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特警ウインスペクター

特捜ウインスペクター事典
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 1990'2'4〜1991'1'13

 「メタルヒーローシリーズ」の第9作。本作から三作続けてがレスキューシリーズと呼ばれる。具体的な敵組織は出てこず、単発で犯罪者やテロリストと戦うが、逮捕よりも被害を食い止めたり、被害が出てしまった場合に巻き込まれた人たちを救うことが主目的となっている。毎回個性的な着ぐるみ怪人が出てくる訳ではないが、その分レスキューの大がかりな特撮に力が入っており、飽きさせることはなかった。
 ヒーローは複数キャラとなるが、人間は一人で、後の二人はロボット。これによってスーパー戦隊との差別化が出来ている。

主な登場人物
香川竜馬
ファイヤー
(役)山下優。本作がほぼデビュー作。
 ウインスペクターのリーダーで肩書きは警視庁警視正。ウインスペクターの出動時にはファイヤーに着火し、様々な活動を行う。少年時代に火事で両親を亡くしており、それが人命救助を志すきっかけとなった。何よりも人命救助を最優先する。
バイクル (声)篠田薫。多くの特撮作品での声を当てている。愛知出身のため名古屋弁キャラを演じることも多い。
 ウインスペクターのサポートロボットで両肩に装着されているバイスピアー武器とする。黄色いボディに両肩を回して歩くのが特徴。何故か名古屋弁で喋る。胸についている車輪によって走行も可能だが、構造状方向転換が出来ないため、よくぶつかる。
ウォルター (声)平井誠一。声優よりもナレーターとして有名。
 ウインスペクターの一員のサポートドロイド。色は緑で、空を飛ぶことが出来る。冷静な物言いで、バイクルとは良い相棒関係。
正木俊介 (役)宮内洋。特撮界では最も有名な俳優の一人。
 特捜を作り上げ、その長官に収まった人物。正義感は強いが、あくまで人命救助を最優先するその姿勢はそのまま特捜の理念になっている。役は宮本洋。
藤野純子 (役)中西真美。
 ウインスペクターの一員。情報捜査官で、主に情報分析が仕事だが、困った人を放っておけない性格をしている。拳銃の腕は警視庁一。
小山久子 (役)小栗さちこ。
 警視庁秘密捜査官でウインスペクターのサポートを行っている。普段は喫茶店CHACOを経営しているが、正木の出動要請を受けると喫茶店を閉めて活動開始する。
野々山真一 (役)大林勝。スーツアクターで、数多くのヒーローや怪人の中で活躍している。現在も活躍中。
 ウインスペクターのメカニック担当。バイクルとウォルターの修理を担当する。天才的な技術力を持ちデミタスやウインチェイサーを作った。
デミタス (声)二又一成。ヴェテラン声優。特撮の声も多く当てている。古くは「恐竜戦隊コセイドン」のコセイダーなど。
 新たにウインスペクターの仲間となった小型ロボット。口が悪いのが難点だが、サポートドロイドの修理やスパイ活動など多くの活動に使用された。元々は野々山のチェスの相手として作成されたらしい。
マドックス (声)岸野一彦。ヴェテラン声優。戦隊ものでは何体もの怪人の声を当てている。
 ウインスペクター本部のスーパーコンピュータ。会話によって情報を引き出す。
六角虎五郎 (役)佐藤信一。特にメタルヒーローシリーズではよく登場した強面俳優。
 警視庁の警部。割と単純な性格でよく騙される。ロボットが捜査を行うことをあまり良く思っておらず、あくまで人力での捜査にこだわるが、そのためによく危機に陥る。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 赤ちゃん暴走!

  脚本:杉村 升
  監督:東條昭平
 1999年。高度な技術大国となった日本だが、その分凶悪な犯罪も横行していた。月面作業用ロボットのR24が暴走し、高沢博士の孫娘をさらってタンクローリーで逃走する。凶悪犯罪に、警視庁特別救急警察隊ウインスペクターの出動が許可された。
 敵はR24。月面作業用のヒューマノイドロボットで、高沢博士に恨みを持つ黒田博士によって暴走させられ、タンクローリーで高沢博士の研究室に突っ込もうとする。
 前作「機動刑事ジバン」の後を受け、警察組織としてのヒーローを描いた作品。凶悪犯罪を起こす犯人は決して組織だってはおらず、単独犯という特徴がある。今回はそれでもロボット然とした敵だが、これが大きな特徴となる。
 正義のヒーローも三人登場するが、あくまで主人公は一人。後の二人はロボットで、サポートに徹するというのもキャラがはっきりしている。又この二体のロボットの性格も際だっているので、キャラ性としても見所は多い。特にバイクルはコメディ要員としてかなり上手い造形ぶりをしてる。
 今回登場した黒田博士は黒部進が演じている。言うまでもないが「ウルトラマン」のハヤタである。カップラーメン啜りながら下卑た笑いをしてるのが良い感じ。ウインスペクター長官の正木俊介が宮内洋なので、古い特撮ファンへのファンサービスとしては充分だな。
 あくまで犯罪人は人間と言うことで、着ぐるみアクションの戦いはないが、その分破壊工作とかの演出はかなり力入ってる感じ。
<ロボットR24は、傷付けられると顔半分がロボットのものとなる。どう考えても機械の方が地の顔よりも大きい…というか、全般的にモロにT-800そのものなんだが。
 これで結構ちゃんとした警察ものの作品になってるので、ツッコミ所はあんまりなかった。>
VOL.1
<A> <楽>
第2話 笑うラジコン弾!

  脚本:杉村 升
  監督:東條昭平
 手製の高性能爆弾を積んだラジコンを使い様々な施設を爆破していくラジコンマニアの男安達。秘密捜査官小山久子は捜査を開始するが、その行動に不審を覚えた久子の弟良太と竜馬の妹優子は久子を尾行するのだが、そのビルで爆弾が爆発し、優子がエレベーターに閉じ込められてしまう。
 今回は爆弾魔の破壊工作に、人命救助を行うウインスペクターの活躍が描かれる。敵がモンスターじゃなく、普通の人間なので、かえって新鮮な感じがある。話のメインは救出活動の方で、犯人逮捕は本当にあっさり終わってしまう。
 前回同様、着ぐるみが出てこない分、ビル破壊の特撮には大変力が入っていて、これはこれで大変見所が多い。
 今回活躍するのはウォルターとバイクル。ロボットだけに、最初は修理中で生首状態で登場していたり、気合いで救出活動を続けていたりと、ロボットにしてはあまりに人間くさい行動が目立つ。
< エレベーターを引き揚げようとするバイクルとウォルターは、その重さに潰されそうになってるが、バイスピアーを取り出した時はほとんど力を込めてない。
 ファイヤーに着化した竜馬は爆弾男の立て籠もるビルに走って移動してる。8マンみたいだけど、何故わざわざ車の中で着装してるのに車を捨てる?
 安達は複数のラジコンを一つのコントローラーで動かしてるみたいだが、どうやって微妙なコントロールをしてるんだろう?
 エレベーターに閉じ込められた優子を救い出すことには成功したが、あのビルに他に人はいなかったんだろうか?
 今回の犯人の犯罪動機はラジコンの遊び場が無くなったからその腹いせに爆破をしてるとのこと。かなり凄まじい動機ではある。>
第3話 友情に乾杯!

  脚本:宮下隼一
  監督:小笠原猛
 いつも遊んでいる空き地から、地主の息子テツオによって追い出されてしまう良太。テツオとは絶交宣言をするのだが、そんなテツオが蛇に噛まれてしまった。しかもそれは産業スパイが生物科学研究所から盗み出した特殊な毒蛇で、そのワクチンも又盗まれてしまっていた…
 怪人は存在せず、暗躍する産業スパイと、毒蛇に咬まれてしまった少年の命を助けるために活躍するウインスペクターの活躍が描かれる。良太が話の中心となり、友情話と、そんな良太を襲う悪人も登場。昔の刑事ドラマの一編っぽい話でもある。怪人が出ない分、人の命を救う事に集中してるため、ドラマとしてはかなり良い具合に出来てる。
 ウインスペクターは警察なので、人命救助が第一。悪人でもそれが人間であれば殺さずに救助すると言うのが特徴でもある。火に巻き込まれたヘンリー野口をちゃんと救っているのも特徴付けられてる。
 今回出てきた鶴亀コンビはちびっこギャングというお笑いコンビだが、片方の越川大介は声優の島本須美の旦那さんだとか。
<蛇に噛まれてしまったテツオを助けるために良太が電話をかけたのはウインスペクターの本部。救急車が先じゃないか?でも選択は間違ってないんだけど。
 秘密を知ったからという理由で良太をドラム缶に入れて埋めようとする鶴亀コンビ。非情な悪人だが、何でそんな手間をかける?
 アジト近くにやってきたウインスペクタートリオを見たヘンリー野口は「まとめてブリキにしてやる」と言って重機を用い、更に備えてある銃を乱射してる。産業スパイじゃなくて傭兵なんじゃないか?ちなみにウインスペクターの一人は人間なので、ブリキじゃなくミンチになる。>
第4話 命を運ぶドロボウ

  脚本:宮下隼一
  監督:小笠原猛
 川辺美穂という少女を人質に取った宝石泥棒を追いつめたウインスペクター。だが警察の勇み足で美穂が建築現場から落下し、重体に陥ってしまう。美穂の命を救うには生体肝移植が必要なのだが、唯一の適合者である美穂の兄田島は現在手配中の金庫破りだった…
 少女の命を救うため使命手配犯を追うウインスペクターの活躍が描かれる。妹を思う犯人の心をおもんばかり、必死に彼を捜す面々の姿あり。そして今回は軽快厳重の金庫室からの逃走劇がメインとなる。極限状態における人の感情を描いた話で、特撮である必然性はあんまりないが、上手く出来た話に仕上がってる。
 ちなみに銀行強盗の田島役は松井哲也。「仮面ライダーBLACK RX」のダスマダー役で、現在はアクション監督をやってる人。
<人質を取って逃げ回る犯人の映像を見て「よし。出動だ」と言う正木本部長。この組織って依頼によってではなく、本部長の独断で出動するのか。それよりもしっかりポーズを取ってるのが流石だ。
 金庫の地下をぶち破り、その穴から飛び出すウォルター、バイクル、竜馬。お家芸の逆回転を使っているが、ウォルターとバイクルはロボットだからという理由が付けられるが、生身の人間が腕組みしながら飛び出してくるのは不自然だぞ。
 防犯システムを見直し、軽快厳重にしたという銀行の金庫だが、レーザー銃を使ったり自爆装置が働くとかやばすぎるだろ。これどこの国の物語だ?>
第5話 襲う!巨大怪鳥

