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アンドリュー・スタントン
Andrew Stanton

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鑑賞本数 3 合計点 11.5 平均点 3.83
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
書籍
_(書籍)
2016 ファインディング・ドリー 監督・脚本・出演
ひな鳥の冒険 製作総指揮
2015 アーロと少年 製作総指揮
2014
2013

トイ・ストーリー・オブ・テラー!

<A> <楽> 製作総指揮
2012 ジョン・カーター 監督・脚本
2011
2010 トイストーリー3 脚本
2009 カールじいさんの空飛ぶ家 製作総指揮
2008 ウォーリー 監督・原案・脚本
マジシャン・プレスト 製作総指揮
2007 レミーのおいしいレストラン 製作総指揮
2006
2005
2004
2003 ファインディング・ニモ リー・アンクリッチと共同監督・原案・脚本
2002
2001 モンスターズ・インク 製作総指揮・脚本
2000
1999 トイ・ストーリー2 脚本
1998 バグズ・ライフ ジョン・ラセターと共同監督・原案・脚本
1997
1996
1995 トイ・ストーリー 原案・脚本
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
1970
1969
1968
1967
1966
1965 12'3 マサチューセッツ州ボストンで誕生

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ファインディング・ドリー 2016
2016英アカデミー長編アニメ賞

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リンジー・コリンズ
ジョン・ラセター(製)
アンドリュー・スタントン
ヴィクトリア・ストラウス(脚)
エレン・デジェネレス
ヘイデン・ロレンス
アルバート・ブルックス
エド・オニール
ケイトリン・オルソン
タイ・バーレル
イドリス・エルバ
ドミニク・ウェスト
ボブ・ピーターソン
アンドリュー・スタントン
ダイアン・キートン
ユージン・レヴィ
ビル・ヘイダー
シガーニー・ウィーヴァー
ウィレム・デフォー
スローン・マーリー
室井滋
木梨憲武
上川隆也
中村アン
田中雅美
八代亜紀
菊地慶
多田野曜平
赤坂泰彦
小山力也
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 相変わらず仲のいいカクレクマノミの親子マーリンとニモ。そしていつも二人のそばにいるナンヨウハギのドリー。そんなある日、ドリーは自分には両親がいたことを突然思い出す。彼女が覚えていた唯一の手がかり「カリフォルニアモロベイの宝石」という言葉を頼りに両親を捜しに行く決意を固める。嫌々ながらも、愛する息子ニモにせがまれ、彼女につきあうことになったマリーン。冒険の末、ついにモロベイに到着した三匹だが、海から顔を出したドリーが人間に捕まってしまい…
 2003年にピクサーが投入した『ファインディング・ニモ』の直接の続編に当たる話で、あの作品で相棒となった、記憶力に欠落があるドリーを中心とした話となる。
 長く記憶を保っていられないが、突然神懸かりな発送や思いつきをするという、まさしくサバン症候群のようなドリーは、位置づけはトリックスターのような存在の位置づけになる。そのため、本作でも一応主人公とはなっているが、むしろ常識人のマーリンが物語を引っ張っているため、ちゃんと普通視点で観る事が出来るため、安定して楽しめる作品になってる。
 マリーンとドリーの関係のバランはかなり難しかったかと思うのだが、それをクリアしてきちんとした物語にしているあたりは、名人芸の領域。見事なバランス感覚を持った作品とは言える。

