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トム・フーパー
Tom Hooper

トム・フーパー
Wikipediaより
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鑑賞本数 3 合計点 13.5 平均点 4.50
書籍
2020
2019 キャッツ 監督・脚本
2018
2017
2016
2015 リリーのすべて 監督・製作
2014
2013
2012 レ・ミゼラブル 監督
2010 英国王のスピーチ 監督
2009 くたばれ!ユナイテッド -サッカー万歳!- 監督
2008
2007
2006
2005 エリザベス1世 〜愛と陰謀の王宮〜 監督
2004 ヒラリー・スワンク IN レッド・ダスト 監督
2003 第一容疑者 姿なき犯人 監督
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972 ロンドンで誕生

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キャッツ
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アンドリュー・ロイド・ウェバー
スティーヴン・スピルバーグ
アンジェラ・モリソン
ジョー・バーン(製)
リー・ホール
トム・フーパー(脚)
ジェームズ・コーデン
ジュディ・デンチ
ジェイソン・デルーロ
イドリス・エルバ
ジェニファー・ハドソン
イアン・マッケラン
テイラー・スウィフト
レベル・ウィルソン
フランチェスカ・ヘイワード
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 ロンドンの裏通りに捨てられてしまった雌猫ヴィクトリア(ヘイワード)が縛られた袋から脱出すると、そこは猫たちのたまり場。彼らジェリクルキャッツにとってこの夜は特別な夜だった。実はこの夜、ジェリクルボールという舞踏会が開かれ、ここで優勝した猫は天上に迎えられ、新しい命をもらえるというのだ。彼らに誘われるまま、ダンスを見学するヴィクトリアだが、お尋ね者の猫マキャヴィティが自分が天上に行くため、優勝候補の猫たちを次々にさらっていた。

 T.S.エリオット原作の、ミュージカル史において燦然と輝く超ロングランミュージカルとなった「キャッツ」。初演は1981年で今も世界各地で上映されているというのだから、化け物のような作品である。いつ映画になるかと思ってたのだが、40年もかかってしまった。
 監督のトビー・フーパーは先にやはり傑作ミュージカルレ・ミゼラブルも映画化させており、それが見事な出来だったので期待は高かった。それにこの人だったら大丈夫だろうという安心感もあった
 本作は舞台劇の映画化となるが、その変換に大きく手を加えた部分がある。それが猫たちの描写についてである。
 舞台では登場人物達は猫メイクをして踊り舞う。だが映画はそれだけでは駄目だと考えたか特殊な演出を加えたが、それはCGで一種のリアルな猫の描写を目指した。
 ただ、それは相当残念な結果しか残せなかったようである
 予告を観た時も、これは相当に不気味だと思っていたもんだが、実際に映画を観てみると、不気味というか、昔あったコンピューターグラフィックスの人物がヌメヌメと動く描写を思い出してしまった。いわゆる「不気味の谷現象」(wiki)に入り込んでる描写である。
 リアルにする方向性が間違っていた。ほぼフルヌード状態で妙にリアルな猫人間がヌルヌル動くと目のやり場に困る。
 更に肝心な踊りのシーンがどうにも退屈。CGとワイヤーアクションの併用で見栄えはするのだが、舞台では華やかなコーラスが普通のBGMになってしまって派手さを感じないし、基本一人で踊る踊りは間延びしてしまう。
 結果として踊りのシーンで激しい眠気に苛まれる。
 私はこれまで映画館で寝たことは一度も無いというのが自慢ではあるが(ビデオでは何度もあるけど)、それでも意識を失いかけたことは何度かあったもんだ。ここでその経験が加わった。実際ダンスシーンの中で何度か意識に空白ができていたので、一瞬眠りの中にはまり込んでしまっていたらしい。
 と、言うところである映画との共通性に気づく。
 一夜限りの饗宴の中で、一人一人代表が踊り回り、選ばれた者がこの世とあの世をつなぐご褒美を得られる。そして踊り手は半裸。
 なるほどそうか。この作品は実は死霊の盆踊り(1965)のリメイク作品だったんだ。そう思うと凄く納得いった。内容的にはたいして変わりがない。
 ただ、極めて低予算作品だった死霊の盆踊りと較べると、金かかってる分、本作はかなり悲惨な部類に入るのではないかと。恐いもの見たさで鑑賞するのが正しい気がする。

