読書日誌2005'01-03

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05'03'26 屍鬼 三
小野不由美 (検索) <amazon> <楽天>
 次々に姿を消す外場の住民達。だが死んだはずの住民達が何故か目撃されるという事件も続発していた。原因究明を図る敏夫と静信の他に、独自に謎の究明に乗り出した夏野は、時同じくしてほぼ同じ結論に達する…死者が生き返っているのだ!だが、そんな夏野にも屍鬼の手が伸びる…

 1、2巻は日常描写ばかりで、はっきり言って面白いとは思えなかったのだが、数年ぶりに続きを読んでみたら、無茶苦茶面白くなって来た。と、言うかこの作品が様々なメディアに与えた影響というのが分かったのが大きい。押井守氏が描いた「獣たちの夜」で書かれていた吸血鬼の説明と思い切りかぶってるし(ちなみにこちらの方が早い)、なによりタイトルの屍鬼とは、“シキ”なのね(意味不明?)。色々な意味で設定とかがパクられてるんだな。メディアへの影響は馬鹿にならない。さて、じゃ次も楽しませてもらおうか。
<A> <楽>
05'03'25 屍鬼 二
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 外場に徐々に忍び寄る死の影。原因不明の疫病により次々と死者が出るのみならず、謎の引っ越しも相次いでいた。死を食い止めようと必死の敏夫、次々に行われる葬儀に追われる静信は、その目の回るような忙しさの中で原因究明に奔走する。そんな静信の前に現れる少女がいた…

 日常が徐々に浸食されていく過程が描かれる話だが、本当にこれは徐々に徐々に話は進んでいき、物語自体はほとんど進んでないのでは?と思えてしまうこともしばしば。日常描写部分が多すぎる上に、大変長い作品なので、読んでいて疲れてしまった…しかし、このタメこそがこの後の展開の伏線になってるんだけど。
<A> <楽>
05'03'24 屍鬼 一
小野不由美 (検索) <amazon> <楽天>
 未だに土葬の習慣の残る、森に囲まれた外場村。外界から隔絶したこの村に、一軒の家族が引っ越してきた。その時以降、この村に徐々に死が迫って来た。この現状を目前に、兼業小説家の住職静信と、村一軒の医者敏夫は何らかの解決を探していくが…

 実は随分前に1〜2巻は読んでいたのだが、日常描写部分ばかりで今ひとつと言う印象でしかなかった。それで何年か経過して、ついこの前3巻目を読んだ途端、評価がまるで変わってしまった。それで振り返って1巻からレビューし直してみよう。
 一巻目の本作は、とにかく全編が日常描写のみで展開する。ここまで徹底的に、長々と日常描写だけやる作家なんて日本には滅多にいない。類型を求めるなら、やっぱり海外。結局キングくらいだろう…と思ったら、本作の副題って「To 'Salem's Lot」(邦題「呪われた町」上)…なるほど。キングへのオマージュかたっぷり含まれてるってことね。
<A> <楽>
05'03'18 はじめの一歩72
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 ジュニア・ライト級日本タイトル・マッチで、かつて一歩と死闘を繰り広げた間柴と沢村との対決が始まった。試合と言うよりは殺し合いのような陰惨なイメージの中、フリッカーの間柴とバレットの沢村。その勝負は…

 一歩を離れたところで話が展開するのはいつものこと。このお陰で70巻も超えてしまう訳なんだが、しかしそれぞれでちゃんと見せ場を作って盛り上げられるのが著者の凄いところか?試合そのものは始まったばかり。この展開からすると、勝負はなんか見えた感じがするけど、そこに至る過程を楽しむことにしたい。
<A> <楽>
05'03'17 猫を背負って町を出ろ!
大槻ケンヂ (検索) <amazon> <楽天>
 著者が若者に贈るエッセイ集。

