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2023 | |||||||||
2022 | |||||||||
2021 | |||||||||
2020 | この茫漠たる荒野で 監督・脚本 | ||||||||
2019 | |||||||||
2018 | 7月22日 監督・製作・脚本 | ||||||||
2017 |
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2016 | ジェイソン・ボーン 監督・製作・脚本 | ||||||||
2015 | |||||||||
2014 | |||||||||
2013 | キャプテン・フィリップス 監督 | ||||||||
2012 | |||||||||
2011 | |||||||||
2010 | グリーン・ゾーン 監督・製作 | ||||||||
2009 | |||||||||
2008 | |||||||||
2007 | ボーン・アルティメイタム 監督 | ||||||||
2006 | ユナイテッド93 監督・脚本 | ||||||||
2005 | |||||||||
2004 | ボーン・スプレマシー 監督 | ||||||||
2003 | |||||||||
2002 | ブラディ・サンデー 監督・脚本 | ||||||||
2001 | |||||||||
2000 | |||||||||
1999 | |||||||||
1998 | ヴァージン・フライト 監督 | ||||||||
1997 | |||||||||
1996 | ガルフ・ウォー/スカッドミサイル爆破指令 監督・脚本 | ||||||||
1995 | |||||||||
1994 | 極悪非道 監督・脚本 | ||||||||
1993 | |||||||||
1992 | |||||||||
1991 | |||||||||
1990 | |||||||||
1989 | |||||||||
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1957 | |||||||||
1956 | |||||||||
1955 | 8'13 南ロンドンで誕生 |
この茫漠たる荒野で News of the World |
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2020米アカデミー撮影賞、作曲賞、美術賞、音響賞 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ジェイソン・ボーン Jason Bourne |
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キャプテン・フィリップス | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2013米アカデミー作品賞、助演男優賞(アプディ)、脚色賞、音響賞、編集賞 2013英アカデミー助演男優賞(アプディ)、作品賞、主演男優賞(ハンクス)、監督賞、脚色賞、作曲賞、撮影賞、編集賞、音響賞 2013日本アカデミー外国作品賞 2013シカゴ映画批評家協会助演男優賞(アブディ)、有望俳優賞(アブディ) 2013ゴールデン・グローブ作品賞、男優賞(ハンクス)、助演男優賞(アプディ)、監督賞 2013放送映画批評家協会作品賞、主演男優賞(ハンクス)、助演男優賞(アプディ)、監督賞、脚色賞、編集賞 2013AFIベスト 2014MTVムービー・アワード悪役賞(アプディ) |
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グリーン・ゾーン Green Zone |
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2010タイム8位 2010キングベスト第10位 2010違法ダウンロードされた映画第7位 |
