読書日誌

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04'03'31 ヨコハマ買い出し紀行11 (著)芦奈野ひとし <amazon>
 再見したカフェ・アルファの相変わらずの日常を過ごすアルファ。しかし、ロボットの彼女の周りは着実に時間が経過していた。
 相変わらずのほんわかした話が展開していく。その中で黒砂糖を食べて涙を流すアルファと丸子の描写が良い。涙を流すほどのツボの食べ物か。私にはそんなのあるだろうか?
 …やっぱり最高においしく淹れた紅茶を一口飲んだ瞬間だろうか?涙まで流さないけど、瞬間ぽーっとしちゃうからなあ。
ヨコハマ買い出し紀行 11 (11)
04'03'27 ジパング14 (著)かわぐちかいじ <amazon>
 「みらい」の弱点を知り、激烈な攻撃をかけるアメリカ軍に対し、後部ファランクスが使えない状態のまま戦わざるを得ない「みらい」。海鳥を駆る佐竹は単独でそれを阻止しようと試みるが…
 かなり厳しい展開となった本巻。人は戦いで死んだ人間を犬死にとは思いたがらない。だからこそ、意味を見つけたいと思うものだし、だから英霊という発想が出てくるんだな。それが人情というものなんだろうが、それを正面きって描く展開は非常に面白い。あんまり読んでないけど、いわゆる「if戦記」ではその辺が上手く描けてなかったんじゃないか?
 やっぱり重い。
 けど、面白い。
ジパング (14)
04'03'26 蹴りたい背中 (著)綿矢りさ <amazon>
 人の輪にはいることが苦手なハツは高校での仲良しグループに入ることもなく、一人教室で孤立していたが、同じクラスには誰とも交流を持たず、一人の世界に没頭しているにな川という男に興味を持つ。二年前にハツがたまたま出会ったオリチャンというモデルにとことん惚れ抜いているにら崎とハツとの奇妙な関係が始まる。
 これも第130回の芥川賞作品。
「蛇にピアス」(書籍)と同様に最年少受賞となる。二人とも二十歳とは、一体今年の芥川賞の選考はどうなってるんだ?
 同じく二十歳の女性が描いた物語とは言っても、内容は全く対照的。こちらは本当に一般的な視点から描かれている。ネタとしては高校生の作文に毛が生えたようなもんだけど、やはり純文学。自分を傷つけ、他者を傷つけていく描写は、やっぱり痛々しい。
蹴りたい背中
04'03'24 蛇にピアス
金原ひとみ (検索) <amazon> <楽天>
 身体を傷つけられることに悦びを感じる19歳のルイは、顔面にピアスと肩に龍の入れ墨、そして舌を裂くスプリットタンを施したアマと同棲を始めた。アマの紹介で入れ墨師のシバの店で、舌にピアスを入れる。その帰り道、ルイに絡んできたちんぴらを殺してしまうアマ…

 第130回芥川賞受賞作品。「蹴りたい背中」(書籍)と共に、20歳という芥川賞最年少受賞作。
 実家に戻ったら、そう言うのが好きな母が買っておいたので、興味を持ち、読んでみた(「蹴りたい背中」も置いてあった)。
 …“痛い作品”だと言うことはよーく分かった。そう言うのがあることは分かってたけど、実際にスプリットタンのやり方とかも書いてあったし。だけど、単に痛いだけの作品なんじゃないか?
 芥川賞って、こういう作品が好きだって事は分かるんだけど、文体が整ってる訳でもないし、物語にオチも無い。少なくとも、面白いとはまるで思えない。別段分からないことを恥じる気もない
<A> <楽>
04'03'23 毎日かあさん カニ母編 (著)西原理恵子 <amazon>
 毎日新聞に連載されてる著者の漫画をまとめた作品。
 新聞連載って事で、毒気は薄れたんだろうな。と思っていたんだが、実際にモノ読んでみたら、なんともいつもと変わらない作品だった。毒気だって変わってないし、それどころか、連載中に離婚までしてるというおまけもついてる。ってか、よくこんなもん新聞連載してるよってレベル。
 …いや、楽しいんだけどね。著者の作品好きだから。
 しかし、やっぱ巧いよな。毒気の中にしっとり来るものまで織り込ませるなんて。この人の天性の才能なんだろうね。演歌の世界だよ。
毎日かあさん カニ母編
04'03'22 女性情報部員ダビナ
イーヴリン・アンソニー (検索) <amazon> <楽天>
 SISの女性職員ダビナは特別任務として元KGBの重要人物でロシアから亡命者イワン=ササノフの接待を命じられる。仕事として、情報収集が主な目的だったのだが、やがて二人は情を交わすようになる。だが、ササノフの故郷ロシアでは彼の家族の上に魔手が迫っていた…

