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ウルトラマンブレーザー

ウルトラマンブレーザー事典
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書籍

 

主な登場人物
話数 タイトル コメント DVD
第1話 ファースト・ウェイブ

  監督:田口清隆
  脚本:小柳啓伍
 怪獣被害が続く地球に、巨大怪獣が現れるようになった。50メートルを超える怪獣に果敢に立ち向かう特殊部隊を率いるヒルマゲントだが、部隊は全滅に直面してしまう。部下を助けようと飛び出したゲントの腕に突然ブレーザーブレスが出現した。

 敵は宇宙甲殻怪獣バザンガ。宇宙から飛来した固い外郭を持つ怪獣で、初めて現れた50メートルを超える怪獣。
 新しいウルトラマンの第一話だが、最初から飛ばす。一切の伏線なしに現れた怪獣に対抗する特殊部隊と、街を破壊する怪獣。まるで『シン・ウルトラマン』と『ガメラIII』を一緒に見せられてる気分。
 主人公のヒルマゲントがウルトラマンになるのも、伏線なしの突然。きなり腕に変身アイテムが現れ、それに触れたら変身してしまう。本人は全く知らないまま、ウルトラマンにされてしまった存在といった感じ。そう言うヒーローとして考えられたのは、これまでの作品では「ウルトラマンジード」および「ウルトラマンR/B」と似た感じだろうか?
 主人公が部隊の隊長というのは初めてのことだが、かなり機転が利いて面倒見が良く、部下からも信用厚い人物として演出されていた。短い時間でよくここまでキャラを立たせた。
 怪獣の迫力もたいしたもので、巨大感と圧倒的な力の演出も上手い。
 そして時間いっぱいまで人間対怪獣を描いた上で突然現れるウルトラマン。しかし戦い馴れてないため、戦いには苦戦する。これでウルトラマンの意識はゲントのものである事も分かる。
 ウルトラマンの力がまだ発揮されていないため、最後は人間側の特殊部隊がサポートするのも面白い。ここから、ブレーザーのことを知っている人間が存在し、連携を前提に戦いを考えていたことが推測される。
 すげえ。この第一話、戦い以外全く描いてない。
<スカードはいかにも特殊部隊っぽくて良いのだが、軽口が多すぎるのが難点だな。ちょっと気持ちが削がれる。>
VOL.1
<A> <楽>
第2話 SKaRDを作った男

  監督:田口清隆
  脚本:小柳啓伍
 ウルトラマンブレーザーによってバザンガ撃退に成功した防衛軍隊長であるヒルマゲントは、新たに新設されたスカード(SKaRD)の隊長に任命される。早速隊員達と面会するが、合流したのは癖の強い隊員ばかりだった。まだ立ち上がったばかりのスカードにすぐさま出撃命令が下る。

 敵は深海怪獣ゲードス。深海から現れた巨大怪獣。海を荒らすと出現すると漁師の間では伝説になっていた。地上でも行動できるが、廃熱を必要とする。
 スカードの誕生を描く話。前回の特殊部隊は防衛軍のものだったが、今回から新設されることになった。現在の所実働隊員はたった四人。男二人女二人の部隊は初めてだな。
 前回が全編戦いだったが、ここで日常生活とかも少し描かれていく。一人一人のキャラを丁寧に描いているのも良い感じ。ただ確かに癖が強いが、反抗的なキャラはいないところが今風な感じで凄く見やすい。
 スカードの戦いも力押しではなく、まず徹底的に観察と分析を行っているのも良い具合だ。『シン・ウルトラマン』の禍特対に近いが、それなりにコミカル描写も出ている。
 まずはそうやってスカードの活躍を丁寧に描いた上でウルトラマンの登場。何故かウルトラマンの方が弱いというのも面白い感じだな。戦いもメリハリというか、ちょっとコミカルで、光線で吊りをやったり、怪獣を串刺しにしたら焼き魚みたいになったり。
 前回ラストでバザンガを狙撃した女性アオベエミがスカードの一員となって、軽いノリでゲントと会話している。前回あれだけ冷たい目つきをしていたのに、妙に人懐っこいので、何か隠してるのは見え見えだ。
 カメラアングルが凝りまくってるけど、これを実相寺アングルではなく、今は樋口アングルと思う人が多いだろうな。
<ゲードスはかまぼこ工場を襲ってた。マグロばっか食べてる訳では無いか。
 魚タイプの怪獣に馬乗りになって肘で攻撃するシーンを見ると、複雑な気分になるが、監督の趣味が入っているに違いない。>
第3話 その名はアースガロン

  監督:田口清隆
  脚本:小柳啓伍
 最後のメンバーとなるヤスノブを加え、スカードが結成された。ヤスノブの調整した巨大ロボットアースガロンを用いて訓練が開始された。そんな中、世界中の新エネルギーティーテリウム貯蔵庫からキーテリウムが抜かれるという事件が起こっていた。

 敵は甲虫怪獣タガヌラー。世界中のティーテリウム貯蔵基地からティーテリウムを抜き出してきた虫型怪獣。吸収する度に巨大となり、最終的には60メートルクラスとなった。空に向かってエネルギーを放出させた上で倒してる。
 前半はアースガロンを主軸にした戦略を元にした訓練風景が描かれる。訓練というのも地道な体力作りと戦略を練るシーンが相互に描かれるため、地に足をつけた描写になってる。
 今回はアースガロンが中心になる話で、その整備をするバンドウヤスノブと、操縦士となったミナミアンリの二人が話の中心になる。
 そして後半は独自発進したスカードと航空隊との折衝を行うという話になる。縦割りを無視して独自出撃するため、現時点でスカードはかなり嫌われている。これが将来どうなっていくかも興味あるところ。そしてその縦割り制度に馴れていたアンリが色々戸惑ってしまうとか、そこら辺の微妙なリアルさが面白い。
 充分アースガロンの戦いを描いた上で、最後にウルトラマンが登場してる。見せ方も分かっておられる。
 アースガロンの発進シーンがエヴァンゲリオンっぽい。元々エヴァ自体が特撮描写を真似ていたので、面白いフィードバックになってる。
 今回の敵タガヌラーはエネルギーを溜め込みすぎて爆発の危険があるということで、話自体は「帰ってきたウルトラマン」8話のゴーストロンの話に近い。
 最後はみんなが自主的に訓練してるところで終わる。使命感を持つってことはこういうことだな。
 今回ゲントには妻と子がいることが発覚した。これまでのシリーズでは主人公が既婚者は初めてだ。
<ブレーザーのかけ声は少し独特だが、熱いものに触った時、「あーちあち」はやり過ぎだろ。>
第4話 エミ、かく戦えり

