読書日誌
2011’10〜12月

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11'12'30 アンブロークン・アロー 戦闘妖精・雪風
神林長平 (検索) <amazon> <楽天>
 FAFのロンバート大佐によるクーデターの最中、帰還した深井澪の雪風はジャム機を捕虜として引き連れていた。だがそのジャム機が基地に着陸した瞬間、世界は一変する。ジャムとして逃亡したロンバートと、それを追う澪。だが何故かロンバートは雪風に搭乗していた…

 前巻「グッド・ラック」の直後から始まる物語。前巻ラストでは澪は死んでしまうことが暗示されていたが、話は全くおかしなものになってしまった。これまで以上に会話と独白に彩られた物語で、その中で人間の認識とは何か?と言う議論が徹底してなされていく。もう何がなにやら?と言う感じだが、第一巻ラストで澪を見捨てたように見えた雪風の本当の思いなんてものも出てきて、あの意味合いが一変してしまったのが面白い。
 話はまだまだ続く。しかし一体どうなっていくやら。
<A> <楽>
11'12'26 新仮面ライダーspirits5
村枝賢一 (検索) <amazon> <楽天>
 バダンの竜と遭遇した沖一也はバダンシンドロームにかかってしまいスーパー1への変身が出来なくなってしまった。それでも尚市民を守ろうとする一也の元にX、スカイライダー、ZXが集結した。そんな戦いの中、一也は赤心少林拳を使う一団を目にするが…

 スーパー1編は結構長く続いている。かなり著者の愛着があるのかも知れないな。久々に登場した主人公の村雨だが、完全に一也に主人公食われてしまってるな。ちょっと不遇な主人公かも。
<A> <楽>
11'12'23 リーシーの物語 下
スティーヴン・キング (検索) <amazon> <楽天>
 暴力的なストーカーによって傷つけられ、亡き夫スコットの原稿を差し出すように脅迫を受けたリーシー。絶望的な状況の中、リーシーはかつてスコットが連れて行ってくれたこの世ならぬ清浄な土地“ブーヤ・ムーン”の事を思い出した。スコットの力を借りずにそこにたどり着けるかと挑戦するリーシーだったが…

 これまで著者が描いてきた「ドロレス・クレイボーン」や「ローズ・マダー」に近い、女性を主人公とした物語。様々な足跡を再びひとまとめにしたような作品でもあり。
 やや普通の物語っぽかった上巻と較べ、後半になってやはり話はファンタジックなものへと変貌した。ある意味小説家の創作の原点と言うものについて突き詰めて考えた物語とも言えるだろう。実際ブーヤ・ムーンというのは誰にでも行ける場所なのだ。ただ作家はそれを開く方法を知っているだけで。
<A> <楽>
11'12'21 リーシーの物語 上
スティーヴン・キング (検索) <amazon> <楽天>
 著名な作家の夫スコットを亡くし、2年が経ってもまだその傷が癒えない妻のリーシー。そんな彼女の元にはスコットの原稿を管理させてくれと言う連絡がいくつも入っていたのだが、その中には脅迫じみたものが入っていた。そんな時、リーシーは姉アマンダが書いていたメモの中にスコットの筆跡が混じっていることに気づく…

 まるで著者自身を思わせる夫が亡くなった時、どうなるのかということをややホラー調に描いた女性の物語。一度大怪我をした著者だからこそ描けた作品なのかも知れない。
 そう言えばこの作品の舞台となっているのはやっぱりキャッスル・ロックだった。「ニードフル・シングス」で破壊されたはずだが、いつの間に又復活したんだろう?
