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ウルトラマンジード

ウルトラマンジード事典

2017'7'8〜12'23 

 「ウルトラマンオーブ」に続く新シリーズ4番目のウルトラマン。ウルトラマンベリアルの遺伝子を持った正義の戦士という位置づけで、初めてマイナスの意味での「血族」描写がある(これまでにも親子関係だとウルトラの父とタロウ、セブンとゼロの関係があった)。自分の出生の秘密を探ることと、戦士として成長することを主眼に置いたシナリオはシリーズ最高のドラマ性を持っていた。
 ウルトラマンゼロがパートナーとして登場。最後まで一緒に戦った他、人間の仲間も数多く登場し、仲間達の力を借りて戦うシーンも多々。

主な登場人物
朝倉リク
ウルトラマンジード
(役)濱田龍臣。子役として数々のドラマや映画に登場。『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』ナオ役など。
 ウルトラマンジードに変身する青年。天涯孤独の身だが、実はその遺伝上の父親はウルトラマンベリアルだった。ベリアルには触れられないウルトラカプセルを回収するためにベリアルの意を汲んだ伏井出ケイが作り上げた赤ん坊。育ての親である朝倉錘によって「この大地にしっかり足をつけて立ち、どんな困難な状態にあっても再び立ち上がる」という願いからリクと名付けられる。ちなみにネーミングはアーサー・C・クラークから。
伊賀栗レイト
ウルトラマンゼロ
(役)小澤雄太。
 破壊された町の中でこどもを救おうとしたサラリーマンで、その姿を見たウルトラマンゼロと融合した。ウルトラマンゼロとは完全別人格で、一つの体を二つの人格で使っているため、一人芝居のような行いが多くなる。妻と娘がいる。
鳥羽ライハ (役)山本千尋。女優の他太極拳の選手で、世界大会での金メダル保持者。
 リトルスターを狙う宇宙人を追う女性。リクがジードであることを知ってからは情報共有と引き替えに共同生活することにした。漢字は來葉。
ペガ (声)潘めぐみ。特撮では「手裏剣戦隊ニンニンジャー」の十六夜九衛門役。ギャップが凄い。
 リクの相棒となるペガッサ星人の個体名。まだ幼い個体。過去こどもの頃のリクと出会って以来、リクの影の中に住ませてもらっていたが、星雲荘の中では普通に実体化している。
レム (声)未森すずこ。
 地下基地のメインコンピュータ。黄色い球状のコアがむき出しになっているため、衝撃に弱く、13話ではボールが当たったことで記憶障害を起こしてしまう。
愛崎モア (役)長谷川眞優。
 リクの幼なじみで今は表向き保険の外交員をしているが、実はAIB職員。リクには恋心を持っているため、何かとライハに突っかかることもある。
ゼナ
瀬名日出樹
(役)岩田栄慶。スーツアクターとして数々のウルトラマンを演じた。実はウルトラマンジードのスーツアクターも務めている。
 地球でAIBのエージェントをしているシャドー星人の個体名。モアの上司で、天然なモアに手を焼いている。
ウルトラマンベリアル (声)小野友樹。全く同時期に「宇宙戦隊キュウレンジャー」でバランスの声を当てている。ギャップがありすぎる。
 この次元を破壊しようとした強大な力を持つウルトラマンで、肉体が戻ったらこの世界を滅ぼそうともくろんでいる。その遺伝子は朝倉リクに受け継がれている。ウルトラカプセルにその力が封じられており、ジードプリミティブの素体となる。紆余曲折あったが、エンペラ星人とダークルギエルのカプセルを用いて究極形態となる。
伏井出ケイ (声)渡辺邦斗。
 SFを得意とするベストセラー作家。その作品にはウルトラマンベリアルの戦いが形を変えて描かれている。その正体はベリアルに忠誠を誓うストルム星人で、ベリアルの遺伝子を用いて人間の子として朝倉リクを作り出した。全てをベリアルに献げることを喜びとしているが、ベリアル不在となった時には自分自身が宇宙の破壊者になろうとしていた。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 秘密基地へようこそ

