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成島出

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鑑賞本数 3 合計点 10 平均点 3.33
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
書籍
_(書籍)
2015 ソロモンの偽証 後篇・裁判 監督
ソロモンの偽証 前篇・事件 監督
2014 ふしぎな岬の物語 監督・企画
2013 草原の椅子 監督・脚本
脳男 脚本
2012
2011 聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実- 監督
八日目の蝉 監督
2010 孤高のメス 監督
2008 ラブファイト 監督
クライマーズ・ハイ 脚本
築地魚河岸三代目 脚本
2007 ミッドナイト イーグル 監督
2005 フライ,ダディ,フライ 監督
2004 るにん 脚本
2003 油断大敵 監督
2002 新仁義なき戦い 謀殺 脚本
T.R.Y. トライ 脚本
笑う蛙 脚本
2001 少女〜an adolescent 脚本
最悪 脚本
2000 風を見た少年 脚色
1997 恋極道 脚色
1996 シャブ極道 脚本
1994 大阪極道戦争 しのいだれ 脚本
1961 4'16 山梨で誕生

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ソロモンの偽証 後篇・裁判 2015
2015日本アカデミー新人俳優賞(藤野涼子)

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真辺克彦(脚)
藤野涼子
板垣瑞生
石井杏奈
清水尋也
富田望生
前田航基
望月歩
西村成忠
西畑澪花
若林時英
加藤幹夫
石川新太
佐々木蔵之介
夏川結衣
永作博美
小日向文世
黒木華
尾野真千子
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
ソロモンの偽証 <A> <楽>
宮部みゆき (検索) <A> <楽>
 クリスマスに謎の死を遂げた柏木拓也が何故死んだのか。自らの気持ちに決着をつけるため生徒達だけで裁判を行う事に決めた藤野涼子(藤野涼子)らは着々と準備を進めていた。そんな中、この裁判を開くきっかけとなった神原和彦(板垣瑞生)に何か秘密がある事に気づいてしまう。そんな心のまま、裁判当日を迎えるのだが…
 『ソロモンの偽証 前篇・事件』から矢継ぎ早に出された後編。この作品もかなり長く、二つの作品を合わせれば、総上映時間は5時間に至るという超大作となる。だがその長さは無駄にはならず、これだけの長編だからこそ出来るしっかりした作りに仕上げられていた。
 前編から続くドラマとしての作りは本当にしっかりしていて、一人一人の心理描写や葛藤まで織り込んで法廷の証言席での告白に至らせているので、観ていて本当に心地が良いし、はまるべきパーツがはまるべき所にはまっていく緻密さがあって、それがとてもよろしい。
 ただ後編である本作は、法廷という大きな舞台があるため、そこに付随する他の物語があまり入れられなかったのはちょっと足りない感じもある。前編で出せるだけ出した付随する物語を回収する事しか出来ないため、心理描写に立ち入ることが難しかったかもしれない。
 全般的に見る限りは、それも含めてバランスはしっかりしていたとは思える。
 ただ、物語について言うならば、ちょっと肩すかしな感じがあるのも事実。前編の引きがとても良く、一体どんな物語展開になるの?と思っていただけに、この結論は
「そりゃないだろ!」というレベル。いや、物語としてはこれでも良いのかもしれないけど、法廷ものの映画はどんでん返しこそがその醍醐味であり、それを期待して観ていたのだから、それが与えられなかったんだからフラストレーションもたまる。これだけの長さの後だからこそ、「そうだったのか!」と言う演出はやっぱり欲しかったな。それがありさえすれば、本作は前後編合わせて大傑作となり得たはず。その意味ではとても惜しい。
ソロモンの偽証 前篇・事件 2015
2015日本アカデミー音楽賞、撮影賞、照明賞、新人俳優賞(藤野涼子)

