読書日誌
2011’7〜9月

Home
Book

11'09'30 天使と悪魔 中
ダン・ブラウン (検索) <amazon> <楽天>
 セレンから奪われた反物質はヴァチカンにある事を知ったラングトンは殺されたレオナルドの娘ヴィクトリアを伴い、ヴァチカンへと向かった。折しもコンクラーベの真っ最中では次期教皇の最有力候補の枢機卿4名が行方不明になっていた。彼らがイルミナティの神殿で殺されると主張するラングトンだったが…
 謎解きパズルの様相を見せ始め、「ダヴィンチ・コード」と同じレベルの物語になってきた。著者の本領発揮と言ったところか。
11'09'29 天使と悪魔 上
ダン・ブラウン (検索) <amazon> <楽天>
 ハーバート大学の図像学者ラングトンは、ある夜突然の電話にたたき起こされ、数時間後にはスイスにある世界的シンクタンク“セレン”に連れてこられてしまった。そこで中世に滅んだはずの科学者組織“イルミナティ”が復活し、セレンの科学者にして神父が殺されたことを告げられるのだった。イルミナティの狙いは、彼が分離に成功したという反物質。それは、4キロ四方を完全に消滅させるほどの威力を持った爆弾として使われるもの…
 「ダヴィンチ・コード」の前日譚に当たる作品で、コンクラーベをめぐるカトリック教会最大の危機を描く作品。反物質という科学的なアイテムも出して、いかにも現代的な作品と言う感じ。事前に映画の方は観ていたが、結構雰囲気は違ってる感じ。
11'09'27 はじめの一歩97
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 幾度も挑発を受け、怒り心頭の一歩は小島と対戦。一歩攻略に絶対の自信を持つ小島は、一歩の突進にカウンターで対抗する。失神確定のパンチを受けてしまった一歩だが…

 話を引っ張るだけ引っ張っておいて、結果はワンパンチKOという、なんか馬鹿にされたような話の展開になってしまった。マジできつくなってきた感じがするんだが、そろそろ話を畳みに行くべき作品なんじゃないかな?
<A> <楽>
11'09'23 微刀・釵 刀語 第八話
西尾維新(検索) <amazon> <楽天>
 今や誰も足を踏み入れることのない死の地江戸に八本目の四季崎記紀の刀があるとの情報を得た七花ととがめは尾張経由で江戸に向かう。そこにあるという記紀の工房を守るのは、なんとからくり仕掛けの人形だった…
 刀集めの旅は、もはや時代劇と言うより完全なSFと化してしまった。本作の場合はとがめの幕府における立ち位置とか、否定姫との確執とかの方に重点があるっぽい。
11'09'22 ゴールド −黄金−
アイザック・アシモフ (検索) <amazon> <楽天>
 著者による掌編および短編を収録した最後の短編集。それと晩年の著者がSFやロボットについて綴ったエッセイ、小説の作法を書いたハウツーものを併せて収録する。

 ワン・アイディアのショートショートはSFの醍醐味でもある。実際この作品は面白く、流石SFの第一人者。頭のいい人が書くのは良いな。エッセイについても、晩年になっても失われてないSFマインドが素晴らしい。著者の作品の舞台裏も覗けるようで面白い。
 ところで表題にもなってる「ゴールド」は著者の「神々自身」をどうやって映像化するかというのも良かった。
11'09'20 強殖装甲ガイバー28
高屋良樹 (検索) <amazon> <楽天>
 クロノスを裏切りガイバーユニットを盗み出したヴァルキュリアの前に現れたのは、死んだはずのリヒャルト・ギュオーだった。そして手を組む二人。一方、潜伏中の晶の前に姿を現した顎人は、複製したギガンティックを装着して晶に命がけの勝負を挑んでくる。かつての仲間顎人の真意を測りかねながら、勝負を受けるしかない晶…

 随分間が空いてしまったので、状況が今ひとつわかりにくいのだが、前巻で思い切り広げた風呂敷を、少しずつ畳み込もうとしている状況は見て取れる。そろそろ終盤に向けての布石が置かれ初めてきたようだ。それにしても連載開始から四半世紀か。よく私もつきあってるな。