  監督:坂本浩一
  脚本:安達寛高
 ウルトラマンベリアルによってほとんど全てが破壊されてしまった時空。だが辛うじて地球は残っており、そこで細々と人類は生き残っていた。その中でよろずやの店員として働く青年朝倉リクは、相棒である善良な宇宙人ペガと共に暮らしていた。そんな時、何者から呼ぶ声を聞いたリクは…
 敵はスカルゴモラ。突然現れた怪獣で、朝倉リクたちが住んでいる町を破壊した。破壊するだけ破壊したら消滅してしまう。
 新しいウルトラマンの始まり。これまでのシリーズと較べ、滅びかかってる地球を舞台と言う事で、切実度が高いものになってる。これまで世界の闇に潜む怪獣が現れ…とかいうパターンばかりだから、結構新鮮なのだが、違和感もある。
 今回のウルトラマンも前作「ウルトラマンオーブ」同様二体のウルトラマンが合体した姿をしている。基本形態はウルトラマンとウルトラマンベリアルとなる。ベリアルは宇宙の破壊者なのだが、その遺伝子を持つと正義になる。その理由が明かされるのは後になってからか。
 ウルトラマンシリーズでは久々に水を用いた戦いの演出がある。これは見た目は面白いけど、コントロール効かないから難しい。敢えて難しい“特撮”演出に挑むのは立派だ。
 一回の変身後、次の変身は20時間後という設定が語られたのは初めてのことだ。
Blu-ray1
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第2話 怪獣を斬る少女

  監督:坂本浩一
  脚本:安達寛高
 ウルトラマンジードに変身してスカルゴモラを退けたリク。だがその姿を見た人達からジードの目がウルトラマンベリアルそっくりであること指摘され、二度と変身しないことを宣言する。そんな時、リクの知り合いの少女原エリが超能力を発動させてしまい、それを恐れた住民達によって虐げられてることを知り…
 敵はダダ。超能力を発動した少女エリを狙ってくるが、伏井出ケイによって消滅させられた。そしてスカルゴモラ。ベースがウルトラマンベリアルだけに、ちゃんとカラータイマーが存在する。
 超能力を発動した少女を巡っての話。人間に寄生して能力を発動させる存在があるらしい。ケイによればそれは光であり、それに寄生された人間はウルトラマンに祈った時のみ分離出来るのだとか。それが分離される毎にリクの力になるという物語展開。
 前回の戦いでリクは自分が宇宙の破壊者ウルトラマンベリアルの遺伝子を持つ事を知ったが、その血よりも正義を行う事を選択するという話になっている。もうちょっと役者が巧くて台詞回しがしっかりしていれば良かったんだが、ちょっと練り足りないものを感じてしまう。超能力を持ったために避難所を追われる少女を巡る話も練りが足りず。差別する様子が投げやりすぎるんだよ。
 あと、あっという間にリクがウルトラマンジードであることがばれた。
<ダダが転んだ際、ちゃんと「ウルトラマン」28話で登場した時と同じポーズを取ってるのが芸細かい。>
第3話 サラリーマンゼロ

  監督:坂本浩一
  脚本:安達寛高
 この次元での任務を帯びたウルトラマンゼロが地球に来訪する。少年を救おうとして命を落とした地球人伊賀栗レイトと一体化した。そんな頃、リクはネット動画で不思議な能力を持った少年を見かけた。リトルスターを帯びている可能性から、少年を探すリクだが…
 敵はダークロプスゼロ。ウルトラマンゼロをコピーしたロボット怪獣。
 メインの物語は前回に続いてリトルスター探しだが、今回リトルスターを持った少年は、その力を使って人を守ろうという、まるでヒーローのような考えを持っているのだが、少年一人の力ではどうにもならないことはあるということを示した…事になるのか?少々物語が中途半端に過ぎる。
 そして少年からのリトルスターを得ることでジードは新しい形態となるソリッドバーニングに変身した。
 ここでもウルトラマンゼロが登場。これが三人目(?)となる人間と融合することになった。命を賭して誰かを助けた人間を見ると融合したくなる性格らしい。で、憑依したゼロがやってることはまんま「仮面ライダー電王」のモモタロスみたいなこと。なんか設定が迷走してる気がする。
<今回のゼロの融合は「帰ってきたウルトラマン」準拠。というか、モロにトレース。
 少年は「ウルトラマンは必ず勝つ」と言っていたが、この時空でウルトラマンが現れたのは3回で、うち1回はベリアルだから、その発言はとても虚しいぞ。>
第4話 星人を追う仕事

  監督:坂本浩一
  脚本:安達寛高
 偶然リクは幼なじみの愛崎モアと再会する。保険の外交員というモアだが、実は彼女はAIBの職員で、違法宇宙人の取り締まりをしている途中だった。その
 敵はピット星人トリィ=ティブ。元々地球侵略のためにやってきたが、仲間のピット星人を裏切ってエレキングを眠らせようとしていた。そしてエレキング。ピット星人たちによって地球で育てられていた個体。トロィ=ティブの心にリトルスターが宿ったことで、それに反応して追ってくる。
 2話で怪獣を追うライハと知り合ったが、今度は防衛隊組織の一員モアと出会う。同じく怪獣を追う幼なじみの女性だが、キャラの相関関係が複雑になってきたようだ。
 宇宙人にもいろいろあって、中には良い宇宙人も結構いるらしいことがわかる。宇宙由来の組織らしいAIBとか、今回のピット星人とか。
 暴れる怪獣に情を持つ者に対し、怪獣をどう扱うか。シリーズではたびたび描かれる
 今回はエレキングとの戦いとなり、「ウルトラセブン」3話を彷彿とさせる演出が展開する。
<ツッコミというわけではないが、AIBはまんま『メン・イン・ブラック』だな。既に「ウルトラマンネクサス」でやってしまってるために全く新味がない。>
第5話 あいかた

