樹の海 2004 |
2004日本映画批評家大賞助演男優賞(笹野高史)、助演女優賞(井川遥) |
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青島武
瀧本智行(脚)
萩原聖人
井川遥
池内博之
津田寛治
塩見三省
小嶺麗奈
小山田サユリ
中村麻美
田村泰二郎
宮本大誠
蟹江一平
北村栄基
鈴木淳評
古川貴稔
冷泉公裕
でんでん
田中要次
余貴美子
大杉漣 |
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★★★☆ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
3 |
3 |
3 |
5 |
3 |
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自殺の名所として名高い富士の青木ヶ原樹海。様々な理由のためそこに集まってきた男女を、4つのエピソードで綴るオムニバス作品。
日本が“名物が自殺”と言われるようになって結構経つ。もはや自殺というのは割と身近な感じもあって、都内に住んでいると、昨今は電車が止まるのが当たり前という感じになってしまったし、かく言う私の周辺にも自殺してしまったという人間は結構ごろごろしてる。
特にその遺族というのが厄介なもので、そういう人にはなんと言って良いのか、言葉を失ってしまうものだ。
正直、人の命というのは自分一人のものじゃなくて、様々な存在との関わりの中にあるのだから、それを投げ捨てしまうと言うことは、数多くの存在を引きずってしまう。「俺の命なんだから好きにして良いだろう」とか言うならば、あらゆる関係を断ち切ってからにして欲しいくらいだ(出来ないけど)。
本作の面白いところは、まさしくそういった存在との関わりというものを主眼に置いていると言うことだろう。オムニバスなので、その物語は様々。関わりというものに気づいて、生きることを選択する人、逆に存在に引きずられて生きざるを得なくなってしまった人、あるいは存在を断ち切れないまま、それでも死を選ばずを得ない人。そんな哀しい人間の生と性を描いてくれている。テーマを持ったオムニバスだからこそ、後味の悪い作品も一本くらい作れるし、ハートウォーミングな話も入れられると、なかなかバランスが良い話になってる。
生と死は、いずれ誰しも直視しなければならないテーマなのだから、こういう作品も時折観ておく必要があるのかもしれない。地味ながらなかなかの良作。
メメント・モリ(死すべき存在であることを忘れるな)。 |