<A> <楽>
11'12'18 西原理恵子の人生が力対決3
西原理恵子 (検索) <amazon> <楽天>
 ゲストにプロの漫画化を招き、ライブで画力対決を行う作品の三作目。この巻は村上たかし、板垣恵介、東村アキコ、三田紀房、国友やすゆき、かざま鋭二、福本伸行、そして里中満智子と相変わらずの豪華ぶり。

 今回は印税取りはぐれた理論社の倒産という著者にとっても大きなイベント(不幸)があり、そのために相当すさんだ話になってるのだが、これも又著者の芸風か。完全に嫌われキャラとして定着させようとしてるみたい。
<A> <楽>
11'12'17 ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 上
スティーグ・ラーソン (検索) <amazon> <楽天>
 父であるザラチェンコ殺害に失敗し、自分自身も重傷を負ったリスベットはミカエルによって発見され、すぐさま救急病院に運ばれた。一方これまでザラチェンコを利用してきた公安の特別組織はすぐさまザラチェンコの切り離しとリスベットの口封じを決定していた。これまでの事情から、その事を察したミカエルも、動けないリスベットに代わり行動を開始する。
 これも先に映画で観ていた話だが、映画では見事に抜け落ちていた公安組織の暗躍がかなりメインになっており、情報量が半端ない。でもこれをちゃんと映画にするのは無理だよな。
11'12'16 空を駆けるジェーン
アーシュラ・K・ル=グウィン (検索) <amazon> <楽天>
 翼の生えた黒猫ジェーンは他の空飛び猫たちと共に農家の納屋で静かな暮らしを送っていた。だが生来冒険好きなジェーンは単調な暮らしに飽き、空を飛んで街へとでかけていく。そこで彼女が出会ったのは、空飛ぶ猫に驚く人達、そしてそれで一儲けを企む者…

 空飛び猫シリーズの一冊。多分間が空いていると思うのだが、これはなんか跳ねっ返りの田舎の若者が都会生活でボロボロになりながら自分の居場所を見つけていくという、人生を語る物語のように仕上がってる。そう考えるなら黒猫というのも、やっぱりそう言う意味なんだろうな。
<A> <楽>
11'12'15 テルマエ・ロマエ2 (著)ヤマザキマリ <amazon>
 3年もローマを留守にしてしまったお陰で愛する妻から離縁されてしまったルシウス。だがハドリアヌス帝が病を得、その後継者であるケイオニウスがローマ市民のために造るテルマエ(浴場)の設計を任せられてしまう。悩むルシウスは、又しても日本の銭湯へとタイムスリップしてしまう…
 これが定期連載となったらしいが、その最初から子宝の話。いきなりで驚かされたが、日本の温泉にはこれも重要な効能か。しかしこれだけよくネタが出てくるものだな。感心するよ。
11'12'13 ナイト・ウォッチ (著)セルゲイ・ルキヤネンコ <amazon>
 遙か昔から続いてきた“異人”と呼ばれる者たちは“光”と“闇”に分かれ戦い続けてきた。互いの消耗を避けるため、やがて二つの陣営は協定を結び、互いを監視するナイト・ウォッチとデイ・ウォッチという組織を結成した。ナイト・ウォッチに属する“光”の異人アントン・ゴロジェツキイは、ある夜のパトロール中に不思議な光景を目にする。闇のものの手によるものと思しき呪いにかかった女性スヴェトラーナと、闇のものに襲われている少年イゴール。成り行きから二人を助けようとしたアントンは、これをきっかけに光と闇の巨大な争いに巻き込まれることとなる…
 映画の方は先に観ており、別段それほどの作品には思えてなかったが、原作の方は構造こそ単純ながらかなり面白い作品だった。ラノベ感覚で読めるというか、ラノベそのものといった感じ。ロシアでもこういう作品作られるようになってたんだな。
11'12'11 怪人フー・マンチュー (著)サックス・ローマー <amazon>
サックス・ローマー (検索) <amazon> <楽天>
 ロンドンに住む医師ピートリーの元を突然訪れた友人のネイランド・スミス。スミスはロンドンに危機が訪れていると告げ、夜の町へとピートリーを連れ出す。半信半疑でついてったピートリーは、その夜から身の毛もよだつような出来事に次々遭遇することとなる。その事件の中心にいるのは、謎の中国人フー・マンチュー。その陰謀に敢然と立ち向かうスミスと、二人を助ける謎の美女…
 イギリスらしく、シャーロック・ホームズタイプのバディ作品。一応は推理ものの形を取ってはいるものの、実際には冒険もの。東洋に対する偏見があまりに強いので、その辺はちょっと引くが、軽快に読める。
11'12'08 ドリフターズ1 (著)平野耕太 <amazon>