  監督:市野龍一
  脚本:三浦有為子
 どんな傷もたちどころに治してしまう治癒能力を持つと言う芸人新井タカシをテレビで観たリクは、彼がリトルスターをモツのではないかと疑い、接触するのだが…
 敵はアーストロン。モコの持つリトルスターを狙って現れた怪獣。他にサメクジラのこどもが出てくる。そして最後にサンダーキラー。伏井出ケイが作り出したエレキングとエースキラーがベリアルと融合した怪獣。
 売れない芸人が保護した宇宙生物をめぐる話。笑えない芸人をモティーフとした笑えない話としか言いようが無い。この個性の無い話が続くのをなんとかしてほしい。
 ジードの新しい形態であるアクロスマッシャーが登場。前回得たウルトラマンヒカリのカプセルと今回得たウルトラマンコスモスの青いコンビの融合となる。
<令人は人間の声とゼロの声をコロコロ変えるのだが、ゼロの声と口の形が全く合ってない。>
第6話 僕が僕であること

  監督:市野龍一
  脚本:三浦有為子
 強力な怪獣サンダーキラーの前にピンチに陥るジードを助けたのはレイトが変身したウルトラマンゼロだった。だが人間態に戻ったリクは、説教くさいレイトの言葉に反発して助力は不必要と言い放つのだった。そこでレムの提案で、二人の生活を逆転させて、お互いの苦労を感じてみることになった二人。
 敵はサンダーキラー
 ジードとゼロの言い合いから、奇妙な逆転生活を送ることになるリクと令人の話。実に低レベルな言い合いで、やってることも、お互いの苦労を味わって、互いを認め合うという実に当たり前の話だった。昭和時代のアニメかよ。
 で、本当に戦うべきなのかどうかで苦悩するリクだが、それを乗り越えて戦いに向かい、新しい武器を手に入れてる。具体的な戦いではなく精神的な成長で新しい武器を得るのは新しいか?
 ラストシーンで、伏井出ケイはウルトラマンベリアルその人ではなく、ベリアルの命を受けて働いていることが分かった。
第7話 サクリファイス

  監督:武居正能
  脚本:柳井祥緒
 ベストセラー作家伏井出ケイの講演会のチケットをもらった伊賀栗家とリクは喜んでお出かけする。だが伏井出ケイはリクを名指してウルトラマンゼロを「バグ」と言い切り、講演会に集まった大勢のファンを人質に取り、ゼロに対して無茶な要求を突きつける。
 敵はギャラクトロン。伏井出ケイが呼び出したロボット怪獣。極めて強く、現時点でのウルトラマンジードでは太刀打ち出来ない。
 これまで思わせぶりに登場していた伏井出ケイがその本性を表す話。ケイが書いたSF小説は、過去のゼロとベリアルの戦いを、ベリアルの側を正義として描いていたという。
 講演会にわざわざ令人を呼び出して、小説のネタ作りと称して令人を脅すのだが、聴衆はそれを小説の出来事とばかり思い、当人二人だけが真剣な話になってるのが面白い演出になってる。
 そして脅迫を受け、ギャラクトロンの攻撃を一身に受けたゼロは活動を停止してしまう。
 前回登場した武器が全く通じない敵が登場。あっけなく攻略されてしまったが、これはまだ使いこなすだけの力が無いということなんだろう。
<「SFってリアリティ感じない」と呟く令人。今のあなたの状態は?とツッコミ入れようと思ったら、ゼロからしっかりツッコミ入ってた。
 伏井出ケイの大ファンの店長は令人の前で「二万年早いぜ」と見得を切ってる。令人の複雑な表情がたまらん。>
第8話 運命を越えて行け