 エスピオナージュ(スパイ小説)は決して嫌いじゃないけど、あんまり読むことが少ないジャンル。多分これまでに10冊を少し超える程度だろう。
 それはなんでだろう?と考えてみたら、単純な答えが出た。そう言う長めの海外小説を読む気が起きると、大抵それまでにキングの新刊が出ているので、そっちの方に流れてしまうのだ。それで読み終えると、しばらくは他の海外物の長編が読みたくなくなる。更に海外物のSFも好きなので、優先順位が下がってしまうからだった。今回は旅行の友で、珍しくこのジャンルを手に取った。
 かつて友人からエスピオナージュはイギリスのものばかりだ。と言われていたことがあったが、これも舞台はやはりイギリス(数少ない私が読んだ作品も、見事にイギリスばかりだった)。ロシアから亡命するのにアメリカでなくイギリスを選ぶとか、ちょっと苦しいような設定もあるが、主人公が女性(しかも30代半ば)ってのは珍しいんじゃ無かろうか?情の部分とスパイの非情さの整合性があまり上手くいってないし、裏切り者は誰?ってのも、殆どすぐに分かってしまう。
 …まあ、それでも久々のジャンルだけに、結構楽しんで読めたよ。ただ、一つだけ文句を言わせてもらうと、邦題にセンスがない!
<A> <楽>
04'03'20 まろ、ん? 大掴源氏物語
芳賀正光 (検索) <amazon> <楽天>
 日本文学に燦然と輝く最高傑作、源氏物語。光源氏を主人公とした本作54帳を、栗の顔をした主人公に見立て、1帳2ページ8コマの漫画にした作品。

 「源氏物語」…私にとっては、古典の方に手を出して、すぐにあきらめ、現代語訳を読み飛ばし、何も分からなかったと言う苦い思い出に彩られた作品である。だって、人間関係が複雑で、何がなんだか分からないんだもん。いや、これは私にとっても、いつか又挑戦しなければならない作品であることは分かってる。そしてそれを一日延ばしにしてるだけってのも充分自覚してる。
 それだけ難物の物語を漫画にしてしまおうなどと、何と無謀なことを。そんなことを思って手に取ったのだが、これが又何と、見事な解説書になってる。最初の方訳の分からなかった人間関係がこれ読んで、やっと分かったとか、紫の君と葵の君の違いがはっきり分かったとか(わはははは。これじゃ「読んだ」とはとても言えないよな)、とにかく実りの大きな作品だったのは確かだ。
 これを通して分かったのが一つある。「源氏物語」というのは、実は主人公は光源氏じゃない。そうじゃなくて、彼を取り巻く女性達一人一人が主人公だったのかも知れないと言うこと。光源氏はその引き立て役に過ぎなかったのかも知れないぞ。
 う〜ん。やっぱり改めて読まねばならないだろうな。その時期なのかも。
<A> <楽>
04'03'10 熱砂の放浪者 グイン・サーガ93
栗本薫 (検索) <amazon> <楽天>
 転送装置によりパロからノスフェラスに飛ばされたグイン。彼を探しに来たグラチウスと合流したグインは、グラチウスの勧めもあり、ノスフェラスの中心、グル・ヌーの探索へと向かった。たった一人を除き、生きるものは踏み入れることが出来ないとされるグル・ヌーに足を踏み入れたグインは、そこで死んだはずの“北の賢者”ロカンドラスとまみえる。

