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リー・ダニエルズ
Lee Daniels

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鑑賞本数 合計点 平均点
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wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
書籍
2016
2015
2014
2013 大統領の執事の涙 監督・製作▲
2012 ペーパーボーイ 真夏の引力 監督・製作・脚本
2011
2010
2009 プレシャス 監督・製作
2008
2007
2006
2005 サイレンサー 監督・製作
2004
2003
2002
2001 チョコレート 製作
2000
1999
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1965
1964
1963
1962
1961
1960
1959 12'24 ペンシルヴェニア州フィラデルフィアで誕生

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タイトル

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物語 人物 演出 設定 思い入れ

 

大統領の執事の涙 2013
2013英アカデミー助演女優賞(ウィンフリー)、メイクアップ&ヘアー賞
2013放送映画批評家協会助演女優賞(ウィンフリー)、アンサンブル演技賞、メイクアップ賞

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パメラ・オアス・ウィリアムズ
ローラ・ジスキン
リー・ダニエルズ
バディ・パトリック
カシアン・エルウィズ
マイケル・フィンリー
シーラ・C・ジョンソン
ハーヴェイ・ワインスタイン
ボブ・ワインスタイン
レン・ブラヴァトニック
アヴィヴ・ギラディ
ヴィンス・ホールデン
ヒラリー・ショー
アダム・J・メリムズ(製)
ダニー・ストロング(脚)
フォレスト・ウィテカー
オプラ・ウィンフリー
ジョン・キューザック
ジェーン・フォンダ
キューバ・グッディング・Jr
テレンス・ハワード
レニー・クラヴィッツ
ジェームズ・マースデン
デヴィッド・オイェロウォ
ヴァネッサ・レッドグレーヴ
アラン・リックマン
リーヴ・シュレイバー
ロビン・ウィリアムズ
クラレンス・ウィリアムズ三世
ヤヤ・アラフィア
ミンカ・ケリー
ネルサン・エリス
マライア・キャリー
アレックス・ペティファー
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
大統領の執事の涙(書籍)ウィル・ヘイグッド
 幼少時奴隷の父を白人主人に殺される光景を目撃してしまったセシル・ゲインズ(ウィテッカー)は、盗みに入った店の主人に拾われ、そこで徹底的に執事の役割について教え込まれた。成長し、ワシントンDCのホテルで働くセシルに目をとめたのは、ホワイトハウスの執事長だった。そこでセシルはアイゼンハワーからレーガンまでの大統領に仕えることになる。
 第二次大戦後からのアメリカの歴史そのものを、アフリカ系執事の目を通して描いた作品。権力とは無関係ながら権力者の近くに常にいる人の目で歴史を観返すという意味で、『日の名残り』(1993)や韓国映画の『大統領の理髪師』(2004)のような切り口。またアメリカ史を敷衍して観ると言うことで、『フォレスト・ガンプ 一期一会』(1994)の別バージョンとして観る事も出来る作品。
 ホワイトハウス付きのアフリカ系執事が主人公という、これまでに無かった視点でアメリカ史を見直しているため非常に新鮮で、全く違った切り口で歴史を見ることが出来て大変面白かった。大統領も一人一人個性が違っていて、その再現度も特筆すべき。
 それで本作は存分に世界大戦後のアメリカというものを描いているのだが、中心点が存在する。
 それは主人公がアフリカ系ということで、公民権運動の歴史というものが中心になっている点。
 前述した『フォレスト・ガンプ』は公民権運動に関して一切描くことがなかったため、不完全さが目立っていたが、それに本作を合わせることでしっかりと歴史を捉えられるようになっている。
 本作に限らず、公民権運動に関しては他にもいくつか映画になっているが(代表作を挙げろと言われたら、スパイク・リー監督の諸作品や『ドライビング Miss デイジー』(1989)『ALI アリ』(2001)などをお薦めする。)、特にキング牧師とマルコムXの全く違ったアプローチを比べる作品は少なく、本作はその間を上手く取り持った話になってるところも本作の見所の一つだろう。
 また、公民権運動もいろいろな負の歴史が存在する。それまで虐げられてきた人たちが立ち上がると言う事は、時に暴力に訴えることもあれば、時に意見の対立から内部での紛争も始まる。むしろそう言う過程を経なければ自由を獲得したことにはならない。本作は、その部分もしっかり描いている。

 そう言う意味では大統領に仕える執事というのが立場的にはぴったりだろう。教育も満足に受けられなかった少年時代を経てきたとしても、歴代の大統領の言動や悩む姿をすぐ近くで見ているセシルの立場としては、理想論や暴力傾倒は子供じみたわがままな主張に過ぎない。同じアフリカ系であっても、既に立場は異なっているのだ。
 そんな醒めた目で公民権運動を見ているからこそ、前述したようにキング牧師の理想論とマルコムXの暴力革命を同時に眺めることが出来るという訳である。ある種理想的な立場でものを見ている。そんな冷静さが本作の魅力だ。

 ただ一方ではそんな冷静すぎる目で世界を見ているため、話が淡々と進みすぎるという問題点もあるのだが、その辺がラスト部分で上手く消化されている。
 常に醒めた目で公民権運動を見てきたセシルは、そのために息子とも疎遠になってしまったのだが、老境にさしかかり、本当に正しいことは何か?と考えた時に、素直な心で正しいと思えた事を行う。ラストで「自分が選択したことに間違いはなかった」。そう言う人生を送れたということが暗示されたところですっきり終わってくれる。

 そして本作の魅力をもう一点。
 本作は擬似的な家族と、本当の家族のどちらも家族形成について丁寧に描いているという点。
 セシルは実際の家族については良い思い出もないし、自分の息子に対しても良い父親とは言えなかった。むしろ仕事上、自分を仕込んでくれたレストランの店主や歴代大統領の家族との親交の方が深まっていく。実際の家族としての関係には及び腰になっていくのだが、やがて息子の思いというものを自分なりに受け止め、本当の家族を作り上げていくという過程がある。
 こう言う家族形成の物語が大好きな身としては、本作を悪く言う訳にはいかない。

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