  監督:武居正能
  脚本:柳井祥緒
 ギャラクトロンの攻撃によってウルトラマンゼロは消えてしまった。活動を停止したギャラクトロンを前に、絶望的でも戦い続けることを決意するリクと、本物の戦いに恐怖して背を向ける令人の二人。
 敵はギャラクトロン。ケイがもう一機呼び出したため、ジードとゼロが二体と戦う事になった。
 リクと令人の二人のウルトラマンの葛藤が描かれる。何度負けても猪突猛進するだけのリクと、臆病で逃げることしか出来ない令人。どっちもヒーローとしては不完全。特に令人は家族を守るという立場上、戦いは出来ないと言っているあたりがオーディナリーピープルの代表として描かれている。この二人の対比が本作の魅力になってる。
 そして最終的に令人が今回の戦いのキーを握り、怪獣に立ち向かう心を取り戻したことで強大な敵を倒す事が出来た。「主役は遅れて来る」とはゼロの言葉だが、確かに主役はゼロの方だった。
 ゼロの方はギンガ、ビクトリー、X、オーブの力を取り込んで新しい形態であるゼロビヨンドへと変化した。銀色と青の姿だが、たまたま今回ジードがやっぱり銀と青のアクロスマッシャーだったため、ウルトラマン二人に赤身が一切無いという異常な事態に。
 とりあえず、ジードとゼロ。そしてリクと令人。このコンビあってようやくこの作品は特徴付けられたと言う事か。
<ジードの力を引き出すために敢えてジードを倒さないというケイだが、このパターンは戦隊もので散々見飽きてるので、ウルトラマンまでそれやられるとげんなり。
 ライハが令人に「ウルトラマンになったことは運命なんだよ」と言っている。言っていることは正しいが、これほど無責任な台詞も無い。>
第9話 誓いの剣

  監督:冨田 卓
  脚本:三浦有為子
 令人の娘マユがリトルスターを発症し、テレポーテーションを使えるようになってしまった。マユを守るために伊賀栗家を秘密基地に案内するが、その矢先に怪獣タイラントが出現した。
 敵はタイラント。そしてスカルゴモラ
 ライハの過去にまつわる話。ライハは過去リトルスターを発症していたとのことで、それで家族を失ったことから、怪獣使いの伏井出ケイを憎むようになった。だが復讐を果たす一歩手前で何者かの声であきらめてしまった。
 令人の娘マユがリトルスターを発症したが、ライハを助けてくれと願ったことでウルトラマンゼロのカプセルを与える事になった。
<今回ウルトラマンジードは話の半分くらいずっと変身していたし、移動距離も大変長かった。カラータイマーも点滅してなかったし、活動限界は大丈夫なの?>
第10話 ココロヨメマス

  監督:冨田 卓
  脚本:森江美咲
 宇宙から怪獣ザンドリアスが飛来した。その目的を探るためAIBは相手の心を読む能力を持つゾベタイ星人サトコを招く。観光に夢中のサトコのお目付役に命じられたモアだが…
 敵はザンドリアス。突如地球に飛来した怪獣で、その目的など全く不明だったが、恋人に振られて悲しさで拗ねてるだけだった。元は「ウルトラマン80」に出てきた怪獣で、そこでも駄々っ子のような性格をしていた。
 人の心を読める宇宙人の悲哀を描く話で、SFショートショートの一編って感じ。それで彼女に振り回されるモアとリクの苦労がコミカルに描かれていく。「ウルトラマン」35話のシーボーズの話に似ているが、ザンドリアスが地球に来たのは失恋して悲しくて駄々をこねてるという切実度が全く無い。
 嘘とはなんなのか。嘘が悪いことだが、ほんとうにそれだけだろうか?という事を考えると、人間のコミュニケーションを考えさせられる話でもある。
 リクがジードであることをモアにもばれたが、特にそれを気にもしてないっぽい。確かに散々人前で変身してるから。モアもそれについては黙っていることに決めたようだ。一方のリクもモアがAIBの職員であることを知りつつ、分からないふりをしている。
 小咄っぽくはあるが、これはこれでありだろう。元々ウルトラマンシリーズは一話完結の作品なので、こういうのには合っている。むしろこういう路線をメインに、時々シリアスな話をするくらいが良いんじゃないかな?
<ゼロはわざわざゼロビヨンドにまでなって何をするのかと思ったら、メガフォン作って「好きな人に会いに行け〜〜」と叫んでる。なにをやっとるのかね君は?タロウの真似か?>
第11話 ジードアイデンティティー