 若者向けに書かれた作品だけに、まるで教え諭すような文体で書かれているのが特徴だが、それはそれで充分笑える。著者の頭の構造というのにシンクロにティを感じているからかなあ?頭の構造がどこか常人と異なると言うか、どこか、思いもしない変なところを拡大して語っているのが面白いのか?いずれにせよ、著者のエッセイは妙に笑えるから好きだ。
<A> <楽>
05'03'14 彼氏彼女の事情20
津田雅美 (検索) <amazon> <楽天>
 怜司の帰国の本当の目的は、彼と息子の総一郎を苦しみのどん底に叩き落とした総一郎の母親を殺害するためだった。しかし、怜司も総一郎も、実はもう母についてのこだわりは心にはないことを互いに確認する。そしてついに自分の生き方を発見した総一郎に、雪野は衝撃の事実を告白する。

 なるほどこういう展開か。ずいぶんと引っ張って、結局は大団円に持って行くわけだな。これはこれで決して間違ってはいないけど、幸せの演出がやや冗長になってしまって、ちょっと今ひとつと言うところか?精神の危機を描かせたら著者は凄まじい実力を発揮するけど、逆に幸せというのを描くのはそんなに巧くはないな。
 ところで、読んでいて一つ変なこと分かってしまった。
 ここに出てくる雪野の父ちゃん、ここでいきなりおじいちゃんとなると言うことにショックを受けるわけだが、よく考えてみると、この人、私とあんまり年が変わらないんじゃ…確か30代だろ?それで孫かよ!
<A> <楽>
05'03'11 トンデモ一行知識の世界
唐沢俊一 (検索) <amazon> <楽天>
 雑学の大家である著者が、パソコン通信時代に会議室で募集した雑学を「一行知識」としてまとめて著者なりの解説を加えて描いた一行知識の世界。
 雑学を集めると言うのなら、私も実は趣味で、長年本当に色々なくだらない知識を集めてる。大学時代から始め、既に10数年。元々ノートに書き込んでいった雑学も、今や大半は自分のパソコンのデータベースの中に収まっている。これはそもそも、適当に目に付く知識を取り込んでいったら、多分自分自身の指向性というものが系統づけられていくだろうと思っていたからだった。
 それでどうなったか。半分は成功。半分は失敗。確かに指向性というものはかなりはっきりした。しかし同時にその指向性があまりにも多岐にわたりすぎた。我ながら大変中途半端な聞きかじりの知識ばかりになってしまっている(映画のレビューで妙に蘊蓄のたくさん入ったものがあるけど、それは全部このお陰)。
 それで本作を読んで、目から鱗が落ちた。そうか。雑学というのは、実は何か方向性を持たせるためではなく、雑学を集めることそのものが目的なんだ。そう割り切っていれば良かったんだな。
 これからもどんどん雑学を集めていくことになるだろうが、それを趣味としていこう。うん。それでいい。
<A> <楽>
05'03'10 鉄腕バーディー8
ゆうきまさみ (検索) <amazon> <楽天>
 バーディーに助けられた千明は変質していく自分の身体に怖れて周囲を拒絶していくが、謎の組織は彼を放ってはおかなかった。新興宗教や宇宙人、そして人体実験を行う組織…錯綜した事件の中、個人の権限の中で捜査を行うバーディーと、千明を助けたい一心のつとむは…

 かつて月刊サンデーで連載されていた話は全て消化し、新しい展開となっているが、とにかく物語は錯綜。かつてのエンカウント→戦い。と言う単純構図ではなくなり、バーディー自身が何をしたらいいのか分からない状態だから。
 これを著者の成長と捉えるか、単にストーリーを消化しきれず、訳が分からないだけなのか、答えはもう少し先にある。それまでは付き合おう。
<A> <楽>
05'03'06 失踪日記
吾妻ひでお (検索) <amazon> <楽天>
 しばらく漫画界から姿を消していた著者は、本当に姿を消していた。突然の失踪から自殺未遂、路上生活、肉体労働、そしてアル中による強制入院という無茶苦茶な生活を送っていたのだ。その波瀾万丈の日々を赤裸々に(本人曰く「リアルだと描くの辛いし暗くなるから」、なるだけ明るく)描く。

