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アニエス・ヴァルダ
Agnes Varda

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鑑賞本数 1 合計点 4 平均点 4.00
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
書籍
著作
アニエス・ヴァルダによるジェラール・フィリップ
歌う女・歌わない女
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002 落穂拾い・二年後 監督・製作・脚本・撮影・編集・出演
シャレード 出演
2001
2000 落穂拾い 監督・脚本
1999
1998
1997
1996
1995
1994 百一夜 監督・脚本
1993
1992
1991 ジャック・ドゥミの少年期 監督・製作・脚本
1990
1989
1988
1987 カンフー・マスター! 監督・製作・脚本
アニエスv.によるジェーンb. 監督・脚本・出演
1986
1985 冬の旅 監督・脚本
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977 歌う女・歌わない女 監督・製作・脚本
1976
1975
1974
1973
1972
1971
1970
1969
1968
1967 ベトナムから遠く離れて 監督
1966
1965
1964 幸福 監督・脚本
1963
1962
1961 5時から7時までのクレオ 監督・脚本
1960
1959
1958
1957
1956 世界の全ての記憶 出演
1955
1954
1953
1952
1951
1950
1949
1948
1947
1946
1945
1944
1943
1942
1941
1940
1939
1938
1937
1936
1935
1934
1933
1932
1931
1930
1929
1928 5'30 ブリュッセルで誕生

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幸福 1964
1965ベルリン国際映画祭銀熊賞
1966キネマ旬報外国映画第3位

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アニエス・ヴァルダ(脚)
ジャン=クロード・ドルオ
クレール・ドルオ
マリー=フランス・ボワイエ
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 叔父の経営する建具屋で働く夫フランソワ(ジャン=クロード)は美しく従順な妻テレーズと子供と暮らす楽しい日々を送っていた。だがある時、長期の出張で遠い町に行くことになり、そこで近くの町の郵便局員エミリーと出会った。妻とは違う奔放な性格のエミリーに引かれていくフランソワだが…

 
このレビューは激しいネタバレを含んでいるため、少なくとも本作を一度観た上でご覧くださることを期待する。

 一口で言えば本作は
「とても美しく、そしてとても分かりづらい作品」と言えようか。
 この時代のフランス映画は、様々な実験的手法を投入していたが、一概にとても綺麗な画面づくりをしている。本作もソフトフォーカスを巧く使って、幸せな家族描写をこれでもか!と言うほど作り出していて、画面は前編を通してとても美しい。
 物語も分かりづらいというのではなく、むしろとても単純なのだが、いったいどういう経路でこういう物語になるのかが全く分からないのだ。これをどう取ればいいのか、観た直後では全く分からなかった。やっと今頃になってなんとか分かってきたような気がする。


 整理してみると、本作は
「とても仲がいい家族の物語」である。全てを要約すると本当にそれだけ。
 ホームドラマの基本は一応押さえていて、最初に仲のいい家族を「これでもか!」と描き、その後家族から離れて働きに出た夫が、そこで魅力的な女性と出会ってしまう。それで夫婦の危機を経て、家族の絆は更に強くなっていく。
 こう書くと普通のホームドラマっぽいのだが、本作のすごいところは
最初と最後の家族が違うということ。つまり、物語途中で浮気相手の女性の方を主人公のフランソワは選んでしまうのだ。
 …いや、それならそれでも話は成り立つのだが、それで困ってしまうのは、ラストシーンはいかにもハッピーエンドになっているというところ。

 物語中盤で夫婦の危機を経る訳だが、その際本来の妻の方が身を引いて、自殺してしまう。それで妻の遺言通り浮気相手を家族に迎え入れ、元の家族と変わらずに家族仲睦まじく過ごしていく…

 
なんでこうなる?正直あのラストシーンは訳が分からない。いくらなんでも夫が浮気したってだけで自殺する妻もそうだが、それでああ言う遺言を残すことも、更にその遺言をそのまま実行してしまう夫の方も。それを当たり前のように受け入れる子供たちも。何もかも想定外で混乱してしまう。

 かつて読んだ小説
「髪結いの亭主」では、この幸せが徐々になくなっていくのが怖いと言って妻が自殺するというオチに持っていき、あれもよく分からなかったんだが、それ以上にこれは分からない。
 
開いた口がふさがらないとはまさにこのこと。理不尽極まりないこのラストシーンは、一種のどんでん返しとも言えるし、ここに至る過程が全く理解できない。強いて言うなら、「男とはこう言う生物である」ということを言おうとしているのかも知れない。男とは特定の人ではなく、愛する人であれば、誰でも家族ごっこが出来ますよ。という…違うかも知れないけど。

 でも、今から考えてみると、それこそが
本作を名作たらしめているのかもしれない。ストーリーテリングを逆手に取ったこのラストは、一種のトラウマ映画として燦然と輝いている。

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