  監督:田口清隆
  脚本:安達寛高
 AIBの調査により伏井出ケイの背後に黒幕がいることを察知する。だがその思念波を感じたケイは全ての事態を決着を付けることにする。リクに対して直接対決を挑むリクに対し、リクは…
 敵は伏井出ケイ。そしてペダニウムゼットン。ベリアルとキングジョーとゼットンが融合して誕生した怪獣。
 突然の展開となるが、一気に話が進み、リクは伏井出ケイとの直接対決となる。
 リクの出生の秘密も明らかになる。ウルトラマンジードはベリアルの遺伝子を用いて伏井出ケイによって研究室で作られたウルトラマン。だからリクはベリアルとケイの二人の父親を持つ存在となる(どっちかが母というパターンは考えない方が良いな)。ウルトラマンしか回収出来ないリトルスターを集めるためだけに作られた存在だという。
 その出生の秘密よりむしろ自分の存在自体が町を破壊したと言う事にショックを受けていた。
 そしてカプセルの回収に失敗した伏井出ケイは自らの身体にウルトラカプセルを吸収させ、そのパワーをベリアルに捧げることになった。
 一方、ゼロによって無理矢理伏井出ケイの調査に行かせられてしまう令人。不幸続きのキャラだ。
第12話 僕の名前

  監督:田口清隆
  脚本:安達寛高
 伏井出ケイによって自分が作られた存在であることを知らされ、更に強力なペダニウムゼットンにも完全敗北を喫してウルトラカプセルも全て奪われてしまったジード=朝倉リク。もう自分では何も出来ないと落ち込むリクの元に一通の手紙が届く。
 敵はペダニウムゼットン
 一区切りが突いた話。迷走状態が続いた本作だが、絶望の中、最後まで立ち上がるという物語で、最後はそれなりにまとまった。
 ジードの新しい形態はウルトラマンゼロとウルトラの父の融合態。まだこれからがありそうではあるが、とりあえずはこれが最終。
 一方、次元の裂け目に向かったウルトラマンゼロは、ベリアルと会うことは出来なかったものの、出口を封印することは出来た(本人曰く「嫌がらせ」)。
 朝倉錘役は寺田農。過去「仮面ライダーW」で敵首領である園崎琉兵衛やってたな。
<たたみ込めば完全勝利を目の前にして活動を停止する怪獣。これも戦隊では定番で、ウルトラマンでやる必要は無い。
 怪獣から避難するのに大八車を使うシーンあり。演出というのが分かってらっしゃる。
 ウルトラの父は「ウルトラの父」なのね。ウルトラマンケンという本名は使わないらしい。>
第13話 レストア・メモリーズ

  監督:池田 遼
  脚本:足木淳一郎
 リクとペガが遊んでいたところ、ボールがコンピュータのレムに直撃。全ての記憶が失われてしまった。改めてレムを復旧するため、リクはレムにあの日からのことをもう一度レムに教え込むことにする。
 最近のシリーズでは定番になった過去振り返りの回。バンクを中心にしつつ、繋ぎに新作映像を挿入する。話そのものは小咄程度のものだが、それで良いのだろう。
 レムはお茶目を覚えた。記憶喪失を偽装してリク達を煙に巻いていた。
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第14話 シャドーの影

  監督:市野龍一
  脚本:根元歳三
 お互いに秘密を抱えたままつきあっていくことは出来ないと、幼なじみでAIB職員のモアを星雲荘に招き、改めて自己紹介をするリク。だがモアは上司のシャドー星人ゼナの不可思議な行動に軽く不信感を覚えていた。そんなモアの元に、ゼナの後任としてゼナと同じシャドー星人のクルトが赴任するのだが…
 敵はゼガン。シャドー星人クルトが呼び出した怪獣で、腹から発する光線は当たった対象を異次元に送り込む。
 モアを中心とした話。これまでの戦いを通じてお互いに正体を知ったモアとリクが和解するところから始まり、モアの苦労話へと展開。シャドー星人の現在の立ち位置の説明が出てくるので、むしろゼナの中心回と言っても良い。
 シャドー星人は元々極めて好戦的な種族だったが、この次元ではベリアルによって星が壊滅状態に陥り、残された人々が宇宙警察の中核を担っているとか。
 ベリアルの話から外れたため、かなり定番的な話になっていて、すごく落ち着いた物語が出来ている。ウルトラマンはこっちの方が合ってる感じだ。今回の話は前後編で、じっくり描いてるのも良し。
第15話 戦いの子

  監督:市野龍一
  脚本:根元歳三
 ジードとゼガンとの戦いに巻き込まれ、次元の裂け目から飛ばされてしまったモアとクルト。ゼナからの情報でモアの探索を始めるリクたち。一方、飛ばされた先でクルトを説得しようとするモアだが…
 敵はゼガン
 モアの中心回の後半。ゼナの中心回と言っても良いが、ゼナとモアの関係が中心となり、モアが何故AIBにいるのかもここで明かされる。
 AIBはクライシス・インパクトが起こり、全宇宙が危機に陥ったこの次元だからこそ結成された組織。比較的被害が軽微だからこそ地球に多くの宇宙人が来ており、共に生きねば生き残れないことを知ったからこそAIBが出来たということ。周辺設定の説明ではあるが、この世界を取り巻く状況が見えてきた。
 そしてAIBはモアが加入することで、組織も変化してきたそうで、ゼナは令人にはそのことを告げている。
 前回と今回、二回ともツッコミが入らなかった。珍しい。
第16話 世界の終わりがはじまる日