 若い人(ああ、とうとうこんな事書くようになったか。俺)は信じられないかも知れないけど、かつて少年漫画で群を抜いて売れていたのは「少年チャンピオン」だった。その最盛期には手塚治虫、横山光輝というヴェテランに、古谷三敏、山上たつひこ、鴨川つばめ、水島新司、古賀新一、石井いさみと、まあ、今でも鮮明に思い出せる見事なラインナップだった。その中で妙に気に入ったのが著者の作品だったわけだが(今では当たり前だが、古いアニメとかのパクリをポンポン使うのはこの人が最初だったと思う)、この10年来全然音沙汰を聞いてなかった。
 それが実は…と言う奴。確かに内容は結構明るめに書かれているものの、やってることがあまりにも凄い。本当にこれやってたの?特にホームレス状態の巡回探食シーンなんかはリアリティに溢れすぎ。なんか、タッチは妙に明るいくせにぞぞっとくるよ。
 でも敢えて一言。復帰おめでとう!
<A> <楽>
05'03'05 24人のビリー・ミリガン 下
ダニエル・キイス (検索) <amazon> <楽天>
 分裂したままのビリーは周り中を混乱に陥れながらも生きていたが、ようやく正式に多重人格と診断され、刑務所から精神病院へと入れられることに。無理解な人間達から中傷されつつも、少しずつ人格も統合されていくのだが…

 結局この作品ではオチは付けられないまま終わってしまった。この話ではビリーは多重人格のままだし、かえって病状は悪くなってるかのようにも見えてしまう。一体これからどのように人格が統合され、一人のビリーになっていくのか、これからが本番だということだ。そちらの方も早急に読んでおきたいところ。
<A> <楽>
05'03'01 るくるく4
あさりよしとお (検索) <amazon> <楽天>
 悪魔と同居して時が経ち、六文も日常に悪魔のいる生活に慣れていった。そんな六文とるくの同居生活を淡々と描く。
 一巻丸ごとほとんど何の展開もないまま終わってしまった感じ。笑えるところも結構あるけど、やっぱりちょっとパワーは落ちてる感じ。天使のルミエルがだんだん壊れていくのがなんだか痛々しいのと、妙なエクソシストが出てくることくらいかな?
 デビュー時からのファンだったからこそ、著者特有の毒気が抜け、むしろ痛々しい描写が増えてしまったことが悲しい。そうそう。表紙はこれまでで一番良かったね。
<A> <楽>
05'02'27 仮面ライダーspirits7
村枝賢一 (検索) <amazon> <楽天>
 ついにバダンの地上侵攻が始まった。日本各地に現れるバダンピラミッドと、これまでの数々の悪の軍団からなる再生怪人軍団達。バダンに捕まった神敬介を救うべく、基地に潜入するライダー達と、宿敵タイガーロイドと戦うゼクロスの戦いを描く。

 著者のマニアックな描写に相変わらず熱くなる作品。特に後半の再生怪人の群れは「おお!」ってな感じ。百目タイタンは出るわ、シルエットだけとはいえ、あのアポロガイストまで出てきてる。そして最後はライダー1号とゼクロスの共闘による偽ライダーとの戦い。熱い。熱いぞ。…ん?そう言えばジェネラルシャドウだけ出てないけど?…うわあ。なんとマニアックなレビューしてるんだ?この私も。
 そうそう。最後に人気怪人の投票結果が出てるけど、一位は堂々の死神博士。仮面ライダーと言うより、天本英世という人物に投票が集まったんじゃなかろうか?
<A> <楽>
05'02'22 24人のビリー・ミリガン 上
ダニエル・キイス (検索) <amazon> <楽天>
 オハイオ州コロンバスでレイプ犯として一人の男が捕まった。だが彼は事件のことを全く覚えていない。実は彼こそがこの後、全米を騒がせることとなる多重人格の第一号として認められる事となる人物、ビリー・ミリガンだったのだ。実話を元に描かれる一人の男の数奇な運命を描く作品。