  監督:辻本貴則
  脚本:継田淳
 現れた巨大怪獣レヴィーラを撃退するためには化学企業のノヴァイオが開発した新型殺菌剤FK1だけだった。一時的に撃退することは出来たものの、何度も現れるレヴィーラの挙動に不審を覚えるヒルマゲントはエミに潜入捜査を命じる。

 敵は軟体怪獣レヴィーラ。クリオネを元に製薬会社のノヴァイオが作り出した怪獣。体を液状化させてあらゆる物理攻撃をすり抜け、ダメージを受けると土に浸透して逃げる。液体窒素で凍らせて破壊した。
 人間が作り出した怪獣騒ぎ。怪獣を出してそれを自社の薬品で撃退するというマッチポンプ。「ウルトラマンR/B」の愛染マコト社長がやってたが、倒すのではなくあくまで追い返すというのが特徴で、このやり方だと何度でも同じ手が使える。
 そのマッチポンプを疑ったゲントに命じられ、エミが潜入捜査を行うのだが、このシナリオは完全に新しい。エミはこの手の荒事に馴れており、何事も冷静に対処していた。一見暴走したように見せたが、実はそれも含めて作戦の一環だったことが分かる。
 スカードは独自の捜査能力も持つことが示された。この組織、特殊二課ではなく首都警か?自信を持って言えるけど、間違いなく「ケルベロス・サーガ」リスペクトはしてるだろう。ゲントとエミは水族館で目を合わせないで会話してるが、これも『機動警察パトレイバー2』『うる星やつら2』でやっており、明らかに押井演出のリスペクトが強い。
<曾根崎の目的は尊敬されることで、怪獣撃退を続けていくとみんなから尊敬されると言っていた。やってることばれたらそれだけで済まないのだが、それ考えなかった?
 液体化するレヴィーラを倒すには凍らせる必要があって、そのために液体窒素を使ったが、あの量程度では凍らないし凍るのが早すぎる。ここはエクスキューズが必要だったのではなかったか?>
第5話 山が吠える

  監督:辻本貴則
  脚本:継田淳
 アンリの故郷秋田で新型レールガン“メガショット”の演習が行われる。対怪獣兵器としての可能性が高いメガショットの性能を知るためにスカードが演習に立ち会うのだが、そこでアンリの幼なじみミズホが現れ、演習を中止するよう訴える。

 敵は山怪獣ドルゴ。地中深く眠っていたが、ほこらを壊されて封印が解かれて出現した。本人?は目覚めさせられたことに対して怒っているらしく、周囲に無差別に攻撃する。メガショットのある岩盤が背中にあるため、本人は意識しないが時にメガショットが暴発する。
 アースガロンの操縦士という重要な立場にありながら、これまであんまり目立ってなかったアンリが話の中心となる。元は一般歩兵からの引き抜きで、本人は常に特別になりたいという思いが強かったようで、幼少時も変わり者のミズホに憧れていたと言っていた。
 伝説通りの行動をしたら怪獣を封印できたというパターンは、実はウルトラマンシリーズでは定番の一つ。その辺は外さないのが流石だ。よく分かった脚本だな。パターンではその幼なじみも実は人間ではなかったというパターンも多いのだが、ここではそこまではやってなかった。
 アンリの故郷は秋田県というが、こういう地域特定の田舎を語るのはかなり珍しい。ちゃんと秋田弁で喋ってるのが良い具合だ。
 今回も辻本監督回だが、相変わらず色々特殊撮影の挑戦が多い。水を飲む怪獣の描写って珍しい。
 ドルゴの背中にはメガショットが付いたまま。「帰ってきたウルトラマン」8話のゴーストロンっぽいが、アースガロンとの戦いのさなかで寝てしまう当たりは「ウルトラマン」34話のスカイドンっぽくもあり。
 この作品ではアースガロンがブレーザーの露払いではなく、完全に肩を並べて戦ってるのが特徴で、ここまで強い味方がいる話は初めてだと思われる。
<ドルゴの背中にはレールガンが等間隔に配置されている。偶然がいきすぎてる感はある。
 アースガロンがドルゴに対して行った回転射撃は映画『処刑人』からだろうが、決めすぎの感がある。
 今回ブレーザーは槍を二つに割って、思いっきり海老反りになったから投擲している。面白いパフォーマンスだが、それって意味なさそうだな。
 眠りに就いたドルゴを手で押して元の場所に戻すブレーザー。持ち上げないところがリアルなのか何なのか。
 結果として、今回はブレーザーよりもドルゴの方が目立ってた気がする。>
巨大生物の正体を追え  これまでの戦いを振り返る特別編。
 巨大怪獣を撮影した素材を使ってテレビ番組を作ろうとしているテレビスタッフの話となった。一話に登場していたナレーターのキヨシマダイラレイコが登場。というか、ここで名前が明らかになった。
 2話のブレーザーがゲードスを釣った後で串焼きにしたシーンなんかはツッコミの嵐。メタなネタだな。
第6話 侵略のオーロラ

  監督:辻本貴則
  脚本:継田淳
 日本各地に突然オーロラが現れ、そこにあった機器をおかしくさせていた。そんな時、機械大好きなスカード隊員バンドウヤスノブの前にカナン星人ハービーを名乗る宇宙人が現れた。彼らは機械の声を聞き、機械の望みを叶えようと言う。その結果、機械の反乱が起きると予言する。