  監督:坂本浩一
  脚本:安達寛高
 ライハにリトルスターが再発した。検査のためにAIBを訪れるのだが、そのリトルスターを狙うゴドラ星人が襲撃する。そんな中、封印を解いたベリアルが地球へとやってくるのだった。
 敵はゴドラ星人。AIBに潜入していた宇宙人で、発症したライハらのリトルスターを狙う。そしてキメラベロス。復活したウルトラマンベリアルがファイブキングとゾグの能力をフュージョンライズした姿。
 いよいよ決着に向けて始動。ベリアルは復活し、リトルスターの力を受けてパワーアップ。更にリトルスターをめぐり、宇宙人が暗躍中と、少々混乱してきた。
 そして現れたベリアルはあまりにも強く、ウルトラマンジードを体内に飲み込んでしまった。
<ベリアルの目的はジードを体内に取り込んで、その力を全部自分のものにすることだった。ゴヤの「我が子を食らうサトゥルヌス」の絵を彷彿させるが、現代的に言えばもっと直裁的にBLっぽいとしか…>
第17話 キングの奇跡!変えるぜ!運命!!

  監督:坂本浩一
  脚本:安達寛高
 ウルトラマンジードはキメラベロスに取り込まれてしまった。その中でベリアルの囁きにより、徐々に自我を失っていくリク。一方ライハは心に聞こえるキングの声に従い、クライシスインパクトの中心へと向かっていた。
 敵はキメラベロス
 ヒーローが完全に悪に染まる前に助けるという話で、これまでのシリーズでも何度か似たパターンの話は作られているが、悪の肉親によって…というのはウルトラマンシリーズでは初めて(仮面ライダーシリーズや戦隊シリーズでは既に何度かある)。
 ヒーローの両親に語りかけたのはメインヒロイン。これだけ明確に力を持ったヒロインがいるのもウルトラマンでは初となる。
 そして登場するウルトラマンキングとベリアルの力を融合したロイヤルメガスターが誕生。善と悪の力を融合させたということで、これが最終形態になるのか、それとも前作「オーブ」のようにオリジナル形態が出るのか。
 12話でウルトラの父の名前が出てないと書いたが、今回ベリアルがしっかり「ケン」と言っていた。
<ついにウルトラマンキングの力が発動し、ジードの顔もキングに近くなった。すげえおっさん臭いのが難点だな。>
第18話 夢を継ぐ者

  監督:伊藤良一
  脚本:柳井祥緒
 宇宙からベリアルの脅威は去った。編集者の変死事件の容疑者として指名手配となった伏井出ケイだが、AIBに追われている中でダダによって攻撃を受けていた。思わずそれを助けてしまうウルトラマンゼロとジードだが…
 敵はダダ(2体目)。かつてベリアルによって星が滅ぼされてしまい、ベリアルに深い恨みを持つ宇宙人で、伏井出ケイの命を狙う。そしてレギオノイド。ベリアル軍が使ったロボット怪獣だが、それをカスタマイズしてダダが用いている。そしてザイゴーグ。伏井出ケイが呼び出した怪獣。そして伏井出ケイが自ら変身したサンダーキラー
 前回でベリアルは去り、ひとまずの平和が訪れた。そこでリクは仕事探しを始めていたが、話はそう簡単に終わらない。
 今回はベリアル復活に一役買った伏井出ケイを中心とした話。自我を崩壊させ、今は町を彷徨うばかりだったが、恨みを持つダダに追いつめられた際、記憶を蘇らせ、今度はベリアルに代わってこの宇宙を支配する野望を持つに至る。自分を取り戻しはしたものの、悪い意味での覚醒となってしまった。いつの間にか対等なライバルキャラに変化してるようだ。
 そしてそんなケイを手助けする女性が現れる。ケイの正体を知りながら、本を書くという目的だけで助けようとしてる。目が怖い。
第19話 奪われた星雲荘