 関ヶ原の合戦で瀕死の重傷を負った島津豊久は、次の瞬間扉だらけの見知らぬ空間に飛ばされ、そこにいた男によって、中世ヨーロッパとおぼしき場所に飛ばされてしまう。そこにはなんと織田信長、那須与一がおり、二人と共にその地で行われている戦争に巻き込まれていく。
 一応一通り読んだ「HELLSING」は結局買わなかったが、新しいシリーズは買っておこうという、単純な理由で購入。
 単純に言えば、とても面白い。第1話の冒頭からとにかく物語が突っ走り、主人公も突っ走り、何が何だか分からないままただひたすら突っ走るだけの作品なのだが、描写とイッちまったようなキャラの表情が素晴らしく、一気に読み込めた。実に楽しいオタク向き作品。
11'12'06 化物語 上
西尾維新(検索) <amazon> <楽天>
 “僕”阿良々木暦は、夏休み前に怪異に出会ってしまった高校生。それを皮切りに立て続けに怪異に関わることになってしまう。戦場が原ひたぎ、八九寺まよい、神原駿河…何らかの形で動物霊に取り憑かれた三人の少女達の除霊に働かされることになってしまう。
 とにかくぽくぽく出てくる言葉のキャッチボールが心地よく、ついつい読み込んでしまうのが本作の特徴だろう。それぞれの女性に対する主人公の立ち位置がかなり変わってしまうのだが、その辺上手く作られてる。
 元々著者のことを知ったのはアニメでこの作品を観てから。でも何故か結果的に最後に読むことになってしまったシリーズ。ようやく読んだって事だな。
11'12'04 東天の獅子・天の巻 第四巻
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 講道館のみをを狙う通り魔の正体は、かつて武田惣角が沖縄での修行中に出会った唐手家島袋安徳であることが分かった。惣角と同じく大東流を学んだ保科四郎は、安徳に狙われているのが自分自身であると見抜くのだが…
 一応講道館編は本巻が最終刊。ここまで来るとほとんど治五郎は登場せず、保科四郎を中心に物語が展開している。空手家(ここでは唐手だが)と柔道家の戦いは、そのまま姿三四郎の構図になってるが、これは創作だろうな。
 ところで本作は元々前田光世を主人公にするつもりだったとあとがきに書いてあった。しかし、当の前田光世が登場するのは最後のほんの数ページというのが笑える。これが第一部であり、第二部以降で主人公にするって事か。
<A> <楽>
11'12'02
のだめカンタービレ12 (著)二ノ宮知子 <amazon>
 着々と指揮者としてのレベルを上げていく千秋。一方学校に行っても思い通りの演奏がなかなか出来ず、ややしょげ気味ののだめ。そんな二人のアパルトマンに入れ替わり立ち代り現れる人々を描く。
 この巻はやや箸休めっぽい感じで、いろんな人物が出てくる。そういえばのだめに惚れてる黒木というのが前に出てたけど、そんなのまで出てきた。漫画としてはこんな話もありだろう。楽しいし。
11'12'01 ゴースト (著)ウィリアム・バロウズ <amazon>
ウィリアム・バロウズ (検索) <amazon> <楽天>
 中世。ミッションという船長が到達した真理。それは地球を守るために聖なるメガネザルを救わねばならないというものだった。だがミッションの思いは届かず、聖なるメガネザルは植民者によって殺されてしまった。そこから始まる人類の破滅の歴史を描く。
 80年代の著者の晩年に描かれた物語で、50年代に書かれたものと比べて文は大変分かりやすくなっているが、内容は相変わらず訳の分からない物語。ただ、秩序に対する反抗と、弱気生物に対する慈愛もあり。やっぱりこの人らしいと思わされる。
11'11'29 青空に遠く酒浸り5
安永航一郎 (検索) <amazon> <楽天>
 肉体を失ってしまい、ケイソンの身体に共棲することになってしまった篠。苦労しつつも日常生活を取り戻そうとした矢先、なんと消え去ったはずの自分の肉体が現れ、篠に勝負を挑んでくる…
 最早なにがなんだか訳分からない状態になりつつある。著者がここまで複雑な物語を作るとは思いもしなかったけど、ギャグも出てこないし、らしくないと言えばらしくない。
11'11'28 ミレニアム2 火と戯れる女 下
スティーグ・ラーソン (検索) <amazon> <楽天>
 連続殺人犯はリスベットではないと確信し、調査を進めるミカエルは、様々な情報から、その背後にはザラという人物が居ることを突き止める。大変な大物であるそのザラは、リスベットの実の父であることも分かるのだが、当のリスベットは、そのザラを殺すべく、その隠れ家へと向かっていた…
 リスベットの過去に何があったのかを描く話で、前巻と比べてアクション性がかなり高まっている分読みやすく仕上がっている。しかしラストシーンがいかにも「続く」になってるのはいかがなものか?