 敵はカナン星人ハービーカナン星人ロビー。地球侵略にやってきた宇宙人コンビで、地球上の機械の声を聞き、その望みを叶えることで人類に対して反抗させようとする。
 スカードの一員だが、戦いよりもアースガロンの整備の方が大好きで、機械に名前をつける趣味を持つというバンドウヤスノブが中心の話。洗濯機に話しかけるとかの行動を見る限り、完全に怪しい人で、モロにメカフェチっぽい感じ。人の良さから色んな仕事を頼まれることが多く、仕事と趣味双方で相当疲れていたようで、その辺コミカル描写になってる。カナン星人によって暴走してしまったアースガロンを止めるためにブレーザーが出動するものの、結局ヤスノブを助けようとアースガロンが正気に戻って事なきを得る。
 一般人に友好的な宇宙人が現れるパターンは、「ウルトラセブン」44話のペロリンガ星人と同じだが、正義感の強い防衛隊員に言っても当然拒否される。尚カナン星人は「ウルトラセブン」24話に登場する宇宙人で、その時はウインダムを暴走させてウルトラセブンと戦わせていたので、コンセプトは似ているし、宇宙船で逃げるところを光線一発で落とされるのも同じ。
 味方メカの暴走ネタはシリーズで大概一回くらいやるが、ここでは結構凝ったやりかたをしていて、アースガロンの暴走のメカニズムは『機動警察パトレイバー The Movie』の零式だし、冒頭で疲れ切った隊員のぼやきやトマトネタもあるので、色々リスペクトしてることが窺える。台風ネタをやるか、夜明けネタをやったらもっと良かったな。
 ヤスノブが諸肌脱いでいるが、ものすごいマッチョだった。実はボディビルダーなんじゃないの?
 巨大戦でのコミカル描写は相変わらずで、アースガロンに対して殴ったら痛くて手を振ってるブレーザーの描写あり。
 今回カナン星人の片方は倒されたのだが、もう一人が逃げてしまっていた。続きがありそうだな。
<テルアキ副隊長が「実家から」と言ってトマトを持ってきた。『機動警察パトレイバー The Movie』知ってると、「あのネタね」と思うんだが、今はむしろ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」ネタとして取られるのか?
 毎度スパイラルバレード投げるのにバリエーションつけているが、今回は上半身だけ二回転させるという気持ち悪い予備動作で投げている。ウルトラマンの場合、投擲だけで充分破壊力あると思うんだがな。>
第7話 虹が出た 前編

  監督:中川和博
  脚本:山崎太基
 雨が降る前触れとされる『逆さ虹』が日本各地で発生していた。これが怪獣と関連があるのではないかと睨んだゲントは恩師である怪獣学者の峯万象に意見を聞きに行く。そこで伝説の神のような存在ニジカガチについて聞くのだが、その時怪獣の出現の連絡を受ける。

 敵は天弓怪獣ニジカガチ。天災が怪獣化したような存在で、かつては虹蛇神という名の神として崇められていた。極端に固い体皮を持ち、ほとんどあらゆる攻撃をはじき返す。
 伝説の怪獣と戦うというパターンはこれまでにも数多く作られてきた。多くの場合人間が気候を変えようとした結果守護神が現れるとか、科学の行きすぎを継承するとかのパターンが多く、これもパターンかと思ったら、現代の異常気象を念頭に描かれたもので、自然現象そのものに対するウルトラマンという構図となっている。
 ある意味地球の意思そのものとの戦いとなり、大変大きな話になっている。前編の本作ではまだ敵対しているのかどうかは不明。
 伝承を良く知るのが村人とかではなく、怪獣学者というのが違いだが、これはかつての天本英世の当て書きっぽい。
第8話 虹が出た 後編

  監督:中川和博
  脚本:山崎太基
 ニジカガチの一撃を食らって絶対安静の診断を受けたゲント。だが寝ている間にニジカガチは想像を絶する台風を作り出そうとしていることを知り、ニジカガチを呼び出した峯教授を説得しようとする。

 敵は天弓怪獣ニジカガチ。額のクリスタルが弱点だが、固い頭皮で顔を覆うことで弱点を回避する。
 自然を扱う敵に対して戦うスカードの活躍を描く。ここではブレーザーよりもスカードの活躍が良く出ているが、やってることが『機動警察パトレイバー The Movie』っぽい。
 地球を守るために文明を滅ぼそうとするアナーキストと、あくまで今の人類を守ろうとする防衛隊。結局ヒーローは後者の立ち位置に立たざるを得ない。そこがヒーローの限界でもある。
 そして峯教授を説得した後で自意識を取り戻したニジカガチに対してブレーザーが現れる。ニジカガチが放出した虹を掴み、ブレーザーは新しい武器レインボー光輪を作り出した。
 ニジカガチは自然現象が具現化したものなので、倒す事は出来ない。峯教授も無罪放免となったことで、まだ話は終わってないという含みを持たせて終了。
<ニジカガチが呼び出した複数の台風は雲の壁を作っている。その姿はゲームの「ダライアス外伝」の最終面っぽい。>
第9話 オトノホシ

  監督:越知靖
  脚本:植竹須美男
 アンリの元に昔親交のあった音楽家からのコンサートチケットが届いた。ところがその当日宇宙から隕石が飛来し、その中からロボット怪獣ガラモンが現れる。ガラモンが遠隔操作を受けているロボットだと分かり、その指令電波を追ったところ、なんとそのコンサート会場から電波が出ていたことに気づく。

 敵は隕石怪獣ガラモン。セミ人間に操られ、宇宙中の文明のある星を滅ぼすために呼び寄せられたロボット怪獣。そして宇宙怪人セミ人間。宇宙中に派遣され、文明のある星を調査して滅ぼすという種族。四人のセミ人間達が60年前から地球に来ており、時を窺っていた。
 アンリを中心に、ちょっとしんみりした話が展開する。地球を滅ぼすために派遣された宇宙人が音楽と出会い、自らも音楽を奏でるようになって、地球を滅ぼす使命と地球を守る思いの間で葛藤する話となっており、敢えてアンリにヒントを与えてそのどっちも義務を果たそうとしている。なんかちょっと懐かしい雰囲気がある話となっていた。音楽と出会って地球を滅ぼすことに躊躇を覚えるとか、なんか「超時空戦艦マクロス」を思わせる設定だった。
 これまでオリジナル怪獣ばかりが出ていたが、ここで過去の作品からの怪獣が登場している。「ウルトラQ」というのが渋い。コンサートで用いられる曲も「ウルトラQ」から。
 この星にやってきたセミ人間達の名はそれぞれツクシホウイチ、クロイワチッチ、ニゼミチ、ヒグラシカナデ。全員セミの種類から。
 これまで基本的にゲントの意思で動いていたブレーザーがちょっとだけコミュニケーション取ってるシーンがある。意思の疎通がやっと出来たところで会話までは成立していないが、ブレーザーは何らかの意思を持ち、ゲントに何かをさせようとしていることは窺える。
<ガラモンの名前を聞いたヤスノブは「なんか古くさい名前ですね」と言っていた。まあそりゃそうだ。
 地上から巨大化したブレーザーがガラモンにアッパーカット喰らわすシーンがあった。これって多用できるネタなのだが、何故かあまり出たことがない。
 ガラモンは文明を滅ぼすために呼び寄せられるのだが、一体では無理だろう。「ウルトラQ」16話のように多数の個体が現れるならともかく。
 動きを止めたガラモンの口から出る液体を顔に浴びたブレーザーは本気で嫌がっていた。この嫌悪感はゲントのパーソナルかな?>
第10話 親と子