  脚本:高久 進
  監督:三ッ村鐵治
 バイオ関連の実業家が次々鳥に襲われるという事態が発生した。襲われた人物の服には金色の塗料が
 一種の自然災害をモティーフにした話。一応犯人はいるものの、自然破壊を主題にした話で、特撮には時にこういう作品が必要だ。
 改造され、自然に戻ることが出来ない鳥のことを真剣に心配する竜馬。一方、危険過ぎる生物兵器になってしまった動物を駆除すべきと言う命令に、苦悩する姿が印象的な話になっている。
 金色の塗料に攻撃をかけるよう調教されたコンドルに、相性の悪いバイクルは鳥に襲われ逃げ回っている。ロボットなのにこういうキャラにするのはなかなか味があるものだ。意外なことに高所恐怖症だったりする。
<カズオ少年が保護したコンドルは勿論作り物だが、造形が怖すぎる。ほとんどモンスター。
 4年前にコンドルを保護したというカズオだが、その姿は変わってない。どんだけ成長遅いんだよ。
 カズオの言葉を受け、コンドルを引き取ったという科学者の家を操作する竜馬。捜査令状も無しにこどもの証言だけで強制捜査するとは、特捜の権限は凄く高いようだ。
 崖を登るファイヤーとバイクル。だけど体が思い切り宙に浮いてるぞ。
 結局生物兵器となったコンドルに対し何にもしなかったんだが、警察としてはこれで良かったのだろうか?>
第6話 子供に戻った両親

  脚本:扇澤延男
  監督:三ッ村鐵治
 良太の友達邦男少年の両親が突然おかしくなってしまったという。精神が幼児返りを起こしてしまい、パパは相撲取りに、ママはアイドル歌手になろうとしてしまう。この事態を究明すべく正木は捜査を命じる。竜馬と純子は邦男の両親がハッピークリニックという診療所に行ったことを突き止めるのだが…
 怪人によって大人の精神をおかしくしてしまう話ってのはこれまでにも結構あったが、これを行ったのが普通の人間というのがこの話の面白いところ。特に今回の医者は、人のストレスを解消しようという善意から始まっていたため余計始末が悪い。
 これだけでは事件は簡単に解決してしまうため、その後操られた人間達によるテロ行為が始まり、それを防ぐために特捜が活躍するという形へと話を持って行っている。
 こういう災害に際して力を発するウォルターとバイクルの姿がかなり格好良く描かれている。火薬や建物破壊など、かなり力が入っているのも着ぐるみを使う必要が無いために出来た上手い演出。
<目の前で液体火薬が爆発してるのに無傷の大人達。無理あるよな。
 そもそも自分の研究が認められないからと言って、それを破壊活動に用いる事自体がおかしいのだが。人を操る力があるなら、もっとこそこそ自分の利益になることをやってれば良いのに。
 操られていたからという理由で、日常生活に戻っていく大人達。法的には難しいところだな。>
第7話 幸せ祈る聖少女

  脚本:藤井邦夫
  監督:東條昭平
 不良に絡まれていた良太を助けた竜馬だが、そこには既に良太を守ろうと一人の女子高生が立ちはだかっていた。ところが彼女は脱走した凶悪犯影山によって拉致されてしまう。
 犯罪を裁くと共に人の心を救うという本作の目指す部分が明確になった話。人間ドラマの方に力を注いでいることが分かる。特撮作品としてはかなり異色だが、これが良い特徴になってる。メタルヒーローとしての活躍はラストのほんの短い間で、後はほとんど会話で構成されるというのも思い切った演出だ。
 ただ、戦いのシーンはかなり集中的に凶悪犯との銃撃戦が展開するが、敵が人間にしてはえらく苦しめられてたり、メリハリもちゃんと付けてる。
 今回はダメ親父と、それを支える心優しい少女。それに凶悪犯が絡みながら、ダメ親父の更正をメインに取っている。ダメ親父の心の動きがなかなか秀逸だが、こども向きではないなあ。
 ファイヤーの登場を劇的にするため、今回は着化のシーンはなし。突然現れて犯人の銃弾を防いでいる。
 今回は何気なく配役が豪華。ダメ親父役が中田譲治(「ライブマン」の大教授ビアス)、娘役に湯原弘美(90年代東映特撮のゲストキャラに多く出演)、凶悪犯役に堀田真三(70年代東映特撮の悪役で有名)。この人の声はいつも特徴がある。
<影山は犯罪のプロだと言うが、日本国内でほとんど軍隊のような武装を持っている。凄まじい設定ではある。
 両手を広げ銃弾から親子を守るファイヤーのポーズは前作ジバンのものと同じ。スーツアクターが同じなのか?
 挿入歌を歌っているのは宮内洋。いつ聴いてもこの人の歌って…いや、なんでもない。>
第8話 脱線!親子救急隊

  脚本:扇澤延男
  監督:東條昭平
 新型ジェット燃料を奪おうとする産業スパイ団。その首領の米倉は検問を突破するためある探偵事務所に目を付けた。その大曲探偵事務所の所長は、なんと米倉とそっくり。しかもそこは娘の発案でウインスペクターの向こうを張った何でも屋を開業していた…
 自警団を題材にした話。ヒーローものだとたんなる痛々しいものになってしまうものだが、殊救急隊を主人公にしてるからこそそれなりに楽しく出来る物語でもある。こういう小さな話も出来るのがこの作品の面白いところだろう。
 ウインスペクターに出来ないことを救急隊がやるという姿勢は結構重要だと思う。お陰でとてもポジティブな話に仕上がった。
 大曲探偵事務所の所長とギャング団の米倉は二瓶正也の二役。言うまでもないが「ウルトラマン」のイデ隊員である。コミカルな演技が上手い人物だが、やっぱり渋めの演技をさせようとするとちょっと違和感あり。
<今回バイクルの訛りは名古屋弁ではないようなんだが、言語回路がおかしくなってるんじゃないか?
 衝撃を与えただけで爆発するというジェット燃料。それって欠陥品…
 それにジェット燃料入ってるトランクってかなり揺り動かしてるみたいだけど大丈夫なのか?
 ファイヤーのヘルメットを脱いだ時に汗だらけになってるのはいつもの演出だが、今回ファイヤーに着化した時間って一分未満じゃないのか?竜馬ってとっても汗っかきなんだな。>
第9話 爆弾じかけの犬

  脚本:高久 進
  監督:小西通雄
 かつて正木に逮捕されたことを逆恨みした爆弾魔が正木家を狙い、飼い犬のアレックスの首輪に爆弾を仕掛けた。
 初めての正木部長中心回。演じる宮内洋は元バリバリの特撮俳優だけあって今回も身を張ったアクションを見せてくれる。というか、これだから「爆発好き」なんて言われるんだ(笑)。一方救急活動の邪魔ばかりしてしまう正木家のこども春男。警察官の身内の癖に素直すぎるぞ。
 同時にウインスペクターの設立の話でもあり。特別救急警察隊とはかつて久子の父小山正信が構想したものであり、その意志を継いだ正木が作り上げ、そして息子の久子が秘密捜査官となったという。
 今回は爆弾から市民を逃がすためにファイヤーがやったのは犬と一緒に走ることだけだった。それなりに緊張感はあるのでこれで良いけど。
 バイクルには高性能の臭い探知機が付いていることが分かったが、わざわざ鼻(?)くっつけて臭いを嗅がないとダメらしい。この人間くささが面白いところではあるが。
 小山正信役は伴次郎。東映特撮では数々の主役を張った人物。ぴったりと言えばぴったりな役だな。
<爆弾を胸に抱えて爆死したはずの正信だが、その遺体は全然傷ついてないようだ。
 犬の名前は新聞には「アレックス」と書かれているのだが、劇中では「アレック」で統一されている。
 一応警視庁の一員である正木だが、その制服姿は何故か妙に浮いていたりする。実際の警官が横に立っていると、本物とは随分違って見えるんだな。
 時限爆弾作動一秒前にアレックスの首から爆弾を外すファイヤー。ファイヤーは装甲服で助かるかも知れないが、アレックスは確実に死んでるはず。ぴんぴんしてるけど。
 今回も着化した後の活動時間は実質3分位のはずだが、竜馬はもの凄い汗をかいてる。>
第10話 大人をやっつけろ

  脚本:杉村 升
  監督:小笠原猛
 こども達による悪質なイタズラが横行していた。保護した警察には、自分たちが大人たちによって、やってもいないマンション放火の犯人にされたので、その仕返しなのだと言う。そうして真犯人を割り出していこうとしたのだが、逆に犯人によってこども達が捕まってしまう。
 タイトルは結構ふざけているが、ファイヤーの強化装甲服グラステクターの性能についてかなり突っ込んだ話が出ている。装着時間は僅か5分に過ぎず、それ以上の装着は出来ないと言う事がここで明らかになった。あらかじめその伏線を張った後、今回活動限界を超えてもなお人を救うために活動しているファイヤーの活躍が見所。これまでの中で最も危険な任務となったようだ。
 前半はこどもと警察の追いかけっこ。警察相手にイタズラとはなかなか肝の据わったイタズラだが、そこでちゃんと理由があった。子供心を踏みにじるのは大人の特権。だがこどもがそれに黙っているだけではない。曲がったことは、たとえ大人相手でも信念を曲げないことは、それはそれで正しい。
 優しげな不動産屋が実は地上げのための放火魔を繰り返したというのは、時代劇を思わせるよな。ただこども番組で地上げ屋って単語が出てくるのは難しいかな?
 今回の救出活動は中身が人間であるファイヤーが行うとしたら非常に危険なものだったが、超音波によってサポートロイドが動けないという設定があってのこと。結構その辺きっちりしてるようだ。大変バランス良く仕上げられた話と言って良いだろう。
<グラステクター装着テストでは高木本部長がノリノリ。一々ポーズを取ってスイッチを押す辺り昔の「ゴレンジャー」のアオレンジャーに戻ったみたい。そしてグラステクター装着時間は5分ということが分かったが、これって「快傑ズバット」か?
 大人の目で勝手にこども達が放火犯と決めつける大人達。普通あり得ないことなんだが、まあ特撮だからこれで良いのか。
 地上げのためにマンションを破壊するって、それいくらなんでも飛躍し杉なんだが?失敗した時のリスクが高すぎる。
 マドックスは都内に発生した超音波まで感知できる。凄い性能には違いないが、これって一種の盗聴じゃないのか?
 ツッコミじゃないけど、5分の活動限界を超えても動けた竜馬をオーバーなほど喜んでる正木本部長。かつて自分では出来なかったことだからか?>
第11話 良太の初恋急行便

