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リッチ・ムーア
Rich Moore

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鑑賞本数 合計点 平均点
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
書籍
2018 シュガー・ラッシュ:オンライン 監督
2017
2016 ズートピア 共同監督
2015
2014
2013
2012 シュガー・ラッシュ 監督・原案
2011
2010
2009
2008
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シュガー・ラッシュ:オンライン 2018
2018米アカデミー長編アニメ賞
2018
ゴールデン・グローブアニメーション作品賞
<A> <楽>
フィル・ジョンストン(共)
クラーク・スペンサー(製)
フィル・ジョンストン
パメラ・リボン(脚)
ジョン・C・ライリー
サラ・シルヴァーマン
ガル・ガドット
タラジ・P・ヘンソン
アラン・テュディック
ビル・ヘイダー
パメラ・リボン
ジェニファー・ヘイル
ケイト・ヒギンズ
ミンナ・ウェン
ジョディ・ベンソン
ペイジ・オハラ
リンダ・ラーキン
アイリーン・ベダー
アニカ・ノニ・ローズ
マンディ・ムーア
ケリー・マクドナルド
イディナ・メンゼル
クリステン・ベル
アウリイ・クラヴァーリョ
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 平穏が戻ったゲームセンターでは、毎晩店が閉じるとラルフとヴァネロペは一緒に過ごしていた。毎日同じコースを走るだけのヴァネロペがレースに飽きていることを知ったラルフはシュガーラッシュに新しいコースを作ってやるのだが、それが元でアーケードのハンドルが壊れてしまう。メーカーのサポートが終わってしまったため、頼みの綱はネットオークションだった。ハンドルが出品されていることを知った二人は、つながったばかりのwifiを使ってネットの世界に向かう。
 前作『シュガー・ラッシュ』のレビューで書いたとおり、ピクサー型のディズニー映画の完成形と言った感じで、とても安心感を持って観る事が出来た作品だった。
 その続編と言うことで、その延長線のようなものが作られるのではないかと思ってたのだが、予想に反してかなり攻めた感じの作品になってた。
 これを無難にまとめることは難しくない。例えばゲームセンターの経営上の危機とかを問題にする無難な作品にすることも出来たはず。しかしオンラインを舞台にしてプリンセスの自立の問題にするという攻めた姿勢は賞賛に値する。

 前作は嫌われ者の二人が本当の自分を探しに行くという自分探しの話と、それには仲間の大切さが必要であるという友情の話がミックスされた質の高い話が展開していた。その時点でのハッピーエンディングは、二人とも幸せになってめでたしめでたし。
 しかしその幸せとは
「あなたさえいれば他はどうでも良い」という共依存に陥りかねない危ういものだった。だからこそ、ハッピーエンドの内に幕を閉め、その後は描かないのが華なのだが、ここで更に一歩踏み込んだ。

 昼間は仕事して、夜は二人でいる事の幸せを手放したくないラルフと、刺激が足りず、もう一歩踏み出したいヴァネロペ。まるで倦怠期の夫婦みたいな二人を描いてみせた。ハッピーエンドの後、何年も経ってしまうとこういう状態になってしまうのかもしれないと感じさせる。
 実際これを描いただけでも本作は観る価値がある。

 しかしそれはあくまで前提。ここからが本作のユニークさとなる。
 本作では殊更ヴァネロペがプリンセスであることを強調する。
 前作ラストでヴァネロペが実はプリンセスであったことが発覚したが、今回もゲーム「シュガー・ラッシュ」では主人公キャラとして他のキャラを圧倒していた。それに何より本作では歴代のディズニープリンセスからの質問攻めに遭って、プリンセスの資格ありと認められている。
 そんなプリンセスが、ネットの世界で最も殺伐としたレースゲームを前に大興奮。それだけでなくそんなレースに積極的に嬉々として参加して、プレイヤーとして実力を見せつけている。
 そこで彼女は、これこそ本当に自分が求めているフィールドであると確信してしまう。プリンセスにあるまじき行為だが、これが本作でのヴァネロペの立ち位置である。彼女はそもそも通常の意味でのプリンセスに収まるキャラではないのである。

 しかしそうなると、ナイト役であったはずのラルフの立場がなくなってしまう。
 ヴァネロペが大好きだからラルフは彼女のナイトとして努力を冒頭から何度も繰り返している。ゲームセンターでは彼女のために新しいコースを作ったり、ネットの世界でハンドルを競り落とそうと努力したり、金を作るために自らをユーチューバ−として売り込んで見せたり。もちろんヴァネロペの危機には率先して立ち上がって彼女を救う。まさしく涙ぐましい努力で、それこそ騎士の鏡である。

 ところが自立してしまったヴァネロペにとって、ラルフのその愛情とか忠義とかは重くなりすぎた。彼女は安定したいつもの暮らしよりも、何が起こるか分からない刺激を求めていたのだから。

 その結果、プリンセスとナイトの間に大きな齟齬が生じてしまった。そして一度完全に崩れてしまったものをどう再構築するか。
 この二人の関係は、ある意味、これまでのディズニープリンセスの脱構築となっていた訳だ。
 ディズニーは過去一度同じ形の脱構築をはかった映画『プリンセスと魔法のキス』(2009)を投入しているが、もう一度それを問い直したような形となっている。

 これまでの定式にとらわれず、敢えて冒険に出たその姿勢は買う。

 だけど、
それがちゃんと機能していたか?というと少々疑問もある。
 本作のラストシーンはお互いにすれ違った二人が、お互いの立場を認め合うことで終わっているが、その結果、二人は別々の世界で住まねばならなくなる。まさしくポストモダン的な着地の仕方だが、2010年代も終わろうとする今、30年も前のポストモダンを出されても、ちょっと古すぎる感じで、後味の苦さがちょっと上手く機能してなかった感じ。