<A> <楽>
11'09'18 ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない (著)黒井勇人 <amazon>
 2ちゃんねるに書き込まれた同名のスレッドタイトルから始まる、一人の会社員がこの数年の間に経験した出来事を回顧し、何が限界であるのかを綴った、サラリーマンの悲哀をユーモアたっぷりに描いた作品。
 「電車男」と同じような感じで書籍化されたスレッド小説。ただちゃんとオチもきちんとしており、本になるだけのことはあると思う。読んでいて止まらなくなるし、終わり方もきっちりしていて、物語になってる。
 ただ、これを映画化したのは間違ってるとも思う。これは分解してテレビドラマにした方が出来は良くなると思うんだが…今度映画の方も観てみるか。
 ただこの後、映画の方を観てみたのだが、こちらは全然駄目だった。
11'09'17 東天の獅子・天の巻 第三巻
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 警視庁の武術試合に出場し、4人中3人が一本勝ちを収めるという快挙を成し遂げた講道館には次々と入門希望者がやってきていた。しかしそれは古流の反発を招くこととなる。そんな時、講道館の門弟を狙い野試合を挑み、しかもことごとく勝利を収める謎の人物が現れた…
 相変わらず面白く、一気に読ませてくれる作品だが、今巻の主人公は姿三四郎のモデルとなった保科四郎。そして志郎の使う大東流御内式が中心となる。しかし会津にこんなものがあったとは、出身地でありながら全く知らんかった。
<A> <楽>
11'09'15 大食い甲子園5 (著)土山しげる <amazon>
土山しげる (検索) <amazon> <楽天>
 大食い甲子園の予選大会が開始された。桃太郎高校の第一回戦の相手は、手練手管を使い、相手のやる気を失わせる倉敷白壁高校。相手のペースに飲まれてしまい、実力をなかなか発揮できないメンバーだったが…
 スポーツと同じで、ギリギリまで危機を煽り、大逆転という構図に則った物語展開。これはこれで正しいことなのだろう。それより「喰いしん坊」で出てきたハンター錠二が登場したというのが本作での一番の出来事だろうか?
11'09'13 R.P.G.
宮部みゆき (検索) <amazon> <楽天>
 連続して起こった二件の殺人事件。一見関係のない殺人に見えたが、警察が調査を進める内に、そこには共通性が見られることが分かった。一方の被害者所田良介はネット上で疑似家族を作っていた事から、警視庁はその“家族”を呼び出し、面通しをすることにしたのだが…

 表題のR.P.G.という言葉が全てを物語るワンアイディア作品。元々は短編で描くべき内容を強引に長編にしたような感じの作品なので、ややダレ場があったりするが、「模倣犯」と「クロスファイア」という言う著者の二つの作品に登場する人物が一緒に出ていたりと、そう言う遊びも面白い。
<A> <楽>
11'09'09 涼宮ハルヒの驚愕(前) 涼宮ハルヒの憂鬱10 (著)谷川流 <amazon>
谷川流 (検索) <amazon> <楽天>
 ハルヒと同じ能力を持つという佐々木の出現により、当のハルヒ自身が何も知らないまま大きな変化がSOS団に訪れていた。一方新年生でSOS団に入部希望する渡橋ヤスミという少女も現れ…
 前巻から随分経ち、内容もよく覚えていなかったりするが、やっぱりあの続きで、話は二つに分裂した状態で始められる。新キャラも何人か登場して、なんだか分からない状況。
11'09'05 ウルトラマン 下 (著)楳図かずお <amazon>
 著者による「ウルトラマン」コミカライズの下巻。ミイラ人間とドドンゴ、ドラコとギガスとレッドキング、メフィラス星人の登場する3編を収録する。