  監督:越知靖
  脚本:植竹須美男
 山梨で怪獣の卵らしい者が発見された。ゲントの息子ジュンはそこに行きたいというので、丁度休暇中のゲントは家族で旅行に向かった。見物客やヒルマ家の見守る前で卵から怪獣の赤ちゃんベビーデマーガが誕生したが、その子を追うように巨大怪獣のデマーガも現れる。

 敵は熔鉄怪獣デマーガ。卵から孵ったベビーデマーガに呼ばれるように地中から現れた。ベビーデマーガを守ろうと防衛隊の攻撃を受ける。
 今回はモロに家族の話。3話でゲントには妻と子がいることが分かったが、今回ようやくちゃんと登場。そして怪獣に関してもデマーガとベビーデマーガの関係性も描かれていく。子どもを守ろうとするアースガロンを攻撃するスカードの方が悪役っぽくなってしまってる。ゲントの息子ジュンはそこで、子どもを守ろうとしてる親を守ることは出来ないのかと疑問を呈し、更にゲントの左手に勝手にブレーザーブレスが出現してしまう。
 そしてゲントはブレーザーに変身するが、子どもを守ろうとする親のデマーガを観た時、精神が分裂してしまい、左半身はデマーガを守ろうとし、右半身は攻撃しようとしていた。更に防衛隊の攻撃を防いだ上でデマーガとベビーデマーガを眠らせて地中に送り返した。それがブレーザーの意思なのかゲントの意思なのかは不明だが、左半身はブレーザー本体のものと考えるのが普通か。
 ゲントは家族にはスカード所属と言うことを隠しており、家族でいる時に怪獣に遭遇してしまったために連絡に苦労している。いかにも一般人を装って電話しているので、全く口調が違う。
 前話からブレーザーの意思が時折ゲントに宿るシーンが出てきた。今回はたまたま赤ちゃんが出るテレビを見ていたら意識が宿った。その際左目が青く光る。
<アースガロンの攻撃を受けたデマーガは頭部に火が付いている。このシーンは確かどこかで?
 怪獣が出たから非難をしてるのだが、みんな結構のろのろ歩いている。特撮的には逃げ惑う方が分かりやすいが、むしろこっちの方がリアルなのかな?
 右半身と左半身で戦ってるシーンは往年の
『死霊のはらわたII』を観てる気分にさせる。
 ブレーザーの口がまるで開いたように発行しているシーンがある。口が開くのは特撮版では初めてかも。>
第11話 エスケープ

  監督:武居正能
  脚本:足木淳一郎
 デマーガ戦で防衛軍の攻撃を妨害してデマーガ親子を助けたブレーザー。怪獣を守ろうとするブレーザーが本当に人類の味方なのか疑問の声が上がり始めた。一方、自らの意思とは異なる考えを持つブレーザーに戸惑いを覚えるゲント。そんな中、地球に飛来した隕石がゲバルガに変形した。

 敵は宇宙電磁怪獣ゲバルガ。隕石に擬態して地球へと落下し、その後正体を現した。強力な電気を内包する怪獣で、電磁場バリアを張ってほとんどの攻撃を防ぐ。
 前回でアッシュゲントとブレーザーの間で意思の齟齬が観られた話の続きとなり、ゲント自身がブレーザーに対して不信感を持ち始めたため、これまでにない慎重な戦い方となる。
 そして今回もゲバルガにとどめを刺そうとしたところ左半身が拒否してしまう。今回も同じブレーザーの体の中で喧嘩を始めてしまったので慌てて戦場を離脱するが、それは敵前逃亡となってしまった。
 ウルトラマンが人類にとって得体の知れない存在であると言うのはどの作品でも最初の一話とか二話でやるんだが、すぐに人類の味方であると認証される。しかし本作は全く異なり、物語中盤になってウルトラマンが味方かどうかを考えるという描写となっている。めずらしい解釈となる。かつて劇場版の『ULTRAMAN』で触れ、その後「ウルトラマンネクサス」でちょっとだけ描写されたが、ここまで露骨にテレビでやったのは初めてだろう。
 結構強かったはずのアースガロンが防衛隊からすれば単なる露払いになっており、いきなり弱体化してる。なんか寂しい。
<湖に落ちたアースガロンを岸で見ていた人が結構いたが、その後どうなったのだろうか?衝撃波と津波のダブルパンチでまともに考えたら生きていないはずだが。>
第12話 いくぞブレーザー!