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フセイン政権陥落直後のバグダッド。米陸軍のロイ・ミラー准尉(デイモン)と彼の部隊は、大量破壊兵器の発見任務に就いていた。しかし、上からの指示に従って捜索を繰り返しても、一向に兵器はおろか、その痕跡すら掴めずにいた。次第に、情報源への疑いを強めていくミラー。しかも、ようやく手にした重要な手がかりは国防総省によって握りつぶされていたことが分かる… ボーンシリーズのグリーングラス監督が、三度デイモンと組んで送る、ポリティカル・フィクションとアクションを併せたかなり高度な作品。 ボーンシリーズは一本目の『ボーン・アイデンティティー』(2002)こそ普通のアクション作品だったが(と言ってもかなり良質だったのは事実だが)、2本目の『ボーン・スプレマシー』、3本目の『ボーン・アルティメイタム』は見事な出来映えに仕上がっていた。これはデイモン自身の慣れもあるが、グリーングラス監督の相性が特に良く、デイモンの演技力を上手く引き出していたことが大きい。基本的に無表情なデイモンを緊張感に結びつけ、緊張感を途切らすことなく、観客を疲れさせない程よい演出のバランスあってのこと。 本作はそんなグリーングラス&デイモンの3本目の作品と言うこと、しかも現実のイラクが舞台と言う事で期待度が高い作品だった。 それで結果を言えば、確かに期待通りの面白さは得られた。テーマは難しいのにもかかわらず2時間を飽きさせることなく画面作りをしてくれている。 ただ、その部分は感心出来るにせよ、色々と問題も感じる。 本作の設定的な問題点と言えば、主人公のミラーが色々な個人や組織に引っ張られてしまうと言う点にあるだろう。ミラー自身が属するのは陸軍で、その上司もいるので軍内部の上下関係がきっちり存在しているが、それ以外にもCIAや国防総省、ジャーナリスト、それに現イラクを代表する住民としてのフレディとも関わりを持つ。彼らの思いがミラー一人にかかっていくため、その分彼の立場は複雑になっていくし、その中で自分自身で選択を強いられていく。 ここまで色々なところから引っ張り合いが起こっている主人公の立場をまとめるのは大変難しいのだが(これと似た立場だと『ワールド・オブ・ライズ』(2008)があるけど、あの作品でもここまで多数の引っ張り合いはなかった)本作ではそれを難なくこなしているのが驚き。 これを可能にしているのは、主人公であるミラーの機械的な透明さにあると思われる。ミラーは大量破壊兵器を探すというと言う以外の思いを持たず、人間的な感情をほとんど出さない。だからミラーは平気で組織を飛び出したり、他の組織のために働いたり、勝手に捜査を進めたりするし、そのために部下を危険に落とすこともためらわない。一切の恋愛感情もなければ、しがらみも持たない。はっきり言えば、これは人間というより機械のような存在だ。ボーン以上に人間味をカットしてる。それ故にテーマを絞り込むことが出来たのだろう。 そうでもしないと本作はまとまらなかったんだろう。物語の流れを阻害しない主人公を作り出したのはとても面白い考え方だ。 しかしながら、その一方、それは主人公に全く人間味を感じさせないと言う事でもある。無表情なデイモンだから出来る役には違いないけど、ここまで機械的にすると、全く個性がない。なんというか、シャーロック・ホームズ(後期の)をイラク戦争に放り込んだらこうなるだろうって感じの造形だった。 本作が今ひとつ踏み込んで楽しめなかったのは、そこにあったんじゃないかな。面白い設定だし、造形ではあるが、個性のない主人公だと、共感が出来にくいし。 それと、オチ部分が黒幕の暗殺一つで終わるのも今更な感じ。一兵士が考えるには大きすぎる問題に平気で首突っ込むってことの説得力もないし。 本来この作品は群像劇にして、様々な側面からのアプローチで真実にたどり着くと言う形でまとめるべきだったんだろう。それをたった一人に押しつけることでぐっと話が分かりやすくなった側面はあるにせよ、物語の説得力が落ちた感じ。 |
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ボーン・アルティメイタム The Bourne Ultimatum |
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2007米アカデミー音響賞、編集賞 2007英アカデミー編集賞、音響賞、監督賞、撮影賞、特殊視覚効果賞、英国作品賞 2007日本アカデミー外国作品賞 2007ナショナル・ボード・オブ・レビュートップ10 2007ゴールデン・トマト・アウォーズアクション第1位、大規模公開作品第2位 2007アメリカ映画俳優組合スタント賞 2007ゴールデン・トマト第3位 2007ロンドン映画批評家協会英国人監督賞 2007エンパイア・アワード作品賞 2008MTVムービー・アワード男優賞(デイモン)、格闘シーン賞 2008エンパイア映画作品賞、監督賞、男優賞(デイモン)、サスペンス作品賞 2008サターンアクション/アドベンチャー/サスペンス作品賞、監督賞、音楽賞 |