 実話と銘打っているが、描いているのが小説家だけに、半分は創作が入ってるみたい。それを差し引いても大変面白い作品だった。アルジャーノンに花束をで「一発屋」の異名を取った作者が再びブレイクした作品となり、この経験が元で新たなる小説五番目のサリーが描けたんだろうね。色々な意味で記念的な作品となった。
<A> <楽>
05'02'20 からくりサーカス36
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 かつて鳴海が訪れたアメリカのイリノイ州にあるレイ研究所でゾナハ病を撃退する機械が完成したという。しかし、今や世界中でゾナハ病が蔓延し、その研究施設も機械人形達に襲われていた。ギイやミンシアと合流した鳴海は、一路研究所に向かう。
 これまでの設定と緊張感がかみ合った話から、全編単純なアクション作品へと方向転換したお話。久々に鳴海が大暴れするのだが、話が今ひとつ単純すぎる感じがして、出来としては今ひとつと言ったところか。尤も、著者の場合、こういう話の中にもしっかり伏線が張られていたりするので、後になって意味が出てくるのかも知れないけど。
 それと、どういう訳か、自動人形たちのデザインがどうにも今ひとつのものばかりというのもなあ。
<A> <楽>
05'02'18 ルードの恩讐 グインサーガ99
栗本薫 (検索) <amazon> <楽天>
 記憶を失ったまま、イシュトヴァーン率いるゴーラ軍の手に落ちたグイン。イシュトヴァーンとの会話の端々から自らの記憶を紡いでいく。だが、あまりのイシュトの気紛れと、同じく捕らえられたモンゴールのハラスの拷問を見かね、ついに脱走を敢行するが…

 これでいよいよ99巻。おおよそ信じられないほどの巻数が進んでいる訳だが、この展開内容からすると、次の100巻が単なる通過点になってしまうのではないか?物語そのものが実は全然進捗してないという恐ろしい事実。一体これからどうなるやら。
<A> <楽>
05'02'14 トニオ・クレエゲル
トーマス・マン (検索) <amazon> <楽天>
 名家の生まれながら、美について鋭敏すぎる感性を持ってしまったため不幸な青春時代を送るトニオ。ついに家を出て放浪の末、作家として成功を収めるが、彼の孤独な魂を本当に癒してくれるものは現れず…
 自意識過剰と叙情性に溢れる作品ではあるが、文学者の強さと弱さをこれだけ見事に描いて見せた作品もなかなか無いのではないか?少なくともこれを読んで共感を持つ人間も結構多そうだ。ちょっとだけ私も(笑)
 でもなあ、こんな思いをするんだったら、文学者になんかはならない方が良いか(笑)
<A> <楽>
05'02'10 がばいばあちゃんの笑顔で生きんしゃい!
島田洋七 (検索) <amazon> <楽天>
 漫才師島田洋七の、子供の頃一緒だったがばい(凄い)ばあちゃんの思い出と、彼女からもらったものを著者の思い入れたっぷりに描くエッセイ集。
 たまたま知り合いが貸してくれた作品で、読みやすいため、あっという間に読み切れた。これが第2週のエッセイなのだそうだが、なかなか面白い。言ってることは大変当たり前のことだが、その当たり前のことが出来なくなったのが現代というものなのだろう。などとは思わせられる。身体動かさなきゃね。島田洋七ってのは、今はこういう活動してるんだ。
<A> <楽>
05'02'08 新・魔獣狩り9 狂龍編 サイコダイバー21
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 東京では寿海を拉致した白井完が飛狗を作る実験を続けていた。寿海を救うべく動く毒島、美空、九門、ひるこの四人と飛狗の夜血。一方東北で魔人となった空海と接触した文成…空海が秘したという蓬莱の黄金の謎とは…
 東京と東北で話が展開する話となるが、前の巻は一体いつだったやら?読み始めるまで全くストーリーを忘れていたのだが、読み始めるとすぐに物語が思い出せてくるのが面白い。う〜む。自分の記憶力はやはり相当に偏向していることを思い至ってしまった。あとがきで著者は「あと3巻」とか言っていたけど、まあ、まともに考えてみるとこれだけ話が展開しておいて、3巻じゃ先ず無理だろ?ま、いつも通りだが。
<A> <楽>
05'02'05 蜃気楼の旅人 グインサーガ98
栗本薫 (検索) <amazon> <楽天>
 記憶を失ってセムの群れの中で生活を続けていたグインは、まるで何かに押し出されるように、一人中原に向けて旅立った。途中合流した灰色オオカミの王ウーラと大鴉のザザを友に、ケス河へと向かったグイン達一行が、そこで見たものは…