  監督:武居正能
  脚本:足木淳一郎
 ゲバルガに対して全く友好的な攻撃を行う事が出来なかったスカードは防衛隊から叱責を受ける。スカード隊長として責任を感じるゲントだが、ゲントにはブレーザーに裏切られるかも知れないという思いもあった。

 敵は宇宙電磁怪獣ゲバルガ。ネットワークを麻痺させ、日本全土のインフラを破壊しようとする。
 ブレーザーとゲントの間のぶつかり合いが続き、ゲントはついにブレーザーへの変身を諦める。
 今回ブレーザーの新装備として防衛隊が開発したチルソナイトランスを変形させたチルソナイトソードを装着した。これだけでなくアースガロンにメガショットが装備された。ガラモンとの戦いおよびドルゴとの戦いを経て新装備という事で、ちゃんとこれまでの話がつながっている。
 ゲントは一度ブレーザーを突き放したが、心の中でそのメッセージを受け取ることで、ついにブレーザーの思いの一端に触れた。弱き生き物を守ろうとするその心を理解したことで、ようやくお互いを理解出来た。ここではっきりと個体名として「ブレーザー」と呼びかけている。
 ゲントがブレーザーと一体化したのは三年前。岐阜での作戦で逃げ遅れた人を助けようとして、勘違いしてそこにいたブレーザーに手を差し伸べたことからだった。やっと今思い出したというところ。これまでウルトラマンに助けられた話は多いけど、ウルトラマンを助けた話は初めてではないか?
 新しい武器を得たブレーザーだが、洗練どころかますます野獣っぽくなっている。剣片手に飛び回る姿は猿のようだ。一度ロッカーに入れたブレーザーストーンについても、通常の作品だったらテレポートして手元に来るはずだが、物理的に壁破壊してやってきた。この辺の描写が見事だ。
 一方、防衛隊のハルノは、今の状況をあらかじめ知っていたような言動を取っている。
<アースガロンがでっかい銃持って狙撃ポーズ取ってるが、これって「新世紀エヴァンゲリオン」だよね?
 本当に今更だが、アースガロンの口に荷電粒子砲入れたら頭の電算機器一発でイカれるんじゃないか?
 チルソナイトソードはソードと言うが、見た目はブレードだ。>
第13話 スカードノクターン

  監督:宮崎龍太
  脚本:足木淳一郎
 これまでのスカードの行動記録を提出するために、意見の擦り合わせを行うアンリとヤスノブとエミの三人。行動記録を振り返り、これまでの戦いを振り返る。一方ゲント隊長はテルアキからブレーザーについてどう考えているのかを問われる。

 これまでの戦いの振り返りの話。通常なら特番になるのだが、話がちゃんと進行しているために正式な13話になってる。怪獣は出てこないし回想以外ではブレーザーも全く登場しないが、これからの展開に向かう重要な設定が語られている。これはこれで大変面白い話だった。
 ヤスノブによると、ガラモンは別として、バザンガとゲバルガは全く同じ軌道で地球にやってきたことから、同じ所からやってきたのではないかと推測していたが、これは防衛機密に関わるものらしい。
 雑談で自分たちの子どもの頃とか話をしてたら、頭良すぎて犯罪者になってしまったのをスカウトされたとか言ってたエミが特殊すぎた。しかしそれも喋って良いところだけだろう。なんせ1話での冷たい目で狙撃してたのは印象に残ってる。
 そしてブレーザーについてどう考えているのかというテルアキの問いに対してゲントは「知らないが、知ろうとすることが大切」と答えていた。ちょっとはぐらかしのような?実際ゲントにしてもブレーザーのことを理解出来てないからそう言うしかないのは分かる。
 ちなみにブレーザーとは、ブラックホールから放出されるジェットのことらしい。ちゃんと名前に意味があったのか。
第14話 月下の記憶

  監督:田口清隆
  脚本:小柳啓伍
 世界中で目撃されている高速で飛行する未確認飛行物体の正体は怪獣デルタンダルだった。マッハ9のスピードにアースガロンは追いつけず、取り逃がしてしまう。一方、防衛隊をハッキングして同じ場所からやってくる宇宙怪獣の出自を調べるエミは、かつての防衛隊が起こった実験にたどり着く。

 敵は月光怪獣デルタンダル。全世界で目撃された未確認飛行物体の正体で、飛行時は三角形のフォルムを取る。マッハ9のスピードで防衛組織の何者にも捕捉されなかった。
 これまでの戦いで成果がなかなか上げられてないスカードの存続が危なくなったという話になる。話の都合上、中心はスカードの活躍になり、ブレーザーの出現はギリギリまで待つことになる。ただやっぱりスカードは形の上では失敗してしまう。
 アオベエミが防衛隊で何をしようとしていたのかも少し分かってきた。どうやら父のことに関わるものらしい。スカードに対してスパイ行為をしていると言うより、防衛隊が行った機密を探っていたようだ。尚、ゲントがブレーザーと出会った事件でエミの父が研究員としてそこにいたらしい。ラストでエミは長官であるハルノレツの姪であることも発覚した。
 ドバシユウ役は寺田農だった。「ウルトラマンジード」以来か。
<ハッキングはパイプのたくさんある狭い場所で有線で行うのが定番で、エミもそういうやり方してたけど、今時これはステロタイプにしても古すぎる気はする。>
VOL.2
<A> <楽>
第15話 朝と夜の間に

  監督:田口清隆
  脚本:中野貴雄
 ゲントの息子ジュンの友だちにアラタという怪獣大好き少年がいた。アラタの熱意に感化されたジュンは自分でも怪獣の絵を描くようになるのだが、その絵をアラタはガヴァドンという名前をつける。ところがニュースでその怪獣の姿を見てしまう。

 敵は二次元怪獣ガヴァドン「ウルトラマン」15話に登場した二次元怪獣と同じ名を持つ怪獣で、同じように特殊な宇宙線によって絵から登場した。非常にシンプルでほぼ寝ているだけの怪獣。
 10話に続きゲントの家庭生活が描かれてる。ヒーローが子持ちというのは今までなかったので、団らんや、子どもと怪獣を絡めるのはとても新鮮な感じだ。
 未知の宇宙船で絵が実体化するというのは「ウルトラマン」15話と同じ設定だが、ガヴァドンは凶悪化はせず、シンプルな格好のまま。だからこそそれに翻弄される防衛隊とブレーザーが滑稽に描かれる。どっちかというと15話よりも34話に近い。
 最後は子ども達の願いを聞いたブレーザーがガヴァドンを宇宙まで運んでいった。
 工事現場の管理者として諏訪太郎が登場してる。特撮にこの人出ると安心感ある。
<ガヴァドンを発見されて焦ったアラタはでっかくガヴァドンを描いていた。普通見つからないように小さく描くのでは?
 ガヴァドンを排除するため爆撃を行う防衛隊。良いのかそれで?
 ブレーザーが宇宙に運んだ後、ガヴァドンは星座になっていた。それって死んだってことでは?>
第16話 恐怖は地底より

