読書日誌
2009’4〜6月

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09'06'29 プライベート・ライアン (著)マックス・A・コリンズ <amazon>
 Dデイ。ノルマンディ上陸を果たして生き残ることが出来たミラー大尉の元に、新たな指令が下った。それは上陸部隊に先行してフランス入りしたレンジャー部隊に所属する一兵卒ライアンを連れてこい。というものだった。生きているか死んでいるかも分からない一兵士を救えと言う馬鹿馬鹿しい命令を遂行することとなるミラーと新しく編制された部下達。彼らの行く先は…
 スピルバーグ映画のノヴェライズ版。原作ではなくノヴェライズはほとんど読むことがないのだが、少なくとも出来そのものは悪くないし、まさしく映画の物語が展開するため、安心して読んでいられるのは強みか。
<A> <楽>
09'06'24 アオイホノオ1
島本和彦 (検索) <amazon> <楽天>
 1980年。大阪にある大作家芸術大学。ここには様々な芸術家の卵が集まっていたが、その中に一人。アニメとマンガを最高の芸術と認め、自分自身が作家として一本立ちしようと夢みる若者が一人いた。その名は焔燃。プライドは高いが、自分の実力がそんなに高くないこと程度は自覚がある若者の、一種の青春賛歌。

 前々から読みたいと思っていたが、うっかりしている内に2巻が出ていたことに気付き、慌てて買った1巻。冒頭から突然「漫画界は甘くなっている」という発言から始まり、更にはあだち充、高橋留美子にたいする挑戦的な発言。更に当時の芸大に在籍し、現在トップクリエイターになっている面々との交流。と、この時代性というものを感じる一冊。
 …だが、ここに書かれている内容は、私にとっては身悶えするくらいに痛々しく、更に生々しい。あまりに(自分が)痛くて、1ページ読むのにえらく時間がかかってしまった。こういう青春を送った人間はたくさんいる。だけど、その有象無象の中で、確かに一歩出ていく人間というのもいるのだ。
<A> <楽>
09'06'23 イギリスを語る映画
三谷康之 (検索) <amazon> <楽天>
 イギリス映画には、他の国にはない独特の風景が存在する。多くは人工物だが、それが何故イギリスでのみ観られるのかを詳述する。『静かなる男』、『落ちた偶像』、ガス燈』、『心の旅』、『ミニヴァー夫人』、『メリー・ポピンズ』、『哀愁』、『秘密の花園』、『断崖』、『三十九夜』、『赤い靴』、『ロブ・ロイ』をモティーフとしたイギリスの風景論。

 映画そのものの解説ではなく、そこに映し出される風景や風俗の解説という変わった趣向の作品で、成る程随分映画の奥行きが広がった気がする。イギリスらしさというのは、風景にもちゃんと現れているものらしい。
<A> <楽>
09'06'20 ロボットの時代
アイザック・アシモフ (検索) <amazon> <楽天>
 著者による「私はロボット」の続編となる短編集。「AL76号失踪す」「思わざる勝利」「第一条」「みんな集まれ」「お気に召すこと、うけあい」「危険」「レニイ」「更正」の8編に著者による解説を収録する。

 「私はロボット」は、ロボットと言うよりはロボット三原則を前提とした推理小説としてまとまっていたのに対し、本作はロボットそのものを主題にしているのが特徴。やっぱり古い作品なので、少々設定が古くさいのは確か。古典作品として読んでおくべき作品だろう。
<A> <楽>
09'06'19 仮面ライダーspirits16
村枝賢一 (検索) <amazon> <楽天>
 バダンにより再生されたタックルにより瀕死の重傷を負ってしまったストロンガー。しかしまだ死ぬ訳にはいかないと、茂は雷の中、鬼神として復活する。一方、沖縄でガランダーと戦い続けるアマゾンとZX、スピリッツの面々の前に現れたのは、かつてアマゾンのトモダチ、モグラ獣人だった…