 いよいよ後7巻で大台。既に前人未踏の道行きを一人進むシリーズと化しているが、しかしまた、全然話が進んでない。
 いや、そりゃ確かにいきなりパロからノスフェラスへ。突然な移動で展開は早いように思えるのだが、実質やってることと言ったら…
 これこそがサーガとして、正統的なストーリーとなってるのは確かとはいえ、要するに「続き」の過程でしかない。結局次巻を待つしかないって事か。
<A> <楽>
04'03'07 鉄腕バーディ4 (著)ゆうきまさみ <amazon>
 永瀬刑事に憑依したバチルスはバーディを求め、なんとつとむの高校に現れる。人質を取られ、進退窮まったつとむとバーディだったが…
 オリジナル版では随分あっさりと殺されたバチルスだったが、ここでは随分引いたな。しかも殺され方が全く違うという。
 本作の場合、その後の話にちゃんと展開してるのがミソで、実は第1巻から引いていた怪しげな宗教団体がこれからの問題となるのだろう。しかもアメリカの諜報組織まで話が展開しているし、なかなか読ませてくれるじゃないか。これからの展開がどうなるか、楽しみになってきた。
 ラストのおまけ漫画はバチルスの正体について。しかし、このネタ…
鉄腕バーディー 4 (4)
04'03'04 アポロって本当に月に行ったの?
芳賀正光 (検索) <amazon> <楽天>
 アメリカの威信を賭け、月に着陸したアポロ11号。だが、そこにはなにかおかしい部分がある。果たして本当にアポロは月に行ったのか?その疑問を提起する。
 そう言えば前にそんな事を聞いたことがあったが、アメリカ人の20%はそれを信じてないってのは笑ってしまった。でも、本当のところはどうなんだろう?
 そう言えば、ここに書かれていたが、あの着陸映像を作ったのはキューブリック監督ではないか?ともあった。だとすれば、偉大な監督にもう一つ偉業が加わったって事になるか?
 ちなみに著者エム・ハーガは訳者となってる芳賀正光の別名だとのこと。「ユダヤ人と日本人」(書籍)のイザヤ・ベンダサンみたいなもんか?
<A> <楽>
04'03'02 タイタンの妖女 (著)カート・ヴォネガットJr (訳)浅倉久志 <amazon>
 宇宙船の事故により全ての時空に存在することが可能となったラムファード。彼は地球の救済を考え、そのために自らの妻と、青年大富豪のコンスタントを用いることにした。ラムファードのお陰で、地球上の財産を全て失い、地球から火星、水星、地球、タイタンへと放浪の旅を続けることとなったコンスタントだったが…
 著者にしては珍しい丸ごとSF作品(長編だと、SF掌編を挿入するのが彼のスタイル)。それにしても人を食った内容だ。著者流の皮肉に溢れているので、読んでいてとても楽しい。すっきりしたような、しないような…結局この変な後味こそが著者の持ち味なのかも知れない。
タイタンの妖女
04'02'28 埋もれた金印
藤間生大 (検索) <amazon> <楽天>
 邪馬台国九州説を唱える著者が、その根拠を提示し、卑弥呼が受けたとされる未だ発見されること無い幻の金印の在処を考察する作品。

 なんでこんなのが私の本棚に置いてあったのか、今ひとつ疑問なのだが(笑)、買った当時はこれを面白そうだと思ったんだろうか?実際は面白いと言う作品ではなかったな。邪馬台国畿内説は東大系で、九州説は京大系だというのが分かったのが興味深かった事くらいか?
 時々はこういうのも読まないと読書バランスが取れないから。
<A> <楽>
04'02'26 黒塚
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 核戦争後の荒廃した土地で生き続ける男クロウ。不死に近い肉体を持つ彼は、自分自身が何ものなのか分かっていない。ただ記憶にあるのは一人の女性の面影のみ。千年に渡る愛と戦いの歴史を描く。
 著者独特の伝奇ものの作品。昔のギラギラしたような描写はないものの、見せ場も多く、思った以上にすっきりと終わらせてくれたのには好感を持つ。それにしてもあのオチはなんだ?『ドラキュリア』(2000)そのものじゃないか…でも、こっちの方がはるかに早いんだよな。
<A> <楽>
04'02'23 暁の歌
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 著者による短編漫画集の2巻目。「瞬撃の虚空」「空に羽が…」「ゲメル宇宙武器店」「美食王の到着」の4編を収録する。
 著者の作品って、なんか古くさいながら、非常に惹かれる。ほんとに泥臭い正義感をストレートに演出するので、ひねくれた価値観を持つからこそ、新鮮に映るのかも知れない。
 参考文献を見てみたら、私が好きな作品ばかりが出てくる…なるほどなあ。この人も精神的に色々悩んで今の作品が出来てるんだろうね。
 ただ一つ。この人、スペースオペラだけはやらない方が良いと思う。
<A> <楽>
04'02'21 餓狼伝15
板垣恵介 (検索) <amazon> <楽天>
 北辰館トーナメント1回戦も佳境へ。次々に登場する空手家のみならず、古武道、サンボ、伝統派、プロレスラー、ボクサーと、異種格闘技戦よろしく盛り上がる。