 前人未踏のシリーズは続き、いよいよ98巻。話は全然進んでないのだが(笑)、やはりここから100巻に至るまでは本来の主人公であるグインが主体となっていくようだ。しかしこれって、どう見ても100巻で終わるようには思えないな。最後まで付き合うつもりでいるけどね。
<A> <楽>
05'02'03 緋文字
ナサニエル・ホーソーン (検索) <amazon> <楽天>
 17世紀ボストン。死刑台の前に一人の女性が立たされた。胸に「姦通」を示す赤い「A」の文字を付け、その手には、その結果として生まれた赤ん坊を抱いて…厳格なピューリタンの町に起こった事件を通し、罪とは何かを考察した作品。

 考えてみるとホーソンの作品を読んだのはこれが初めてとなる。内容は極めて重く、読むのも時間がかかったが、ほんとにどしっとした良作を読んだ気分。再読して良い言葉を拾い出してみると、ざくざく出てくるし…そのうち映画の方も観てみようと思ってる。
<A> <楽>
05'02'02 つづくオン・マイ・オウン フルメタル・パニック15
賀東招二 (検索) <amazon> <楽天>
 これまでの作戦を次々にミスリルに阻止されたアマルガムは、ついに最大の攻撃を加えた。本部は落ち、トゥアハー・デ・ダナンの寄港中のメリダ島も巨大AS“ベヘモス”3機による攻撃を受けてしまう。同時にアマルガムは東京の千島かなめの奪還作戦も敢行する。今までの日常が崩壊する中、宗助は一人、学園へと向かう。

 全てを失う中、たった一人で絶望的な戦いに身を投じる。ヒーローものにはデフォとも言える物語。とはいえ、やっぱり燃えるなあ。しかもこれまで14巻、6年もかけて築き上げてきたものを全て破壊していくってのは、書いてる側としては、一種もの凄い快感だろうな。昔、半年かけてコツコツと作ってきたプラモデルに爆竹仕掛けて、それを写真に撮ったことあったけど、それに似た快感を読んでる側も感じるよ。
<A> <楽>
05'01'30 音程は哀しく、射程は遠く フルメタル・パニック14 サイド・アームズ
賀東招二 (検索) <amazon> <楽天>
 フルメタル・パニック!の脇を固めるキャラクタをそれぞれ主人公にして描かれるフルメタル・パニック外伝。クルツの初恋の相手との邂逅を描く「音程は哀しく、射程は遠く」、整備班のブルーザーの苦労を描く「エド・サックス中尉のきわめて専門的な戦い」、テッサ学園編の続編「女神の来日(温泉編)」、アームスレイブ初心者のヤンがASを動かすまでを描く「よいこのじかん」、そしてウルズチームのチームワーク(?)を描く「ある作戦直前の一幕」の5編を収録する。