 と、ここまで本作のマイナス面だけ書いてみたが、プラス面が全くない訳ではない。確かに観てる間に眠くなるけど、それが凄く心地よかった。音楽に包まれ心がふわっと軽くなる感触。これまで味わったことのない多幸感に近い。
 まるでドラッグ。寝るためだけにもう一度観に行きたいとさえ思ったくらいだ。本作は絶対に音響の良い映画館で複数回観て、それで寝てしまうことを絶対お勧めしたい。幸せな気持ちになれると思う。
製作年 2019
製作会社
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原作
キャッツ <A> <楽>
T.S.エリオット (検索) <A> <楽>
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allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
リリーのすべて
The Danish Girl
2015米アカデミー助演女優賞(ヴィカンダー)、主演男優賞(レッドメイン)、美術賞、衣装デザイン賞
2015
英アカデミー主演男優賞(レッドメイン)、主演女優賞(ヴィカンダー)、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアー賞、英国作品賞
2015
ゴールデン・グローブ男優賞(レッドメイン)、女優賞(ヴィカンダー)、音楽賞
2015放送映画批評家協会助演女優賞(ヴィカンダー)、
主演男優賞(レッドメイン)、美術賞、衣装デザイン賞、ヘア&メイクアップ賞
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ゲイル・マトラックス
アン・ハリソン
ティム・ビーヴァン
エリック・フェルナー
トム・フーパー
リンダ・レイズマン
ウルフ・イスラエル
キャシー・モーガン
ライザ・チェイシン(製)
ルシンダ・コクソン(脚)
エディ・レッドメイン
アリシア・ヴィカンダー
ベン・ウィショー
セバスチャン・コッホ
アンバー・ハード
マティアス・スーナールツ
エメラルド・フェネル
エイドリアン・シラー
リチャード・ディクソン
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
製作年 2015
製作会社
ジャンル
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原作
世界で初めて女性に変身した男と、その妻の愛の物語 <A> <楽>
デヴィッド・エバーショフ (検索) <A> <楽>
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関連
キーワード
レ・ミゼラブル
2012米アカデミー助演女優賞(ハサウェイ)、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、音響賞、作品賞、主演男優賞(ジャックマン)、歌曲賞、美術賞、衣装デザイン賞
2012英アカデミー助演女優賞(ハサウェイ)、プロダクションデザイン賞、メイクアップ&ヘアー賞、音響賞、
作品賞、主演男優賞(ジャックマン)、撮影賞、衣装デザイン賞、英国作品賞
2012
シカゴ映画批評家協会美術館特賞、助演女優賞(ハサウェイ)、有望俳優賞(バークス)
2012ゴールデン・グローブ作品賞、男優賞(ジャックマン)、助演女優賞(ハサウェイ)、
歌曲賞
2012放送映画批評家協会助演女優賞(ハサウェイ)、
作品賞、主演男優賞(ジャックマン)、アンサンブル演技賞、監督賞、撮影賞、編集賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ賞、歌曲賞
2012ブルーリボン外国作品賞
2012
キネマ旬報読者選出外国映画第7位
201
2サテライト助演女優賞(ハサウェイ)、作品賞、助演男優賞(レッドメイン)、助演女優賞(バークス)
2012AFIベスト
2013日本アカデミー外国作品賞
2013
MTVムービー・アワード音楽シーン賞、女優賞(ハサウェイ)、ブレイクスルー演技賞(レッドメイン)
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ティム・ビーヴァン
エリック・フェルナー
デブラ・ヘイワード
キャメロン・マッキントッシュ
ライザ・チェイシン
アンジェラ・モリソン
ニコラス・アロット
リチャード・パパス(製)
ウィリアム・ニコルソン
アラン・ブーブリル
クロード=ミシェル・シェーンベルク
ハーバート・クレッツマー(脚)
ヒュー・ジャックマン
ラッセル・クロウ
アン・ハサウェイ
アマンダ・セイフライド
エディ・レッドメイン
ヘレナ・ボナム=カーター
サシャ・バロン・コーエン
サマンサ・バークス
アーロン・トヴェイト
イザベル・アレン
★★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 19世紀。ナポレオン戦争により疲弊したフランス。姪のために1本のパンを盗んだ罪で投獄され、19年間を監獄の中で生きたジャン・バルジャン(ジャックマン)。仮出獄した後に教会で再び盗みを働いてしまうが、司教の優しさに触れ、心を入れ替えると決意する。名前を変えたジャンはやがて市長にまで上り詰めるが、そんな彼を見守る目があった。かつてジャンの監守で、市長がジャンではないかと疑いを持つジャベール(クロウ)。そんな時、薄倖の女性ファンテーヌを助けるジャンだったが、そのためにジャベールに正体を知られてしまう…
 本作と最初に触れたのは小学校で。確か道徳の教科書だったかと思う(違ってるかも?)。ジャン・バルジャンと司教の話だったが、その時、これはかなり長い作品の冒頭部分だと知った。幸い実家には両親の買った山ほどの本があって、その中にはちゃんと「レ・ミゼラブル」もあったので、それを読んでみた。
 それで物語はちゃんと読めたし、物語もちゃんと分かってはいた。しかし理解はできてなかった。前半部のジャン・バルジャンの話はともかく、後半のコゼットの話がなんだかよく分からなかったのだ。そりゃ小学生に革命とか言われても理解できるはずはないから仕方ないところ。
 それから年月が経ち、ここにきて初めて映像化された「レ・ミゼラブル」を観ることが出来た。
 正直、観て良かったとしみじみ思う
 自分でも驚くくらい鮮明に物語は覚えていて、次の展開がちゃんと分かる。でも、そこで展開される物語はとても新鮮。これまで断片化されて頭に入っていた物語が、歴史的な背景と共にきちんきちんと整理されて落ち着くべきところに落ち着いていく。言うなればこれによって頭のデフラグが出来たというべきだろうか。幼少の頃の記憶が鮮明に“今”につながる快感というものを味合わせていただいた。
 なるほどこの時代はナポレオン戦争で疲弊していたフランスが舞台だから、こんな貧しく、そしてこんな時代だからこそ、善人というのが生きにくく、そしてそれを貫こうとしたバルジャンの心の強さが際だっているのか。そして、だからこそ市民革命というのがリアリティを持って描かれていくのか。学生の行き過ぎた活動は何故だったか。何故署長は自ら命を絶たねばならなかったのか。次々に理解できていなかった背景がストンストンと腑に落ちていく。お陰でとてつもない快感を頭の中で感じていたのだ。
 改めて、単に“読む”事と、“理解する”事の隔たりというものを実感した。これぞ映画を観ることの醍醐味って奴だ。