 原作の方ではここまで無茶なことをしてなかったけど、マンガ版はやっぱりこれくらいやってこそ、映えるってもんだ。「刃牙」の著者だけあって、とても人間業とは思えないような描写に酔える。しかし、このペースだと、主役を無視して北辰館トーナメントがどれだけ続く事やら…
<A> <楽>
04'02'19 からくりサーカス31
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 勝とトルネード・ラプソディ、平馬と五郎の戦いが同時に行われる。戦い終わり、コロンビーヌは勝に、「あの女を守って、アンタに何の得があるの?」と訊ねるのだった。一方仲町サーカスに寄宿している鳴海は、しろがねに、この8ヶ月の間に何があったのかを語り始めるのだった。
 今ひとつ盛り上がらないまま終わってしまった感じの巻だったが、勿論これはこれでいい。マンガに限らず、物語に一番大切なのは緩急なんだから。
 それにしても「あの女を守って、アンタに何の得があるの?」と言う問いは面白い。と言うより、殆どのアクション作品において、これだけ根本的な問いがストレートになされたことを評価すべきだろう。
 「何故おまえは戦う」…昔のアニメであったなあ。『海のトリトン』(DVD)とか『無敵超人ザンボット3』(DVD)とか…ありゃ?どっちも富野作品か。
<A> <楽>
04'02'15 橋ものがたり (著)藤沢周平 <amazon>
 江戸の橋を舞台とした、男女の仲を描く短編集。
 人情ものって昔から嫌いじゃなかったけど、なんだか最近親和性が高くなったような気がする…単に私が歳食っただけ?
 そう言えば著者の作品って、読んだのは相当久しぶりなんだよな。こんなに面白いとは全然気付いてなかったよ。こういうのばっかり読んでると多分食傷するけど、時々は入れてみよう。
04'02'12 ドリアン・グレイの画像
オスカー・ワイルド (検索) <amazon> <楽天>
 天才画家のバジルがその無垢さを愛し、その美しさを絵に込めた青年ドリアン=グレイ。だがドリアンはバジルの悪友ヘンリーとつきあうことで、どんどん悪の道へと染まっていく。しかし彼の美しさはどれほど時間が経っても、いささかも損なわれることなく、変わりに絵の方が変化していく…

 私にとって昨年のワースト映画の一本『リーグ・オブ・レジェンド 時空を超えた戦い』(2003)(DVD)だったが、唯一成果があったとすれば、本作を10何年かぶりに読み直す気持ちになれたこと。ストーリーテラーとしての著者はやっぱり凄いなあ。改めて感心。
<A> <楽>
04'02'09 白銀の聖域
マイケル・ムアコック (検索) <amazon> <楽天>
 氷に閉ざされた地球。八大都市の一つ、ブレルシルの氷上船の船長コンラッド=アルフレーンは仕事にあぶれ、自らの運試しのために単独でスキーの旅を始めた。そこで偶然助けた遭難者は最大の都市フリイスガルトの貴族ローフスンだった。彼の依頼により、フリイスガルトの氷上船を駆り、伝説の都市、ニューヨークへの旅に出ることに…