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CIAの極秘作戦「トレッド・ストーン作戦」に自らが関わっていたことを知らされたジェイソン・ボーン(デイモン)は、トレッド・ストーンを調べているイギリス人新聞記者サイモン・ロスと接触を試みる。だがまさにその瞬間、何者かによってサイモンは殺害されてしまった。サイモンの今際の際の言葉で、この作戦は「ブラック・ブライヤー」と名前を変えて、今も進行中であることを告げられる。そして又しても命を狙われることになってしまうボーン。一方、ボーンを最重要危険人物に指定したCIAは、過去ボーンと渡り合ったパメラ・ランディ(アレン)を中心にした捜査班を立ち上げ、ボーンの行方を追っていた。 『ボーン・アイデンティティー』(2002)、『ボーン・スプレマシー』を経て制作されたジェイソン・ボーンシリーズ最終作。時間軸としては二作目『スプレマシー』と直接つながっているので、この二作をひとまとめにして考えることも出来る(実は本作の中盤に『スプレマシー』の物語が関わってくる)。 前作『スプレマシー』はアクション映画としては優れていたものの、ボーン・シリーズの一本としては地味だし、別段シリーズの中に入れる必要もないような物語展開なので、『アイデンティティ』の楽しさを知っていた身としては、「やっぱ監督代わったら駄目になったか」という印象でしか無かった。 でも、そんな考えを見事に払拭。シリーズ最高傑作とも言える作品に仕上げたのも、やはりグリーングラス監督だった。いや、それどころか『スプレマシー』の内容を込みにして、一気にこの2作をトップレベルに持ち上げてしまった。見事な出来栄えだ。 本作を評価するには2つの方向性があるだろう。 一つはアクション面。前作『スプレマシー』が物語そのものが凡庸なのに、演出の良さで見せてくれたものだが、本作の演出の良さはそれ以上。非常に緊迫感溢れる演出が続く。オープニング部分のボーンによる狙撃シーンは映像美クラスだし、その後のアクションやカーチェイスなど、なんだか普通のシーンがとてつもなく凝って見える。 これは敢えて手持ちビデオを意識した手ブレを意図的に加える事によって、あたかもドキュメンタリーフィルムを見せるようにしていることによるものだが、それだけでなく、常にショットを変えて連続したコマ割りを意識することによってアクションにソリッド感を持たせたこと。とにかく次々に切り替わるショットの連続はとても見事。編集は大変だっただろうが、これだけやってくれたら拍手するしかないだろう。演出の凄さは近年まれに観る見事さだ。 そしてもう一つが、ちゃんと着地地点が1作目に帰っていると言うこと。『スプレマシー』が少々凡庸に見えたのは、折角の記憶喪失という良いシチュエーションをなんでわざわざ普通のアクションにした?と言う疑問点があったのだが、それを一作目の記憶を取り戻すという物語に軌道修正をしていること。否、実は二作目も又、一見そうは見えなくても、自分探しの物語に組み込まれていると言う事が本作を観て分かってくるのだ。 敢えて凡庸にしたとは言わないけど、本作を観た後で2作目の評価はがらっと変わる。 これは本作が少々長いスパンで物語を構成しているから。実はこの物語の中に『スプレマシー』の物語が含まれていて、この比較的大きな物語の中にあのアクションが含まれていることが分かる。これだと『スプレマシー』が単なるアクション作品であっても、本作と合わせることで一気に深みが増す。 結果として、本作は原点に戻した上で、最高の演出を加え、物語全体を総括して見せたわけだ。これだけ見事なまとめ方がされたとあっては褒めるしか無い。 強いて言うなら、ラスト部分にちょっと違和感ありかな?「あれ?これで良いの?」という含みは、続編か…とも思えたのだが。 |
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ユナイテッド93 United 93 |
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2006米アカデミー監督賞(グリーングラス)、編集賞 2006英アカデミー監督賞(グリーングラス)、編集賞、オリジナル脚本賞、撮影賞、音響賞、イギリス作品賞 2006全米批評家協会監督賞(グリーングラス) 2006NY批評家協会作品賞 2006LA批評家協会作品賞 2006ワシントンDC作品賞 2006ボストン映画批評家協会アンサンブル演技賞 2006サンディエゴ映画批評家協会Best Editing 2006ロンドン映画批評家協会作品賞、監督賞 2006放送映画批評家協会作品賞、監督賞(グリーングラス) 2006アメリカ脚本家組合オリジナル脚本賞 2006AFIベスト 2006オンライン映画批評家協会作品賞 |