  脚本:宮下隼一
  監督:小笠原猛
 濃縮ウランの強奪をもくろむ犯罪団。ウインスペクターの妨害を防ぐため、首領の神崎が取った方法とは良太と友達のあかねを人質に取り、警備活動をしている竜馬を強奪犯の一員にしてしまうことだった。良太を助けるため苦境に立たされる竜馬だが…
 特撮には定番とも言える子供を人質に取られ、手も足も出ないヒーローの姿が描かれる。怪人は出てこないが、だからこそ切実な話になってる。こういう方法はむしろ一般人が使うからこそ効果的なのだから。
 ここで重要なのはヒーローの仲間を信じる心と機転。そしてその機転を察する信頼厚い上司。上手いことその物語を展開させてくれている。尺は短いながら細かいところまで作り込まれて普通の刑事物としてもちゃんと物語は成立している。
 特撮アクションとしても水準以上で、ウインスペクターを標的にしているため、悪人側がちゃんとそれなりの用意をして待ち受けている。そのため、普通の人間相手にかなり苦戦を強いられている。
 今回重要な役割を果たしているのは正木本部長。竜馬が送っている意味不明の通信がモールス信号であることをちゃんと受け止め、適切な処置を取っていた。ラフな格好して前線に来ているし、アクションもこなしてる。格好良いぞ。
 一方、竜馬を信じようと茜を力づける竜馬の姿も良い。顔は完全に引きつっているが、それが上手いところ。
<パトカーの後ろに胡散臭い車がついてきてるのに、それを完全無視する護衛の車。職務怠慢だぞ。
 逆さづりとなっているウォルターとバイクルのロープを切るファイヤー。この場合頭から落ちているはずだが、落ちた時は二人とも背中からだった。
 神崎はミサイルランチャーでファイヤーを攻撃しているんだが、四連装なのに6発以上発射してる。>
VOL.2
<A> <楽>
第12話 僕の友達ロボット

  脚本:鷺山京子
  監督:小笠原猛
 アキオ少年はスイスにいる父からプレゼントをもらった。それは持ち主と共に成長し、その良きパートナーとなるよう開発された「コンパニオンロボット」だった。しかし未完成のそのロボットは防衛システムが暴走してしまい、近寄るものを攻撃するようになってしまう。
 第1話以来ようやく着ぐるみの敵が登場。ただし、それは本来の敵ではなく、子供のために作られたサポートロボットの暴走によるもの。だから話としては子供とロボットの間の友情物語として作られている。
 コンパニオンロボットは自律型ロボットだが、その使用目的とは理念とはほど遠く、あらゆる武器を吸収する攻撃兵器とのこと。スイスという国にはあんまり合わない感じがある。そもそもこの世界にはロボット三原則はないのか?
 ただ、展開が早すぎるためか、印象としては今ひとつか?
<スイスで作られたロボオだが、普通に日本語を使って会話してるのは何故?
 ロボオを回収するために銃を持ち出すギャングたち。日本も随分物騒になったもんだ。
 そのギャングを逮捕しようとした竜馬が言ったのは「窃盗及び暴行容疑」。銃の不法所持と家宅侵入罪と器物破損罪は?
 バイクルの言語を「理解不能」とするロボオ。名古屋を馬鹿にしてるのか?
 ロボオに対し「お上にもお慈悲はある」とか言ってるウォルター。お前のコンピュータはいつの時代のものだ?
 ロケット発射シーンはバンクだが、前の「機動刑事ジバン」で使われたものと同じかな?
 相手は破壊ロボットとはいえ、市街地にミサイルぶっ放すとは無茶しすぎる。>
第13話 竜馬が死んだ?

  脚本:高久 進
  監督:三ッ村鐵治
 里村教授が開発している高品質ハイブリッド種子を狙う死神モス。充分にウィンスペクターを研究していたモス配下のギャング団はファイヤーを撃退してしまう。動きの取れなくなってしまった竜馬だが…
 シリーズ初の前後編で展開する話で、前編の今回はファイヤーの絶体絶命の危機が描かれる。着化後ではなく、生身の状態で大怪我を負ったので、実際はスーツの性能の問題ではないのだが。まるで007のようなスーパーカーを用いて竜馬の乗るパトカーを翻弄した挙げ句に事故を起こさせる。
 いくつもの新メカが登場する。まずはサポートメカとして缶ジュースのような形のデミタスが登場。口が悪く、バイクルとは良いコンビになりそうだ。その後バイクル専用バイクとしてウインチェイサーが登場。そのハンドルはバイスピアーを装着するように出来ている。なるほどバイスピアーが特殊な形状してたのは理由があったのね。そしてこれまでのウインスコードがファイヤースコードに進化。色々あるね。
 今回前後編と言う事もあってか、ゲストキャラが豪華。「特捜最前線」紅林刑事役の横光勝彦、「超戦士フラッシュマン」ウルク役の長門美由樹とルー役の吉田真弓。死神モス役は特撮では結構良く出てくるアイデン・ヤマンラール
<デミタスの姿は…「ゴールドライタン」に出てきたスコープライタンだよな?タイムランタンにも似てるけど。
 死神モスの説明をするのにペリーの黒船来航まで言及する高木本部長。随分話を大きくするな。
 覆面パトカーの新型ウインスコードのテストを行う本部長と竜馬。覆面パトカーだけに車全体に覆面がなされている…そんなもんなの?
 竜馬は重傷を負ってはいるものの、命の別状は最初から無かったのだから、そもそも今回のタイトルは誇大広告に近いような?>
第14話 死神モスの逆襲!!

  脚本:高久 進
  監督:三ッ村鐵治
 死神モスを追う竜馬のウインスコードとバイクルのウインチェイサー。だが待ち伏せにあったバイクルは捕らえられ破壊されてしまう。里村と交換に7万種のハイブリッド種子を要求するモス…
 新装備で悪の組織と戦うウインスペクターの活躍を描く後編。先手を打とうと通常の警察行動を取るウインスペクターだが、全ての行動は筒抜けで逆襲される一方。結果として新装備を駆使しての犯人逮捕が描かれることになる。
 いきなり最初にバイクルの破壊という衝撃的な展開から始まる。たまたまデミタスと行動を共にしていたお陰で、修理もちゃんとやってくれていた。単純に口が悪いだけのロボットではなかったか。
 細かいところだが、今回の銃撃戦はかなり凝ったもの。ちゃんと薬莢排出もあったり、細かい動きもきちんと作られている。
<「ワシはハイテクロボだがね」とデミタスに説明するバイクルだが、その言い方だと全然それっぽく聞こえない。
 デミタスは高性能の修理機材でもあったことが分かり、ばらばらにされたバイクルを修理している。でもマニピュレーターなしでは無理だろ。
 死神モスはかなり重装備で人員も多いのだが、そこで出動するのがウィンスペクターだけって、物語的には無理があるな。しかも竜馬は着化せず、生身のまま突撃してるし。
 バイクルのためにウインチェイサーを持ってきたというウォルターは一々妙なポーズを取っているが、このロボットもなんかおかしなプログラムされてるんじゃないか?>
第15話 竜馬!正木を撃て

  脚本:宮下隼一
  監督:小西通雄
 爆弾魔勝田を見つけたという通報連絡に出動した竜馬。だがそこには爆弾がくくりつけられた勝田の姿があった。勝田の命は救えたものの、その爆弾は竜馬の前で爆発してしまう。その衝撃で記憶を失ってしまう竜馬…
 記憶喪失となった竜馬を中心に、ウインスペクターの結束を描いた話。記憶を失うと防衛本能が過剰反応してしまうらしく、自分を傷付ける者に対して攻撃してしまう。それを利用されて正木を敵と思い込まされてしまった。それに対しウインスペクター全員で罠を張って助けようとする面々。
 スーツ姿で立ち回りをする正木の姿がある。宮内洋って刑事役が結構似合う人なんだよな。
 前回の新装備追加によってOPが変化した。ファイヤースコードとウインチェイサーが登場している。
<記憶をなくし、知り合いを襲う竜馬だが、何故かその際無表情になってる。記憶喪失ってより洗脳っぽいな。
 ここでも宮内洋の歌が劇中に流れる…いやあ、流石です。いろんな意味で。
 危険地域に平気で入り込んでくる良太が勝田によって人質に取られてしまったのだが、よくこんなところに来られたもんだ。
 良太を救うため、光となって車に飛び込むファイヤー。車の窓の隙間からどうやって入れたのかは不明。バイオライダー化でもしたのか?
 次回予告の際、「大好きウォルター」という優しげなタイトルを、ナレーターの政宗一成がわざわざドス利かせて格好良く「大好き!ウォルター!」ってな感じで喋ってるのが違和感と言えば違和感。>
第16話 大好きウォルター

  脚本:杉村 升
  監督:小西通雄
 宏美という少女と知り合いになったウォルター。素直でない宏美に、何故か心惹かれるウォルターだったが、ウォルターを外国に売ろうとする二人組によって事件に巻き込まれてしまう。
 頑なな少女と感情的に不器用なウォルターとの心の交流を描いた作品。実はウォルター大好きなのに、それを素直に出せない少女。ギクシャクした関係が見所の作品。
 バイクルと較べるとより機械に近く、融通の利かないウォルター。その分出番があまりなかった感じだが、それを逆手に取った話がここに出たのは嬉しい。子役が結構上手いので結構見せてくれる。
 ウォルターは機密を守るために自爆機能まで持っている事が分かった。周りに被害が出ないようにコンピュータだけらしいが。
 あんまり見せ場がなかったファイヤーだが、今回はウォルターの自爆を防ぐために瞬間的なダッシュのみ。
<子供の落とし物を届けるのはともかくとして、わざわざ花を買ったり、単独任務に就かせたりと明らかに職権乱用してる正木。サポートドロイドの成長という名目があるとは言え、ウインスペクターっていい加減な組織なんだな。
 「何でも言うことを聞いてくれる?」と聞かれたウォルターは勝手に空を飛んでた。別に言うこと聞いてないけど?
 「私を分解することは出来ない」と言うウォルター。この前バイクルは分解されてたけど、ウォルターとバイクルで機能が違うのだろうか?
 ウォルターを売り飛ばすために子供まで殺すという犯人の思考回路がぶっ飛びすぎてないだろうか?>
第17話 怖い宇宙の贈り物