 イギリスを中心としたSFの一大ムーブメント、ニューウェーブを推進することになる著者の初期作品。
 実は私はかなりの著者のファンで、文庫となっている作品は、殆ど読んでる。特に“エターナル・チャンピオン”と呼ばれる一連のシリーズ(「エルリック」「エレコーゼ」「コルム」「ホークムーン」の各シリーズ)の設定にはとても燃えた(そういや「エルリック」は映画になるとか言う話を聞いたが、どうなったんだろう?ストームブリンガーをどうやって描くかがとても楽しみなんだが)
 ただ、著者の初期作品は今ひとつというものが多い。その中では本作はまあまあかな?少なくとも設定や、概ねの物語は好みだったし…破綻してたのも確かなんだが(笑)
 いかにも1960年代SFです。と言う看板を付けてるような作品だ。
 60年代後半から70年代初めの頃のSF小説が私は大好き。
<A> <楽>
04'02'07 ベトナム怪人紀行 (著)ゲッツ板谷 <amazon>
 前回のタイに引き続き、著者とカメラマンの鴨志田の二人が、今度はヴェトナムで食い歩き、飲み歩く旅行に出かけた。著者の言う「ほとんどためにならない紀行」の第2弾。
 ヴェトナム…知識では色々説明が出来るんだけど、私の場合は全て本で得た知識に過ぎない。生の感触というのは全然分からないものだが、ほんの少しだけ、それを感じたような気がする。これは著者が本当に基礎知識無しで(つまり全く偏見無しで)国を歩いた事が最大の理由だろう。決してためにならない作品じゃなかったよ。一度歩いてみたい町なんだよなあ。
ベトナム怪人紀行
04'02'05 若きサムライのために
三島由紀夫 (検索) <amazon> <楽天>
 著者による、若者達に向けたメッセージと、彼を中心とした対談をまとめた作品。

 本書を読んでいると、著者を通して時代というものが見えてくる。特に東大事件の渦中に飛び込んで行っての対談とか、日本の熱狂時代のただ中にいたことが分かってくる。
 著者は言うまでもなく文学者なのだが、極めて文学を突き放して考えていることが分かってくる。むしろ自分自身よりも、その後の世代に対する期待と、怒りをまっすぐにぶつけている点が、著者の独自性なのだろう。
 確かにこれは普遍的なものではないが、時代を検証するため、そして未だ自分の中に燻る爆発にあこがれる感情を沸きだたせてくれる。
<A> <楽>
04'01'31 ジパング13 (著)かわぐちかいじ <amazon>
 ロシアから濃縮プルトニウムを持ち帰った草加は陸軍に復帰した石原完爾に荷物を託し、自らは海軍に身を委ねる。一方「みらい」艦長代理の角松洋介は山本五十六海軍長官にニューギニアからの撤退作戦を依頼されるが、これは歴史では「ダンピール海峡の悲劇」と呼ばれる悲惨な失敗作戦だった。しかも、アメリカ軍は「みらい」のオーバー・テクノロジーを手に入れようと動き出していた。
 これまでコツコツと買いためていって、ようやく追いついた。日本版『ファイナル・カウントダウン』(1980)(DVD)と言うか、著者流の「紺碧の艦隊」というか。こういうIF戦記は結構読んでいて楽しい。何せ「沈黙の艦隊」の著者だ。ストーリーも一筋縄じゃなく、物語も非常に好み。
 勿論本物の歴史の戦後を生きている私だが、その当時の人々の考え方って、作り物とは言え、唸らせる部分を持っている。本巻の草加の言葉「国家としての自立と自由を失った「彼らの」日本を憎む」とは重い言葉だ。
ジパング (13)
04'01'30 死人の鏡 (著)アガサ・クリスティ (訳)小倉多加志 <amazon>
 名探偵エルキュール=ポワロが手がけた事件を描く短編集。「厩舎街の殺人」「謎の盗難事件」「死人の鏡」「砂にかかれた三角形」の四編を収録する。
 著者の作品は長編も良いけど、よりミステリーに重点が置かれている短編が面白い。犯人は大体想像が付く場合が多いのだが、トリックが解けない。これが私の限界って所か?
死人の鏡
04'01'26 消えた女官 グイン・サーガ外伝18
栗本薫 (検索) <amazon> <楽天>
 ナリス15歳。若くしてマルガの離宮で既に蟄居同然の生活を強いられていたが、彼はこれを雌伏期間として捉えていた。毎日が何事もないように思えるマルガで、女官が次々と消えるという怪事件が起きる。侍女のラウラからその話を聞いたナリスはその解決に乗り出すのだが…

