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ニール・ジョーダン
Neil Jordan


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鑑賞本数 7 合計点 25 平均点 3.51
書籍
2009
2008
2007 ブレイブ ワン 監督
2006
2005 プルートで朝食を 監督・製作・脚本
2004
2003 ダブリン上等! 製作
2002 ギャンブル・プレイ 監督・製作総指揮・脚本
2001
2000
1999 ことの終わり 監督・製作・脚本
1998 イン・ドリームス 殺意の森 監督・脚本
ブッチャー・ボーイ 監督・製作総指揮・脚本
1997
1996 マイケル・コリンズ 監督・脚本
1995
1994 インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア 監督
1993
1992 クライング・ゲーム 監督・脚本
1991
1990 スターダスト 監督・脚本
1989 俺たちは天使じゃない 監督
1988 プランケット城への招待状 監督・脚本
1987
1986 モナリザ 監督・脚本
1985
1984 狼の血族 監督・脚本
1983
1982 殺人天使 監督・脚本
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
1970
1969
1968
1967
1966
1965
1964
1963
1962
1961
1960
1959
1958
1957
1956
1955
1954
1953
1952
1951
1950 2'25 スリゴーで誕生

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ブレイブ ワン 2007
2007ゴールデン・グローブ女優賞(フォスター)

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ロデリック・テイラー
ブルース・A・テイラー
シンシア・モート(脚)
ジョディ・フォスター
テレンス・ハワード
ナヴィーン・アンドリュース
メアリー・スティーンバージェン
ニッキー・カット
ジェーン・アダムス
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
イン・ドリームス 殺意の森 1998

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ニール・ジョーダン
ブルース・ロビンソン(脚)
アネット・ベニング
エイダン・クイン
ロバート・ダウニー・Jr
スティーヴン・レイ
ポール・ギルフォイル
ジェニファー・ベリー
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 かつてひとつの町を沈めてできあがった人工湖の湖畔に住むクレア(ベニング)は留守がちな飛行士である夫クーパー夫を娘のレベッカと共に待つだけの生活を送っていた。それなりに幸せなはずのこの生活が、悪夢によって破られる。毎晩見る悪夢。しかもそれは現実のものとなって彼女の前に現れるのだ。その夢に常に現れるリンゴと水。そして殺人鬼の声…クレアは徐々に彼に取り込まれていく…
 この当時作られたよくあるサイコものの一本だが、やはり『狼の血族』のジョーダン監督が監督しただけあってひと味違う。
『狼の血族』「赤頭巾ちゃん」をモティーフにしていたのと同様、本作はどうやら「白雪姫」をモティーフにしているんじゃないかと思われる。娘の劇と言い、あふれかえるリンゴと言い…
 グリム童話として知られる
「白雪姫」は結構面白い設定をしていて、日本でよく知られているように魔女は継母ではなく、本当の母親であり、母親の恋人に娘である白雪姫が色目を使ったと言うことで嫉妬に狂い、殺そうとした(これが実は白雪姫の実の父だという解釈もある)。自分で殺すのは忍びないので、人をやって腹をかっさばき、その臓物を持って帰るように命令し、彼により持ち帰られた動物の内臓をむさぼり食らうと言うとんでもない描写がある。更に無事お城に帰った白雪姫は母に焼けた靴を履かせられて踊り殺す…と言うものすごい話だったらしい…まあ、本作の内容とは別段関係なかろうが(笑)
 サイコパスと精神がシンクロしてしまうと言うのは結構面白い設定で、意外性は無い代わりに緊張感が持続するし、その演出も冴えてる。特にオープニング、町が水に覆われるシーンは悪夢のような、とても綺麗な描写がなされていたし、ラスト部分の犯人の狂気の演出だって「ここまでやる?」というレベル。なかなか楽しかった。出来が割と良かっただけに、これが日本未公開とは少々勿体ない話だ。