 物語自体も、重厚さと軽快さを合わせ持つバランスの良いものに仕上がっていて、テンポも良し。あの厚い本を全編映像化するため、どうしても端折る部分は出てしまうにせよ、よくこの時間に収められたと感心するし(ツレ曰く「長すぎた」だが)、それをミュージカルにすることによって、心情から背景までもちゃんと説明できている(そういえば同じような快感は『オペラ座の怪人』の時もだったが、これもミュージカルだったか)。

 正直、これ観る前まで、「何で今時ミュージカル?」って気もしていたが(リアリティを上げるならミュージカルは止めた方がいいとさえ思っていた)、ミュージカルだからこそこれだけの内容が詰め込めたのかと、改めて感心した。これは映画というより、すでに30年(?)に渡る舞台劇ミュージカルを通して培われたノウハウが映画の中に凝縮されているからだろう。その意味でも本作は大きく映画を見直す機会にもなった。

 そしてやっぱりキャラの素晴らしさ。これまであれだけ若々しい姿を見せていたジャックマンがこれだけ老け役似合うとは思ってなかったが(一瞬、「これでほんとに新作『ウルヴァリン』大丈夫か?」とさえ思ったくらい)、もう一人の主人公と言えるクロウがほんとに憎々しいキャラを見事に演じてた。ハサウェイとかも含め、それぞれ歌もきちんとしてたし、意外な部分を見られて、それも満足。
 でもキャラ立ちって意味ではコーエンとボナム=カーターの怪演が一番だったか。この二人が出た途端映画の雰囲気が一気に変わるし、この悪目立ちがあってこそ、この作品が持つ意味合いが大きく変わっていった。監督の前作『英国王のスピーチ』で落ち着いた王妃役はどこへやら。かえってこっちの方が生き生きした演技っぷりを見せてくれている。