 申し分のない作品には違いないのだが、敢えて苦言を言わせてもらいたい。
 ストーリーは申し分なく良質。だが、これがピクサーの作品なの?と言うところに来ると、少々首を傾げたくなってくる。
 『ファインディング・ニモ』に限らないが、かつてのピクサーには一つのパターンがあった。それは
観ている人の心に突き刺さる部分を持っていたと言うこと。単純にストーリーやキャラが良いからだけでなく、作品の中に身につまされる部分があった。
 それを具体的に言うならば、主人公の性格が悪い。という点に尽きるのかも知れない。主人公は基本的に欲望に忠実な自分本位に生きるキャラなのだが、それが誤解されてみんなの為に働かなくてはいけなくなり、矛盾や葛藤に苦しみながら、やがて本物のヒーローとなっていくという課程を楽しむ作品だった。そしてその葛藤がとても理解できるため、身に迫ってくるように作られていたという特徴があった。勿論『ファインディング・ニモ』(2003)にもそれはあった。マーリンの自己中心的な考え方が、楽しくもあり、又身につまされるところでもあり。そしてそれがだんだんと修正されていく過程。その辺を楽しむのが醍醐味だった。
 それが変わったのはおそらく『トイ・ストーリー3』(2010)からか?ピクサーが続編に力を入れ始めたあたりから、葛藤するキャラが消えていった。少なくとも主人公に葛藤させることを放棄し始めた。ストーリーラインそのものは優れたものであったとしても、それがないため、身に迫る部分がなくなってしまった。
 これはとりもなおさずジョン・ラセターという人物がどれだけ力を入れているかどうかの匙加減によってしまうということだろうな。ラセターの監督した『トイ・ストーリー』(1995)からピクサーの快進撃が続き、基本的にピクサー作品の全てにラセターは絡むのだが、ピクサーとディズニーの合併によって、ディズニーの方に力を入れ始めてから、ピクサーは精彩を欠くようになった。
 本作はそれが見事に出ている作品で、高水準にまとまった、魂のない作品と言えようか。質は高くとも、ピクサーらしさは最早抜けてしまってる。質の高さだけで評価すべきかどうか。結構迷い所ではある。
ジョン・カーター 2012

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ジム・モリス
コリン・ウィルソン
リンジー・コリンズ(製)
アンドリュー・スタントン
マーク・アンドリュース
マイケル・シェイボン(脚)
テイラー・キッチュ
リン・コリンズ
サマンサ・モートン
マーク・ストロング
キアラン・ハインズ
ドミニク・ウェスト
ジェームズ・ピュアフォイ
ダリル・サバラ
ポリー・ウォーカー
ブライアン・クランストン
トーマス・ヘイデン・チャーチ
ウィレム・デフォー
★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
火星のプリンセス(書籍)エドガー・ライス・バローズ
ウォーリー 2008
2008米アカデミー長編アニメ賞、脚本賞、作曲賞、歌曲賞、音響賞
2008英アカデミーアニメーション賞、作曲賞、音響賞
2008ゴールデン・グローブアニメーション賞、歌曲賞
2008NY批評家協会アニメーション賞
2008LA批評家協会作品賞
2008ボストン映画批評家協会作品賞
2008放送映画批評家協会長編アニメ賞、
作品賞、歌曲賞
2008AFIトップ10
2008
CDV-Jアニメ3位
2008シカゴ映画批評家協会作品賞、脚本賞、長編アニメ賞、音楽賞
2008スクリーム映画BREAKOUT PERFORMANCE(ウォーリー)
2008
ナショナル・ボード・オブ・レビューアニメ賞、
作品賞
2008ロジャー・エバートベスト
2008
ピーター・トラヴァース第5位
2008スティーヴン・キングベスト3位

2008
エドガー・ライトベスト第10位
2008全米年間興行成績第5位

2008アメリカ製作者組合アニメ部門
2008スクリーム・アワードブレイクスルー賞
2008iTunesダウンロードされた作品第2位
2009サターンアニメ賞、監督賞

