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実験4号(書籍) _(書籍) |
2016 | |||||||||||
2015 | |||||||||||
2014 | |||||||||||
2013 | もらとりあむタマ子 監督 | ||||||||||
午前3時の無法地帯<TV> 監督 | |||||||||||
2012 | シネマ☆インパクト Vol.2/ありふれたライブテープにFocus 監督 | ||||||||||
BUNGO〜ささやかな欲望〜 告白する紳士たち 監督 | |||||||||||
苦役列車 監督 | |||||||||||
エアーズロック<TV> 監督・脚本 | |||||||||||
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2011 | 明日 監督 | ||||||||||
マイ・バック・ページ 監督 | |||||||||||
モテキ 出演 | |||||||||||
2010 |
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2009 | 霊魂との交信 めちゃ怖3 「霊能力を持つ男」驚愕のドキュメント 監督・出演 | ||||||||||
死霊との遭遇 めちゃ怖2 「恐怖!心霊スポット十連発」 驚愕のドキュメント 監督・出演 | |||||||||||
学校の怪談 めちゃ怖 「呪われた心霊フィルム」 驚愕のドキュメント 監督・出演 | |||||||||||
土俵際のアリア 監督 | |||||||||||
フィッシュストーリー 出演 | |||||||||||
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上野樹里と5つの鞄<TV> 監督 | |||||||||||
2008 | 我ら天下をめざす 監督 | ||||||||||
実験4号 It's a small world 監督 | |||||||||||
アベレイジ<TV> 出演 | |||||||||||
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蒼井優×4つの嘘<TV> 監督 | |||||||||||
2007 | 天然コケッコー 監督 | ||||||||||
ユメ十夜 「第八夜」監督・脚本 | |||||||||||
歌謡曲だよ、人生は 出演 | |||||||||||
2006 | 中学生日記 監督 | ||||||||||
松ヶ根乱射事件 監督・脚本 | |||||||||||
ハヴァ、ナイスデー 出演 | |||||||||||
時代を越える溝口健二 出演 | |||||||||||
2005 | 道 監督 | ||||||||||
リンダ リンダ リンダ 監督・脚本 | |||||||||||
ピーカン夫婦 出演 | |||||||||||
幽霊より怖い話 出演 | |||||||||||
2004 | くりいむレモン 監督 | ||||||||||
不詳の人 監督 | |||||||||||
2003 | その男狂棒に突き 監督・撮影・編集・出演 | ||||||||||
リアリズムの宿 監督・脚本・編集 | |||||||||||
2002 | ばかのハコ船 監督・脚本 | ||||||||||
2001 | 悲しくなるほど不実な夜空に 出演 | ||||||||||
1999 | どんてん生活 監督・脚本・編集・出演 | ||||||||||
1997 | 腐る女 監督デビュー | ||||||||||
鬼畜大宴会 助監督 | |||||||||||
1976 | 8'29 愛知県で誕生 |
もらとりあむタマ子 2013 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2013日本映画プロフェッショナル主演女優賞(前田敦子)、第6位 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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苦役列車 2012 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2012日本アカデミー主演男優賞(遠山未來)、助演男優賞(高良健吾) 2012ブルーリボン新人賞(マキタスポーツ) 2012日本映画プロフェッショナル大賞主演女優賞(前田敦子) 2012キネマ旬報主演男優賞(森山未來)、日本映画第5位 |
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天然コケッコー 2007 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2007日本アカデミー新人俳優賞(夏帆) 2007キネマ旬報邦画2位 2007毎日映画コンクール日本映画優秀賞、脚本賞、音楽賞 2007報知映画監督賞監督賞、新人賞(夏帆) 2007ヨコハマ映画祭最優秀新人賞(夏帆)、ベスト2位 2007日本映画プロフェッショナル大賞監督賞 |
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松ヶ根乱射事件 2006 | |||||||||||||||||||||||