 3編ともたっぷり紙面を取っての物語。その分著者特有のホラー描写が映えており、読んでいて実に楽しい。こども用の作品でよくぞここまで描いたもんだ。今見ても感心出来る内容。でも、「ウルトラマン」とはこのような描写もちゃんと容認できる事が素晴らしい。
11'09'03 トットチャンネル (著)黒柳徹子 <amazon>
 音楽学校を出たものの、進路を全く考えてなかった著者“トット”は、たまたま新聞広告にあったNHKという新しい会社を受ける事にした。テレビ放送が始まり、ほんの僅かな時期に入社が決まったのだが、それが著者の芸能人としての始まりとなった。
 テレビ初期の時代の混乱を描いた作品だが、どこか天然な著者は様々なところで失敗もしてきた。その一つ一つのエピソードが面白い。ラストに「テレビは消耗品」というちょっとした皮肉が入ってるのも、著者がテレビに対して持っている気持ちが出ているようでよし。
 映画の方も前に観たが、明らかに原作の方が上だな。
11'09'01 悪刀・鐚 刀語 第七話
西尾維新(検索) <amazon> <楽天>
 とがめと七花の元に、七本目の刀の情報が入る。それはかつて刀狩りの末に幕府によって作られた刀大仏のある四国。しかも、その刀悪刀・鐚の保有者は、七花の姉、鑢七実だという。七花に対し「弱くなった」と言い放つ七実を倒さねばならなくなった七花だが…
 まさかの姉弟対決という展開。確かに日本最強の剣士は七実なので、どこかで対決はしないといけないのだろうが、本当に殺し合いになっていた。この辺の感情の欠如した物語展開は流石著者ならでは。別段褒めちゃいないけど。
11'08'31 ウルトラマン 上 (著)楳図かずお <amazon>
 「ウルトラマン」放映と時を同じくして雑誌掲載された著者によるもう一つの「ウルトラマン」。バルタン星人、ジラース、ガヴァドン、ヒドラの登場する四編を収録する。
 漫画版ウルトラマンと言えば、内山まもる版が有名だが、もう一つ忘れてはいけない著者版がある。内山版が出来るだけ低学年のこどもに対象を絞っているのに対し、こちらは高学年、あるいは大人が読むように作られていると言う対比が面白い。大体バルタン星人編なんてのは、そのまんまホラー漫画としても通用する位だから。ギャグキャラとしてイデ隊員を話の中心にすることでなんとか緩和しようという努力は認められるけど、当時低学年のこどもはちょっと刺激が強すぎたんじゃないかな?
11'08'29 東天の獅子・天の巻 第二巻
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 明治時代になり、全く新しい形の武術として誕生した講道館柔術。その古くからの武道を近代的な科学的見地から再検証し、誰でも教われる形にしたことから、その実用性は広まっていき、やがて警視庁の武術試合に招かれるようになった。だがそんな講道館に対し、古流の使い手達が各地で立ち上がり始める。
 一巻が講道館の人物紹介と言ったところだったが、二巻の主役達はそれを取り巻く古流の人々の強さを描いている。当時武術の盛んであった久留米、熊本、千葉のそれぞれの話で、実に楽しい。
<A> <楽>
11'08'27 シンシナティ・キッド (著)リチャード・ジェサップ <amazon>
 スタッド・ポーカーで実力を見せる若きギャンブラー、エリックは“シンシナティ・キッド”という二つ名を得ていた。そんなキッドが目標とするのは長年ポーカー界で“帝王”と呼ばれる男ランシー。そして彼はついにキッドの挑戦を受けた。二人の天才ギャンブラーの勝負の行方は…
 映画の方が好きで、原作を見かけたので読んでみたが、映画とは趣が随分異なる。こちらの方がしごくあっさり描かれ、いつの間にか終わり?と言った感じ。でもこれも又味わいがあり。映画を観直したくなってきた。
11'08'25 ツレがウツになりまして (著)細川貂々 <amazon>
 マンガ家の著者の夫でバリバリの商社マンが、突然鬱になってしまった。二人三脚で鬱を乗り越えるまでの二人の歩みを描いた作品。