  脚本:杉村 升
  監督:小笠原猛
 人工衛星ファルコン2がある村に落下した。それを回収に向かったウインスペクターだが、そこで倒れた人を目撃してしまう。更に彼らに忍び寄る生命反応が…
 宇宙生命体がやってくる話。リアルな話がこの作品の信条なのだが、いきなりぶっとんだ話になってきた。50年代のハリウッドSFによるあったパターンだ。宇宙生命体に冒された人々がゾンビ映画のごとく近づいてくるという、ホラー風味もあり。あくまで洗脳されているだけなので、反撃もできないのが厄介な話。
 ちなみに今回子役で登場したのは、後に声優となる本名陽子。
<人工衛星が落下したというのは良いけど、まるのままの衛星。焦げてもいないのだが、どうやって落ちた?
 何者かが近づいてきていることを知って怯えるバイクルとウォルター。機械のくせに随分人間くさいな。
 宇宙生命体に襲われた竜馬達は、バイクルとウォルターを家に残し、自分たちだけが危険な戸外へと向かう。普通逆だろ?
 クラッパーで渡した綱を一般人に渡らせるウォルター。無茶やってるな。
 端から落下したファイヤーの体は何故か爆発が。理由は不明。
 仁王立ちで気絶していた竜馬のヘルメットを外す正木。そんな簡単に取れて良いの?>
第18話 超能力!孝行少女

  脚本:鷺山京子
  監督:小笠原猛
 良太はある時事故に遭いそうになった少女が特殊能力を用いて車を止める光景を目にする。その少女ひとみは超能力研究を行っている実験にされたことを知ったウインスペクターは出動し、その実験現場を押さえるのだが…
 父親によって非道な実験に用いられた少女の本心を主題にした作品。父親孝行の娘がどんな時でも父を助けようと健気な行いを見せる。特に人の心を主題にした作品は本作の大きな特徴をなしているが、それをうまく出した作品と考えられるだろう。そして娘の健気な心を父親が受け取ることになる。
 まあ話としてはキングの「ファイヤースターター」を地道にやってるって感じの話ではあるのだが、そう言うのも含めていろいろ幅がある作品だとは言えるだろう。
 なんにせよマッドサイエンティストものが大好きな私としては満足がいく作品ではあり。
<特殊な操作権を持つウインスペクターだが、憶測で人の家に押し入ったり、人さらいしていたら、警察の意味がなくなる。
 江藤が呼んだ外国の要人には明らかなナチスの軍服着てる男もいる。ふつう放映は不許可になると思うのだが。
 妨害を受けたとは言え、江藤の車を追っていた竜馬が現場に到達するまでに時間かかりすぎてるんじゃないか?
 一刻を争う事態にわざわざウインスコードに戻りファイヤーに着化までしてる竜馬。今回は時間の使い方が全般的におかしい。>
第19話 愛と勇気の親子橋

  脚本:宮下隼一
  監督:三ッ村鐵治
 元優秀な刑事だったというミキオ少年の父。こども達はそんなミキオを嘘つき呼ばわりしていじめていた。折しも都内では同じ手口の連続強盗事件が起こっていた。
 本作の特徴とも言えるこどもと大人の心の交流が描かれる。しょぼくれた大人が、その息子を信じることによって社会的に立ち上がる話。このような事態に、基本的にウインスペクターは静観するが、それがこの作品の特徴となっている。
 普段から嘘つきと噂されていたりすると、何を言っても信じてもらえなくなる。一応これも道徳的な話にはなってる。ついでに言えば、高いところで殺されそうになったら高所恐怖症になる…って別に関係ないか。
<目撃されたことを知り、ミキオを執拗に狙う犯人は、ついにミキオを殺そうとまでしている。ギャラリーもいっぱいいたので、余計に罪を重くしてるだけ。そもそも単なる空き巣がなんでダイナマイトとか拳銃とか普通に持ってるんだ?もっと大きな犯罪じゃないと割が合わないぞ。
 犯人をおびき寄せようと森田親子が取った方法は二人でピクニックに行くことだった。人を巻き込まないための措置だろうと思うが、余計他人に迷惑かけてるあたりは短慮というか…
 人命救助を最優先にするはずのウォルターがあまりに簡単に作動不能になり、全く人助けが出来なくなるのも情けないところだ。
 ミキオを人質に取った犯人はダイナマイトを手にとって「覚悟は出来ている」とか言っていた。空き巣狙いの割には随分な覚悟だな。>
第20話 熱いKOパンチ!

  脚本:扇澤延男
  監督:三ッ村鐵治
 久子に惚れている酒屋店員相沢は、ある夜銀行強盗を目撃する。その証言内容に矛盾を感じた竜馬は、彼を見張るのだが、実は相沢は犯人成田と高校時代に面識があった。
 犯人が友人であることを知ってしまった男の苦悩が描かれる話。どっちかというと友情物語として描かれていく。今回はウインスペクターの方が犯人逮捕の中心になっているが、最後の殴り合いによって友情を確かめる姿はまさしく青春ものそのものって感じ。
 それにマッドサイエンティストが絡み、なかなか私好みの話になっている。あくまで人間を相手にするこの作品はマッドサイエンティストがしっくりくる。そのため、ウィンスペクターの戦いも派手なものとなっていて、割と見応えあり。
<相沢の正体に応じた成田は覆面姿のままやってくる。犯人だと丸わかりだな。
 成田に対するウォルターの攻撃はいつものように両手を掲げて振り下ろすというもの。モンゴリアンチョップ?>
第21話 涙に散った銃弾!

  脚本:山田隆司
  監督:小西通雄
 夜な夜な純子の家にかかってくる無言電話。寝不足に陥った純子は、宝石店に立て籠もった強盗に対するウインスペクターの出動でもミスを犯してしまった。
 ウインスペクターの一員として、基本的にサポート役に徹している純子を中心にした話。優秀な刑事でも、心労が祟ると並以下になってしまう。彼女が射撃の名手という設定を活かした話で、刑事の私生活を描くということで、時折刑事物ドラマでは出てくるような話になってる。
 物語もなかなかひねりが利いて本当に刑事物っぽい話になっていて、こう言うのが作れる本作の強みも感じさせてくれる。
 刑事として生きると言うことの厳しさを表現しようとする姿勢は良い。ただ尺が短いので話が性急すぎるきらいはあり。更に戦いがこどもの救助だけで、あまり見所がないのも難点か。
<強盗が警察に要求した食事は焼きそばと餃子。箸を使う食べ物は周囲への視線を逸らすことになってしまうので、危機を生じさせる。こういう時はサンドイッチのようなものが良いのだな。と、本作を観ていてそう思える。
 怪我をした女性を見舞いに来た純子だが、こういう場合本人は決してそこに行ってはいけない。この時代にはその辺の徹底が出来てないのか?
 本部長に止められているのに強引な家宅捜査を行う竜馬。警察官
 戸川と純子の写真を見せられ、「これは一年前射撃の大会で…」と実に説明的な長々した棒読み台詞。もうちょっと演出考えようね?
 射撃の名手という戸川だが、ミニパトの運転をしてるので、交通課っぽい。交通課って拳銃携行できたっけ?>
VOL.3
<A> <楽>
第22話 殺人犯は二度死ぬ

  脚本:杉村 升
  監督:小西通雄
 警視庁にやってきた六角警部の甥の徹に手を焼く竜馬達。そんな時派出所に族が押し入り、拳銃の強奪事件が起こる。警察が出動するが、そこに徹がイタズラ心で六角の拳銃をオモチャにすり替えてしまった。それが元で犯人を取り逃してしまう六角だが…
 敵はサイボーグの三島晃一。数ヶ月前に銀行強盗をした男で、酒井博士によって右手をサイボーグ化された。警察に恨みを持っており、拳銃を奪ってそれで犯罪をすることで復讐をしようとする。実は既に死んでおり、脳を含めたロボットとなっていた。
 特撮はこども用のものなので、こどもを中心とした話はよく作られる。その性格は様々だが、こういった小生意気なこども…ガキと言った方が良いようなのを中心に持っていくと、話がぐっと身近になる。こういうこどもは得てして自分のやったイタズラのツケを払わされることになる。この辺が「特撮は教育番組」と言われる所以なのだろう。
 今回は珍しく明確な敵役が登場しているが、1話同様そいつがサイボーグなので(最後にロボットと分かるが)、基本は人間との戦いとなっている。
 六角に対しては非情に人間くさい言動をするバイクルとウォルター。六角の不祥事をすぐに本部に知らせようとするウォルターと、それをなんとかごまかそうとするバイクル。良い凸凹コンビぶりを発揮している。
<ウォルターの通信妨害をするバイクルだが、やってることはウォルターの口を防ぐこと。そんなので通信妨害できるもんなのか?
 右手を怪我した三島にサイボーグ手術を施した酒井博士。それ自体は美談と言っても良いが、なんで破壊兵器を搭載する?明らかにマッドが入る人物だった。
 バイクルとウォルターに対する正木本部長のおしおきは尻叩き。それで怖がって逃げる二人が憐れ。>
第23話 父のマンガはがき

  脚本:鷺山京子
  監督:小笠原猛
 竜馬はヒッチハイクをしている小学生相川優樹を発見し、不審に思いウインスコードに彼を乗せる。五日に一度は届いている父の葉書が届かなくなったという優樹の言葉に、同情心から調査をしてみることになったが…
 本作では結構多い親子の絆を描いた話。ちょっとしたきっかけで事件に巻き込まれるってのは少々古めかしい話ではあるが、特撮ならこれでもOKって感じ。
 バイオ生物が登場するため、一応生物科学の技術がいきすぎると人間に危険が及ぶという警鐘を鳴らす話とも取れる。あと不法投棄の話題も出ているが、丁度この時代からその問題も出てきたんだな。
 一応今回の敵はバイオ生物だが、人間型をしてないため、蔦と絡まってるだけだった。これはこれでありだろう。
 ベム・ケミカルの社員として登場したのが岡本美登。東映特撮のスーツアクターとして有名な人物で現在も現役アクター。
<相川が勤めている会社の名前はベム・ケミカル。名前からして怪しさ満点だが、やっぱりその通りだった。
 今回はバイクルとウォルターの出番は一瞬だけ。更にバイオ生物に絡まれて苦しむだけ。ちょっと扱いが可哀想だ。>
第24話 私のピーコちゃん