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武田功
木下直哉
岩田天植
宮田謙一
宮本直人
高橋誠
大角正
関根真吾
矢島孝
秋田周平
池田史嗣(製)
真辺克彦(脚)
藤野涼子
板垣瑞生
石井杏奈
清水尋也
富田望生
前田航基
西畑澪花
若林時英
西村成忠
加藤幹夫
石川新太
六車勇登
石田飛雄馬
鈴木きらり
羽下直希
森田想
榎本実優
加藤実祐紀
宮野薫
大井絵梨花
大西航平
薗田仁南
升澤理子
松浦寿來
佐久間妃南子
鈴木逸豊
西田心
菊地時音
岩田華怜
宮武祭
平祐奈
谷井優貴
望月歩
佐々木蔵之介
夏川結衣
永作博美
黒木華
田畑智子
池谷のぶえ
塚地武雅
田中壮太郎
市川実和子
江口のりこ
高川裕也
安藤玉恵
木下ほうか
宮川一朗太
中西美帆
井上肇
浜田学
安澤千草
嶋田久作
余貴美子
松重豊
小日向文世
尾野真千子
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
ソロモンの偽証 <A> <楽>
宮部みゆき (検索) <A> <楽>
 母校城東第三中学校に教師として赴任した中原涼子(尾野真千子)は、校長からかつての自分達がこの学校の伝説として語り継がれていることを知らされ、その時のことを話してくれるよう頼まれた。そこで涼子が語り始めた、過去涼子がクリスマスに目撃したクラスメイトの死体と、そこから始まる三中の学生たちによる裁判の顛末を…
 宮部みゆきによる大長編
「ソロモンの偽証」の映画化作品。
 宮部みゆきといえば、どちらかというとTVサイズの物語作家と言った印象が強い。これは別段けなしているわけでなく、大掛かりなセットや特殊撮影よりも丁寧な心理描写の方がこの人の持ち味なので、それは短い映画よりもじっくりと人の心を掘り進められるテレビの方が向いているから。実際それを無視して映画を作ると爆死することが多く
(一種の伝説となった『模倣犯』(2002)の例もある)、著者の映画化作は結構身構えてしまう。
 ただ、この映画化に対して朗報は、これが5時間に及ぶ大作であるということ。実は本作を観る際、この点が大きかった。それに勿論『八日目の蝉』で見事な心理描写を描いてみせた成島監督の力量を劇場で見てみたくもあり。
 確かに前編だけで2時間半は長い。それは事実だが、その長さにほとんど無駄がないのが本作の凄い点。冒頭の成長した涼子が、現在の校長に話をするシーンがたるみを持っているくらいで、後はもう怒涛のごとく。飽きることもない。
 本作に登場する人物はかなりの数に及び、その中で心理描写を必要とするキャラも数多い。それを取りこぼし無く拾い上げつつ、心理描写をやってはいけないキャラとの区別もしっかりと行うという難しい描写がしっかり出来ていたし、それも映画サイズで緻密に描写されているので実に見応えがあった。
 時にその描写は、感情を爆発させることで友人関係を破壊するものであったり、理性と感情がぶつかり合うものであったりする。時には静かに精神が壊れていくような描写もあるのだが、それを様々なテクニックを駆使し、目で見えるように作っている。映画そのものはそんなに起伏が多くなく、どちらかと言えば静かな部類の作品だが、そんな中でひしめき合う感情が見事に画面に映し出されている。それを観ているだけでもまったく飽きが来ない。
これだけの長丁場をほとんど飽きさせずに見せられただけでも本作が映画化される理由があったと思わせてくれる。