 いずれにせよ第三部は読まねばなるまいな。
11'11'26 ミレニアム2 火と戯れる女 上
スティーグ・ラーソン (検索) <amazon> <楽天>
 あの事件から一年。逃げ回るリスベットに、ミカエルは二人の仲はもはや終わったと言うことを痛感させられていた。そんなミカエルが編集をしている“ミレニアム”では、旧共産圏から人身売買が行われていた事を嗅ぎつけ、それを記事にしようとしていた。そんな矢先、その記者が婚約者と共に殺害されてしまう。しかもその容疑者として挙げられていたのはリスベット・サランデルだった。リスベットの無罪を信じるミカエルは独自の調査を開始する。
 これも映画の方を先に観たのだが、映画の出来が悪かったことがよく分かった。何故二人が会わなくなったのかを、もっと丁寧に描くべきだったのだ。まあでも実際、一作目と較べると多少落ちるのも事実だが。
11'11'25 アオイホノオ7
島本和彦 (検索) <amazon> <楽天>
 突然SA社の編集者から電話を受けたホノオは、思わず「漫画を書いている途中です」と口走ってしまう。だがマンガに見切りを付けようとしていた矢先、当然一ページも描いてはいなかった。そんな時、庵野と赤井そして山賀は武田に連れられ、岡田斗志夫という男の元に連れて行かれていた…

 これまで痛々しい青春物語として楽しませてくれた本作だが、今巻は大きく路線転換してくれた。いや、内容的には変わらずホノオは痛々しく描かれるのだが、既に新しいタイプのマンガが頭の中にはできあがっており、後はこれを実際に紙に描くだけ。まさにこれこそが「炎の転校生」につながる訳か。それが分かってるから痛々しさが全く感じられない。
 ただ、ついにガイナックスの前身ゼネプロの中心メンバーが全員揃ったところが本作の最大の見所だろう。魔窟のような家に連れ込まれ、「俺ってすごいやろ」オーラをだだ漏れさせる岡田斗司夫と対面した面々の反応が面白い。
 徐々に私の青春時代へと時代は移っていく訳か…
11'11'24 真庭語
西尾維新(検索) <amazon> <楽天>
 後に十二頭領として虚刀流の鑢七花と戦う事になる真庭忍群。彼らが十二の頭領を抱くこととなる、その初代の忍達が真庭の郷での頭領選抜の顛末を描く、もう一つの“刀語”。ここでは「真庭蝙蝠」「真庭喰鮫」「真庭蝶々」「真庭白鷺」の四人の忍びを描く。
 真庭忍群十二頭領の初代の四人を描く作品、当たり前だが「刀語」に出てきたのとは全く違う人間ばかりが登場し(狂犬は除く)、性格も全く異なる。「刀語」で知っている分、そのギャップが楽しくもある。ただ、一本一本の尺が短いため、やや物足りなさを感じるのも確かだが。
11'11'22 修羅の門 第弐門3
川原正敏 (検索) <amazon> <楽天>
 陸奥九十九の前に現れたマスクマンの正体は毅波秀明。かつて陸奥と神武館で戦った男だった。もう一つの圓明流不破に入門し、4年の間血のにじむような努力を経てきた毅波の拳は、確かに圓明流を継承していた。その猛攻に、未だ本調子ではないという陸奥の戦いは…
 丸々一巻分使って、とりあえず落ち着くべく所に落ち着いた感じ。まあ陸奥が負けるという選択肢は無いので、これで良いか。と言ったところか。
11'11'19 スキズマトリックス (著)ブルース・スターリング <amazon>
 機会によって肉体の延命を図る貴族により地上は支配されていた。そんな<機械主義者>に対しクーデターを起こしたアベラール・リンジーとフィリップ・コンスタンティン。だがクーデターは失敗に終わり、リンジーは追放処分を受けてしまう。だがリンジーは宇宙で出会った人々を利用し、自らの権力基盤を作り上げていく。だが行く先々で、地球に残ったコンスタンティンの影が現れてくる…
 200年に及ぶ、様々な人類の派生種との交流を描くSF作品。これもサイバー・パンクの一種らしい。章が変わる毎に状況が目まぐるしく変わるのでちょっと戸惑うが、壮大な歴史を見るような気にさせられる。
 歴史を作り上げるSF。実はこう言うのって大好きだったりするが、やはり名作と誉れ高い作品だけあって、本当に面白い。まだまだ良質SFは読んでないのが多いんだろうな。
11'11'17 武打星 (著)今野敏 <amazon>
 就職活動もせず大学卒業まで空手に打ち込んでいた長岡誠は大学卒業後、何のコネもないが、カンフー映画で食っていきたいと思い立ち、香港へと向かった。しかし当然どうしたら良いか全く分からないまま、日が過ぎていた。そんな誠が公園で練習していた空手をじっと見つめる男がいた…