マイケル・コリンズ 1996
1996米アカデミー撮影賞、音楽賞
1996ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞(ジョーダン)、男優賞(ニーソン)
1996LA批評家協会撮影賞

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ニール・ジョーダン(脚)
リーアム・ニーソン
エイダン・クイン
アラン・リックマン
ジュリア・ロバーツ
スティーヴン・レイ
チャールズ・ダンス
イアン・ハート
ショーン・マッギンレイ
ジョン・ケニー
ジョナサン・リス=マイヤーズ
ジョン・オリアリー
ブレンダン・グリーソン
ジェラルド・マクソーリー
★★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 1922年8月22日に同じアイルランド人過激派の凶弾に倒れたアイルランド独立運動の立役者マイケル・コリンズの半生を描いた作品。最初の反乱「イースター蜂起」の失敗から、過激派組織「アイルランド義勇軍」の結成。イギリス軍との間の泥沼の報復合戦の末、アイルランド独立に至るまでの過程と彼が貫いた愛を描く。
 12世紀以来イギリス領となっていたアイルランド独立運動と、独立の立役者コリンズを描いた骨太の歴史大作。この辺の歴史はなかなか知ることが出来ないので、大変参考になったし、お陰で色々調べさせていただいた。私自身にアイルランド史の知識を多少なりとも与えてくれたことだけでも充分ありがたい作品だが、本作の魅力はそれだけにとどまらない。
 アイルランド独立を描いた作品はこれまでにもいくつかあった。私が観たのだと『市街戦』(1936)なんかがそう。
 いわゆるイギリス人監督と呼ばれる人や俳優の中にはアイルランド出身の人が少なからず存在する。彼らが自分たちのアイデンティティであるアイルランド史を作りたいと考えるのは自然だと思うのだが、商業ベースに乗りにくいというのが現状。実は多くの監督がこれに挑もうとしつつもなかなか現実化しにくいのが現実らしい。実際今もなおアイルランドとイギリスの確執は続いている以上、製作もなかなか複雑なものらしい。しかも映画製作資本はイギリスとアメリカが大きなシェアを持っているから、作りにくいのも道理であろう。
 実際、本作の主役コリンズは、アイルランドにとっては英雄でも、イギリスの側から見るとテロリストだし、本人の性格も非常に好戦的な人間で、やっかい極まりない存在だった。視点を変えれば、
人間の評価なんて容易に変わるもので、そういう観方も出来る。と考えるのも重要だろう。
 本作のジョーダン監督にとっても本作の撮影は悲願であったのだろう。わざわざアイルランド人
(実際は北アイルランド人だが)のニーソンを主役に据えて力強い作品に仕上げてくれた。
 この人はテロリストだけあって謎に包まれている所も多いようだが、その辺は色々想像も働かせ、単なる戦闘的なだけの人物にしなかったのは、演出の巧さとニーソンの巧さだろう。器用な役者なのは確かだけど、特に本作ははまり役といっても良い。
 特に、これまでの闘争の歴史ばかりで政治的駆け引きがあまり上手くない人物が、歴史の表舞台に無理矢理立たせられ、それで結果的にアイルランドにとっては屈辱的な国土分断という講和条件を受け入れなければならなかった後半の描写は特に良い。これ以上の戦いは双方が疲弊するだけで、しかも明らかにこちら側に不利である以上、和平は必要不可欠。自分自身が納得いかないのに、それを仲間達に納得させねばならない苦悩…なんか
凄く頷きながら観ることが出来たよ
 内戦を描いた割には派手さがあまり無いのはちょっと残念なところだが、英雄の心情を描くという意味においては充分な作品。
 それと、やはり風景描写が良い。イギリスも北部になるとほとんど寒帯のため、都市部は薄暗く。その分太陽光を受けた自然は輝く。その対比が良い。あと、オープニングとエンディングが見事に円環となっているのも、演出上の巧さ。

 尚、本作で一応の講話はなったものの、コリンズの死と共に、内戦は再燃。1990年代まで北アイルランドを巡ってテロは続き、今も尚、根本的な解決には至っていない。西欧諸国の中でこれだけ表だって国の中でテロの脅威にさらされているのはイギリスだけである。
インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア 1994
1994米アカデミー作曲賞、美術監督賞、美術装置賞
1994英アカデミー撮影賞、プロダクションデザイン賞
1994ゴールデン・グローブ助演女優賞(ダンスト)、音楽賞
1994ゴールデン・ラズベリー最低スクリーン・カップル賞(クルーズ&ピット)