  脚本:高久 進
  監督:小笠原猛
 暴走族を狙った狙撃事件が起こった。その犯人を目撃した少女めぐみ。だがその犯人について決して語ろうとしないめぐみに、純子はその理由を探ろうとする。
 少女と純子の心の交流が犯人を捕らえるという話。正義感の強すぎる青年が暴走することでとんでもない事件を引き起こしてしまう。普通の刑事ドラマだとしても充分に通用する設定だな。実際ウインスペクターの出動にもさほど意味が感じられず。普通の警察で充分対処できる事件だった。
 そもそも元の仲間を狙った動機が貧弱なので、物語としても今ひとつ。
<「僕は捜査が飯より好きなのを知ってるだろ?」というデミタス。ご飯食べてるシーンは今のところ無い。
 ゴミ袋の中にいたピーコ。ケージごと捨てられてたんだったら、すぐに見つかりそうだが、なかなか見つかってない。>
第25話 雨に泣くロボット

  脚本:扇澤延男
  監督:三ッ村鐵治
 ある雨の日、バイクルは一人の女性と出会い、恋をした。しかも爆弾犯を追いつめたバイクルはその爆弾によって回路がショートし、記憶に残る女性桐本真弓への恋心を燃え立たせてしまう。
 ロボットの恋という面白い素材を扱った話で、本作中の佳作。ウォルターが少女に振り回される話は16話であったが、あの時のウォルターはあくまでロボット刑事であることを忘れてなかった。一方この話ではコメディリリーフ的なバイクルだけに、本当に恋をしてしまうと言う面白い話になってる。自分の恋心を優先してしまって犯人を取り逃がしてしまうなど、まるで新米刑事の話を観ているよう。実際物語そのものの構造では特撮である必要性があまりない。でも特撮だからこそ面白くなった話でもある。特にボロボロとなりながら、それでも犯人を追いかけようというバイクルの刑事精神と、恋心の狭間に揺れるロボットの心のアンビバレンツが見所。
 今回に限り正木本部長は融通の利かない厳格さを見せ、バイクルに刑事失格のダメだししてたりする。珍しい事だが、この一本はそう言う役回りが必要だった訳だ。
 泣いてるバイクルの姿あり。ただ雨の中で佇み、雨を涙と認識しているらしい。そしてなんとラストでは本当に涙が出てきた。凄い描写だ。
 裏話になるが、後に「仮面ライダー電王」「侍戦隊シンケンジャー」でメインライターを務めた小林靖子はたまたまこの作品を観たため脚本家になる決心をしたとか。本作こそが後の東映特撮興隆への布石となったと考えると、縁とは面白いものだ。
<雨の中バイクルを見守っていた竜馬達だが、雨が上がったら全く濡れてなかった。>
第26話 薄幸少女の旅立ち

  脚本:山田隆司
  監督:三ッ村鐵治
 正木本部長のよく知る横川幸子の父横川道夫が死体で発見された。警察は事故死と見ていたたが、幸子は事故の直前に横川が預かった荷物を見てしまったためと主張する。正木は幸子の事を信じようと思い、ウインスペクターに捜査を命じる。
 麻薬絡みで殺されてしまった人を調べていく内に国際犯罪にぶち当たるという、刑事物では結構ある話。多少物語に難があるけど、30分番組では仕方のない所か?
 今回の中心は久子で、社長秘書に収まり、そこから内部調査を始めている。その際デミタスを相棒にしているが、デミタスが活躍したのは久しぶりだな。
 今回のファイヤーの活躍は、高速で疾走する車から爆弾を取り外すというもの。結局外すことが出来ず、中にいた久子と幸子を抱えてジャンプした。
<麻薬の取引に屋台のラーメン屋を選ぶという話自体に無理があると言えばそれまで。
 潜入捜査で長浜の秘書に収まった久子だが、そんな簡単になれるもんなのか?
 長浜のいる社長室に乗り込んでくる幸子。その後すぐに竜馬達も社長室へ。警戒厳重のはずの場所に簡単に入り込めるの?
 80キロ以下にスピードを落とすと爆発する爆弾…『新幹線大爆破』?というより『スピード』だろうな。
 80キロ以上で走る車から普通に降りてしまった長浜。どうやって降りたんだ?>
第27話 星を呼ぶ百歳美女

  脚本:鷺山京子
  監督:小西通雄
 1990年8月5日生まれのこどもが立て続けに誘拐されるという事件が起きる。調査を開始したウインスペクターの前に現れたのはカルラという怪しい女性が現れる。
 本作では唯一となる悪の組織が登場。今回一度だけだが。そこで現れるのは超能力を使う女首領。普通の特撮ものだったらこれくらいは普通だが、この作品では珍しい…でもないか。超能力相手では科学は太刀打ちできないというオカルティックな話となる。何故かそこに“気”の概念を取り入れたり、よく分からない。これだけてんこ盛りだと基本設定だけで言えば、これで一年分の番組が作れるくらいだ。
 秘密結社Qがやろうとしているのは、ミジウムを手に入れ強力なバリアーを作ろうというもの。なんでそんなのが必要かというと、これで自分たちの守りを盤石にした上で核戦争を起こそうというものだとか。えらくややこしい作戦だ。
 カルラを演じているのは高畑淳子。「仮面ライダーBLACKRX」のマリバロンである。
 今回火薬量は凄いもので、見所は随分あり。超能力で爆発を起こすとか、無茶な描写はあるけど。
 久々にファイヤーの可動限界が出てきた。でも竜馬が気の使い方を覚えたため、限界を超えても装着し続けられた。そんなもんでいいのか?いい加減な設定だ。
 敵が死んでしまったというのも本作では結構珍しい。
<カルラは天文台を使って精神波を宇宙に飛ばしているが、天文台は受信するものであり、発信するものではない(発信も出来るのは確かだけど)。>
第28話 飛べ!優子号

  脚本:杉村 升
  監督:小西通雄
 竜馬の妹優子は老人ホームでのボランティアを始めた。そこで知り合いとなった香川善一郎は実は、素粒子エネルギーの方程式を完成させていた科学者であった。その設計図を狙う男新田が優子を誘拐してしまう。
 竜馬の妹優子を中心とした話。EDにいつも登場しているのだが、本編に出てくるのは本当に久々だ。優しい優子の性格がよく表れた話となっている。
 今回特筆すべきは老人パワー。それぞれが得意分野を持つため、それを使って犯人を追いつめている。
 老人役で出てくるのはみんな古くから東映作品に出てきた名脇役ばかり。特に香川善一郎役は「鳥人戦隊ジェットマン」のじいや役を演じる早坂雄三。みんなもう老人とは家、アクション作品に出続けていただけあって、体のキレは良いね。トンボきってるシーンまである。
<なんか今となっては珍しい、人質が「私はどうなってもいい」と叫んでる。懐かしいな。>
第29話 昆虫採集の妖!?怪

  脚本:高久 進
  監督:小笠原猛
 剣山で奇妙な遭難事件が発生した。避難した男の首筋には奇妙な噛み痕があったというのだ。偶然そこに昆虫採集へとやって来た良太と六角警部も又、怪異に遭遇してしまう。
 ホラー風味で仕上げた話。良太と六角警部という珍しいコンビで珍しく昆虫採集に出たところで怪異に出会ってしまう。
 お化け騒ぎの中、何故か良太のリュックに入り込んでいたデミタスがちょっと活躍してる。この姿だから、活躍できる局面は限られるんだけど。
 一方妖婆の催眠術にかかってしまうバイクル…完全に敵キャラになってしまい、今回はいいところなかったな。それにしても人間じゃあるまいし、催眠術にかかるロボットって何だ?
 今回のタイトルは代わっているが、流石ナレーションのプロ政宗氏。「ようっかいっ」と、ちゃんと特徴付けている。
<昆虫標本があるからと、無断で民家に侵入してしまう良太と六角警部。不法侵入になるけど、一応警察関係者だろ?
 川に落ちたデミタスは「死ぬかと思った」と一言。どうやったらこいつは死ぬんだ?
 バイクルの行動をトレースするマドックス。だけどバイクルの正面からカメラが来てるんだけど?どこにカメラが?
 宮部によれば、保護するために人面コウモリを改造したそうだが、人語を喋ったり、火を吐いたりと、最早生物の領域を超えてるんだが、これで本当に自然保護になってるのか?>
第30話 ママ…ママ助けて

  脚本:荒木憲一
  監督:小笠原猛
 熊のぬいぐるみを持った3歳の女の子が消えた。数日後、7歳位の同じ熊のぬいぐるみを持った7歳くらいのこどもと出会う久子と良太。すぐに姿を消したその女の子だが…
 急激に成長してしまう女の子を前に、その失われた未来を守るために活動するウインスペクターの活躍を描く話。悪人とかよりも、危険な研究によって人生を狂わされてしまった少女が話の中心となる。
 こどもがどんどん老化していく描写はかなり怖いものがあり、敵と戦うよりも緊迫感がある感じ。こういう物語を作れるのがこの作品の長所だろう。
 実際この話では明確な悪意を持った敵は一切登場しない(エゴにより事態をおかしくしてしまう人間はいるけど)。ヒーローとしての活躍は、消火活動と電磁細胞活性装置を逆転させるために自ら送電線になると言うことだけだった。それだけで充分ヒーロー的な活躍になってるんだけどね。
<研究途上の装置を人間に使ってしまった榊原所長。人間としては屑のような奴だが、科学者としては立派だ。
 電磁細胞活性装置の効果を打ち消すためにはプラスとマイナスを入れ替えるだけだという。そんな単純で良いのか?
 電磁細胞活性装置を逆転したら大怪我を負った状態に逆戻りするんじゃないか?という気もするんだが、それをやったら話にならないか。>
第31話 哀しみの最強ロボ

  脚本:杉村 升
  監督:三ッ村鐵治
 警視庁によりアメリカの警察の依頼で一年前に作られたロボット刑事ブライアンが帰国した。だがそのブライアンはアメリカで恐るべき殺人兵器に作り替えられていたのだ。ブライアンを開発した朝日奈博士は修正プログラムを施そうとするのだが、その時に突然ブライアンが起動してしまう…
 バイクルとウォルター以外にもう一体作られたサポートドロイドのブライアンを話の中心にし、新兵器ギガストリーマーの登場を描く前後編の前編。
 元々バイクルやウォルター以上に優しい性格にプログラムされたブライアンが冷血な殺し屋のようになってしまう。ロボットだからそう言う事もあるんだろう。特撮ならではの話だ。
 ファイヤーでは性能的に敵うはずのないブライアンに対し、それでも特攻していく竜馬の姿が良い。
 目的のためには手段を選ばない科学者が敵役として登場するが、やっぱマッドサイエンティストは良いよなあ。狂気じみた発言も良い。
 ブライアンの開発者朝日奈博士は荒木しげる。「仮面ライダーストロンガー」以来の競演で、思い入れたっぷりにツーショットが撮られてるのが嬉しい。更に犯人役は「超新星フラッシュマン」のレッドフラッシュ役阿川藤太。特撮ファンには嬉しい作りになってる。
<日本製とは言え、発音まで日本語訛りの英語を使うブライアン。バイクルと言い、言語中枢だけはおかしく作られるものらしい。
 アメリカの犯罪者はつば広の帽子をかぶり、黒いコート姿。禁酒法時代かよ。
 仮にも日本に戻すのに武器を付けたまま帰国させることも無かろうに。
 ブライアンはジェット噴射で空を飛べる。ウォルターも羽根なんて付けずにこうすれば良かったんじゃないか?>
VOL.4
<A> <楽>
第32話 警視庁を占拠せよ