 香港映画に単身飛び込んでいった日本人青年のサクセスストーリー。あくまでフィクションなので話はトントン拍子に進んでいって、大変読みやすい話になっている。見所は一応武術大会と言う事になるが、やっぱりこの辺の描写は夢枕獏には劣るな(好みと言えばそれまでだが)。でも70年代の映画事情の蘊蓄がかなり楽しい。
 この映画の話にどれだけ押井守が噛んでいるのやら。
11'11'15 月光条例15
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 アラビアン・ナイトの世界でチルチルは願いキャノンの発動のため打ち出の小槌を手に入れようとしていた。それを阻止すべく、捕まっていた月光条例執行者の面々は立ち上がり、打ち出の小槌で勝手な願いを発動してしまおうと考える。だが、チルチルの魔法は強大で、少しずつ追いつめられていく執行者たち…
 なんと主人公の月光が全く出てこない巻。でもいかにも総力戦って感じでなんか終わりっぽい雰囲気になってきた。早いような気がするのだが、それでももう15巻なんだな。丸三年連載してるのか。
 そう言えば孫悟空が出てきたが、今や西遊記じゃなくてドラゴンボールをイメージしてしまうのがなんとも。
<A> <楽>
11'11'12 炎刀・銃 刀語 第十二話
西尾維新(検索) <amazon> <楽天>
 十一本の刀を蒐集し終えたその時、現れた否定姫の放った左右田右衛門左衛門が持つ十二本目の刀・銃によってとがめは射貫かれてしまう。末期のとがめにより解雇された七花は、ただ死にに行くことだけを目的に、これまで蒐集した十二本の刀全てが収められている尾張城へと向かう。
 とがめの死という衝撃的な始まりから、四季崎記紀の真の目的が明かされた最終巻。物語そのものは「これで終わり?」という至極あっさりしたものだが、とにかく終わり。
11'11'11 ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 下
スティーグ・ラーソン (検索) <amazon> <楽天>
 40年も前に失踪したハリエットの行方を追うミカエル。一人では限界を感じ、助手を雇うことにするのだが、その候補に挙がったのは、なんと過去ミカエルの身辺調査をしていたという女性リスベット・サランデルだった。決して他人に心を開かないリスベットだが、不思議とミカエルとは馬が合い、良いコンビで調査が進められていく。だがそこにはヴァンゲル・グループ全体を巻き込む意外な事実が…
 主人公二人が出会うまで結構時間がかかったが、そこからは一気と言った感じ。
 一応本作は推理小説というジャンルに入るのだろうが、それよりもっと幅広く、かなり読み応えがある作品だった。
11'11'10 大食い甲子園6 (著)土山しげる <amazon>
土山しげる (検索) <amazon> <楽天>
 盛山の指導の下、めきめきと実力を上げた桃太郎高校大食い部の面々は、地区予選を順調に勝ち進んでいった。そんな彼らの前に立ちはだかるのは、伝説の大食い師ハンター錠二率いる美作五輪学院だった…
 結構面白い作品だったのだが、いかにも打ち切りと言った感じで終わってしまった。折角の大会の見せ場のシーンなのだから、もうちょっと盛り上げてくれても良かった感じだけど、あっさり終わったな。ちょっと残念。
 「喰いしん坊」に出てきたハンター錠二以外に、名前は出てこないものの満太郎らしき人物も出てきてるのに。
11'11'08 ヒプノスの回廊 グインサーガ外伝22
栗本薫 (検索) <amazon> <楽天>
 著者が生前様々なメディアに書きためておいた、グインサーガの断片を集めた、最後の短編集。「前夜」「悪魔大祭」「クリスタル・パレス殺人事件」「アルナ通り十番地の精霊」「ヒプノスの回廊」「氷惑星の戦士」の6編を収録する。

 古いのから新しいのまで、基本的にグインサーガシリーズに関わるものを集めて収録した短編集で、本当にこれが最後のシリーズ作となる。いかにも著者らしい作品と言えなくもないが、しかし今となると、やっぱり寂しいものだな。
<A> <楽>
11'11'07 ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上
スティーグ・ラーソン (検索) <amazon> <楽天>
 ストックホルムで雑誌「ミレニアム」の発行をしているミカエル・ブルムヴィストは、経済界の大物ヴェンネルストレムに関する誤った記事を載せてしまったことで、裁判に負けてしまった。責任を取り「ミレニアム」から身を引いたミカエルの元へ、元大企業グループの会長ヘンリック・ヴァンゲルから連絡が入り、一つの依頼を申し込んできた。それは40年前に失踪した一族の女性ハリエット・ヴァンゲルを調査して欲しいというものだった…