1995MTVムービー・アワード男優賞(ピット)、ブレイクスルー演技賞(ダンスト)、作品賞、魅惑的な男優賞(クルーズ&ピット&スレイター)
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アン・ライス(脚)
トム・クルーズ
ブラッド・ピット
スティーヴン・レイ
アントニオ・バンデラス
クリスチャン・スレイター
キルステン・ダンスト
ドミツィアーナ・ジョルダーノ
ロール・マルサック
ヴァージニア・マッコラム
マイク・シーリグ
ベリナ・ローガン
タンディ・ニュートン
★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
夜明けのヴァンパイア <A> <楽>
アン・ライス (検索) <A> <楽>
 サンフランシスコ。夜のとある部屋で若手記者クリス(スレイター)の問いに答え、不思議な美青年ルイ(ピット)は自らの半生を語り始める。実は彼は18世紀末、妻と娘を失って自暴自棄に陥っていたルイはレスタト(クルーズ)という吸血鬼と出会い、彼によって吸血鬼にされてしまったのだ。だが他人の命を奪って生きることに耐えられないルイに、レスタトはクローディア(ダンスト)という少女をルイに与える。こうして三人の共同生活が始まったが…
 アン=ライス原作の同名小説(邦題
「夜明けのヴァンパイア」)の映画化で、脚本も原作者が当たっている。原作そのものはシリーズもので、既刊も多く、当然ながらファンも多い。特にシリーズを通しての中心人物となるレスタトは人気が高く、それをトム=クルーズが演じるとなって、相当の苦情が来たらしい。それは原作者のアン=ライスも同じで、レスタト役にクルーズが起用されたことを知った時、「自分に出来る役と出来ない役が分からないと駄目」と痛烈なコメントをしており、それを聞いたクルーズはショックを受けたが、実物を観てライスは「ヴァラエティ」誌に反省とお詫びの公告を入れ、熱狂的な映画ファンとなったとか。
 実際に観てみると、演出は良いし、キャラもそこそこはまっては見える…と思われるのだが、全編を通して見られる耽美描写は苦手。物語自体も起伏が無く、観ていて退屈。と、とにかく私にとっては苦手意識の強いものばかりだった。
 クルーズも本作で新境地を拓いたとか言われてるけど、私が観る限り、単に気持ち悪くなっただけ。ピットはピットで、やっぱり合って見えないんだよなあ。それに出てくる人間がみんな韜晦してばっかりで、はっきり言ってストレスが溜まる。特に耽美描写に拒絶反応が出てしまったお陰で、
全く楽しめることが出来ず
 出来の善し悪しではなく、単に私に合わなかったというだけでこの点数。
クライング・ゲーム 1992
1992米アカデミー脚本賞、作品賞、主演男優賞(レイ)、助演男優賞(デヴィッドソン)、監督賞(ジョーダン)、編集賞
1992
英アカデミーイギリス作品賞、作品賞、主演男優賞(レイ)、助演男優賞(デヴィッドソン)、助演女優賞(リチャードソン)、監督賞(ジョーダン)、オリジナル脚本賞
1992全米批評家協会主演男優賞(レイ)
1992NY批評家協会助演女優賞(リチャードソン)、脚本賞
1992LA批評家協会外国映画賞
1992インディペンデント・スピリット外国映画賞
1993ヨーロッパ映画功労賞
1993キネマ旬報外国映画第4位
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ニール・ジョーダン(脚)
スティーヴン・レイ
ミランダ・リチャードソン
フォレスト・ウィッテカー
エイドリアン・ダンバー
ジェイ・デヴィッドソン
ブレッフィニ・マッケンナ
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
“The Crying Game”
I know all there is to know about the crying game
I've had my share of the crying game
First there kisses , Then there are sighs
And then before you know where you are
You're saying good-bye
One day soon I'm gonna tell the moon about the crying game
And if he knows, maybe he'll explain
Why there are heartaches, Why there are tears
And what to do to stop feeling blue
When love disappears
Don't want no more of the crying game.