 そもそも著者は本格推理で小説デビューを果たしているので、推理小説はその本領発揮とも言えるのだが、どうも私は著者の推理ものって好きになれない。こればかりは相性ってものなんだろうけど、これもやはり私には合わなかった。著者の作品の多くは好きなんだけど、不思議なものだ。
<A> <楽>
04'01'23 サン・ドッグ Four Past Midnight4
スティーヴン・キング(検索) <amazon> <楽天>
 15歳の誕生日にケヴィンは念願のポラロイドカメラをプレゼントとしてもらった。喜んだケヴィンは早速撮影してみるが、現像されて出てきた写真には、どれも彼の全く知らない犬ばかりが映っていた。しかも写真を撮るごとにその犬は近づいてくる…

 Four Past Midnightの最終話。これは純然たるホラー小説としてしあがったなかなかの力作。「ニードフル・シングス」で崩壊するキャッスルロックが舞台(ここは「スタンド・バイ・ミー」「ダーク・ハーフ」の舞台でもある…アメリカの映画スタジオでキャッスルロックというのはこれが元)。それを知って読むとなかなか楽しいものがある。
 ただ、恐怖と共に犬が近づいてくると言うのは確かラヴクラフトの作品(「妖犬」だったか?。後のクトゥルー神話においては“ティンダロスの猟犬”とされている)であったが、なんか構造的にはよく似ている。著者はラヴクラフトの大ファンのはずだから、元ネタは知っていたはずだし…パクりと言っちゃいけないだろうけど、確信犯だろう(笑)
Four Past Midnight〈2〉
04'01'20 図書館警察 Four Past Midnight3
スティーヴン・キング(検索) <amazon> <楽天>
 ジャンクションシティの不動産バイヤー、サムは友人から突然ロータリー・クラブの講演をたのまれてしまった。断り切れずにそれを引き受けたサムは、久しく行ってなかった図書館に足を踏み入れた。図書館司書のアーデリアという女性から推薦を受けた本を借り、それを用いて講演は大成功を治めたのだが、借りた本を紛失してしまう。そしてその夜、彼の前に現れたのは、図書館警察。それは彼の子供の頃の恐怖そのものの形を取って現れた…

