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アダム・マッケイ
Adam McKay

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書籍

_(書籍)

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2019
2018 バイス 監督・製作・脚本
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2004 俺たちニュースキャスター 監督・脚本
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1972
1971
1970
1969
1968 4'17 ペンシルヴェニア州フィラデルフィアで誕生

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バイス
2018米アカデミーメイクアップ&ヘアスタイリング賞、作品賞、主演男優賞(ベイル)、助演男優賞(ロックウェル)、助演女優賞(アダムス)、監督賞、脚本賞、編集賞
2018英アカデミー編集賞、
主演男優賞(ベイル)、助演男優賞(ロックウェル)、助演女優賞(アダムス)、監督賞、脚本賞、メイクアップ&ヘア賞
2018ゴールデン・グローブ男優賞(ベイル)、
作品賞、助演男優賞(ロックウェル)、助演女優賞(アダムス)、監督賞、脚本賞
2018
ゴールデン・ラズベリーラジー・リディーマー賞(ペリー)
2018放送映画批評家協会主演男優賞(ベイル)、ヘア&メイクアップ賞、コメディ映画男優賞(ベイル)、
作品賞、助演女優賞(アダムス)、アンサンブル演技賞、監督賞、脚本賞、編集賞
<A> <楽>
ブラッド・ピット
デデ・ガードナー
ジェレミー・クライナー
ミーガン・エリソン
ケヴィン・メシック
ウィル・フェレル
アダム・マッケイ
チェルシー・バーナード
ジリアン・ロングネッカー
ロビン・ホーリー
ジェフ・ワックスマン(製)
アダム・マッケイ(脚)
クリスチャン・ベイル
エイミー・アダムス
スティーヴ・カレル
サム・ロックウェル
タイラー・ペリー
アリソン・ピル
ジェシー・プレモンス
★★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 ワイオミングで育ち、イェール大学に入学したものの、アルコールと喧嘩に明け暮れて放校処分を受けてしまったディック・チェイニー(ベイル)。付き合っていたリン(アダムス)が結婚の条件としての叱責もあって、政治の世界に足を踏み入れる。そこで意外な才覚を発揮して大学中退ながらとんとん拍子に出世していく。特にフォード大統領の元で国防長官となったラムズフェルド(カレル)の下に付いたことで、国防に冠する重要機密に関わるようになっていき、やがて自らも議員として立つことを考えるようになっていく。
 アメリカ史上最悪の副大統領とも言われたディック・チェイニーの伝記映画。これは悪い意味ではなく、決断能力が極めて低い当時の大統領の代わりとなって政策を次々に出したということからで、「アメリカ初の首相」ともいわれている。
 ブッシュのサポートと言うことで、筋金入りのタカ派だが、私が知っていたのはそこまで。本作を観ることでいろんな事が脳内でつながっていった。
 ブッシュ大統領と言えば、任期中に911の連続爆破テロがあって、それを断固対処したために有名となり、それなりに評価されているが、果たしてその対応が本当に正しかったのか?映画ではマイケル・ムーアの『華氏911』(2004)とオリヴァー・ストーンの『ブッシュ』(2008)で語られているが、どちらも基本的にブッシュはあまり深く考えずに決断を下すタイプとして描かれていく。ただこの2作を観る限り、決断力だけはある人物として描かれていくのだが、本作を観て、その唯一の評価される部分である「決断」さえも実は他の人物によって誘導されたもののように思えてくる。なるほどこれが首相の役割なんだな。

 作品そのものについて言うならば、本作は典型的な伝記の形態を取ってはいる。特にそれなりの地位を得た有名人が主人公はパターンとして、ルサンチマンを胸に抱きつつ、人より抜きん出た才能でのし上がっていくというパターン。劇中頂点にまで上り詰めたところで今度はどん底にたたき込まれるというのが通常のパターン。多くの伝記作品はこれに則ってるし、2018年はそのパターンで『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)が大ヒットしてもいる。
 チェイニーの場合は政治家なので、普通の意味での才能はないが、上手いこと出世コースに乗ったラムズフェルドの秘書となったことによって一気にのし上がり、一度雌伏の期間を経てブッシュに拾われるというコースを取る事になる。
 才能と言うよりは事務能力。更に運と過激な主張で出世コースに乗るわけだが、その辺は別段嫌味を入れることもなく、冷静かつ公平にきちんと描いている。

 その冷静な描写の上に立って、しっかりと政治的主張を発信してるのが本作のユニークさである。
 そもそも監督のマッケイはどぎついコメディ作品を作って有名になった人物である。そんな監督が一筋縄の作品を作るはずはない。
 はっきり言って、本作は
かなりの悪意が籠もった作りになってる
 この辺の政治的主張はマイケル・ムーアとも共通するところはあるのだが、ムーア監督はドキュメンタリー作家なのに偏見と感情をぶつけて描いているのに対し、マッケイ監督は
悪意を込めるべき人物を徹底して冷静に描いているのが特徴。同じ主張なのに、映画作りが全く逆というのがとても面白い。だからとても真面目な作りのくせに、どこかコミカルというか、人物を揶揄する部分がいくつも入っていて、コメディ調になってるのが特徴。
 コメディ調と書いたが、正確には違う。これは
純粋なコメディだ。ただ、普通のコメディと異なり、基本的に画面作りそのもので笑わせず皮肉な、人物描写だけで笑わせることを目的にした作品と言うことだ。
 ここに描かれるチェイニーは不遜なところがあっても基本は真面目で、地道に仕事をしているが、会話は一つ一つ綱渡りのようなもので、どこで機を見て取り入るか、あるいは関係を切るかをしっかり観察しているだけでなく、時には人間関係を無視して思い切ったこともやって波に乗る。
 真面目さよりも人心掌握に主眼を置いているのがコメディ的になる。同じようなパターンを用いながら、職務の方に主眼を置いて深刻な話になったイーストウッドの『J・エドガー』(2011)とはとても対照的で、同じような題材をとって、同じような作りなのに、コメディとシリアスでこんなに違った雰囲気で作れることに驚かされる。

 本作で一つだけ残念だったのは、ラスト近くなって「これはコメディですよ」というエクスキューズが付いたことだろうか?なくてもコメディと分かるのだから、いちいち説明されると蛇足という気はしてしまう。
視聴者をもう少し信じてほしいと思うところが少々引っかかった。

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