2007ブルーリボン助演男優賞(三浦友和) 2007日本映画プロフェッショナル大賞監督賞、第8位 2007キネマ旬報第7位 2007報知映画監督賞 2007日本映画プロフェッショナル大賞監督賞、ベスト第8位 |
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平和な田舎町松ヶ根。ここで光太郎(新井浩文)は退屈な派出所の警察官。双子の兄光(山中崇)は姉夫婦が継いだ家業を手伝っており、父(三浦友和)は、床屋の泉(烏丸せつこ)の店に入り浸りだが母(キムラ緑子)はもはや無関心。そんな一家が暮らすで町で、ひき逃げ事件が発生。被害者の女(川越美和)は、男(木村祐一)と共に犯人を執拗に捜し始めるのだが… 実際に田舎町で起こった事件を元に、山下監督が作り上げた一風変わったサスペンス作品。 山下監督といえば、不器用な若者を主人公に、微妙な空気を演出した作品を多数作り上げている。基本的に極端な事件が起こるでなし、ちょっとした感情の行き違いなどを通して仲間意識を強めてみたり、人としてちょっとだけ成長した姿を描いたりと言った、本当に若者を描くことが多い。その独特の作風は既に映画監督としては完成の域に達しており、あたかもヨーロッパの老成した監督作品を観るような感覚で作品を観ることが出来る。この年代の監督では珍しいほどの完成した映画監督である。 ただ、その完成度の高さは認めるものの、これまでの作品ではどうしても出てくる童貞くささと痛々しい青春ものって結構苦手なので、私自身の心情としてあまり高得点はあげてなかった。 ところが、本作で私の山下監督評は大きく変えられた。 最初のタイトルを見た時、山下監督がサスペンス?と、なんか凄い違和感を持ちつつも、ひょっとしたら目先が変わって面白くなるかも?と思って拝見。 最初のうちは、いかにも。と言った感じで、半分眠ってるような田舎町で退屈なおまわりさんの日常を淡々と描く感じで話が展開。これと言って仕事に不満があるわけではないけど、何事も退屈で、このまま自分がここで埋もれてしまうことに恐怖心を感じている青年が、不仲の家族とともにやるせない日常を送っている光景が淡々と描かれていく。 それで事件が起こったからと言って、物語が急速に進展していくでなし。とっさの時にどうすればいいのか分からなくなって戸惑う主人公と、そんな主人公に対し苛立ったり、憐れんだりする町の人々。 …と、ここまではいつもの山下監督作品らしさで展開していくが、ここから主人公を置き去りにして物語はどんどん進行していく。単なる交通事故かと思ったら、そこから芋づる式にいろんなものが出てくる。この辺が今までの監督作品には見られなかった新機軸で、ちゃんと緊張感のある物語が展開している。 しかし、主人公は相変わらずで、もはや自分の手では対処できないことが明確でも、それでもどうしていいか分からずにおろおろして人に流されていくうちに、いつの間にか話は勝手に進行していき、勝手に終わってしまう。 ここまで来てようやく「ああ、やっぱり山下監督だ」と思わせることになる。どんな大きな事件が起こっても、たとえ命の危機に陥らせても、主人公は薄い膜一枚隔てて、やっぱり傍観者に過ぎない。外面的にどんなに大きな事件が起きても、その当事者にとっては全部人ごと。いっそ立派なくらいに主人公は何にもしてないし、出来てないのだ。新機軸を取り入れながら、あくまで自分のスタンスを貫いた辺り、完成された技能を感じさせてくれる。 だからこそ最後に乱射が必要だったのだ。その瞬間だけ、主人公は能動的に動いているし、これまで他人のものだった事件を自分のものに出来た瞬間だったのだ。タイトルの「乱射事件」と言うのが、いっそ小憎らしいくらいに上手く働いた瞬間がそこにはあった。「乱射事件」とは、物語を完全に終わらせるための、心の整理として使われていた訳か。 そう言うわけで、本作に関しては、確かに構成の上手さを感じたし、初めて山下監督を「本当に立派な監督だ」と思わせてくれた作品だった。 |
リンダ リンダ リンダ 2005 | |||||||||||||||||||||||
2005日本映画プロフェッショナル監督賞(山下敦弘)、ベスト2 2005キネマ旬報邦画6位 2005ヨコハマ映画祭6位 |
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芝崎高校軽音楽部の5人組はガールズ・バンドを組んで文化祭に向けて練習を重ねて来た。ところが、本番まであと3日と言う時になって二人が抜けてしまった。急遽路線を変更。残されたドラムの山田響子(前田亜季)、キーボードの立花恵(香椎由宇)、ベースの白河望(関根詩織)は、ヴォーカルとして韓国からの留学生ソン(ペ・ドゥナ)を迎え、THE
BLUE HEARTSのコピーバンドとして再生させる。たった三日間で無理を通して練習を続ける四人。時に喧嘩に近い怒鳴りあいをしながらも4人の絆が深まっていくのだが… 本人自身が「駄目人間」を公言し、「駄目人間を描かせたら、日本一」とまで言われている山下監督。デビュー作こそ未だ観ていないが、私も『リアリズムの宿』以降は順調に観続けている。監督としての表現力はあるが、なんか80年代前半の新人監督っぽさをいつまでも残している感じ。作品の雰囲気の妙なかったるさは心に残る。 本作は監督が初挑戦した女子高校生の物語だが、やはり山下監督らしく、単純なさわやかなストーリーには敢えてしていないのが特徴か。 こういうバンドの作品の場合、ゆっくり時間を取って徐々に友情を醸成していくと言う感じで作られるのがパターンだと思うのだが(そのパターンの良作として、前年に公開された矢口史靖監督の『スウィングガールズ』(2004)が挙げられるだろう)、むしろ本作は切羽詰まったぎりぎりの物語として描いてしまっている。