  脚本:杉村 升
  監督:三ッ村鐵治
 ブライアンを破壊され、姿をくらませた広崎は警視庁の占拠という暴挙に打って出た。バイクルとウォルターを捕らえ、マドックスにウィルスを流し込んで意のままに操る。自らのアジトにたてこもる広崎に、着化できない竜馬はギガストリーマーを手に単身挑む。
 前回の続きとなった話。ブライアンを使って全てのバイクを破壊することに失敗した広崎は、今度はなんと警視庁を狙う。広崎に言わせると、正義を行おうとした自分を止めた警察が本物の悪だという。凄い理論だな。
 テンションの高さは本作品中屈指で、あたかも最終回のようにさえ見えてしまうほど。前回のブライアンの話と相まって、大変な盛り上がり方を見せる。
 バイクルとウォルター、そしてウインスペクターの装備の全ての開発に手を付けた犯人だけに、それを攻撃に使った時、警視庁ももろいもの。行きすぎた科学は、たった一つのウイルスによって破壊されてしまうと言う、科学の限界を示したような話でもある。
 肝心のハッキングを行った広崎自身が科学を否定したため、逆にコンピュータに反乱されてしまうってのも、マッドサイエンティストの鏡だ。科学否定っぽくて良いぞ。
<今回純子は真っ赤なドレス姿で登場。仮にも公務中にこの格好はないだろうに。
 マドックスを通じて警視庁のコンピュータを完全に掌握した広崎が最初に行ったことは信号を狂わせることだった。一応前回の引きになってるけど、信号は警視庁の管轄じゃないよ。
 マドックスのコンピュータルームには幾重もの防衛システムが施されている…警察の中にそんな危険なもん作るなよ。
 おお、マドックスのメインキーは5インチフロッピーだ。懐かしいものを。この当時は既に3.5インチがメインになりつつあったんだけど。
 生身のままギガストリーマーを撃つ竜馬。反動で後ろに吹っ飛んでるが、吹っ飛ぶのが撃ち終わった後なのは何故だろう?
 バイクルとウォルターを助けるため、「俺の命はどうだっていい」と言いのける竜馬。格好良いが、冷静に考えれば、命の方が重要なんだけど。それにこれまでの話を観て分かるとおりサポートドロイドはある程度なら破壊されても再生できるんだし。>
第33話 目覚めた浦島太郎

  脚本:扇澤延男
  監督:新井 清
 10年前に100年間の冷凍睡眠に入った古沢淳吉という男が機械の故障によって目覚めてしまい、ウインスペクター本部に現れた。かつて正木本部長に世話になったという古沢は、いくつかのお宅にお礼周りにいくことに。だが9年の年月は世間に大きなギャップを産んでいた。
 未来社会だから、冷凍睡眠とかもあるのか?という事で話が作られた話。まあSFだと「夏への扉」という傑作もあることだし、こういう設定も面白いだろう。それで人情話に持っていったところが面白い。実に時代劇っぽい感じ。
 しかし今回目覚めたという古沢はたった9年間の睡眠で目覚めてしまった。年代の理解にギャップがあるような無いような微妙な時間設定だ。
 物語自体一応SFではあるが、ヒーローものって感じじゃないな。でもこういう物語を可能とするのが本作なんだろう。今回のファイヤーの着化時間は1分にも満たない。相変わらず汗びっしょりだが。
<異臭騒ぎに「鼻が曲がる」というバイクル。鼻なんかないだろ。
 和服の着流し姿の古沢。古い時代の人という設定なのだが、いくら何でも違和感ありすぎる。
 金庫破りの秋吉の学生服姿…やっぱり違和感だらけ。
 溶解液によって溶かされてしまったウインスコードだが、ちゃんと着化出来ている。それ以前に裏返ったら溶けた部分は全く無かった。>
第34話 逆転ばあちゃん

  脚本:山田隆司
  監督:新井 清
 初めての休暇をもらい、正木本部長の別荘に行くことになったバイクルとウォルターとデミタス。電車の中で“自称”大金持ちの老婦人と出会う。マイペースの彼女にすっかり翻弄されてしまう二人だが、その婦人が誘拐されてしまい…
 “自称”金持ちのおばあさんに振り回されるバイクルとウォルター、そしてデミタスの珍道中。コミカルな雰囲気で仕上げられていたが、ロボットを中心に置く本作ならではの物語と言えるだろう。
 個性を出しているのがバイクルの方。旅行に行くには電車で、ジュースと缶ビールを手に持っていて、それが旅の醍醐味とか言ってる。
 今回は富士急ハイランドとタイアップ企画らしく、バイクルとウォルターの二人が色々遊園地施設で遊んでるのが面白い。東映のタイアップはこうでないとね。
 今回は二人の出番に力が入っているため、バイクルとウォルターの大立ち回りがあり。結構珍しいかも。
 誘拐犯役の一人は小山力也が演じている。今やすっかり声優として有名になったが、「仮面ライダーBLACK RX」の霞のジョーなど、特撮にも結構出ている。
<ジュースもビールも飲むことが出来ないというサポートドロイドだが、普通にオイルとかは口部分から飲んでるので、飲むだけなら出来るぞ。その後どうなるかはともかく。
 時間を知るために時計を見てるバイクル。内蔵してないのか?
 銀子を助けるために地雷原を突っ切るバイクルとウォルターだが、ウォルターだったら飛んでいけるのに。
 地雷でボロボロになってるはずの地面につっぷしてるバイクルとウォルターだが、そこにはなんの穴も開いてない。
 地雷と爆弾のセットで吹き飛ばされるファイヤー。場所は平地だったのに、吹っ飛ばされるとそこは崖になってる。>
第35話 母と子のSOS!

  脚本:宮下隼一
  監督:小笠原猛
 手旗信号を学んでいる少年関口隆がひき逃げ事件を目撃した。母に警察に電話するように言う隆だが、隆が言う犯人は、隆が入ろうとしていた有名私立中学校の理事長だった。それを受験の切り札に使おうとする母親だったが…
 母子家庭の絆を描く作品で、本作では結構出てくるパターン。だけど今回はむしろこどもを思う母の心の暗部を描いたような話になっており、特撮でなくても充分通用する話になってる。
 今回出てくる母子家庭は二つ。一つは良い中学に行って欲しいと思う母の心が分からず、煩悶する少年。もう一つはなんでもかんでも与えられ、事故の隠蔽工作も母に任せた青年。対照的な二つの家庭を描く事によって、こどもに対する母の愛の怖さというものを描こうとしているようだ。それを受け、母の苦労を知り、自分の感情を抑えてまで母を守ろうとする少年と、甘えが行きすぎて、自分の邪魔になるならこどもでも殺してしまえと考える青年。金と学歴がどれだけ重要なのか?そんなことも思わされる話ではある。
 受験戦争の厳しさも表れている。しかし良い学校に行くことが本当にこどものためなのか?特に特撮ではこの辺きちんと描こうとする話が多い。時代に即した話とも言えるだろう。
 その分特撮面は相当にお座なりで、ウインスペクターとしてやったことはビルに入って二人を連れて出るだけだった。この話の場合これで良いのかな?
<普通のひき逃げ事件に出張るウインスペクター。普通こう言うのは所轄署の範疇なんだが。
 家庭問題にまで口を挟んでしまった竜馬。黙っていられなかったのだろうけど、明らかにそれは職務を超えてしまってるよ。
 ここは廃ビルで爆破しても問題無いという達彦。でもこのビル住宅街に建ってるので、ここで爆破が起こったらシャレにならなくなるんだけど。
 爆弾が爆発して怪我をして気絶した達彦だが、バイクルとウォルターに連れられていった時にはピンピンして走ってた。
 そもそもひき逃げ事件と傷害致死のどっちが罪が重いか考えられない青年というのも物語的に無理はある。>
第36話 バイクルのパパ

  脚本:鷺山京子
  監督:小笠原猛
 突然バイクルが暴走し、金庫破りを行ってしまう。実はこれはかつて警視庁に採用されるロボットシステムで朝日奈博士と競った博士荒井によるもので、バイクルを電磁波で操っていたのだ。自分の開発したシステムをウインスペクターに採用しない場合、バイクルを暴走させると脅迫する荒井に対し、バイクルの生みの親が駆けつける。
 バイクルの暴走という、ロボットを主人公格に据えてるが故にこそ出来る物語。今回はバイクルが話の中心であり、バイクルが心を持っているという事実が物語の大きな意味を持つ。
 これもマッドの入った科学者が犯罪者として登場。自分の研究に没頭するあまり他に全く目が入らないって良い感じだ。
 そして何故バイクルが名古屋弁を喋るのかについても明かされる。バイクルを製造した西田はロボットに心が必要だと主張し、バイクル設計の時に一々名古屋弁で喋りかけたお陰でバイクルが名古屋弁になった…なんで?
 今回はバイクルが敵側になるため、バイクルとウォルターが戦うとか、普通観ることができない場面も多々。
 電波合戦を行う西田と荒井だが、バイクルが壊れると思い、電波発生装置を破壊。これは大岡裁きなのか?
 ちなみに西田役はバイクルの声を担当している声優の篠田薫。同じ声で喋ってるのがなかなか笑える。
<バイクルが金庫破りをしたのが夜中の2時。そこに集まる群衆がいるが、こいつら一体何をしてたんだ?
 荒井に従ってる時のバイクルはちゃんと標準語を喋ってた。言語中枢にどんなシステム使ってるんだろう?>
第37話 アマゾネス来襲