 本作Four Past Midnightは中編集で、4作の中編を収録するが、これが一番面白かった…と言うより、怖かった。
 私の故郷の田舎には図書館というのは無かったのだが、公民館に図書室というのがあった。公民館だけに、殆どそこには職員などおらず、好き放題に本を借りたもので、ジュブナイルや探偵小説、冒険小説など、子供が読める本はことごとく借りたものだ(私がホラー小説が好きになったのは、ここで江戸川乱歩や横溝正史に出会ったから…しかし、小学生で読む内容じゃなかったよな)。
 しかし、職員がいないと言うことは、黙って借りたとしても、誰もとがめる人がいないってことでもある…私の実家には、借りっぱなしになってる本が10冊ほど…(笑)
 本作は主人公サムの子供の頃のトラウマについて述べられているが、その意味では、これは私自身のトラウマでもあった。ホラー小説の場合、主人公と自己同化出来た時が本当に怖さを感じる訳で、マジで怖い思いをした。
 …念のため、私は未だ図書館警察とは出会ってません(書いておかないと、いらん誤解を受ける可能性があるから(笑))
Four Past Midnight〈2〉
04'01'15 秘密の窓、秘密の庭 Four Past Midnight2 (著)スティーヴン・キング (訳)小尾芙佐 <amazon>
 妻と離別し、一人別荘に閉じこもった作家モートの所に一人の男が訪ねてきた。ジョン=シューターと名乗るその男はモートに自作の原稿を突きつけ、かつてモートの描いた作品が自分の盗作であると決めつける。その嘘を暴くべく、活動を始めるモートだが…
 前作
「ランゴリアーズ」が自身の中編「霧」によく似た作品だったのに対し、本作はアナザー・「○ー○・○ー○」と言える作品(オチをばらしてしまうので、敢えて伏せ字で)。完成度で言えばやっぱりオリジナルの方が良かったけど、こっちはよりソリッドにテーマが絞り込まれているので、これはこれで楽しめたな。ただ、途中でオチ部分が分かってしまう描写はいかがなものか…
 うう、書きたいことはあるんだけど、
何か書くとオチが分かってしまうから書けない…(笑)
FOUR PAST MIDNIGHT〈1〉
04'01'11 ランゴリアーズ Four Past Midnight1 (著)スティーヴン・キング (訳)小尾芙佐 <amazon>
 旅客用ジェット機のパイロット、ブライアンは別れた妻の急死の報を受け取り、フライト先のロサンジェルスから急遽、乗客としてボストンに向かうことになった。フライト中疲れのために熟睡した彼が目覚めた時、異変を知ることになる。乗客の大部分とパイロットが機内から忽然と姿を消していたのだ。彼らは一体どこに行けば良いのか…
 長い間積ん読になっていた作品だが、偶然発掘して読んでみた。有名な
「Different Season」(「スタンド・バイ・ミー」「塀の中のリタ・ヘイワース」と、映画化された名作)と同じく、4編の中編からなる作品だが、「中編」と言っても、そのボリュームは日本における長編小説を凌ぐページ数を持つ。それでどうせだから一本ずつ書いていくことにする。
 緒で著者自身が書いていたけど、雰囲気は初期中編の
「霧」によく似た内容の作品。あの作品はとても好きなんだけど、本作をあれと較べてしまうと、ちょっと肩すかしにあった気分。「霧」は最後の最後まで理由も解決が無く、非常に虚しい終わり方をしているのが好きだったのだが、本作は乱暴ながらちゃんと理由が付けられてるし、ラストもすっきりしすぎて。
 前半は無茶苦茶楽しかった分、ちょっと私の中では不完全燃焼っぽい。
 どうでも良いことかも知れないけど、これって
『ウルトラQ』「206便消滅す」に物語が酷似してるような…
FOUR PAST MIDNIGHT〈1〉
04'01'05 グミ・チョコレート・パイン パイン編
大槻ケンヂ (検索) <amazon> <楽天>
 女優デビューを果たし、男と寝る毎にその才能を開花させていく美甘子。その生活がスクープされてしまい、初恋の人がそんな事をしていると知ってしまった大橋賢三は、何もかも捨てて引きこもり状態になってしまう。完全に自分の殻に閉じこもってしまった賢三を山之上のジーさんが拳をもって鍛え直す。そして、見事復帰を果たしてたった一言、美甘子に想いを伝えるため、賢三は走る!

 てっきり未完で終わるとばかり思っていたのだが、満を持して、青春一代巨編として堂々の完結を果たした。著者の才能は恐ろしいほどで、読んでる内に自分自身の暗い青春時代を思い起こしてしまい、読むのがどんどん辛くなっていく(世代としても著者とかぶってるし)。しかし、本作の凄さは何と言っても、出てくる映画の数々。映画好きの中でもジャンル映画好き若しくはアメリカン・ニューシネマ好きには、もうたまらん作品となってる。そのネタが出てくるたびに何度笑い転げて悶絶したことか。何度でも言いたいが、ジャンル映画好きなら、絶対本作は読んでみるべきだ(それと、絶対人気のないところで読むべき)。確実に笑えることは請け合う。
 …と言っても、ジャンル映画好きってどのくらいいるのか分からないから、ちょっとテスト。『溶解人間』を観て、「これは俺だ!」と叫ぶ人間を笑えるか?
 笑えるか、もしくはズキッと来たら、絶対に読め!
 …出てくる映画殆どを知ってる人間ってのも相当に駄目な奴だってことは、私が請け合う(笑)
<A> <楽>
04'01'02 ターン 三番目に好き
氷室冴子 (検索) <amazon> <楽天>
 母校の短大の職員として勤める田中鞠子。母の薦めでお見合いをし、そこで出会った渡辺と好感触を得る。だがそんな時に、かつて彼女が大学時代につきあっていて、友達のカノと結婚してしまった幹彦が離婚したというニュースが飛び込んでくる…

 このパターンの物語は極端に軽くするか、逆に無茶苦茶ドロドロにするのがパターンだけど、著者のことだから、当然本作は前者。さらりと描いている割にしっかり読ませるのも著者らしい部分だ。まあ、多少(?)身につまされる部分もあったが(笑)
<A> <楽>