それが画面に妙な慌ただしさを出しているのと同時に、切羽詰まっているからこそ無理しても仲良くなっていかねばならない。と言う焦燥感が上手く働いている。妙に乾いたようでいて湿ったような友情物語の構成が、これが夢物語ではなく、現代的な友情物語であることを思わせてくれた。 それにしても曲の選定が振るってるよな。何でこの時代に、しかも女子高生がブルーハーツなの?ターゲットを監督の同年代の、しかも男に絞ってることがモロ分かり。90年代に青春を送った人だったら、この設定は直撃だったんじゃ無かろうか? 残念ながら私は一世代上になるので、そこまではまることは無いけど、やっぱりブルーハーツは良い。改めてそれを感じさせてくれただけでも充分かな? ただ、本作の音楽演出についてはかなり優れてる。ブルーハーツはアップテンポ曲なので、前半の緩い雰囲気に合わないため、ほとんど出さず、後半になってばたばたと忙しくなって来るに連れてどんどんはまっていく。だから後半にほとんど音楽を持っていくという構造。雰囲気の持って行き方がとても上手い。 ただ、自分自身の好みか?と訊ねられると、ちょっと否定的なので、点数は抑え気味。 1970年代から80年代前半生まれの人にはビビっと来るんじゃないかな? |
くりいむレモン 2004 | |||||||||||||||||||||||
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両親の再婚により兄妹となった高校生の野々村亜美(村石千春)と2歳年上の大学生の兄、ヒロシ(水橋研二)は海外出張中の両親に代わり、お互いが親代わりを自認していたのだが、ある日を境にお互いを意識し出す。そして二人揃って熱を出して寝込んだ時、ついにお互いに「好き」と打ち明けるのだった… 80年代に高校生くらいだったら、このタイトルを知ってる人間が多いと思うし、それで特別な感情を持つ男も多数いるだろう。まあ、それだけメディア的にインパクトがあったタイトルなのだが、それは置いておく。 それをあの山下敦弘監督が映画化。これを知っただけで、先ず観る事はなかろう。と思ったのだが、何故かテレビで放映されたのを観てしまった。 山下監督は駄目男を描かせたら確かに上手い。微妙な青年同士の関係を描いた『リアリズムの宿』は特にその真骨頂とも言えるのだが、監督の作品ではなるだけ恋愛色を出さない事が特徴であり、それが良かったのだが、本作はいきなりの挑戦作になってしまった。芸風を広げようとしての事だったのかも知れないけど、これが又見事に滑る。 本作の目的としては、恋愛ではなかったのではなかろうか?悪い言い方をすれば、一線を越えてしまった男女が、それでもやっぱりお互いギクシャクしてる所が本作の売りだったのだろう。しかし、そのギクシャクさを乗り越えようとお互いに体を重ねるしかないという話の展開はやっぱり山下監督の手に余ったのではなかろうか? いくらテレビだと言っても、正視に耐えないものを作ってくれてしまったお陰で、これ全部観るのはかなりの苦行を必要とした。 |
リアリズムの宿 2004 | |||||||||||||||||||||||
2004日本映画プロフェッショナル大賞2位 | |||||||||||||||||||||||
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船木という共通の知り合いの提案で旅に出ることになった駆け出しの脚本家坪井小助(長塚圭史)と、同じく駆け出しの映画監督木下俊弘(山本浩司)は温泉街にやってきたが、船木が来ずに、何となく気まずい思いにさせられる。仕方なしに温泉街を旅することになるが、お互いあまり人好きのしない二人だけに、気まずい雰囲気が流れっぱなしで、トラブルが起こるたびにますますその距離は広がっていく。そんな折、服も鞄も全部海に流されてしまったと言う東京から来た敦子(尾野真千子)という女性と知り合う… つげ義春の「会津の釣り宿」と「リアリズムの宿」の二本の短編漫画を併せて映画化した作品。両作品とも私は未読なのだが、雰囲気としては確かにつげ義春風に上手くまとまってる。 つげ作品の面白さは微妙な人間関係にあると思ってる。生きることが下手な人間同士の交流が描かれている点が、まるで自分自身を見させられるようで、身につまされると同時に妙なリアリティを持って迫ってくる。著者自身がそう言う生き方しか出来ない人間だが、それを表現する手段を持ってるからこそ天才と言われる。 山下監督は若干20代だが、見事にその点が映像化されているのが凄い。特に内気な男二人が旅をすると、互いに決断を任せ合い、それでぶちぶち文句を言うなんて事は旅してると実際にありがちなこと。しかし、人間同士の繋がりって、実際にこういう事から始まるんだし、旅を通してそれまで何とも思ってなかった人と心情的に近づく事も実際に経験したことがある(昔私は旅が好きだったけど、それが鬱陶しいから一人旅が多かった)。ここでの主人公二人はまさにこれだなあ。と思えてしまう…それが身につまされてしまうんだけどね。山下監督自身、おそらくそう言う人間なんじゃないかな?同年代の若者を描くことそのものに長けている山下監督らしさだ。 それと、やっぱり女性の強さ。これも著者の漫画には共通してる。その人間観察が上手い。 物語は淡々と流れ、人間関係も微妙なまま。だけどそれがなんとも心地良い。一方、自分自身の悪い面を見せられてるみたいで、なんか落ち着かない気分にさせられてしまう。結果的に、複雑な思いを持ちながらそれでもほわほわした気分で観ることが出来た。それが一番の収穫。 |