  監督:辻本貴則
  脚本:継田淳
 とある工事現場に突如大きな穴が出現した。その穴をのぞき込んだ人は皆錯乱状態に陥ってしまう。調査に向かうスカードだが、穴をのぞき込んだ隊員が次々に錯乱してしまう。

 敵は幻視怪獣モグージョン。深い穴の中に住み、その穴をのぞき込んだ生物に電磁波を送って最も恐れる存在を見せる。敵を無力化して捕食するらしい。
 精神攻撃を行う怪獣との戦いとなる。科学的な考察もちゃんとあってよく考えられているが、結構コミカルな話に仕上がってもいる。なんせ錯乱した男たちが言った台詞「鳥だよ」「毛むくじゃらの巨人」「タコ」はそれぞれ元ネタあり。ただ「サソリ」はバラバアンタレス星人かが分からない。それにブレーザーもまともに目を合わせてはいけないので、目を隠しながら戦っている。
 隊員もそれぞれ恐怖を見せられる。それぞれこれまで関わった怪獣や宇宙人を見せられたが、副隊長のヤスノブは何故かおはぎで、エミは巨大な自分自身だった。
 ブレーザーはかつて口が開けることが発覚したが、今回はなんと目を閉じれることも分かった。目の光が消えるだけだが。
 アースガロンに新装備が搭載された。自立型AIで、これによってこれまで二人で動かさねばならなかったアースガロンが一人でも動かせるようになった。
 怪獣のネーミングは防衛隊が作るそうだが、モグージョンと言われて戸惑うエミの姿が面白い。
<アースガロンのAIアーくんの声は石田彰…よりによってこの人か。土曜日と日曜日に敵味方でこの声聞かされることになるとは。混乱しそう。
 ブレーザーは目を覆いながら戦っていたが、ウルトラマンの目に映るものも人間と同じもので、幻術攻撃が効くんだろうか?説明には人間の扁桃体の干渉だそうだが、ウルトラマンにも同じ器官があるのだろうか?>
特別総集編A
「ブレーザー電脳絵巻」
 これまでのブレーザーの戦いを振り返る総集編。ナビゲーターとしてロボットのような姿のパグと、怪獣のげ〜どすくんともぐ〜じょんちゃんという、これまでブレーザーと戦った怪獣のアニメキャラが担ってる。
 @に続き、セルフツッコミも多々。
第17話 さすらいのザンギル

  監督:辻本貴則
  脚本:継田淳
 過去に撃退した怪獣が人や建物をすり抜けるように現れる姿が目撃された。そしてその怪獣の前には巨大な剣を掲げた男が現れ、その剣で斬られた怪獣は消滅してしまう。次に怪獣が現れる場所を推測したゲントは先回りしてその現場に向かう。

 敵は宇宙侍ザンギル。怪獣の残留思念を成仏させるためにやってきた宇宙人。108の魂を浄化させる使命を持っている。あまりに強いニジカガチの残留思念を消すためにゲントに協力を要請する。だから敵と言うよりはサポーターに近い。ニジカガチの怨念に逆に取り憑かれてしまい、ブレーザーを襲う。
 怪獣の残留思念や怨念を消し去る宇宙人という面白い人物が登場する。宇宙人の侍というのはウルトラマンシリーズにはそこそこ出てくる。日本で作られたと言うことは、相性が良いんだろう。
 ザンギルとブレーザーの共闘はゼスチャーでメッセージを伝え合ってるため、どことなくコミカルになってる。ブレーザーが野人みたいなキャラのため、落ち着いたザンギルの挙動と良い対比になってる。
 ザンギルの人間態役は「仮面ライダー555」海堂直也、「ライオン丸G」シシトラ役、そして「ウルトラギャラクシー大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY」グランデ役の唐橋充。画家になったと聞いていたが、普通に役者も続けていたか。
<ニジカガチに対して最初の攻撃はレインボー光輪だった。そもそもレインボー光輪はニジカガチの力を使ったものなので、通用するのではないかな?
 ブレーザーがザンギルを斬った時はチルソナイトソードを逆にして峰打ちにしていた。>
第18話 そびえ立つ恐怖

  監督:越知靖
  脚本:継田淳
 地下から現れた怪獣イルーゴは、その吐息が人体に有害なガスだった。その中、何故か司令部からイルーゴの調査を止められてしまうスカード。そんな中、ゲントはスカード独自の調査を始めるようアオベエミに命じる。

 敵は汚染獣イルーゴ。地下から現れた蛇というかチンアナゴみたいな姿をした怪獣で、イルーゴガスという人体に有毒なガスを放出する。実は宇宙からやってきた怪獣らしい。複数登場し、一体はアースガロンが倒した。
 ウルトラマンシリーズでは公害に比される怪獣の出現はこれまでにも何作かあったが、ここでは新型コロナウイルスとの対比があり。
 今回登場したイルーゴは、これまで何度か描かれた機密文書V99に関わるものらしい。ストーリーの根幹に関わる怪獣と言うこと。V99に関してはアオベエミが独自のルートを使って調査中。その過程で14話に登場したドバシユウがちらっと顔を見せている。
<ラストシーンで、新たなイルーゴが地中から出現してカメラに食いかかる演出あり。アニメではよくやる手法だが、着ぐるみでこれをやると造形の甘さが見えてしまう事になる。>
第19話 光と炎

  監督:越知靖
  脚本:継田淳
 倒したはずのイルーゴが複数出現した。防衛隊が地下を調査すると、なんとイルーゴは超巨大怪獣の触手であったことが分かった。一方、父の手がかりを求めるエミは三年前の爆発事件の真実を知る。