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2001年9月11日。アメリカ国内旅客機4機がほぼ同時にハイジャックされた。2機はワールド・トレード・センターに、もう1機はペンタゴンに激突した。しかし残る1機ユナイテッド航空93便だけはターゲットに到達することなく、ペンシルヴェニア州に墜落した。その中で一体何が起こっていたのか。当時の状況をリアルに再現し、ドキュメンタリー・タッチの手法で撮り上げた作品。 そろそろアメリカ国内も同時多発テロの消化が出来てきたか、韜晦や過剰なヒロイズム無しに作品が作られるようになってきたらしい。敢えて主人公を特定することなく、出来る限り当時の再現を目指した本作は、作られるべくして作られた作品であろう。 同時多発テロに巻き込まれ、唯一目的地にたどり着かなかったというユナイテッド93をUIPが製作・配給し、ユニヴァーサルが世界配給をしたという、言わば“U”つながりの作品。 事実を再現しようと言う意図の元、過剰な演出を敢えて廃し、徹底したリアリズムの元に作られた本作は臨場感が高い。しかも演じる役者のみならず観ている側にも情報の制限が行われているため、緊張感をとぎらせる事無く最後まで突っ走ってくれた。本作に登場する管制官や軍関係者の一部は、9月11日に実際に現場で勤務していた本人が自ら演じているというから、臨場感は折り紙付きだ。しかもテロリストをちゃんと人間として描いているのにも好感を持てる。勿論その描写は最低限度だが、それは他のキャラクタも同様なので、あくまで一個の人間としてそこに居合わせたと言う設定は良い具合に機能している。 これは確かに観ておくべき作品だろう。かつてこんな事件があった。それは決して対岸の事故ではなく、観ている側が教訓として受け取るため、作られるべき作品だっただろう。 本作を賞賛するには吝かではないし、確かに観て良かったと思う。だが、なんだろう。この割り切れなさは。観ている間、なんだか居心地の悪さをずっと感じ続けた。 観ている間はもやもやした気持ちに捕らわれ、しばらくそのもやもやは続いていた。 今になってようやくその意味が多少なり整理ついた。 本作を観て、居心地が悪かったのは、要するに“ドキュメンタリーの傲慢さ”と言うことだったのだ。 ドキュメンタリーは傲慢だ。だって本当の事を描いているのだから。 冷徹な事実を突きつけられた人間は沈黙せざるを得なくなる。本当なのだから、反対意見を圧殺することも出来る。この世界において、適度に使い手が心得ていれば事実ほど強いものはない。 ただし、この“強さ”は、皮肉なことに相手の口を封じることによってかえって反発を食らう。『華氏911』(2004)のムーア監督がどれだけ嫌われているかは周知の如く。彼の場合は本当を主張すれば反発も食うと言う事実を敢えて引き受けているし、「恣意的に作って何が悪い」と逆に開き直って、それを武器にもしている。 ドキュメンタリーにありがちな、その傲慢さをこの作品から感じ取ってしまったのが最大の原因だった。 これはフィクションである。墜落したユナイテッド93便の中で、一体何が起こっているのかは、そこに居合わせた人が全員死亡してしまった以上、語ることは出来ない。それこそテロリストの内部分裂で失速したのかも知れないし、パイロットの恐怖心によるものかもしれない。確率は低いが予想外のトラブルに対処できなかったと言う可能性もある。事実可能性だけだったらいくらでも語ることが出来るのだ。 それを映画にするのだから、当然フィクションなのである。 ところが本作の作りはそれを許さない。ドキュメンタリータッチで、あくまで「これは本物ですよ」と強引に迫ってくる印象を受けてしまう。背後にあるはずの作家性を排除すればするほど、リアルにすればするほど、本作は傲慢になっていく。事実を捏造しておいて、あたかも本物であるかのように出されても困る。あたかも作家性を後退させたように見せかけておいて、実は最大の作家性その術中にはまってる。 今から思うに、その辺が気持ち悪さの原因だったと分かる。 時間が経過し、後20年もして、「911?何それ?」という人達が多くなった時に初めて本作を観た人がいたら、本作を事実として受け入れてしまうのでは?いや、既に5年が経過してるから、もうそうなりつつあるのかもしれない。