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ジョン・ラセター
ピーター・ドクター(製)
アンドリュー・スタントン
ジム・リアドン(脚)
ベン・バート
エリサ・ナイト
ジェフ・ガーリン
フレッド・ウィラード
ジョン・ラッツェンバーガー
キャシー・ナジミー
シガーニー・ウィーヴァー
★★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 地球の汚染は進んだ近未来、人類はついに地球を捨て、遠い外宇宙で巨大宇宙船アクシオムで生活するようになっていた。それから700年。そんな地球で現在も活動しているゴミ処理ロボット、ウォーリー。仲間のロボットが壊れていく中、ほとんど一人で毎日ゴミ処理業務を黙々とこなしていた。そんなある日、アクシオムから定期的に送られてくる環境調査船がウォーリーの前に着陸した。中から現れたのは純白の探査ロボット、イヴ。ずっと独りぼっちだったウォーリーはイヴに心惹かれていく…
 ピクサーが今回扱ったのはSF。しかもディストピアものという。ディストピアというと70年代によく作られ、私もそういう作品は結構好きと言う事もあって、期待せずにはいられない。ってなことで劇場で拝見。
 本作の
出来は素直に感心。元より子供用に作られているはずなのに、細かいネタに70年代のSF映画ネタが散りばめられていて、映画マニアやSFマニアにも楽しめるという凄い間口の広い作品になってた。アニメとはそもそもそういうものだという話もあるが、ここまでみんなに楽しんでもらいたい。という意識に溢れた作品に出会えることは滅多にない。それだけでも充分感心出来る。
 物語も凄く良い。本作の物語性を称するに、本物の“純愛”であろう。あらゆる映画は愛を語ると言われてもいるが、ここまで突き詰めた純愛とは珍しい。
 その意味でここにロボットをもってきたのは慧眼と言うべき。
 ロボットを使う利点とは、考えてみると二つある。
 一つにはセックスが介在していないため、「あなたがここにいることがただ嬉しい」という
原初的な愛が描けること。人間が主人公であれば、そこには行き着くところは男と女の間柄になるので、その関係には自ずと駆け引きが生じてくる。ご褒美として愛が与えられるから、そのため主人公が頑張るという構図になっていくのだが、ロボット同士の場合それはない。ただ一緒にいたい。それ以降の欲望が無いので、ただそのためだけに、どんな無茶なことでも突っ走れる。私にとって永遠のベスト映画『小さな恋のメロディ』が何故好きなのか、というと、やっぱりこれなんだな。と再認識させられた。
 もう一つは、
ロボットだからこそ差別的な描き方が可能と言うこと。ここでのウォーリーは、非常に単純な存在として描かれる。知能程度を言ってもかなり低いだろう。人間を主人公にすると、この描き方は不可能とは言わないまでも、主眼が変わってしまう。これまた好きな映画『I am Sam』のように、主人公の存在そのものを描く作品になってしまう。だけどそれがロボットである以上「仕方ない」という目で観られる。
 このウォーリーの存在と行動様式の単純さこそが、本作の最大の売りであり、その一途な純愛こそが本物の感動を呼ぶ。
 オープニング部分を観れば、ウォーリーには自己保全のプログラムもちゃんとあるし、だから700年も生き残れてきたのだが、そんなプログラムなんて関係ない。イヴと一緒にいられるんだったら、自分が壊れようが何だろうが構うことはない。ただ彼女の元に突き進む。その結果本当に壊れてしまうことになったとしても、それがイヴのためなら…
 常々わたし自身、自分のことを
「スレたSFファン」と自虐的に言ったりするが、そんなものをぶっ飛ばしてくれるほどの一途な愛情表現には、正直涙腺までゆるんでしまった。
 いや、それ以前に「何故人は映画を観に行くのか」という根源的な問いをも思い出してしまった。結局突き詰めれば、映画に行く最大のモチベーションとは、感情を爆発させたい。と言う事なのだろう。思い切り笑って思い切り泣きたい。実に単純にそれに尽きる。その思いを新たにさせてくれたという、その事だけでも本作は最高点を差し上げたい。

 ピクサー作品の大部分は子供用に作られているけど、実際作品を本当に楽しめるのは大人、しかも70年代を知ってる大人の人というジンクスは本作でも健在。いや、最も端的にそれを示したのが本作なのかもしれない。本作は地上と宇宙の二部構造に分かれているが、そのどちらも凄い懐かしさを感じてしまう。特に後半の宇宙の話になると、
『2001年宇宙の旅』のリスペクトが特に激しく、ネタとしてもかなり笑えるし、完全に子供を置き去りにした設定が展開。こういう細かいところでしっかり笑わせてくれるのも本作の良さだろう。考えてみると、わたしの好きな作品を次々に思い起こさせてくれるってのも、大きな楽しみだな