 敵は宇宙汚染超獣ブルードゲバルガ。かつて地球に来たゲバルガと同じ姿をした怪獣だが、数倍の大きさを持つ。数体のイルーゴを触手のように操った。
 物語の根幹にまつわる話で、三年前に起こった事実を深掘りする。それは地球と宇宙の彼方を結ぶワームホールを作り出す研究だったのだが、事故を起こして科学者の何人かがワームホールに飲み込まれたのだという。エミの父もその一人で、まさにこの日、科学者達を救おうとして突入した特殊部隊の中にヒルマゲントがおり、そこでブレーザーと一体化した日だった。
 何度か地球に飛来していた怪獣も、どうやらその事件に関わってくるらしい。そこで謎に近づいたエミは、幽霊のような姿となった父から、これからなすべき事のヒントを告げられる。
 今回の戦いで唐突に新しい怪獣が出現して、それがブレーザーと合体してパワーアップしてる。唐突すぎるが、これまでの経緯から考えると、元々ブレーザーはこの形態だったのが、分離していたようでもある。
 これまでの独断専行が咎められ、スカードの存続の危機のはずだったのだが、突然現れたドバシユウによって、活動はこれまで通りと言われてしまう。何か重要なことを隠そうとしているようでもある。
<ブルードゲバルガが地下から触手を伸ばすシーンは、ほとんど「機動武闘伝Gガンダム」のデビルガンダムだった。>
第20話 虫の音の夜

  監督:武居正能
  脚本:根元歳三
 父が倒れたという連絡を受け、急いで実家へ帰るテルアキ。だが実はそれはテルアキを実家に戻したい父のついた嘘だった。防衛隊を辞めないというテルアキと、実家で結婚して農業を継いで欲しいという父。二人の主張は平行線のままだった。実家の周囲には何故か季節外れの虫の音が聞こえてくると聞かされるのだが…

 敵は地底甲獣ズグガン。人間と同じくらいの大きさの巨大な虫で多数現れる。音波や口から出すアルカリ溶液で土地を冒してしまう。果てしなく巨大化するようで、最も大きな個体はブレーザーと同じ程度の大きさになる。ブレーザーの力でも振りほどけない強度の粘液を吐く。
 スカード副隊長のテルアキが中心となった話。田舎に起こったちょっとした違和感が怪獣出現につながるという話で、昔のウルトラマンシリーズでは比較的あったパターンの話になる。父親としては防衛隊にいる息子の身を案じてのことだが、テルアキは使命感があるためその申し出は受け入れられないという、父と息子の相克を描く事になった。
 現在日本では熊の被害が増えているので、結構リアルタイムに怖い話になってる。アースガロンで容赦なく撃ち殺してるのも、動物愛護の見地からは褒められないが、それも問題提起かな?
 一方、スカードは怪獣が出ない時の仕事の様子があった。今回は怪獣対処の手順を子ども達に教えるための劇をやっていた。ノリノリのヤスノブ一人を除いて全員やる気が無いところが味噌で、怪獣出現の報を受け、嬉しそうに出撃するゲントの姿もあった。
第21話 天空の激戦

  監督:武居正能
  脚本:根元歳三
 アースガロンMod3の試験が行われた。操縦していたヤスノブは高速飛行のGに耐えられなかったため、以降アースガロンの操縦はエミに任せるという上層部命令が下る。そんな時、何故かアースガロンの試験飛行を行った海域から巨大なデルタンダルが現れた。

 敵は月光怪獣デルタンダルB。14話に登場したのとは別個体で、大きさは約6倍という。ちなみに名前のBは爆撃機を示すボンバーの頭文字。
 二回目となるヤスノブの中心回。誰よりもアースガロンを愛し、その整備に情熱をかけてきたが、逆に性能が上がりすぎてアースガロンのスピードについて行けず自分では操縦できなくなってしまう。ある種コメディめいた話だが、本人はいたって真面目で激しく落ち込んでいた。
 そんなヤスノブが改めてアースガロンに乗って戦い意地を見せる話に持って行った。
 今回はヤスノブとアースガロンが中心となったため、ブレーザーは主にアースガロンのサポートで、動けなくなったデルタンダルBのとどめを刺すだけだった。
 前回の話で劇から逃げてしまったため、劇が全国公演になってしまったそうで、一県一県スカードが回っていることが言われていた。みんなそれで疲れてしまっているが、なんか「特車二課」感溢れている。
第22話 ソンポヒーロー

  監督:中川和博
  脚本:足木淳一郎
 日本怪獣損害保険株式会社で働くスズキテツオは成績も悪く、やる気を失ってしまっていた。そんな彼が担当したミチコという高齢者のいる地域が怪獣に襲われたと聞かされる。慌ててミチコを見守るために現地に向かうテツオだが…

 敵はどくろ怪獣レッドキング冷凍怪獣ギガス。日本アルプスに出現した二体の怪獣で、その争いが民家に及ぶ。力関係は完全にレッドキングの方が上で、ギガスはその命令に従ってるようにも見える。
 本筋からちょっと離れた話で、しがない保険屋の青年を主人公に、自分を見つけるという話。終わり近くになってやるべき話ではなく、もっと早い段階で作るべき作品なのでは?出てくる怪獣は「ウルトラマン」25話に出てきた二体で、ある程度それを踏襲してる。
 強いて言うならば一応ブレーザーがファードランアーマーを装着すると高音を発するので、冷凍怪獣に凍らせるという話を持ってきたかったのだろう。それでギガスか。
 スズキテツオ役は金井勇太。かつて有名な子役で、かつて「ウルトラマンダイナ」で少年役で出演したことがある。
<出現したレッドキングは二体目で、一体目はタタリ島に出たとのこと。タタリ?
 ブレーザーはチルソナイトランサーを使って闘牛士のようにギガスをいなしてる。これって「ウルトラマン」10話の対ジラース戦だな。色々オマージュの多い話だった。>
第23話 ヴィジター99

  監督:中川和博
  脚本:小柳啓伍
 次々と現れるデルタンダルに対応するため、スカードは連戦に次ぐ連戦を強いられ、ブレーザーも出撃していた。そんな中、疲れ気味で倒れてしまったゲントは精密検査を受けたところ、肉体の消耗が激しすぎると診断を受ける。