  脚本:増田貴彦
  監督:三ッ村鐵治
 警視庁に闇競売が行われているという密告電話が入る。その頃密かにペルーからの船に乗って5人の女性戦士が密航していた。密売会場に乗り込むウィンスペクターだが、その時同時に5人の女達も又会場へと向かっていた。
 突然登場してきたアマゾネス軍団と共に、欲に目の眩んだ人間と戦うウインスペクターの活躍が描かれる話。妙な組み合わせではある。
 娘思いの優しかった父親が犯罪者となってしまい、それを悲しむ娘との関係が描かれるという、本作では一種定番とも言える話だが、脚本は本作初となる増田貴彦。
 今回の犯人平田役は「帰ってきたウルトラマン」のスーツアクターで知られるきくち英一。更にアマゾネスのナビア役は「時空戦士スピルバン」のダイアナ役高野槇じゅん。逞しくなったなあ。
 人間の至近距離で爆薬を使うとか、今になるとなかなか出来ない演出も多々。派手な演出だ。
<アマゾネス軍団はキープという紐の組み合わせでメッセージを伝えている。それはいいけど、あの程度の組み合わせで日本の地名まで伝えてる。どこまで読めるものなんだ?
 解毒剤であるウルバスの実はなんかとてもクルミに似た植物だな。これを薬に精製するのはとても時間かかりそうだが。
 ビラコチャの黄金像を手に入れた神谷と的場は「これで俺たち億万長者だ」と言っているが、警察を目の前にしてるんだから、この状態だったらほぼ100パーセント捕まってしまうのだが。>
第38話 選ばれた男

  脚本:扇澤延男
  監督:三ッ村鐵治
 中学時代の友達と会っていた久子の前に突然現れた瀕死の男。彼はある事件を追っていた特命刑事であり、彼の持ってきたフィルムを再生すると、日本で“不要”とされている人間を抹殺しようとしている組織の様子が映し出されていた。そしてその候補者の中に久子の学生時代の友人松下が映っていた。記者に扮し松下を護衛しようとする久子だが…
 久子を中心とした話。久子は仕事に何の情熱も持てず、更に能力もないダメ社員を警護するのだが、こういうダメ社員ってどの時代にもいるが、大人になった今、とてもリアルな人間像に見えてしまう辺り、私もなあ…
 不要な人間は誰一人いない。と言うのがこの話を通しての主張で、これぞ特撮!ネット社会になってから、“不要な人間”を語る人間が増えてる昨今、色々考えさせられる話だった。
 久子が、危険に過剰反応してしまう姿がなかなかよろしい。痛々しいような、凛々しいような。
 レーダー反応を辿ったり、敵あじとの内部を探るなど珍しくデミタスが活躍している。
 ちなみに久子の元同級生でダメ社員を演じているのは吉田淳。「宇宙刑事シャイダー」の神官ポーとか「仮面ライダーBLACK」の剣聖ビルゲニアとか…随分雰囲気が違う役だ。
<マイクロチップの中には多量の動画が入っていた。2000年代ならこれも充分可能なので、未来の話としていたらリアルだが、なんせ5インチフロッピーを普通に使ってる番組なので、無理があるような?
 街中で狙撃銃持ってうろついている犯人。これで大騒ぎにならない方がおかしいぞ。
 この話の敵吉田東洋はほとんど軍隊のような組織を持っている。これだけのことをやっていてばれなかったとはおかしい…経済界の大物が隠蔽工作を行ったということか?無理あるけど。
 仲間が近くにいるのに松下を殺そうと手榴弾を投げつけてる奴がいる。一人の不要な人間殺すために兵士も殺すのかよ。
 そもそも不要な人間を抹殺するのにここまで大仰な殺しの方法使う事自体がおかしいという根本的問題あり。>
第39話 悲しい老怪盗

  脚本:宮下隼一
      新藤義親
  監督:新井 清
 古美術専門の強盗赤井六郎通称赤六を追うウインスペクター。しかし仏像を盗んだは良いが、何者かにビルの屋上から突き落とされてしまう。ウォルターの救助で一命を取り留めた赤六だったが、その黒幕は…
 高齢の泥棒を主題にした一種の人情話。これも別段特撮にする必要が無かった話でもある。物語を通して親子の絆を確認するのは本作の特徴とも言えるが、それ以外にあまり語る事の少ない話でもある。
 赤六役は東映作品のバイプレイヤーとして長い近藤宏が演じているが、歳を食っても動きのキレが良い。
<たかだか古美術商がずいぶんな武器を持っているようだが、設定自体にかなりの無理を感じたり。>
第40話 瀬戸大橋の怪人I

  脚本:杉村 升
  監督:小西通雄
 有毒物質TX-3を使ったと思われる事件が都内各所で頻発する。その直後香川県にあるある化学工場にTX-3と引き換えに、10億円を要求する脅迫電話がかかる。応援に駆けつけたウインスペクターだが、なんと犯人は目の前で溶けてしまう…
 香川県を舞台とした前後編の前編。四国ロケは東映お得意で、さんふらわあ号も出てくる(今回は舞台ではない)。
 クローン人間を話の主体にするなど、特撮マインドに溢れた物語で、ようやく本来の東映特撮ものへと変わったか。
 ただし、今回は敵と戦うのではなく救助活動ばかりだった。
 犯人村田役は福田健次。実は「ウルトラマン80」のスーツアクター。
<香川県に来るのにバイクルとウォルターは木箱に梱包されてやってきた。そっちの方が安いからか?梱包されながらも意識はあったようだが、普通はスリープ状態で送らない?
 TX-3の威力を見せるために締め切った部屋の中で実演する職員。有毒ガス出すってのに危険過ぎるだろうに。
 ホテルのフロントへの聞き込みで、こどもが一人で泊まっていることを言った上に、「うどん屋でうどん食べてます」とか言ってる(しかもちゃんとホテルから離れているはずの店の名前まで言っている)。随分細かいところまで知ってるもんだ。
 根本的な問題だが、何故都内のテロで高松の工場が脅迫されるのか。その事に誰も気づこうとしなかったこと。後ろめたいことがあるならわざわざ警察の手を借りることもなかったろうに。
 最後のナレーションで「平和な都市高松」と言っていたが、首都であれだけ事件起きていても地方都市は平和ってことなのか?それとも高松限定?>
第41話 瀬戸大橋の怪人II

  脚本:杉村 升
  監督:小西通雄
 村田の脅迫を受けた春日レーヨンの内部に問題があると見た正木は内部調査を開始する。東京本社で事故が起こったことを突き止め、事故に巻き込まれた社員大谷一郎の息子真吾が高松にいた少年だったことを知る。村田は真吾を使い脅迫を始めるのだが…
 高松でのウインスペクターの活躍を描く後編。何故クローン人間が多数出てくるのか、会社で開発していたものが何であるのかがここで明らかにされる。
 罪を憎んで人を憎まずとは言うが、どんな凶悪な犯人であろうとも、命は大切だという竜馬の刑事魂がメインだが、別段前後編にしなくても、もっと言えば高松を舞台にする必要性が薄い話だった。
 進んだ科学は人を不幸にするという事を描こうとしているような感じだが、その部分はあまり不覚突っ込んでは描かれてはいなかったかな?実際会社の幹部は別段罪に問われることもなく、最後は笑って真吾にお土産くれてたし。
<オリジナルの村田はブルゾンの下が裸。すぐにクローン作れるようにしてるのか?
 村田のクローンは当然裸だが、ズボンを穿いてる村田からどうやって下半身を分離したんだろうか?
 春日レーヨンの開発していた薬品は倫理的には問題無いのだが、何故それを隠し通そうとするのかがやっぱり分かりづらい。
 ウインスペクターはどこの町にも行くと最後にナレーションがあったが、ウインスペクターは警視庁なんだから、東京限定なんじゃないのか?
 タイトルに「瀬戸大橋」とあるが、橋は関係なかったような?>
VOL.5
<A> <楽>
第42話 裏切りの捜査官

  脚本:高久 進
  監督:小笠原猛
 元警視庁の囮捜査官影沢一郎が帰国した。しかし警察を辞めた影沢は国際テロリストの一員となっており、携帯用の小型原子力爆弾の設計図を密かに手に入れているという。影沢の同期であった正木は責任を感じ、ウインスペクターに影沢逮捕を命じる。
 一見平和に見える日本でも、裏側では国際テロリストが暗躍している。そんなことを主題にしたような作品で、設定とかは普通にハリウッド映画などでモティーフとされるもの。あくまでこの話では特撮のレベルに持ち込んではいるが、親子の人間ドラマを主題に持ってきたのは本作らしい作りでもある。
 結局おいしいところを持って行ってしまう正木の姿も良し。宮内洋らしいケレン味溢れる姿。
<日本では囮捜査は固く禁じられてるという正木。でも既にこれまで何度か正木自身が囮捜査やってたような?
 影山の息子カズヤのランドセルにデミタスを忍ばせる竜馬。でもサイズ的に「密かに」は無理だったな。
 そのランドセルに手を突っ込んで筆記用具を取り出すカズヤだが、その中には既にデミタスはいない。あんなでっかい缶が中に入ってるのに気づかないか?>
第43話 爆弾になった少年

  脚本:宮下隼一
  監督:小笠原猛
 ウインスペクター本部に爆弾犯人を見かけたという少年今泉文彦が現れた。だが実はその少年こそが爆弾を作った犯人であり、ダイナマイトを体中に巻き付けていたのだ。爆弾が爆発するまで三時間の内に父茂の無実を証明せよとウインスペクターを脅迫する文彦だったが…
 家族を思う少年の心を主眼とした話。父の無実を信じ、健気にも爆弾犯になってしまう息子。
 この話では、所轄署のいい加減さが際だった話となった。刑事ドラマでは定番だが、特撮番組でやるには内容が重すぎた感じはある。劇中の暴力描写もかなり派手なもので、普通の刑事ドラマっぽい感じに仕上がった。
 最後は父が殺されて埋められていたというオチがついてしまう。なんとも救いようのない話だった。死人を出さないように話を進めていた本作で、こんな形で死人が出るのはやりきれない感じがある。
 今回は恐らく初めてウインスペクター技術班の野々山が活躍した話でもある。密かに爆弾の解除コードをメモして
 今回の今泉文彦役は井上豪。「仮面ライダーBLACK RX」の佐原茂役だった。
<犯人のアジトとなっていたスナックには社長室の地図が置きっぱなし。犯罪行う場合、もうちょっと注意しようね。
 真犯人は茂の指紋を採取し、それを金庫に貼り付けて茂を犯人に仕立て上げた訳だが、一度フィルムにつけたものをもう一度貼り付けたら指紋が逆転するんだけど?まあそれすら気づかない所轄署の無能さを協調したのだろうか?
 逃走中の犯人の車にギガストリーマーマキシマムモードをぶっ放すファイヤー。相手は逃げてるだけなので過剰防衛では?
 爆弾犯人の息子があたかもそのままこれまでの生活が出来るように言うナレーション。これだけのことやったら、よくやって少年院だろうに。>
第44話 一日だけの晴舞台