 いろんな意味で大満足を与えてくれた作品。今年はこれが四本目に観た作品だが、既に今年の一番はこれで決定しそうだ。
製作年 2012
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原作
レ・ミゼラブル <A> <楽>
ヴィクトル・ユーゴー (検索) <A> <楽>
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キーワード
英国王のスピーチ
2010米アカデミー作品賞、主演男優賞(ファース)、監督賞、脚本賞、助演男優賞(ラッシュ)、助演女優賞(ボナム=カーター)、撮影賞、作曲賞、美術賞、衣装デザイン賞、音響賞、編集賞
2010英アカデミー作品賞、主演男優賞(ファース)、助演男優賞(ラッシュ)、助演女優賞(ボナム=カーター)、脚本賞、作曲賞、英国作品賞、監督賞、撮影賞、プロダクションデザイン賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアー賞、編集賞、音響賞
2010LA批評家協会男優賞(ファース)
2010NY批評家協会男優賞(ファース)

2010ゴールデン・グローブ男優賞(ファース)、作品賞、助演男優賞(ラッシュ)、助演女優賞(ボナム=カーター)、監督賞、脚本賞、音楽賞
2010全米批評家協会助演男優賞(ラッシュ)
2010放送映画批評家協会主演男優賞(ファース)、脚本賞、
作品賞、作品賞助演男優賞(ラッシュ)、アンサンブル演技賞、監督賞、撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞、音楽賞
2010インディペンデント・スピリット外国映画賞
2010
ローリング・ストーンベスト3位
2010タイムベスト2位
2010タランティーノベスト第15位
2010オンライン映画批評家協会主演男優賞(ファース)
2010ブロードキャスト映画批評家協会主演男優賞(ファース)、脚本賞
2010ジェイムソン・エンパイア主演男優賞(ファース)
2010ナショナル・ボード・オブ・レビュートップ10
2010ピーター・トラヴァースベスト第3位
2010
ロジャー・エバートベスト第2位
2010タランティーノベスト第15位
2010アメリカ製作者組合賞
2010アメリカ監督組合劇映画部門

2010
アメリカ俳優組合主演男優賞(ファース)、アンサンブルキャスト賞、助演女優賞(ボナム=カーター)、助演男優賞(ラッシュ)
2011日本アカデミー外国映画賞
2011セザール外国映画賞
2011ヨーロッパ映画男優賞(ファース)、編集賞、観客賞、作品賞、音楽賞
2011キネマ旬報外国映画第3位