 ストロンガー編の終了と、アマゾン編の続き。二つの物語を並行して描いていたため、主人公のZXとスピリッツはアマゾンの方に付きっきり。結果としてZXを介入させずストロンガー編は終わることになった。著者がどれだけストロンガーに思い入れを持っているのかがよく分かる。一方、書き下ろしとなるアマゾン編はアマゾンがZXを完全に喰った個性を見せてくれてるのがなんか嬉しい。
 ところで恒例の巻末対談はアマゾン役の岡崎徹氏。役者を辞めたこの人の情報はほとんど無く、死亡説さえ流れていたが、今は漁師として働いているのだとか。元気そうなスチールを見てほっとしたよ。
<A> <楽>
09'06'14 ゲバラ日記
エルネスト・チェ・ゲバラ (検索) <amazon> <楽天>
 華々しいキューバ革命の成功の後、ボリビアの革命軍に入り命を落としたゲバラ。彼の凄絶な生き方を、彼自身の日記そのものを読み解くことで考察する。ボリビアの山中、大変な行軍の様子を自身の日記で綴った作品。
 死のほんの一日前まで書いていた日記というか、記録を収録した作品だが、その描写の大部分はいかにして食料を調達するかという点にかかっているようだ。成る程確かにリアルと言えばリアルな話ではある。
<A> <楽>
09'06'09 猿の惑星
ピエール・ブール (検索) <amazon> <楽天>
 遙か彼方の星ベテルギウスに向けて出発した宇宙船。そこに人類の巨獣可能な惑星を発見し、降下した乗組員のユリスらだが、彼らがそこで見たのは、想像を絶する世界だった。家畜化された人類と、それを支配する猿たち。人間の一人として捕らえられてしまったユリスだが…
 映画とは異なった角度で描かれた原作小説。物語としてはこちらの方が優れているのは確かだと思われるのだが、映画を観た後で読むと、やっぱりオチの弱さが気になる。リメイク版のはこのオチを引っ張ってきたのだろうけどね。
<A> <楽>
09'06'05 ヴンダーカンマー1
西川魯介 (検索) <amazon> <楽天>
 ドイツ軍人で士官学校を卒業したテオドール・ガッセ少尉は、任地として与えられたバルト海の坩堝島へと赴任した。表向き新兵器開発の秘密基地であるはずなのだが、ここは想像を絶する場所でもあった。機械仕掛けの軍人や、どう見ても幼女にしか見えない所長。更に夜な夜な徘徊する謎の生命体…そんな無茶苦茶な場所でのガッセの奮闘と災難を描く作品。
 著者はかつて徳間の「少年キャプテン」でデビュー(その時私も著者を知った)。年月を経て再び徳間に帰ってきたということになるのだろうか?元よりドイツ好きな著者のこと。色々なこだわりを見せつつ、スラップスティックな作品にまとめてくれてる。私には丁度良い作品ではある。かなりのお気に入り。
<A> <楽>
09'06'02 ヤーンの選択 グインサーガ125
栗本薫 (検索) <amazon> <楽天>
 スカールと行動を共にすることになったヨナは騎馬の民の習慣に徐々に慣れつつ、ヤガの道を進んでいた。一方ゴーラのイシュトヴァーンは、リンダと結婚するという己の考えに取り憑かれ、突然パロに向けて出発してしまう。諫める立場にあるカメロンでさえ止められないイシュトの進撃は続く。