 本国スウェーデンでは記録的なベストセラーとなった推理小説。実際読み物としては相当に面白く、つい読みふけってしまった。まだ主人公二人は出会っていないが、この微妙な関わりが本作の一番の面白さと言えるだろうな。
 ちなみにこの映画『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』は2009年のベスト映画の一本。それで読んでみたのだが、原作も又面白かった。
11'11'05 テルマエ・ロマエ1 (著)ヤマザキマリ <amazon>
 古代ローマの風呂専門設計技師ルシウスは、何故か現代日本の風呂に時空を飛んでいく能力を持つようになってしまった。風呂の設計に悩んでいるその時、彼は日本の進んだ風呂を見せつけられる。
 なんか流行りものっぽいため、最初漫画喫茶でざっと読んでみたのだが、とても面白かったもので、そのまま購入を決定。劇画調のタッチのコメディというのが妙に楽しいが、これで著者が女性なのね。
 この作品の面白さの根底にあるのは、古代ローマ(と言っても五賢帝時代なので西暦後だが)の風俗をきちんと顧慮して描写されているところだろうか。だからこそ風呂の進化というものを感じ取れるので、一々頷けるところか。
11'11'02 ゲイトウエイ2
フレデリック・ポール (検索) <amazon> <楽天>
 数年前から宇宙から特殊な電波が送られ、その電波が照射されている間、人間の精神活動が麻痺してしまうという現象が起きていた。かつてゲイトウエイから命がけでヒーチー人の船を使って富を得たロビネット・ブロードヘッドは、その理由を探るためと、そこにあるヒーチー人の食料工場探索のための会社を立ち上げ、太陽系の端にある彗星の巣に向けて調査団を派遣した。3年半の年月をかけ、4人の家族が工場へとたどり着いたが、そこで彼らが見たものは…

 もう随分前に読んだ「ゲイトウエイ」の後編。一応確かに続編にはなっているものの、話自体は随分違った感じで進むので戸惑いを覚えてしまう。オチに関しても今ひとつと言ったところ。
 既に著者の作品は3冊目になるが、何冊読んでも「合わない」という気がしてならないな。
<A> <楽>
11'10'31 毒刀・鍍 刀語 第十一話
西尾維新(検索) <amazon> <楽天>
 真庭忍軍頭領真庭鳳凰の乱心により斬られてしまった人鳥より、十一本目の刀は鳳凰が持っていることを聞き込んだとがめと七花は、真庭の郷である伊賀に急行した。そこで二人を待っていた鳳凰は、なんと自分を四季崎記紀であると名乗る…
 いよいよラス前。このラストでは衝撃の事実が発覚し、意外な展開を見せるが、これがラス前だからこそ出来る展開とも言える。
11'10'29 ゴッドバード2 (著)長谷川裕一 <amazon>
 四体のスーパーロボットが集結し、失われたムウ大陸へと向かう晶たち。そこでムウ大陸が何故滅び、そして今何故復活しようとしているのかを知らされることに。更にムウ大陸から現れたもう一体のライディーンとは…
 ヒーローの王道を行くような物語ではあるが、決してこども向きではない物語。かと言って大人向きとも言い難い、まさに著者にしか描かないような作品とは言えよう。
11'10'27 ウルトラマンと「正義」の話をしよう
神谷和宏 (検索) <amazon> <楽天>
 中学校の社会の授業で「ウルトラマン」シリーズを教材として使うというユニークな試みをしている著者が、これまで実際に用いた教材を元に、「ウルトラマン」という作品が社会に対しどのような問いかけをしているのかを考察し、一話毎に多元的に作品の紹介をした作品。
 書かれている内容は、我々が飲み会などで当たり前のように話す特撮話ではあるのだが、実際にそれを教材に用い、中学生の反応を見てきたと言うのは、やはり実感が違う。それと、著者は自分が分からない部分をはっきりと「分からない」と言っているので、変な背伸びをしてないのも好感度が高い。
 作品の内容よりも、自分自身色々と考えさせられる余地が多かったので、それが面白い作品だった。
11'10'26 誠刀・銓 刀語 第十話 
西尾維新(検索) <amazon> <楽天>
 四季崎記紀による刀探しの10本目は、なんととがめが捨てた過去。尾張幕府に反乱を起こした飛騨鷹比等の居城跡にあることが分かった。とがめの父鷹比等を殺したのは七花の父六枝という、二人にとっても因縁浅からぬ場所にいたのは、少女の姿をしているように見える仙人。彼我木輪廻だった…
 今回刀を得たのは七花ではなくとがめの方。多少変則的な話にはなっている。まあこの作品で変則でないものはほとんど無いと言っても良いのだが。