 IRAによって人質にされてしまった英国軍のジョディ(ウィテカー)。トップがイギリス政府に交渉している間、彼の見張りとしてIRAの闘士ファーガス(レイ)が当たった。だが、なかなか交渉がまとまらずに2人きりで取り残されていく内に少しずつ二人はぽつぽつと話を始める。レイにはロンドンにディルという恋人がいること。そして自分が死ぬ事になるだろうが、その恋人の事が気がかりな事などを話すのだった。そしてレイは、もし自分が殺されるような事があったら、ディルと会って「愛していた」と伝えてほしいと頼むのだった…
 ボウイ=ジョージの歌う
「THE CRYING GAME」に乗せたヒット作。イギリスではアカデミー賞まで取ったのだが、本国ではさっぱり売れず、アメリカでヒットしたという面白い経緯を持つ作品でもある。
 話のほぼ2/3が密室。しかも二人ともただ座っているだけという面白い構造を持つ作品で、こういう密室劇って非常に難しいのだが、緩急を付けた演出のお陰で緊張感を途切れさせることなく上手く仕上げらてる。会話にもいくつもの自虐的ジョークが含まれるし、「カエルとサソリ」の寓話なんかも上手くはまってる。
 しかし、本作の一番の見所は実はこの密室劇ではなく、その後の話だったりするんだが、このオチは強烈すぎ。今までの展開が全てふっとんでしまった。このケレン味こそがまさにイギリス風味って感じ。その強烈なオチのお陰で隠れがちだけど、実にしっかりした作品である事は確か。
 ところでこの作品、設定が非常に面白い。当初の話の展開が英国軍兵士とIRA闘士の友情であるのだが、それは一見敵同士の間でも、ちゃんと心の交流が出来る。と言う事のみならず、主人公がアフリカ系のウィッテカーである事から、これは政治理念だけじゃなく、民族を超えた心の交感も可能としていき、そして最後のオチでは、なんとそれは性別まで超えてしまう。まあ、
なんとも諧謔趣味に充ち満ちている
 後味が良い訳じゃないけど、
観終わった後呆然として、それから爆笑できた。モンティ・パイソン好きな人間にはまず受け入れられる作品だ。
 ウィテッカーは確かに上手い役者だが、本作ではほぼ完璧な英国英語まで披露している。なんでもこれは先行してイギリスに入り、色々な場所に行って独学で身につけたのだとか。頭が下がる。

 しかしこれほどイギリス流ジョークに溢れてるのに、なんでこれがイギリスで受け入れられなかったんだろう?
俺たちは天使じゃない 1989
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デヴィッド・マメット(脚)
ロバート・デ・ニーロ
ショーン・ペン
デミ・ムーア
ホイト・アクストン
ブルーノ・カービイ
レイ・マカナリー
ジェームズ・ルッソ
ウォーレス・ショーン
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 1935年カナダ国境付近のアメリカの刑務所。処刑される寸前の極悪囚人のボブ(ルッソ)が看守たちを撃ち殺して脱走した。たまたまそこに居合わせた同じく囚人のネッド(デ・ニーロ)とジム(ペン)は訳がわからないままボブと共に脱走し、二人は自由を求め、カナダ国境を目指すのだった。しかし途中で出任せで言った言葉から著名な司祭に間違われ、国境の町にある大きなカトリック教会に身を隠す事になる。耳も口も不自由な子供の母親(ムーア)や追手の警官達のおかげで四苦八苦しながらも、その教会で聖母マリア像を国境の向こう側にある教会へ運ぶお祭りが開催される事を聞き、二人はそのどさくさに紛れてカナダへ逃げ込もうとするのだが…
 ハンフリー・ボガート主演の『俺たちは天使じゃない』(1955)画から、製作総指揮をも勤めるデ・ニーロが基本設定だけを抜き出して作り上げた作品。オリジナルが南国ムード溢れるフランスの植民地の物語であるのに対し、こちらはカナダ国境に近い冬の北部アメリカが舞台となっている。その分、画面は陰鬱な印象を与え、話もオリジナルの気楽さと較べてずいぶんと重くなった感じ。
 とは言え、暗いながらに笑いを決して忘れてはいないのはさすがデ・ニーロと言うべきか。特にラストのオチには大笑いしてしまった。
 この作品は、カトリック教会の修道院が舞台で、更に宗教とは無縁な二人がそこに入り込んでしまっての話となるため、カトリック教会の持つ問題性などにいくつか直視することになる。逃げるための方便として司祭となったため、刑務所を出たばかり、しかも目の前に魅力的な女性がいるのに禁欲を貫かねばならないボブの姿は哀れで、そしてコミカルだ。
 しかし、この作品において、
一番の立て役者はデ・ニーロの方ではなく、やはりジム役のペンの方だった。あまり口が上手くなく、人が良い位しか取り柄がないジムが、急に尊敬を受ける身分になって戸惑う様子。最後の説教のシーンでの苦し紛れの言葉が逆に聴衆の感動を呼ぶ様子。その辺り、見事に彼がおいしいところ持っていってしまったな。って感じだった。
 ところで一つ気になるのだが、カナダに渡ったネッドは良いにせよ、僧院に残ってしまったジムの方、あのままではいられないだろうに。彼のこれからはどうなっていくのか、ちょっとかわいそうに思えてくるんだが…
余計なお世話?
