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ジョー・ライト
Joe Wright

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鑑賞本数 2 合計点 8 平均点 4.00
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
書籍
2018
2017 ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男 監督
2015 PAN 〜ネバーランド、夢のはじまり〜 監督
2014
2013 オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分 製作総指揮
2012 アンナ・カレーニナ 監督▲
ハミングバード 製作総指揮
2011 ハンナ 監督
2010
2009 路上のソリスト 監督
2008
2007 つぐない 監督
2006
2005 プライドと偏見 監督
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972 ロンドンで誕生

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ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男
2017米アカデミー主演男優賞(オールドマン)、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、作品賞、撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞
2017英アカデミー主演男優賞(オールドマン)、メイクアップ&ヘアー賞、
作品賞、助演女優賞(トーマス)、作曲賞、撮影賞、プロダクションデザイン賞、衣装デザイン賞、英国作品賞
2017ゴールデン・グローブ男優賞(オールドマン)
2017放送映画批評家協会主演男優賞(オールドマン)、ヘア&メイクアップ賞、
作品賞、音楽賞
<A> <楽>
ティム・ビーヴァン
エリック・フェルナー
リサ・ブルース
アンソニー・マクカーテン
ダグラス・アーバンスキー
ジェームズ・ビドル
ルーカス・ウェブ
ライザ・チェイシン(製)
アンソニー・マクカーテン(脚)
ゲイリー・オールドマン
クリスティン・スコット・トーマス
リリー・ジェームズ
スティーヴン・ディレイン
ロナルド・ピックアップ
ベン・メンデルソーン
★★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 1940年5月。ヨーロッパでは破竹の勢いでドイツ軍が進軍していた。イギリスもフランスに軍を送っていたものの、ドイツ軍の進軍速度は止まらず、敗退を繰り返して海岸線のダンケルクまで後退していた。そんな中、イギリス本国ではドイツとイタリアに対して宥和政策を採っていた保守党のチェンバレン内閣が倒れ、保守党・労働党の挙国一致内閣の首相として、ウィンストン・チャーチル(オールドマン)が選ばれる。あくまでドイツとの徹底抗戦を訴えるチャーチルだが…
 実に初めて主人公としての映画化されたウィンストン・チャーチル。
 これまで数多くの著作と評伝があり、数々の映画でも登場はしており、特に第二次世界大戦を語る上では欠かすことの出来ない人物ではある。この人がいたお陰で手痛い敗北を繰り返していたイギリス軍が復興したとも言われ、
第二次大戦を通しての最大のイギリス人の偉人である
 しかしこれまでのドラマやドキュメンタリーを通して垣間見たチャーチルの人物像とは、
政治的には独断専行タイプで、自説を通すためには平気でどんな手も使う人間で、人物的にはとにかく嫌な奴というのが定説になっている。実際当時はとにかく誰からも嫌われていたらしい。
 その辺の人間的な部分が災いして、これまで脇役としてならともかく、主役として描くことができなかったのではないかと思われる。
 そんなチャーチルを描くというのもなかなかの冒険だが、そのチャーチル像を崩さずに映画化した監督の意思に賛辞を送ろう。
 そしてそんなチャーチルを演じきったゲイリー・オールドマンの実力には倍する拍手を送りたい。そもそもやせ形のオールドマンがこんな肥満役をこなしてるのに、それがとても自然に見えるのが素晴らしい。造形的には満点だ。

 この作品の特徴は、そんなチャーチルの実像に迫ることになるのだが、おそらく一番重要なのは、
「何故こんな嫌な奴が首相になれたのか?」という一事に尽きるかと思う。
 タカ派で露骨な差別意識を持ち、当時の階層社会であった保守党議員の中で、他の議員貴族に敬意を払うことなく、時に王に対しても歯に衣着せぬ物言いをする。しかもかつて軍人として大失敗した経験もある。彼を推す同僚の議員もほとんどいない。
 平時であれば首相なんてなれるはずがない。しかしそんなチャーチルが首相になれたのは、負け戦のまっただ中だったからだった。
 表向き、首相候補だったハリファックスが辞退したからと言う事になっているが、現実的には対枢軸国に対する失策の責任を負うために、不人気のチャーチルが指名されたともいえる。

 そんな逆風の中で首相に就任したチャーチル。
 それまで徹底的にこき下ろしていた首相になった以上、夢のような過激な事は言えず、現実的な政策を展開しなければならない。
 しかし一方で自分に求められているのは、どんなに嫌われようとも、枢軸国に対して徹底抗戦を訴えなければならない。嫌われ役だからこそ自国の兵を死地に向かわせる役を担わねばならないというのが役割だった。

 そしてここで重要になるのがダンケルクである。
 イギリスがフランスに送った軍隊をなんとか引き上げさせる必要があるのだが、ドイツの電撃作戦はあまりにも早すぎて、帰還のための船が間に合わない。このままでは下手すれば全滅である。
 これが失敗していたら、あっという間に首が飛んでいただろう。そもそもチャーチルが首相になったのは、半分くらいはダンケルクの失策のために首を斬るためなのだから。
 だが、結果としてこの際のチャーチルの判断は非情ではあったが、正しく、より多くの兵を救う事が出来た。これによって国民の信頼を勝ち取ることが出来、その後の困難な闘いでも戦いを選択し続ける事になる。