 ラストシーンはもう一ひねりが欲しかったな。
 例えば、あの場末のゲームセンターは経営者のおじいちゃんの道楽だろうから、お爺ちゃんが引退したらゲームセンターは無くなってしまう。
 しかしゲームのキャラはネットの中で生きられることが証明されたのだから、ヴァネロペは彼らの居場所を作るためにネットの世界に敢えて残ったという意味合いを残せば、だいぶ変わったと思う。
シュガー・ラッシュ 2012
2012米アカデミー長編アカデミー賞
2012ゴールデン・グローブアニメーション作品賞

2012放送映画批評家協会長編アニメ賞
2012
シカゴ映画批評家協会アニメ映画賞

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クラーク・スペンサー
ジョン・ラセター(製)
ジェニファー・リー
フィル・ジョンストン(脚)
ジョン・C・ライリー
サラ・シルヴァーマン
ジャック・マクブレイヤー
ジェーン・リンチ
アラン・テュディック
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 とあるゲームセンター。ここは営業終了後、ゲーム内のキャラクタが配線を通じて交流を持っていた。そんな中、30年に渡って稼働し続けていたゲーム“フィックス・フェリックス”があった。そのゲームの中で主人公フェリックスに退治される役を延々続けてきた悪者キャラ、ラルフは最近鬱気味。そして自分を抜きにゲーム内で30周年記念パーティが行われていることを知ったラルフはついに切れてしまう。売り言葉に買い言葉で、他のゲームからメダルを持ってくると約束してしまったラルフだったが…
 常に新しいテーマ作りを試みを続けているディズニーによる最新作。今回はなんとゲームキャラをモティーフにしたもの。私くらいの世代になると、もはやオールドゲーマーになるが、こういうマニア心をくすぐる設定は大好物だ。ディズニーの作るアニメだからたぶん質も高かろう、と勝手に考えて劇場へと向かった。
 出来については、
予想通り実に良いものだった。上映時間はかなり短めなのだが、ここに過不足無く必要なものを詰め込んでいる。単純な性格に見える主人公の複雑な内面描写、交流を通して芽生える優しい心の課程。仲間達との反発と連携、そして世界の危機に対するトリッキーな解決方法。これらを一つ一つ際だたせつつ描写し、そこにいくつかの伏線を絡ませ、時に「あっ」と言わせる。実際物語だけで言えば、ほぼ完璧と言っても良い作品。しかもそこに心くすぐるゲームキャラを絡ませる事で、それこそ大人から子どもまで、一般からマニアまですべてを楽しませようという姿勢が見て取れる。何というか、観ている間はとにかくハッピーな思いにさせられる作品である。演出においてもゲームの中それぞれに個性があって、時にポップで、時にクラシックで、時にモノトーンで、と、それぞれに合わせた演出がしっかりとれていた。
 私なんぞは80年代から90年代くらいのゲームにどっぷりはまった口なのだが、その時代に登場したキャラもわんさか出てきており、モブシーンとかで懐かしのキャラを見かけるだけでも嬉しくなってきた。
 その意味では、
ほぼ文句の言いようがない作品でもある。


 それでも減点対象となるのは、強いて言えば
その完璧さによるもの。
 物語上の完璧さとはつまり、隙がないと言うこと。そして隙がないというのは、あまりに幅が狭い。
 ピクサーが
『トイ・ストーリー』を作った時、「これは本当に完璧な物語だ」と思わされたものなのだが、その主人公ウッディーは後に完璧にフォーマット化された。即ち、表面上はともかく、その内面にはちょっとした嫌らしさが見え隠れしており、自分の利益を最優先する。周囲のキャラもそんな主人公の性格を知っていくにつれ離れてしまうのだが、ちょっとした出来心で最悪の事態を招いてしまった主人公が改心して、最後はハッピーエンドにもっていく。ちょっとした悪を心に持ち、欲望を最優先してしまうキャラを主人公とするこの流れは、そのまま『バグズ・ライフ』(1998)『カーズ』(2006)と言った物語にそのまま流用されるようになった。
 その洗練された物語が本作であるとも言えるのだが、逆にパターンが見えてしまい、次の展開が大体分かってしまう。いや、観ている間はそんなことも考えずに楽しめるのだが、観終わった途端に「あれ?どこかで観たような?」という疑問が浮かび上がってしまう。それで、
「ああ、ラルフって、結局ウッディ/ホッパー/マックィーンなんだ」と思わされるにいたり、これは全然新しさのない物語なのだと言うことを思わされてしまうわけだ。
 『トイ・ストーリー』から始まった新しいタイプの物語も、使い古されてしまったことがちょっと寂しい印象を受ける。

 あと、個人的に納得がいかないシーンもいくつか。
 最初にラルフ達が一堂に会してグループカウンセリングをするシーンがあるのだが、その悪役の代表のような存在としてストリートファイターIIのザンギエフが出てくる。私がストIIにはまっていた時はほとんどこいつをメインで使用しており、悪役ではなく主人公のように思っていたものなんだけど…まあ個人的な思いなんだが。
 あと、ゲーセンがお休みの夜中に、あんな消費電力が大きい筐体の電源を抜いてないってあり得ないだろ?画面に焼き付けが起こってしまうだろうし、省エネ教育にも良くない…どうでも良いツッコミだけど。

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