 多分これは著者本人が一番楽しんで書いたんだろうな。と思わせる一作。特に「よいこのじかん」なんてのは単にASが起動して銃を撃つまでの訓練を淡々と描いていて、読むより書く方が楽しそう。と思いつつニヤニヤ笑いながら読めた。学園編の出張版とも言える「女神の来日」は爆笑もの。対してこれは著者が相当に自分を抑えつつ、それでも爆発的に書いたんだろうと思わせられる。
<A> <楽>
05'01'28 安心できない七つ道具? フルメタル・パニック13
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 学園編になんとテッサが闖入するシリーズ第7作。陣代高校に視察が入る「穴だらけのコンシール」、宗助達の合コンの顛末を描く「身勝手なブルース」、生徒会長林水のお宅訪問「ミイラとりのドランカー」、不良グループの友情物語「義理人情のアンダーカバー」、宗助と一成の鍋騒動「真夜中のレイダース」にテッサと宗助が老兵達のパワーに巻き込まれる書き下ろしの「老兵達のフーガ」の6編を収録する。

 かなり好きなコメディ路線の話だが、これまでのシリーズの中ではちょっとパワーが低かったかな?ちょっとしみじみさせすぎっぽい。ここでも大暴走の用務員さんを描く「真夜中のレイダース」はかなり笑わせてもらったけど。
<A> <楽>
05'01'27 踊るベリー・メリー・クリスマス フルメタル・パニック!12
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 ハイジャックされて中止となった修学旅行の代わりに豪華客船一泊二日の遊覧旅行に招待された陣代高校の面々。ところが今度はシー・ジャック事件が起きてしまう。しかも何故か犯人達はかなめのよく知っている…

 長編はシリアス、短編はコメディという棲み分けがこれまで出来ていたけど、これは長編と中編を混ぜ合わせたような内容で、軽いながらきちんとアクション作として成り立っていて、バランスが大変良い作品だった。話自体はアーバレストが更に人間的になっていく事とかも含め、これから来るであろうキツイ話に至るまでのつなぎっぽいお話。
 個人的には一番のお気に入りであるマデューカスの実力が遺憾なく発揮されたのがかなり嬉しいところ。こんな目立たないキャラにちゃんと見せ場を作るところが心憎い。
<A> <楽>
05'01'19 あてにならない六法全書? フルメタル・パニック!11
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 宗助のライバル椿一成の登場により、ますます混迷の度合いを深める学園コメディ第六弾。宗助がガールハントを強いられる「ままならないブルー・バード」。惚れっぽい瑞樹が一成に一目惚れする「的はずれのエモーション」。陣代高校の案内文作成の顛末を描く「間違いだらけのセンテンス」。映画作りに宗助が協力する「時間切れのロマンス」。細菌兵器の恐怖を描く「五時間目のホット・スポット」。そしてテッサが休暇で陣代高校にやってくる「女神の来日」の6編に、著者の覚え書きを加えた作品。

 前巻が無茶苦茶笑えたのに対し、これはいくつかの小ネタで笑えたものの、まあこんなもんか?と言うレベル。尤も、相当マニアックなと言うかオタクっぽい笑いにいくつか笑いが出たけど。「五時間目のホット・スポット」って、モロに「うる星やつら」の「恐怖の虫歯ウォーズ」だろ?それと「爆熱・ゴッドカレーパン」なるものを買った生徒が「なぜか相良の声を思い出す」ってのは、アニメ版を観ていれば納得。「俺の右手が真っ赤に燃えるぅぅっ」ってか?
<A> <楽>
05'01'17 どうにもならない五里霧中? フルメタル・パニック!10
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 宗助とかなめのコンビが混乱を引き起こす学園コメディ編の第五弾。宗助のライバル椿一成が登場する「純で不純なグラップラー」、宗助と一成のお手伝い対決を描く「善意のトレスパス」、成り行きで弱小やくざを手助けする「仁義なきファンタジー」、小学生の喧嘩の仲裁をする「放課後のピース・キーパー」、老人に宗助が振り回される「迷子のオールド・ドッグ」。そして書き下しのテッサの奇妙な一日を描く「わりとヒマな戦隊長の一日」を収録する。