 嫌な奴だからこそ出来る決断というのもある。そしてそれが最も正しい道を進むこともあるのだ。
 それをしっかり示したことがこの作品の最大の評価だろう。

 ただ、
これを勘違いする政治家がいないことだけは願いたいところである

 あと、本作が評価されるべき所はもう一点ある。
 2017年はまさに同じ時、ダンケルクを舞台にした映画が作られていた。
 それがクリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』(2017)である。
 あの作品でもドーバー海峡を前にした絶望感が描かれていたが、その背後でこのような駆け引きがあったと言うことが分かってくると、ぐっと理解が増す。だからあの民間船が海峡を渡るシーンに感動できるのだ。
 この二つの作品、どっちが後先でも良いんだが、二つとも観ると、後で観る作品が相乗効果でぐっと身近に感じられるようになる。
 わたし自身は本作の方が後になったが、画面を見ながら、脳の片隅では『ダンケルク』のシーンがプレイバックされていた。
 お陰で本作を観ただけで『ダンケルク』のおさらいを含め、二本分の作品を観た気分になってとてもお得な気分にさせられた。
 だから私がこの点数を付けられたのは、『ダンケルク』のお陰でもある。本当に良いタイミングで本作を観られた幸運に感謝しよう。
アンナ・カレーニナ 2012
2012米アカデミー衣装デザイン賞、撮影賞、作曲賞、美術賞
2012英アカデミー衣装デザイン賞、
作曲賞、撮影賞、プロダクションデザイン賞、メイクアップ&ヘアー賞、英国作品賞
2012
ゴールデン・グローブ音楽賞
2012放送映画批評家協会美術賞、衣装デザイン賞
2013ヨーロッパ映画プロダクションデザイン賞、
男優賞(ロウ)、女優賞、脚本賞

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ティム・ビーヴァン
エリック・フェルナー
ポール・ウェブスター
ライザ・チェイシン(製)
トム・ストッパード(脚)
キーラ・ナイトレイ
ジュード・ロウ
アーロン・テイラー=ジョンソン
ケリー・マクドナルド
マシュー・マクファディン
ドーナル・グリーソン
ルース・ウィルソン
アリシア・ヴィキャンデル
オリヴィア・ウィリアムズ
エミリー・ワトソン
カーラ・デルヴィーニュ
スザンヌ・ロタール
アレクサンドラ・ローチ
タニシュタ・チャテルジー
デヴィッド・ウィルモット
ルーク・ニューベリー
バフィ・デイヴィス
エロス・ヴラホス
ホリデイ・グレインジャー
アントニー・バーン
ミシェル・ドッカリー
ケネス・コラード
ヘラ・ヒルマー
ジェームズ・ノースコート
オスカー・マクナマラ
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
アンナ・カレーニナ(書籍)レフ・トルストイ
つぐない 2007
2007米アカデミー作曲賞、作品賞、助演女優賞(ローナン)、脚色賞、撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞
2007英アカデミー作品賞、美術賞、
主演男優賞(マカヴォイ)、主演女優賞(ナイトレイ)、助演女優賞(ローナン)、監督賞、脚色賞、作曲賞、撮影賞、衣装デザイン賞、英区アップ&ヘアー賞、編集賞、音響賞、英国作品賞
2007ゴールデン・グローブ作品賞、音楽賞、
男優賞(マカヴォイ)、女優賞(ナイトレイ)、助演女優賞(ローナン)、監督賞、脚本賞
2007
放送映画批評家協会作品賞、助演女優賞(レッドグレーヴ)、監督賞、音楽賞、若手女優賞(ローナン)
2007ナショナル・ボード・オブ・レビュートップ10
2007ピーター・トラヴァースベスト第2位

2007ロジャー・エバート4位

2008
ヨーロッパ映画男優賞(マカヴォイ)、音楽賞
2008キネマ旬報外国映画第9位

2008エンパイア男優賞(マカヴォイ)、女優賞(ナイトレイ)、英国作品賞、監督賞、音楽賞、ニューカマー賞(ローナン)

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クリストファー・ハンプトン(脚)
キーラ・ナイトレイ
ジェームズ・マカヴォイ
シアーシャ・ローナン
ロモーラ・ガライ
ヴァネッサ・レッドグレーヴ
ブレンダ・ブレシン
パトリック・ケネディ
ベネディクト・カンバーバッチ
ジュノー・テンプル
ピーター・ワイト
ハリエット・ウォルター
ミシェル・ダンカン
ジーナ・マッキー
ダニエル・メイズ
ノンソー・アノジー
アンソニー・ミンゲラ
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
贖罪(書籍)イアン・マキューアン
プライドと偏見 2005
2005米アカデミー主演女優賞(ナイトレイ)、作曲賞、美術賞、衣装デザイン賞
2005英アカデミー助演女優賞(ブレシン)、脚色賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアー賞、新人賞(ライト)、イギリス作品賞
2005ゴールデン・グローブ作品賞、女優賞(ナイトレイ)
2005放送映画批評家協会主演女優賞(ナイトレイ)
2006ヨーロッパ映画撮影賞、音楽賞