 鬱に関しての書籍はこれまで結構読んできたが、実際に鬱のことを何も知らない一般人が、実際に鬱の症状を発症してしまった時、どう対処すべきかが、実地での体験を元にしているため、よく分かる作品になってる。
 鬱は特別なことではないが、長くかかる病気であることをちゃんと認識すべき。かかってる人は本当に辛いが。
11'08'22 東天の獅子・天の巻 第一巻
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 明治時代。全く新しい観点から日本で生まれた格闘技・柔術。これには加納治五郎という人物による理詰めの理論によってなされた。そしてその治五郎が時に自らスカウト、時に彼に惹かれてやってきた弟子の面々が柔術を形作っていった。彼らがいかなる人物なのか、想像を交えて描く群像劇。
 ここに描かれるのは加納治五郎を中心として、志田四郎、横山作太郎、そして武田惣角(この人は柔術じゃなくて合気道の創始者だが)と言った人物について描かれている。実在の人物達を、単なる伝記と言うよりは司馬遼太郎的な物語として描かれてた。姿三四郎のモデルとなった西郷(志田)四郎が会津の出身だとは知っていたが、合気道も会津出身の人物だったとは。意外な関わりも楽しめた。
<A> <楽>
11'08'21 最後の映画日記
池波正太郎 (検索) <amazon> <楽天>
 晩年になる著者の日記風映画レビュー作に、様々な対談やエッセイを併せて収録したエッセイ集。
 一応本作もエッセイと呼べるのだろう。流石小説家と言うべきか、短いながら映画評はとても適切で「こういう観方もあるんだ」と思わせてくれるところが立派。実際私もこれくらいのことが書ければいいんだけど。
11'08'19 ティターンズの旗のもとに 下 (著)今野敏 <amazon>
 エリアルドの罪状は重く、弁護に非常な困難を覚えるコンラッド。だが地道な努力により、一つ一つの罪を潰していく。ティターンズ時代のエリアルドに何があったのか。そして闇に葬られたもう一つのガンダム開発とは…
 過去と現在をザッピングしながら、ティターンズ戦争で何が起こっていたかを明らかにする。本当に“外伝”というのがふさわしいか。だけどMk-II以外にこれだけの強力なガンダムが出来たっての自体に違和感がなあ。
11'08'17 バクマン。14 (原作)大場つぐみ (画)小畑健 <amazon>
大場つぐみ (検索) <amazon> <楽天>
小畑健 (検索) <amazon> <楽天>
 シュージンが理想とする心理戦を描いたマンガをひっさげて新人が現れた。全て計算ずくでジャンプの連載にまで上り詰めたその男七峰透は、亜城木夢叶の大ファンだと言いはするが、敵意を露わにしてPCPに似た設定を紙面にぶつけてくる。だが彼のマンガの作り方には一つの秘密が…
 強力なライバル出現?と思われたが、いつの間にやら自滅して終わってしまった感じ。しかしこの複数の人間がネットを介して物語を作るというやり方は、ここでは悪いものとして出されているけど、実際は今のメディアの作り方としては逆に標準になりつつある作り方のようにも思える。だからこそ今それを描いてみたのかも知れない。
 今回も安定なのが平丸のエピソードで、どんなにシリアスになっても、この人が登場するとほっとさせられる。良いキャラを作ったもんだな。
11'08'14 ガラスの鍵
ダシール・ハメット (検索) <amazon> <楽天>
 博打打ちのネド・ボーモンは、親しくしている上院議員ラルフの息子テイラーの死体を発見した。ボーモンの証言から、ボーモンと関わりを持つギャングのボス、ポール・マドヴィグが容疑者に挙げられた。ボーモンはそこに胡散臭いものを感じていたが…

 著者自身のお気に入りだというハードボイルド小説。主人公は別段腕っ節が強い訳でもないし、拳銃もあまり使うことがない。ただ不思議と情報が向こうからやってきて、大物とも親しい。その上で度胸だけで世を渡っているのだが、だからこそそれがハードボイルド小説になるのか?