 笑える作品という意味ではこれまでで一番笑えた。七人のボン太くんが暴れ回る「仁義なきファンタジー」も大笑いしたが、圧巻は書き下しの「わりとヒマな戦隊長の一日」で大爆笑してた。
<A> <楽>
05'01'16 格闘探偵団3
小林まこと (検索) <amazon> <楽天>
 謎の女性誘拐団ブラック・マンバの謎を探す東三四郎。しかし、謎の女は三四郎の妻志乃を次なる標的としていたのだった。

 久々に三五十五が登場するが、これはただ出てただけ。結構悲惨な四年間を送っていたんだ。物語は軽快に進み、しっかり格闘シーンまで描いてる。
 100億円あったら何をするか?
 発給でこき使われてる身としては、とても考えが付かないな。
<A> <楽>
05'01'15 終わるデイ・バイ・デイ(下) フルメタル・パニック!9
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 かなめの護衛任務から外され、精神状態が一定しない宗助。香港に現れたヴェノムの調査に駆り出されるも、これまでにないミスを連発し、ついには任務を放棄してしまう。どこにも行きようのない感情をもてあました宗助は戒厳令下の香港を彷徨うが、そんな彼の前に現れたのは…

 これまであくまで戦闘用機械でしかなかったアーバレストが明確な意志を持つことが分かった。それは設定の広がりと見ることができるものの、肝心のストーリーがあまりにもベタな上にご都合主義に陥ってしまったのが残念。前半で期待させた分、もっと意外性が欲しかったのだが…
<A> <楽>
05'01'14 終わるデイ・バイ・デイ(上) フルメタル・パニック!8
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 ミスリルの所有するラムダドライブを搭載したたった一台のAS“アーバレスト”唯一の操縦者として認定されてしまった宗助は、その任務の重要さ故にミスリル上層部の決定で千島かなめ護衛の任務から外されることになってしまった。命令のため東京を離れる宗助だが、自分でも訳の分からない鬱憤がたまっていく。そしてそれに合わせるかのように、彼の搭乗するアーバレストも、どうしてもラムダドライブが発動できなくなってしまった。一方東京に残されたかなめは、今の自分に出来ることを考えていく。

 物語が大きく動き出した感のある作品。ここまでの長編3作の内前の2作が世界観の広がりで止まっていたのに対し、これは確実にストーリーを進ませるために作り出した作品だ。かなめの行動力が増しているのも特徴か。
<A> <楽>
05'01'13 トライガン・マキシマム11
内藤泰弘 (検索) <amazon> <楽天>
 いよいよナイヴスとの決戦に挑もうとするバッシュ。だが、その前にレガートとエレンディラが立ちふさがる。人類の最終防衛地であるオクトバーンを舞台に最後の戦いが始まろうとしている。
 2巻同時刊行の2冊目。これまで身動きの出来なかったレガートが復活したり、リヴィオが仲間となってエレンディラと戦ったりと、色々見所はあるものの、やがて来るべき最終決戦の覚悟を決める回と言った感が強い。これでほぼ連載に追いついているのだが、果たして次で終わるか?
<A> <楽>
05'01'11 トライガン・マキシマム10
内藤泰弘 (検索) <amazon> <楽天>
 ついに本性を現したラズロ・ザ・トライパニッシャー・オブ・デスとウルフウッドの死闘が続く。その果てに彼らが見たものは…
 2巻同時に刊行という特殊な発売の仕方をした内の最初の一巻。ついにウルフウッド、逝く。ほとんど不死者同士の死闘はスピード感に溢れているけど、その分、よくよく読まないとどう動いてるのか分からない。漫画での限界かな?
 「笑っていろ」か。丁度それについてちょっと悩んでるんだよなあ。
<A> <楽>
05'01'10 同情できない四面楚歌? フルメタル・パニック!7
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 学園どたばた編の4巻目。絶滅危惧種の貝をめぐる騒動「磯の香りのクック・ロビン」、生徒会長林水の過去が語られる「追憶のイノセント」、学園近くに出来た風俗潜入記「おとなのスニーキング・ミッション」に、宗助、クルツ、マオのトリオの結成までを描く書き下ろし中編「エンゲージ・シックス・セブン」の4編を収録する。