 今回は学生たちで裁判を開くことを決定したところで物語は閉じるが、解かれていない謎もあり、しっかり続編に期待を持たせてくれる作りも良し。結果として、全般的に質がとても高い作品となった。
八日目の蝉 2011
2010報知映画主演女優賞(永作博美)
2011日本アカデミー作品賞、主演女優賞(井上真央)、助演女優賞(永作博美、小池栄子)、監督賞、脚本賞、音楽賞、撮影賞、照明賞、録音賞、編集賞、新人俳優賞(渡邉このみ)、美術賞
2011ブルーリボン主演女優賞(永作博美)
2011日本映画批評家大賞監督賞
2011キネマ旬報主演女優賞(永作博美)、
日本映画第5位、助演女優賞(小池栄子)
2011毎日映画コンクール女優助演賞(永作博美)
2011報知映画作品賞・邦画部門、主演女優賞(永作博美)
2011ヨコハマ映画祭撮影賞、
第3位
2011映画芸術ワースト10位

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鳥羽乾二郎
秋元一孝
有重陽一
吉田直子
池田史嗣
武石宏登
野田助嗣
佐藤直樹(製)
奥寺佐渡子(脚)
井上真央
永作博美
小池栄子
森口瑤子
田中哲司
渡邉このみ
市川実和子
吉本菜穂子
相築あきこ
別府あゆみ
安藤玉恵
安澤千草
蜂谷真紀
松浦羽伽子
ぼくもとさきこ
深谷美歩
畠山彩奈
余貴美子
平田満
風吹ジュン
井上肇
宮田早苗
徳井優
広澤草
野中隆光
管勇毅
荒谷清水
日向とめ吉
瀬木一将
吉田羊
日比大介
劇団ひとり
田中泯
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
八日目の蝉(書籍) 角田光代
ミッドナイト イーグル 2007
2007HIHOはくさい映画最低主演女優賞(竹内結子)、最低助演男優賞(石黒賢)

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長谷川康夫
飯田健三郎(脚)
大沢たかお
竹内結子
玉木宏
吉田栄作
袴田吉彦
坂本爽
金子さやか
波岡一喜
佐原弘起
佐々木勝彦
橋本淳
濱田岳
浜田晃
重松収
相築あきこ
大森南朋
石黒賢
藤竜也
★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
ミッドナイトイーグル(書籍) 高嶋哲夫
 かつて世界中の戦場を駆け巡った著名なカメラマン西崎(大沢たかお)。だが戦場で受けたトラウマと、そんな自分が妻を死に追いやってしまったという自責の念から山岳写真に打ち込むようになっていた。そんな彼が北アルプスに登山中、赤い火の玉のようなものが墜落するのを目撃してしまう。西崎は後輩の新聞記者落合(玉木宏)とともにその確認に向かうのだが、それは保有しているはずのない自衛隊爆撃機B5(ミッドナイト・イーグル)であり、機体回収に投入された自衛隊特殊部隊と機体に積まれた「荷」を奪取すべく待ち構えるテロリスト集団と鉢合わせしてしまう…
 日本ではなかなか予算的に難しい
本格的アクション映画の誕生。山岳小説とポリティカル・フィクションを合わせた、設定的にはとても豪華なものとなっている。
 徐々に明らかになっていく陰謀と、不時着した機体に積まれている“荷”とは一体何であるのか、それをめぐる特殊部隊同士の戦いと、それに巻き込まれてしまった元船襄カメラマン…やや出来すぎというか、詰め込みすぎの感はあるが、この設定を見た限りは、大変面白そうに思える。
 ただし、これだけ詰め込んだ物語を最大限活かせる舞台は映画ではない。
本作は小説だからこそ成り立つ物語だ。
 本作を一見してわかるのは、物語の運び方が完全に小説の間合いによって作られていると言うこと。
 その例はいくつも取れるが、例えば人間の意志というものを示す場合、小説では描写と台詞。映画だと動きと表情という違いがある。だが本作は、その部分を映画として作ってない。
 これが全編に渡って展開する。だから本作は映画であるにもかかわらず、話自体がほぼ言葉による説明と会話だけで作られてしまった。緊張感のあるシーンこそ多いものの、ほとんどが密室状態の中、言葉のやり取りで緊張感を演出している。小説だとこのやり方は十分な見どころなのだが、映像化すると、単にだらだら会話してるようにしか見えない。
 これを映画として成立させるならば、もっと動きの方を重視しないとバランスが悪くなってしまう。その本来変えねばならない部分をひねらずにそのまま演出してしまった感じ。主人公のヒロイック性や覚悟さえも行動ではなく会話によってすべて説明されてしまうため、かなり興ざめする。それら映画用に変換し直さねばならないはずのシーンを、そのまんま小説形式で映画にしてしまった。