  脚本:扇澤延男
  監督:新井 清
 パトロール中のバイクルはこそ泥の婆さんと出会った。実は彼女は元舞台役者の男性で、活動停止中の劇団を復活させようと盗みを重ねていたのだ。そんな時に国立エネルギー研究所で事件が起こり、その婆さんが犯人の顔を知っていることが分かり…
 今回はバイクルが話の中心で、こそ泥婆さん(実は爺さん)との関わりを描く。比較的幼少のこどもと関わりの多いウォルターと較べ、バイクルは何故かお年寄りとの関わりが多いが、これも人徳という奴か?人情話をされて、つい無罪放免しようとか、バイクルらしいエピソードだ。妙に鋭い推理をしてたりもする。
 おばあさん役はばってん荒川。九州を中心に活躍したキレた演技には定評のある芸人で、まるで「いじわるばあさん」のような演技が楽しい。標準語で喋っていたが、時折博多弁を交えるとか、独特の芸風をここでも確立している。バイクルの名古屋弁とも良い対比になってる。
<ヘルメットをかぶってないことで叱られた米山はカツラを脱いでいた。これはヘルメットの一種になるのか?
 ダイナマイトからこどもたちを守ろうと、ダイナマイトの上に腹ばいになるバイクルとウォルター。爆発したら吹き飛んで見えたのだが(ミニチュアでだが)、次の瞬間にはピンピンして現れた。どこも故障がないよ。
 それで最初の至近距離のダイナマイト爆発には余裕で耐えたウォルターは、次のダイナマイト爆発では機能障害を起こしてる。>
第45話 爆破0秒前の愛

  脚本:山田隆司
  監督:新井 清
 少年刑務所に護送中の爆弾造りのプロである少年芦川俊一が組織の手引きで脱走した。その組織は足利に、親の敵である中津川を殺すようにと指令する。
 人殺しをおかしそうになった少年が少女の愛によって改心するという話。この話も特撮と言うより普通の刑事ドラマに近い。こんな時に頼りになるのが正木の存在。ちゃんとアクションしてた。
 芦川少年を演じていたのは片桐順一郎。子役時代からいくつもの東映作品に出演し、「高速戦隊ターボレンジャー」のイエローターボ日野俊介役を演じている。
<最初に少年院の全景が見られるが、随分古そうな映像だ。中盤で成田空港も出ているが、これも又えらく古い映像。
 オープニングから10分で正木とウォルター、マドックス、竜馬で全ての設定を語らせている。全員動きがないので、果たしてこれが何の作品だか分からなくなってくる。
 変装して芦川を見張るバイクル。シルクハットにインパネって、怪しい以前の問題だが。
 芦川は爆弾のプロという触れ込みだが、使っているのは爆弾ではなくミサイルだった。同じく火薬は使っていても、随分違うぞ。
 そのミサイルだが、全体が光りながら火も出さずに飛んでいる。最早ミサイルとは違う何かのようだが。
 空中でギガストリーマーマキシムモードを撃つファイヤーと、それを支えるウォルター。あの格好で支えるにはなんか重心がおかしいようだが?>
第46話 一日一悪の少年

  脚本:扇澤延男
  監督:小西通雄
 良太と遊んでいた竜馬とバイクルは、悪さばかりするという彦一少年と出会う。そのお爺ちゃんはブラック団というギャング団を勝手に結成し、その構成員として孫を使っていたのだ。目立って悪い事をしてないブラック団に、一応調査してみようとする竜馬だが、ブラック団の狙いはなんとファイヤーのギガストリーマーだった…
 別段変な事はしてないギャング団をめぐる話で、8話のお助け隊の裏バージョンと言ったところか。でも内容は決してギャグやほのぼのしたものではなく、必殺武器を奪われるとか、かなり重い話でもある。刑事物で言うところの、拳銃を奪われた刑事の話と言うべきか?
 どんな悪の教育を受けていても、家族を思う少年の心は健在。それが結局解決の糸口となる。こういう脚本がこの作品には多い。
<久々に登場した良太。随分長い事いなかったので、もういなくなったのかと思った。
 悪い事もしてない組織なのにちゃんとブラック団はマドックスに登録されていた。
 大田黒の言葉に、「頭が痛い」というバイクル。どんな電子頭脳持ってるんだか。
 磁場の変化を「匂い」で探知するバイクル。凄い性能だ。
 ギガストリーマーは普通の人間には撃つことが出来ないが、犯人は三人がかりで撃ってたからだボロボロになるんじゃないか?前に竜馬は撃ったことがあったけど。>
第47話 億ションの甘い罠

  脚本:鷺山京子
  監督:小西通雄
 全館コンピュータ制御のネオ・マンションという高級マンションが売り出され、そこに入居した人は全てコンピュータ任せで快適な生活が約束されていた。だがそこには実は企業の秘密情報を狙う秘密組織の陰謀が隠されていた。寝ている間に催眠術をかけられ、秘密を喋らされてしまう人々…
 タイトルに「億ション」という、過去の遺物のような名前が紛れ込んでいる話。バブルの真っ最中に作られていただけに、まさしくバブリーな話になってる。
 全自動マンションが人を襲う。これは結構マンガで使われていたネタで、それを実写でやってみました。という感じ。怪人が登場しない本作だからこそ、マンションと戦うとかいうことも出来る訳だから、きちんと特徴付けられた話と言えよう。
 コンピュータを使って機密を流していた描写もあった。ネットはまだ知られてなかったはずだが、結構進んだ描写している。未来社会を予見するという意味では最も適切な話だったかも。
<お父さんが取り出したフロッピーディスクは8インチのものだった。未来という設定の癖に古くさい。
 監視カメラで竜馬の顔を見た犯人は「特警ウインスペクター」と呟いている。随分有名になったもんだな。
 現れたゴキブリを熱線で退治するマンション。これって誤作動起こしたら人間もやばいんじゃないのか?
 デミタスが活躍しているが、その体の構造上、キーボードを打つのは難しそうだ。コード直結してコンピュータを覗く位のことは出来そうなんだが。
 なんとこのマンションの緊急コードを入力すると家具までもが襲ってくる。更に自爆装置まで…誰がこんなマンションに住みたいと思う?
 この作品、「超人機メタルダー」の音楽の流用がやたら多いのが特徴だが、バイクルとウォルターの出動にネロス軍団の出撃曲を選曲するのはどうかと思うぞ。これじゃ悪役になるじゃないか。>
第48話 特警を壊滅せよ!

  脚本:杉村 升
  監督:小笠原猛
 これまでの働きを認められ、ウインスペクターが国際警察機構に招聘されることになった。だが竜馬は妹の優子のことが気がかりで、更に突然襲う原因不明の頭痛への不安があった…
 最終回を前に、これからのウインスペクターは世界警察機構として働くことになるようだ。物語途中でいなくなることになるが、実はこれは次回作への伏線でもある(かつて同じメタルヒーローシリーズで「宇宙刑事ギャバン」から「宇宙刑事シャリバン」への橋渡しをしたように、このレスキューシリーズも緩やかに話がつながっている)。
 今回はバンクを多用し、これまでの振り返りもあったようで、本部長の記憶からウインスペクターの活躍が描かれていく。又竜馬と優子の兄妹の両親が亡くなったこともちょっとだけ出ていた。この話をどこかに入れて欲しかった気もする。優子自身ほとんど出てなかったしなあ。
 しかし最終回を前に、今度は主人公の竜馬の肉体面での不安が出てきた。クラステクター着化の副作用なのか?今回はレスキュー作業中に激しい頭痛に襲われ、活動が出来なくなってしまった。
 今回火災現場でちらっと出てきたガタイの良い男。これは1話で登場したR24だ。
<竜馬は随分派手なパジャマ着てる。警視正という身分なのにワンルームのアパート住まいはわびしいな。そう言えば竜馬の私生活が描かれることはほとんど無かった。
 「ウインスペクターは素晴らしいチーム」と言いつつ、何故か正木自身の活躍がやたら多く回想されている。ウインスペクターというチームじゃなくて自分自身がウインスペクターという意識なのか?
 火に包まれた倉庫の扉を開けた途端に倒れるファイヤー。つまりすぐに救出される場所で倒れた訳だ。でも次の瞬間明らかに倉庫の中央部で倒れてた。扉を開けたのは妄想だったのか?>
第49話 翔べ希望の空へ!

  脚本:杉村 升
  監督:小笠原猛
 救助作業中に倒れてしまった竜馬はバイクルとウォルターによって救助されるが、医者によりしばらくの間の着化を禁じられてしまう。しかし竜馬は自分の頭痛の原因はクラステクターではなく、外部からの干渉によるものと直感していた。その証言を信じた正木は調査を開始するが、その頃刑務所に入っていた黒田鬼吉が脱獄したという情報が入る…
 最終回。前回クラステクターの装着が長くなったために頭痛が起きるようになったと説明されていたが、実は全く違っていたと言うことが分かる。前後編だからこそ出来る話だが、ここで最後の敵として現れたのが第1話に登場していた黒田鬼吉というのが面白い。ちゃんと第1話と最終回をくっつけていたのか。
 黒田が言っている「毎日のように世界のどこかで戦争があり、人が人を殺しているんだ。そんな獣の命を、ウインスペクターは後生大事に守ってるというわけか」という台詞。これはまさしく真理であり、これは平和とは何かという問いかけにもなるだろう。明確な怪人が登場しない本作ならではの台詞でもある。そしてそれを受け、どんな凶悪犯人の命も守る必要があるのか?と新組織を結成するに当たって正木は自問自答している。その結果として出した答えは「人の命だけでなく人の心を救う」というもの。これが次回作「特急指令ソルブレイン」のメインテーマとなっていく。
 黒部進の怪演ぶりが光る。今回はきちんと正木との対談もあるが、これはまさしく「ウルトラマン」のハヤタと「仮面ライダーV3」の風見志郎の対談だ(ただ正確に言えばひたすら人の命を守り続けたウルトラマンと、時に非情に怪人を屠っていった風見では立場が逆のような気もする)
<事件の真相に迫った正木本部長は単独で黒田のこもるアジトへ…よっぽど現場が好きな人だな。
 今回のR24は帽子をブーメランのように使って攻撃していた。『ゴールドフィンガー』のパクリ?
 音波を遮断する耳当てを付けていながら普通に黒田と会話している正木。
 着化は命の危険と言われている竜馬だが、普通に国際警察に出向してしまった。良いのか?
 物語としてはこれで良いんだけど、最後は主人公の竜馬になんら特別なスポットが当てられる訳でなく、正木本部長が最後を締めてしまった。結局この作品は全部正木が中心だったという訳だな。さすが宮本洋。>