  監督:伊藤良一
  脚本:勝冶京子
 星雲荘の基地に突然現れた伏井出ケイにより基地は掌握され、レムのプログラムは消去されてしまった。最後の警告で外の世界に転移されてしまったリクたちだが、その前に一人の女性が現れる。
 敵はメカゴモラ。伏井出ケイが呼び出したメカ怪獣で、レムを頭脳として取り込んだ。
 プログラムであるはずのレムを中心とした話で、危機に際し、擬似的な身体を構築するという話になる。13話にもあったが、本作においてはレムの話が一番特徴付けられるのかも知れない。
 プログラムの疑似人格が本当の人格を持つと言う話は古典的なSFでは定番の一つで、割と日本では好まれる話。ウルトラマンシリーズでも「ウルトラマンマックス」のエリーという前例もあり、未来的な感覚には良く合った話になってる。
 星雲荘とレムを作ったのも伏井出ケイだったのは推測ついていた。レムにとっては最上位の命令者となっており、その命令には逆らえない。第1話でリクによって名付けられた「レム」という言葉もストルム語で「呪縛」を意味する言葉だとか。ちなみにリク自身は全く意識せず、「ドンシャイン」のヒロインから取ったらしい。
 一方、令人に接触する石刈アリエの姿もあった。これは次回以降の伏線だろう。
第20話 午前10時の怪鳥

  監督:冨田 卓
  脚本:三浦有為子
 街に現れたギエロン星獣を倒したジード。だが翌日午前10時になると倒したはずのギエロン星獣が再び現れる。毎日同じ時間に現れる怪獣にお手上げ状態のリクたちだったが…
 敵はギエロン星獣。毎日午前10時になると現れる怪獣で、何度倒しても同一個体が同じ時間に現れる。倒されても細胞が戻って再生する。寒さに弱いため、バラバラにした細胞を凍らせて復活出来ないようにした。
 毎日同じ時間に怪獣が現れるというSFチックな話。毎日同じように現れると、町の人達もすっかり慣れてしまって、井戸端会議をしながら戦いを眺めると言うシュールな光景が展開してる。
 ウルトラマンシリーズにはこういう物語は結構似合う感じだ。実際このタイプの物語は「帰ってきたウルトラマン」で確立されたパターン。
 ギエロン星獣を倒すためにはかけらを全部回収し、それを冷凍するという人海戦術でなんとかした。みんなの力を合わせて怪獣を退治することになった。
<ギエロン星獣を倒す方法はバラバラに分解したのを人海戦術で集めて凍らせるという方法だったが、却下された南極で倒すという方法が駄目なのが何故かよく分からない。南極なり北極に連れて行って倒せばそれで済むんだけど。
 極端に寒さに弱いというギエロン星獣がどうやって絶対零度の宇宙をわたれたのかは謎だ。>
第21話 ペガ、家出する

  監督:冨田 卓
  脚本:森江美咲
 リクの大切にしていたドンシャインの時計をうっかり壊してしまったペガ。喧嘩を始めた二人は仲違いを起こし、ペガは自活すると宣言して星雲荘を出てしまう。
 敵はグビラ。深海に住む怪獣だが、リトルスターを発症してしまい、苦しさのあまり地上に出てきた。そしてペダニウムゼットン
 仲の良いリクとペガが喧嘩してしまうという話。これまでの作品と較べ、庶民的な目で見た方がはまる作品なので、こういう小さなお話しこそが本作に良く合った話とも言える。ちと気恥ずかしいけど。
 雨降って地固まるというパターンで、特撮全般でよく用いられるパターンだ。
<中学生の頃のリクが思い出で出てくるが、中学生に全く見えない。単に痛々しいだけのような?
 ジードロイヤルメガマスターはデフォでマントを着けているが、凄く動きにくそうだ。あんまり派手な動きは出来ない。
 「リクの影、まだ空いてる?」「別に他に誰も入れるつもりないし」…なんというBL臭あふれる会話だ。>
第22話 奪還

  監督:武居正能
  脚本:三浦有為子
 AIBに保管されている最凶のエンペラ星人とダークルギエルのカプセルを手に入れようと、石刈アリエを人質にAIBに交渉を持ちかける伏井出ケイ。しかもその明け渡しにリク一人を指名するのだった。
 敵はキングギャラクトロン。キングジョーとギャラクトロンの力を取り込んだ福音でケイが変身した巨大怪獣。
 伏井出ケイによる最凶最悪のカプセル強奪の話。それぞれ「ウルトラマンメビウス」(即ちオリジナルシリーズ最強の敵)および「ウルトラマンギンガ」の敵で、未来の世界の最強の敵という、最凶同士の掛け合わせ。
 その奪還に際し、敢えて作戦を失敗したかのように思わせながら…という話になってる。石刈アリエは本当にケイに協力していたのだが、カプセルを奪った後で殺害されてしまう。
<ケイがリクに言った言葉は「この物語の決着の鍵は私の手の中にある」だった。随分メタな言葉を使う。流石元ネタが小説家か。
 ゼロがキングギャラクトロンには成ったドロップキックは、綺麗に顎に決まってる。これかなり中の人が危ないのでは?>
第23話 ストルムの光