 物語そのものは面白いのだから、これを小説の面白さから映画の面白さに転換させねばならないのに、それをやろうとしなかったことが本作の最大の問題点だろう。優れた小説が良い映画になるわけではない事を示す好例だろう。そこら辺がきちんと出来てさえいれば傑作ともなったのに。
 これまでかなり質の高い小説の映画化を作ってきていた成島監督だけに、本作で失敗したのは痛かった。
 小説の映画化だと割り切れれば問題なく楽しめるが、
だったら小説そのものを読んだ方が手っ取り早い。そのくらいのレベルの作品だと思って差支えなかろう。
フライ,ダディ,フライ 2005
2005報知映画助演男優賞(堤真一)

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金城一紀(脚)
岡田准一
堤真一
須藤元気
星井七瀬
松尾敏伸
愛華みれ
塩見三省
渋谷飛鳥
坂本真
青木崇高
広瀬剛進
浅野和之
温水洋一
徳井優
大河内浩
田口浩正
神戸浩
モロ師岡
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
フライ,ダディ,フライ <A> <楽>
金城一紀 (検索) <A> <楽>
油断大敵 2004
2004日本映画プロフェッショナル大賞 新人監督賞(成島出)、ベスト5

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小松與志子
真辺克彦(脚)
役所広司
柄本明
夏川結衣
菅野莉央
前田綾花
水橋研二
津川雅彦
奥田瑛二
淡路恵子
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
捕まえるヤツ 逃げるヤツ <A> <楽>
飯塚訓 (検索) <A> <楽>
 新任の泥棒専門刑事関川仁(役所広司)は妻を失い、ひとり娘の美咲(菅野莉央)を男手ひとつで育てつつも、偶然捕らえることが成功したプロの大泥棒のネコこと猫田定吉(柄本明)と不思議な友情めいたものを感じていく。やがて時が過ぎ、美咲も美しく成長し、お互い歳を取ったと猫田と出会うことになるのだが…
 決して有能でもないし、むしろ娘との二人暮らしの中、ドジの方が多い刑事が、失敗を繰り返しつつも、徐々にヴェテランになっていく過程を、泥棒との関係を通じて描いた作品で、ほんとしみじみ時代の経過を感じさせられる好作。特にどんな役でも器用にこなす役所広司が、むしろ不器用さを主体に演じ、そこに個性的な柄本明を絡めることで、不思議な空間を作り出していた。更に菅野莉央(8歳)、前田綾花(17歳)の娘との親子関係をもそこに出すことで、構成が大変面白いものになっている。
 本作の構成はで面白いのは猫田と美咲になんの接点もないと言う点。だから関川を中心に別々の話が紡がれていく事になるのだが、これが不思議と別の話にならない。関川は娘にも猫田にも、今の自分をさらけ出すので、別々のはずの関係が関川の言葉だけでリンクしていくことになる。そして10年の間に、この三者の関係も少しずつ変わっていき、その移り変わりもしっかり描けていたのが面白いところ。
 人の生き方は変わらないように見えていても、自ずと時は流れていき、関係は変わっていく。娘はこれから人生を始めていくことになるが、一方自分とネコは徐々に人生を終える用意を始めていくことになる。その過程をここではしっかり描こうとしていたし、それは確かに成功していた。
 決して本作は大作ではないし、ドラマ的な盛り上げ方も希薄に思えてしまう。しかし、逆にその淡々とした雰囲気が本作の最大の見所となってる。
古き良き邦画を、現代的に良く仕上げた作品として評価したい

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