悪い見方をするならば、体の良いプロパガンダ映画とさえも見えてしまう。 それに、今更ながら、これが泥沼のイラク戦争につながったと言う事実を忘れてはならない。しかも無関係なイラクも巻き込んで。どう作ろうとも事実は変わらない以上、それだってどうも引っかかってしまう。 それでは、完全フィクションにすれば良かったか?と言われると…それも多分文句言うことになるだろう。ただ、「これは嘘っぱちですよ」とあらかじめ出してある分、罪は無いだけで。 少なくとも、この作品を通してドキュメンタリー映画のあり方について多少なりにも考えさせてくれたのだから、それだけでも良しとしようか。それに実際出来そのものは悪くないのだから。 おっと。一つ忘れていた。この作品はもう一つ面白い所があった。この作品のカメラだが、徹底して人の目線を意識している。多少煽り気味のアングルもあったにせよ、全て“人が見てる”高さで作られている。だから人間が見ることが出来ない爆発シーンもなければ、遥か上空から見下げる俯瞰シーンもない。ユナイテッド93便の中に至っては手ぶれだらけの映像を見せつけられる。臨場感を演出するためだろうが、ここまで徹底して目線を強調した作品って他にあんまり類がなかった気がする。 |
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ボーン・スプレマシー The Bourne Supremacy |
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2004放送映画批評家協会ポピュラー作品賞 2004全米BOXOffice第8位 2005MTVムービー・アワード男優賞(デイモン)、アクション・シーン賞(モスクワでのカー・チェイス) |
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記憶を失って二年。ボーンは恋人のマリー(ポテンテ)と共にインドで隠れるように暮らしていたボーン(デイモン)だが、何者かに命を狙われ、マリーが殺されてしまう。同じ頃、CIAのパメラ・ランディ(アレン)のチームは調査中に何者かの襲撃を受けてチームの一人が殺害されてしまう。現場に残された指紋から、犯人はかつてのCIAエージェント、ボーンであると推測し、彼の行方を追うことに。 前作『ボーン・アイデンティティー』(2002)のヒットを受けて作られた続編。洗練されたアクションと、あくまで自分探しを主眼とした物語構成は基本的には変わっていないが、前作が「自分は何者か?」ということで終始していたのが、本作では「過去自分は何をした?」というところに物語が微妙にシフトしているが、同じような緊張感を演出するためには必要な措置だったのだろう。 続編だけに、前作と比べてアクションシーンはより派手になっている分、前作にあったタメの要素が少なくなっているが、パメラというもう一人の主人公を登場させ、彼女の方にストレートな物語を割り振ったことで、平板にならないよう気をつけ、きちんとメリハリを取っていて、結果として、1作目とは違った魅力を演出することができている。 実際これによって作品の質そのものを低下させることは無かったのだが、ちょっと残念だったところが、自分のアイデンティティを探すという本シリーズの肝の部分が薄れてしまったこと。それと、CIAがしてきたことを告発するという部分が少々弱くなってしまったのが残念かな。ボーンの本名が明らかになったり、ボーンが関わっていたCIAの作戦の名前が出たりはしてるけど、それも続編に持ち越しになってしまったし。 本来持っていたシリーズの魅力が薄れてしまい、特に次作『アルティメイタム』の出来が良いため、悪い言い方すると、中だるみって感じもあり。純粋なアクション作品としての質は高いんだけどね。 …と言うのが、一作目の続きで本作を観た時の印象。だが実は本作は単体で観ては真価を見誤る。三作目、『ボーン・アルティメイタム』を観ると実は…という謎がちゃんと隠れていたりする。 |
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ブラディ・サンデー Bloody Sunday |
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2002ベルリン国際映画祭金熊賞(グリーングラス) 2002ヨーロッパ映画作品賞 2002インディペンデント・スピリット外国映画賞 |
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