  監督:武居正能
  脚本:三浦有為子
 最凶のカプセルを手に入れた伏井出ケイが向かった先は沖縄だった。その事を知ったリクは一人沖縄へと向かう。そんなリクの出奔を知ったAIBのゼナとライハはリクを追う。一方、ストルム星人のことを調べ始める令人とモアは、リクの目的を知る。
 敵はペダニウムゼットン。伏井出ケイのパワーアップを受け、更なる巨大化を果たす。
 クライマックスに向け、まずは敵となる伏井出ケイのパワーアップ。カプセルそのもので変身するのではなく、変身はペダニウムゼットンだったが、カプセルを取り込むことで更なる巨大化した。
 苦闘の末、伏井出ケイは割とあっさりと倒れたのだが、そこに現れたのは、前回死んだはずの石刈アリエ。実はこのアリエこそがウルトラマンベリアルが憑依した存在であり、ケイのストルム器官を奪うためにケイの近くにいたらしい。
 そしてストルム器官を奪われたケイだが、それに無上の喜びを示している。ケイにとっては自分の意志なんてどうでも良かったのだろう。ただ自分の力がベリアルに認められさえすれば。
 物語は意外な展開を見せている。前半のグダグダっぷりが嘘のようなきちんとした物語になってる。
<ストルムの光は30年ごとに地球に降り注ぐとのこと。それは良いけど、一体ストルム星っていつ滅んだんだ?光の速さでどれだけの距離?>
第24話 キボウノカケラ

  監督:坂本浩一
  脚本:安達寛高
 二つのカプセルを吸収して復活したウルトラマンベリアルはベリアルアストロシアスに進化した。力を完全に使えるまで10数時間がかかると判断したAIBとレムは、星雲荘をベリアルのカラータイマーに突入させる作戦を敢行しようとする。
 敵はウルトラマンベリアルアトロシアス
 復活した最凶の敵に対し、最後の作戦前のひとときとなる。令人も又、家族に送り出されて戦いに。死んでなかった伏井出ケイも登場。最後までベリアルに忠誠を誓う発言している。
 リリカル描写を時間たっぷり使って演出しているが、それが決して嫌味になってないのが面白いところだ。
 究極態になったベリアルのデザインは随分すっきりしている。まるでもう一体のジードだ。
<ベリアルに対してゼロが言った言葉「光の国もこの星もてめえには指一本触れさせねえ」だった。地上に降りてるから既に触れてるけどね。>
第25話 GEEDの証

  監督:坂本浩一
  脚本:安達寛高
 ジードとゼロはベリアルアトロシアスに立ち向かうが、実力の差はいかんともしがたく、なんとかベリアルの肉体からカレラン分子を取り出すことしか出来なかった。そこに現れたのはウルトラの父だったが…
 敵はウルトラマンベリアルアトロシアス
 最終回。ベリアルおよび伏井出ケイとの決着が付く話。
 ようやくウルトラの父が重い腰をあげたものの、ベリアルの動きを少しの時間止めるくらいしかできなかった。
 更に事前に立てた作戦はことごとく失敗に終わり、最終的に戦いを決めたのはウルトラマンジードの肉弾戦だった。奇跡の力で全形態のジードが現れて戦い、最後は精神的な戦いへと展開。
 そして最後はベリアルから邪悪の元となったレイオニクスの力を分離した上で粉砕することができた。
 そもそもリクの目的とは子どものヒーローとなることだったはずだが、最終的にその目的は果たされたので、これもすっきりと終わったことになるのかな?
 もう一つの疑問は完全粉砕されたベリアルは敵として以降の作品には登場しないのか?
<麗々しく出てきた癖に結構弱いウルトラの父。情けない…のはいつものことか。
 これまで登場したジードの全形態が登場してベリアルをタコ殴りにするのだが、これぞまさに集団リンチ。劇場版の『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』を彷彿とさせるシーンだ。
 レイオニクスの力が抜けた際、一瞬だけベリアルの素顔が出てくる。劇場版の『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』にも登場したものかな?何か記憶の顔とちょっと違うような気もするけど。>
プリミティブ 銀・赤・黒 ウルトラマン
ウルトラマンベリアル
ソリッドバーニング 赤・銀・黒 ウルトラセブン
ウルトラマンレオ
アクロスマッシャー 銀・青 ウルトラマンヒカリ
ウルトラマンコスモス
マグニフィセント 青・赤・銀 ウルトラマンゼロ
ウルトラの父
ロイヤルメガマスター 紫・金・銀 ウルトラマンキング
ウルトラマンベリアル