 敵は月光怪獣デルタンダル。複数出現し、アースガロンとブレーザーが次々撃破している。そして甲虫怪獣タガヌラー。これも次々と現れるようになった。
 何度もブレーザーに変身しているため、ゲントの肉体は消耗していて、このまま戦い続ければ死んでしまうと診断されてしまう。展開としては「ウルトラセブン」48話に対応するため、終わりも近い感触。
 地球人もそれなりに怪獣への対抗手段を持っているとは言え、まだブレーザーは必要で、そのため出現する度にゲントの生命力が削られていくという話。ブレーザーは何も言わないが、ゲントの体を不調にすることで戦いを止めようとしているらしい。
 現時点での怪獣対抗手段はアースガロンが一体しかいないため、複数の怪獣が出現すると対応できなくなりつつある。新しいロボットが必要だと思われる。
 今回の戦いでは前半にデルタンダルが、後半にはタガヌラーが登場する。デルタンダルは宇宙からやってきて、タガヌラーは地底から現れる。この出現は偶然では無く、地球と宇宙での戦いがあることが分かってきた。3話に登場したタガヌラーが最後にビームを宇宙に向かって撃っていたが、それが宇宙にいた小惑星に当たっていたとのこと。タガヌラーは地球を守るために行っていたことが推測された。それを推測したエミはむしろタガヌラーにビームを撃たせて小惑星の破壊を進言した。その結果充分にティーテリウムを補給したタガヌラー二体が同じ小惑星にビームを発射したが、小惑星は破壊出来ず、今も近づいている。
 しかしそのビームによって、小惑星の中に怪獣がいたことが明らかになった。
 そしてブレーザーは最後のタガヌラーの爆発に巻き込まれてしまう。
<防衛軍はタガヌラーに対してサーモバリック弾を発射する。今アースガロンがタガヌラーと交戦中なんだが、アースガロンは見殺しかい。>
特別総集編B
「パグのウルトラ談義」
 パグによるウルトラマンブレーザーの解説動画。今回は主にブレーザーとアースガロンの戦力についてが中心。
 そして最終章に向かう覚悟のようなものも語られている。
第24話 第3波接近襲来

  監督:田口清隆
  脚本:小柳啓伍
 防衛隊によってヴァラロンと名付けられた小惑星から現れた怪獣は付きに降り立ちそこに多量の爆弾をしかける。これらの爆弾が爆発した場合、月の軌道が変わり地球に激突してしまう。それを防ぐため、防衛隊はスカードに宇宙仕様に改装したアースガロンの出撃を命じる。

 敵は宇宙爆弾怪獣ヴァラロン。無限に有機爆弾を作り出す怪獣で、小惑星の偽装がばれたため、付きに降り立ちそこで爆弾を次々に生み出す。単体の怪獣としての強さも桁外れで、アースガロンを起動不能に陥らせた上でブレーザーに噛みついてエネルギーを奪う。
 サード・ウェーブという、最後の怪獣が出現し、それを撃滅するためにスカードが出撃する。ただし、それはほぼ生還が絶望的な作戦であり、しかもそこに待っている怪獣が強すぎた。
 これまでバザンガがファースト・ウェーブ、ゲバルガがセカンド・ウェーブ。そして最後となるヴァラロンがサード・ウェーブとなる。これは防衛隊があらかじめ推測していたことで、そのための準備としてスカードとアースガロンを作り出していた。
 しかし時間が足りず、宇宙用アースガロンの換装が突貫工事で行われていた。
 出撃シーンにたっぷり時間を取ってるため、かなり見応えある話に仕上がってる。
 なんとか月軌道を元にもしたものの、敗北したブレーザーはゲントの身体から分離してしまう。
 最後の出撃を前に、家に帰ったゲントは家族には自分が防衛隊員としてアースガロンを送り出す役割だと語っていたが、実際は向かう側だった。勿論自分がブレーザーである事も誰にも言っていない。色んな意味で秘密を抱えたままの出撃となった。
 しかし、ここでの戦いはスカード側の完全敗北。ブレーザーも全く歯が立たない。
第25話 地球を抱くものたち

  監督:田口清隆
  脚本:小柳啓伍
 月でアースガロンとウルトラマンブレーザーを倒したヴァラロンは隕石となり地上に落下。その後破壊活動を開始する。動けないブレーザーも地上に落下し、ブレーザーから分離したゲントも生還するが、もはやその身体は戦えるような状況ではなかった。

 敵は宇宙爆弾怪獣ヴァラロン。地上に降りて多数の生体爆弾を設置しつつ暴れ回る。V99から地球を知るために送り込まれた怪獣らしい。
 最終回。一度はブレーザーとゲントが分離するが、最後の戦いのために敢えて再び合体して最後の敵に挑む姿が描かれる。これまで完全無口だったブレーザーがカタコトの日本語で喋っていたのも印象深い。
 ヴァラロンに続いて宇宙からV99という船団がやってきたが、それこそがこれまで地球に怪獣を送り込んできた異星人達。過去地球に宇宙船を派遣し、それを破壊されたことで地球へと向かってきたのだとか。その時の防衛隊の司令官は土橋だった。
 ちなみにその際破壊された宇宙船の技術を用いてワームホール発生装置およびアースガロンの基礎理論が作られた。
 アースガロンのコンピュータには、異星人の機密が入れられており、V99との交信が可能だった。そのため、地球からは船団に向けての攻撃は中止され、アースガロンを通じてメッセージの交換を行う。そこで得られた情報は断片的だが、地球に脅威を感じていることだけは分かった。
 そこで地球の反応として、戦うのか、交渉するのかという選択が与えられる。もし戦った場合、科学的に進んでいるV99に対して甚大な被害が出てしまう。そこで地球側が選んだ選択は、対話を開始することだった。世界中の迎撃部隊を返すという選択だったが、全ての攻撃を放棄することで、彼らの攻撃を未然に防ぐことができた。
 更にヴァラロンの爆弾は地中から現れた怪獣達が食べて消したが、これは地球を守るためと言うより、本能に従ったらしい。「ウルトラマンコスモス」の時は怪獣の善意で人類を救う描写があったが、ここでは本能というのが説得力増してる。
 これまで物理的な攻撃や光の槍を投げたりしていたブレーザーが最後にスペシウム光線のような光線を発した。これはひょっとしてブレーザーの進化なのかもしれない。
 最終的にブレーザーがゲントである事はばれず、またスカードは通常任務に戻ることになった。劇的な展開ではないが、これは劇場版につなぐ伏線だろうか?大変面白かったので、出来れば第二期を期待したい。
<V99に攻撃の意思なしと伝えた次の瞬間にヴァラロンに攻撃してるけど、それは裏切り行為にならんのか?>
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