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デボラ・モガー(脚)
キーラ・ナイトレイ
マシュー・マクファディン
ドナルド・サザーランド
ブレンダ・ブレシン
ロザムンド・パイク
ジュディ・デンチ
サイモン・ウッズ
ルパート・フレンド
トム・ホランダー
クローディー・ブレイクリー
ジェナ・マローン
キャリー・マリガン
タルラ・ライリー
ケリー・ライリー
ピップ・トレンス
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
高慢と偏見(書籍)ジェーン・オースティン
 18世紀末。イギリスの田舎町に暮らすベネット家の5人の娘達の嫁ぎ先を母親は必死で探していた。女性に相続権がないこの時代では父親が死んだら家も土地も遠縁の男子が継いでしまうことから、なんとか資産家に嫁がせようと言うのだ。そんな時、近所に独身富豪のビングリー(ウッズ)が引っ越してきた。早速舞踏会が開かれ、長女のジェーンはビングリーに見初められる。しかしビングリーの親友としてやってきたダーシー(マクファディン)の無愛想さに次女のエリザベス(ナイトレイ)は激しい嫌悪感を感じるのだった。しかもダーシーの計らいでビングリーがロンドンに行ってしまうと分かった時、エリザベスの思いは敵意へと変わっていく。だが…
 ジェーン=オースティン原作
「高慢と偏見」の映画化。
 無知をさらけ出すけど、本作が原作付きとは全く知らなかったのだが、単に久々に文芸ものも良さそうだと思い、ほとんど前知識のないまま劇場へ。
 ものの10分くらいで、おや?と思わされる。
 ちょっと登場人物が多すぎないか?それに展開が早い。もう少し観ていってようやく「なるほど。これは原作があるな」とそこで気づいた。
 実際これは文芸書そのものだ。キャラクタの相関関係の複雑さや、心の動きの変化など、限られた時間の映画では表現が難しいものが揃ってる。これを作品として仕上げるのは大変困難。
 頑張っているのは分かるけど、話の展開があまりにも早すぎるし、設定も活かし切れてもいないように思える。いや、それ以前にこれだけの数のキャラクタを動かす次点でそれは破綻することは分かり切っていただろう。
 何よりここではエリザベスとダーシーの出会いがあまりにも都合良く行きすぎていて、それもとても不自然に思わさせてしまう。大体エリザベスがどこかに出かけると、必ずそこにはダーシーがいるって、これじゃ見方を変えれば
まんまストーカーものじゃないか。
 せめて三時間あれば、もう少し良い感じに仕上がったんじゃないか?いっそテレビシリーズにした方が…
(と、思ったら、実際にあって、日本でも放映されてたのね。知らなかった)
 そう言うことで、物語も設定も頑張っていても、さほど褒めるべき所を持っていない作品なのだが、それがつまらないか?と言われるとさにあらず。
 先ずそのキャラクタの描写能力が高かったと言うこと。確かにあまりにも多くのキャラが出ていて、個々に魅力を伝えることは難しかっただろうけど、その中で最大限一人一人のキャラクタにスポットを当て、いかにして個々のの魅力を伝えられるか努力しているのがよく分かる作りになっていた。結果、
心情をストレートに口にするキャラが多かったのは仕方ないとしても、限られた時間でこれだけキャラクタの情報を出せたのは評価してしかりだろう。ナイトレイはこれまでたいして綺麗だと思ってなかったけど、本作で見方を変えた。彼女の存在感はこれまでの作品中最高で、これだけ見ただけだとファンになってしまいそう。何よりヴェテランのサザーランドとデンチは貫禄。どっちも偏屈な役を見事にこなしてる。この二人にかかっては他のキャラも貫禄負けしてしまうほど。重厚な演技が大変嬉しい。
 そして何よりもカメラ・ワークが
ため息出るほど見事。昨今CGに頼ることが多いが、ここではあくまでアナログにこだわり、カメラの技術だけで見事に場面を表している。それは舞踏会のきらびやかな演出であったり、個々のキャラの性格付けだったりだが、久々に名人芸を魅せてもらった気分だ。特に冒頭部分の舞踏会は必見。久々に見事な逆ズームの手法を見せてもらったし、一人一人の行動を捉えつつ、舞踏会の進行を映し出す長回しの手法は、息をのむほどの見事さを見せている。まさに名人芸!これだけのカメラを見せてくれただけでも、本作は観る価値があったというものだ。エリザベスとダーシーが心を通わせるラスト近くのシーンでわざと逆光を使っているのも、最近ではあまり見られない名シーン。それにカントリー・ハウスを中心としたイギリスの田園風景の伸びやかさと、部屋の中の乱雑さが見事に対比されているのも巧い。演出に関してだけで言えば、本作は最高の作品と言えよう。これが観られただけでも悪く言えないなあ。
 褒めるところとけなすところがこれだけはっきりした作品も珍しいな。

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