 異様に間口が広いため、誰にでもお勧め出来る。というより、是非劇場で観てください。とお勧めしたい。
ファインディング・ニモ 2003
2003米アカデミー長編アニメーション賞、脚本賞、作曲賞、音響効果賞
2003英アカデミーオリジナル脚本賞
2003シカゴ映画批評家協会作品賞
2003ゴールデン・グローブ作品賞
2003ヨーロッパ映画インターナショナル映画賞
2003放送映画批評家協会長編アニメ賞、作品賞
2003
ナショナル・ボード・オブ・レビューアニメーション作品賞
2003ニューズウィーク第4位
2003AFIベスト
2003NY映画批評家オンラインアニメーション賞
2003シアトル映画批評家協会オリジナル脚本賞、アニメーション賞
2003サウスイースタン映画批評家協会賞第6位

2003オンライン映画批評家協会長編アニメーション賞
2003アニー賞
2003全米年間興行収入第1位
2003全世界興行収入第1位

2004外国映画興行収入3位

2004MTVムービー・アワード作品賞、コメディ演技賞
2004サターンアニメーション賞、助演女優賞(デジュネレス)

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グレアム・ウォルターズ
ジョン・ラセター(製)
アンドリュー・スタントン
ボブ・ピーターソン
デヴィッド・レイノルズ(脚)
アルバート・ブルックス
エレン・デジェネレス
アレクサンダー・グールド
ウィレム・デフォー
ブラッド・ギャレット
アリソン・ジャネイ
オースティン・ペンドルトン
スティーヴン・ルート
ヴィッキー・ルイス
ジョー・ランフト
ジェフリー・ラッシュ
アンドリュー・スタントン
ニコラス・バード
バリー・ハンフリーズ
エリック・バナ
ブルース・スペンス
ボブ・ピーターソン
エリザベス・パーキンス
エリカ・ベック
エリック・パー・サリヴァン
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 オーストラリアのグレート・バリアリーフではカクレクマノミの夫婦マーリンとコーラルは400個の卵を守り、幸せな生活を送っていた。だがある日鮫が襲いかかり、コーラルと卵はほとんど食べられてしまう。残ったたった一つの卵から孵化した子供をニモと名付けたマーリンが大切に大切に育てていった。だが、そんな親の過保護を嫌ったニモが無謀にボートに近づいたため、ニモは人間に捕らえられてしまうのだった。ニモを助けようと、残されたマーリンの必死の捜索が始まる…
 現在おそらく世界で最も愛され、質の高いエンターテインメントアニメーション作品を次々に投入しているピクサーが、今度は魚の世界を舞台に投入したCGアニメ作品で、
アメリカ公開から僅か8日で1億ドルを突破。更に2003年の長編アニメーション賞でオスカーも取ったりと、良いことずくめの作品。
 実際、ストーリーフローは単純ながら、演出と設定の良さで大人も子供も素直に楽しめる作品になっているし、ちゃんと話にも緩急が付いていて、文句を言う筋合いも無し。
 ピクサー作品の良さは、基本的に
悪者を最低限にし、当たり前のことをいかにエンターテインメント化できるかに特化している事で、ここには意外性は無いのだが、直球で面白くできる所が評価される部分。ここではそれはズバリ親子愛なのだが、母親不在のまま父親の愛ってのが見えるのが特徴か。そのストレートさというのは、実は「母親不在」という事実をも真っ正面に受け取っている所にある。冒頭部分であっさりと殺されてしまった母親と、399人ものニモの兄弟達。それを隠すことなく、真っ正面から描いているのが興味深い。描きようによっては暗い話になりそうなものを、ポジティヴに作り上げてくれた。

 ただ、その辺の良さは分かっているつもりだけど、何故か観ていて全然心に残るものが無かったのも確か。良い部分があんまりにもストリート過ぎたせいかな?すっと入ったのは良いけど、そのまま出てしまったと言う感じ。あるいはこれが家族持っていない人間の感想なんて所詮そんなものなのか?