11'08'13 双刀・鎚 刀語 第六話
西尾維新(検索) <amazon> <楽天>
 鹿児島から尾張に向け出発したはずのとがめと七花は、何故か蝦夷にいた。丁度ここにも四季崎記紀の刀があることが分かっていたため、それもついでに蒐集しようと提案するとがめに乗った七花。だがその刀鎚(カナヅチ)を持つ娘、凍空こなゆきはあまりに埒外な怪力を持つ少女だった。剣士としては全くの素人であるこなゆきに見事に敗北を喫してしまう七花…
 これで丁度半分。どんな剣の達人であっても、何も考えてない怪力だけの少女には負けてしまうと言うのは、ある意味面白い視点ではあり。
11'08'11 月光条例14
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 《昔語り》月打された「青い鳥」のチルチルはマッチ売りの少女と共にアラビアン・ナイトの世界に立て籠もり、そこで月光条例執行者達を待ち受けていた。次々に強大なチルチルの魔法によって執行者達は倒れ続けていく。
 そして、現代で、やはりアラビアン・ナイトの世界にやって来ていた月光は、自らが何者であるのかを悟っていた。
 一応過去編のチルチルの話は結論が付いた。しかし、それでは問題として何故チルチルは再びアラビアン・ナイトに戻ってきたのか、そしてその目的と、そして何故月光自身がチルチルの記憶と顔を持っているのか。その辺はまだ明らかにされていない。はてさてどんな物語展開になって行くやら。
<A> <楽>
11'08'09 ティターンズの旗のもとに 上 (著)今野敏 <amazon>
 一年戦争後、ジオン軍残党狩りを目的として地球連邦内に設立されたエリート集団ティターンズ。豊富な資金力を元に新しいMSの開発を行っていたが、そんな新型機のテスト小隊マーフィ隊に配属された若きパイロット、エリアルド・ハンターは、後のティターンズ戦役の後軍法会議にかけられてしまう。彼の弁護を引き受けたコンラッド・モリスはエリアルドとマーフィ小隊の足跡を追う。
 「機動戦士Zガンダム」で登場したガンダムMk-IIとは違った経路で作られたガンダム開発史を描く訳だが、Mk-IIとは全く別経路でガンダムが開発されていたと言う設定が結構無理があったり、新型の訓練がことごとく実践によるものという物語にも無理はある。でも本来ガンダムを保有すべきは地球連邦であるティターンズ側にあるというのは理解できるか。
 ただ、こういった「語られざる歴史」って奴には結構弱かったりする。
11'08'05 エリザベス・テイラーの挑戦 (著)エリザベス・テイラー <amazon>
 世紀の美女と呼ばれた恋多き女優エリザベス・テイラー。一線から身を引いた後、極端な肥満と、そこからリハビリを経て体型維持へと持っていった彼女の努力を、自らの筆で描いた半生記。
 本書の前半は子役から始まった著者のフィルモグラフィと、そこで結婚した男達のことについて、本人の目から見た結婚生活について述べられ、後半は摂食障害に悩まされつつ、それをいかに乗り切ったのかが描かれている。はっきり言って後半はどうでも良い感じだが、前半はなかなか興味深い。特にその時代の役を思い起こしながら呼んでると。
11'08'04 パレスチナに生まれて
ナージー・アル・アリー (検索) <amazon> <楽天>
 パレスティナ出身で、クェートで風刺漫画を連載していた著者。その内容の過激さから様々な筋から恨みを買い、50才で暗殺されてしまった、その著者の漫画を抜粋し、時代の移り変わりと絵の内容の変化を考察する。

 たまたま本書の訳をした人と知り合って、その方から紹介されて購入した。風刺の内容がイスラエルやアメリカだけでなく、パレスティナの指導部やオイルマネーに目が眩んだアラブの庶民全体にも向けられており、相当攻撃的な描写になっていた。なるほどこれでは恨まれる訳か。
 繰り返し眺めていこうかと思っている。
<A> <楽>
11'08'02 司馬遼太郎 全講演4 (著)司馬遼太郎 <amazon>
 著者が1988年から1991年に至るまで日本各地で行った講演をまとめた講演集。
 相変わらずの鋭い指摘と、これからの日本の行く先を見る視点はさすがと言える。ただ、ネットが発達した今となっては、著者の言葉も様々に形を変え、孫引きの引用が溢れすぎてると言う事実もあり。この手の情報も溢れているので、何も考えずに受け入れればいいと言うものではなくなっているのも感じさせる。
11'07'28 賊刀・鎧 刀語 第五話