 前半部分がヨナとスカールの旅。後半がゴーラに行って今度はパロとの関係と、話はゆっくりと進んでいる感じ。イシュトヴァーンはおそらく振られてしまうんだろうけど、どういう話の持って生き方をするんだか…というか、決着は付かないことになってしまったが。
<A> <楽>
09'05'30 人形つかい
ロバート・A・ハインライン (検索) <amazon> <楽天>
 アイオワ州に円盤が着陸した。そのニュースに政府エージェントの“ぼく”が急行するが、そこには何事もなかったような生活が営まれていた。だがしかし、確かに住民は変化していた。スライム状の宇宙人の侵略と、それを迎え撃つ人類の存亡をかけた戦いが始まる。
 侵略ものの古典SFの一つで、ストレートな人類対異星人との戦いが描かれる。見せ場や設定的ひねりは随所に盛り込まれ、今読んでも読み応えは確かにある。善悪がはっきりしているのが著者の著者らしさで、だからこそ日本で一番受けが良いSF作家なのだろう。
 深読みすれば、この異星人との戦いは冷戦下の状況を表しているようにも読めてしまうのがなんだが。
<A> <楽>
09'05'28 空手道ビジネスマンクラス練馬支部
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 新宿で飲んでいた木原正秋は、やくざに因縁を付けられて土下座させられた。持って行きようのないその怒りは、木原がかねてから興味を持っていた空手道場への入門という形を取った。何かを忘れようとするように空手に打ち込む木原の周囲は少しずつ変化していく…
 普通のサラリーマンを主人公とし、その上で空手の強さや人間関係を描いた作品で、バランスが非常に良く、読んでるだけで体を動かしたくなるような話で、なんか力づけられた気になる。
<A> <楽>
09'05'25 作画汗まみれ
大塚康生 (検索) <amazon> <楽天>
 戦後、日本アニメ界の黎明期から一貫して作画かとしてアニメを支え続けてきた著者が、自分が関わったアニメ作品の仕事を通し、日本のアニメ界がどのように発展し、そしてどのように変わっていったかを描き、作画の技術についての手ほどきについて述べる。
 特に業界の人間には必携の書と言われる作品で、なるほど今のアニメにはなくなった技術人など、それらを総動員して苦労の末作っていったアニメのことがよく分かる。だが、初期の技術を捨てることが出来たから今の量産が出来たという側面もある。ところで表紙に載ってる大塚氏のイラストは、そのまんま『紅い眼鏡』で使われていた構図。カーマニアの著者らしいカット。
<A> <楽>
09'05'20 喰いしん坊23
土山しげる (検索) <amazon> <楽天>
 喰輪杯の決勝が始まった。合計なんと15キロに及ぶ大食いを強いられる世界の出場者達だが、予想を上回るハードな大食いのため、次々と脱落者が出て行く。その中であくまで自分自身との戦いを続ける満太郎…
 喰輪杯も最終局面。とりあえず今回で準決勝までの戦いが描かれることになるが、マンガとしては楽しいんだからそれで良いんだけど、最初にスパゲティ1キロ、フライドチキン2キロ、ケーキ3キロ、準決勝はハンバーグ4キロという、普通の胃袋では、どう考えても食べられる量じゃないものが次々と出てくる。今回は邪道の食べ方がないから、ひたすら耐久レースのような展開だった。
<A> <楽>
09'05'16 セル 下
スティーヴン・キング (検索) <amazon> <楽天>
 携帯によって変えられてしまった人間達から逃れ、生き延びるためにクレイはトムとアリスという二人の仲間と行動を共にすることになる。彼らの観ている前で少しずつ変化していく携帯人たち。彼らの行動は統一されていき、更にテレパシーまで使えるようになっていった。それに気づいたクレイは、世界を守るためにも行動を起こさねばならないを知る…

 同系統だと思われた「ザ・スタンド」とは話の展開はやや異なったものとなり、質的にも違いがあるものの、これはこれでアクション主体で読み込ませてくれる。映画化されやすい素材だけど。
<A> <楽>
09'05'12 キノの旅12
時雨沢恵一 (検索) <amazon> <楽天>
 3つの旅人のグループのそれぞれの旅の模様を描く短編集。「幸せの中で」「正義の国」「悪魔が来た国」「求める国」「日時計の国」「努力をする国」「続・寄付の話」「手紙の話」「賭の話」「徳を積む国」「雲の中で」を収録する。
 随分話も続いているが、はっきり言えばこれまでで一番面白くなかった。悪い意味で著者の政治姿勢が妙な具合に出てしまった感じ。
<A> <楽>
09'02'05 月光条例4
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 月打されたシンデレラが現れ、次々と道行く車に高速バトルを挑んでいく。月光と鉢かづきは、月光の悪友天道の力を借りてレースバトルを受ける事に。一方消えゆくシンデレラの世界を救うべく、王子に乞われ物語の中に入り、シンデレラの代役を務めることとなったエンゲキブ。二つの世界で物語が進行する。

