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2013 | サード・パーソン 監督・脚本 | ||||||||
2011 | |||||||||
2010 | スリーデイズ 監督・製作・脚本 | ||||||||
2009 | crash クラッシュ(2nd)<TV> 製作総指揮 | ||||||||
2008 | 007 慰めの報酬 脚本 | ||||||||
crash クラッシュ(1st)<TV> 製作総指揮 | |||||||||
2007 | 告発のとき 監督・製作・原案・脚本 | ||||||||
2006 | ラストキス 脚本 | ||||||||
007 カジノ・ロワイヤル 脚本 | |||||||||
硫黄島からの手紙 脚本 | |||||||||
父親たちの星条旗 脚本 | |||||||||
アントラージュ★オレたちのハリウッド(3rd)<TV> 出演 | |||||||||
2005 | クラッシュ 監督 | ||||||||
炎のテキサス・レンジャー リターンズ 企画 | |||||||||
2004 | ミリオンダラー・ベイビー 脚本 | ||||||||
2000 | |||||||||
1999 | |||||||||
1998 | |||||||||
1997 | |||||||||
1996 | |||||||||
1995 | 騎馬警官(2nd)<TV> 脚本 | ||||||||
1994 | 騎馬警官(1st)<TV> 脚本 | ||||||||
L.A. Law 7人の弁護士(9th)<TV> 脚本 | |||||||||
1993 |
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L.A. Law 7人の弁護士(8th)<TV> 脚本 | |||||||||
1992 | L.A. Law 7人の弁護士(7th)<TV> 脚本 | ||||||||
1991 | L.A. Law 7人の弁護士(6th)<TV> 脚本 | ||||||||
1990 | L.A. Law 7人の弁護士(5th)<TV> 脚本 | ||||||||
1989 | L.A. Law 7人の弁護士(4th)<TV> 脚本 | ||||||||
1988 | L.A. Law 7人の弁護士(3rd)<TV> 脚本 | ||||||||
1987 | 帰ってきたむく犬 脚本 | ||||||||
L.A. Law 7人の弁護士(2nd)<TV> 脚本 | |||||||||
1986 | L.A. Law 7人の弁護士(1st)<TV> 脚本 | ||||||||
1953 | 3'10 カナダで誕生 |
スリーデイズ 2010 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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クラッシュ 2005 | |||||||||||||||||||||||
2005米アカデミー作品賞、脚本賞、編集賞、助演男優賞(ディロン)、監督賞(ハギス)、歌曲賞 2005英アカデミー助演女優賞(ニュートン)、オリジナル脚本賞、作品賞、助演男優賞(チードル、ディロン)、監督賞(ハギス)、撮影賞、編集賞、音響賞 2005ゴールデン・グローブ助演男優賞(ディロン)、脚本賞 2005ヨーロッパ映画インターナショナル作品賞 2005インディペンデント・スピリット助演男優賞(ディロン)、新人作品賞 2005放送映画批評家協会アンサンブル演技賞、脚本賞、作品賞、助演男優賞(ハワード、ディロン)、監督賞(ハギス) 2005シカゴ映画批評家協会作品賞、脚本賞 2005ラスヴェガス映画批評家協会主演男優賞(ディロン)、脚本賞 2005ロンドン映画批評家脚本賞、作品賞、監督賞 2005ロンドン映画批評家英国助演女優賞(ニュートン) 2005英インディペンデント映画外国映画賞 2005ナショナル・ボード・オブ・レビューブレイクスルー演技賞(男優)(ハワード)、作品賞 2005ロジャー・エバートベスト第1位 2005全米オンライン映画批評家協会ブレイクスルー監督賞 2005ピーター・トラヴァースベスト第8位 2005アメリカ製作者組合実写部門賞 2005全米監督組合長編映画部門 2005映画俳優組合アンサンブル演技賞、助演男優賞(チードル、ディロン) 2005脚本家協会オリジナル脚本賞 2005エンパイア女優賞(ニュートン) 2005AFIベスト 2006日本アカデミー外国映画賞 2006キネマ旬報第9位 |
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ロサンジェルスで起こった謎の殺人事件。殺されたのはアフリカ系アメリカ人だったが、彼が殺さされた当日、彼が関わった人物はかなり多くの数に上っていた。同じくアフリカ系のグラハム(チードル)と彼の同僚でヒスパニック系の恋人リア(エスポジート)。自分の全てである雑貨店を守ろうと躍起になるペルシア人ファハド(トーブ)、アフリカ系住民の支持を得たがっている地方検事のリック(フレイザー)とヒステリックで差別主義の妻ジーン(ブロック)。人気テレビドラマの演出家キャメロン(ハワード)とその妻クリスティン(ニュートン)。アフリカ系に対する差別を隠そうともしない白人警官ライアン(ディロン)と同僚のハンセン(フィリップ)。そして白人に敵意を抱くこそ泥の青年アンソニー(ブリッジス)とピーター(テイト)…彼らの運命は一日の中で複雑に絡み合っていた。「誰かを“押す”ことで作られる人間関係」を精緻に描く。 