西尾維新(検索) <amazon> <楽天>
 五本目となる刀を蒐集するため七花ととがめは薩摩へと向かった。そこの海賊の長、校倉必の持つ賊刀・鎧。だがそれは刀とは名ばかりの、どう見ても巨大な鎧にしか見えない代物で、しかもそれを装着する校倉はとがめに一目惚れしたと宣言した上で、七花に勝負を挑むのだった。
 曲がりなりにもこれまで蒐集してきたのは“刀”だったはずだが、いきなりそれが鎧になってしまうと言う変な話で、やはり人を喰った話となっている。尚、ここでようやくとがめの「チェリオ」の真実が明らかになるのだが…
11'07'27 修羅の門 第弐門2
川原正敏 (検索) <amazon> <楽天>
 神武館に現れた陸奥九十九は、相変わらずの性格のままだった。そして謎のマスクマンと格闘技トーナメント兵で試合うこととなった二人だが…
 謎のマスクマンの正体が発覚する。だけど、本当に誰?と言う話だった。確か最初の1巻で出てきた何人かの一人だったと記憶してるが、引っ張った割にはたいしたことなかったな。それより、話が始まってるのか始まってないのか、その辺がよく分からないのだが。
11'07'25 たたり (著)シャーリイ・ジャクスン <amazon>
 曰く付きの“丘の屋敷”と呼ばれる幽霊屋敷を調査すべく、モンタギュー博士は霊媒体質を持つと思われる数人の男女に同行を願い出る。その調査に集まったのは、エレーナ、セオドラという二人の女性、そして“丘の屋敷”を受け継ぐはずのルークという青年だった。早速泊まり込む一行だったが、その屋敷は聞きしに勝るおかしな場所だった。
 古典ホラーの傑作と言われる作品だが、確かに名作と言われるだけのことはある。実際被害者が出る訳でもないのだが、だんだん追いつめられる心情を細かく描くところに本作の面白さがある。惜しむらくはやはり名作と言われている映画版がまだ観てないと言う事だが。
11'07'24 虫眼とアニ眼
養老孟司 (検索) <amazon> <楽天>
宮崎駿 (検索) <amazon> <楽天>
 アニメーション作家、解剖学の教授という肩書きを持つ二人が自分たちが考える日本人の生活について語り合い、危機にある現代のこどもの事を伝えようとした作品。
 時代としてはもののけ姫から千と千尋の神隠しに至るまでに複数にわたって行った対談が元となっているのだが、基本的な考えは二人とも変わってないので話は一貫してる。逆を言えば、ずーっと同じ事ばかりを繰り返して話しているとも言えるのだが。面白い作品には違いないけど。
11'07'21 マンガで分かる心療内科3 (著)ゆうきゆうソウ <amazon>
 心療内科シリーズ第3巻。今巻はED、強迫性障害、過食症、ニコチン中毒、等々について症例と治療法を紹介する。
 ますます家族が増え、暴走も激しくなった感じがするが、相変わらず楽しいので良いか。実際これでそこそこ役立ってるのも確かだし。
11'07'20 薄刀・針 刀語 第四話
西尾維新(検索) <amazon> <楽天>
 都合3本の四季崎記紀の刀を手に入れた七花ととがめ。四本目はかつてとがめと共に薄刀・針を手に入れ、そのまま逐電した錆白兵が持っている。最強の剣士と名高い錆に対する攻略とは…そしてその頃、かつて七花が住んでいた不承島へと向かう真庭忍軍の姿があった…
 最強の剣士との戦いが展開する…はずの作品なのだが、本作のほとんどのページは七花の姉七実の恐ろしいほどの強さの描写だけで終わってしまうと言う、はっきり言ってふざけた物語になってしまった。まあ、そう言うケレン味って私は大好きだが。
11'07'18 フォトン3 (著)黒田洋介 <amazon>
 いつの間にやら旅の仲間が増えてしまったフォトン一行と、銀河を手に入れるために執拗にキーネを狙うパパチャ。そんな一行の前に腹に一物あるような人物が現れたり、謎の人物が現れキーネを守ろうとしたり。そんな旅の様子を描く。
 アニメとは結論が違ってしまった小説版だが、はっきり言って投げ出したとしか思えない物語展開で、なんかもう単なる無茶苦茶で終わったと言う感じ。これだったらまだアニメ版の方がまとまってたような?あれはあれでかなり凄い投げだしっぷりだったんだが。
11'07'16
のだめカンタービレ11 (著)二ノ宮知子 <amazon>
 プラティニ国際指揮者コンクールに出場した千秋。同じヴィエラの弟子であるジャン、日本から来た片平と共に最終選考まで残り、見事栄冠を手にする。しかし、その後あっという間にシュトレーゼマンのエージェントに拉致され、その事務所で働くことに…