 今回の話は「シンデレラ」。新キャラも増え、更にこれまでパートナーでしかなかったエンゲキブがピンで主役を得ることとなった。色々とバリエーションを増やしつつ話を膨らませているようだ。
 毎回旧作からの登場人物が出てくるが、今回は「うしおととら」から西と東の妖怪の長、「からくりサーカス」から鳴海としろがねがちゃっかり登場してる。
<A> <楽>
09'05'06 セル 上
スティーヴン・キング (検索) <amazon> <楽天>
 ある日の昼下がりのボストン。その時携帯電話を使っていた全ての人々が突如理性をかなぐり捨てて周囲の人間を襲いだした。目前で展開する凄惨な光景に、仕事で来ていたグラフィックアーティストのクレイは呆然するばかりだった。しかし、危害が自分に及ぶに至り、生き残るための戦いが開始される。

 冒頭部分からの展開はかなり「ザ・スタンド」によく似ていて、実際パターンもかなり同じ。さて、ここから本作独自の個性を出すことが出来るやら。後半に期待しよう。
<A> <楽>
09'05'03 スキャナー・ダークリー
フィリップ・K・ディック (検索) <amazon> <楽天>
 麻薬囮捜査官フレッドは、スロー・デスという麻薬の取引ルートを辿るために、なんと自分自身を監視する任務を与えられた。録画されたカメラの向こう側に存在する自分自身と仲間達のただれたような薬漬けの生活を目の当たりになり、徐々に自分が誰であるのか曖昧になっていく。捜査官としてのフレッド自身の精神が麻薬に冒され徐々に均衡を失っていく…

 後期の著者作品としては物語としてまとまっていて、ストーリーも設定もなかなか面白く仕上がってる。晩年の著者は精神世界に傾倒していったので、こう言うのが書けたというのが面白いが、あとがきを読んだら、なんと実体験が元になっていたのだとか。リンクレイター監督がアニメとも実写ともつかないスキャナー・ダークリー(2006)を作っているが、それもよく作られていたと改めて感心。
<A> <楽>
09'04'29 ウォッチメン
アラン・ムーア (検索) <amazon> <楽天>
 1985年。国際的緊張が高まる中、ニューヨークで一人の男が死んだ。エドワードというその男は、かつてヒーロー集団の一人で、“コメディアン”という通り名で知られた男だった。既に解散させられたヒーロー達だが、その事件を皮切りに、彼らの周囲に不穏な空気が流れ始めた…
 映画『ウォッチメン』(2009)の原作で、マンガで唯一ヒューゴ賞を受けた作品。映画を観た後で、これは絶対に読まねば!という思いを持っていたのだが、ようやく重版がかかり、早速購入。
 しかし、やっぱりこれ凄い。読むのには無茶苦茶時間かかるけど(金額もそれなりにかかるけど)、その甲斐はある。ヒーローとは何者なのか。ヒーローは何を以て自らのアイデンティティとなすのか。色々なことを考えさせてくれる。と言うか、これは私が考えたかったというか…
 とにかくこの作品はアメコミに興味ある人には是非読んで欲しいものだ。
<A> <楽>
09'04'24 幸運の25セント硬貨
スティーヴン・キング (検索) <amazon> <楽天>
 著者による最新短編集。「なにもかもが究極的」「L・Tのペットに関する御高説」「道路ウィルスは北にむかう」「ゴーサム・カフェで昼食を」「例のあの感覚、フランス語でしか言えないあの感覚」「一四〇八号室」「幸運の25セント硬貨」の7編を収録する。