 そうそう。ちなみにクマノミという魚の生態はとても面白いことでも知られてる。魚の中では珍しく、
クマノミは卵から孵ったときは雄も雌も関係ない、雌雄同体で誕生し、群れの中で一番大きな個体が雌になり、次に大きな個体が雄になって交尾する(他の個体は雌雄同体のままだから交尾できない)。しかも仮に雌が死んでしまった場合、雄のクマノミが雌化し、次に大きな個体が雄化して交尾することになる。つまりこの場合、マーリンは父ではなく母でないとおかしな訳だが…これは野暮なツッコミってやつ。
バグズ・ライフ 1998
1998米アカデミー音楽賞
1998LA批評家協会アニメーション賞
1998ゴールデン・グローブ音楽賞)
1998放送映画批評家協会長編アニメ賞、ファミリー映画賞
1999英アカデミー特殊視覚効果賞

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アンドリュー・スタントン
ドナルド・マッケナリー
ボブ・ショウ(脚)
デイヴ・フォーリー
ケヴィン・スペイシー
ジュリア・ルイス=ドレイファス
デニス・リアリー
ボニー・ハント
ロディ・マクドウォール
マデリーン・カーン
ヘイデン・パネッティーア
リチャード・カインド
デヴィッド・ハイド・ピアース
ジョナサン・ハリス
マイケル・マクシェーン
ジョン・ラッツェンバーガー
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 強力で強欲なバッタのホッパーにより支配されているアリの王国。女王アッダの下、食べ物をバッタたちに献げるため、今年もアリ達は食料を必死に集めていたが、発明家のフリックが発明した食料刈り取り機大暴走してしまい、せっかく集めた食料が駄目になってしまった。食料がないと知ったバッタ軍団は激怒。フリックは裁判にかけられ、アリ王国を守る用心棒の大きな虫を探してくることを命令されるのだった。そして遠くを旅してフリックが見つけてきたのは、英雄ならず、彼が勘違いして連れてきたサーカス団だった。大歓迎を受け、逃げられなくなったサーカス団の面々と、真相を知ってしまったフリックだったが…
 ピクサー製のアニメは、
アニメという素材を本当によく分かっていると思っている。物語はシンプルにしてストレート。しかし、その広がりは子供向きを越えて、どんな人も楽しめるように、そして何かしら心に残せるようにと、丁寧な作り方をしている。一つ一つの作品は結構奥が深い。その中で本作は比較的私にとっては評価は低い方の作品とはいえ、凡百のCGアニメ作品などは到底作り得ないような質を見せつけている。
 作りそのものは大変ベタなもので、無力な村の住民が用心棒を雇うという形式は『七人の侍』(1954)を彷彿とさせる(むしろ出来としては『荒野の七人』(1960)『サボテン・ブラザーズ』(1986)の方に似ているが)。しかし、その肝心な助っ人が実は無力であることを知ってしまい、それに押されるように最後は村の住民の方が立ち上がる。その根性に押され、助っ人の方も自分たちの特技を活かして参戦。と言う展開は
ベタと言えばあまりにもベタ。とはいえ、そのベタさ加減が絶妙の間を作り出しているのが本作の醍醐味と言う奴だ。
 ただ、その元ネタが良かった分、その思いにとらわれてしまったため、私は完全にははまりきれなかったのと、擬人化の度合いがちょっと激しすぎて、なんでバッタがそんなに強いの?とか、サーカス団の蜘蛛は餌となる昆虫に囲まれていながら一体何を食べてるんだろう?とか考えてしまうと、やっぱりちょっと気分的に引いてしまった。
 出来そのものは充分で、これは私自身の感性の問題に過ぎないけど。

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