 千秋、のだめそれぞれが自分の進む道を模索中…とはいえ千秋のほうは半ば強引に進路が決められてしまってるけど。なんと言うか、師匠を選ぶことはできない けど、そのために苦労するってのは実際よくあるから…思い出すだけで赤面の至りになった瞬間まであった。一方のだめは同じく音楽を極めたい学生連中とわい わいとやりながら悩み中。
11'07'14 竜の歌 パーンの竜騎士4
アン・マキャフリー (検索) <amazon> <楽天>
 半円ノ城砦に住む太守の娘メノリは竪琴師に見いだされた見事な詩の才能を持っていた。だが砦のしきたりを何よりも大切とする厳格な父から音楽に関すること一切を禁じられてしまう。それでも歌を歌いたい彼女は思いあまってついに砦から脱出する。だがその日、胞子の群れが地上へと降り注ぐ…
 一応4巻と言うことになってるが、実質的には2巻と3巻の間の出来事で、どうやら書かれたのもその間に外伝としてらしい。そう言えば3巻に突然出てきた竪琴師メノリって誰?って感じだったのだが、ここでようやく分かったよ。実質4巻と言うより外伝1としたほうがしっくり来る作品だった。
11'07'11 サイレントマイノリティ
塩野七生 (検索) <amazon> <楽天>
 イタリアに長く住む著者が、イタリアから見えてくる日本の姿と、イタリアの歴史を通じて思う事を綴ったエッセイ集。

 著者はこれが別段啓蒙のためでも、日本の将来について書いたものではないと言っているが、言っていることが一々正論なので、なるほどこれは参考にはなる。大切なのは読み手側がどのように受け止めるかと言うことになる。まあそれが普遍的な真理とも言えるか。
<A> <楽>
11'07'09 アオイホノオ6
島本和彦 (検索) <amazon> <楽天>
 庵野と赤井(と山賀)が自主アニメーションの世界に足を踏み入れるかどうか、激しく悩んでいるその傍らで、ホノオはどうしても受からない自動車免許に激しく落ち込んでいた。だが時は着々と流れ、長かった夏休みも終わろうとしていた…

 前巻が延々と自動車教習の話ばかりだったが、ここでもそれは尾を引き、なんでこんなにまで?と言うレベルで話を引っ張ってる。著者は相当嫌な思い出があったんだろうな。いや、それより相変わらず他のメディア作家(とそれに付随する人)に対するネガティブキャンペーンは続いていて、今巻は特に山賀の扱いが酷すぎる状況。更に今巻で大友克洋と岡田斗司夫の名前が出てきた。後に色々とあることになる岡田と山賀が次で出会うことになる…んだろうな。その辺の経緯が気になるところだが。
11'07'07 ハツカネズミと人間 (著)ジョン・スタインベック <amazon>
 怪力の持ち主だが自ら判断することが出来ないレニーと小男ながら目端が利くジョニーの幼なじみの二人は渡り労働者として様々な土地で働いていた。しかしいつもレニーが問題を起こし、長くそこには居着くことが出来ないが、二人で夢を語り合い、それなりに折り合いを付けてこれまでやってきた。そんな二人が新しい農場へとやってきた。ジョニーは如才なく仲間とやって行けそうだったが、しかしレニーは再び問題を起こしてしまい…
 不況時代の民衆を描いた作品の一本で、何度か映画化もしている作品。「怒りの葡萄」も近い作品だが、こちらは政治的な匂いがないため、映画化はしやすい作品なのかな?
11'07'03 オールタイムベスト 映画遺産200 日本映画篇 <amazon>
 キネマ旬報が定期的に行っているオールタイムベストの新世紀版。これまで上映された全邦画から、著名人による投票によってベスト200を決めるといういつもの形式で行われている。
 私も結構な数だけは観ているものの、未だに理解できないものが上位にあるとなんとなく悔しい。
11'07'01 はじめの一歩96
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 何かと一歩に突っかかる小島との防衛戦を控え、一歩は自らの感情の持って行き場を見失っていた。そんな小島の本当の思いは…そしていよいよ始まった対戦で一歩と小島は何を見せようというのか?

 多分消耗戦というか、あっけなく終わることになる試合なのだが、妙に試合を引っ張っていて、いい加減苛々する部分もあり。ちょっと話としても今ひとつといった感じか?でも結局買い続けてしまう訳だが。
<A> <楽>