 最近の著者の作品はホラーから離れたものが多いが、短編となると、まだまだ純粋なホラーも描いているようで、この作品の半分ほどは完全なるホラー作品となっている。やっぱり著者の作品で一番面白いのはホラーにこそあるな。このうちいくつかはテレビドラマで観たけど、そう言えば「一四〇八号室」は映画になっていたはず。今度レンタルしてみることにしよう。
<A> <楽>
09'04'19 オタク・イン・USA
パトリック・マシアス (検索) <amazon> <楽天>
 日本発祥の「オタク」という言葉は今や世界の共通語となっている。その中でアメリカに日本のオタク文化がどのように入り込んできたか。まだ全然日本のことが知られていない時期から日本の輸入文化に慣れ親しんでいた著者が、昔と今のアメリカのオタクの差というものを語る。
 これが発売されたのはやや前で、その状況もかなり変わってきているとは言え、かつてのアメリカの日本びいきがどれだけ不遇な目に遭ってきたか、と言う事はよく分かった。ある意味一気に成熟してしまった日本とアメリカの文化関係がこれからどう変わっていくのかは結構興味が出てきた。
<A> <楽>
09'04'18 はじめの一歩87
 ランディJr.を着実に追い詰める宮田。だがサウスポーとオーソドックススタイルを小刻みに切り換えるランディのスタイルに、徐々にリズムを狂わされていく…

 宮田とランディ戦も中盤。互いに攻守を切り換え、めまぐるしく展開は変わっている。元より長期戦向きではない宮田が、この後どのように反撃していくのかが問われていくことになるだろう。さて、いつ次の巻が出る事やら?
<A> <楽>
09'04'15 冷血 
トルーマン・カポーティ (検索) <amazon> <楽天>
 カンザス州の田舎町で突如起こった一家惨殺事件。犯人は刑務所を出たばかりの二人の青年だった。この事件の背景と、犯人逮捕から死刑が執行されるまでを赤裸々に描いた作品。
 いわゆるノンフィクション小説の嚆矢であり、最高傑作とされる作品。映画冷血(1967)の原作だが、著者がこの作品を描くために徹底取材した様子がカポーティ(2005)という映画になるほどに有名となった。これほどの労力と徹底した聞き込みで初めてなされた作品だという背景を知った上で読むと、本作は又格別な意味合いを持っている。もちろん背景を知らなくても、一冊の小説として充分読み応えがある作品でもある。
<A> <楽>
09'04'12 機動戦士ガンダムUC5 ラプラスの亡霊
福井晴敏 (検索) <amazon> <楽天>
 ユニコーンが指し示した座標は宇宙世紀の始まりを告げたシャトル《ラプラス》の残骸だった。上からの命令で無理矢理それにつきあわされることとなったネェル・アーガマだが、それはネオ・ジオンのフル・フロンタルも知るところでもあった…

 宇宙世紀の始まりと80年代とが結びつく。と言えば聞こえは良いのだが、基本的に話は全然進んでないという問題があり。一体この謎が明らかになるのはいつになるのか。
<A> <楽>
09'04'10 回想のビュイック8 下
スティーヴン・キング (検索) <amazon> <楽天>
 警察署に置かれている謎の物体ビュイック8。語り始めたサンディは止めることが出来ずにネッドに全てを話してしまうのだが、それはネッドにとっては、父親の仇を知らされるようなもので、どんどん心を蝕んでいく。

 過去と現在を行き来する「グリーンマイル」っぽい話だが、色々な意味で謎が一切解けないまま終わってしまうと言う、妙な話になってしまった。これはこれで面白いのだけどね。
 ちなみにこの作品は、著者が自動車事故で生死の境を彷徨った後の復帰作になるのだそうだが、それで車を題材にするってのは興味深い。
<A> <楽>
09'04'05 狼と香辛料4
支倉凍砂 (検索) <amazon> <楽天>
 ホロの故郷ヨイツの手がかりを求めロレンスとホロが向かったのは地方の神話を収集している修道院があるという北の寒村テレオだった。異教の神トルエオを祀るこの村に一件あった教会は、何故か頑なにその修道院のことを教えようとはしなかった。しかし、二人の滞在がこの村に波紋を及ぼす。
 前巻がどこか筆休み的な話だったが、今巻は物語としては比較的まともできちんとオチの方も考えられていた。ただ、中世の教会の描かれ方がちょっと問題で、明らかにこれ「薔薇の名前」だけ読んで書いた話だな。設定も描写が足りなすぎる。
<A> <楽>