2005年度マイ・ベスト作品となった『ミリオンダラー・ベイビー』(2004)の脚本家ハギスが脚本のみならず監督まで務めた作品で、2005年米アカデミー賞の作品賞オスカーを見事射止めた。 2005年の作品賞オスカーでは有力視されていた『ブロークバック・マウンテン』を蹴落としたと言うことで、あまりよく思われてないっぽい作品なのだが、しかし一見して完全にその考えを捨てた。これは間違いなく素晴らしい作品だ。『ミリオンダラー・ベイビー』に続き、又しても感動させられるとなると、私にとってハギス監督はこれから最高の注目株監督だよ(事実私としても『ブロークバック・マウンテン』よりはこっちを推す)。 いくつもの人間模様が時間や空間を飛び越えてやがて一つに収斂していく物語は『グランド・ホテル』(1932)に始まって以来、連綿と作り出されてきた。近年でもこの手の作品の傑作として『マグノリア』(1999)や『トラフィック』(2000)があるし(近年の最大傑作は『パルプ・フィクション』(1994)のような気もするが)、これはとにかく難しい。場面場面によってあっちこっちへと飛ぶ物語を一本のしっかりした物語にまとめなければならないし、しかも観ている観客に破綻無く全ての人間関係を見せなければならない。脚本がよほどしっかりしていて、更に監督の力量(コラージュ的な編集能力も含め)が問われる作品とも言える。それをここまで見事にまとめられてしまうと、もはや感心するしかない。これだけのキャラクタが出ていて、全員しっかり個性づけられ、破綻無く全てがまとまっていかせることが出来るのだな。その実力がある監督がいるってだけでもめっけもん。ハギスはテレビ畑の出身なので、多数の人間を同時に動かすことに長けている。その強みを最大限に用いた作品だろう。動いてはいないが、ロードムービーを見せられている気分。 キャラクタ一人一人も抑えの効いた演技でそれぞれがキレた役柄を演じきっているので、その実力が思い知らされる。自分の感情を抑えることが出来ず、誰彼なしにかみつくだけのジーン役のサンドラ=ブロック。その夫で、票獲得のためにはあらゆる個人的感情を抑え込んでいるが、そのために他者に対して打算でしかつきあえないリック役のブレンダン=フレイザー。家族に対する様々な感情を押し込めつつ、アフリカ系のハンディを乗り越え、有能さと危ないことには目を瞑ることで出世してきたグラハム役のドン=チードル。助演男優賞にノミネートされた、相変わらずの気合いの入った不良っぷりを見せているライアン役のマット・ディロン(この人はいくつになってもこういう役が似合う)等々、みんな本当に上手かった。しかも彼らは表面的な乱暴さの反面、内的にはもろい存在であり、それらも見せなければならないのだから尚更だ。 本作は被害者側ではなく、加害者側から見た事件を描いていると言うこと。それだけに物語はかなり皮肉の効いたもので、前半部分は登場人物の大半が誰かに向かって毒づくか、暴力を振るうかしている。そこには人種間の差別主義あり、こんな努力してるのにそれを誰も評価してくれないという苛立ちあり、「何で俺ばっかり」という思いあり…そのやるせない気持ちが全て攻撃的なものとなっていく課程が丁寧に描かれる(尚、本作を観ていた当日、私自身の精神状態が確かにこういう苛立ちを持っていたお陰で、その辺の描写にはのめり込んだ)。どれだけ努力しても、カラードは存在自体が疎まれる社会の中で、反発して暴力的に生きるしかない人間の姿がクローズアップされているし、逆に増えすぎたカラードのお陰で逆に不自由しか感じられない白人の様子も克明に描かれている。 前半部分は特に加害者と被害者は一方的な関係に置かれがち。このまま殺伐とした人間関係を突き詰める話になるのか?と思われたのだが、そうではなかった。 確かに彼らは差別主義的な心も、抑圧されて暴力にはけ口を求めるような心もある。しかし一方、それがその人物の全てを言い表しているわけでもない。とっさの時に人を守ろうとする心もあり、人を憎むと同時にそれを恥ずかしく思う心も持っている。 自分の命の危険を顧みず、昨夜の出来事で憎まれているクリスティンを自動車事故から救うライアン。転落事故を起こして、嫌っている家政婦に救われて初めて感謝の言葉を口にするジーン。自分の店が荒らされたのを逆恨みして鍵の修理人を殺そうとして、果たせなかったことで激しく安堵するファハド。そしてこそ泥でありながら、人身売買に手を染めることを最後に拒否し、彼らに優しい笑みを見せるアンソニー…それぞれが色々な感情を持っており、犯罪の加害者が悪の化身ではないのだ。人間は人間である。それが当たり前と思えないのがこの世界なのだと感じさせてくれる。 そして一方、やはり皮肉なことに、前半部分では好人物とされた数少ない人物が、後半になると加害者になって、相手をののしったり、殺してしまったりする。この構成は本当に見事だ。同僚のライアンのような差別主義者にはなりたくないハンセンと言い、互いにののしり合うアフリカ系の病院ボランティアとアジア系保険調査員と言い…結局この三人がループの起点にあるのが面白いところ。 心が殺伐とした折、本当に「観て良かった」と思わせてくれた作品だった。 結構映画評とかを見てみると、本作は人種差別がテーマとされているのだが、実際どうなんだろう?確かに人種差別というものは本作のテーマにはある。だけど本質的に本作の場合人間同士にある不信感というのが一番のテーマだったんじゃないだろうか?少なくとも私はそう思える。たまたま本作を観る直前ビデオで『チョコレート』(2001)を観ていて、なんかもやもやした気持ちがあったのだが、本作でそのもやもや感が納得できた感じ。 ちなみに私が本作を見たのは本当に小さなシネコン。オスカー作が何で?と思ったら、実は青田刈り時点でムービーアイという日本のほんの小さな配給会社によって配給権が買い取られていたためだと後に知った。ムービーアイにとっては大金星だったかも知れないけど、それで放映が狭められてしまったのは残念。 |