11'10'22 マンガで分かる心療内科4 (著)ゆうきゆうソウ <amazon>
ゆうきゆう (検索) <amazon> <楽天>
 どんどんキャラが増えつつ続いている心療内科マンガ。ストーカーの心理学から摂食障害、夫婦のカウンセリングなどについて。
 まあ相変わらずと言えば相変わらずのためになるんだかならないんだか分からないカウンセリングマンガ。いくつかは確かになるほどと思えるものがある。
11'10'20 眠り姫 下
ダニエル・キイス (検索) <amazon> <楽天>
 娘殺しの汚名を着せられ処刑されようとしているロジャー・クレイ。彼の精神治療に当たっていたアイリーンは、彼の記憶を探る内に彼が殺人を犯していないことを確信する。だが処刑の日時は迫っており、その事を立証する手立ても限られていた。一方ロジャーの妻キャロルに睡眠療法を行っていたコーラー医師を調べる刑事のジェイソンは、コーラーから治療を受けているエリカという女性と知り合う。コーラーを調べる二人だが…

 上巻を読んだ限りはかなり現実に即した無いようかと思ったのだが、実際は心理療法をモティーフにしたSFだった。睡眠療法や前世療法といったものを題材に取ったミステリーで、これを80年代に題材にしたのは面白い。尤も、今もここまで科学は進んでないという事実もあるが。
<A> <楽>
11'10'18 眠り姫 上
ダニエル・キイス (検索) <amazon> <楽天>
 ある夜、平和な家庭でその家の娘と、泊まりに来たボーイフレンドが殺害された。警察の捜査により、その犯人は、父親のロジャー・クレイとされた。その事を否定もせずにおとなしく捕まり、裁判を受けることとなるのだが、彼の精神治療に当たる事になった心理分析官のアイリーンは、彼の心の中に違和感を感じる。更に夢遊病患者のロジャーの妻キャロルを調べようとすると、その担当医コーラーはカルテを渡すことを頑なに拒む…

 心理描写には定評のある著者が今度挑むのは、夢遊病の心理のようだ。一応最初から娘殺しの犯人は特定されているのだが、それをどう膨らませるやら。
<A> <楽>
11'10'15 バクマン。15 (原作)大場つぐみ (画)小畑健 <amazon>
大場つぐみ (検索) <amazon> <楽天>
小畑健 (検索) <amazon> <楽天>
 七峰の挑戦を受け、同じ題材を使って作品を作ることとなった亜城木夢叶。様々な困難の中、ヒット作を作り続ける二人だが…
 今巻は、プロとなって既にヴェテランの領域にある二人が味わっている困難や、漫画描きとしてのプライドをミニストーリーで見せてくる。サクセスストーリーは終わり。これから安定したマンガ家としての物語が始まってくるようだ。
 そんな中でも相変わらず平丸を巡る物語は楽しい。
11'10'13 王刀・鋸 刀語 第九話
西尾維新(検索) <amazon> <楽天>
 九本目となる四季崎記紀の刀が出羽にあるという、真庭忍群の情報で、天堂へとやってきたとがめと七花。そこには実際に王刀・鋸があったが、それはなんと四季崎の刀が持っているはずの毒を一切出さないという木刀だった。しかもそれを守る汽口慚愧は、生真面目すぎる剣士で、丸腰の七花とは戦えないと言う。仕方なく木刀と防具を着けて試合に臨む七花だが…
 ここまで変則的な話が続いていたが、今回は本当にまっとうな対決。しかしそれが逆にもの凄い薄味になってしまったのも事実。あっさりしすぎだな。
11'10'10 刺青の男
レイ・ブラッドベリ (検索) <amazon> <楽天>
 “私”が偶然出会った全身に刺青を施している男。その刺青は男が寝ている間に動き出し、18の物語を紡いでいく。「草原」「万華鏡」「形勢逆転」「街道」「その男」「長雨」「ロケット・マン」「火の玉」「今夜限り世界が」「亡命者たち」「日付のない夜と朝」「狐と森」「訪問者」「コンクリート・ミキサー」「マリオネット株式会社」「町」「ゼロ・アワー」「ロケット」を収録する。

 短編の名手である著者らしいSFマインド溢れた短編集。著者が好んだ「火星年代記」に連なる物語も散見できる。
11'10'08 青空にとおく酒浸り4
安永航一郎 (検索) <amazon> <楽天>
 いつも通りの日常を生きるMMホルダーの小朝と篠。だが少しずつ彼女達を取り巻く状況は変化していった。何かに呼ばれるように巨大MMに近づき、取り込まれてしまう篠…
 なんか妙に話は深刻化しているのだが、状況がよく分からない。ただ、篠がどんどん悲惨な状況になっていて、それでも全くめげてない状況だけは分かる。あとギャグ性が落ちてるが、大きな物語への伏線なんだろうか?