 興行的に大失敗に終わった『ミッション』(1986)に続き僧服となると言うことで、製作に当たるデ・ニーロは相当にプレッシャーがあったらしいし、しかも当初予算を遥かに超えてしまい、非難の中を作り上げたが、今回はかなりのヒットを当てることが出来た。
狼の血族 1984
1985アボリアッツ・ファンタジー映画祭審査員特別賞
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クリス・ブラウン
スティーヴン・ウーリー(製)
ニール・ジョーダン(脚)
アンジェラ・ランズベリー
サラ・パターソン
スティーヴン・レイ
デヴィッド・ワーナー
グレアム・クラウデン
テレンス・スタンプ
ブライアン・グローヴァー
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 グリム童話の「赤頭巾ちゃん」をモティーフに、狼男と少女の幻想的な関係を描いたダーク・ファンタジー。
 大人のためのファンタジーってのはまさにこういうものなんだろう。他の狼男作品とは異なり、ホラー色は極めて抑えられているのだが、観ていて身体がゾクゾクしてきた。何というか、
とてもエロチックな気分になり、身体の中に潜む何かが飛び出してきそうな気分になった(別段変な意味じゃないよ…下品か?)
 映画ではホラー作品として作られた狼男だが、起源はかなり古い。
人類の起源と共にあると言って良いほど。心理学などでも取りざたされるネタで随分昔になんかの本で読んだことがある。大部分は忘れてしまったが(魅力的な説で、試しにネットで検索してみたら数多くのレポートを見つけることが出来た)、満月は特に人と狼を狂わせる(故淀川長治氏も満月を見ると血が騒ぐと彼のエッセイにはあった)。月は人間と狼を結びつける絆であり、それがいわゆる人狼伝説を造り出した一つの理由となるだろう。
 詳しく述べるのは避けるが、
狼男伝説は中世ヨーロッパでは魔女裁判として記憶されるもので、人が狼に変わるのは魔女の仕業に違いない。いや、魔女そのものだからそのような変化が出来るのだ。と言う論理になっていく。それで面白い話なのだが、ドイツのシュヴァルツヴァルト(黒い森)に伝わる物語で、グリム兄弟によってまとめられた「赤頭巾ちゃん」が発生したとおぼしき時代は魔女裁判華やかしかり時代と符合するそうで、そもそもがこの「赤頭巾ちゃん」の物語自体が狼男の伝承の一つと言われることもある。
 そう言う意味で言えば、狼男と赤頭巾ちゃんというのは非常に親和性が高いし、それがエロティックな関係になっているのも当然と言えば当然
(狼男は“野獣のような人間”とカテゴライズされるし、それに元々「赤頭巾ちゃん」の話は子供を森に近づけないようにするための寓話だが、狼に食い殺されないように、と言うよりは変人にレイプされないように。との意味を多分に含むらしい)。この映画のモティーフこそがオリジナルの「赤頭巾ちゃん」に近いと言っても良いくらい。
 ストーリーを考えても非常にアレゴリカルに狼男=男の獣性を表してる。狼男を見てしまったためそれがトラウマとなる少女は
(大変失礼且つ独断的な書き方だが)、レイプされてしまった女性の姿とダブる。その無防備さがラストシーンで再び狼に襲われると言う形で表されるような気がするのだが…そうすると、彼女は狼男を怖がりながらも受け入れてしまう事になるんだろうか?…済まん。本当に下品なレビューになってしまった。これ以上書くと自分でも何を書いてしまうか怖いので、ここで筆を置かせてもらう。

 …そうそう。後のアニメ作品
『人狼 JIN-ROH』(1999)はまさにその点の強調が強く出ていた気がする。と、すると本作はあの作品の親作品と言っても良いのかも知れないぞ。
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製作年 1984
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