 中編を中心に組み立てられた一冊で、結構雰囲気はよろしい。どたばたの中でも広がりを持たせた感じ。最後の「エンゲージ・シックス・セブン」なんかはほとんど本編の一エピソードに近い。ここでは「磯の香りのクック・ロビン」は小ネタ満載で大笑い。ダイクウマリュウキングガイ?魔球でも投げる気か?
<A> <楽>
05'01'09 THE大市民5
柳沢きみお (検索) <amazon> <楽天>
 時事ネタから生活まで様々な“男の一言”を語ってきた本作もこれで終了。終わったとは言っても、実際はいつ終わっても良いし、続いても良いって感じの作品だったけど、これで一つお気に入りが無くなってしまったのがちょっと寂しいかな?巻末の「何故Sという週刊漫画誌が駄目になったのか」は、なるほど。頷ける内容だ。実際、単行本向きの漫画家と週刊誌向きの漫画家というのはちゃんと分けて考えなきゃならないし、単行本向きの漫画家を中心にしては週刊誌は駄目になるって事か。
 まあ、私はもう週刊で読む漫画は無くなってしまったけど。
<A> <楽>
05'01'08 揺れるイントゥ・ザ・ブルー フルメタル・パニック!6
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 突然南の島へ行こうと相良宗助に誘われた千鳥かなめ。戸惑いを覚えつつも期待に胸膨らませる彼女が連れて行かれたのは、なんとミスリルが保有する最強の潜水艦トゥアハー・デ・ダナン。折悪しく作戦行動に付き合わされることになってしまったかなめだったが…

 長編ではこれが3作目。マニアックさとテンポの良さ、物語の展開の巧さが丁度良くかみ合った作品で、これまでの長編では一番面白い作品になってる。ある程度潜水艦を知ってる人だとにやりと出来るところが随所に盛り込まれてるし、キャラの立て方も上手くなってる。
 毎回かなめをどうやって事件に巻き込んでいくか、それに苦労してるな。とは思うけど(笑)
<A> <楽>
05'01'06 自慢にならない三冠王? フルメタル・パニック!5
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 夜な夜な街に現れ、髪の長い女性を片端からポニー・テイルにしてしまう変質者に追いかけられたり、キューピッド役になったりと多忙な千鳥かなめと、それにつきあったり当事者になったりする相良宗助の奇妙な二人三脚の物語。「すれ違いのホスティリティ」「大迷惑のスーサイド」「押し売りのフェティッシュ」「雄弁なポートレイト」「暗闇のペイシェント」にテッサとマオの女同士の戦いを描く書き下しの「猫と仔猫のR&R」を収録する。

 終始笑わせてくれた作品だったが、本巻はこれまでのような大爆笑には至らなかった。この中では「猫と仔猫のR&R」が割と良かったけど。
<A> <楽>
05'01'02 本気になれない二死満塁 フルメタル・パニック!4
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 古めかしいヤンキーに拉致され、ラグビー部のマネージャーにされ、初恋の人とデートという、実に高校生らしい生活(?)を送る千鳥かなめ。しかしそれらことごとくに彼女を守ろうとする相良宗助が絡み、複雑な事情に…「妥協無用のホステージ」「空回りのランチタイム」「罰当たりなリーサル・ウェポン」「やりすぎのウォークライ」「一途なステイク・アウト」に南の島の訓練風景を描く書き下ろしの「キャプテン・アミーゴと黄金の日々」を収録する。

 今回もかなり笑えた。特に本作では「やりすぎのウォークライ」はモロにフルメタル・ジャケット(1987)だったのだが、物語展開が実に楽しい。キャラのギャップが楽しい一本となった。
<A> <楽>