11'10'06 難民探偵
西尾維新(検索) <amazon> <楽天>
 大学を優秀な成績で卒業したものの、就職先が全く決まらない窓居証子は、祖母の薦めで小説家の叔父窓居京樹の手伝いをすることとなった。かなり偏屈ながら他人に一切の干渉をしない京樹の元で、就活活動の傍らに働いている内に、根深陽義という人物と知り合うこととなった。ネットカフェに住んでいるという陽義だが、実は警視庁の警視という肩書きを持つ凄腕の探偵であることが分かる。そしてそんな陽義が巻き込まれてしまった殺人事件の捜査に証子までつきあわされることとなり…
 著者のデビューは一応推理ものなので、元に戻ったとも言える本格推理作品。推理作品としてはそれほど面白いと言うほどのものではないにせよ、一章の就職難民の下りは、著者の読者層にモロはまりで、喧嘩を売ってるのか?と言うレベル。就職できない人間を徹底的に精神的に追いつめる文体は実に面白かった。
11'10'04 涼宮ハルヒの驚愕(後) 涼宮ハルヒの憂鬱10 (著)谷川流 <amazon>
谷川流 (検索) <amazon> <楽天>
 “俺”キョンの中学校時代の友人佐々木と、その佐々木をハルヒの代わりに“神”にしようとする勢力が“俺”に接触を取り、その力を明け渡すようにと迫ってくる。一方では長門の病状は相変わらずで焦る“俺”とハルヒ。そしてSOS団に入部希望の渡橋ヤスらに振り回される日々が続いていた。そんな“俺”が下した決断とは…
 ちょっと形は違うが、一種の並行世界を描いた話となったが、オチの付け方が今ひとつ。世界観が上手く機能してなかったというか、ありきたりというか…もう少し違った結末を期待してたんだけどな。
11'10'03 激マン!4 (著)永井豪 <amazon>
 打ち切りが決まった「デビルマン」を、なんとか完結まで持っていこうと奮闘する激。そのために人気連載を取りやめたり、ますます忙しくなったり。その精神状態を示すかのように、「デビルマン」はますます過激さを増していった…
 劇中ではあるが、もうすぐ「デビルマン」は終了を迎えようとし、そのためいよいよクライマックスへ。今巻はほとんど半分以上「デビルマン」のシーンばかりとなってしまった。こうなると、過去にどれだけ力を入れたか。と言う事よりも、デビルマンそのものを書き直そうとしてるかのように見えてしまう。
 ところで劇中、激が携帯電話を使ってるシーンがあった。40年前の話のはずなのに。
11'10'02 天使と悪魔 下
ダン・ブラウン (検索) <amazon> <楽天>
 イルミナティの神殿の謎を一つ一つ解いていくラングトン。だが常に彼の推理は一歩及ばず、暗殺者による枢機卿の殺人を許してしまう。そんな中、前教皇の侍従カメルレンゴの指揮によりカトリック教会はこれまでにない団結を見せていた…
 なるほどこれはカトリック関係者からは相当批判されるのがよく分かった。表向きカトリック批判になっていないのだが、アンタッチャブルを俎上にしてしまったのだから。これがあんまり売れてない作品だったら見逃されていたかも知れないが、なまじ売れてしまったが間違いだな。