさそうなブニョ(役は蟹江敬三)がとぼけた罠を仕掛け続ける。しかし、後半になると一転。これまでにないレオの最大の危機が訪れることになる。なんとレオがバラバラにされてしまうと言うスプラッターな話となる。あのとぼけたブニョにさんざんいたぶられるレオの姿が哀れ。しかも生きたままのこぎり挽き…やりすぎじゃないか?
 いずみが、実は地球侵略に来たのは円盤生物ではなくレオではないか?という疑問を提言。円盤生物はレオを特定して狙っているためにもっともな話ではあるが、ここに来てこれを言うのは遅かったような…しかし、この提言はウルトラシリーズに共通する大疑問ではある。あるいは脚本の石堂氏が、シリーズ最後と言うことで一言言っておきたかったのかも知れない。
 そしてウルトラキングが再登場。もはや何でもありのキャラで、簡単にバラバラになったレオを復活させてしまう。
 今回は蟹江敬三の怪演で全てが終わってしまった感じ。「ウルトラマンA」16話の「怪談・牛神男」に続いての客演だが、キャラ立ちがすばらしい。重力に慣れてなかったと言うだけあって、最初はグニャグニャと身体を揺らして登場してる。
<今回はブニョに合わせてか、妙にとぼけた演出が多いブラック指令だが、ゲンがレオであることに気づいてなかった。あれ?前にゲンのことを見破ってたはずじゃなかった?それに折角捕まえたのに、レオの処置をブニョに任せ、自分は笑ってるだけだった。もうちょっと動こうよ。
 零下100度で凍らせられるレオ。生身で絶対零度の宇宙を飛べるレオにはそんなに寒くないのでは?
 レオの涙に現れるウルトラマンキング。こんな面倒な登場の仕方しないでもっと早く出てくればいいのに。>

第51話 さようならレオ!太陽への出発

  監督:山際永三
  脚本:田口成光
  特技監督:矢島信男
 ブラックスターから最強の円盤生物ブラックエンドが飛来した。レオの名を呼びながら町を破壊するブラックエンドにいずみはブラックスターの目的は地球なのではなくレオなのではないかと疑問を呈し、トオルはレオに依存しっぱなし。これで良いのか?と思い悩むゲン…
 敵は円盤生物ブラックエンド。最強の円盤生物で地底に潜って地震や陥没を起こしていた。尻尾や全身のトゲで攻撃するが、迷いを振り切ったレオの強さの前にあっけなく敗退してしまう。そしてブラックスター。全ての円盤生物が破壊された後でレオに向かって突入してくるがシューティングスターで落とされた。
 最終回。これにてウルトラマンシリーズはひとまずの終了を迎える。レオを信じる人がいる限り地球に残る。と前回で言ったばかりだが、逆にレオがいる事で人間が戦いを放棄してしまう可能性も提示している。だからこそひとまずの平和を確認したレオは戦いを止める。かなり陽性ではあるが、最後は「ウルトラマン」同様人間の可能性を信じてレオが地球を去っていくという構成になっている。シリーズ最終話としては充分な出来だろう。
 第1話以来セブンが登場。ゲンの夢なので、これが本当かどうかは分からないのだが、少なくともレオの決意を促すためには大切な出会いであった。「今沈む夕陽は私だ。そして明日昇る朝日はお前だ」という言葉は、希望と決意を促している。
 前回同様ブラック司令はオーバーアクションを見せている。だんだん個性が出てきたな。
 そして「最強」と言われるブラックエンドさえも最早レオの敵ではなかった。最早レオは最初の頃のような未熟な戦士ではない事を端的に表した事実だろう。そしてこれまでのレオの戦いは、人間にレオの依存心を植え付けるだけでなく、自分の力で戦う力をも付けていた。そこがここでは重要な事実だ。
 最後正体を明かしたレオは美山家を去るが、地球からは離れていない。これはL77星を滅ぼされたレオにとって地球こそが故郷であることの証なのかも知れない。
 最後だけあって特撮もかなりの水準。町の破壊も存分にやってるし、火薬や石油の使用量もかなり多い。バンクシーン使用も最終回っぽくて良い。