2011毎日映画コンクール外国映画ベストワン賞
2011
違法ダウンロードされたハリウッド映画第9位
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デヴィッド・サイドラー(脚)
コリン・ファース
ジェフリー・ラッシュ
ヘレナ・ボナム=カーター
ガイ・ピアース
ティモシー・スポール
デレク・ジャコビ
ジェニファー・イーリー
マイケル・ガンボン
ロバート・ポータル
エイドリアン・スカーボロー
アンドリュー・ヘイヴィル
ロジャー・ハモンド
パトリック・ライカート
クレア・ブルーム
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★★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 英邁で知られる英国王ジョージ5世(ガンボン)は、王室の風通しを良くするために次々と新しい政策を打ち出していった。その一つとして、ラジオを使い王室の声を国民に伝えると言うものがあったのだが、幼い頃から吃音というコンプレックスを抱えている次男ジョージ(ファース)は、王位を兄エドワードが継いで、自分は静かな生活を送ることを望んでいたが、そんな夫を心配する妻エリザベス(ボナム=カーター)は吃音矯正の先生を次々と見つけてくる。最後に頼ったのはスピーチ矯正の専門家というオーストラリア人のライオネル(ラッシュ)だった…
 2010年度の作品賞オスカー候補として挙げられていたのは『ソーシャル・ネットワーク』(2010)で、実際この作品を観たときは、「あのフィンチャーがここまでのものを作るようになったのか」と感慨深かったし、個人的に言わせていただければ、これにオスカーを取って欲しかった。少なくとも2010年の終わり頃まではたぶんこれで確定という空気もあった。しかし年が変わったあたりから少しその空気というものに微妙なものが加わった。そう。『英国王のスピーチ』という言葉が混じるようになってきたのだ。そして時間が経つに連れ、どんどん『ソーシャル・ネットワーク』が後退し、本作がクローズアップされるようになっていった。そしてその結果はご存じの通り。見事に本作がオスカーをかっさらってしまった。
 それで今回は『ソーシャル・ネットワーク』と本作の違いというものに集中して考えてみたい。
 『ソーシャル・ネットワーク』は極めて現代的な、こう言ってよければ、非常に“新しい”タイプの伝記作品だった。実際その主人公のモデルは生きているどころか、まだピンピンの30代。人生はまだまだこれからの人物。それをあれだけあからさまに描いたということで評価を受けたし、描かれている内容もとても興味深い。今も生きている人を極めて冷徹な目で見据え、良くも悪くも描かない。正直、だからこそこの新しい伝記映画にオスカーを取って欲しかった。それに対して本作は実に伝統的な、ある意味オーソドックスな伝記であり、あまり新しさは感じられない。でも、これがアカデミー会員の目に魅力的に映ることは納得がいく。
 確かに本作は『ソーシャル・ネットワーク』と比べてしまうと新味はあまり感じられないかもしれない。しかし、ここに込められているちょっとした毒がうまい具合に働いている。
 映画人は昔から革新を旨にしている。それは現体制に対する批評であったり、あるいは社会の変革を描いたものが好まれる。一方ではアカデミーを始めとするアワードは、伝統やベテラン俳優の落ち着いた演技などの方を好む傾向が強い。そういう意味では多少の矛盾が生じているのだが、そのどちらも満足させられるものがあるなら、それこそ賞を総なめにしても不思議ではない。
 『ソーシャル・ネットワーク』は確かにスキャンダラスではあったが、出てくる役者の若さもあって、伝統的な映画からは少し外れているのだが、本作の場合、作りこそ伝統的とはいえ、内容は英国王室の恥部を暴くもの。スキャンダラス性で言えば、こちらの方が上を行っているのだ。そういう意味では『ソーシャル・ネットワーク』の最大の売りの部分をきっちりと押さえ、さらに重厚な演技と、演出を加える。はっきり言って、これがオスカーを取らずして他がとれるか!という位完璧な作品だった。
 正直内容そのものよりも、ここまで賞向きの作品を作ってしまったことの方に感心を覚える。見事に計算された作品だった。
 内容的には、ちゃんと事実に即して作られた作品ではあるが、これ『わが教え子、ヒトラー』(2007)と内容的にかぶってしまうので、完全に楽しめたというわけではないが、演出力の凄さで物語を引き上げてくれたし、役者があまりにも堂々たるキャラばかりなので、それだけで充分。ラッシュ、ファース共にヴェテランの貫禄充分だが、ボナム=カーターなんて、最近エキセントリックな役ばかりしか演ってなかったけど、実際まともな役をやると見事なもんだ。

 しかし、それが良いことなのか悪いことなのかはさておき、何かと映画ではやり玉に挙げられることが多いけど、イギリス王室って、こういう作品をちゃんと許可するから凄い。仮に日本だったら、こんな内容やったら予算が付かないだろうし、そもそも公開すら危ぶまれるだろうに。
製作年 2010
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エリザベス1世 〜愛と陰謀の王宮〜
Elizabeth I
2006エミーミニ・シリーズ部門作品賞、ミニ・シリーズ/テレビ映画部門主演女優賞
2006ゴールデン・グローブ作品賞(TVムービー/ミニシリーズ)
2006放送映画批評家協会TVムービー賞
2006アメリカ製作者組合TVムービー部門
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バーニー・ライス
ジョージ・フェイバー
チャールズ・パティンソン
ナイジェル・ウィリアムズ
スーザン・ハリソン(製)
ナイジェル・ウィリアムズ(脚)
ヘレン・ミレン
ジェレミー・アイアンズ
ヒュー・ダンシー
バーバラ・フリン
パトリック・マラハイド
イアン・マクディアミッド
トビー・ジョーンズ
マーティン・サヴェッジ
ウィル・キーン
エディ・レッドメイン
マルティン・マルケス
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
製作年 2005
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